Friday, June 21, 2024

Ken Ken Gaku Gaku (Vol. 126)喧喧諤諤 第126回:防災の日に寄せて

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喧喧諤諤 ケンケンガクガク
喧喧諤諤

9月。日本ではまだまだ残暑が続く中、米国では各種学校の新年度、新学期が始まります。3ヶ月近い長い夏休みが終わり、新入学の生徒・学生は新しい学校と新しい顔ぶれの先生や仲間達との出会いに期待と不安の入り混じった気持ちを抱きながら初登校。同じ学校で持ち上がり進級の生徒・学生は休みボケの頭と体を元に戻すのに苦労しながら登校です。日本でもそうですが、夏休み前に習った授業内容を復習せずかなり忘れてしまう子も多いようで先生方も大変です。

夏休みの間に米国ではつい先日日本代表の連覇で終わったリトルリーグ・ワールドシリーズがありました。日本ではお馴染みの高校野球全国大会『熱闘甲子園』。その昔日本に居た頃は休日はもちろん、平日の昼休みなど仕事の合間にテレビ、車で移動中のラジオの実況放送、ニュース番組に目を凝らし、耳をそばだてていたものです。こちら米国ではそうも行かず、もっぱら新聞の電子版、ネットニュースや関連記事で後追いですが、今年も悲喜こもごも色々なドラマがありました。共に初優勝を掛けて戦った前橋育英高校と延岡学園の決勝戦は中盤で3-3の同点、終盤1点を争う好ゲームとなり、決勝点をもぎ取った前橋育英が群馬県勢としては史上2度目、初出場・初優勝の栄誉に輝きました。延岡学園は惜しくも後一歩で宮崎県勢として初優勝を逃しましたが、試合後の関連記事では両校選手のこれぞ高校野球のお手本と言える礼儀正しく清々しい戦い振りが伝えられ、両校監督や選手のコメントからも野球以前の日頃の指導と心構えが伺えて久し振りに心温まるものがありました。選手、監督、世話係、応援の皆さんお疲れ様!汗と感動をありがとう!!

さて、今回はのテーマは『防災の日に寄せて』です。

皆さんご存知のように日本では9月1日は『防災の日』。防災システム、行動指針、作業手順の点検・確認や模擬訓練などが全国各地で行われ、各種の自然災害、人災に備えて日頃から十分心構えをするように気持ちを引き締める日です。

また、それに先立つ8月30日には気象庁による『特別警報』の運用がスタートしました。

従来からあった各種注意報・警報の上位に位置するもので、最も緊急度が高く最大限の警戒を呼び掛ける警報です。2年前の東日本大震災の地震と大津波、二次災害的な原発事故、古くは関東大震災や伊勢湾台風の地震・広域火災、強風・豪雨・高潮・洪水被害など数十年に一度あるかないかという従来警報の発令基準を遥かに超えるほど大規模な異常事態が予想され、重大な災害の危険性が著しく高まった場合に新たに『特別警報』を発令されます。ここでは詳細を省きますが、気象庁のホームページの説明では対象地区の住民や訪問・滞在者は「直ちに命を守るための行動を取ってください。」とあります。一度ホームページを閲覧頂くとベストですね。

米国では特に『防災の日』が制定されていませんが、当地在住・滞在中の皆さんも良い機会ですので職場や家庭、公共の場所でイザと言う時にご自分とご家族、周囲の人々の命を守るための方法と手順を改めて考えて整理しておく事をお勧めします。

具体的には、氏名、血液型、緊急時の相互の連絡先、連絡方法、避難先などを幾つかリストアップし、優先順位をつけて書き出したメモをパスポート、運転免許証のような本人確認の出来る身分証明書と一緒に常時身に着けておくとベストでしょう。携帯電話やスマートフォン、モバイル、タブレットなどへの書き込みは停電時や電波・通信混乱時など電源やアクセスが確保出来ない場合もあり得るので、やはり紙に書いたメモが一番確かです。

特に子供さんやお年寄り、病気・けがで入院または加療中の方、ハンデキャップをお持ちの方、英語が不得手で英語の放送や避難・誘導指示が正確に理解出来ない方、土地勘のない日本や他州・他地域からの出張者・来訪者に関しては余計に留意する必要があります。

このところ米国でも毎年のように大雨、洪水、土砂崩れ、山火事、竜巻、ハリケーン、豪雪、雪崩などの自然災害がありますし、テロ、銃乱射、誘拐事件などのニュースも「またか!?」と言うくらい日常的になっていますので、日頃から念には念を入れて安全と防災対策を考えて可能な限りベストの備えをしておかねばなりません。

以上、防災の日に寄せて書き連ねてみました。皆さん、どうぞ安全第一でお過ごし下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

9月。日本ではまだまだ残暑が続く中、米国では各種学校の新年度、新学期が始まります。3ヶ月近い長い夏休みが終わり、新入学の生徒・学生は新しい学校と新しい顔ぶれの先生や仲間達との出会いに期待と不安の入り混じった気持ちを抱きながら初登校。同じ学校で持ち上がり進級の生徒・学生は休みボケの頭と体を元に戻すのに苦労しながら登校です。日本でもそうですが、夏休み前に習った授業内容を復習せずかなり忘れてしまう子も多いようで先生方も大変です。

夏休みの間に米国ではつい先日日本代表の連覇で終わったリトルリーグ・ワールドシリーズがありました。日本ではお馴染みの高校野球全国大会『熱闘甲子園』。その昔日本に居た頃は休日はもちろん、平日の昼休みなど仕事の合間にテレビ、車で移動中のラジオの実況放送、ニュース番組に目を凝らし、耳をそばだてていたものです。こちら米国ではそうも行かず、もっぱら新聞の電子版、ネットニュースや関連記事で後追いですが、今年も悲喜こもごも色々なドラマがありました。共に初優勝を掛けて戦った前橋育英高校と延岡学園の決勝戦は中盤で3-3の同点、終盤1点を争う好ゲームとなり、決勝点をもぎ取った前橋育英が群馬県勢としては史上2度目、初出場・初優勝の栄誉に輝きました。延岡学園は惜しくも後一歩で宮崎県勢として初優勝を逃しましたが、試合後の関連記事では両校選手のこれぞ高校野球のお手本と言える礼儀正しく清々しい戦い振りが伝えられ、両校監督や選手のコメントからも野球以前の日頃の指導と心構えが伺えて久し振りに心温まるものがありました。選手、監督、世話係、応援の皆さんお疲れ様!汗と感動をありがとう!!

さて、今回はのテーマは『防災の日に寄せて』です。

皆さんご存知のように日本では9月1日は『防災の日』。防災システム、行動指針、作業手順の点検・確認や模擬訓練などが全国各地で行われ、各種の自然災害、人災に備えて日頃から十分心構えをするように気持ちを引き締める日です。

また、それに先立つ8月30日には気象庁による『特別警報』の運用がスタートしました。

従来からあった各種注意報・警報の上位に位置するもので、最も緊急度が高く最大限の警戒を呼び掛ける警報です。2年前の東日本大震災の地震と大津波、二次災害的な原発事故、古くは関東大震災や伊勢湾台風の地震・広域火災、強風・豪雨・高潮・洪水被害など数十年に一度あるかないかという従来警報の発令基準を遥かに超えるほど大規模な異常事態が予想され、重大な災害の危険性が著しく高まった場合に新たに『特別警報』を発令されます。ここでは詳細を省きますが、気象庁のホームページの説明では対象地区の住民や訪問・滞在者は「直ちに命を守るための行動を取ってください。」とあります。一度ホームページを閲覧頂くとベストですね。

米国では特に『防災の日』が制定されていませんが、当地在住・滞在中の皆さんも良い機会ですので職場や家庭、公共の場所でイザと言う時にご自分とご家族、周囲の人々の命を守るための方法と手順を改めて考えて整理しておく事をお勧めします。

