Japan Gallery in DIA デトロイト美術館に新設された日本ギャラリー

Japan Gallery in DIA デトロイト美術館に新設された日本ギャラリー 9

2017年11月4日にデトロイト美術館(以下DIA)の日本ギャラリーがオープンした。その祝賀として盛大に行われたオープニングイベントと日本文化紹介イベントについて弊紙先月号(2017年12月号)でお伝えしたが、今回は常設日本ギャラリーの展示内容について記載してゆく。

2013年にデトロイト市が財政破綻し、存続が危ぶまれたものの日本コミュニティを含めた公私の寄付金によって存続したDIAが最初の大プロジェクトとして着手したのが“アジアギャラリー”の再構築。日本ギャラリーは、アジアギャラリーの一部として2015年に企画をスタートし、他のアジア諸国ギャラリーに先駆けてオープンにこぎつけた。そこには、かつての日本関連の展示スペースが閉鎖されて何年も鑑賞の機会が無かった古いコレクション、そして数年前に開催された『サムライ展』の折に入手した作品、更に、この度のギャラリー新設のために購入された物が厳選され集められている。

年代別の展示ではなく、伝統的な物と現代の物が並んで展示されている。また、単なる展示に留まらず、茶室や仏教寺院、家屋の床の間など、背景にある伝統文化および生活の中での美術品の在り様を伝え、来場者がより理解し想像して鑑賞できることを重視している。同ギャラリー用に開発された“インタラクティブティーテーブル”が茶器の展示の横に備えられているが、デジタル画像の亭主(ホスト)が茶を点てる流れに合わせて、参加者はデジタル画像のタッチスクリーン上で茶碗のやりとりを体験できる(上の写真手前)。その茶碗は17世紀の織部茶碗をモデルに3Dプリンティングマシーンで作成した物で、触感や重さを実感することができる。肝心の飲む動作が組み込まれていないのが残念ではあるが、実際に口をつけるのは衛生上芳しくない故とのこと。

能の衣装や面の展示の隣には、日本の観世九皐会(かんぜきゅうこうかい)の協力を得て制作された概説用の短編ビデオが映し出される。ビデオは同ギャラリー向けのオリジナルで、DIAのコレクションに似た面がビデオの中で使われている。

屏風、掛け軸の作品など、芸術作品の多くは、光にデリケートな素材を保護するために、また、DIAのコレクションの中からより多くの財宝を公開するためにも、季節ごとに(予定では4〜6ヶ月ごとに)入れ替えていく予定とのことだが、現時点での展示品を紹介してゆきたい。

日本ギャラリー入口の両脇にはJapan Cultural Development が寄贈した現代メタルアート家 Miya Ando(安藤みや)の淡い色合いの作品 Kumo(Clouds)が訪問者を迎える。

「兜」1600年代、作者不詳  (Photo by DIA)
「Creature(クリーチャー」 2015年、今野朋子、セラミック(Photo by DIA)

日本ギャラリーに入ると、現代のセラミックアート作家・今野朋子(バンコック在住)の「Creature:クリーチャー(2015年制作)」、そして時代と材質が対照的な1600年代の兜が鎮座している。今野朋子の作品はモデルとなる生き物は無いが海にある命を思わせるものであり、兜には貝がらとナマズがあしらわれており、通じるものを感じる。

背景には「静と動-日本美術」という日本語表示、横には現代の都会の慌ただしさを映し出したイメージが一面に広がっている。同ギャラリー全体が「静と動―日本美術」というテーマでデザインされており、多くの日本の美術品に同時に内在する静と動を窺える展示となっている。

ここで、この日本ギャラリーの構築に企画段階から協力し、日本の伝統様式に基づいた展示に多大に寄与した及部奈津氏(Dr. Natsu Oyobe:ミシガン大学美術館アジア美術学芸員)に日本美術の「静と動」について解説をいただいた。

Q:「静と動」はどのようになところに見て取れますか?

松雲元慶の「羅漢像」と元慶の羅漢像300体が納められている羅漢寺(東京)の写真

A:全体のテーマである「静と動」は、まず、個々の作品に表れています。鈴木其一の「葦に群鶴図屏風」では、水辺にたたずむ鶴と飛翔する鶴が、鮮やかな対比を見せています。また、中林竹洞の「霧山水図」は、全体から静かな印象を受けますが、下方の川にかかる橋から、上方に視線を移していけば、ダイナミックな山々の情景に気付かされます。それからこのギャラリーでは、日本の伝統では美術工芸品の鑑賞に、特定の動きをともなうということを、観客に示そうとしましたが、例えば床の間のセクションでは、座って低い位置から鑑賞するよう促すようにしております。畳を敷くことはしませんでしたが、備え付けのベンチは高さが抑えられています。茶の湯のセクションでは、やはり低めのケースを使用し、隣りのティーテーブルに座った位置から作品を鑑賞するようにしていますが、ここにも茶室では特定のふるまいが要求されることを、知ってもらう意図があります。

床の間スペースには酒井抱一の掛け軸と尾形光琳の筆箱。横には障子とデジタルの風景イメージ。(Photo by DIA)

Q:DIAの膨大な日本コレクションの中からこれらの展示品が選ばれた理由や、配置やデザインについてお聞かせいただけますか。

A:全体のテーマとして「静と動」、またサブテーマとして日本の伝統的な空間と動作の再現ということがあり、それに沿って5つのセクション(能、仏教、茶の湯、床の間、絵画)が決まりました。そこから、セクションごとに作品が選定されました。選定には美術作品の質や興味深いストーリー(作品背景)が重要視されましたが、季節ごとに展示品が入れ替わる床の間の作品は、用途や紋様などから特に季節感を表現したものが選ばれました。空間にゆとりをもたせるために、作品数は19点と、かなり厳選されています。床の間をはじめ、各セクションでは日本文化の重要なコンセプトである「間」を意識し、作品をレイアウトしています。

「水牛に萩蒔絵螺鈿硯箱」1600年代初頭〜1700年代、尾形光琳作

日本ギャラリーは、いずれ(1年後の予定)アジア・ギャラリーに組み込まれることになる。今(12月現在)の日本ギャラリーの展示は2018年4月までの期間で、その後、アジア・ギャラリーの設置工事のため、一時的に閉鎖される。

屏風 「葦に群鶴図屏風」1800年代、鈴木其一作

入場料 大人$14 6~17才$6

以下の郡の住人は無料

Wayne、Oakland、Macomb

*特別展入場料は除く

掛軸 「雪月花・松に雪図」 1800年代初頭、酒井抱一

デトロイト美術館は、ワシントンDCのナショナルギャラリー、ニューヨークのメトロポリタン美術館、ボストン美術館、シカゴ美術館に次ぐ、米国5大美術館のひとつに数えられている。古代から21世紀までの6万点を超える作品を所蔵している。初期のゴッホの絵画、モネ、ルノアールなどポピュラーな画家の作品も少なくなく、DIAのコレクションはその質、範囲、深さで知られている。

「ビイルという酒」ができたころ

芸術の秋にぴったりなミニトリップ ~ Grand Rapids, MI 街ぐるみのアートコンテスト ArtPrize 2016 9/21~10/9 7

dscn2667この夏に日本に一時帰国した人も多いだろう。日本のビール業界もかきいれどきだった。今回は日本のビール界の歴史等を交えた内容だ。

日本地ビール免許取得&製造第一号は新潟県の「越後ビール」。1994年に酒税法が改正され、ビール醸造の免許を得るには1日あたり大瓶25本を販売するぐらいの量までに生産基準が下げられた。これにより、日本各地に地ビールが誕生する。

dscn2700今年日本で目にした「越後ビール」の数あるラインナップの中でよいと感じたのが、「ビアブロンド」。缶を開けるとホップ香がするのは、アメリカ産のビールであってもなかなかない。ブロンドのボディーと重圧感がある風味もよかった。

次に興味をひいたのが、サッポロ・クラシック。以前は北海道しか流通していなかったが、首都圏等で入手できた。シリーズ物の「数量限定 クラシック 夏の爽快」が北海道限定で発売されていた。サッポロビールは苦いイメージがあったが、これはやや高アルコール度(5.5%)と炭酸が多めのせいか、スムーズさが光った。これがツアー参加のきっかけになった。

dscn2699「麦とホップを製すればビイルとゆふ酒になる」(開業式)

日本で初めてのビール醸造所は明治政府の殖産興業事業の一つだったことをご存知だろうか。今から140年前、北海道開拓使が置かれた札幌に官営のビール醸造所が誕生した。明治政府が外貨獲得のため当時北海道に寄港する外国船の船員に販売するビールを製造したと言う。「開拓使麦酒醸造所」だ。そこには中川清兵衛とそれを支えた、後の外交官の青木周蔵の存在があった。

dscn2644現在の新潟県長岡市に生まれた中川清兵衛は17歳でベルリンに渡った。当時は自由な海外渡航は許されておらず、ドイツでは苦労を重ねた。その苦労と努力が実り、日本人として初めてベルリンビール醸造会社から修了書を授けられた。ドイツで青木と運命の出会いをし、ビール作りを政府に売り込むことを提案された1877年、初めてサッポロビールが出荷された。現在、札幌にある「ビール博物館」は当時の工場。のちに、官営工場は民間に払い下げられ、ホテル業の大倉喜八郎、セメント王 浅野総一郎、実業家渋沢栄一によって「札幌麦酒株式会社」が誕生する。第二次世界大戦後、寡占を避けるために巨大会社は解体され、現在のサッポロ、アサヒ、キリン、サントリーの各社が業界をリードした。

dscn2657ビール博物館は、今年展示物を一新してリニューアル。館内は自由見学(無料)。歴史を写真と文献の12のブース、そしてミニシアターでのビデオで紹介。ブースには説明が多くつけられ、わかりやすくなった。プレミアム・ツアー(有料)ではコミュニケーターによるガイドと、赤レンガのホールで「開拓使時代そのままの製法によるビール」と「現在の黒ラベル」の飲み比べもできる。炭酸の清涼感では現在の黒ラベルの方が洗練されているが、「開拓使時代の製法」の方がスムーズなのどごしで負けていない。飲み物の種類が限られていた時代にこれを口にした諸氏の感想はすがすがしい、の一言だったろう。

ツアーでは伝統の「三度注ぎ」も実演してくれる。三度目の注ぎで、泡を盛り上げ香りと炭酸をキープし、新鮮さを保つようにするのが流儀。その三度注ぎを試飲した感想は「グラスで飲むほうがまろやか。缶のはピリッとしている」。

ミシガンのブリューガイのチャレンジ精神もたくましいが、斬新なアイディアを実現させていった明治期の人々のスピリットを感じさせるツアーだった。

サッポロビール博物館  http://www.sapporobeer.jp/brewery/s_museum/

Frederik Meijer Gardens & Sculpture Park 内に 苦労を乗り越えて完成した日本庭園Frederik Meijer Gardens & Sculpture Park 内に 苦労を乗り越えて完成した日本庭園

<!--:en-->Frederik Meijer Gardens & Sculpture Park 内に 苦労を乗り越えて完成した日本庭園<!--:--><!--:ja-->Frederik Meijer Gardens & Sculpture Park 内に 苦労を乗り越えて完成した日本庭園<!--:--> 3

 「マイヤー・ガーデン」と聞き、スーパーマーケットのマイヤーを連想する方も多いだろう。その名の通り、Meijerの創立者であるフレデリック・マイヤー氏がグランドラピッズに築いたマイヤー・ガーデン(正式名:Frederik Meijer Gardens & Sculpture Park)の中に、この度日本庭園を造り、先日、6月13日の一般公開に先駆けて、オープニング・セレモニーがあった。そこで、その庭園のデザインと建設を請け負ったクリス・インターナショナル社(オレゴン州, 代表:栗栖宝一氏) で、同氏の右腕アシスタントとして働く木幡貴光さんにお話を伺う事ができた。この日本庭園、もともとは、お茶好きな夫人のために「茶室を作ってあげたい」というマイヤー氏の想いから始まり、「茶室だけあるのも変なので、それに合う庭園も作ろう」という所にまで発展した壮大なプロジェクトなのである。デザインに2年、建設に3年、オープンまでに延べ5年という歳月がかかった。残念ながらマイヤー氏は、完成を見る事なく他界してしまうのだが、彼のその熱い想いは今年の6月に形となり、盛大なオープニングとなった。

そもそもミシガンに日本庭園を造ろうという事自体、無謀と言えば無謀である。日本庭園に欠かす事のできない桜や紅葉、杉、つつじが、ミシガンの厳しい冬を無事に越せるのか。木幡氏によると、5 年の間に、オレゴン州より送られてきた植物のうち、3分の1が枯れてしまったという。また、トラックで他州から送られてきた植物の中に、1株、ミシガンへは輸入禁止の植物が混在しており、その1株のために、トラックに乗っていた全ての植物を埋める結果となった大参事もあった。「あれは可哀想な事をした」と木幡氏は肩を落とす。

 また、外国人にはなかなか理解されない「苔」の魅力。飛び石の隙間に、きれいに敷かれた深緑色の小さな苔たち。敷いても、敷いても、人に踏まれてしまう。「わびさび」を理解してもらうのは、なかなか難しいようで・・・。でも、竹の隙間を通るそよ風と、滝から流れる水の音に癒されるのは、日本人だけではきっとない。来場されていた外国人の方からは、「日本庭園を多く見ているが、ここは素晴らしい」と大絶賛のお言葉をもらった。木幡氏がオレゴン州のポートランド日本庭園、フロリダ州のモリカミ日本庭園にも携わっていると知り、尊敬の眼差しを向ける。その方からは、「外国人による、日本庭園ランキングの有名なサイトがある」と聞き、こちらのRichard and Helen DeVos Japanese Gardenは果たして何位にランキングされるのか、今から楽しみである。

 庭園の中には、よく見ると、言葉が彫られた岩があちらこちらに配置されている。それらの岩は、アーティストの好きな言葉が、職人達の手作業により、こつこつと刻まれたものである。手作業なので、1日に数文字しか掘る事ができない。まさに魂を込めた作品である。木幡氏によると、日差しや寒さから身を守るために、人一人が入るくらいのテントの中での作業だったらしい。それを知らなかった頃、「なんでこんな所にテントが?」と思いテントを覗き込んだら、作業中の石堀職人と目が合い、「どうも」と挨拶をしたという笑い話付き。岩に刻まれた想い。それがどんな想いなのか、ひとつひとつ岩を探してみるのも面白いかもしれない。

 多くの苦労を乗り越え、やっと完成した日本庭園。日本から輸入した瓦は、職人が作り上げた真っ白で美しい枯山水を素敵に彩っている。日本から呼び寄せた25名の職人さん達、酒好きが多かったらしく、当時は小さな日本人村さながらの賑わいだったとか。禅庭園の「静」を生み出す職人からは想像しにくい光景かもしれないが、毎夜毎夜楽しまれたようで。ミシガンの良い思い出を持ち帰ってくれた事を祈るのみ。因みに、こちらの禅庭園に展示されている盆栽コーナーは、「盆栽、盆栽が置かれている台や床の石を敷き詰めた箇所を合わせると、この庭園の中で一番お金がかかっている!と言っても過言ではない」と木幡氏は笑う。お手を触れないように気を付けましょう。

