Friday, June 21, 2024

歴史と今が交差する「ならまち」

0

 「令和初」の日本の夏。2020東京オリンピック、パラリンピックもいよいよカウントダウン。超大型の台風10号が西日本を横断しお盆を直撃。日本の暑い夏がますます熱くなっていたときに、奈良を訪れた。

「ならまち」はJR奈良駅を東へ進んだところ、平城宮の外京にあたる。大戦の空襲を受けず、古きたたずまいが残る地区でもある。典型的な観光地、というよりも古の都の風情に触れながら地元の人の生活と訪れた人が交差できる町だ。古民家などを改修して、民泊や飲食店を開業しているところも多い。投宿した「はる家 ならまち」もその一つ。旧庄屋の母屋の「通り庭」という玄関から坪庭まで伸びる通路の空間を受付や井戸水を一服できる簡易台所、共有スペースとして利用し、大小10の和室の宿泊部屋と土蔵はドミトリータイプだ。いわゆる「ウナギの寝床」のように奥行きのあるこの「はる家」はおよそ120年前に建てられた。利用者の90%は海外から。床の間べりに腰を掛けられる空間は、すでに歴史的な建物の多くを失ってしまった中国からの旅行者にとっては「この場所は何をするため?」と不思議がる空間だそうだ。茶箱を縦に置いたように一段一段が大きい箱階段も限られたスペースを有効に使おうとした先人の知恵。一足進めるごとにきしむ床は足裏の感覚をもはや忘れ、西洋式の生活に慣れ切った心をはっとさせる。片引き戸を開けると、一夜を過ごす和室。その和室の窓から下を覗くと「火袋」と呼ばれる吹き抜け。四季の気温に応じて風の通りを工夫した独特の作りだ。食事の提供はないがスタッフのホスピタリティーは抜群。界隈のお勧めのお食事処等の情報を丁寧に教えてくれる。 散策も楽しい。一般の住宅の軒下にも赤い「身代わり申(さる)」が下がっている。「はる家」から5分ほど坂を上がっていくとほんのちょっとのジグザグ道、古代びとが通った街道の名残がある。千年以上も前から人々はこの曲がり角を往来してきたのか。さらに「ならまち」にある世界遺産の「元興寺(がんごうじ)」もすぐそこだ。飛鳥から奈良に遷都した際、法興寺もここに移転し、718年に建てられた大伽藍の一部が残る名所。本堂隣の地蔵群から本堂の屋根を振り返る。赤と青に見える瓦が飛鳥時代のものだという。

 前述「はる家」からの紹介で、15分ほど歩いたところにある「なら麦酒 ならまち醸造所」も訪れた。奈良市内初のブリューワリーで2017年開業。建物自体はお米屋さんを改装。
「ならまち」全体の雰囲気に合わせようと、格子窓。内部は白が基調で、すっきりしている。

200Lの醸造タンクはいつもフル稼働。玄(くろ)、白(はく)、ならまちエールがこの日のラインナップ。やはりミシガン産のものと比べてみたいと思い、American Pale Aleのならまちエール (AVB. 6.0%) をいただいた。Cascade hopを使っているが、特産の大和ほうじ茶も加えている。フルーティーでほんのりしたほうじ茶の香りが特徴。どのような方法でほうじ茶を用いているのかは製造上の秘密だが、日中は34度ほどの奈良の街を歩き回った後の至宝の一杯。フードメニューにもある奈良名物の「柿の葉寿司」とのペアリングもいいだろう。 東大寺や法隆寺と見どころが多い奈良。最も注目を集めるのは平成21年からの「平成の解体修理」が来年2020年に終了する薬師寺東塔。修理が始まった時、令和の時代になることをだれが予想できたであろうか。水煙の飛天たちが奈良の空を舞う姿を想像し、楽人の奏でる天上の音楽が響くのはもうすぐだ。

「はる家 ならまち」 https://yado-haruya.com/naramachi
「なら麦酒 ならまち醸造所」 http://narabeer.jp/

Baffin Brewing Company – St. Clair Shores, MI

0

St. Clair Shores 初のブリューワリー 

文&写真 by ヤマトノオロチ

ブリューワリー同士がコラボレーションする例は最近増えているが、他のブリューワリーをおススメすることは少ない。珍しく同じ地域のブリューワリーが紹介してくれたのが、Baffin Brewing Company。

 Baffin Brewing CompanyはSt. Clair Shoresにある。デトロイトのダウンタウンから延びるJefferson AvenueはDetroit Riverを見ながら北に向かう。いくつかのBig 3の工場を過ぎたあたりから、住宅地へと移り変わる。閑静な住宅地の中にはEdsel & Eleanor Ford Houseもある。そして、海のように青く広がるLake St. Clair沿いにはガラス張りのリビングルームを持つlake-front viewの家々が立ち並び、St. Clair Shoresのコミュニティーになる。デトロイトから20マイル走っただけだが、右手にはるかに広がる青い湖と地平線がきれいだ。

 2015年にオープンしたマイクロブリューワリー。カウンターに座りオーナーのJoeや常連さんとの会話を楽しんだ。週末にはにぎわう。マイクロブリューワリーなので数少ないタンク数で常に新しいビールを作り続けなければいけない、とJoeは話していた。店内は奥にもう少し座席を増やせるスペースはあるがとてもコンパクト。そのせいか、初めて訪れたにもかかわらず、カウンターは座りやすかった。Mug Clubメンバーのマグはバーの天井からつるされているのも、スペースを有効利用したもの。「ちょっと失礼」と専用の棒を使って、マグを下ろすのが面白い。

ラインナップの中でもなかなかと思わせたのが、Mango Unchained IPA (6.5%)。カラフルなラベルのデザイン、マンゴーがほどよい清涼感を醸し出している。6缶入りのto goは$9.99。

そのほかにも I’ve got no brutes (strawberry brut IPA)は、今はやりのbrutとstrawberry。いちごの甘いフレーバー。変わったところでは、Belgian witのHit It n’ wit itもよくできていてスムーズだ。

 Baffin Brewing CompanyはSt. Clair Shore初のブリューワリー。Joeはここが地元だからだという。常連でお隣に座って会話を楽しんだご婦人は息子さんがJoeの知り合い、また反対隣りに座った人はコミュニティー紙の編集者。地元の人たちをしっかりつかんだから、その評判は近隣のブリューワリーにも伝わっているのだろう。ラインアップもいいし、雰囲気もいいので、今後フロアーが拡張されるのが楽しみだ。

 ライセンス上の要件にもよるが、マイクロ・ナノブリュワリーが増えてきた。キッチンをもたないのでbring your own food(BYOF)や地元レストランのものをオーダーし、届けてもらうパターンが多い。Baffinでは、GRUBHUBのアプリをダウンロードしてオーダーするといい、と勧められた。確かに、ブリューワリーが客層に合うようなバラエティーに富んだメニューを出すにはお店自体の規模が大きくなくてはならない。また、ビールの提供だけだと訪れる人も限られる。若いブリューマスターたち、ホームブリューワリーからビジネスを興したい人たちにとっては、アプリとフードデリバリーの多様化が追い風になっているのは確かだろう。ますます発展するミシガン州のブリューワリー産業は、時代の変化の波に乗っている。

*GRUBHUBは、提携しているレストランからデリバリーをするサービス会社。英米で1100以上の都市、5万店、875万人のユーザーを擁する。

Baffin Brewing Company

住所:25113 Jefferson Avenue, St. Clair Shores, MI 48081
ウェブサイト:https://www.baffinbrewing.com/

Atwater In The Park – Grosse Pointe Park, MI

0

教会をリノベーション Atwater Brewery in the Park

文&写真 by ヤマトノオロチ

Atwater Breweryはミシガン・クラフトビールの中でも最古参。デトロイトリバー地区にあるAtwater Breweryのブリューパブは活気があるが、ここGrosse Pointe Parkのパブもなかなかだ。

Grosse Pointe Parkの中心街(といっても、本当にこじんまりとしているが)の真ん中にあり、ストリート・パーキングが周りにあり、市運営のパーキングも真ん前、という立地は初めて訪れる人でも困らない便利さだ。建物自体は1936年建造のGrace United Churchをリノベーションしたもの。教会独特の高い天井、ステンドグラスをバックにしたタンクとサーバーノブ。座席は教会で使っていたものとは全く違うはずなのに、その椅子すら建物の雰囲気にマッチしている小さなパブだ。ステンドグラスの中央にはイエスが手を広げている。高い梁から吊るされた星条旗、Atwaterのロゴ、そしてバイエルン州の紋章。ミシガンにあってミシガンではないような独特の雰囲気を醸し出している。