具体的には、氏名、血液型、緊急時の相互の連絡先、連絡方法、避難先などを幾つかリストアップし、優先順位をつけて書き出したメモをパスポート、運転免許証のような本人確認の出来る身分証明書と一緒に常時身に着けておくとベストでしょう。携帯電話やスマートフォン、モバイル、タブレットなどへの書き込みは停電時や電波・通信混乱時など電源やアクセスが確保出来ない場合もあり得るので、やはり紙に書いたメモが一番確かです。

特に子供さんやお年寄り、病気・けがで入院または加療中の方、ハンデキャップをお持ちの方、英語が不得手で英語の放送や避難・誘導指示が正確に理解出来ない方、土地勘のない日本や他州・他地域からの出張者・来訪者に関しては余計に留意する必要があります。

このところ米国でも毎年のように大雨、洪水、土砂崩れ、山火事、竜巻、ハリケーン、豪雪、雪崩などの自然災害がありますし、テロ、銃乱射、誘拐事件などのニュースも「またか!?」と言うくらい日常的になっていますので、日頃から念には念を入れて安全と防災対策を考えて可能な限りベストの備えをしておかねばなりません。

以上、防災の日に寄せて書き連ねてみました。皆さん、どうぞ安全第一でお過ごし下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Gaku (Vol. 126)喧喧諤諤 第126回:継続は力なり

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8月に入りもうすぐお盆ですね。一足早く学校が長い夏休みに入っているので、子供達は毎日元気一杯楽しんでいる一方でお母さん方は色々面倒見が大変なこととお察し致します。しかしながら、大切なお子さん達がこの時期にしか出来ない事、体験出来ない事を通して心身ともに成長する貴重な時間ですので、夏休みが終わるまで残りひと月ほどご辛抱願います。お父さん方も多忙な仕事にかまけず奥様の強力サポートとお子さんとの接触・共有時間を日頃より少しでも多く持てるように公私とも最適な時間管理をお願いします。9月になって学校の新年度が始まったら、是非奥様に遅がけの夏休みもお忘れなく。

ところで、今月号の原稿を書き始めてはっと気が付いたのですが、何と先月号で私が本欄に寄稿し始めてからまる7年が経過していました。前任者から引継いだのが2006年7月号。途中一度だけ休稿した以外は毎月連載して来ましたが、もうそんなになったかという感じです。その間数少ない(?)ご愛読者の方から「毎回読んでますよ」、「いつも楽しみにしています」、はたまた「心のオアシスです」などと涙がこぼれるようなありがたいお言葉を頂き、それを励みとしてなんとか続いております。ありがとうございます。砂漠のオアシスならいいですが、蜃気楼にならないようにこれからも頑張ります。

さて、今回はそれにも関連して『継続は力なり』というテーマでお話を進めたいと思います。

多少なりともビジネスに携わった経験のある方ならこの言葉を一度ならず耳にしたり、ご自分でも会話の中で使ったりしたことがおありと思いますが、今では一般のビジネスだけでなくスポーツや芸術・芸能、各種イベント、趣味・習い事にまで幅広く使われているようです。

何か一つの事を始めたら、すぐに飽きて止めてしまったり、難しいからと簡単に諦めたりせず、長く続ける事が大事。続ける事によってその分野の理解と知識が深まり、工夫や改善・改良を重ねることによって技量や能力も向上して、より良い結果・成果が出て自信がつき、自分自身だけでなく周囲を巻き込んだ大きな力を生み出すのですね。

「千里の道も一歩から。」最初は途方もなく遠い彼方(かなた)に見える(あるいは見えない)ゴールやとてつもなく難しく思えるレベルの技、芸でも辛抱強く毎日コツコツ地道に努力を続け一歩、一歩前に進み続けると何年か後には思っても見なかった場所や高みに到達出来たり、それまで出来なかった事がある日突然出来るようになるのです。

プロ野球で言えば、ホームラン世界記録の王さん、シーズン最多安打記録(しかもMLBで)のイチロー選手、日本と米国それぞれの連続試合出場記録保持者の衣笠さん、カール・リプケンさんなどがすぐに浮かびます。芸能・エンタメでは『放浪記』舞台公演2017回の『日本のおかあさん』こと故森光子さん。他にも各種スポーツや公演、イベントでの数々の輝かしい記録、テレビやラジオの長寿番組など驚くようなものがまだまだ沢山あります。

祖先や先達の英知や歴史を静かに語り継ぐ世界遺産、文化遺産なども何百年、何千年とそれこそ途方もない時間を超えておびただしい無数の人々に守られ支えられながら今の時代に息づいています。各地のお祭りや文化・慣習、日本の伝統工芸、巧みの技なども何代も何代も受け継がれて生き続けています。

ここ20年余り訪れる機会がないですが、京都、奈良など日本の古(いにしえ)の文化を伝える文化都市の由緒あるお寺で仏殿、門、塔、仏像、庭園を拝んだり眺めたりしていると何百年、何千年も前の人達も同じ場所で同じ様に拝んだり眺めたり、回廊や石畳、砂利道を踏みしめて歩いていたのだなと不思議な気持ちがしたものです。タイムマシンでワープした訳ではありませんが、気分が落ち着き、まるで昔の人達と同じ空気を吸いそこに一緒に居るような感じがして時間の経つのも忘れて出来ればずっとそこに居たいと思ったものでした。

わずか7年ばかりでは私の本欄への寄稿など全く比較になりませんが、本当に改めて日本にしかない唯一無二のこれらの有形・無形の世界遺産、文化遺産の存在価値を再認識し、感謝し、大切に守って次の世代に引き継がねばならないと思います。

更に大きな目で見れば、それら全てを抱擁し、見守り続けて来てくれた確かな礎である奇跡の青い惑星=『宇宙船 地球号』を私達一人ひとりが大切にして守り続けて行かなければなりませんね。「継続は力なり。」今日も明日もEarth Day!環境保護を続けましょう!!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

8月に入りもうすぐお盆ですね。一足早く学校が長い夏休みに入っているので、子供達は毎日元気一杯楽しんでいる一方でお母さん方は色々面倒見が大変なこととお察し致します。しかしながら、大切なお子さん達がこの時期にしか出来ない事、体験出来ない事を通して心身ともに成長する貴重な時間ですので、夏休みが終わるまで残りひと月ほどご辛抱願います。お父さん方も多忙な仕事にかまけず奥様の強力サポートとお子さんとの接触・共有時間を日頃より少しでも多く持てるように公私とも最適な時間管理をお願いします。9月になって学校の新年度が始まったら、是非奥様に遅がけの夏休みもお忘れなく。

ところで、今月号の原稿を書き始めてはっと気が付いたのですが、何と先月号で私が本欄に寄稿し始めてからまる7年が経過していました。前任者から引継いだのが2006年7月号。途中一度だけ休稿した以外は毎月連載して来ましたが、もうそんなになったかという感じです。その間数少ない(?)ご愛読者の方から「毎回読んでますよ」、「いつも楽しみにしています」、はたまた「心のオアシスです」などと涙がこぼれるようなありがたいお言葉を頂き、それを励みとしてなんとか続いております。ありがとうございます。砂漠のオアシスならいいですが、蜃気楼にならないようにこれからも頑張ります。

さて、今回はそれにも関連して『継続は力なり』というテーマでお話を進めたいと思います。

多少なりともビジネスに携わった経験のある方ならこの言葉を一度ならず耳にしたり、ご自分でも会話の中で使ったりしたことがおありと思いますが、今では一般のビジネスだけでなくスポーツや芸術・芸能、各種イベント、趣味・習い事にまで幅広く使われているようです。

何か一つの事を始めたら、すぐに飽きて止めてしまったり、難しいからと簡単に諦めたりせず、長く続ける事が大事。続ける事によってその分野の理解と知識が深まり、工夫や改善・改良を重ねることによって技量や能力も向上して、より良い結果・成果が出て自信がつき、自分自身だけでなく周囲を巻き込んだ大きな力を生み出すのですね。