 最後に、マイヤー氏の夫人への想いが感じられるエピソードがある。こちらのお茶室、実は通常の間より、畳部分の床が高く、それを囲むように広いスペースが取られている。それは、すでに車イスを使用している夫人が車イスに座ったままお点前を見学できるよう配慮されたデザインであるという事。お友達と一緒にお茶を楽しんでいる夫人の姿を思い浮かべながら、茶室を見るのも楽しいかもしれない。夫人の名が付けられた美しい池には蓮の葉が静かに浮かんでいる。

文/写真:長瀬かの

 

Frederik Meijer Gardens & Sculpture Park 

【公式サイト】http://www.meijergardens.org/ 

【住所】1000 East Beltline Ave NE, Grand Rapids, MI

特別展 Splendors of Shiga 

マイヤー・ガーデンのギャラリーで、8 月1 6日まで

『滋賀特別展~珠玉の美~』を開催中。古くは8世紀から現代のものまで、ミシガン州の姉妹友好県である滋賀県の仏像、絵画、陶器等の美術品や文化財、6 0 点以上を集め、冬、春、夏の3期に分け展示している。信楽焼を始め、掛け軸、着物などを通して、滋賀の美や景色、暮らしを紹介するとともに、日本の文化を紹介している。滋賀の歴史、地理を紹介するビデオもある。

 「マイヤー・ガーデン」と聞き、スーパーマーケットのマイヤーを連想する方も多いだろう。その名の通り、Meijerの創立者であるフレデリック・マイヤー氏がグランドラピッズに築いたマイヤー・ガーデン(正式名:Frederik Meijer Gardens & Sculpture Park)の中に、この度日本庭園を造り、先日、6月13日の一般公開に先駆けて、オープニング・セレモニーがあった。そこで、その庭園のデザインと建設を請け負ったクリス・インターナショナル社(オレゴン州, 代表:栗栖宝一氏) で、同氏の右腕アシスタントとして働く木幡貴光さんにお話を伺う事ができた。この日本庭園、もともとは、お茶好きな夫人のために「茶室を作ってあげたい」というマイヤー氏の想いから始まり、「茶室だけあるのも変なので、それに合う庭園も作ろう」という所にまで発展した壮大なプロジェクトなのである。デザインに2年、建設に3年、オープンまでに延べ5年という歳月がかかった。残念ながらマイヤー氏は、完成を見る事なく他界してしまうのだが、彼のその熱い想いは今年の6月に形となり、盛大なオープニングとなった。

そもそもミシガンに日本庭園を造ろうという事自体、無謀と言えば無謀である。日本庭園に欠かす事のできない桜や紅葉、杉、つつじが、ミシガンの厳しい冬を無事に越せるのか。木幡氏によると、5 年の間に、オレゴン州より送られてきた植物のうち、3分の1が枯れてしまったという。また、トラックで他州から送られてきた植物の中に、1株、ミシガンへは輸入禁止の植物が混在しており、その1株のために、トラックに乗っていた全ての植物を埋める結果となった大参事もあった。「あれは可哀想な事をした」と木幡氏は肩を落とす。

 また、外国人にはなかなか理解されない「苔」の魅力。飛び石の隙間に、きれいに敷かれた深緑色の小さな苔たち。敷いても、敷いても、人に踏まれてしまう。「わびさび」を理解してもらうのは、なかなか難しいようで・・・。でも、竹の隙間を通るそよ風と、滝から流れる水の音に癒されるのは、日本人だけではきっとない。来場されていた外国人の方からは、「日本庭園を多く見ているが、ここは素晴らしい」と大絶賛のお言葉をもらった。木幡氏がオレゴン州のポートランド日本庭園、フロリダ州のモリカミ日本庭園にも携わっていると知り、尊敬の眼差しを向ける。その方からは、「外国人による、日本庭園ランキングの有名なサイトがある」と聞き、こちらのRichard and Helen DeVos Japanese Gardenは果たして何位にランキングされるのか、今から楽しみである。

 庭園の中には、よく見ると、言葉が彫られた岩があちらこちらに配置されている。それらの岩は、アーティストの好きな言葉が、職人達の手作業により、こつこつと刻まれたものである。手作業なので、1日に数文字しか掘る事ができない。まさに魂を込めた作品である。木幡氏によると、日差しや寒さから身を守るために、人一人が入るくらいのテントの中での作業だったらしい。それを知らなかった頃、「なんでこんな所にテントが?」と思いテントを覗き込んだら、作業中の石堀職人と目が合い、「どうも」と挨拶をしたという笑い話付き。岩に刻まれた想い。それがどんな想いなのか、ひとつひとつ岩を探してみるのも面白いかもしれない。

 多くの苦労を乗り越え、やっと完成した日本庭園。日本から輸入した瓦は、職人が作り上げた真っ白で美しい枯山水を素敵に彩っている。日本から呼び寄せた25名の職人さん達、酒好きが多かったらしく、当時は小さな日本人村さながらの賑わいだったとか。禅庭園の「静」を生み出す職人からは想像しにくい光景かもしれないが、毎夜毎夜楽しまれたようで。ミシガンの良い思い出を持ち帰ってくれた事を祈るのみ。因みに、こちらの禅庭園に展示されている盆栽コーナーは、「盆栽、盆栽が置かれている台や床の石を敷き詰めた箇所を合わせると、この庭園の中で一番お金がかかっている!と言っても過言ではない」と木幡氏は笑う。お手を触れないように気を付けましょう。

 最後に、マイヤー氏の夫人への想いが感じられるエピソードがある。こちらのお茶室、実は通常の間より、畳部分の床が高く、それを囲むように広いスペースが取られている。それは、すでに車イスを使用している夫人が車イスに座ったままお点前を見学できるよう配慮されたデザインであるという事。お友達と一緒にお茶を楽しんでいる夫人の姿を思い浮かべながら、茶室を見るのも楽しいかもしれない。夫人の名が付けられた美しい池には蓮の葉が静かに浮かんでいる。

文/写真:長瀬かの

 

Frederik Meijer Gardens & Sculpture Park 

【公式サイト】http://www.meijergardens.org/ 

【住所】1000 East Beltline Ave NE, Grand Rapids, MI

特別展 Splendors of Shiga 

マイヤー・ガーデンのギャラリーで、8 月1 6日まで

『滋賀特別展~珠玉の美~』を開催中。古くは8世紀から現代のものまで、ミシガン州の姉妹友好県である滋賀県の仏像、絵画、陶器等の美術品や文化財、6 0 点以上を集め、冬、春、夏の3期に分け展示している。信楽焼を始め、掛け軸、着物などを通して、滋賀の美や景色、暮らしを紹介するとともに、日本の文化を紹介している。滋賀の歴史、地理を紹介するビデオもある。

チフーリ・ガーデン&ガラス in Seatle,Wasington

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チフーリ・ガーデン&ガラス in Seatle,Wasington 10

DSC_2468

昨年11月号に掲載したオハイオ州コロンバスの観光に関する記事の中で Franklin Park Conservatory and Botanical Gardensについて紹介し、ガラスアーチストであるデイル・チフーリのガラスコレクションが点在していることに触れたが、そのチフーリによる膨大な数の作品を展示している『チフーリ・ガーデン・アンド・ガラス』がシアトルに存在する。シアトルのランドマークの一つ、スペースニードルがあるシアトル・センターに2012年にオープンして以来、ガラスアートの愛好者はもとより、多数の観光客を呼び寄せている。

IMG_90671.5エーカー(千八百坪以上)という敷地に、8つのギャラリー、ガラスハウス、庭園があり、手で持てるほどの大きさの器から、巨大なインスタレーション(空間美術)まで、大小の数えきれない量の作品を展示している。

“自然の中から生まれたかのような作品”を目指しているチフーリの作品には植物や貝を模した物が多い。代表的なシリーズである「シャンデリア」だけでも屋内と屋外に、様々な色とディテールのものが何点もある。

日本人として特に興味を惹かれたのが“生け花”をモチーフにした大胆かつ華やかでありながら凛とした静けさを感じさせられる大作品。“生け花”をはじめ、ギャラリー(室内)の作品は鏡や電光によって、ガラスの持つ美しさを倍増させる効果が駆使されているものも多く、これがまた幻想的で魅了される。

IMG_9001庭園の作品は植物を模して草花と調和していたり、自然の緑の中で鮮やかな色を放っていたり、室内とは別の表情。ガラスの色や形と、季節の花の種類や色との組合わせも絶妙。自然と無機質なガラス、互いが引き立て合い、独特な世界がそこに生まれている。

この施設には明るい時間帯から夜まで居ることをお勧めしたい。ガラスハウスの天井に広がるインスタレーションが夜には異なる輝きを放ちだす。再入場が可能なので日中と夜という訪れ方も可能ではあるが、夕暮れ時の庭園は刻々と雰囲気が変わっていき格別。写真を見るだけでも鮮明な美しさが思い出されて惹き込まれるが、きらめきを内包している実物は見飽きることがなく、離れがたい程。再度足を運びたくなる空間なのである。

IMG_9015デイル・チフーリは1941年ワシントン州タコマ市生まれ。ワシントン大学でインテリア・デザイン、ウイスコンシン大学で彫刻を学んだ後、1968年にイタリアのベネチアに渡り、名門ベニーニガラス工房で働く初のアメリカ人となった。1971年、故郷ワシントン州にガラススクール(Pilchuck Glass School) を他のガラス彫刻家達と共に設立。その後才能を発揮し、現代ガラス工芸の第一人者と言われるまでに上りつめた。

DSC_2507Chihuly Garden and Glass 

住所:305 Harrison Street, Seattle WA

サイト:www.chihulygardenandglass.com

*開館時間は季節、曜日によって異なるので、上記ウェブサイトでご確認を。

おまけ情報。チフーリの出身地タコマ(Tacoma)には

DSC_2485ガラス・ミュージアム: Museum of Glassがあり、館内に常設作品は無いが、ダウンタウンに通じる橋の上にChihuly Bridge of Glassと名付けられた作品群がある。海の生き物をモチーフにした作品が天井に散りばめられているSeaform Pavilion。ガラスのフラワーアレンジメントが百以上並ぶ Venetian Wal。巨大氷砂糖を集めたようなCrystal Towers。なかなかの見ごたえだ。公道なので無料で鑑賞できる。タコマはシアトルから南へ車で1時間程。

『赤毛のアン』の著者L・M・モンゴメリが住んでいたカナダ東端の島『赤毛のアン』の著者L・M・モンゴメリが住んでいたカナダ東端の島

<!--:en-->『赤毛のアン』の著者L・M・モンゴメリが住んでいたカナダ東端の島<!--:--><!--:ja-->『赤毛のアン』の著者L・M・モンゴメリが住んでいたカナダ東端の島<!--:--> 2

プリンスエドワード島へのミシガンからのアクセス

  観光名所については島(=州)の公式サイトなどで豊富な詳細情報を得ることができるので、弊紙では陸路でのアクセスを中心に紹介したい。

  デトロイトからは2100km程の陸路で、マイアミまでより100㎞以上近い。飛行機であれば(直行便は無く、トロント経由などになるが)飛行時間計3時間半弱で小説の舞台に降り立つことができる。とはいえ、航空運賃は(特に観光シーズンには)お高く、マイアミ行の倍以上のケースが多い。車だと(渋滞が無ければ)21時間。ほぼ半分の距離にあたるモントリオールや、ケベックを観光しながら島に向かい、帰路はメイン州の海岸線を辿ってボストンに寄れば、多くの観光地を巡る充実したコースになる。

  鉄道利用では、モントリオールからVIA鉄道の夜行でモンクトン(ニュー・ブランズウィック州)またはハリファックス(ノバ・スコシア州)で下車し、そこからレンタカーかバスで海を渡ることになる。技術の粋を集めた全長13kmにおよぶコンフェデレーション・ブリッジで、絶景を眺めながら島にアクセス。行きは橋をわたり、帰りはフェリー利用(逆もOK)という手段もある。どちらのルートでも橋とフェリーの利用料金(橋の通行料$45、フェリー$69~ :2014年現在)は離島の時だけ!! ハリファックスからは多数の業者がバンタイプのシャトルサービスを運行している。

  モントリオールやケベックはフランス語圏で、道路標識もフランス語が主だが、プリンスエドワード島の公用語は英語! 「赤毛のアン」の大ファンであれば物語の舞台や作者モンゴメリーゆかりの地を巡るツアーで秘話など詳細を聴く方が有意義かと思うが、英語圏での気楽なドライブになるので、気に入ったスポットで気ままに過ごすためには車移動がお勧め。飛行機を利用したとしても、現地でレンタカーを手配すれば美食の地としても名高い島の味覚を提供するレストランへも自由に足を延ばすことができる。

  抑えたい名所は、観光の拠点でギフト店やレストランや洒落た宿泊施設も多いシャーロットタウンの街、「赤毛のアン」の主舞台アボンリーのモデルとなった町でグリーンゲーブルスハウスがあるキャベンディッシュ、島の西側のノースケープ・コスタルドライブエリアなど。途中の小さな町や漁港、灯台などの観光名所も魅力ある。

  ちなみに、「緑あふれる田園と青い海の風景」を島の魅力の一つに掲げているが、内陸の素朴な農家・果樹園風景はミシガンに似通っており、観光スポットになっている灯台と岬の眺めもミシガンとて引けを取らない景観。ミシガンの景色と大きく異なるのは島の特徴となっている土の赤さ、そしてシャーロットタウンなど古い街のヨーロッパ風な建物や、漁港に点在するカラフルな小屋など。観光業を妨害する気はないが、アンのファンでない方が期待を寄せてミシガンから遠路訪ねて「がっかり」という声を少なからず耳にしてきたことを記しておきたい。もちろん、ミュージアムや歴史遺産(カナダ独立の際、カナダ建国会議が開かれた地)の見学、民芸品の買い物など、見所や魅力は尽きない。筆者と同行した姉は「島の景色や豊かな時間を思い出すと幸せになる」と述懐するほど。筆者が訪れたのは10月初旬で、夏場のみ上演される『赤毛のアン』のミュージカルや一部のミュージアムは閉じてしまっていたが、観光客の喧騒が去り、街にも穏やかな雰囲気が漂っていた。日没の美しい砂丘や、趣のある灯台の岬も独占状態であった。この島は気候が穏やかなために紅葉はさほどではないが、モントリオール方面や道中の紅葉を味わいながら足を延ばすのも一案と言える。