デトロイト・タップルームに負けない40種類をこのサイトで醸造している。サーバーのお勧めはやはりここで作られたNorth West IPA(7%)。IPAと言えば重厚さとフルーティーさが特徴だが、ここではボディの色も薄い銅色でスムーズ。フライト(好きなものを数種、サンプルサイズで注文できること。通常は6種のところが多い。)は「いくつでもOKよ」とサーバーに言われた。フライトにしてしまうと、限りなく注文してしまいそうなので、目についた「GP Brett IPA (Brettanomyces IPA)」のサンプルをいただいた。ボディーはゴールデンだが、香りもサワー、味も少しサワーだ。気に入ったので、GP Brett IPAのナイトロにした。ナイトロ入りビールとは、その名の通り、ナイトロ(窒素)を含ませ、泡をたくさん含んだものになる。そのおかげか、サワー感が若干薄れてしまった気がするが。しかし、写真にもあるように「Foamy!!」と思わず声が出てしまったぐらいのクリーミーさだ。ナイトロ入りはグラスに注いでからのビールの酸化を鈍らせる働きもある。

Grosse Pointe ParkはいくつかあるGrosse Pointeコミュニティーの一つで、デトロイト・ダウンタウンから6マイル。通称 ”The Park” と呼ばれる。多くの住宅は第二次世界大戦以前に建てられたもので、広い敷地にゴージャスな建物。歴史ある地区だが、人口流出と自動車が主流になる前(Preautomobile era)にコミュニティーができたため商業地には駐車場が少ない、という悩みを抱えていた。中心街の再興のため閉店した商店跡地にパーキングを整備。このAtwaterの目の前も、こうして市営パーキングへと変身した。

経済状況の変化に人の波は弄ばれてしまうが、既存のコミュニティーが、ミシガンで興隆しているブリューワリー産業と手を携えて新しい街の姿を作り上げようとしている。初夏から、敷地前にビアガーデンも開く。その様子は圧巻。ぜひ楽しみたいものだ。

Atwater in the Park

1175 LAKEPOINTE ST

GROSSE POINTE PARK, MI 48230

(313) 344-5104

https://www.atwaterbeer.com/locations/atwater-in-the-park/#

Redwood Steakhouse Brewery & Grill – Flint, MI

日本を感じる美術館、ブリューワリーめぐり ー フリント

文&写真 by ヤマトノオロチ

Flint Institute of Artsでは4月14日まで”The Drama of Japanese Prints”展が開かれている。日本人が多く住んでいる地域とは決して言えないFlintだが、昨年の歌川広重の浮世絵版画展に続き、日本文化を積極的に紹介している今回の作品展は、明治から大正にかけて活躍した月岡耕漁のもの。ミシガン大学フリントの教授の監修と、2人のミシガン州の版画所有者の協力を得、開催されている。

今回展示されているのは耕漁の「能楽百景」と「能楽図絵」からの21枚の能の名場面の木版画。圧巻なのは「プリント・ギャラリー」セクションに展示サインとして掲げられている「金札」。弓を背に受けながらも立ち尽くすダイナミックな構図は目を引く。江戸時代に発達した木版画は、スポンサーでもある版元と、絵師、彫師、擦師の共同作業から完成する。今回展示されている21作品にも絵師・耕漁の作風が窺がえる。彼の作風は写実的で、面を被った役者の衣装の柄一つ一つを丁寧に書き込んでいる。展示されている作品は、亀の甲、雲、雁など伝統的な文様が面の表情と同様に生き生きと描かれている。年初に演じられる「翁」と長寿のしるしの松の緑鮮やかなものや、頼朝からの追手から逃れようと山伏の一行に扮する義経と弁慶の「安宅」など、有名な場面も今回の展示に多い。

またEdwin Lee氏が制作にあたった約8分間のビデオ、”The Spirit of Noh”も流されており、能の歴史や能楽師であり能面作家の宇髙通成(うだか みちしげ)氏の自らの伝統文化に対する思いが語られている(英語字幕あり)。ビデオでは能の歴史と面を被ることによって演じることができる無限の世界を宇髙氏が語りつつ、耕漁が鮮やかにそれを木版画で表現した、という展示の意図が汲み取れる。

さて、美術館のあるダウンタウンはI-475の北の端にある。南北に長いフリント市の南の端から北にUS-23が走っている。そこにあるのが、ミシガンでも老舗のブリューワリーRedwood Steakhouse & Brewery。1996年開業。そこで遅いランチをとった。古株のブリューワリーだが、訪れるといつもビールのラインアップは充実し風味も安定している。現在のオーナーのもと、メニューに刺身やFusion Sushiが加わった。マグロのタコスやナッチョもあるのでなぜ生魚を扱っているのかと聞くと「オーナーが好きだから」とサーバーは説明してくれた。残念ながら、終日Fusion Sushiは提供されているのではなく、訪れた日は4時から、と聞き断念。しかし、手でこね独特の薄いクラストで、ブリック・オーブンで焼かれるピザもこの店のスペシャリティーなので、マルゲリータを頼んだ。トマトとバジル、そしてふんだんにのっているモッツァレラチーズ。$18.99と少し高めだが、シェアできるサイズで、何よりもチーズがおいしかった。

これとうまく相性が合ったのはAmerican IPA(7.2%)。ホップは一定のものに固定しないで作るそうだ。この日は人気のColumbus、Citra、MosaicのほかにCzech Saazというホップを使っていた。他のブリューワリーと異なり、ColumbusとCzech Saazはフリントで作られたもの。Czech Saazはあまり名を聞かないが、その名のとおりチェコが原産で、2009年にはチェコ国内のホップ生産量の3分の2を占めた人気のホップだ。そのほかにもBlue Eyed Murder (4.2%)のピルスナービールはスロベニア原産のDragonという種類のホップを使っている。

レストラン内は広々としており、家族やグループ向けのテーブルからカップルや少人数向けのテーブルが用意され、どの年齢層にも受け入れやすい雰囲気。メニューもステーキ、シーフード、サンドイッチ、ピザと豊富。ブリューワリーもレストランも充実している。さすが、フリントで長い歴史を保ち続けていると感じられた。

Redwood Steakhouse Brewery & Grill

5304 Gateway Centre Drive, Flint, MI 48507
http://www.redwoodsteakhouseandbrewery.com

Brew Detroit – Detroit, MI

0

デトロイトをブリューする

文&写真 by ヤマトノオロチ

デトロイトで誇りを持ってビールづくりをしている、と自負するブリューワリーは数多いが、ひときわ光を放つのが Brew Detroit。Corktown と呼ばれるデトロイト西地区にある。ダウンタウンの日本国総領事館からは車で5分ぐらいのところで、M-10(Lodge Fwy.)とI-75に囲まれた地域。1840年代にアイルランドで起きた「ジャガイモ飢饉(The Great Potato Famine)」により、人々が流入した。 County Corkから移り住んだので、この地区をCorktownと呼ぶようになったという、歴史的背景を持つところだ。

 Brew Detroitは「契約ブリューワリー(contract brewery)」と「自家タップルーム」という二つの側面を持つ。「契約ブリューワリー」とは、他社の製品を代わりに作ること。たとえば西海岸の大手会社のビールを同じレシピを作ってここミシガンで作っている、というようなことだ。68,000sqft.の巨大な施設は自動車の町デトロイトにあった元ベアリング工場を2014年に買い取り、醸造所に変えたもの。醸造、瓶や缶を詰め、ケグの冷蔵も有する現在の形になったのが2014年だ。醸造所内へのツアーに参加し、中を見てみると小売店でよく目にするミシガンのブリューワリーの缶がうず高く積まれている。7社の缶がすぐに確認できた。