「千里の道も一歩から。」最初は途方もなく遠い彼方(かなた)に見える(あるいは見えない)ゴールやとてつもなく難しく思えるレベルの技、芸でも辛抱強く毎日コツコツ地道に努力を続け一歩、一歩前に進み続けると何年か後には思っても見なかった場所や高みに到達出来たり、それまで出来なかった事がある日突然出来るようになるのです。

プロ野球で言えば、ホームラン世界記録の王さん、シーズン最多安打記録(しかもMLBで)のイチロー選手、日本と米国それぞれの連続試合出場記録保持者の衣笠さん、カール・リプケンさんなどがすぐに浮かびます。芸能・エンタメでは『放浪記』舞台公演2017回の『日本のおかあさん』こと故森光子さん。他にも各種スポーツや公演、イベントでの数々の輝かしい記録、テレビやラジオの長寿番組など驚くようなものがまだまだ沢山あります。

祖先や先達の英知や歴史を静かに語り継ぐ世界遺産、文化遺産なども何百年、何千年とそれこそ途方もない時間を超えておびただしい無数の人々に守られ支えられながら今の時代に息づいています。各地のお祭りや文化・慣習、日本の伝統工芸、巧みの技なども何代も何代も受け継がれて生き続けています。

ここ20年余り訪れる機会がないですが、京都、奈良など日本の古(いにしえ)の文化を伝える文化都市の由緒あるお寺で仏殿、門、塔、仏像、庭園を拝んだり眺めたりしていると何百年、何千年も前の人達も同じ場所で同じ様に拝んだり眺めたり、回廊や石畳、砂利道を踏みしめて歩いていたのだなと不思議な気持ちがしたものです。タイムマシンでワープした訳ではありませんが、気分が落ち着き、まるで昔の人達と同じ空気を吸いそこに一緒に居るような感じがして時間の経つのも忘れて出来ればずっとそこに居たいと思ったものでした。

わずか7年ばかりでは私の本欄への寄稿など全く比較になりませんが、本当に改めて日本にしかない唯一無二のこれらの有形・無形の世界遺産、文化遺産の存在価値を再認識し、感謝し、大切に守って次の世代に引き継がねばならないと思います。

更に大きな目で見れば、それら全てを抱擁し、見守り続けて来てくれた確かな礎である奇跡の青い惑星=『宇宙船 地球号』を私達一人ひとりが大切にして守り続けて行かなければなりませんね。「継続は力なり。」今日も明日もEarth Day!環境保護を続けましょう!!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Gaku (Vol. 125)喧喧諤諤 第125回:「働く」ことの意味

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 巳年の今年も折り返し点を過ぎて7月に入りました。ミシガンでもいつの間にか周りは何処も緑が濃くなり夏至を境に蒸し暑い日が続いて夏らしくなって来ました。今年のミシガンは巨大都市のニューヨークやまだ梅雨が明けない日本の東京、名古屋よりも気温が高い日が多いような気がします。正確な記録を見ている訳ではありませんが、例年よりミシガンの気温が高いと言うよりも他の都市の気温が例年よりやや低い感じです。一方米国南西部では華氏100度を超える猛暑日が一気に増えて、先般連日ニュースで報道されたハリケーン被害に代わってこのところ各地で集中豪雨と突発性洪水のニュースが頻繁に聞かれます。プロスポーツの世界ではアイスホッケープレイオフファイナルでシカゴ・ブラックホークスがボストン・ブルーインズとの激戦を制して優勝しスタンレーカップを手にしました。またバスケットボールではマイアミ・ヒートがサンアントニオ・スパーズとの最終第7戦までもつれ込んだ正に死闘を紙一重で制して2連覇。プロ野球では地元デトロイト・タイガースが前評判通りアリーグ中地区の首位をキープ。西地区のテキサス・レンジャースも首位にいるものの2位のオークランド・アスレチックスが急接近。ダルビッシュ投手が7勝目を上げた後登板7試合勝ちがないのが気掛かりです。そして目下進行中のウィンブルドンテニス。今年はシード選手、有力選手が次々と棄権したり番狂わせで敗れたりと全く予想外の事態で最後までどうなるか予断を許しません。
さて、今月号のテーマは『働くことの意味』です。

 何を今更!?と思われる方も多いかもしれませんが、米国内の失業率がまだまだ高く、日本や中国で大学・高校新卒者の就職率が伸び悩んでいたり、非正規社員と呼ばれる契約・派遣社員、パートやアルバイトなどの臨時雇用、一時雇用が増加する一方で働きたくても働けない人達、ニートやパラサイトと呼ばれる働く気のない人達も沢山いるこの時代に「働く」ことの意味を私達一人ひとりがもう一度考えてみるのも無駄ではないと思います。

 生活費を稼ぐため、家族・子供を養うためなど極めて一般的で直接的なものから、日本国民として働く義務と納税の義務を果たすという真面目でお堅いもの、自分の夢や希望の実現、自己顕示、自分の能力・才能の表現など自分個人の存在を明示したり誇示する自己表現・実現的もの、社会貢献・人助けなど自分以外の人達のためなど他を利する他利貢献的ものなど色々と考えられます。音楽や絵画などの芸術、映画や舞台などの演技・演奏で自分の能力・才能を発揮しながら自分自身の喜び、達成感とともに収入を得たり、病院や介護施設で患者さんや施設利用者の治療、看護、介護を通して社会貢献・人助けして充実感を味わいながら収入を得るなど、これらの幾つかの要素が混在するケースも多いと思います。

 ここでは少し切り口を変えて、最近たまたまネットで目にした「働く」の別表記で傍(はた)楽(らく)に触れたいと思います。

 そのネット記事(正確にはブログの投稿コメント)にはその表記について特に詳しい説明はありませんでしたが、『傍(はた)楽(らく)』という文字を見た私の脳は新鮮な刺激を受けて一気に覚醒し、あれこれと考えが浮かびクルクルと回り始めた次第です。

 皆さんも同じ様な事をすぐに思い浮かべるでしょうから大した脳の働きでもないですが、傍(はた)は自分以外の他人、周りの人達、第三者ですね。もっと想像を広げると自分が属していない他の会社・組織・団体、国や地方、都市、人種や年齢、性別も傍(はた)と言えます。

 また、楽(らく)は「楽をする」、「楽をさせる」の(らく)の他に楽(たの)しむと読む事も出来ます。つまり、傍(はた)楽(らく)とは自分以外の他の人達、周りの人達を楽にさせたり、楽しませる事なのです。こういう意味の「働く」がもっと沢山あってもいいですね。

 自分が働き頑張ってやった事で他の人が楽になり、楽しくなる。当然喜ばれて感謝もされる。達成感、充実感、満足感が得られる。それこそ毎日働くのが楽しくなりそうな感じです。

 一般の会社勤めの仕事もそうですし、病気や怪我、ハンディキャップで苦しんでいる人達を助けて楽にしてあげる。歌を歌ったり、楽器を演奏したり、絵を描いたり、映画や舞台、テレビ、ビデオで演技をしたり、スポーツの試合でプレイしたりして観客や視聴者を楽しませる。新鮮で安全な食材、食料品を提供して後の作業を安心して楽してもらったり、美味しい料理やデザートを作って楽しんでもらう。これら全てが傍(はた)楽(らく)そのものですね。

 会社でも家庭でもいつも眉間にしわを寄せて肩をいからせ怖い顔していやいや「働く」ばかりでなく、傍(はた)楽(らく)の心構えで仕事に向き合えば、毎日の仕事が少しだけ違って見えるかもしれません。いつやるの?今でしょ!(笑)

 傍(はた)楽(らく)皆さん、今日も一日頑張りましょう!!