プリンス・エドワード島州政府観光局のオフィシャル日本語サイト
http://www.tourismpei.com/jp

プリンスエドワード島へのミシガンからのアクセス

  観光名所については島(=州)の公式サイトなどで豊富な詳細情報を得ることができるので、弊紙では陸路でのアクセスを中心に紹介したい。

  デトロイトからは2100km程の陸路で、マイアミまでより100㎞以上近い。飛行機であれば(直行便は無く、トロント経由などになるが)飛行時間計3時間半弱で小説の舞台に降り立つことができる。とはいえ、航空運賃は(特に観光シーズンには)お高く、マイアミ行の倍以上のケースが多い。車だと(渋滞が無ければ)21時間。ほぼ半分の距離にあたるモントリオールや、ケベックを観光しながら島に向かい、帰路はメイン州の海岸線を辿ってボストンに寄れば、多くの観光地を巡る充実したコースになる。

  鉄道利用では、モントリオールからVIA鉄道の夜行でモンクトン(ニュー・ブランズウィック州)またはハリファックス(ノバ・スコシア州)で下車し、そこからレンタカーかバスで海を渡ることになる。技術の粋を集めた全長13kmにおよぶコンフェデレーション・ブリッジで、絶景を眺めながら島にアクセス。行きは橋をわたり、帰りはフェリー利用(逆もOK)という手段もある。どちらのルートでも橋とフェリーの利用料金(橋の通行料$45、フェリー$69~ :2014年現在)は離島の時だけ!! ハリファックスからは多数の業者がバンタイプのシャトルサービスを運行している。

  モントリオールやケベックはフランス語圏で、道路標識もフランス語が主だが、プリンスエドワード島の公用語は英語! 「赤毛のアン」の大ファンであれば物語の舞台や作者モンゴメリーゆかりの地を巡るツアーで秘話など詳細を聴く方が有意義かと思うが、英語圏での気楽なドライブになるので、気に入ったスポットで気ままに過ごすためには車移動がお勧め。飛行機を利用したとしても、現地でレンタカーを手配すれば美食の地としても名高い島の味覚を提供するレストランへも自由に足を延ばすことができる。

  抑えたい名所は、観光の拠点でギフト店やレストランや洒落た宿泊施設も多いシャーロットタウンの街、「赤毛のアン」の主舞台アボンリーのモデルとなった町でグリーンゲーブルスハウスがあるキャベンディッシュ、島の西側のノースケープ・コスタルドライブエリアなど。途中の小さな町や漁港、灯台などの観光名所も魅力ある。

  ちなみに、「緑あふれる田園と青い海の風景」を島の魅力の一つに掲げているが、内陸の素朴な農家・果樹園風景はミシガンに似通っており、観光スポットになっている灯台と岬の眺めもミシガンとて引けを取らない景観。ミシガンの景色と大きく異なるのは島の特徴となっている土の赤さ、そしてシャーロットタウンなど古い街のヨーロッパ風な建物や、漁港に点在するカラフルな小屋など。観光業を妨害する気はないが、アンのファンでない方が期待を寄せてミシガンから遠路訪ねて「がっかり」という声を少なからず耳にしてきたことを記しておきたい。もちろん、ミュージアムや歴史遺産(カナダ独立の際、カナダ建国会議が開かれた地)の見学、民芸品の買い物など、見所や魅力は尽きない。筆者と同行した姉は「島の景色や豊かな時間を思い出すと幸せになる」と述懐するほど。筆者が訪れたのは10月初旬で、夏場のみ上演される『赤毛のアン』のミュージカルや一部のミュージアムは閉じてしまっていたが、観光客の喧騒が去り、街にも穏やかな雰囲気が漂っていた。日没の美しい砂丘や、趣のある灯台の岬も独占状態であった。この島は気候が穏やかなために紅葉はさほどではないが、モントリオール方面や道中の紅葉を味わいながら足を延ばすのも一案と言える。

プリンス・エドワード島州政府観光局のオフィシャル日本語サイト
http://www.tourismpei.com/jp

フランク・ロイド・ライト 建築 スミス・ハウス

 日本でも名高いアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトと聞けば、現在も日本に残る自由学園明日館や帝国ホテルを思い浮かべる読者も多いのではないだろうか。

 帝国ホテルは現在、愛知県の明治村に移築され内部も見学可能だ。平等院鳳凰堂の要素を取り入れた外観はどっしりとしており、低い天井の玄関を入り進むと3階に渡る吹き抜きのロビーに続く。建物内外は、彫刻された大谷石、透しテラコッタによって様々に装飾されているが、吹き抜きの「光の籠柱」と大谷石の柱には特に目を奪われる。この吹き抜きまわりに玄関の空間が創り成されており、大階段と左右の廻り階段で繋がれた各空間は床の高さ・天井の高さが異なり、窓や装飾を通して入る光が上下左右に錯綜し、重厚感があふれるなか、こうした工夫で訪れる人たちを楽しませてくれる。明治村で結婚式を挙げると、この帝国ホテル内でブライダル写真や式前の準備、披露宴も行うことができる。実は筆者が世界的建築家フランク・ロイド・ライトを初めて知ったのは、結婚式会場の下見に明治村を訪れた時。その折にフランク・ロイド・ライトが日本の影響を受けた住宅建築の巨匠でもあることを知っていたら、彼の家に住んでみたいという強い衝動に駆られ夢見たのだろうか。

 きっと不可能だろうと最初から諦めてしまいそうになる夢。そんな夢を現実に変えた夫婦の家が、ミシガン州ブルームフィールドのクランブルックに存在する。

 マルヴィン・マックスウェル&サラ・ステイン・スミス夫婦の夢は、ペンシルベニア州にあるライトの落水荘(フォーリングウォーター)についてのプレゼンスライドをメルヴィンが見た時から始まった。

 デトロイト公立校で質素に教師をしていたスミス夫妻は、ウィスコンシン州にあるライトの自宅「タリアセン」で、家建築のビジョンを数時間にも渡ってライトに話す機会を得た。「一年を通して小規模なコンサートや展覧会を開催して、芸術家や音楽家のメッカ(憧れの地)となるような家を建てたい」と熱心に話した。スミス夫妻の熱意に動かされたライトは、なんとたったの9,000ドルで設計しようと同意する。「ただし、建築物と自然が 総合的に融合できる場所が見つかれば」という条件付きで。

 ライトのオーガニック建築(有機的建築)は、日本建築と自然の関係性に注目し、学び得たものだ。ライトの日本芸術・建築との初めての出会いは1893年のシカゴ万国博覧会。そこから、日本に強く惹かれ、興味を寄せ続けながら、ライトは長いキャリアを積んでいった。

 1946年夏、スミス夫妻はクランブルック近くに3エーカーの理想的な土地を見つけたとライトに電報を打った。ライトからの返事は、「『魂が私を動かす時』が、あなた方が設計図をお受け取りになる時でしょう」。
 1947年3月に航空便にてライトからついに設計図が送られ着工となった住宅は、1800スクエアフィート、一般的アメリカ人向けユーソニアン設計の典型例となるものだった。

「My Haven(わが安息の場所)」とスミス夫妻に名付けられた邸宅は、皆の深い関心と愛情により築かれた住宅とも言える。フランク・ロイド・ライトの建築に興味を持つ建設業者は無償または賃金抑制のもと工事を請け負ってくれ、有名な造園設計家トーマス・チャーチからは、設計供給の約束を取り付け、地元開発業者アルフレッド・トーブマンは邸宅全体のガラスをわずか500ドルで 納品してくれた。

 細長い船のような形の一階建ての設計を基盤に、ライトが受けた日本からの美的影響と自然要素が織りなす特徴ある住宅が完成した。壁から作り付け棚、キャビネットに至るまでアンバー色の暖かみが広がるインテリア、床から天井まで壁一面の窓からは、立派にそびえるオークの木々や池を見渡すことができ、外の世界が家の一部に取り込まれているようだ。剥き出しの煉瓦や色付きのコンクリートフロアは木材を引き立たせ、見事な風合いを醸しだしている。

 何よりも、メルヴィン&サラ・スミスの描いていたビジョンは現実となり、世界中からこの家を観賞・評価する来訪者が後を絶たなかった。

 フランク・ロイド・ライトの日本への愛着は、そのクライアントにも引き継がれることが多い。スミス夫妻もおそらく同じで、ライトのユーソニアン住宅を1950年に築いて以降、日本文化に興味を注ぐようになった。日本人も多く家に迎え入れもてなしたスミス夫妻には、陶芸品や日本画がもてなしのお礼として日本人の友人たちから贈られた。法被や浴衣を身にまとった夫妻の写真や日本の友人から送られた手紙や葉書も残っており、スミス夫妻の住宅内に入ると、銚子と盃、土鍋、急須、日本人形等が飾られている。クランブルックコレクション研究センターのHP(※)から「3D-TOUR」(https://my.matterport.com/show/?m=fzssWV8Gvs6)を利用すると、そうした日本の美術品も垣間見ることができるので、読者の皆さんにもぜひ一度ご覧いただきたい。

 スミス夫妻の住宅を見学すると、家になじんだ美術品の数々が素晴らしく、訪れる人の目に留まる。フランク・ロイド・ライトの建築住宅の芸術性を高めようと、メルヴィン・スミスが美術品収集に努めた結果だ。ウィスコンシン州にあるライトの自宅に溶け込んでライト建築の一部となっていた美術品と同じようにと、メルヴィンは正に思い描いていた。

 収集美術品の4分の3はクランブルック・アカデミー・オブ・アート(ミシガン州の美術大学院)関係の作品とサラ・スミスは見積もっていた。夫妻が称賛していた芸術家は、後になってわかることが多いのだが、クランブルック出身であることが多かった。クランブルックの学生や卒業生である芸術家を積極的に支援している夫妻のことであるから、スミス夫妻に会ったことのないクランブルックの学生でも夫妻のことは聞いたことがあるほど名が知られていた。そして、スミス夫妻に自分の作品を譲るということはつまり、フランク・ロイド・ライトの建築物の中に自分の作品が飾られるということで、学生にとっては感激だったのだ。(※このスミス邸は、スミス夫妻亡き後、時を経て、2017年に親族によりクランブルックコレクション研究センターに寄贈され、現在もクランブルック下で管理されている)

 実際に邸宅内にも入ることができる見学ツアーは新型コロナウィルスの影響でしばらく休止されていたが、9月より再開される。1回のツアーの参加人数は6人に限定され、参加者は事前登録が必要となる。参加者にはマスク着用等義務付けられるので詳しくは、クランブルックセンターのウェブサイトをチェクしてみてほしい。

 合わせて、同センターは来る2020年9月22日(火)10:00am/7:00pm(EDT1時間)にクランブルック講義シリーズ『フランク・ロイド・ライトと日本』と題したレクチャーをオンラインにて開催する。こちらの申し込みも現在ウェブサイトで受付中なので今回の記事を読んで興味を持った方は参加してみてはいかがだろう。講師は、常任キュレーターのケビン・アドキソン氏。アドキソン氏は、イェール大学にて建築を学び、そこで建築家サーリネンに魅了され、サーリネン(父)が作り上げたクランブルックにて更なる研究を続けている。

法被と浴衣を身にまとったメルヴィン&サラ・スミス

Photo Credits:
Melvyn and Sara Smith, 1968. Courtesy of Cranbrook Archives, Cranbrook Center for Collections and Research
Exterior photography by James Haefner, 2015. Courtesy of Cranbrook Center for Collections and Research
Interior photography by Brett Mountain, 2019. Courtesy of Cranbrook Center for Collections and Research

文: Mayumi Bilderback
取材協力: Cranbrook Center for Collections and Research

<INFO>
クランブルック美術館・博物館も再開中。クランブルック・センター常任キュレーター、ケビンアドキソン氏が毎週フェイスブック及びインスタグラムにて様々なバーチュアル・ツアーを実施中。館内の美術品から野外に何気なく置かれている芸術品まで、様々な美術品を紹介する。

フェイスブック:https://www.facebook.com/CranbrookCenterforCollectionsandResearch
インスタグラム:
https://www.instagram.com/cranbrookcenter/

冬のミシガン さぁ出かけよう

Photo Courtesy of Pure Michigan

ミシガンの冬

今年は比較的雪が少なく、過ごしやすいクリスマス、年明けでしたが、2月はまだまだ寒さの増す冬本番。ミシガン州は日本の北海道と同じ緯度上に位置するため、気候が北海道と似ていると言われます。冬のデトロイトの12月〜2月までの平均気温をみてみると、摂氏0度からマイナス5度。ただし、これはあくまで平均で、摂氏マイナス20度前後を記録することもしばしば。時には身の危険を感じる寒さです。だからと言ってこの長い冬を屋内で過ごすにはもったいない!小さいお子さんがいる家庭では、雪が降るとすぐ、庭でかまくらを作ったり、そりを手に近所の「行きつけ」のソリができる丘に車を走らせたり、外に出るのが定番。その後ホットチョコレートで身体を温めて・・・手軽に楽しめる雪遊び、一番の冬の醍醐味と言えるかもしれません。

ウィンタースポーツ

ミシガンのウィンタースポーツ事情についてみていくことにしましょう。

Winter in Traverse City冬のトラバースシティー周辺

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<!--:en-->Winter in Traverse City<!--:--><!--:ja-->冬のトラバースシティー周辺<!--:--> 4

 トラバースシティー(TC)では、冬の到来イコール祝福の時! 丘や谷は白く柔らかい雪で覆われ、キラキラと輝き、魅力溢れる遊び場に早変わり。広大な自然が探しに来て!とばかり、人々を待ちわびている。そこで、次は冬のアクティビティー情報。

Cross-country ski: クロスカントリースキー

 Pere Marquette State Forestなど、公共林や公園の整備されたトレイルの他、急流や静かな森林、湖の絶景を望む湖畔沿いや砂丘を蛇行するコースなど、豊富な選択肢があるのもTCならではの魅力。

Ski and Snowboard: スキー&スノーボード

 ミシガン北西部はミシガン州の人気スキーエリア。とは言え、スキー場の規模は日本の″裏山” 程度。しかし、リゾートとしての魅力が満載で、足を伸ばす価値は大いにある。

 TCから北東に約30マイルに位置するShanty Creek Resortsは、スキー雑誌の投票で、リゾートの値打ち、ダイニング、ロッジ、アクティビティーを総合して、“ミッドウエストで1番行きたいスキー場”のタイトルを獲得したこともある。2つのスキーエリア(Summit とSchuss Mountain)を利用できる点も、複数のコースが滑れるお得感と共に楽しみ倍増。

 一方、スキー宿をTCダウンタウン付近に確保するのも一案。ダウンタウンやベイ周辺のホテルは夏がシーズンなので、逆に冬場はオフシーズン。宿泊料金が割安になる所が多い上、レストランや観光に近いので穴場と言える。ダウンタウンからアクセスが良いMt. Holiday やHickory Hillsは、小規模で素朴な施設のスキー場。TCから気軽に訪れるスキー客も多い。