 Brew Detroitが契約を請け負う顧客の中で特筆すべきものが、1850年にデトロイトで醸造を始めたStroh’s。Stroh’sが最盛期だった1970年代にその門をくぐってビール醸造の道に進んだのが、Brew Detroitの現在のブリューマスターのJoe。Stroh’sは今世紀には業績が悪化し会社は解体。大手のPabst Brewing Companyがいくつかの製品を買い取った。その間、彼はアメリカ内のStroh’sや大手ビール会社のブリューマスターなどを経験した。そしてここ地元ミシガンに戻ってきた。2016年にBrew Detroitが「契約ブリューワリー」として、Stroh’sのフラッグシップBohemian-style pilsnerを醸造し始め、小売店やレストランなどでも販売されている。1850年代のStroh’sのレシピを使っている。ツアー中に彼と会話することができた。小柄でたいへん穏やかな感じがする人だった。日本にも来たことがあり、SuntoryやAsahiの工場を見学したという。

 「契約ブリューワリー」という形はStroh’sビールの再興だけではなく、ミシガン全体のブリューワリーの可能性も広げる。それぞれのブリューワリーのレシピを尊重しながらJoeの経験がプラスされ、このBrew Detroitの中からそれぞれのブランド名で流通されていく。

 Brew Detroitのタップルームでは、Customer Brewとして前述のBohemian-style pilsnerを提供している。1パイント(16oz.)が$3はうれしい。Saaz, MagnaホップとVienna moltはクラッシックな風味。独自のものとして、Cherveza Delray (ABV. 4.2%)。Bohemianに風味が似たところがあるが、Chervezaはラガー。Joeが誰にでも飲んでもらえるように、と経験を生かしたビール。何となく、日本で飲むようなラガーに近い気がするが、Cascadeホップを使っている。Chervezaはここでしか飲めないが、4缶入りは$5.99。そのほか独自のビールが19種類もラインナップしている。

Brew Detroit ― デトロイトの元ベアリング工場を改造してのブリューワリーから数々のビールが生み出されていく。

Brew Detroit

1401 Abbott Street, Detroit MI 48216

https://www.brewdetroit.com/

ツアー($10。試飲とお土産つき。要予約。)

Supernatural Brewing & Sprits – Livonia, MI

“自然体”でつくるブリューワリー

文&写真 by ヤマトノオロチ

リボニアは Wayne Countyの北端にあり、早くからデトロイトの郊外の町として開けた。人口は約10万人でミシガン州第9位と大きい方だ。リボニアにはPlymouthに店を開いているLiberty Street Brewingの生産所やSchoolcraft Collegeの中の学生の醸造所はあるが、Supernatural & Spiritが個人経営のブリューワリーのリボニア第一号。どのように地元に根付いていくか、2017年秋にオープンしたSupernatural Brewingを紹介する。

どうしてブリューワリーを作ったのか。“世界をポジティブに変えたいからー大きなデザイン会社がプロデュースしたものや、どんな人の舌にも合うようなメニューサービスを勧める市場調査会社に頼らず、ただこの場に合った、そして20年のビール作りの経験からできたいいものを、地元から調達できる食材だけを提供する”。そんな場所を目指して3人のエンジニアがブリューワリーをはじめた。

Plymouth Rdに面したSupernaturalのユニークなサインが面白い。中に入ってみると、案外、こじんまりとしている。以前グリル・バーだったキッチンは全面作り直してはいるが、内装はそのまま生かしている。ガジェット、と呼んだらいいような、前世紀の容器や電話、美術品のようなものなどが店内のあちらこちらにある。ちょっと引いてしまいそうになり、入り口でウエイターが来るのを待っていると、見ず知らずの先客が、「こっちもあいているよ」と言わんばかりに手招きしてくれた。そのとき目に入った、オークバレルをテーブルに変えたテーブルのがあったので、そこのハイチェアーに腰を落ち着けることにした。「これはエイジド・ビール。2020年になったら開けるんだ」。

Imperial Stout、Amber Aleなど種類も多彩だったが、お勧めは最近流行のBrut IPA (ABV 6.5%)。4本パックがここで購入できる。タップからのを注文したが、きめが細かくフルーティーさは抜群。重量感が少ないので、IPAはちょっと、という人にはいいかもしれない。そのほか、Jerk Chicken (チキンウイング。ブルーチーズのディップソースつき)、

Fish N Chip (鱈のフライと自家製ポテトフライ)は、それぞれ一人分をシェアしてもいいぐらいの量だった。ややディープフライでじっくり揚げた感じが、人によっては好き嫌いがあるかもしれない。特徴的だったのが、Fish N Chipについてきたソース。色が緑がかっていたのは、サワークリーム、ハラペノペッパー、マヨネーズ、ピクルスをブレンドしたから。カリッ、と揚げたフライに合う。特別なソースのレシピを聞いたので、自宅でも試して作ってみたいソースだ。

1年半前にオープンした。「一日に16時間もブリューワリーのために費やしてしているのは」-商業的なコンサルタントやマーケティングによらない、自分たちの“自然体の”ブリューワリーだからだろう。模索中、ともいえるかもしれないが、こういう形の地元ブリューワリーも存在する。

Batch Brewery – Detroit, MI

0

Sierra Nevada とのコラボ――デトロイトから西海岸への発信

新年明けのデトロイトはマーティン・ルーサー・キングJRの生誕記念の祝日、北米自動車ショーと活気あふれることが続いた。総領事館やCoboホールからほんの3分ほどで街の雰囲気はローカルなものへと変わる。Wayne大学の施設が立ち並ぶ通りの数本西よりの通りは、10年前ぐらいとはうってかわって、落ち着きがでてきた。Porter St.の看板からちょっと雑然とした通りに入るとすぐにホームページにあった写真と同様の店の姿が見えた。

駐車場は店の前とその周辺でもよかったので、気楽に停められた。

カジュアルでBold、がっしりした、というのが店のチェアーとテーブルからの雰囲気。オーダーは最近はやりのキャッシャーのところで行う。ちょうど自動車ショーの一般公開前の、業界関係者のためのプレビューの帰りに寄ったので、ビジターパスを付けたままの人やコンピューターを片手にオーダーの合間に仕事をしている人もいた。

キッチンのマスターはアーカンソーで修業したのち、この店のために地元に戻ってきた。

HPでZen master、と書いてあったので、さぞかしアジアびいきかと思ったら、「そうじゃなくて、物静かってことよ」とサーバーに一蹴された。それだけそれぞれの料理には自信がある、ということだ。PoBoy Sandwitchはランチスペシャルでボリュームたっぷりのサラダと、自家製のガーリック・ピタスティックがクルトン替わりについてくる。白ワインの入ったビネガードレッシングも絶品。ビールをフライの衣に使ったのでいいか、と聞かれた。キャッシャーのところで注文する形式で、注文を受けてから作り始めるので、フレッシュさが気に入った。さすが、請われて任されたシェフの力がうかがえる。サンドイッチのエビはいい食感とボリュームで、これでランチメニューとはありがたかった。

店内は西側が一面の窓なので、訪れた午後は明るい感じがした。最近のブリューワリーはフランチャイズ形式、個人が経営しているがビジネスコンサルタントに任せた形式、ある程度のコンサルタントの手は入っているがオーナーがコミュニティーとのつながりを大切にしている形式、とあり方がパターン化してきている。アメリカのニュースに詳しい人は昨年の秋からカリフォルニア州での野火による被害をご存じだろう。そのカリフォルニアの家族経営のブリューワリーとして世界的に有名なSierra NevadaとのコラボのResilience IPAはお勧めだ。ここでしか味わえない。収益金は、火災の被害に遭った人たちに贈られることになっている。店内はバーカウンターのほかは、ベンチ・テーブル形式でカジュアル。テレビはなく、ボードゲーム(Unoなど、数人で楽しめるゲーム)やダーツなどがある。

シェフとそのチームが気を配っているのがわかるのと同時に、単にブリューワリーで製造しているだけではなく、マスターらのビジョンが読み取れる、奥の深いブリューワリーだ。

Fenton Winery & Brewery – Fenton, MI

文&写真 by ヤマトノオロチ

3年間ほど打ち捨てられていた木工工場の建物が、今、結婚式などの宴会ホールとクラフトビールのタップルームに生まれ変わった。Fenton市街の北の、ミシガンでも最大級のビアガーデン、を自負するFenton Winery & Breweryを紹介する。
現在、Fentonはキャンプ場やもっぱら夏に訪れるのがいいところだ。US-23沿線にあって、Bavarian文化で有名なFrankenmuthへ行く途中にあり、知名度が低いかもしれないが、ちょっと足を延せば日帰りのお出かけには手ごろなところだ。往年はミシガンの鉄道の要所として栄えたが、「オフシーズンにはどう人を呼び込むかが大変」とマネージャーが言うほど、今はその面影はない。

