Friday, June 21, 2024

世代を超えて広がる草の根交流~ミシガン滋賀県人会開催

湖のつながりで姉妹県州となったミシガン州と滋賀県。昨年には姉妹提携55周年を迎え、8月には三日月大造 滋賀県知事がミシガン州を、9月にはグレッチェン・ホイットマーミシガン州知事が滋賀県を訪問し、55周年を祝うとともに、さらに交流を深めていくことを確認した。

また、昨年10月にはコロナでストップしていたミシガン州から滋賀県への友好親善使節団(グッドウィルミッション)の派遣も4年ぶりに再開し、37名の団員が滋賀県を訪問。姉妹都市でのホームステイを通じて、滋賀県との友情、日本文化への理解を深めた。

こうしたPeople to Peopleの長年にわたる草の根交流により、ミシガン州には滋賀県への愛着やゆかりのある人が多く、こうした方々の交流の機会として、2014年からミシガン滋賀県人会が定期的に開催されている。

3月9日(土)、2024年に入り初めてとなるミシガン滋賀県人会がランシングで開催された。ミシガン滋賀県人会の会長であり、
ミシガン滋賀姉妹県州委員会の会長でもあるジンラン・ワン氏、来賓の在デトロイト日本国総領事館 小川伸首席領事の挨拶の後、懇談がスタート。滋賀県出身者やこれまでの交流で滋賀県に滞在したことのある方、姉妹都市関係者など約50名が食事や折り紙などを楽しみながら交流を深めた。
今回の県人会は、昨年の友好親善使節団に参加した団員らに、滋賀県ゆかりの方との交流を広げてもらうことを目的の一つとしており、使節団に参加した感想や滋賀県での印象に残っていることなどをスピーチする時間も設けらた。世代や性別、国籍も関係なく、滋賀というつながりで集まった参加者。話は盛り上がり、会場は終始和やかな雰囲気に包まれた。

ミシガン滋賀県人会はこれからも定期的に開催予定。滋賀県出身でなくても誰でも気軽に参加可能とのこと。
ご興味のある方は、shigavisitingofficial@michiganshiga.org まで。
(協力:滋賀県)

巣立ちの春  デトロイトりんご会補習授業校 卒園・卒業式~

3月16日、午前中は借用校舎のノバイメドウズ校体育館で卒園式が、午後からはノバイ高校オーディトリアムにて小学部・中学部・高等部合同の卒業式が行われた。

晴れの日を迎えたのは、幼稚園年長56人、小学部6年64 人、中学部3年33人、高等部
3年6人。一人一人に卒業証書が手渡された。式では来賓の在デトロイト日本国総領事館領事 海老原強氏、りんご会理事長佐々木信氏が祝辞を述べた。

林る美学校長(日本国政府派遣教員)は、この卒業式をもって3年の任期を終え、帰国の途についた。 (JNC 写真・りんご会提供)

日本食・滋賀の食文化を米国ミシガン州で発信 グランドラピッズ 日本食イベント開催

昨年、ミシガン州は、滋賀県との姉妹州県提携55周年を迎えた。その交流の取組の一環として、去る3月、グランドラピッズ・コミュニティカレッジの料理学部において、滋賀県近江八幡市の「ひさご寿し」の料理長で、国内外で活躍する川西豪志氏を招いた特別講義が行われた。

グランドラピッズ市は1986年に滋賀近江八幡市と姉妹都市提携を結んだ。今回、料理学部の特別講義では、川西料理長より日本食の背景にある日本人の価値観、生活スタイル、歴史的背景、日本食の特徴(季節、漆器、包丁など)について紹介され、その後、滋賀県の郷土料理「かしわ(鶏肉)のじゅんじゅん(すき焼き風の味付けの鍋料理)」をはじめ、ちらし寿し、茶碗蒸し、野菜の胡麻和えなど、手順を説明しながら10名分を料理長が調理実演。学生たちは、だしの作り方や盛り付けの仕方、油をあまり使用しない調理方法などを学んだ。実際、翌日は川西料理長の指導を受けながらコミュニティカレッジ内のレストランで一般客に特別ランチメニューとして提供される実習も行われた。ゲストからは、「大変美味しい」「なかなか味わえない本格的な日本食が味わえてうれしい」といった声が聞かれ、特に「かしわのじゅんじゅん」の中に入っているこんにゃくが馴染みのない食材だったので「これは何か?」という質問が多く出された。こんにゃくの説明とあわせて、近江八幡市の名物である「赤こんにゃく」も紹介された。