Snowshoe:スノーシュー

 スノーシュー(雪駄)を履いて雪原を歩く冬のハイキング。通行量が少ないコースに入り込んで新雪を独り占め。‘Grand Traverse Commons’の広大な敷地には網の目状にトレイルが広がっており、急な坂を克服すればグランドトラバースベイや麓の街を一望できる。

Snowmobile: スノーモービル

街の南部および東部には200マイル以上のスノーモービルが可能な道(または道無き道)がある。深い森林、遮る物の無い広大な土地、そして橋あり湖畔ありと、コースはバラエティーに富んでいる。これらのコースの多くが街から近いのも、TCの良いところ。スノーモービルのレンタルも可能。

Snow tube: スノーチューブ

 スキーやスノーボードの経験が無い人、運動が苦手な人にも手軽に出来るのがスノーチュービング。大きなゴムチューブ(浮き輪状の乗り物)に座って丘を下るだけ!コントロールできない分、スリル満点。全米で急成長を遂げている冬の娯楽だ。

 Shanty Creek と Mt. Holidayスキー場に、良い施設が備えられている。以前スキーリゾートだったTimberleeにはミシガンで最大を誇るチュービング専用の丘があり、チュービングしながら湖を望む景色という贅沢なおまけも付く。友人や家族と一緒に乗れる、‘タンデム’ チューブもある。チューブは自動リフトで丘の上に運ぶため、体力に自信が無い人もOK。

冬の情報提供 :トラーバースシティー観光局
写真提供: トラーバースシティー観光局

 

 トラバースシティー(TC)では、冬の到来イコール祝福の時! 丘や谷は白く柔らかい雪で覆われ、キラキラと輝き、魅力溢れる遊び場に早変わり。広大な自然が探しに来て!とばかり、人々を待ちわびている。そこで、次は冬のアクティビティー情報。

Cross-country ski: クロスカントリースキー

 Pere Marquette State Forestなど、公共林や公園の整備されたトレイルの他、急流や静かな森林、湖の絶景を望む湖畔沿いや砂丘を蛇行するコースなど、豊富な選択肢があるのもTCならではの魅力。

Ski and Snowboard: スキー&スノーボード

 ミシガン北西部はミシガン州の人気スキーエリア。とは言え、スキー場の規模は日本の″裏山” 程度。しかし、リゾートとしての魅力が満載で、足を伸ばす価値は大いにある。

 TCから北東に約30マイルに位置するShanty Creek Resortsは、スキー雑誌の投票で、リゾートの値打ち、ダイニング、ロッジ、アクティビティーを総合して、“ミッドウエストで1番行きたいスキー場”のタイトルを獲得したこともある。2つのスキーエリア(Summit とSchuss Mountain)を利用できる点も、複数のコースが滑れるお得感と共に楽しみ倍増。

 一方、スキー宿をTCダウンタウン付近に確保するのも一案。ダウンタウンやベイ周辺のホテルは夏がシーズンなので、逆に冬場はオフシーズン。宿泊料金が割安になる所が多い上、レストランや観光に近いので穴場と言える。ダウンタウンからアクセスが良いMt. Holiday やHickory Hillsは、小規模で素朴な施設のスキー場。TCから気軽に訪れるスキー客も多い。

Snowshoe:スノーシュー

 スノーシュー(雪駄)を履いて雪原を歩く冬のハイキング。通行量が少ないコースに入り込んで新雪を独り占め。‘Grand Traverse Commons’の広大な敷地には網の目状にトレイルが広がっており、急な坂を克服すればグランドトラバースベイや麓の街を一望できる。

Snowmobile: スノーモービル

街の南部および東部には200マイル以上のスノーモービルが可能な道(または道無き道)がある。深い森林、遮る物の無い広大な土地、そして橋あり湖畔ありと、コースはバラエティーに富んでいる。これらのコースの多くが街から近いのも、TCの良いところ。スノーモービルのレンタルも可能。

Snow tube: スノーチューブ

 スキーやスノーボードの経験が無い人、運動が苦手な人にも手軽に出来るのがスノーチュービング。大きなゴムチューブ(浮き輪状の乗り物)に座って丘を下るだけ!コントロールできない分、スリル満点。全米で急成長を遂げている冬の娯楽だ。

 Shanty Creek と Mt. Holidayスキー場に、良い施設が備えられている。以前スキーリゾートだったTimberleeにはミシガンで最大を誇るチュービング専用の丘があり、チュービングしながら湖を望む景色という贅沢なおまけも付く。友人や家族と一緒に乗れる、‘タンデム’ チューブもある。チューブは自動リフトで丘の上に運ぶため、体力に自信が無い人もOK。

冬の情報提供 :トラーバースシティー観光局
写真提供: トラーバースシティー観光局

 

Fun And Excitement All Year Long in Traverse City, MI四季それぞれに魅力と楽しみがある〜Traverse City, MI

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<!--:en-->Fun And Excitement All Year Long in Traverse City, MI<!--:--><!--:ja-->四季それぞれに魅力と楽しみがある〜Traverse City, MI<!--:--> 3

 ミシガン州北西部のトラバース・ベイに位置するトラバース・シティーは、シカゴ、ウィスコンシンからの地の利もあり、ミシガン有数の避暑地、別荘地として州内外から知られている。

 ジャック・ニクラスが設計したゴルフコースで有名な“グランド・トラバース・リゾート”を筆頭に、ベイ沿いにはバケーション客用のホテルやインが立ち並び、キャンプ場もベイ沿い(州経営)や周辺の湖に点在。水辺のリゾート地らしく、夏はヨット、ジェットスキー等のウォータースポーツ、冬は各種スノースポーツとアクティビティーも多彩だ。地元特産のチェリーが、花の時期、収穫の時期に、他の土地にはない景色や恵みをもたらしてくれる。Sleeping Bear Dunes National Lakeshore の広域な砂丘と、そこから眺めるミシガン湖の壮大な展望は、どの季節に行っても息を呑む美しさ。四季それぞれの美しさ、楽しみ方があり、北ミシガンの親しみやすさに溢れる土地柄だ。

 今月号では、そんな魅力溢れるトラバース・シティー(以後、TC:地元誌等でも、この名称)について、オールシーズンの観光と冬のアクティビティー情報をお届けする。

ダウンタウン周辺

 TCのダウンタウンは、小奇麗な落ち着きのある一画。レストラン&バー、ギフトショップなどが立ち並ぶ。特産チェリーの食材店、チェリーをモチーフにした小物店、ウォータースポーツ(特にヨット)を題材にした美術&絵画を扱うギャラリーが多いのも特徴。現在、ミシガン州を中心に15店舗展開中のパイ専門店『Grand Traverse Pie Company』の第一号店もここ。(525 West Front Street)

 街中にあるオペラハウスは、小さいながらも装飾が施され、往年の繁栄を実感できる豪華さ。公演の無い日に見学が可能なこともある。

 有名観光地でありながら、案内のサインは少なめ(そこが良さでもあるのだが)。そこで、地域の情報パンフレットや地図をダウンタウン近くのVisitor Centerで入手することをお薦する。(101 West Grandview Parkway, Traverse City )*10月中旬からメモリアルデーまでは日曜日閉館

 古くは一帯の林業を支える交易と出荷の地として町が出来、シカゴの大火事(1871年)の後、大半の木材がここから湖を渡って運ばれ、復興を可能にしたと言われる。その後、急激に人口が増えて繁栄し、巨額の富を築いた人々も数多くいたそうだ。ダウンタウン周辺には、当時の面影を残す重厚な造りの邸宅が現在も残っている。地元観光局の職員によれば、林業で興隆した土地とあって、内装にも材木が贅沢に使われ、趣向を凝らしている邸宅が多いそうだ。林業の衰退と共に人口が減った後も、それら邸宅は別荘や引退後の住居として人気が高い。ゴーストタウン化しなかったのは、この土地が観光地として成功した証だろう。時折、邸宅のオープンハウスツアーが組まれるという話なので、観光局のサイトなどで情報入手してみては?

再開発~ニュースポット

 ダウンタウンから車で数分のGrand Traverse Commonsは、ここ数年間に再開発された一画。なんと、大規模な精神病療養所の跡地。敷地は480エーカーと、ピンとこないほどの広さだ。療養所時代の敷地内には、食料の自給自足を目指して牧場や農場もあったそう。とんがり屋根がお城を思わせる元病棟は大修復が進み、半地下には洒落たレストランやお店、画廊が入り、現在は人気スポットになっている。ちなみに階上は分譲アパートメント(日本で言うマンション)。

 別棟の元ランドリービルディング(洗濯施設)は、ワイナリーに変身し、パブもある。ベーカリーや手作りチーズケーキの店もあり、レンガの窯で焼き上げたパンは住人にも観光客にも定評。しかし、未修復の建物も残り、その荒み具合をみると、いかに大きな再開発プロジェクトであるかが分かる。宿泊施設に変える計画もあるそうなので、今後の展開にも注目したい。
ウェブサイトhttp://www.thevillagetc.com/

ワイナリー

 近年、人気を博しているワイナリー巡り。10月はワイナリーの観光客で非常に賑わう。北西部一帯には何十というブドウ果樹園、ワイナリーが点在し、試飲、即売を提供する所も多い。特にダウンタウンの北東、トラバースベイを二分しているOld Mission Peninsulaは、縦22マイル、幅1マイル程の細長い半島ながら、7つものワイナリーを有し、ワイナリーの梯子に好都合。それぞれのワインに特徴があるのはもちろんのこと、建物や装飾にも個性がある。そのワイナリーの一つ、宿泊施設を伴う B&B Chateau Chantal(15900 Rue de Vin)では、グランドピアノによる生の演奏を聴きながら、美味しい料理とワインとブドウ畑の夕景色を堪能するという贅沢な時間(宿泊客に限定)が用意されている。展望も抜群。

 市の周辺には地ビール工房(Breweries)やウィスキー蒸留所(Distilleries)もあり、観光の楽しみとして注目されている。

 トラバース・ベイ沿いは、水辺に面したレストランが意外に少ない。そんな中、ダウンタウンからも近い、数少ないウォーターサイドのレストランが Apache Trout Grillだ。(ダウンタウンから北西に数マイル。)地元の人から、味も雰囲気も良いと評判の店だ。予約は受付けないので、オフシーズンの平日で待つ人がいるほど。特産の料理があるのも嬉しい。
住所:13671 S. West Bayshore Dr. Traverse City
ウェブサイトhttp://www.apachetroutgrill.com

Traverse Cityについて

詳細、その他の情報は地元観光局のサイトhttp://www.traversecity.com/ で。

Traverse City Convention & Visitors Bureau
住所:101 W. Grandview Parkway, Traverse City, Michigan 49684

小さい町ながら、各種コンサートや観劇、アートギャラリーや博物館も多数。また、周辺にはアメリカ先住民族が経営するカジノ&ホテルも数件ある。

 ミシガン州北西部のトラバース・ベイに位置するトラバース・シティーは、シカゴ、ウィスコンシンからの地の利もあり、ミシガン有数の避暑地、別荘地として州内外から知られている。

 ジャック・ニクラスが設計したゴルフコースで有名な“グランド・トラバース・リゾート”を筆頭に、ベイ沿いにはバケーション客用のホテルやインが立ち並び、キャンプ場もベイ沿い(州経営)や周辺の湖に点在。水辺のリゾート地らしく、夏はヨット、ジェットスキー等のウォータースポーツ、冬は各種スノースポーツとアクティビティーも多彩だ。地元特産のチェリーが、花の時期、収穫の時期に、他の土地にはない景色や恵みをもたらしてくれる。Sleeping Bear Dunes National Lakeshore の広域な砂丘と、そこから眺めるミシガン湖の壮大な展望は、どの季節に行っても息を呑む美しさ。四季それぞれの美しさ、楽しみ方があり、北ミシガンの親しみやすさに溢れる土地柄だ。

 今月号では、そんな魅力溢れるトラバース・シティー(以後、TC:地元誌等でも、この名称)について、オールシーズンの観光と冬のアクティビティー情報をお届けする。

ダウンタウン周辺

 TCのダウンタウンは、小奇麗な落ち着きのある一画。レストラン&バー、ギフトショップなどが立ち並ぶ。特産チェリーの食材店、チェリーをモチーフにした小物店、ウォータースポーツ(特にヨット)を題材にした美術&絵画を扱うギャラリーが多いのも特徴。現在、ミシガン州を中心に15店舗展開中のパイ専門店『Grand Traverse Pie Company』の第一号店もここ。(525 West Front Street)

 街中にあるオペラハウスは、小さいながらも装飾が施され、往年の繁栄を実感できる豪華さ。公演の無い日に見学が可能なこともある。

 有名観光地でありながら、案内のサインは少なめ(そこが良さでもあるのだが)。そこで、地域の情報パンフレットや地図をダウンタウン近くのVisitor Centerで入手することをお薦する。(101 West Grandview Parkway, Traverse City )*10月中旬からメモリアルデーまでは日曜日閉館

 古くは一帯の林業を支える交易と出荷の地として町が出来、シカゴの大火事(1871年)の後、大半の木材がここから湖を渡って運ばれ、復興を可能にしたと言われる。その後、急激に人口が増えて繁栄し、巨額の富を築いた人々も数多くいたそうだ。ダウンタウン周辺には、当時の面影を残す重厚な造りの邸宅が現在も残っている。地元観光局の職員によれば、林業で興隆した土地とあって、内装にも材木が贅沢に使われ、趣向を凝らしている邸宅が多いそうだ。林業の衰退と共に人口が減った後も、それら邸宅は別荘や引退後の住居として人気が高い。ゴーストタウン化しなかったのは、この土地が観光地として成功した証だろう。時折、邸宅のオープンハウスツアーが組まれるという話なので、観光局のサイトなどで情報入手してみては?