 ファイナンシャル・プランナーとメカニカル・エンジニアのカップルが2009年にワイナリーを始めた。マネージャーによると「ワインもビールもオーナーは好きだから」とクラフとビールも作り始めた。商号が”Winery& Brewery”なのがうなづける。Fenton Winery & Breweryは2つの建物からなっている。手前のひときわオシャレなスギ材の建物が、260人まで収容可能の宴会場。その後ろに、製作場をリモデルし、ワインとビール醸造とパブ兼レストラン。高い天井こそ工場の雰囲気を残すが、ビールのバレルを眺めながらゆったりとした雰囲気を楽しめる。

 キッチンはメニューの半分をピザが占めるほど、力を入れている。6スライスのsmallサイズのThe Stoutはファンネルとビール(Swing’in berries Dbl Cream)から作ったソース、パルメジャン・チーズがのった、薄いタイプのクラストのピザ。サンドイッチも充実している。飲み物はワインとビール、どれでも4種類を組み合わせることができるFlightが$8。飲み物も食べ物も満足できる内容だ。もともとはワインから醸造し始めたが、ビールも同等のレベルを、というのがオーナーのモットー。特筆すべきなのはSwing’in Berries(ABV 8.0)。とにかくクリーミー。ブラックベリーとMerlotを合わせたハイブリッドのスタウトビール。ここではNitro入りを飲むことができる。IPAやエールもあったが、Pub Stout(ABV 6.2)と合わせて、風味を加えたものやスタウトビールがここでは人気がある。

 ワインとビールの種類が豊富で、一つ一つのレベルも高いが、一般のお店では販売はしていない。タップルームではワインのほか、瓶入りのビールを購入できる。ワインの価格は様々。ビールは12oz瓶でおおむね$3-5、22oz瓶で$10-12。

 フロアー内のテーブルは6人掛けが多く、ゆったりしている。奥には”Woodwork”のバナーがある。朽ちてしまいそうな建物をここまで再建して、明るい雰囲気のタップルームに変えた。それでも、以前の木工工場のスピリットを残してるところにオーナーの心意気を感じた。

Fenton Winery & Brewery

1370 N. Long Lake Road, Fenton MI 48430
www. Fentonbrewery.com

Jolly Pumpkin – Royal Oak, MI

0

コラボレーションー新しい形のブリューワリー

文&写真 by ヤマトノオロチ

 ちょうど一年前にJolly Pumpkin, Detroitを紹介したが、今回はRoyal Oakを紹介する。2004 年にJolly Pumpkinは醸造を始めたが、2017年にはRoyal Oakで新しい形でTap roomとレストランを開いた。

 “コラボレーション”。Belgian beerで数多くの世界的に有名な大会でメダルを獲得してきたBastone Brewery とNorth Peak Breweryをあわせて3つのクラフトビールを楽しめるところだ。BastonがもともとあったRoyal Oakに、Jolly Pumpkinが入る、と言う形で、ユニークなブリューワリーだ。この3つのブリューワリーは同一会社が経営しているので、Traverse Cityが本拠のNorth Peakも楽しめる。

 Jolly Pumpkin, Royal Oakはミシガン・オークランドカウンティでも有数のおしゃれなダウンタウンの一つにあることから、洗練されたインテリアと自社の個性を店内いっぱいにアピールしている。デトロイトのJolly Pumpkinはパイン材風のインテリアだが、ここは自社ブランドのボトルをインテリアの一部として採用。バー後方に広がるブースに座ると、テーブルの高さから天井まで続いているボトルのディスプレーが圧巻。ラベルだけを見ていると、ちょっとしたアートギャラリーにいるかのよう。

 3つのブリューワリーの味が楽しめるのは贅沢。North Peak BreweryのDauntless (5.8 AVB)は伝統的なミュンヘンスタイル。スムーズで豊かな味だが、後半は甘さも感じられた。

Oktoberfestのビールとしての季節限定。レストランとしても楽しめるここではフルキッチン。アペタイザーから、サンドイッチ、ピザを提供している。食べ比べるつもりはなかったが、デトロイト店で食べたものと同じMargheritaを注文してみた。甘いドライドトマト。この料理加減では、ピザの焦げ目が好きな人と、クラストにしみこむソースのジューシーさが好きな人とに分かれるだろう。二人でシェアするにはちょうどいい大きさだ。

 Jolly PumpkinはSourではないビールを”This beer is not sour. It’s wired.” (サワー、酸っぱくないビールはおかしい)と、韻を踏んだようなコピーで呼んでいる。やはり、ブリューワリーに来たのだから、サワー・ビールを味わうのが最もなことだ。特にラベルのアピール度も高く、目に付いたのがBam Biere(4.5%。Sour Farmhouse Ale。)Jack Russell犬はブリューワリーの思い出の犬らしい。やはりすっぱい!そしてにがい!!独特の製法のオーク樽の中で2ヶ月間熟成した味だ。レモン、スパイスのような風味はまさに「打ちのめされた、気後れした人」のためのすきっとした一杯となるだろう。このボトルはスーパーでも流通しているので、一本お試しあれ!

 昼下がりでカップルも多かったが、家族づれもまた多かった。メーター式の路上のパーキングもあり、警察・市庁舎前のパーキングからも3分ほど。日曜日は無料なので、うれしい。

 ブリューワリーはMain Streetにある。ブリューマスターが、誰でもハロウィーンが好きだし、海賊のコスチュームも、と言う理由でできたロゴ。ウインドーのロゴを目印に。クリスマスシーズンは、このMain Streetでのイベントも家族のお出かけとして期待できる。

Jolly Pumpkin, Royal Oak

Website: www.jollypumpkin.com/jp/royal-oak-brewery
419 Main Street, Royal Oak, MI

Old Nation Brewery – Williamston, MI

 

文&写真 by ヤマトノオロチ

偶然が時には大きなきっかけになる。ミシガンにある300以上のクラフトビール、全米というよりは世界的に有名なビールブランド。数え切れない。

たまたま、春先にフォード・フィールドでの展示会で手にしたクラフトビール、M-43(AVB 6.8%)がミシガン産のものだった。格別に印象に残った。ちょうどその時期がそのビールの缶入り販売デビューだったのだ。

Old Nation BreweryのM-43は素朴な缶ラベルからは想像できないほどの風味だ。まるで自家製のシールのようなラベルとフォント文字、M-43というネーミング。どれをとってもソフィスティケートさはない。おまけに、ブリューマスターに、誌面で紹介したい、という旨の話をしたが、さほど興味のないそぶりだった。その答は、「手にして飲んだ人だけがわかればいい」ということだろう。

WilliamstonはNoviエリアからI-94を西に40分ほどのところにある。高速を出て北に向うとグランド・リバーはM-43と呼ばれる。地元を走る幹線の名前をフラッグシップのビールの名前にしたのだ。

がっちりと冷やされた缶入りを初めて飲んだとき、その風味のよさが気に入った。New EnglandスタイルのIPA、それがフォード・フィールドという場所だったから、ということではなくて、缶で小売りされているローカル色の強いものにしては、違いを感じさせる物だった。それからすぐに、一般のスーパーの店頭でも「M-43」を目にし始めた。

ブリュー・パブは「旧道」的なWilliamstonのメイン・ストリートの外れ。「今日は、このM-43を目当てにわざわざ何十マイルも走ってきたんだ」というと、サービスに自家製のビールのラベルをくれた。店内は豪華、とは言えないが、明るい感じだった。8月の平日の昼下がりのせいか、落ち着いた年齢層の人が多かった。お目当てのM-43。缶では見えなかったボディーの色に驚いた。濃厚な小金色というよりは黄色い豊かなパイナップル色。これがあの忘れられない風味を生み出していたのか、と思った。

M-43はスーパーでも缶4本セット(16oz4本)で販売されているが、$13-15ぐらいなので、少々割高。それもそのはずで、使われているホップの名前を聞くと納得がいく。Citra, Amarillo, Calypso, Simcoe。「どうしてほかの4本入りよりも値が張るの」と聞くと、「儲けの分よ」。あっさりとサーバーは答えた。実に素朴だけれど、さらりというところがおもしろかった。