たが、これが日本のマスメディア報道の標準的表現手法なのかと驚きました。もっと体裁の良い、気の利いた表現は出来ないのでしょうか?『原文ママ』は分かったけど『原文パパ』は何処にいるの?と皮肉の一つも言いたくなります。

 日本から遠く離れて米国にいる私達は、その分外から客観的にかつ冷静に日本と日本人を観る事が出来ます。日本語についても先達が数千年も掛けて作り上げ、育んで来た美しい日本語を日本国内に居る日本人以上に慈しみ大切にして使わなければならないと思うのは私だけでない事を願います。

皆さん、美しい日本語を大切にしましょう!!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 巳年の今年も折り返し点を過ぎて7月に入りました。ミシガンでもいつの間にか周りは何処も緑が濃くなり夏至を境に蒸し暑い日が続いて夏らしくなって来ました。今年のミシガンは巨大都市のニューヨークやまだ梅雨が明けない日本の東京、名古屋よりも気温が高い日が多いような気がします。正確な記録を見ている訳ではありませんが、例年よりミシガンの気温が高いと言うよりも他の都市の気温が例年よりやや低い感じです。一方米国南西部では華氏100度を超える猛暑日が一気に増えて、先般連日ニュースで報道されたハリケーン被害に代わってこのところ各地で集中豪雨と突発性洪水のニュースが頻繁に聞かれます。プロスポーツの世界ではアイスホッケープレイオフファイナルでシカゴ・ブラックホークスがボストン・ブルーインズとの激戦を制して優勝しスタンレーカップを手にしました。またバスケットボールではマイアミ・ヒートがサンアントニオ・スパーズとの最終第7戦までもつれ込んだ正に死闘を紙一重で制して2連覇。プロ野球では地元デトロイト・タイガースが前評判通りアリーグ中地区の首位をキープ。西地区のテキサス・レンジャースも首位にいるものの2位のオークランド・アスレチックスが急接近。ダルビッシュ投手が7勝目を上げた後登板7試合勝ちがないのが気掛かりです。そして目下進行中のウィンブルドンテニス。今年はシード選手、有力選手が次々と棄権したり番狂わせで敗れたりと全く予想外の事態で最後までどうなるか予断を許しません。
さて、今月号のテーマは『働くことの意味』です。

 何を今更!?と思われる方も多いかもしれませんが、米国内の失業率がまだまだ高く、日本や中国で大学・高校新卒者の就職率が伸び悩んでいたり、非正規社員と呼ばれる契約・派遣社員、パートやアルバイトなどの臨時雇用、一時雇用が増加する一方で働きたくても働けない人達、ニートやパラサイトと呼ばれる働く気のない人達も沢山いるこの時代に「働く」ことの意味を私達一人ひとりがもう一度考えてみるのも無駄ではないと思います。

 生活費を稼ぐため、家族・子供を養うためなど極めて一般的で直接的なものから、日本国民として働く義務と納税の義務を果たすという真面目でお堅いもの、自分の夢や希望の実現、自己顕示、自分の能力・才能の表現など自分個人の存在を明示したり誇示する自己表現・実現的もの、社会貢献・人助けなど自分以外の人達のためなど他を利する他利貢献的ものなど色々と考えられます。音楽や絵画などの芸術、映画や舞台などの演技・演奏で自分の能力・才能を発揮しながら自分自身の喜び、達成感とともに収入を得たり、病院や介護施設で患者さんや施設利用者の治療、看護、介護を通して社会貢献・人助けして充実感を味わいながら収入を得るなど、これらの幾つかの要素が混在するケースも多いと思います。

 ここでは少し切り口を変えて、最近たまたまネットで目にした「働く」の別表記で傍(はた)楽(らく)に触れたいと思います。

 そのネット記事(正確にはブログの投稿コメント)にはその表記について特に詳しい説明はありませんでしたが、『傍(はた)楽(らく)』という文字を見た私の脳は新鮮な刺激を受けて一気に覚醒し、あれこれと考えが浮かびクルクルと回り始めた次第です。

 皆さんも同じ様な事をすぐに思い浮かべるでしょうから大した脳の働きでもないですが、傍(はた)は自分以外の他人、周りの人達、第三者ですね。もっと想像を広げると自分が属していない他の会社・組織・団体、国や地方、都市、人種や年齢、性別も傍(はた)と言えます。

 また、楽(らく)は「楽をする」、「楽をさせる」の(らく)の他に楽(たの)しむと読む事も出来ます。つまり、傍(はた)楽(らく)とは自分以外の他の人達、周りの人達を楽にさせたり、楽しませる事なのです。こういう意味の「働く」がもっと沢山あってもいいですね。

 自分が働き頑張ってやった事で他の人が楽になり、楽しくなる。当然喜ばれて感謝もされる。達成感、充実感、満足感が得られる。それこそ毎日働くのが楽しくなりそうな感じです。

 一般の会社勤めの仕事もそうですし、病気や怪我、ハンディキャップで苦しんでいる人達を助けて楽にしてあげる。歌を歌ったり、楽器を演奏したり、絵を描いたり、映画や舞台、テレビ、ビデオで演技をしたり、スポーツの試合でプレイしたりして観客や視聴者を楽しませる。新鮮で安全な食材、食料品を提供して後の作業を安心して楽してもらったり、美味しい料理やデザートを作って楽しんでもらう。これら全てが傍(はた)楽(らく)そのものですね。

 会社でも家庭でもいつも眉間にしわを寄せて肩をいからせ怖い顔していやいや「働く」ばかりでなく、傍(はた)楽(らく)の心構えで仕事に向き合えば、毎日の仕事が少しだけ違って見えるかもしれません。いつやるの?今でしょ!(笑)

 傍(はた)楽(らく)皆さん、今日も一日頑張りましょう!!

たが、これが日本のマスメディア報道の標準的表現手法なのかと驚きました。もっと体裁の良い、気の利いた表現は出来ないのでしょうか?『原文ママ』は分かったけど『原文パパ』は何処にいるの?と皮肉の一つも言いたくなります。

 日本から遠く離れて米国にいる私達は、その分外から客観的にかつ冷静に日本と日本人を観る事が出来ます。日本語についても先達が数千年も掛けて作り上げ、育んで来た美しい日本語を日本国内に居る日本人以上に慈しみ大切にして使わなければならないと思うのは私だけでない事を願います。

皆さん、美しい日本語を大切にしましょう!!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Gaku (Vol. 124)喧喧諤諤 第124回:美しい日本語は何処へ?

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 今年の上半期最後の月6月に入りました。デトロイト近辺では4月前半に結構暑い日があったものの春分の日を過ぎてから逆に寒い日が続き、夏どころか本格的な春にもならないかと気を揉んでいましたが、メモリアルデーの連休前にようやく夏到来というか突然30℃を超す真夏日。もう少しで35℃以上の猛暑日で新記録になるところでしたね。まるで生身の人体を使って耐熱試験かヒート・サイクル・テスト(冷熱衝撃試験)をしているような感じでした。夏も涼しい筈のミシガンに居て熱中症にでもなったら笑えない冗談になるので、水分補給は欠かせません。定番のスポーツの話題ではアイスホッケーのデトロイト・レッドウィングスがプレイオフ第2ラウンドでシカゴ・ブラックホークスを後一歩まで追い詰めながら最終第7戦延長で涙を呑みました。ストライキの影響で短縮された今年のレギュラーシーズンではプレイ内容も戦績も悪く、残り数試合になってもプレイオフ進出できないのではないかとハラハラさせられました。第1ラウンドもアナハイム・ダックスを相手に2勝3敗とリードされた後2試合連勝して勝ち上がりましたが、レギュラーシーズン戦績首位で#1シードのシカゴの壁は厚く跳ね返されてしまいました。総じて守備の弱さ、パックへの寄付きとコントロールの甘さ、パスとシュートの精度不足が目立ち、実力で勝るシカゴの軍門に下りました。夏から秋にかけての楽しみはMLBのタイガースに期待しましょう。

 さて、今月号のテーマは『美しい日本語は何処へ?』です。

 もう何年も前から日本語の乱れがしばしば指摘され、出版物やテレビ番組でも時々話題になりますが、私達が愛する美しい日本語は一体何処へ行ってしまう(行ってしまった)のでしょうか?