再開発~ニュースポット

 ダウンタウンから車で数分のGrand Traverse Commonsは、ここ数年間に再開発された一画。なんと、大規模な精神病療養所の跡地。敷地は480エーカーと、ピンとこないほどの広さだ。療養所時代の敷地内には、食料の自給自足を目指して牧場や農場もあったそう。とんがり屋根がお城を思わせる元病棟は大修復が進み、半地下には洒落たレストランやお店、画廊が入り、現在は人気スポットになっている。ちなみに階上は分譲アパートメント(日本で言うマンション)。

 別棟の元ランドリービルディング(洗濯施設)は、ワイナリーに変身し、パブもある。ベーカリーや手作りチーズケーキの店もあり、レンガの窯で焼き上げたパンは住人にも観光客にも定評。しかし、未修復の建物も残り、その荒み具合をみると、いかに大きな再開発プロジェクトであるかが分かる。宿泊施設に変える計画もあるそうなので、今後の展開にも注目したい。
ウェブサイトhttp://www.thevillagetc.com/

ワイナリー

 近年、人気を博しているワイナリー巡り。10月はワイナリーの観光客で非常に賑わう。北西部一帯には何十というブドウ果樹園、ワイナリーが点在し、試飲、即売を提供する所も多い。特にダウンタウンの北東、トラバースベイを二分しているOld Mission Peninsulaは、縦22マイル、幅1マイル程の細長い半島ながら、7つものワイナリーを有し、ワイナリーの梯子に好都合。それぞれのワインに特徴があるのはもちろんのこと、建物や装飾にも個性がある。そのワイナリーの一つ、宿泊施設を伴う B&B Chateau Chantal(15900 Rue de Vin)では、グランドピアノによる生の演奏を聴きながら、美味しい料理とワインとブドウ畑の夕景色を堪能するという贅沢な時間(宿泊客に限定)が用意されている。展望も抜群。

 市の周辺には地ビール工房(Breweries)やウィスキー蒸留所(Distilleries)もあり、観光の楽しみとして注目されている。

 トラバース・ベイ沿いは、水辺に面したレストランが意外に少ない。そんな中、ダウンタウンからも近い、数少ないウォーターサイドのレストランが Apache Trout Grillだ。(ダウンタウンから北西に数マイル。)地元の人から、味も雰囲気も良いと評判の店だ。予約は受付けないので、オフシーズンの平日で待つ人がいるほど。特産の料理があるのも嬉しい。
住所:13671 S. West Bayshore Dr. Traverse City
ウェブサイトhttp://www.apachetroutgrill.com

Traverse Cityについて

詳細、その他の情報は地元観光局のサイトhttp://www.traversecity.com/ で。

Traverse City Convention & Visitors Bureau
住所:101 W. Grandview Parkway, Traverse City, Michigan 49684

小さい町ながら、各種コンサートや観劇、アートギャラリーや博物館も多数。また、周辺にはアメリカ先住民族が経営するカジノ&ホテルも数件ある。

グレート・スモーキーマウンテンの麓町で クリスマスギフトショッピングやホリデーを楽しむ

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  テネシー州とノースカロライナ州の境界にまたがるアパラチア山脈の一部にグレート・スモーキー・マウンテン国立公園(Great Smoky Mountains National Park)がある。面積2,110km²で、米国東部で最大級の保護地区。また、数多くの歴史的な施設も保存されており、世界遺産にも登録されている。日本での知名度・人気度は低いが、訪問者の数は国立公園の中でも屈指。ハイカーにも動物好きにも歴史好きにも楽しめる故であろう。

そのグレート・スモーキー山脈の山間(やまあい)の町Gatlinburg(ギャトリンバーグ)はその国立公園の玄関口として知られている。夏場は山間の秘境とは掛け離れた雰囲気で、ゲームセンターや少々俗っぽい土産物屋が並び、観光地によく見かけるギネス世界記録の館、さらには「こんなところに、何も・・・」と感じてしまう水族館まである。自然を満喫したくて国立公園に来たのにと、げんなりする人もいるだろう。レポーターもその一人。
しかし! ホリデーシーズン、とりわけクリスマス前からクリスマス休暇時期には、この町が良い具合にデコレーションされ、ホリデームードに溢れた可愛らしい表情を見せる。

ここはギフトショッピングにも適している。
この地域のMoonshine(ムーンシャイン)』という、かつての密造酒は有名。禁酒法が布かれた時代や酒税が非常に吊り上がった時代に、ムーンシャイナーと呼ばれる密造業者たちが暗躍した。人里離れた山奥や渓谷に隠れ、月明かりの下でひっそりと蒸溜した姿からきた命名で、彼らがつくる密造ウイスキーはムーンシャインと呼ばれた。ウエストバージニア、ケンタッキー、そしてアパラチア山脈を擁するテネシー南部がムーンシャインの拠点となった。現在、数件(数社)がこの周辺で製造。もちろん今は密造ではなく、堂々と最新蒸溜施設を備え、より洗練された質、オリジナルな香りや味を追求している。GatlinburgにはOle Smoky Barrelhouse、Sugarlands Distilling、Doc Collier Moonshineの3つの出店があり、テイスティング(有料)ができる。様々なフルーツ系のほか、アップルパイ味やシナモン味などなど、変わったものを楽しめる。他にも、地元ワインを試飲できる店もある。また、Gatlinburg出発の周辺テイスティングツアーも提供されている。

お酒の話が長くなったが、もちろん、そればかりではない。ハチミツ専門店では食用の試食の他、ハチミツ入り美容ケア製品(ハンドクリームやシャンプー、パックetc.)を試せたり、観光地定番のジャムやピクルスもあちらこちらのお店で試食できたり、日本のデパ地下や温泉観光地などほどではないが、試食や試飲を楽しむことができる。

個性的なギフトショップ、ギャラリーも点在。カントリー風な素朴な雰囲気の店が似つかわしい土地柄でもあり、趣向を凝らしている。バッファロー肉を出しているレストランもある。
近隣には、クリスマスビレッジや、ライトアップ、様々なショーを催している施設、そしてアウトレットもある。夏には遊び施設が増える。観光地化した部分と、大自然が背中合わせで、少し道を逸れれば田舎そのものの景色も楽しめる、ユニークな所なのである。

Fall Colours in Washington D.C. AreaワシントンDC方面の紅葉

<!--:en-->Fall Colours in Washington D.C. Area<!--:--><!--:ja-->ワシントンDC方面の紅葉<!--:--> 2

 先月号ではカナダの首都であるオタワを含めた紅葉の旅について紹介したが、今回はアメリカの首都ワシントンDCを含む東南部の紅葉について。住んでいる国の方が後回しになったが、紅葉シーズンはカナダのメープル街道方面より1ヶ月からそれ以上遅いので、色づく順序ということで納得いただきたい。いわずもがなであるが、地理条件、年によってピークの時期がかなりずれるので、ネットのブログ等で調べるか宿泊先に問い合わせてオンタイムの情報を入手することをお薦めする。(通常は10月下旬から11月下旬)

ワシントンDC

 ワシントンDC(Washington, District of Columbia)略してDCは言うまでもなくアメリカ合衆国の首都として知られ、春の桜の観光名所として名高いが、紅葉の時期もなかなかのもの。国会議事堂(US Capitol)の西側、ポトマック川沿いのリンカーン・メモリアルまでの一帯はモールと呼ばれ、その中心部にそびえるワシントン・モニュメントの高さ500フィートの観察デッキから、(タイミングが合えば)カラフルな秋色に染まった近隣の景観が一望できる。秋は夏休みに比べれば観光客が少なめ。とはいえワシントン・モニュメントは大人気スポットで、無料の整理券は朝早く並ばないと手に入らない。料金はかかるが、ネットか電話で事前に入手しておくのが確かだ。現在は一般公開をしていないホワイトハウス、そしてモールの両側に並ぶミュージアム群を始めとする公立及び私設の数々の文化・芸術の施設、米国連邦捜査局(FBI)などの政府機関、などなど、周辺には世界的に有名な施設が数々あるが、今回は各々の詳細は記載せず、紅葉のビューポイントに縛って書き進めさせていただく。ちなみに、滞在時間があまり無いDC初心者は見所を網羅して効率よく回る有料ツアーがお薦め。モール地区、そして川を渡りアーリントン墓地を継続的に循環する観光バス‘ツアーモービル・サービス’は乗り降り自由なので、見学したい所がハッキリしている人や、自分のペースで回りたい人に便利。セグウェイに乗って巡るツアーも人気だ。

 ポトマック川の両岸の秋の彩りも見もの。各種観光クルーズも出ているが、アレキサンドリアという町から出ている移動用の船からでも充分堪能できる。アレキサンドリアはオールド・タウンと呼ばれる古い町並みが残るこじんまりとした地域で、アートギャラリーや個性的なギフトショップも多く、ぶらり散策に向いている。レーガン空港からメトロレール(鉄道)で行くことが出来る。

 モールの北西、大学町で閑静な地区だったジョージタウンは、石畳の通りに古風な趣のある建物が多い。近年は、ウォータフロントと呼ばれる川沿いを中心に、高級ブランド店や洒落たレストラン、ブティック、そして騒々しいナイトクラブも混在する賑やかな一画になっている。遺産に指定されている石造りの旧運河沿いは情緒ある静かな空間で、憩いの散歩道として人気がある。特に紅葉(黄葉というのが妥当)した木々の色が水面に映る景観が美しい。また、繁華街の西端、ポトマック川に架かるキーブリッジ (Key Bridge)からの眺めも良く、足を伸ばす価値がある。

 ワシントンDCは、空港(特にレーガンワシントンナショナル空港)からモールやダウンタウンへのアクセスが容易な上、市内の公共交通網が発達しているので、市内周辺の観光に車は必要ない。デトロイトから飛行機で1時間ほど。1泊でもかなり充実した旅を組むことが出来る。

旅の途中、回り道で紅葉狩り

 日程に余裕がある方には、車やアムトラック(鉄道)での旅で、途中の紅葉も味わいながらの移動をお薦めしたい。ワシントンDCへのアムトラックの路線はシカゴからピッツバーグ、そしてDCの由緒あるユニオン駅に入る。車両は日本人にしてみると一時代前のスタイルといいたい代物だが、渓谷沿いのルートなど、ハイウェイでは見ることができない景色を満喫できる。ミシガンは通らないので、オハイオ州トレドなどに出る必要があるが、経験としても面白いだろう。

 紅葉の時期に車で行く場合は、回り道をしてアパラチアン山系の景観を少しでも多く目にしたいもの。ワシントンDCの西、シェナンドア国立公園やブルーリッジ・パークウェイは東部北アメリカ屈指の人気ドライブウェーと言われ、紅葉の美しさは定評がある。ブルー・リッジ山脈はアパラチアンの大山系の支脈で、ジョージア州からペンシルベニア州に続いている。

 シェナンドア国立公園の中、105マイル(約170キロ)にも及ぶ山脈の上の観光ドライブ・ハイウェイは「スカイライン・ドライブ」と呼ばれ、山道に不慣れなドライバーでも容易に走れる快適な道で、各所に設けられたView Pointから麓の村や牧場、そして遥か遠くまで続く山々のパノラマを楽しむことができる。遊歩道、キャンプ場も充実している。

 さらに南のノース・カロライナ州へ続くブルーリッジ・パーク・ウェイは全長469マイル(約750km!)も続いている。南端は以前(2011年11月号)弊紙で紹介したノースカロライナ州のアッシュビル(Asheville)の近くやグレートスモーキーマウンテン国立公園まで続いているので、全工程を1回で走破するにはあまりに規模が大きい。

 ‘ブルーリッジ’は、遠くから見た時にやや霞んで青く見える美しい姿からこの名が付いたと言われ、四季折々に見事な景色を訪問者に見せてくれる。手付かずの自然を保とうとしている公園内は植物の種類が豊富で、秋の彩りは赤、オレンジ、黄色、と錦絵のようにカラフル。自然からの掛買いのない贈り物だ。

 先月号ではカナダの首都であるオタワを含めた紅葉の旅について紹介したが、今回はアメリカの首都ワシントンDCを含む東南部の紅葉について。住んでいる国の方が後回しになったが、紅葉シーズンはカナダのメープル街道方面より1ヶ月からそれ以上遅いので、色づく順序ということで納得いただきたい。いわずもがなであるが、地理条件、年によってピークの時期がかなりずれるので、ネットのブログ等で調べるか宿泊先に問い合わせてオンタイムの情報を入手することをお薦めする。(通常は10月下旬から11月下旬)

ワシントンDC

 ワシントンDC(Washington, District of Columbia)略してDCは言うまでもなくアメリカ合衆国の首都として知られ、春の桜の観光名所として名高いが、紅葉の時期もなかなかのもの。国会議事堂(US Capitol)の西側、ポトマック川沿いのリンカーン・メモリアルまでの一帯はモールと呼ばれ、その中心部にそびえるワシントン・モニュメントの高さ500フィートの観察デッキから、(タイミングが合えば)カラフルな秋色に染まった近隣の景観が一望できる。秋は夏休みに比べれば観光客が少なめ。とはいえワシントン・モニュメントは大人気スポットで、無料の整理券は朝早く並ばないと手に入らない。料金はかかるが、ネットか電話で事前に入手しておくのが確かだ。現在は一般公開をしていないホワイトハウス、そしてモールの両側に並ぶミュージアム群を始めとする公立及び私設の数々の文化・芸術の施設、米国連邦捜査局(FBI)などの政府機関、などなど、周辺には世界的に有名な施設が数々あるが、今回は各々の詳細は記載せず、紅葉のビューポイントに縛って書き進めさせていただく。ちなみに、滞在時間があまり無いDC初心者は見所を網羅して効率よく回る有料ツアーがお薦め。モール地区、そして川を渡りアーリントン墓地を継続的に循環する観光バス‘ツアーモービル・サービス’は乗り降り自由なので、見学したい所がハッキリしている人や、自分のペースで回りたい人に便利。セグウェイに乗って巡るツアーも人気だ。

 ポトマック川の両岸の秋の彩りも見もの。各種観光クルーズも出ているが、アレキサンドリアという町から出ている移動用の船からでも充分堪能できる。アレキサンドリアはオールド・タウンと呼ばれる古い町並みが残るこじんまりとした地域で、アートギャラリーや個性的なギフトショップも多く、ぶらり散策に向いている。レーガン空港からメトロレール(鉄道)で行くことが出来る。

 モールの北西、大学町で閑静な地区だったジョージタウンは、石畳の通りに古風な趣のある建物が多い。近年は、ウォータフロントと呼ばれる川沿いを中心に、高級ブランド店や洒落たレストラン、ブティック、そして騒々しいナイトクラブも混在する賑やかな一画になっている。遺産に指定されている石造りの旧運河沿いは情緒ある静かな空間で、憩いの散歩道として人気がある。特に紅葉(黄葉というのが妥当)した木々の色が水面に映る景観が美しい。また、繁華街の西端、ポトマック川に架かるキーブリッジ (Key Bridge)からの眺めも良く、足を伸ばす価値がある。

 ワシントンDCは、空港(特にレーガンワシントンナショナル空港)からモールやダウンタウンへのアクセスが容易な上、市内の公共交通網が発達しているので、市内周辺の観光に車は必要ない。デトロイトから飛行機で1時間ほど。1泊でもかなり充実した旅を組むことが出来る。

旅の途中、回り道で紅葉狩り

 日程に余裕がある方には、車やアムトラック(鉄道)での旅で、途中の紅葉も味わいながらの移動をお薦めしたい。ワシントンDCへのアムトラックの路線はシカゴからピッツバーグ、そしてDCの由緒あるユニオン駅に入る。車両は日本人にしてみると一時代前のスタイルといいたい代物だが、渓谷沿いのルートなど、ハイウェイでは見ることができない景色を満喫できる。ミシガンは通らないので、オハイオ州トレドなどに出る必要があるが、経験としても面白いだろう。

 紅葉の時期に車で行く場合は、回り道をしてアパラチアン山系の景観を少しでも多く目にしたいもの。ワシントンDCの西、シェナンドア国立公園やブルーリッジ・パークウェイは東部北アメリカ屈指の人気ドライブウェーと言われ、紅葉の美しさは定評がある。ブルー・リッジ山脈はアパラチアンの大山系の支脈で、ジョージア州からペンシルベニア州に続いている。