人気のせいか、卸業者の都合なのか、以前のようにスーパーの店頭にはなかなか見つけにくくなっている。店頭に入った、と思ったらすぐなくなっている。Williamstonまでは買いにいけなくて、待ち構えているファンも多いということだろう。M-43というネーミング、ミシガンならではだ。

ちなみにOktobefestの2種類のスペシャルビールが9月後半の週からリリースされた。Chestnut buckとOktobefest。缶入り販売はなし。

M-43、スーパーの店頭で見かけたら、どうぞお試しあれ。

Old Nation Brewery

1500 W. Grand River Ave.
Williamston, MI 48895
(517) 655-1301
www.oldnationbrewing.com

Sandhill Crane Vineyards – Jackson, MI

ミシガン東南部、アナーバー南西を中心に、“Pioneer Wine Trail”と名付けられたワイナリーエリアがあり、いくつものワイナリーやワインテイスティングの施設が点在する。期待が膨らみ過ぎないように記しておくと、北部トラバースシティー周辺や南西部の一帯にあるような‘ブドウ園が広がるワイナリー’ではなく、場所によっては試飲スペースのみの所もある。その中でSandhill Crane Vineyardsは、こじんまりとした規模ながらブドウ園を臨みながら、自然の中で試飲、そして軽食も楽しむことができる。

Sandhill Crane Vineyardsはアナーバーの中心地から30マイルほどの所にあるが、カントリー風な佇まいが牧歌的で、のんびり感が漂う。このワイナリーは、引退後に始めたご主人のブドウ栽培とワインづくりが奥様へ、そして奥様姉妹へ影響を与えてビジネスとなり、娘さんもワインビジネスに携わるようになり・・・という家族経営がスタート。ミシガン産の果実にこだわり、それに共感する人たちがスッタフとあり、お店の雰囲気が温かい。

小規模とはいえワインの種類は20種類以上。2018 MI Wine & Spirits Competitionで金賞を受賞したワイン(2016 Pinot Noir)をはじめ、数々の受賞ワインを産出している。リンゴと合わせたもの、メープルシュガーで甘さを加えているものもある。大量生産はせず、ラインナップの入れ替わりが早い。レポーターも、以前に気に入って購入したワインが消えていてがっかり。2,3本購入しておくべきであったと悔やんだ。

ワインに合うつまみや軽食を常時提供している。バンケットルームでグループランチやパーティーをセッティングしてもらうこともできる。ワイン関連のイベントだけでなく、フルーツの時期にあわせたフェスティバルやライブミュージックイベントも企画している。

Sandhill Crane Vineyards
4724 Walz Rd, Jackson, MI 49201
Wed-Sat: 11-7 Sunday: 12-6
Mon-Tues: Closed

www.sandhillcranevineyards.com

Founders – Detroit, MI

文&写真 by ヤマトノオロチ

ミシガン州のクラフトビールで最も売れているといわれるFoundersは昨年20周年を迎えた。All Day IPA、Centennialなどの人気商品は、食料品店でも目にした人が多いだろう。本店のグランドラピッズまではなかなか足を延ばせないが、うれしいことにFoundersはデトロイトにもブリューレストランを構える。2017年にオープンしたデトロイト・バー。やはり、そのブリューワリーのタップルームで飲むのがおいしい。

パーキングはMasonic Templeの近くの路駐でOK,といわれたが、隣りの専用のパーキングは店内のフロアーからも見えるので、安心。店内は入り口にショップとカウンター、奥にはBarrel Roomと呼ばれる醸造所兼プライベートパーティーのスペース。この石膏はかつてグランドラピッズの鉱山の坑道に使われた、という。駐車場側はビアガーデン。ダウンタウンより少し離れた立地なので、ビアガーデンは周りに高いビルもなく、爽快。

お目当てのAll Day IPA (AV4.7%)は、IPAにしてはアルコール度が低め(日本のビールは5%程度が一般的)。“All Day”の名のとおり、初期のファンが飲む人が日長片手に、のネーミングのヒントをくれたらしい。スーパーの瓶・缶入りよりもアロマが広がる味だ。さすがに、ミシガン一の販売数のブリューワリー。そのブリューレストランには、ものすごい数のビールがメニュー上にひしめく。メニューの*印はここでしか出されていないもの、**印はここのブリューマスターが作り、ほかのロケーションにも提供しているもの、と実にバラエティーに富んでいる。その中でせっかくブリューワリーに来たので人気はどれかをサーバーに聞いてみた。All Day IPAよりもホップ感が少ないかもしれないが、John Blaze(6.4%)をすすめられた。苦味のあるストレートさ、ミシガンの残暑にぴったりな味かもしれない。でも、常にシーズナルものは入れ替わりがあるので注意。

Bite sizeの気軽な食事、とはいかないが、サーバーによるとサンドイッチも人気だという。

Nam Nom Nom(pulled pork sandwich)はランチタイムのハーフサイズとは思えないほどのボリューム。スパイシーだが、アイオリ・ソースのシレントロとライムが甘さを引き立てる。

Telera Rollというメキシコで伝統的に作られているバケットのようなバンも楽しい。アメリカンの定番BLTの BrassworkesBLTはマヨネーズいっぱい。日曜のランチ時のせいか、ファミリーでの食事をする人もたくさん見られた。もちろん、ビアガーデンでは陽光のもとビールを楽しむ人も多かった。

前述の通り、Foundersはミシガンの老舗ブリューワリーで、ブリューレストランの雰囲気はスタイリッシュ。そして、ビールの種類は豊富。市場に出すものだけではなく、ここでのみ瓶6本入りを販売しているものがある。それがMothershipシリーズ。ブリューチームが“好みで”作る、希少限定IPAビールシリーズ。これを入り口のショップでお土産に買った。この日購入したものはRyeがベース。

ミシガンのローカルさを味わえ、ビール、フード、雰囲気とすべてがパーフェクトだ。

Founders Brewing Co.
Detroit Location
456 Charlotte Street, Detroit MI 48201

https://foundersbrewing.com/brewery/detroit/

オンタリオ州プリンス・エドワード・カウンティ

カントリーサイドで極上のひととき のんびりとワインや食事を味わう

トロントの東、オンタリオ湖北東に飛び出した半島のような一帯がプリンス・エドワード・カウンティ(PEC)。かつての英国王子の名前をとった地名のこのエリアは18世紀のアメリカ独立戦争以降、独立を嫌う英国王党派“ロイヤリスト”たちがアメリカから移り住み、農地を開拓し静かに生活してきた地域。ローリングヒルと呼ばれる、なだらかな起伏に広がる農園・果実園、そして、素朴で豊かな景観や古めかしい佇まいの街が残されているのが魅力。オンタリオ湖の鮮やかなブルーの湖面も心を洗い流してくれる。

幹線道路“ロイヤリスト・パークウェイ”は絶好のドライブルート。この地域は、穏やかな気候ゆえにロイヤリストの時代から農場や果樹園が多かったが、近年はその土壌の良さが注目を集め、オーガニックの農場や品質にこだわるチーズ工場、ワイナリーなどが続々に誕生している。さらにトロントの有名シェフが移り住んでレストランをオープンするなど、グルメエリアとしても評判を呼んでいるそうだ。トロントから東へ200キロほど。足を延ばして、田舎の旅を楽しんでみては。

実は、トロントに行くついでに何処か立ち寄るところは無いかとオンタリオ州観光局のオフィシャルサイトで探っていたところ、“プリンス・エドワード”の文字が目に飛び込んできた。 “赤毛のアンの島”として知られるアイランドと同じ名前に惹かれた。ワインエリアと知って、寄り道先ではなく滞在先に決めた次第。1泊で、のんびりと・・はできなかったが、景観や雰囲気を楽しみつつ、ワイナリーを10件近く巡った。余談だが、「赤毛のアン」の家、グリーンゲーブルズ(緑の切妻屋根)風な家屋を何軒も見かけ、共通する良さを感じた。

まだ、それほど観光地化していないせいか、学校の夏休みとはいえ平日だったせいか、ワイナリーやレストランの人びともセカセカしていなくて穏やか。土地やワイン造りの歴史を丁寧に語ってくれたオーナーも居た。心休まる、気分爽快なショートトリップであった。