書き言葉にしても話し言葉にしても特にここ数年目にしたり耳にしたりする日本語の乱れは目を疑い、耳を覆いたくなるような惨状です。

 職場でも家庭でも、公共の場所でも私的な場所でも無礼で粗野な話し方、言い回しが氾濫しています。上下関係や老若の年齢差、公私の別などを無視したような発言や記述が度々見受けられます。

 一つの例が『タメ口』と呼ばれる愛想のないぞんざいな話し方です。本来ならば自分と同等、同格の相手にしか使わない口の利き方であり目上の人、年上の人に対しては大変失礼な事になりますが、半世紀ほど前に不良少年達が使い始めたものがその後不良に憧れる一面のある一般の若者達の間にも徐々に広がり、現在に至ったようです。今では若者だけでなく、いい歳をしたオジサン、オバサン達も使っています。

 一部の歌手、芸能人やタレントがタメ口を使うのを「カッコいい!」と思って真似する人が多いようですが、タメ口を売りにしているタレントもいたりして、その点で公共性のあるテレビ、ラジオ、新聞、出版物など報道・放送・通信メディアの影響は罪深いですね。

それに更に追い討ちをかけているのが、インターネットを介したメール、ブログ、ツイッター、ミキシー、フェースブック、スカイプチャットなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・システム)とユーチューブ、ニコニコ動画、ユーストリームなどの動画放送・配信サービスです。

使い方と目的を間違わなければ、人助け、悩み相談、善意の募金活動など多くの人にとって良い事、役に立つ事、素晴らしい事を瞬時にかつ同時に不特定多数の視聴者に伝えられる強力なツールでありますが、残念ながら良い事よりも悪い事の方が数多く、しかも一早く伝わる傾向があり、日本語の乱れに拍車を掛けています。「朱に交われば赤くなる」、「悪貨は良貨を駆逐する」の類ですね。

もう一つの例が、新聞やネット記事の表現で当事者の発言・記述や関連ニュースを記載した内容を他所から引用する際に文末に(原文ママ)と付記するのを頻繁に見掛けます。「元々の原文を何も変えずにそのまま掲載しています」という意味だと思われますが、初めて目にした時は一瞬???となりました。前後関係からすぐに理解できましたが、これが日本のマスメディア報道の標準的表現手法なのかと驚きました。もっと体裁の良い、気の利いた表現は出来ないのでしょうか?『原文ママ』は分かったけど『原文パパ』は何処にいるの?と皮肉の一つも言いたくなります。

 日本から遠く離れて米国にいる私達は、その分外から客観的にかつ冷静に日本と日本人を観る事が出来ます。日本語についても先達が数千年も掛けて作り上げ、育んで来た美しい日本語を日本国内に居る日本人以上に慈しみ大切にして使わなければならないと思うのは私だけでない事を願います。

皆さん、美しい日本語を大切にしましょう!!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 今年の上半期最後の月6月に入りました。デトロイト近辺では4月前半に結構暑い日があったものの春分の日を過ぎてから逆に寒い日が続き、夏どころか本格的な春にもならないかと気を揉んでいましたが、メモリアルデーの連休前にようやく夏到来というか突然30℃を超す真夏日。もう少しで35℃以上の猛暑日で新記録になるところでしたね。まるで生身の人体を使って耐熱試験かヒート・サイクル・テスト(冷熱衝撃試験)をしているような感じでした。夏も涼しい筈のミシガンに居て熱中症にでもなったら笑えない冗談になるので、水分補給は欠かせません。定番のスポーツの話題ではアイスホッケーのデトロイト・レッドウィングスがプレイオフ第2ラウンドでシカゴ・ブラックホークスを後一歩まで追い詰めながら最終第7戦延長で涙を呑みました。ストライキの影響で短縮された今年のレギュラーシーズンではプレイ内容も戦績も悪く、残り数試合になってもプレイオフ進出できないのではないかとハラハラさせられました。第1ラウンドもアナハイム・ダックスを相手に2勝3敗とリードされた後2試合連勝して勝ち上がりましたが、レギュラーシーズン戦績首位で#1シードのシカゴの壁は厚く跳ね返されてしまいました。総じて守備の弱さ、パックへの寄付きとコントロールの甘さ、パスとシュートの精度不足が目立ち、実力で勝るシカゴの軍門に下りました。夏から秋にかけての楽しみはMLBのタイガースに期待しましょう。

 さて、今月号のテーマは『美しい日本語は何処へ?』です。

 もう何年も前から日本語の乱れがしばしば指摘され、出版物やテレビ番組でも時々話題になりますが、私達が愛する美しい日本語は一体何処へ行ってしまう(行ってしまった)のでしょうか?

書き言葉にしても話し言葉にしても特にここ数年目にしたり耳にしたりする日本語の乱れは目を疑い、耳を覆いたくなるような惨状です。

 職場でも家庭でも、公共の場所でも私的な場所でも無礼で粗野な話し方、言い回しが氾濫しています。上下関係や老若の年齢差、公私の別などを無視したような発言や記述が度々見受けられます。

 一つの例が『タメ口』と呼ばれる愛想のないぞんざいな話し方です。本来ならば自分と同等、同格の相手にしか使わない口の利き方であり目上の人、年上の人に対しては大変失礼な事になりますが、半世紀ほど前に不良少年達が使い始めたものがその後不良に憧れる一面のある一般の若者達の間にも徐々に広がり、現在に至ったようです。今では若者だけでなく、いい歳をしたオジサン、オバサン達も使っています。

 一部の歌手、芸能人やタレントがタメ口を使うのを「カッコいい!」と思って真似する人が多いようですが、タメ口を売りにしているタレントもいたりして、その点で公共性のあるテレビ、ラジオ、新聞、出版物など報道・放送・通信メディアの影響は罪深いですね。

それに更に追い討ちをかけているのが、インターネットを介したメール、ブログ、ツイッター、ミキシー、フェースブック、スカイプチャットなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・システム)とユーチューブ、ニコニコ動画、ユーストリームなどの動画放送・配信サービスです。

使い方と目的を間違わなければ、人助け、悩み相談、善意の募金活動など多くの人にとって良い事、役に立つ事、素晴らしい事を瞬時にかつ同時に不特定多数の視聴者に伝えられる強力なツールでありますが、残念ながら良い事よりも悪い事の方が数多く、しかも一早く伝わる傾向があり、日本語の乱れに拍車を掛けています。「朱に交われば赤くなる」、「悪貨は良貨を駆逐する」の類ですね。

もう一つの例が、新聞やネット記事の表現で当事者の発言・記述や関連ニュースを記載した内容を他所から引用する際に文末に(原文ママ)と付記するのを頻繁に見掛けます。「元々の原文を何も変えずにそのまま掲載しています」という意味だと思われますが、初めて目にした時は一瞬???となりました。前後関係からすぐに理解できましたが、これが日本のマスメディア報道の標準的表現手法なのかと驚きました。もっと体裁の良い、気の利いた表現は出来ないのでしょうか?『原文ママ』は分かったけど『原文パパ』は何処にいるの?と皮肉の一つも言いたくなります。

 日本から遠く離れて米国にいる私達は、その分外から客観的にかつ冷静に日本と日本人を観る事が出来ます。日本語についても先達が数千年も掛けて作り上げ、育んで来た美しい日本語を日本国内に居る日本人以上に慈しみ大切にして使わなければならないと思うのは私だけでない事を願います。

皆さん、美しい日本語を大切にしましょう!!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Gaku (Vol. 123)喧喧諤諤 第123回:バカの効用