実際、参加した学生は「普段使わない食材の扱い方、調理技術を学ぶことができた」「野菜の胡麻和えは、私たちにはない野菜の提供の仕方で、こんな方法があるということを知れただけでも大変価値があった」「貴重な体験だった」「日本食は素材の魅力そのものを提供している、もっと学びたい」など大変高評価の講義となった。

あわせて、3月29日には、ミシガン州立大学(イーストランシング市)でも特別講義『日本人はなぜそうするのか。日本の食文化から読み解く日本人』を開催。
こちらも学生らは大変熱心に講義を受け、質疑応答では積極的に質問が出された。「一番好きな寿司に使う素材は?」という質問に対して、川西料理長は「ビワマス」を紹介。ビワマスは琵琶湖のアユを食べるので、身に上質な脂を蓄えることなどが紹介されると、参加者からは「食べたい」といった声が上がった。  (写真提供:滋賀県)

 

 

駿台さくらプリスクール・幼稚園  米澤昭子園長先生 インタビュー

駿台ミシガンさくら幼稚園で長きにわたり教鞭を取られている幼児教育のエキスパートで、園長の米澤昭子先生。さくらプリスクールの開園にともない、園の紹介、保育・幼児教育についてお話をうかがいました。(JNC)

まずはさくら幼稚園、プリスクールについて教えてください。

さくら幼稚園は設立より20年が過ぎましたが、さくらプリスクールは、昨年10月に州の認可がおり、今年から正式に募集を開始しているところです。プリスクールということで、年齢を下げてお預かりする体制が整ったというところです。

 

さくら幼稚園・プリスクールの学校の理念は

さくら幼稚園・さくらプリスクール、どちらもなんですけども、幼児教育として子供たちの発育を適正に促していくことが最も大切な役割だと考えています。やはり米国にあるという特殊性から、やがて日本に帰っていく子どもたちの母語を育て、日本文化への理解を育む、また、そのまま米国に残る子供たちが日本語や日本文化に触れる、触れ合う場所を提供するということを重視しています。特に帰国が前提の子供たちが、言語形成期に学習言語としての日本語をきちんと身につけられるようにすることは最大の使命だと考えています。

 

現在、何名ぐらいのお子さんたちが学んでいらっしゃるんでしょうか。

幼稚園の補習校部門は、毎週土曜日、現在9名の子どもたちが在籍し、楽しくのびのびと学んでいます。9時から3時半までお預かりしていますが一人一人に目が行き届くように人数を制限して運営しています。平日のクラスは、曜日や時間帯によってまちまちですが、これも数名程度で親密なクラスです。プリスクール部門は開設したばかりなので、これからぜひ人数が増えたらいいなと思っています。

 

さくら幼稚園の特徴は?

やはり日本語の育成に重点を置いているということです。アイデンティティの拠り所として、そして一生の学習活動を支えてくれる言語学習を何よりも大切にしています。それと関連して、文化を学ぶことも重要ですのでお正月、節分、ひな祭り、端午の節句などの日本の行事もしっかり取り入れています。特に夏祭りは日本のお祭りの雰囲気さながらで、子供たちにとっても忘れられない思い出になっているようです。

4月に新学期が始まりましたが、どうですか。

新入園児もすぐに園生活に慣れまして、いつも通りの楽しいさくら幼稚園の雰囲気がまた始まりました。今年はコロナで中断していた入園、入学式ができまして、久しぶりの和やかな式ができて嬉しかったです。

 

クラスに関して教えてください。

日本語が主体で、日本の幼稚園、日本の保育園と同じカリキュラムで指導をしています。基本的にクラスは私が担当していますが、子供の人数によって補助教諭が入ることがあります。

 