オンタリオ州観光局HP:www.ontariostyle.com

とはいえ、大都市トロント周辺の道路渋滞はラッシュアワーに限らずかなりのもの。ナビによる想定よりも1時間以上かかった。オンタリオ湖の東端キングストンや、セントローレンス川の河口エリアの島々「サウザンド・アイランズ」と合わせて数日回るのもお勧め。秋の紅葉時期には、さらに北東のローレンシャン高原やケベックシティへの途中地点としても良さそう。弊紙ウェブサイトで、「メープル街道 紅葉の旅」と検索し、閲覧いただければ幸い。

挑戦者やこだわりのある生産者による新しいワインの産地

この地でのワイン作りが本格的に始まったのはここ十数年ほど前とのこと。ワイン生産者の組合のホームページに現在載っているワイナリーが33カ所あり、特に南西部の15㎞四方に20件ほどが集中している。PECがワイン作りに最適な風土などの条件に恵まれていることが急増した主因。カルシウム豊富で水はけの良い土、そして比較的冷涼な気候は、ピノ・ノワール、リースリング、シャルドネ、カベルネ・フランなど、ヨーロッパ種のブドウ栽培に最適なのだそうだ。ワイナリーのほとんどは、家族経営や友人と立ち上げた小規模なもの。ワイナリーを訪れないと手に入らない品も少なくない。のどかな田舎道をめぐりながらのお好みワイン探しは、ワイン党ならずとも楽しい散策になることだろう。この地の風光明媚さに惹かれたゆえか、アートギャラリーやスタジオも点在している。ワイナリーツアーも組まれている。

この一帯には時代を感じるビクトリア朝の建物も多く、ワイナリーも、風格のあるお屋敷風、素朴な納屋を改造した施設、可愛いコテージ風の小屋などなど、いわゆるインスタ映えするところが多い。大半が開放的なワイナリーで、Dog Friendly:犬連れOKのワイナリーも多い。レストランを併設している所は数少ないが、ピクニックエリアやバティオで持ち込みのスナック類をつまみながら試飲やワインを楽しめる所もある。ワインの好みがはっきりしている方には、組合ホームページ:www.princeedwardcountywine.caに、ワインのスタイルによって該当ワイナリーを縛りこむ検索機能が付いているので便利。Dog Friendly、ピクニックエリアやレストランの有り無し、車いす対応についてもチェックできる。

ワインの好みも雰囲気の好みもそれぞれ。個性と魅力あるワイナリーの中から、今回は、リポーターが宿泊した先の女性イチオシの(多分、行きやすさもイチオシ要因の)ワイナリーと、人気のピザを提供している家族連れでも行きやすいワイナリーを紹介したい。

Sandbanks Estate Winery サンドバンクス・エステート・ワイナリー

2000年創業、古参ワイナリーの一つ。種類が多く、受賞ワインもいくつもある(下の写真)。

ロゼ系が4種類もあるのも珍しい。5月から10月までは日に3回(10:30am、12pm、2pm*天候による)、無料のワイナリーツアーを提供している。地元産のチーズや、ちょっとしたデリ(つまみ)を置いてあり、ピクニックエリアでワイングラス片手に寛ぐ人たちの姿が多い。屋内には地元アーティストの絵が飾られ、外にはカラフルな椅子がならび、色彩に溢れている。ロイヤリスト・パークウェイ沿いで、アクセスも良い。年中オープン。下記ウェブにテイスティング(試飲)のクーポン有り!

【ウェブサイト】www.sandbankswinery.com
【住所】17598 Loyalist Parkway, Wellington, Ontario

Norman Hardie ノーマン・ハーディ 

幹線から外れたカントリーロードの奥にある。トロントの名門フォー・シーズンズ・ホテルで7年間ソムリエとして活躍していたノーマン・ハーディさんがオーナー兼ワインメーカー。自分ならではの高品質ワイン、特に美味しいピノ・ノワール作りを目指し、世界各地のワイン産地で学んだのち、ピノ・ノワールに最適なこの地でワイナリーをオープンしたという。数種類のワインがあるが、オーナーのイチオシはピノ・ノワール。そしてシャルドネ。「卓越した質」と誇っている。ワインと相性の良いピザがポピュラーで、ランチタイムには平日でも混んでいる。テイスティングルームは年中オープン。レストランは初夏から秋まで。

【ウェブサイト】www.normanhardie.com
【住所】1152 Greer Road, Wellington, Ontario

Rosehall Run

カントリー風。ワインジャムなども販売。

Exferimentation Brewing Company – Pontiac, MI

0

“Mad Scientists”なブリューワリー

「何か目的をなくしている、そんなPontiacを再生するのを助けたい」。「経験もないし、予算もないし」、そして「Pontiacに以前の活気をとりもどしてほしい」。“Mad Scientists”が集まり、ブリューワリーを始めた。

Exferimentation Brewing Companyは先日、2周年記念を迎えたばかりだ。3人のオーナーはそれぞれ出身地が違うが、共通点はサイエンス。オーダーはサーバーに注文するのではなく、カウンターまで行ってグラスに注がれたビールを受け取る。最近オープンしたナノ、マイクロ・ブリューワリーではこの形をよく見かける。でも、ここではグラスの代わりにビーカー。壁に目をやると小さなプレートの集まりがある。元素の周期表を模したもの。中学校時代に“水兵リーベは…”と唱えて元素記号と元素名を覚えた人も多いだろう。このプレートをよく見ると、一つ一つのプレートには意味がある。中央にビールの名前のアルファベット三文字、下にはABV(アルコール度数)、上にビールのスタイルと比重。「サイエンスが好きだから、オーナーの一人Ericの考案したものよ」とマーケティングマネージャーが教えてくれた。サイエンス、というと難しいような気がして、少し尻ごみしかねない人も多いかもしれないが、インタビューに答えてくれたEricは実に丁寧に話してくれた。

現在のミシガンのブリューワリーについてはどう思うか、と聞いてみると、「すごいね。でも、自分たちはシンプルなものを目指している」ときっぱり。「だれもがIPA(India pale Ale)スタイルを好むけれども、次の時代のビールを造っていきたい」とも語った。

中でもおもしろいと思ったビールはKakahiaka Onu(8.0%)。スタウトのスタイルでコーヒーの風味、ほどよい苦味もあり、独特のまろやかさが楽しめる。名前から想像できるように、フレーバーにハワイのKonaコーヒーを使い作られた。このブリューワリーではコア(メインになる常時あるビール)は特になく、サイトを見てもわかるとおり、幾つかのビールが常に入れ替わりラインアップされている。インタビューをしたときに、「これが今人気がある」といっていたHurricane M’Shane(6.7%)も一ヵ月後にはリストにはない。そういったある種のスマートさが、このオーナーから窺われたこのブリューワリーの魅力だ。

Pontiacのダウンタウンに真ん中にブリューワリーはある。最新のメーター式のストリートパーキングも目の前。1時間1ドル。次の通りにはMcLaren Hospitalがあり、そのパーキングを使うことも可能だ。$3だが、夜8時以降はフリーになるそうだ。Ericはパーキング等は安心できる、と太鼓判を押していた。

店内の規模は大きくはないが、ビールのほかにワイン、キッチンがあり食べ物も提供している。アメリカ発で日本でも最近流行の兆しの「スライダー」。簡単に言ってしまえば、ミニサイズのハンバーガーもおもしろい。ホットドッグもある。1つなら$4.5だが、2つで$8、3つで$10というお手軽さ。店内でゆっくり飲むのは、と言う人のためにBeer To Go (4缶パック)もある。ビールの種類ごとに値段が異なる($11-15)。

さて、7月の末に大々的に2周年記念を行った。そのときリリースしたのが、Beruset RosinとLittle Figgy。前者はレーズンをラム酒に浸して醸造、後者はフィグ(乾燥イチジク)フレーバーのビール。こちらは44缶のみの限定品。一般の販売店での販路拡大も見据えている。

Exferimentation Brewing Company

【住所】7N Saginaw, Suite 1A, Pontiac, MI 48342
【ウェブサイト】https://exferimentationbrewing.com/

The Western House (Brighton, MI)

古きたたずまいを残すThe Western House

文&写真 by ヤマトノオロチ

BrightonはI-96経由でNoviから15分ほどのところにある。初夏から夏にかけてはNoviを抜けた後からは両側に緑の森が茂り、Kensington Metro Parkの湖などが美しい。Brightonの町の歴史は1832年にさかのぼる。歴史ある町のひとつだ。