 シェナンドア国立公園の中、105マイル(約170キロ)にも及ぶ山脈の上の観光ドライブ・ハイウェイは「スカイライン・ドライブ」と呼ばれ、山道に不慣れなドライバーでも容易に走れる快適な道で、各所に設けられたView Pointから麓の村や牧場、そして遥か遠くまで続く山々のパノラマを楽しむことができる。遊歩道、キャンプ場も充実している。

 さらに南のノース・カロライナ州へ続くブルーリッジ・パーク・ウェイは全長469マイル(約750km!)も続いている。南端は以前(2011年11月号)弊紙で紹介したノースカロライナ州のアッシュビル(Asheville)の近くやグレートスモーキーマウンテン国立公園まで続いているので、全工程を1回で走破するにはあまりに規模が大きい。

 ‘ブルーリッジ’は、遠くから見た時にやや霞んで青く見える美しい姿からこの名が付いたと言われ、四季折々に見事な景色を訪問者に見せてくれる。手付かずの自然を保とうとしている公園内は植物の種類が豊富で、秋の彩りは赤、オレンジ、黄色、と錦絵のようにカラフル。自然からの掛買いのない贈り物だ。

Granite City Food & Brewery – Detroit, MI

Granite City Food & Brewery - Detroit, MI 2

DSCN3751デトロイト再興のシンボル Ren Cenと「ビジネスの交差点」のブリューワリー

文&写真 by ヤマトノオロチ

ミシガン州に住んでいると手続きなどでデトロイト・ダウンタウンの日本国総領事館をおとづれたことがある人が多いだろう。総領事館はルネサンス・センターにある。このデトロイトリバー沿いにそびえるゼネラル・モーターズのヘッドクォーターのビルが公式にオープニングセレモニーを行ってから今年の4月15日で40周年になる。今世紀に入ってからのリノベーションで作られた吹き抜けのWinter Gardenから見るデトロイト・リバー越しのカナダ、ガラス張りの回廊に感動した人も多いはず。リバー沿いにのびるウォーターフロントのプロムナードと夏の噴水で戯れる家族連れでもにぎわうRen Cen(ルネサンス・センター)はデトロイトの再興の希望のシンボルとなっている。今回はRen Cenにあるブリューワリーを紹介する。
DSCN3730総領事館と同じタワー100の1階にGranite Cityがオープンしたのは昨年2016年2月。実はTroyに1号店、Northvilleに2号店が既にオープンしており、ここは3号店目になる。ミシガン州にはクラフトビールが250件ほどあり、ミシガンが地元の人が経営や醸造を行っている。このGranite Cityも独自のビールを作っているブリューワリーだが、チェーン店形式。名前が示すとおりGranite Cityとはミネソタ州のSt. Cloudの別名。1880年代にはグラナイト(大理石)の切り出しで栄華を極めた。その労働者ののどを潤すためにビールは欠かせなかった。ブリューワリーGranite Cityは1999年に会社が設立され、14州に36店を展開する一大チェーン。どのチェーン店も輸送された独自の麦芽汁を使い、各地ごとに醸造するというユニークな製法をとっている。

DSCN3742Ren Cenのブリューワリーは場所柄を反映して「ビジネスの交差点」の印象が強い。バーのカウンターで好きなビール4種類を組み合わせてフライト(サンプラー、$4.99)も楽しむことができる。この日は、ちょうど隣りに居合わせた人とも会話が弾んだ。プライベートジェットのパイロット、商談でRen Cen内のホテルにとまっている人など、経済の繁栄と衰退の波にもまれながらもこのダウンタウンのシンボル的タワーがビジネスの中心地であることをよく示している。ブリューワリーを訪れるときはもっぱらそこの特徴的なブリューを楽しむことが多いが、ここではビールは、立ち変わり次のビジネスの場所へと移動する人たちの交差点での潤滑油、というサブ的な働きをしているように思えた。16,000SqFt.のレストラン内はバーのカウンター席の数は少なく、ブースも多くは4人席だ。

マイルドでシンプルさが好みならThe Northern (Lager)。やはりホップの風味を楽しみたいのならBatch 1000 (Double IPA)だが、ビールが出されてから時間が経つと甘さが増してしまったので要注意。The Bennie (German Bock)は色も味も重厚でチョコレートの風味がする。

DSCN3743食事のメニューは、サンドイッチ、フラットブレッド、パスタなど、もちろん豊富。レタスがいっぱいに敷かれたプレートにシーザーサラダのプラスとしてグリル・サーモンがあったのが目を引いた。また、Ponzu Salmonというメインの一皿もあり、おもしろそう。

用事でしかこのRen Cen界隈を訪れないかもしれないが、新たな発見と楽しみが持てそうなエリアだ。

RencenGranite City Food & Brewery

100 Renaissance Ctr., Suite 1101, 

Detroit, MI 48243

http://www.gcfb.com/

 

明治に海外開拓民の指導援助目的に発足し、海外移住に寄与した「日本力行会」 現在 国際交流と海外留学生支援を推進

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明治に海外開拓民の指導援助目的に発足し、海外移住に寄与した「日本力行会」 現在 国際交流と海外留学生支援を推進 1

パート①:明治に海外開拓民の指導援助目的に発足し、海外移住に寄与した「日本力行会」 現在 国際交流と海外留学生支援を推進
http://www.japannewsclub.com/2016/08/明治に海外開拓民の指導援助目的に発足し、海外/

パート②:明治に海外開拓民の指導援助のために発足した「日本力行会」 現在は国際交流と海外留学生支援を推進 ~その2 施設:力行会館・幼稚園
http://www.japannewsclub.com/2016/09/明治に海外開拓民の指導援助のために発足した「/

IMG_4794海外子女のパイオニアたち

日本力行会とは、1897年(明治30年)キリスト教の牧師・島貫兵太夫牧師が創立した苦学生支援組織「東京労働会」から発展し、2016年で118周年となる。明治時代、海外への移住をサポートする機関が少なかったため、海外への発展を重要視した教育施設を多数創立。そして、労働力に不足しているアメリカやカナダに貧しい青年たちを送り、互いに協力できる環境を築いた。北米・中南米・東南アジア・旧満州などへ約3万人の移住者を送り出している。日本でも外国人が共存するための国際交流と留学生支援を推進する活動を行っている。(キリスト教会からは理解されにくかったらしく、独立した教派となったそう。)

今となって世界に多くの移住者を送り出してきた日本力行会であるが、当初、海外への移住者は現代とは比べようもないほど少なかった。日本初の集団での海外移民は1868年。グアム島、ハワイ、カリフォルニアに200人以上が移住。明治20年代にカナダ、オーストラリア、フィジーなどに増え、明治30年代にはメキシコ、ペルー、フィリピンへと日本人の移住先が拡大した。こういった歴史があったからこそ、現在、世界各地で日本人が活躍できる状況となっていると言えるだろう。力行会の組織としては、1909年にサンフランシスコ力行クラブ・バンクーバー支部結成し、翌年には全世界で力行会会員が6000人を超える程の規模になった。現在も活動を続けている。

IMG_8086力行会とブラジル

この夏、リオ五輪で注目のブラジルだが、日本人コミュニティーが世界で最も大きいことで有名なサンパウロ州がある。ブラジルと日本の関係は深いことは知られているが、意外にも、ブラジルへの集団的な移民は1908年まで開始されなかった。1888年に奴隷が解放され、労働力確保のため1892年に日本人を含む移民の受け入れが許可された。そこからようやく集団でのブラジル移民計画が立てられ始めたが、日本での多くの計画は様々な事情により中止に終わることがあったという。

そんな中、1920年に日本力行会二代目会長に就任した永田稠氏が初の南米一巡を達成。1917年に結成された力行会ブラジル支部に移住者の送り出しが強化されされ、1924年にアリアンサ移住地施設(サンパウロ市から西北へ600キロ)が正式に開設された。しかし、公式には永田氏が別に設立した長野県民を海外移住を促進する信濃海外協会の移住地と名されていたため、力行会としては資料に名前が残っていないのだそうである。

その後、ブラジル日系社会は拡大し、第二次世界大戦後には日系子弟の教育問題を支援しようとアルモニア学生寮をサンパウロ州サンベルナルド・ド・カンポ市に建設。1949年に力行会はその学生寮を財団法人サンパウロ学生会に寄贈した。

ちなみに、アリアンサは移住地が開設されるまではほとんど無人地帯であったが、次第に人口が増大し、最盛期には日本人移住者だけで一千世帯五千人の大移住地となった。そして隣接地にミランドポリス市が出現し、人口は増大の一途をたどったが、戦後はブラジル経済の成長とともに、日本人移住者が大都市へ移動したため、国策大移住地は消滅した。アリアンサ移住地は現在も日系移住地らしい雰囲気を残しているという。

ブラジル日系社会には力行会の出身者が多く、サンパウロ州にある有名なニシムラ農学校は日本力行会員の西村俊治氏が設立した。力行会に貢献した著名人も多く、ボーイスカウト日本連盟総長の渡辺昭氏はサンパウロ州の土地を購入し、力行会の南米農業練習所「渡辺農場」を設立。日本銀行券の五千円札の肖像として知られる新渡戸稲造氏も日本力行会顧問として支援していた。

来年2017年には力行会ブラジル支部の初代支部長が任命されてから100周年を迎える。

参考・関連サイト

「ブラジル移民の100年」ウェブサイト

http://www.ndl.go.jp/brasil/

「ありあんさ通信」サンパウロ移住地の歴史便り

www.gendaiza.org/aliansa/lib/index.html

「日本力行会」ウェブサイト

http://rikkokai.or.jp

*お問い合わせは直接電話を入れることをお薦めします。

☆次号では、日本力行会が運営している、留学生の宿泊施設であり一般の人も短期宿泊が可能な「力行会館」(東京都)と、隣接の「りっこう幼稚園」について紹介します。

フレデリックマイヤーガーデンズ&彫刻公園 ー 日本庭園で茶の湯 ー

『 Back-to-School … for Parents! 』学校生活についてのセミナー 1

IMG_3778ギャラリーで日本の陶芸の特別展

グランドラピッズ市にあるフレデリックマイヤーガーデンズ&彫刻公園(以下マイヤーガーデンズと略称)に、今年6月開園した日本庭園 『The Richard & Helen DeVos Japanese Garden』については、弊紙7月号で紹介したが、去る9月20日、その庭園内の茶室『晧月庵』にて茶の湯の実演が催された。この実演はマイヤーガーデンズ会員を対象にした特別企画で、日本庭園の着工以前より強い繋がりを保ってきた在デトロイト総領事館の手配により、JSDウィメンズグラブの茶道熟練者が点前を披露し、総領事館の文化担当職員が解説を務めて行われた。

DSC_5737 茶室『晧月庵』は日本庭園の池に臨み、広い窓からの見事な景色に恵まれた立地に凛と佇んでいる。天井の“網代張り”という編みや、木肌を残した柱などが古来から日本人が愛してきた自然美を伝えている。内装外装ともに日本の職人が造り上げた本格的なもので、千利休の作として伝えられる国宝『待庵』と同じ二畳台目小間という造り。素人からすると、小ぶり=大したことがないと判断しがちであるが、四畳半の間取りやさらに大きな広間より格が高く、茶人にとって理想とする究極の茶室であるとのこと。

IMG_3765 前述の造りに関する知識を教授くださった香羅師範は「このように立派な茶室が造られ、また、お点前で、優れた作品(茶碗)に手で触り美を感じることができ、すばらしいことです。」と話す。この日、実演の点前に使われただけでなく、参加者に振る舞う際にも使われた10数個の茶碗はマイヤーズガーデンズ所有のもので、ミシガン州と姉妹県州を結んでいる滋賀県を代表する信楽焼きの銘品が揃っており、“美術館に展示されるレベルのもの”との話。

DSC_5785 実演では、茶の湯は単なるティーパーティーではなく、人生を通して自らを極める‘道’であること、この1回の茶会のために客人や季節に相応しいテーマを決め、茶碗などの道具や掛け軸、花、菓子を厳選しており、それらに関する知識も茶人には必要であることなど、形式や動きの解説に留まらない説明が届けられた。「既に洗ってある茶碗や茶器を布(袱紗)で拭くのは、細心の扱いをしていると示すため」「亭主は茶碗の最も美しい正面を客に向け、客は正面に口をつけない」など、一つ一つの所作に配慮があることも伝えられた。

IMG_3766 参加者は「大変興味深かった」「香りが良い」「動作が優雅で美しい」「心が落ち着く時間をもつ良さを感じた」など感想を寄せた。

残念ながら、この茶室、通常は外観を見ることしかできず、内部見学の機会は(現時点では)月1回のペースで設定している“Inside the Japanese Teahouse”イベント日に限られる(2015年秋現在)。冬場は閉鎖するため、年内は10月25日(1時から5時)を残すのみ。追加料金はかからず、予約不要の先着順とのこと。

IMG_3764マイヤーガーデンズ Frederik Meijer Gardens & Sculpture Park

年間に55万人が訪れるというミシガン州屈指の観光施設でもあるマイヤーガーデンズは132エーカーというイメージし難いほどの広さと規模を誇る。広大な敷地内には、イングリッシュガーデン、チルドレンガーデン、樹林地、そして熱帯植物の温室もある。最もユニークなのは、彫刻公園エリアを中心に著名なアーティストによる彫刻が点在していること。

8.5エーカー(約1万坪)を占める日本庭園にも10以上の彫刻が、景観に融合して、あるいは日本庭園に独特のインパクトを与えて鎮座している。同園では、ガーデニングや植物、芸術に関する講演やワークショップ、野外ステージを利用したイベントなど、多彩な催しを提供している。

IMG_3771 メインビルティングにはギャラリーがあり、作品を入れ替えて展示をしている。  現在(9月中旬から2016年1月3日まで)『Japanese Ceramics Now-Tradition and Innovation:日本陶芸の今-伝統と革新』と題する特別展が『滋賀県立陶芸の森』との共同企画により開催されている。日本人による285点の応募から、日米の審査員が選考した25点を展示。これらの作品はGrand Rapids市の恒例イベントとなったアートコンテスト‟ArtPrize”のエントリーもしており、『日本陶芸の今』展(公募コンテスト)とは違った評価がでることが期待される。

茶の湯実演の日、『日本陶芸の今』展のオープニング式典に合わせて渡米中の作家、久保田厚子氏に遭遇し、話を伺う機会を得た。陶芸家であり岡山県立大学教授である久保田氏は、最も活動的な陶芸家の一人。今回の出展作品は『幾何学文様の青白磁大皿:Pale-blue Glazed Geometric Patterned Platter』で、その文様はは正方形を二つ回転させて重ねたパターンが連続する構造。青白磁は、白い石を原料とした磁器土から作られ、素焼した器に、焼くと青味のでる鉄分をふくんだ釉薬をかけて焼いた作品のことだが、絵柄のように見えるブルーの濃淡は、彩色ではなく凹凸によるもので、削りの深い部分に釉薬(液)がより多く溜まるために濃くなるのだそうだ。考えだしたデザインを紙にデッサンすることは容易だが、青白磁に燃成するのは非常に困難だという。デザイン発想に関して、「日本の学生は自分のアイデアやデザインを開発することが困難。そういう教育を受けてきていない」「観察が創造力の重要なステップ」と話す。

KUBOTA_140718_C-S 久保田教授は渡米中に、西ミシガン大学(Kalamazoo)そしてミシガン大学(Ann Arbor)日本研究センター主催のアートセミナーで講師を務め、「あるがままにものを見る」「創造力の扉を開ける」ことについて教示した。デザインを創造するための指南であるが、そっくり描くことによって右脳が刺激されるそうで、絵画に限らずクリエイティブな発想に繋がるとのこと。試す価値がありそうである。

デトロイト動物園のイルミネーション Wild Lights

デトロイト動物園のイルミネーション Wild Lights 4

IMG_4046 デトロイト動物園のホリデーシーズン特別イベント。500万以上のLEDライトが、木々や建物、そしてワイヤーで作られた100以上の動物や蝶が電光で輝く。数メートルあろうかというレインディアも!