先生についてお聞かせください。さくら幼稚園で米澤先生が教えるきっかけ、経緯をお話しください。

私は、日本に住んでいたころから40数年教師をしています。もともと海外の方に興味がありまして、子供もいたのですが、異文化の中で我が子を育ててみたいという思いがありまして、それで最初はミシガンにあった他の幼稚園にてお仕事させてもらったのが始まりです。一度は日本に戻ったんですけど、またこちらのさくら幼稚園に再採用していただきまして、戻ってきたということですね。合計こちらでは15年教員をしています。こちらで日本語に触れることが少ない子供たちに、そういう幼児教育と共に日本語ということを重視した教育をしてお役に立てればいいなと思って現在に至っています。日本では保育園で教員をしていました。

保育のお仕事についてどう感じていらっしゃいますか。

日本の保育園というのは基本的にお母さん、母親が仕事を持っていて、仕事をしている間、見てくれる人がいないというお母さんを対象に預かる機関です。そこで、やっぱりお母さんのような愛情を注いであげたい、そして子供たちの成長、健やかな成長をサポートできればと何十年にもわたり保育士をしてきました。

 

日本文化や日本語を保育で教える際に心がけていることは。

一人一人を尊重する、一人一人に寄り添う、そしてその子その子の発達状況や性格に合わせた指導や教育ができるように心がけています。

 

保育で面白いと感じるようなところはどういった点でしょうか。

子どもたちのいろんな反応ですかね。自分が投げかけたことに対する反応が様々なので、私も日々、学んでおります。はい、楽しみながら学んでおります。

 

これからさくら幼稚園の入園を考えていらっしゃるご家庭に一言。

アメリカでの日本語の育成ということで、日本の文化に触れることに関して、日本にいる子どもたちに比べると、ずっと言葉を育む機会が少なくなっています。さくら幼稚園ではそのあたりをサポートいたしますので、ぜひ安心してお預けいただけたらと思っています。

私もこれまでたくさんのお子さんに出会ってきましたが、これからもたくさんのお子さんと触れ合うのを楽しみにしております。プリスクール、幼稚園どちらも、見学、説明、育児相談など随時行っていますので、どうぞお気軽にご連絡ください。ぜひお顔を見せにきてください、ということをお知らせしたいです。

 

米澤先生に対する保護者の声:

「2歳で渡米して英語オンリーになりかけていた当時6歳の娘に、日本語話者としての誇りを与え、日本文化への愛を育ててくれました。

娘がサマースクールに8週間通ったその初日から、「たのしかった~。いぬもあるけばぼうにあたる~」と言いながら帰って来たときにはびっくりしました。のびのび元気なお習字、みんなが画伯になっちゃう絵の時間など、子どもの気持ちを巧みに後押しし、ポテンシャルを引き出してくれます。

しかし、その指導は、こちらのパターンに子どもを合わせるような一律のものではなく、子どもの個性や特徴を的確に捉え、その子その子に合った導き、促しを、まさに黒子のようにさりげなくしてくれるので、自然に日本語や日本文化のすばらしさを体感するようになり、そして芸術や学習に対しての興味も高まってきます。

ある日、帰りの車で「今日は何したの?」と訊いたら、「おやのこころ、子しらず~」と返ってきて、思わず噴き出したこともありました。

お迎えの際には、いつも、若い母親の不安に応えるようなちょっとしたアドバイス、またわが子の成長・発育についての経験豊富な一言があり、本人が楽しかっただけでなく、親の側もたいへんに勉強になりました。

その後そのままアメリカで育つこととなった娘が、今も携帯を日本語設定にして日本語を使いこなし、また、祖父のターミナルケアの際には長期帰国して八面六臂の活躍をしたことなど、あの米澤保育の時間がなけれ、絶対にありえなかったことだと、心から感謝しています。

幼児期に米国で過ごすことで、母語として、学習言語としての日本語の確立が不十分になって、後にたいへんな苦労をするケースというのをたくさん見てきているので、米澤先生の幼児教育が、少しでも多くの人の福音となることを願っています。」

――――――インタビューを終えて

米澤先生の穏やかで愛情あふれる表情が印象的で、温かなお人柄が感じられたインタ
ビューでした。近年ミシガンも日本語の保育、幼児教育、言語学習、文化交流の場も増えて
きています。日本語、バイリンガル教育において、それぞれのご家庭に合う環境が見つかる
ことを願っています。(JNC)