Brewery BeckerはBrighton唯一のブリューワリーで2014年にオープン。建物自体はダウンタウンのメインストリートに面しており、1871年に建設が始まり、1873年に建てられた。レンガ造りの外観のほか、ドア、ガス灯、2階から3階へと続く階段は建てられたときのオリジナルの物やそのレプリカで、ブリューワリーに重厚さをもたらしている。

10人ほどが座れるこじんまりとしたバーエリア。広々と広がる歴史あるフロアーとスツール、テーブルだが、ブリューワリー自体は実にモダン。グルテン・フリーのビールも多く、食生活のスタイルが多様化している今の人々にも受け入れられるようにという努力も惜しまない。

“Fine artisanal and historic Ales and Lager”の自負どおり、Pre-Prohibition 時代からのスタイルの1905 Amsdell IPA(ABV. 7.7%)はオーガニックのcorn grits(ひきわりトウモロコシ)を使用、“アメリカ式“のHop beer=IPA。HefeweizenはBrewery Beckerでは人気のバーバリアン・ビール。これもグルテン・フリー(5.2%)。バナナとクローブの風味とクリーミーな感じがスムーズ。メニューには10種類以上のビールがエントリーしている。オンサイトでの醸造なので、人気の物はメニューに載っていても品切れになる可能性もあるので、要注意。

このブリューワリーではスナック的なものはあるがキッチンはない。「ほかの店で作られた料理や、Brightonにはいろいろなレストランがあるから、そこからのデリバリーを持ち込んでもいい」というスタンス。グルテン・フリーに配慮していると同時に、「アルコール類はちょっと」という人にも「ルートビール」などのノンアルコールもある。建物自体は広々としており、週末のみ2階と3階がバーになる。

さて、再びBrewery Beckerの建物の歴史に戻ろう。The Western Houseと呼ばれるこの建物はホテル等の歴史を経て、現在のオーナーが購入し整備した。「さらにもう150年以上の生命をこの建物に吹き込んだ」リノベーション。2,3階は貸しきり可能なフロアーになっているほか、見所も多い。夏にはビアガーデンとしてにぎわう庭のcatalpa(アメリカ・キササゲ)の木は、1892年発行のポストカードにもその姿はあって、すでにThe Western Houseの高さほどだった。ミシガン州の州都に「州で最も古い」catalpaの木があるが、このブリューワリーの木はそれよりも古いのではないか、と言う説もある。また、建物自体イタリア様式を採用しているが、フロントドアは1880年代のイタリア・ジェノバのもの。ミシガンにあるブリューワリーの中でも建物の歴史とインテリアはほかを圧倒している。「マーケティングはリストの一番下」といっていたが、日本の岡崎市にあるブリューパブとコラボしている、とのことでこちらもおもしろい。

Brewery Becker

500 W. Main St., Brighton, MI 48116
電話番号: 810-844-0225
ウェブサイト:http://brewerybecker.com/

シカゴのユニークなピザ Chicago Pizza and Oven Grinder Company

米国ミッドウエスト最大都市であるシカゴ。エンターテイメントもミュージアムもデトロイトの数倍あり、食文化も豊かでレベルが高い。

シカゴ名物にシカゴピザというディープクレストタイプのピザがあるが、今回紹介するのは実にユニークなピザ=PIZZA POT PIE。1972年の創業以来、多くのビザ愛好家に絶賛を受け続けているとのこと。

このお店、予約は取らない。平日の夜遅くに来店したので大して待たずに済んだが、1時間以上の待ち時間も珍しくないようだ。席に着けても、オーダーしてから30分は待つ覚悟をした方がよい。待っている間に多くの客がオーダーする人気の一品がMEDITERRANEAN BREAD。こちらはオーダーしてすぐに出てきた。見て唖然!テーブルに置かれて仰天!30センチ以上ある薄―いブレッドが皿からはみ出ている、というより、皿の上に乗っているのが半分ほど、という状態。あとはテーブルの上に・・・。掃除の行き届いていそうな店ではあるが、抵抗のある人もいそうだ。口にしてみると、ビザブレッドより外カリカリ目で中しっとり目なピタに近い感じ。それに様々なハーブやスパイスがかかっていて、香り高く絶妙な味。4人で1枚でも、前菜としては食べ応えであった。

さて、PIZZA POT PIE登場。見た目は名前のPot Pieというより、丸いパン。「ん?これでピザ?」と思っていたら、ウェイターがおもむろに、大きな皿の上でくるりとひっくり返した。 !?!?  パンに埋もれていたボウルを外すと、チーズが現れた。逆さドーム型とでも言ったら良いだろうか。その厚いチーズの下にはソーセージや野菜やマシュルームがゴロゴロ。ハーフパウンドあるハーフサイズを注文したところ、前述の大きなBREADの後でもあり、小ぶり見えたが、見た目以上のボリュームであった。とはいえ、ピザソースが濃すぎず、家庭的な優しい味で食べやすかった。(味覚には個人差があるが・・・。) ベジタリアンタイプもある。また、テイクアウト用に冷凍のPot Pieも売っている。

レストランのロケーションは、高層ビルが建ち並ぶダウンタウンの中心街からほんの数マイル程で、こんな古めかしい雰囲気のところが今もあるのかと思ったほど、旧い映画シーンのセットのような通りにある。その名もオールドタウンという一画。周囲の建物も店のショーウインドーも趣がある。

このお店も外装も内装もタイムスリップしたような雰囲気。厚いウッドのベンチがオールドファッションで素朴だが、重いムードはなくカジュアルだ。

リンカーン公園動物園(Lincoln Park Zoo)の近く。シカゴの中心街をミシガン湖畔沿いに北上したところだ。

CHICAGO PIZZA AND OVEN GRINDER COMPANY 

2121 NORTH CLARK STREET
CHICAGO, IL 60614

773-248-2570
www.chicagopizzaandovengrinder.com 

平日は夕方(4時)から土日は午前11時半から開店。
支払いは現金のみなので要注意。(ATMマシーン有) 

カナダに最も近く感じるブリューワリー

0

文&写真 by ヤマトノオロチ

「向こう岸のカナダは近く見えるけど、1マイルあるよ。まっすぐ泳いで行ったつもりでも6マイル違うところに着いてしまうさ」。

カナダへのアプローチはデトロイトとウインザーの橋やトンネルが有名だが、ここから20分のPort Huronからもカナダへ通じる橋がある。もともと、St. Clairは18世紀にイギリスが、デトロイトからミシガン州最北端のFort Michilimackinacまでの支配を確かなものにしようとして、St. Clair川河口に作った街。

インディアナ州等で4つのブリューワリーを経営している一族が、故郷のSt. Clairにもオープンさせたのは2014年。一族はアイリッシュだが、この故郷の歴史を大切にしている。ブリューワリーの名前の由来もそこにある。1754-1814年までは60年間の争いと言われる。北米においてフランスとイギリスとの戦争にフランスがネイティブ・アメリカンを巻き込んだ。そこからアメリカ独立戦争を経て、1812年に起こった「米英戦争」(英語ではWar of 1812の表記)まで、この五大湖(Great Lakes)は戦い(military struggles)の舞台だったのだ。

この日、ブリューワリーのことを話してくれたオーナーの一人Krisはこのネーミングのために歴史についても調べ、店内には掲示がある。20年間自動車産業で働いたあと、自宅でのビール作りをビジネスへと発展させた。インディアナのブリューワリー「Danny Boy Beer Works」のライセンス名で缶入りも発売している。War Waterでは16種類がラインアップしていた。ブリューワリーのコンセプトは「みんなに飲みやすく、そして伝統の作り方を踏襲する」。Lefty MIPA(ABV. 6.1%)はいわゆる3Csと呼ばれる人気のあるホップで作られており、ミシガン産のホップ。War’n Sun(ABV. 4.6%)はシトラスの風味で、飲んでいくたびにスムーズに感じるさわやかなIPA。

ブリューワリー内にオープンしているAnchor Point Bistro(https://theanchorpointbistro.com/)から季節ごとのメニューがリリースされ、食事もできる。健康的、ディープフライは使用せず、新鮮なものを、というのがモットー。Muenster Cheese Logsを試してみた。素朴な味がした。

St. Clairはデトロイトから約50マイル。St. Clair湖が美しい。オーナーお勧めのイベントはSt. Clair Beer and Wine Festival (6月9日、http://stclairbeerandwinefest.com/)。ミシガン州内外の40のブリューワリーとワイナリーが出店予定。また、ファミリー向けイベントには7月27-29日のSt. Clair Riverfest (http://www.stclairriverfest.com)だ。毎年5万人が訪れ、バンド演奏、パワーボートレースも観られる。これは入場無料。