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 5月(さつき)になりました。日本にいれば4月の桜に続いて端午の節句で5月の大空を泳ぐ鯉のぼりや五月人形を見掛ける頃ですが、当地米国に住んでいるとそういう年中行事、文化・慣習と縁が薄いですね。因みに端午の節句とこどもの日の由来を調べてみると、前者は古代中国発祥の厄払い行事で、5月は雨期を迎えることから病気や災厄のお祓いは大事なこととされ、この時期に盛りを迎える菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)で邪気祓いをしたそうです。それが神聖な行事として早乙女がしていた田植え月の5月に行う『5月忌み』という日本古来の行事に結びつき、早乙女は菖蒲や蓬で邪気を祓って神聖な存在になってから田植えを行うようになったもの。つまり、元々女性のためのお祭りだったのです。お呼びでなかった男共がしゃしゃり出て来たのは鎌倉時代。武士の力が強くなって行くと同時に邪気祓いの菖蒲と韻を踏む『尚武』、『勝負』と変化し、徐々に男の子の成長を祝う日として広まって行きました。私の所為ではありませんが、女性の方々ごめんなさい。国民の祝日である後者のこどもの日になったのは昭和23年(1948年)。『国民の祝日に関する法律』で「こどもの人格を重んじ、こども幸福をはかるとともに、母に感謝する日」となり、こどもは男女関係なくお祝いするように変わりました。世の男性諸氏、この末尾の「母に感謝する日」をゆめゆめお忘れなきように!法律でそうなっているのです。米国に居るからと言って適用外ではありませんよ。休日だからと言って、自分だけゴルフなどに行かないように。母の日より一足早く「母に感謝」ですぞ!(閑話休題)
 今月号のテーマは『バカの効用』です。前号で四月馬鹿について書きましたが、今回もバカなタイトルです。決して読者をバカにしている訳ではありませんので、馬鹿馬鹿しいと思わないでしばしお付き合い願います。(駄じゃれオンパレード)
 実はこれもつい先日の夕方車を運転している時に流れて来たCBSラジオ(だと思いましたが)のニュース・トピックの受け売りですが、大人数の説明会やグループ・ディスカッションでは、表現は悪いですが、「頭が余り良くない人が大勢いた方が話がまとまりやすい」という研究レポートに関する内容でした。その心は?聞き流し程度でしたので精度を欠くかもしれませんが、つまり、参加者にいわゆる頭の良い人が多いと自己主張の強いその人達が主に発言し、独自の意見を述べたり、質問、反論などをして時間が掛かり過ぎ、全体の意見がまとまらず合意に至るのが難しくなる。逆に頭の良くない人(ラジオではレポートにあるままにStupidという言葉を使っていました)が多数を占めると余り質問や反論をせず、説明会や議論がスムースに進み、意見のまとまりも早く、決定・合意まで短い時間で済む傾向がある、というものでした。
 皆さんはどう思われますでしょうか?思い当たる事がお有りでしょうか?
それを聞いた私は「なるほど、さも有りなん」という思いでした。
 米国では学校でいわゆるディベート(討論)のスキルを学びます。その際にはテーマに選んだ事の善悪よりも賛成派と反対派に分かれて(分けて)とにかく論理を尽くして相手方を言い負かすことに主眼が置かれます。そういう機会や訓練を繰り返し経てスキルアップして行き、実社会に出て会社や団体・組織、政界で自分の意見を通して活躍する術を身に着ける訳です。テレビのニュースチャンネル、報道番組、特番などで賛否両派を揃えてライブ討論させる放送をご覧になった事が必ずやあると思います。その最たるものが大統領選挙前のプレジデンシャル・ディベートです。時には相手の発言の途中で遮ったり、割り込んだりして丁々発止の激しい論戦になったり、両者が同時に発言して視聴者が聞き取れない状態になったり、感情的になって司会者がコントロール出来ない程見苦しい展開になることさえあります。金銭、利権がらみだと余計に熱が上がります。連日報道される注目度の高い刑事裁判における原告側、被告側の有罪・無罪を巡る陳述や証人喚問、証拠資料提示も正に命がけで手に汗握る緊張の連続です。
 また、米国内のMIT(マサチューセッツ工科大学)、スタンフォード、ハーバードなど有名大学を超優秀な成績で卒業した学生や海外からのピカイチの留学生、研究開発者を採用、ヘッドハントして抱え込むグローバル企業や研究機関においても各個人が優秀過ぎて(=自信過剰で)自分の開発能力や技術理論に拘り続けて自分の世界に閉じこもってしまい、他のメンバーの意見に耳を貸さず、自分より良いアイデアでも賛同・協力せず、結局その企業や研究機関全体としてチームワークが発揮されず、優秀な頭脳が宝の持ち腐れとなり、期待されるようなあるいは期待以上の画期的な成果に結びつかないケースもあるようです。それって結局頭が良い事になるのでしょうか?私のような凡人には計り知れない世界ですね。
 そもそも何をもって頭が良い、悪いと判断するかも議論のあるところですが、自分の意見を押し付けたり、詭弁を弄して黒を白と言いくるめて相手をやりこめたり、いたずらに知識を詰め込んで自慢げに他人にひけらかしたり、詰め込み教育、点取り虫、受験競争の結果としてテストの成績が良いだけで頭が良いと言うのではちょっと寂しいですよね。少なからず知識を智恵として活かせる能力を持ち、自分だけでなく周りの人や組織、社会に役立ち、日々の生活を豊かで潤いのあるように(一昔前の新製品PR広告みたいですね)利用出来る人、であって欲しいものです。決して出しゃばらず、時には凛とした態度で言うべきことは言い、やるべき事をやる人が理想でしょうか。特に悪影響や問題がなければ、バカな振りをして質問、反論をせず粛々と受け止め、受け入れるのも本当の意味で『頭が良い人』と言える場合も多々あるような気がします。要は地アタマの良さですね。
 但し、上述のラジオ番組の最後でパーソナリティーが「このバカの効用はバカでいてはいけない時にバカにならなければ、意味があるかもしれない」と結んでいました。意味ある『バカの効用』、機会があればお試し下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 5月(さつき)になりました。日本にいれば4月の桜に続いて端午の節句で5月の大空を泳ぐ鯉のぼりや五月人形を見掛ける頃ですが、当地米国に住んでいるとそういう年中行事、文化・慣習と縁が薄いですね。因みに端午の節句とこどもの日の由来を調べてみると、前者は古代中国発祥の厄払い行事で、5月は雨期を迎えることから病気や災厄のお祓いは大事なこととされ、この時期に盛りを迎える菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)で邪気祓いをしたそうです。それが神聖な行事として早乙女がしていた田植え月の5月に行う『5月忌み』という日本古来の行事に結びつき、早乙女は菖蒲や蓬で邪気を祓って神聖な存在になってから田植えを行うようになったもの。つまり、元々女性のためのお祭りだったのです。お呼びでなかった男共がしゃしゃり出て来たのは鎌倉時代。武士の力が強くなって行くと同時に邪気祓いの菖蒲と韻を踏む『尚武』、『勝負』と変化し、徐々に男の子の成長を祝う日として広まって行きました。私の所為ではありませんが、女性の方々ごめんなさい。国民の祝日である後者のこどもの日になったのは昭和23年(1948年)。『国民の祝日に関する法律』で「こどもの人格を重んじ、こども幸福をはかるとともに、母に感謝する日」となり、こどもは男女関係なくお祝いするように変わりました。世の男性諸氏、この末尾の「母に感謝する日」をゆめゆめお忘れなきように!法律でそうなっているのです。米国に居るからと言って適用外ではありませんよ。休日だからと言って、自分だけゴルフなどに行かないように。母の日より一足早く「母に感謝」ですぞ!(閑話休題)
 今月号のテーマは『バカの効用』です。前号で四月馬鹿について書きましたが、今回もバカなタイトルです。決して読者をバカにしている訳ではありませんので、馬鹿馬鹿しいと思わないでしばしお付き合い願います。(駄じゃれオンパレード)
 実はこれもつい先日の夕方車を運転している時に流れて来たCBSラジオ(だと思いましたが)のニュース・トピックの受け売りですが、大人数の説明会やグループ・ディスカッションでは、表現は悪いですが、「頭が余り良くない人が大勢いた方が話がまとまりやすい」という研究レポートに関する内容でした。その心は?聞き流し程度でしたので精度を欠くかもしれませんが、つまり、参加者にいわゆる頭の良い人が多いと自己主張の強いその人達が主に発言し、独自の意見を述べたり、質問、反論などをして時間が掛かり過ぎ、全体の意見がまとまらず合意に至るのが難しくなる。逆に頭の良くない人(ラジオではレポートにあるままにStupidという言葉を使っていました)が多数を占めると余り質問や反論をせず、説明会や議論がスムースに進み、意見のまとまりも早く、決定・合意まで短い時間で済む傾向がある、というものでした。
 皆さんはどう思われますでしょうか?思い当たる事がお有りでしょうか?
それを聞いた私は「なるほど、さも有りなん」という思いでした。
 米国では学校でいわゆるディベート(討論)のスキルを学びます。その際にはテーマに選んだ事の善悪よりも賛成派と反対派に分かれて(分けて)とにかく論理を尽くして相手方を言い負かすことに主眼が置かれます。そういう機会や訓練を繰り返し経てスキルアップして行き、実社会に出て会社や団体・組織、政界で自分の意見を通して活躍する術を身に着ける訳です。テレビのニュースチャンネル、報道番組、特番などで賛否両派を揃えてライブ討論させる放送をご覧になった事が必ずやあると思います。その最たるものが大統領選挙前のプレジデンシャル・ディベートです。時には相手の発言の途中で遮ったり、割り込んだりして丁々発止の激しい論戦になったり、両者が同時に発言して視聴者が聞き取れない状態になったり、感情的になって司会者がコントロール出来ない程見苦しい展開になることさえあります。金銭、利権がらみだと余計に熱が上がります。連日報道される注目度の高い刑事裁判における原告側、被告側の有罪・無罪を巡る陳述や証人喚問、証拠資料提示も正に命がけで手に汗握る緊張の連続です。
 また、米国内のMIT(マサチューセッツ工科大学)、スタンフォード、ハーバードなど有名大学を超優秀な成績で卒業した学生や海外からのピカイチの留学生、研究開発者を採用、ヘッドハントして抱え込むグローバル企業や研究機関においても各個人が優秀過ぎて(=自信過剰で)自分の開発能力や技術理論に拘り続けて自分の世界に閉じこもってしまい、他のメンバーの意見に耳を貸さず、自分より良いアイデアでも賛同・協力せず、結局その企業や研究機関全体としてチームワークが発揮されず、優秀な頭脳が宝の持ち腐れとなり、期待されるようなあるいは期待以上の画期的な成果に結びつかないケースもあるようです。それって結局頭が良い事になるのでしょうか?私のような凡人には計り知れない世界ですね。
 そもそも何をもって頭が良い、悪いと判断するかも議論のあるところですが、自分の意見を押し付けたり、詭弁を弄して黒を白と言いくるめて相手をやりこめたり、いたずらに知識を詰め込んで自慢げに他人にひけらかしたり、詰め込み教育、点取り虫、受験競争の結果としてテストの成績が良いだけで頭が良いと言うのではちょっと寂しいですよね。少なからず知識を智恵として活かせる能力を持ち、自分だけでなく周りの人や組織、社会に役立ち、日々の生活を豊かで潤いのあるように(一昔前の新製品PR広告みたいですね)利用出来る人、であって欲しいものです。決して出しゃばらず、時には凛とした態度で言うべきことは言い、やるべき事をやる人が理想でしょうか。特に悪影響や問題がなければ、バカな振りをして質問、反論をせず粛々と受け止め、受け入れるのも本当の意味で『頭が良い人』と言える場合も多々あるような気がします。要は地アタマの良さですね。
 但し、上述のラジオ番組の最後でパーソナリティーが「このバカの効用はバカでいてはいけない時にバカにならなければ、意味があるかもしれない」と結んでいました。意味ある『バカの効用』、機会があればお試し下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Gaku (Vol. 122)喧喧諤諤 第122回:エイプリル・フールまたは四月馬鹿