ミシガンに春を告げる「ひなまつり」開催“Re-Birth”―『再生』から新たなページ

日本の暦ではまさしくひな祭りの日にあたった3月3日、ひな祭りイベントがデトロイト美術館(DIA)で行われた。JCD(Japan Cultural Development)が企画運営したイベントで、朝から青空が広がり、10時の開館と同時のイベント開始にはややゆっくりだった出足も、午後からは多くの来場者でにぎわった。

数々の入場者体験型プログラム、姉妹州県滋賀の紹介、レクチャーホールでのパフォーマンス、展示、ガラポンゲーム、紙芝居、日本ギャラリーツアーが行われた。特筆すべきことは、今年は「Re-birth(再生)」をテーマにした参加型インスタレーションアートと和紙アートの展示がGreat Hallで行われたこと。2013年7月のデトロイト市財政破綻から丸10年が経過した。10年間でデトロイト市は市街地やダウンタウンの再開発で整備が進み、Amazonの物流センターの誘致など自動車産業以外の進出企業を歓迎していることも再生につながった。その中で日々この街に生きる人々がともに再生を歩んできたことは言うまでもない。インスタレーションアートは、藤井京子氏、山﨑信子氏、大竹紗央氏が担当。「一年前からこの企画を温めてきた。10年前の破綻時にはDIAにも危機があり、そこから再生した」(藤井氏)、「初めてのコラボで楽しく制作できた」(山﨑氏)と、再生の新たなスタートとなる新鮮な企画について語った。チューブと針金、そして巻きつけたフェルトの同作品について大竹氏は「(モチーフのピンクの)ミミズは体を収縮させながら前進する生物。忍耐強さ、コンスタントに頑張っていく様子が、再生と同じと感じた」と述べた。Great HallはWoodward Avenueからの入り口にあるので、そのインパクトの大きさは圧巻。この作品には、実は中に入っていくことができる。近くのテーブルで折り紙のだまし船、風車を折り、メッセージを書きつけ、つるしびなのようにメッセージをつるしていく、という趣向だ。「(折り紙に書かれた)人の願いを見てみたい、というのは日本的な心理。他者のメッセージを読むことで、他者とのつながりを持てることも考えた」と大竹氏は言う。再生、デトロイト、そしてこの美術館に足を運んだ人々は思い思いのメッセージを書きつけ、アート空間を楽しんでいた。

続くRivera Courtでは、ボランティアが大活躍。ひな祭りにちなんだ折り紙を来場者に楽しんでもらうOrigami Workshopが終日行われていた。同じフロアーでは、生け花、着物、雛段飾り、神輿の展示も行われていた。見事な雛段飾りの前では、子供連れやグループで来場した人々が記念写真を撮る様子も見られ、伝統的な日本の工芸・文化を楽しんでいた。OrigamiWorkshopの対面は生け花の展示。Ikebana InternationalのDetroit Chapter #85のLeslie Ann Rosinskiさんは「コメ、小花、水で春の到来をイメージした」と、日本文化のモチーフの中の静を表現していた。

Miyabiは1997年に発足、琴・尺八を文化イベントで演奏披露をするサークル。この日
www.JapanNewsClub.com April 2024
は6人で琴を演奏。13の弦が紡ぎだす音色に来場者は魅了された。現代音楽、『となりのトトロ』のテーマ曲、そして映画、ブロードウェイのミュージカルでも知られる『Fiddler on the Roof』 (邦題:「屋根の上のバイオリン弾き」)の劇中歌「Sunrise, Sunset」を演奏した。ジブリのアニメはアメリカでも有名だが、最近の世代はトトロの曲をあまり知らない人が増えてきているそうだ。帝政ロシア下のユダヤ教一家とコミュニティーを描いたこのミュージカルの劇中歌は世代や国を越え知っている人も多く、このひな祭りイベントでは演奏者を観客が大きく囲み、奏でる音に聴き入っていた。

ステージ上に茶室空間を作り、茶道のお点前を披露したのは表千家と裏千家の皆さん。桃の花が咲くころの季節感を床の間に架けられたひな祭りの掛け軸、花で演出した。お点前のあとには、先着限定名の参観者にお茶と春の茶菓がふるまわれた。デトロイト近郊からこのひな祭りに来た、という日本人と現地の親子連れの方は「何年か前にもこの祭りに来た。今日は久しぶりにPlay-Dateとしてこのイベントを選んだ。茶道は普段見ることはできないのでよかった」と伝統文化をともに楽しむ機会となったことを語った。