のどかで心が静まるようなWar Water BreweryからのSt. Clair湖のカナダのながめは絶品。ボートレースはこのブリューワリーのある広場の前を通る。湖沿いにはボードウォークもあり、淡水湖のボードウォークとしては世界最長を自負する。ブリューワリー前の広場から湖を眺めてみた。まるで南のリゾートにいるようなすがすがしさだった。

War Water Brewery

201 N. Riverside, St. Clair, MI 48079
Tel: 810-289-3921
www.warwaterbrewery.com

B. NEKTAR Meadery – Ferndale, MI

B. NEKTAR Meadery - Ferndale, MI 1

ミシガンの自然を楽しめるMeadery

文&写真 by ヤマトノオロチ

B.NEKTARはFerndaleにあるMead(“ミード”と発音)とCiderが専門の醸造所(Meadery)。以前本誌で紹介したDragonmeadと並んで、精力的に生産を行っている。2006年の創業以来、23州に商品を展開するミシガンを代表するMeaderyだ。アクセスはI-75を9マイルで降りて3分ほどなので、わかりやすい。

ここにはMead, Still mead, Ciderがある。Meadはハチミツと水、時にはハーブなども加え発酵させたアルコール飲料。シナモンやりんごからつくられたものはMeadの中でもcyserという。Still meadは炭酸を加えていないMeadで室温で飲める。アルコール度も高め。Ciderはりんごのほか、さくらんぼなどからつくられたものなど、この日はこれら3種類あわせると20ほどがタップリストにあった。

B.NEKTARは10年ほどの歴史をもつが、同じ通りの中で3度も建物を移動している。

Taproomの周囲は自動車関係のパーツの工場があり、反対側は典型的な平屋の住宅が続く角地。ゆくゆくの醸造施設の拡張を考え、「工場のような広いスペースが必要だったし、人が訪れやすい場所」としてこのロケーションを選んだ。

MeadもCiderもビールと異なりスムーズで炭酸の発泡のキメが細かいところが特徴。

また、加えてあるスパイスやハーブの味と色も楽しめる。ミシガン州でも多くのレストラン等でも提供されているMeadのKill All the Golfer (ABV. 6%)はTeaが加えてあるのでお茶ならではの舌にしみこむ渋さを感じる。CiderのZombie Killer (ABV. 5.5%)はミシガンでもよく見られる紫色の野草star thisleのハチミツとさくらんぼ、りんごから作られていて、味は酸味がややあるが美しいピンク。さらにCiderのDeath Unicorn (ABV. 6%)はblackcurrant(クロスグリ)からつくられる。赤ワインかと思うような鮮やかな色と甘さを抑えた酸味。訪れた客はほとんどの人がフライト(好きな5 oz.を6種。種類により$2から)を楽しんでいた。

Taproomの規模こそは大きくはないが、Mead、Ciderのバラエティーの多さはここでしか味わえない。幸いボトルが、ミシガンでも一般のスーパーや食料品店の店頭でも販売されている。ラベルのグラフィックのユニークさもクオリティの高さを感じる。Taproomを訪れるチャンスがない人もこの素晴らしさを自宅で味わえるだろう。ほかのBreweryにはないものとしてTequila barrel Age pineapple(Tequilaの樽に9ヶ月間仕込んだもの)もユニーク。

B.NEKTAR Meadery

1511 Jarvis
Ferndale, MI 48220

phone: (313) 744-6323

http://www.bnektar.com/

Jamex Brewing Company – St. Clair Shores, MI

Jamex Brewing Company - St. Clair Shores, MI 1

親しみやすい小さなブリューワリー

デトロイトの郊外として発展してきた古い地区、St. Clare Shoresはフランスやドイツからの移民が発祥の地だ。デトロイトから13マイル。現在は発展は終わったが、未だに白人の居住率が9割を超える地区でもある。ここには3件のBreweryがある。どちらかというとアットホームな雰囲気のJamex Brewing Corp.を紹介する。

以前はベーカリーだったところを改造し2バレルシステムというこじんまりな規模だが、中はお客さんでいっぱいだった。床はコンクリートのまま。テレビのスクリーンも控えめな大きさ。それがこのブリューワリーのフレンドリーな雰囲気を表している。80%のお客さんが5分以内のところに住んでいるが、この日初めて訪れてもウエルカム、という雰囲気がよかった。歓迎されているのは新客以外にもいる。ドッグフレンドリー。つながれてはいるが、飼い主に連れられた犬たちが何の違和感もなくブリューワリーの「訪問者」になっている。これもリピート客が多い理由でもある。オーナー兼ブリューマスター夫妻はミシガン出身。西海岸のサンディエゴに一時期住んでいたことがあり、そこでホームブューワリーをはじめた。出身地のミシガンに戻ってきて、それが仕事になった。店の名前も二人の息子にちなんでいるのも、店全体のやさしい雰囲気につながっている。

2バレルのタンクが店の奥にあった。このお客さんの飲む量を本当に作っているのか、と思うほどのこじんまりとした醸造スペース。でも、これも計画どおり。常に8種類がローテーションで作られる。昨年8月のオープン以来、55種類のビールを作ってきた、というから驚きだ。タンクが小さい分、いろいろな種類を作り、新鮮な状態で提供される。確かに、

「これが人気がある」と勧められたCarmen San Diegoはenigmaという、もとはオーストラリアが由来のホップを使っていて、切れ味がよかった。ビール作りの伝統を守りながら、多様なホップを使って作るのを楽しみにしている、のだそう。サンプルサイズ($2)、12Oz($5.5)と量も選べるので、どれがいいか迷ってしまいそうなときにはありがたい。駐車スペースも、フロアー面積の割には広く、これもまた良し。

隣に座った犬と一緒に来ていたカップルもとてもフレンドリー。「毎週、日曜日の午後には来ている」という。「私達もCarmenが好き」だそうだ。St. Clare Shoresはほとんど地元の人しか訪れないのか、と聞いてみると、「ここから少し先に行くとベルアイルもあるし、夏のカーレースは有名」(今年は6月1~3日に開催。http://detroitgp.com/)と教えてもらった。

また、ブリューワリーのあるHarper Avenueを西に2マイルほどいくとGratiot Avenueが走っている。Gratiotはデトロイトの中心から放射状に伸びる幹線の一つで、夏のGratiot Cruiseは有名。(今年は20周年記念。6月16日開催。https://www.cruisin-gratiot.com/)

歴史があるが気さくなアメリカ文化の息づくこの街でうまれたブリューワリー。サンディエゴ仕込のビールの手法は今後どんな風にミックスされていくだろう。

Jamex Brewing Company
21721 Harper Ave
St. Clair Shores, MI 48080
http://jamexbrewing.com/

The Red Baron – Burton, MI

0
The Red Baron - Burton, MI 5

文&写真 by ヤマトノオロチ

フリントはデトロイトからI-75経由で70マイルほど北のところにある。GMの工場のある街として知られる。最近では水道水の問題で、名を聞いたことがある人も多いだろう。今回はFlintのちょっとしたスポットの紹介。

Red Baron―ローカルだが、地元には人気のブリューハウス

Atherton Roadは道路の中央あたりからがっつり冠水していた。「真ん中を通れば行けるよ」とRed Baronの人は電話で教えてくれた。その冠水のところにさしかかる。前の車と同じ軌跡を辿り、ザザーッ、とクリアー。Red Baronは1986年からこの場所に建っているが、12年前に現在のオーナーが買い取り、ブリューワリーをオープンした。

「ここの他にダウンタウンにもお店があって、ちょっとビール作りまで手が回らないのよ」といわれた。その日はクラフトビールはなかった。残念!! でも、ミシガンを中心とした54種類を超えるクラフトビールを出しているのでリストは圧巻だった。Red Baronは実際はフリント郊外のBurtonにある。そのまた近郊のFlushingのオーチャード、JK’s Farmhouse Scrumpy Organic Farm Cider (ABV. 6%)を試してみた。すっきりしていて、10ozで$5.50というのも手ごろだった。CostcoやWhole Foodsでも買えるようなので今度は自宅で試してみたい。

The Red Baron 

Brewpub & Tap Room
2495 S. Center Rd, Burton, MI 48509
www.baronburger.com