白を基調にしたエリア、虹や蝶でカラフルなエリア、そして音楽に合わせて絵柄や形が動く飾りが並ぶエリアもある。

IMG_4092日本の徹底的なイルミネーションに比べてしまうと、豪華とは言い難いが、イルミネーションを見ながら、自然豊かな夜の動物園を散策する楽しさがある。

但し、動物園全域ではなく、入り口から途中(ポーラーベア・エリアの手前)までで、奥の方は閉鎖している。動物は、室内のものも全く見学できない。

このイベント、ライトアップだけではない。Wild Lights イベント中、Wild Adventure Zoneビルティング内で、クリスマス物の人気映画「ポーラー・エクスプレス」を元にした“The Polar Express 4-D Experience” (14分)を上映。シミュレーションライド Ice Age:Dawn of the Dinosaurs-the Rideのミニ・アトラクションもある。(どちらも追加料金)

IMG_40792階では、“Wildlife Photographer of the Year”という、 The Natural History Museum主催の、自然をテーマにした写真コンテストの2015年の受賞100作品を展示している。世界中42,445の応募から選ばれた秀作は一見の価値あり。これは2016年6月1日まで展示。

更に今年は、Polar Plungeという、 高さ22フィート、長さ150フィートの滑り台をチューブに乗って滑降するアトラクションも初登場。シンプルながら絶叫が起きるほどのスリル。

(1回 $3、乗り放題$12 *年齢や身長の制限がある。)

特設テント内ではサンタクロースとの写真撮影(有料)やクラフト遊びなどを提供。

ところどころに焚火があり、キャンプの定番“スモア”というマシュマロローストを楽しむこともでき、ココアやクッキーなどの売店もあり、ホリデー気分を味わえるイベントである。

出入り口の横の売店には、動物にまつわるグッズや本が並び、オリジナルのポーラーベアのぬいぐるみを始め、他では見かけない飾り物、クリスマスオーナメントも扱っている。

IMG_4072Wild Lightsは5:30 から 9 p.m.

11月中旬から12月末の週末とホリデーのみ(12/25を除く)の開催。

12月の開催日: 12/ 4-6, 11-13, 18-23, 26-31

入場料は、前売り$9 •当日 $11 2才以下は無料  (駐車料金別)

オンラインでの前売りチケットが売り切れていても、当日、ゲートでの購入が可能。但し長い列を覚悟する必要がある。前売り券を持っていても、開園から1時間程はパーキングにも入園にも時間がかかる。動物園側も、遅い来場を勧めている。

Detroit Zoological Society | 8450 W. 10 Mile Rd, Royal Oak, MI 4806

http://detroitzoo.org/

明治に海外開拓民の指導援助のために発足した「日本力行会」 現在は国際交流と海外留学生支援を推進 ~その2 施設:力行会館・幼稚園

明治に海外開拓民の指導援助のために発足した「日本力行会」 現在は国際交流と海外留学生支援を推進 ~その2 施設:力行会館・幼稚園 2

パート①:明治に海外開拓民の指導援助目的に発足し、海外移住に寄与した「日本力行会」 現在 国際交流と海外留学生支援を推進
パート②:明治に海外開拓民の指導援助のために発足した「日本力行会」 現在は国際交流と海外留学生支援を推進 ~その2 施設:力行会館・幼稚園

先月号に掲載した、海外移住に寄与してきた日本力行会についての続編。今回は会が運営維持する施設、「力行会館」と隣接の「りっこう幼稚園」について紹介。

img_8086【日本に行きたい留学生にとって】

東京都内(練馬区)にある留学生会館

img_8105「力行会館」は“世界と日本の架け橋となる人材育成” “海外同胞との連帯強化”などを趣旨とした事業の一環としての施設で、1987年に開設された。その核となる「学生寮」では日本人学生や海外からの留学生が共に交流しながら生活する場として約120人の学生が宿舎として利用できるようなっている。現在までに三千人以上が巣立ち、世界各地で活躍しているという。

img_8084宿舎は男女の施設に分かれていて、共同スペースにはキッチン、自販機など完備。各フロアには勉強スペースも設けてある。

トイレは共同。寮の各部屋にはベッドと机、棚が用意され、外に出られるベランダもある。

地理的には区立図書館や交番が隣接していて、とても安心感のある環境。地下鉄駅から徒歩5分、私鉄駅から徒歩8分という便利さで、散策先としては池袋が近く人気スポットだという。
館費は2016年7月時点で月々47,000円(入館料・預かり金・実費含まず)。

18歳以上の学生なら最低6ヶ月から利用することができる。

img_8116img_8104【国際交流がしたい日本人にとって】

「力行会館」には一般の人でも宿泊できるゲストルームも用意されている。力行会の会員に限らず、日本へ里帰りの人や、留学生、留学生の家族が利用できる。寮とは違い、部屋はホテルと変わらないようなプライベートの構えとなっている。女子寮の一階に複数部屋あり、共同スペースが近い位置にあるため、短期間でも国際交流ができることも魅力的である。

img_8092宿泊料は、ゲストルームの場合、シングルルームは一泊4000円、ツインルームは8000円。(2016年7月現在)

実際に宿泊したが、ポットやお茶も用意され、快適であった。

img_8125【りっこう幼稚園】

1946年に創立された「りっこう幼稚園」は2016年に改築。4月より新校舎で開校。

7月時点にも校庭の工事が続けられているほど真新しい施設となっている。校舎の構造は村上悦栄理事長拘りの造りとなっており、廊下や階段などは木材を多用し、高級感に溢れる空間となっている。キリスト教に基づく教育を行っており、校舎内には礼拝堂もある。年長児は講師による歌やリズム遊びを中心とした英語遊びを保育の中で取り入れている。海外からの体験入園児を受け入れたり、ブラジルからの研修生との交流、また行事での力行会留学生との交流など、他国の文化に触れる機会を大切にしている。

img_8128
事務局長は「幼稚園児が外国人と日常的に触れ合える環境がある日本で唯一の教育機関」と語り、理事長は「今後も育児教育や少子化対策に向けた取り組みとして進めていく」とのこと。

img_8129「日本力行会」は2014年に東京都より学校法人の認可を得た。認可について、「国際人養成が必要という時流から、その点が高く評価されたのでは」と見ている。
国際交流に尽力しており、例年11月に行われる『りっこう祭』では留学生が自国の料理やお菓子を作って販売するなど、地域にも交流の場を提供している。

〈記事参考サイト〉

「日本力行会が学校法人に。東京都から2014年12月に認可」

http://megabrasil.jp/20150121_17699/

img_8133学校法人 日本力行会

〒176-0004 東京都練馬区小竹町2-43-12

TEL 03-3972-1151  FAX 03-3972-1264

・東京メトロ 有楽町線・副都心線:小竹向原駅下車2番出口 徒歩5分

・西武池袋線:江古田駅北口下車 徒歩8分

武蔵野音大、日大芸術学部、武蔵大学なども近い、緑も多い住宅地に位置している。

【「日本力行会」ウェブサイト】http://rikkokai.or.jp(日本語、英語、ボルトがル語)

*お問い合わせは直接電話を入れることをお勧めします。

【学生寮・ゲストルーム「力行会館」ページ】http://rikkokai.or.jp/?page_id=4351

【「りっこう幼稚園」ウェブサイト】http://www.rikkoyouchien.com

ASCENSION Brewing Company – Novi, Michigan

ASCENSION Brewing Company - Novi, Michigan 1

100_1863オープニングのハプニング

NoviにできたAscension Brewing Companyは今年7月のオープンで1週間でビールが売り切れ一時休業した“伝説”を作った。BrewチームのJoeyは「ビールを楽しんでもらえる、誰からも愛される場所を作りたい」と言う。

ミシガン州のブリューワリー産業の成長にもかかわらず、人口約57,000人のNovi市には10年ほど前にLocal Color Breweryが閉店してからは次に続く店がなかった。Ascension B.C.はクラフトビールのファンにとっては待望の店。本紙では以前、近隣のブリューワリー(サウスライオンのWitch’s Hat, ファーミントンのFarmington B.C., ノースビルのNorth Center B.C.)を紹介した。それらとの違いは何、とJoeyに単刀直入に聞いてみた。

DSCN0011「ビールのバラエティーとキッチンの充実」

「3人のチーフシェフがいて、ヘルシーな料理。ほかのところ(上記)にはキッチンがなくお客さんの料理の持ち込みはOKだけれど、うちは新鮮な料理で立ち寄って楽しんでもらいやすいプライス。もちろん他とは友好な関係を作っているよ」。メニューはアペタイザー、サラダ、スープ、ピザ、サンドイッチと店の奥行き以上にディッシュが充実。キッズ向けのメニューもある。

気になるビールのラインナップだが、「今日は16種類が出ている」バラエティーの豊かさ。ミシガン産のモルツとホップだけを使ったH.O.M.E.S.(IPA, ABV. 7%)はスムーズ。おもしろいところでは、ココナッツとアーモンドの風味を生かしたPorterの15 Mile Porter (ABV. 4.8%)は濃厚で楽しめる。

DSCN0017ユニークな“Crowler”

通常、クラフトビールは、お店でタップから注がれるのを楽しむ、缶入りをブリューワリーやスーパーで購入する、または各ブリューワリーでGrowler(0.5ガロン入りの各店のロゴの入ったビン。リフィルが可能。)入りを買う、が主流。Ascensionでは“Crowler”(1クオート、約946ml.)が購入できる。目の前でタップからビールを特製のアルミ缶に入れ専用の機械で密封する。「大手のビール会社のカンは大量生産システム。Growlerに入れられたビールは72時間が命といわれるけど、Crowlerでは光は遮断され3週間は保存できる」という。もともとはコロラド州のOskar Bluesが始めたという。家呑みしたい人、レクレーションの場で楽しみたい人にはカンのデポジットはないので試してみてはいかが(価格は各ビールの2倍)。

DSCN0013すこし愚問かもしれないけれど、Noviという場所柄日系コミュニティーへのアピールする点を聞いてみた。「日本人はクラフトビール好き。10月に出すBlond Aleには柚を使っているよ」。甘みのあるシトラスの味わい、を炭酸注入前のまさに醸造したままをサンプルさせていただいた(Abv 5-6%)。Ninjya BBQサンドイッチでキムチの味を生かしたのもさりげないアピールかも。

カントリーな外観。

10月10日(土)には駐車場に特設テントを張り、秋のイベントを行う。Pig Roast、スペシャルのビールのリリース、ゲームなどを予定。

Ascension B.C.はMarket Placeからすぐ。

【住所】42000 Grand River Ave., Novi, MI 48375

【ウェブサイト】http://ascension.beer/

Arbor Brewing Company Microbrewery – Ann Arbor, MI

Arbor Brewing Company Microbrewery - Ann Arbor, MI 5

DSCN1044Arbor Brewing Company(ABC)はミシガン州のブリューワリーの萌芽期(1990年代)Ann Arborのダウンタウンにできた。長くYpsilantiに住んでいたオーナーは、ボトリングを含めた一般市場への拡張を目指してEastern Michigan Universityのキャンパスからすぐのdepo townに2006年にフルキッチンをもつマイクロブリューワリー(Corner of Arbor Brewing Company)を建てた。バックヤードには200席のビアガーデンがあり、ここで歓迎会や結婚式などのイベントを行う人もいるそうだ。

DSCN1008ほかのブリューワリーと大きく違うのが自ら西海岸以東で初めての“solar brewery”と呼んでいること。ブリューワリーを支えるシステムはGreen brewery project。これはかつてのミシガン大学の学生が、修士論文のための研究を実際のミシガン州のブリューワリーにビジネスとして発展させたものだ。飲み物の品質だけではなく、ブリューワリー産業が太陽エネルギーと水の持続可能な有効可能利用を目的としたシステム。Arbor Brewing Companyはこのプロジェクトの代表例だ。

DSCN1033ABCでは144枚のソーラーパネルで太陽熱を電気に変えている。チューブの中のお湯の温度は常に55-100Fに保たれている。ブリューレストランの窓にはすべて熱遮断材が使われており、ライトもすべてLED。ここYpsilantiに拡張した際の100万ドルの投資費用は10年で返済のめどが立っており、「エネルギーの節約とコストの節約両方にもなっている」とマネージャーのBrian氏は語っていた。

ブリューワリーを訪れた日はあいにくの雨だったが、快くビアガーデンの後方にそびえる別棟の「ドーム」のツアーに連れて行ってくれた。ビールの製造、ボトリングを行っているためドーム内の温度は低めに調整されていた。内壁は熱遮断材で覆われ、バーボンの樽にビールを寝かせて作るAged beerの樽が天井まで積み上げられていた。4月にデトロイトタイガースのオープニングデーにリリースするStrawberry Blondeが瓶詰めの台に並んでいた。

DSCN1024DSCN1015季節限定だが、Sour Belgian(酸味の利いたベルギースタイルのビール)も、このブリューワリーの特徴の一つ。シトラスの風味を生み出すイーストとラクトースを使って、独特の黒い深みのあるビールを作る。

キッチンで使う食材は地元のものが主だが、裏庭で育てた野菜も用いており、ブリューワリー全体のコンセプト(Symbiosis)が貫かれている。

ゆったりと広いレストランには大学関係者、日系企業の人も訪れるという。サンドイッチ、ピザ、キッズメニューがある。ギロ、ガーリック味の豆腐をはさんだホギーサンドイッチはユニーク。

Arbor Brewing Company Microbrewery

720 Norris Street, Ypsilanti, Michigan 48198

T: 734-480-BREW

ウェブサイト:http://www.arborbrewing.com

 