今年度、初めての企画としてDIAのボランティアによる「Japanese Gallery & Friendship Doll Tours」も行われた。DIAには2017年に創設された日本ギャラリーがある。仏像、兜、現代陶磁器作家の作品の展示、能舞台の説明のビデオ、茶室・茶道具の説明のシミュレーションなどがある。最近展示を衣替えし展示が始まった円山応挙の1781年の作、「龍と虎」の屏風を前にして、作者の意図的な空間の配置を15名ほどのツアー参加者に解説をした。その後、ツアーは6月5日まで行われている「Japanese Friendship Dolls」の展示場所へ移動。日米関係が悪化する中、1920年代にアメリカから日本に贈られた約12000体の人形へのお礼として、日本から市松人形が贈られた。答礼人形である。その58体の市松人形の一体であるMs. Akitaと1930年代に作られたAkita SugioはDetroit Children’s Museumが所蔵。2018年に作られたTomokiはDIAが所蔵している。昨年12月からの特別展示で、Ohio History Connectionが所蔵しているMs. Osakaとともに、現在DIAにこれらが展示されている。小学生のお子さんとツアーに参加したアメリカ人の男性は「日本の文化が静寂と伝統を大切にしている、という印象を受けた。素晴らしい。答礼人形については初めて知った。友好と平和を表しているとわかった」とツアーと展示についての感想を話してくれた。お子さんもこのイベントの折り紙を楽しんだそうだ。ひな祭りに来場したきっかけはDIAの会員に配信されるメッセージ。文化を通してDIAと日本の相互理解が着々と根付いていっていることを取材を通して感じた。

「ひな祭り」はJBSDの下、JCDが企画実行に当たった。2013年のデトロイト市財政破綻ののち、DIAは一時閉館された。再建のためJBSDは320万ドルの寄付金を集め、日系コミュニティーは地域の文化活動再生に大きな貢献を果たした。JCDはDIAと日系コミュニティーを文化でつなぐ活動推進のために2016年に設立された。 (JNC)

りんご会入園式・入学式が行われる

りんご会入園式・入学式が行われる

4月13日、デトロイト・りんご会補習授業校の入園・入学式が行われた。その週は冷たい雨が数日間続いていたが、この土曜日は入園・入学を楽しみに待っていた子供のたちの思いがかなったような、美しい青空が広がった。

「新一年生はお父さん、お母さんに手を引かれてこの日を待っていた様子がよくわかります。幸せそうな雰囲気でした」と、初日を終えた後、小学部・教務主任の高橋美季先生は語ってくださった。午前中、ノバイメドウズ校体育館で行われた小学部入学式では、校長先生のお話の後、最初は緊張していた新一年生も、校長先生からの何度かの問いかけに元気な声で答えていた。新六年生は式で校歌のプレゼントをした。貫禄あるお兄さん、お姉さんとして、新一年生に「小学部は楽しいことがいっぱいあるよ」とメッセージを送った。

 

中・高等部の入学式は小学部に先立って、もう一つの借用校舎のノバイ高校体育館で行われた。参式した来賓の在デトロイト日本国総領事館の小川伸首席領事は「皆さんの年代は自分を知るチャンスの時期です。デトロイト郊外のこの地域での生活を楽しんでください。そしてアメリカで学ぶということ、国際人として世界のことに目を向けて行ってください」と新たなスタートに臨む生徒たちにお祝いと励ましの言葉を送った。田中孝学校長は詩人・宮沢章二氏の「流れの中で」を引用し、二度と戻らない時間を大切にすることを話した。りんご会運営委員長の藤代俊氏も励ましの言葉を述べた。平日通う現地校との両立の大変さを乗り越え、小学部、中学部から上の学部に進級する生徒も多い。新入生代表はその大変さ以上に土曜日に会える友達との楽しい学校生活、行事活動に期待を膨らませ頑張っていく、と決意の言葉を発表した。在校生代表からも、真の学びあいの場として時間を大切にしていこうと、歓迎の言葉が語られ、同校の生徒たちの伸びやかさがうかがわれた。午後からは、メドウズ校にて幼稚園部の入園式も行われた。