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 4月(卯月)になりました。古傷がウズキ(疼き)ます。なんてダジャレを言ってる場合ではありません。ウヅキとウズキでは綴りも違いますね。それ にしても、この違いが微妙にして結構厄介な代物です。『卯月』と連語になる前の単一文字である『月』の読みが『ツキ』なので連語になり濁音になっても『ヅ キ』となる訳ですが、ローマ字入力で漢字変換する際に気をつけないといけません。皆さんも既にご存知と思いますが、例えば望月さんという人名をローマ字で mochizukiと入力して変換すると『持ち好き』とか『餅好き』となってしまいます。正確に『望月』と変換するにはmochidukiと入力しないと いけません。パスポートや届出書類などでは英語でもローマ字でもMochizukiなのに変ですね。(閑話休題)
 さて、待ちに待った球春到来! 日本は米国よりも一足早くセ・パ両リーグ12球団一斉に3月29日に開幕。ご当地MLBのデトロイト・タイガースはエイプリル・フール4月1日にシーズン 初戦。観客の都合と週末の人出を計算に入れた日本と「仕事は月曜日から」という感じの米国。これもお国柄でしょうかね。地元タイガース、今シーズンはア・ リーグで連覇し、ワールドシリーズ制覇なるか!?
 また、球団は違っても新旧の日本人メジャーリーガーも応援したいものです。
 今月号のテーマは『エイプリル・フールまたは四月馬鹿』です。何という馬鹿なタイトルでしょうか。
今 更ですが、エイプリル・フールと四月馬鹿の語源、起源、由来などを調べてみたところ、真説、新説、珍説を含めて結構色々あるのが新たな驚きでした。発祥の 地もフランス説、中国説、インド説とあり、どれもそれなりに説得力があって面白いです。ここでは一つひとつご紹介出来ませんが、ご興味をお持ちの方は、お 時間がある時にググって(グーグル検索して)みるといいでしょう。
 皆さんは4月1日の午前中(が正しい姿のようです)に、騙された方(その人を 四月馬鹿と呼びます)も後で気付いてちょっと笑えるような軽い嘘を誰かにつきましたか?怒られずに笑ってすみましたか?私の場合は一年中嘘をついているの で、せめて4月1日だけは嘘をつかないようにしています。おっと、それが本当ならば今書いているこの原稿が嘘ということになり、それが嘘だとすればにこの 原稿は本当ということになり、いずれにしても矛盾して成り立たない話ですね。