Maple Route ~ From Michigan To Canadaメープル街道 紅葉の旅 ~ミシガンから車や汽車で

<!--:en-->Maple Route ~ From Michigan To Canada<!--:--><!--:ja-->メープル街道 紅葉の旅 ~ミシガンから車や汽車で<!--:--> 7

 日本からのツアーも組まれている人気のルート

  ナイアガラからトロント、キングストン、オタワ、そしてセントローレンス川をさかのぼりモントリオール、ケベックシティへ。この、カナダのオンタリオ州からケベック州にかけて続くラインはメープル街道と称され、紅葉の季節は特に景観が美しく、観光スポットとして人気が高い。ドイルのロマンティック街道同様、日本人がつけた呼び名と言われ、現地ではヘリテージハイウェイ(歴史遺産の道)と呼ばれており、フランスとイギリスによる入植と開拓の足跡が残されたルートで、歴史散策として楽しむこともできる。特定の道路を指定しているものではない。

 冬の雪景色やスノースポーツ、初夏の新緑、真夏の避暑、と、四季折々の魅力があるが、今回は秋に向けて、紅葉で名高い所と合わせて訪れたい見所の多い観光地を紹介したい。観光ブック等には、紅葉は9月下旬から10月上旬がベストシーズンと記されているが、観光案内所の職員の話では、近年は時期が遅いということだ。

オタワ

 オタワはフランス語圏とイギリス語圏の栄えに位置し、1857年にイギリスのビクトリア女王がカナダの首都と定めた都市。世界有数の美しい首都圏と言われている。代表観光スポットは何と言っても国会議事堂、そして、その一帯‘パーラメントヒル’と呼ばれる周辺。世界遺産に登録されているリドー運河の基点もそのすぐ横にある。丘の上から一望するオタワ川や対岸の広々とした景色はどの季節も美しいが、紅葉の時期はまさに絶景。国会議事堂内のガイドツアーは整理チケットを発行している時期もあるので、ぜひとも見学したい人は充分時間をとって予定を組むことをお薦めする。ネオゴシック様式の建物の外観だけでも見応えがある。

 リドー運河の東の一画にあるバイワードマーケット(Byward Market)は、野外と場内に花や野菜、工芸品、雑貨など様々な店が並び、人気の観光スポットにもなっている。日本語の掲示をつけている店も少なくなく、日本人ツアー客が多く訪れることが窺われる。逆に言えば、日本人好みの場所だと言えそうだ。秋の収穫期には果物やパンプキンが彩り豊かに並び、目にも楽しい。

 ミシガンとオンタリオの国境から車で10時間ほど。早朝に発てば、夕方には着ける距離だ。オタワの観光要所は集中していて市内バス路線が充実しているので、運転から解放されたい人やチャレンジ好きな人はトロント/オタワ間をバス(グレイハウンド)や鉄道(VIA)で移動するのも一案。オタワ郊外の紅葉も定評がある。

ロレンシャン高原/モン・トレンブラント

  日本やアジアからの紅葉ツアーのハイライトになっているのがこの一帯。観光の中心地となっているモン・トレンブラントはスキーリゾートとしても有名で、ゴンドラで一気に上ることができる山の上からの大パノラマは雄大。ゲレンデの裾に並ぶロッジやお店はヨーロピアン・スキーリゾートを模して作ってあり、この雰囲気も観光客を惹き付けている要因。とはいえ、モン・トレンブラント自体は高い山ではなく、遥かかなたまで見渡せるほど、周囲にも高い山はなく、どちらかと言えば平たい地形。広々としたスケールや周辺の豊かな自然を楽しむ場所と認識していくのが正解と言えそうだ。スキーゲレンデを利用したゴーカート下りのアクティビティーは大人にも人気。旧市街や湖など散策場所が多く、オタワからの道のりも紅葉が美しい。ちなみに、昨年の紅葉は9月末に山頂付近が色づき10月10日前後に麓でピークを迎えた。

 モン・トレンブラントへは、モントリオールからの日帰りバスツアーもある。ドライブして行く場合は、ここケベック州の公用語はフランス語で、道路標識もフランス語なのでご留意を。経験上、モントリオール市内やモン・トレンブラントの観光施設やレストランでは大方英語が通じるようだ。

キングストン/サウザンドアイランズ

   オンタリオ湖から流れ出すセントローレンス川の始点に位置し、古くから軍事、水上交通の要所として栄えてきた。最初の首都が置かれた土地で、別名ライムストーン・シティと呼ばれ、市の中心地区には乳白色や薄いグレーの石灰石の風格のある建物が並ぶ。秋には色づいた木々が街並みに鮮やかなアクセントを加える。ドーム型の屋根が特徴の市庁舎は、かつて連合カナダの国会議事堂として建てられたものだけあり威風堂々としていて気品も感じられる。

 キングストンからセントローレンス川を下った流域一帯には1000以上の大小の島々が点在する「サウザンド・アイランズ」国立公園がある。川岸や島の木々の色が水面に反射するので紅葉が格別美しく目に映る。これらの島々を巡るクルーズは観光アトラクションとして人気が高い。川沿いのドライブウェーからでもそれなりに堪能できる。小島に建てられた家も一興。日本からのツアーではキングストンが組み込まれることは少なく、立ち寄っても長いはしない所だが、のんびり滞在して歴史や自然に親しみたい一帯だ。

☆ ☆ ☆

 日程に余裕のある方は、北米唯一の城塞都市でありユネスコ世界遺産に登録され、フランス文化の影響が色濃く残るケベックシティーまで足を伸ばすのも一案。追記しておくと、今回紹介した3箇所は、地理条件が異なるため、紅葉時期もずれることをご承知ください。

参照: オンタリオ州観光局公式サイト(日本語)www.ontariotravel.jp
ウィキペディアjapan~「メープル街道」

 

 日本からのツアーも組まれている人気のルート

  ナイアガラからトロント、キングストン、オタワ、そしてセントローレンス川をさかのぼりモントリオール、ケベックシティへ。この、カナダのオンタリオ州からケベック州にかけて続くラインはメープル街道と称され、紅葉の季節は特に景観が美しく、観光スポットとして人気が高い。ドイルのロマンティック街道同様、日本人がつけた呼び名と言われ、現地ではヘリテージハイウェイ(歴史遺産の道)と呼ばれており、フランスとイギリスによる入植と開拓の足跡が残されたルートで、歴史散策として楽しむこともできる。特定の道路を指定しているものではない。

 冬の雪景色やスノースポーツ、初夏の新緑、真夏の避暑、と、四季折々の魅力があるが、今回は秋に向けて、紅葉で名高い所と合わせて訪れたい見所の多い観光地を紹介したい。観光ブック等には、紅葉は9月下旬から10月上旬がベストシーズンと記されているが、観光案内所の職員の話では、近年は時期が遅いということだ。

オタワ

 オタワはフランス語圏とイギリス語圏の栄えに位置し、1857年にイギリスのビクトリア女王がカナダの首都と定めた都市。世界有数の美しい首都圏と言われている。代表観光スポットは何と言っても国会議事堂、そして、その一帯‘パーラメントヒル’と呼ばれる周辺。世界遺産に登録されているリドー運河の基点もそのすぐ横にある。丘の上から一望するオタワ川や対岸の広々とした景色はどの季節も美しいが、紅葉の時期はまさに絶景。国会議事堂内のガイドツアーは整理チケットを発行している時期もあるので、ぜひとも見学したい人は充分時間をとって予定を組むことをお薦めする。ネオゴシック様式の建物の外観だけでも見応えがある。

 リドー運河の東の一画にあるバイワードマーケット(Byward Market)は、野外と場内に花や野菜、工芸品、雑貨など様々な店が並び、人気の観光スポットにもなっている。日本語の掲示をつけている店も少なくなく、日本人ツアー客が多く訪れることが窺われる。逆に言えば、日本人好みの場所だと言えそうだ。秋の収穫期には果物やパンプキンが彩り豊かに並び、目にも楽しい。

 ミシガンとオンタリオの国境から車で10時間ほど。早朝に発てば、夕方には着ける距離だ。オタワの観光要所は集中していて市内バス路線が充実しているので、運転から解放されたい人やチャレンジ好きな人はトロント/オタワ間をバス(グレイハウンド)や鉄道(VIA)で移動するのも一案。オタワ郊外の紅葉も定評がある。

ロレンシャン高原/モン・トレンブラント

  日本やアジアからの紅葉ツアーのハイライトになっているのがこの一帯。観光の中心地となっているモン・トレンブラントはスキーリゾートとしても有名で、ゴンドラで一気に上ることができる山の上からの大パノラマは雄大。ゲレンデの裾に並ぶロッジやお店はヨーロピアン・スキーリゾートを模して作ってあり、この雰囲気も観光客を惹き付けている要因。とはいえ、モン・トレンブラント自体は高い山ではなく、遥かかなたまで見渡せるほど、周囲にも高い山はなく、どちらかと言えば平たい地形。広々としたスケールや周辺の豊かな自然を楽しむ場所と認識していくのが正解と言えそうだ。スキーゲレンデを利用したゴーカート下りのアクティビティーは大人にも人気。旧市街や湖など散策場所が多く、オタワからの道のりも紅葉が美しい。ちなみに、昨年の紅葉は9月末に山頂付近が色づき10月10日前後に麓でピークを迎えた。

 モン・トレンブラントへは、モントリオールからの日帰りバスツアーもある。ドライブして行く場合は、ここケベック州の公用語はフランス語で、道路標識もフランス語なのでご留意を。経験上、モントリオール市内やモン・トレンブラントの観光施設やレストランでは大方英語が通じるようだ。

キングストン/サウザンドアイランズ

   オンタリオ湖から流れ出すセントローレンス川の始点に位置し、古くから軍事、水上交通の要所として栄えてきた。最初の首都が置かれた土地で、別名ライムストーン・シティと呼ばれ、市の中心地区には乳白色や薄いグレーの石灰石の風格のある建物が並ぶ。秋には色づいた木々が街並みに鮮やかなアクセントを加える。ドーム型の屋根が特徴の市庁舎は、かつて連合カナダの国会議事堂として建てられたものだけあり威風堂々としていて気品も感じられる。

 キングストンからセントローレンス川を下った流域一帯には1000以上の大小の島々が点在する「サウザンド・アイランズ」国立公園がある。川岸や島の木々の色が水面に反射するので紅葉が格別美しく目に映る。これらの島々を巡るクルーズは観光アトラクションとして人気が高い。川沿いのドライブウェーからでもそれなりに堪能できる。小島に建てられた家も一興。日本からのツアーではキングストンが組み込まれることは少なく、立ち寄っても長いはしない所だが、のんびり滞在して歴史や自然に親しみたい一帯だ。

☆ ☆ ☆

 日程に余裕のある方は、北米唯一の城塞都市でありユネスコ世界遺産に登録され、フランス文化の影響が色濃く残るケベックシティーまで足を伸ばすのも一案。追記しておくと、今回紹介した3箇所は、地理条件が異なるため、紅葉時期もずれることをご承知ください。

参照: オンタリオ州観光局公式サイト(日本語)www.ontariotravel.jp
ウィキペディアjapan~「メープル街道」

アメリカ屈指の日本庭園 その2 PORTLAND JAPANESE GARDEN

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アメリカ屈指の日本庭園  その2

2018年4月号でサンフランシスコのゴールデン・ゲート・パークに在る日本庭園を紹介したが、今回は、本格さで評判の高いオレゴン州ポートランドの日本庭園を取り上げたい。

PORTLAND JAPANESE GARDEN オレゴン州ポートランド

この庭園は、「息を呑むほど美しい、海外にある日本庭園12選」(2017年4月、http://tg.tripadvisor.jp/news/advice/12-japanese-gardens/)で、12選の筆頭に挙げられている。

サンフランシスコの日本庭園の敷地面積が約2万m²であるのに対し、ポートランドの庭園はおよそ4万8千m²。イメージできないほどの広大さである。実際に訪れても、木々や起伏によって、その全容を一望することはできない。市内を見下ろす小山と呼べそうなワシントンパーク内の中腹に位置し、駐車場横の入り口からジグザクの登り道を数分登ることになる。ワシントンパークそのものが、自然豊かな森をふくむ丘陵。これがダウンタウンに隣接していると言える近さにあるのが素晴らしい。

但し、この森を含む自然を保全しているせいもあり、限られた数の幹線道路は近年急速に混雑さがひどくなっている。余談ではあるが、数年前には全米で最も住みやすい街に挙げられたポートランドであるが、ラッシュによる通勤時間の増加、そして浮浪者が多くなったことなどが原因であろうか、上位から外れてしまった。

とはいえ、パーク内の自然の豊かさ、そして木々の合間から見える景色の良さは住民の宝であり、訪問者にとっての人気観光スポットである。

1963年に当時の東京農業大学教授により設計されたこの日本庭園は、8つの庭園様式から構成されている。路を歩いて鑑賞する「池泉回遊式庭園」、茶室へ続く「茶庭」、自然風景の「自然庭」、小石や砂で水の流れを表現する「石庭」など。深い木々の影と日ざしによって表情が変化する砂と石の禅庭園、建物の縁側の下に広がる石庭の美しさには定評がある。日本国外で最も本格的と言われることもあるほど。木や花の配置や刈込など、デザイン性に配慮と努力を注いでいることが窺われる。

開園50周年を迎えた後に進められてきた数年がかりのリニューアルプロジェクトが昨年ひと段落。和の大家とも称される建築家の隈研吾が関わり、大規模かつデザイン性の高いランニングセンターとギャラリーが新設された。門前町をモデルにしたと言われる直線的で洗礼された外観のギャラリーにはふんだんに木材が使われている。内装も直線的でありながら温かさを感じるのは、柔らかい日差しが差し込むせいか、日本的な空間だという懐かしさのせいか。チケット売り場もモダンに新築された。前述した登り坂は自然道であったものが、改装によって一部人工的になったことなど、整備されて趣が無くなってしまったとの声も少なくないとの話。しかしながら、庭園の奥に進むと、そこには苔むす茶庭や自然と一体になった豊かな樹木、滝や池が年月を経た豊かさとともに維持されている。ポートランドでは9月から4月までレイニーシーズンと言われ、靄のような細かい雨が降ることが非常に多い。その気候に育まれた木の高さや苔の厚さと美しさに目を奪われる。

受賞歴  昨年(2017年)だけでも以下のような数々の賞を獲得(同庭園ホームページより)。幅広い分野にわたっているのが興味深い。

  • エンジニアリング・ニュース・レコード誌 北西部ベストプロジェクト部門 ベストカルチャー・ワーシップ賞
  • 構造力学会 エンジニアリング部門 審査員特別賞
  • アメリカ建築家協会 ポートランド名誉賞
  • ASLAアメリカ造園家協会賞
  • メタル・アーキテクチャー・デザイン誌 メタルルーフデザイン賞
  • トラベル・ポートランド社 ツーリズム&ホスピタリティ産業賞