入園・入学生は幼稚園部34名、小学部91名、中学部49名、高等部24名。デトロイトりんご会補習授業校は、昨年創立50周年を迎え、次の半世紀への新たなスタートを切った。日本国派遣教員の校長、教頭の指導の下、812名の児童生徒、107名の教職員で年間42週の日本語による補習授業を行うほか、大運動会、文化祭、音楽会、お餅つきなど、日本国内の教育活動を基にした行事等をカリキュラムに含む、ミシガンの日本語教育施設の中核をなす学校である。

Japanese Friendship Dolls  答礼人形展 DIAで6月5日まで

Japanese Friendship Dolls  答礼人形展 DIAで6月5日まで

1920年代に日米関係が緊張を迎えた時、友人である日米の二人が友好と文化理解のために人形を双方の国へ送るプログラムを立ち上げた。実業家・渋沢栄一とMissionary Sidney Lewis Gulick。アメリカ側からは12000体の人形が贈られた。それぞれの人形にはパスポートが与えられ、一つ一つの人形に送り側の心が込められた。それに返礼する58体の市松人形が各州に送られた。「答礼人形」である。人形には当時の日本の県の名前が付けられた。デトロイト美術館(DIA)で6月5日(水)まで、合計5体の市松人形の展示が行われている。DIAのLawrence Baranski氏に (DIA Public Program) にこの展示についてのお話を伺った。

Detroit Children’s MuseumからはMiss. Akita、Ohio Historical Society所蔵のMiss. Osaka、Baltimore Museum of ArtのMiss. Hiroshima。さらにMiss. Akitaの弟として1930年台に作られたAkita Sugi-o(Detroit Children’s Museum)と、2018年に作られ、当時デトロイト郊外に在住した日本人中学生が公募で命名したTomoki (DIA)の5体の展示。

美術館サイドとしての視点では、収蔵品の貸し出しはしばしばあることで、今回も展示物のサイズや展示する場所などを考慮して、専門の移動委託会社により、DIAに貸し出しが行われた。人形の展示の宿命として着物の生地や質を保つために、展示の際の光の量、温度が詳細に考慮されたという。それぞれの答礼人形には、アメリカ側と同様、パスポートが与えられている。そして、「お嫁入り道具」として茶器、衣装箱や琴、三味線、裁縫道具などを供にしている。Tomokiは男の子の節句の鯉のぼりと兜。それぞれが職人による精巧かつ美しい伝統工芸のミニチュア版を従えている。エジプトとロマネスクの展示の間の通路に場所が決まった。Baranski氏はさらにこの展示について結果的には、Lecture Hallの前なので、多くの人の目に触れる場所となった、という。

「Attractive」。この展示に人々は市松人形の美しさ、貴重な美しさに誰もが目を奪われるだろう。その目に見える美しさ以上に、この人形の持つ背景、物語に人々が心を打たれると思う、とBaranski氏は言った。Lecture Hall や美術館を訪れた人々がこの展示に影響や感銘を受ける。1920年代の感慨の深い歴史を知ることになることを望む、と言う。

今まで知らなかったこと、親しみのなかったことを知り、訪れた人が楽しむ、そして、さらに多くの人が美術館を訪れて、感動を膨らませる―お話を伺い、美術館の持つ可能性、創造性、広がりを感じた。

Baranski氏は「2027年にこの答礼人形たちは100周年を迎えるので、全米でお祝いを持とうという案も出てきている」という。また、5月はDIA Film Theaterで日本映画も上映されるので、こちらも来場してほしい、と日系コミュニティーへのメッセージをもらった。海外でも賞を受賞し高い評価を受けた “Evil Does Not Exist” (邦題:「悪は存在しない」。監督:濱口竜介。2023年)を5月24日~26日に上映予定。

Detroit Institute of Arts Museum    https://dia.org

*Wayne, Macomb, Oakland Countyの住民は人形展を含む美術館の入場料無料。Film Theaterは料金別途。

 

迫力と笑い ― 三遊亭ぽん太 ミシガン公演が繰り広げられる