 つい最近目にしたネット記事で日本の某テレビ局の「嘘つきな 国ランキング」という番組で日本が4位という放送の後ネットの投稿で他国との比較上不満が続出というのがありました。世界39カ国、3,900人以上から アンケートを取って「嘘をよくつくか?」という質問に「はい」と答えた人の割合から算出したとのことですが、サンプル抽出が1カ国100人程度と少数で、 サンプルグループの年齢、性別、居住地区、家庭・生活環境など詳細も分からないので、サンプリング自体が適切で国全体を反映した信頼出来る有意のデータか どうかかなり疑問ですが、選挙前の演説やマニフェストと言動一致しない日本の政治家や不法・不正行為を働いて恥じて謝るどころか開き直る企業経営者の ニュースを離れて見聞きしていると「さもありなん」などと思ってしまうのは私だけでしょうか?そう言えば、当地米国の首都の政治家や大都市の企業オーナー や経営者にも似たような嘘つきの輩がいたような・・・
 日本では昔から『うそも方便』ということわざがありますが、これは相手が傷つかないよう に、心配しないように気遣ってつく嘘の効用を説いたもので、人を騙して自分を利するのが目的ではありません。騙される方が四月馬鹿と呼ばれても一緒に笑え るような可愛い嘘ならいいですが、騙されて実害を蒙った挙句に「騙された方が悪い」と開き直られては堪りません。「馬鹿にするな!」と言いたくなります。
  私達も4月1日の午前中だけは鷹揚に構えて可愛い嘘を受け入れ、素直に騙されて四月馬鹿になっても良いし、騙された振りをして嘘を仕掛けた相手を喜ばして も構いませんが、エイプリル・フールの日が過ぎても騙され続けたのではただの『馬鹿』になってしまいます。有名ブランドでも牛肉100%と偽って馬肉を混 入して販売する業者も出る始末で何が本当か見え難い「生き馬の目を抜く」ような目まぐるしい世の中であっても騙されて「ギュー、ギュー」締め付けられない ようにお互い気をつけましょう!!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに 入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁 会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より 本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 4月(卯月)になりました。古傷がウズキ(疼き)ます。なんてダジャレを言ってる場合ではありません。ウヅキとウズキでは綴りも違いますね。それにしても、この違いが微妙にして結構厄介な代物です。『卯月』と連語になる前の単一文字である『月』の読みが『ツキ』なので連語になり濁音になっても『ヅキ』となる訳ですが、ローマ字入力で漢字変換する際に気をつけないといけません。皆さんも既にご存知と思いますが、例えば望月さんという人名をローマ字でmochizukiと入力して変換すると『持ち好き』とか『餅好き』となってしまいます。正確に『望月』と変換するにはmochidukiと入力しないといけません。パスポートや届出書類などでは英語でもローマ字でもMochizukiなのに変ですね。(閑話休題)
 さて、待ちに待った球春到来!日本は米国よりも一足早くセ・パ両リーグ12球団一斉に3月29日に開幕。ご当地MLBのデトロイト・タイガースはエイプリル・フール4月1日にシーズン初戦。観客の都合と週末の人出を計算に入れた日本と「仕事は月曜日から」という感じの米国。これもお国柄でしょうかね。地元タイガース、今シーズンはア・リーグで連覇し、ワールドシリーズ制覇なるか!?
 また、球団は違っても新旧の日本人メジャーリーガーも応援したいものです。
 今月号のテーマは『エイプリル・フールまたは四月馬鹿』です。何という馬鹿なタイトルでしょうか。
今更ですが、エイプリル・フールと四月馬鹿の語源、起源、由来などを調べてみたところ、真説、新説、珍説を含めて結構色々あるのが新たな驚きでした。発祥の地もフランス説、中国説、インド説とあり、どれもそれなりに説得力があって面白いです。ここでは一つひとつご紹介出来ませんが、ご興味をお持ちの方は、お時間がある時にググって(グーグル検索して)みるといいでしょう。
 皆さんは4月1日の午前中(が正しい姿のようです)に、騙された方(その人を四月馬鹿と呼びます)も後で気付いてちょっと笑えるような軽い嘘を誰かにつきましたか?怒られずに笑ってすみましたか?私の場合は一年中嘘をついているので、せめて4月1日だけは嘘をつかないようにしています。おっと、それが本当ならば今書いているこの原稿が嘘ということになり、それが嘘だとすればにこの原稿は本当ということになり、いずれにしても矛盾して成り立たない話ですね。

 つい最近目にしたネット記事で日本の某テレビ局の「嘘つきな国ランキング」という番組で日本が4位という放送の後ネットの投稿で他国との比較上不満が続出というのがありました。世界39カ国、3,900人以上からアンケートを取って「嘘をよくつくか?」という質問に「はい」と答えた人の割合から算出したとのことですが、サンプル抽出が1カ国100人程度と少数で、サンプルグループの年齢、性別、居住地区、家庭・生活環境など詳細も分からないので、サンプリング自体が適切で国全体を反映した信頼出来る有意のデータかどうかかなり疑問ですが、選挙前の演説やマニフェストと言動一致しない日本の政治家や不法・不正行為を働いて恥じて謝るどころか開き直る企業経営者のニュースを離れて見聞きしていると「さもありなん」などと思ってしまうのは私だけでしょうか?そう言えば、当地米国の首都の政治家や大都市の企業オーナーや経営者にも似たような嘘つきの輩がいたような・・・
 日本では昔から『うそも方便』ということわざがありますが、これは相手が傷つかないように、心配しないように気遣ってつく嘘の効用を説いたもので、人を騙して自分を利するのが目的ではありません。騙される方が四月馬鹿と呼ばれても一緒に笑えるような可愛い嘘ならいいですが、騙されて実害を蒙った挙句に「騙された方が悪い」と開き直られては堪りません。「馬鹿にするな!」と言いたくなります。
 私達も4月1日の午前中だけは鷹揚に構えて可愛い嘘を受け入れ、素直に騙されて四月馬鹿になっても良いし、騙された振りをして嘘を仕掛けた相手を喜ばしても構いませんが、エイプリル・フールの日が過ぎても騙され続けたのではただの『馬鹿』になってしまいます。有名ブランドでも牛肉100%と偽って馬肉を混入して販売する業者も出る始末で何が本当か見え難い「生き馬の目を抜く」ような目まぐるしい世の中であっても騙されて「ギュー、ギュー」締め付けられないようにお互い気をつけましょう!!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Gaku (Vol. 121)喧喧諤諤 第121回:権利と義務、自由と責任

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 予想以上に早く、2月は瞬く間に過ぎてしまいました。誕生日も特にいつもと変わりもなく、むしろちょっと余分にデスクワークが多かっただけで「ハッピー・バースデーとはなんぞや?」と自問自答。朝目覚めてベッドから起き上がって何も支障なく動き回れる事。医者に掛かってもいないし処方薬、サプリメントも服用せずに済んでいる事。もうそれだけで十分ハッピーと自分に言い聞かせて過ぎた誕生日。そう言えばはるか昔の独身時代、当時の勤務先であった会社の100%米国子会社の米人副社長から聞かされたジョークを思い出しました。

 老夫婦の朝の会話:(夫)目覚めてベッドから「ハニー、ちょっと。」(妻)「何ですよ。さあ起きて、起きて!」 (夫)「何かおかしいんだ。」 (妻)「何が?」(夫)「わしゃ、生きているのかな?」 (妻)「当たり前ですよ。何でそんな馬鹿なこと聞くんだね?」 (夫)「いやあ、いつもと違って今朝は体のどこも痛くないんだ。」・・・

 分かります? つまり、人間歳を取ると誰でも腰や背中、首、ひざ、関節、手指などどこかしら痛いところがあるのが普通で、特に起き抜け動き始めの際に「アツツ!」、「ウッ!」、「イタッ!」と感じることが多い訳です。それなのに、その朝だけ夫は嘘のように何も痛みを感じなかったので、喜ぶよりも痛みを感じない=自分は死んでいる、のでは?といぶかった訳です。文章にすると余り面白くないのですが、その副社長(当然年配でした)が話し上手でまるで自分の体験のようにジェスチャー入りで腰や腕を押さえながらの熱演で笑えたものです。他にも色々教えてもらいましたが、本紙では倫理規定に引っ掛かるようなものまであるので自重します。(閑話休題)

 前書きが長くなりましたが、老人の長話とご容赦頂き本題に入ります。

 ところで、本題は何でしたかな?おっと、今度は老人ボケ(差別用語はいけませんので言い換えて『認知症』)ですかな?・・さて、ここから真面目になります。

 首都ワシントンでは「またか!?」というようにオバマ大統領率いる民主党と敵役の共和党が3月1日期限で自動発動する政府支出削減法の見直し・改訂・代案に関して相も変わらず、また懲りもせず相手側を非難し、その提案は受け入れずあら探しして難癖をつけ合うばかり。正に醜い泥仕合、足の引っ張り合いです。世界の政治・経済のリーダーであるべき最先進国の米国がもう何年も議会承認された正式年度予算が成立していない事実は驚くべきことです。世界の模範となるべきリーダー国がこの体たらくでは、他の諸国が畏敬を持って接しようと思っていてもそれこそ国家としての『品格』が寂しく映りますよね。

 米国風に(?)自分の責任ではない、と保身に走り他責=他人の所為・責任にして自分以外の誰かを悪者にして難を逃れたり、雲隠れする輩も多いですが、所詮『同じ穴のムジナ』でワシントンの政治家は与野党の区別なく多かれ少なかれ皆責を負う罪人(つみびと)です。

 5年前の金融破綻で金融・住宅バブルが弾けるまで「消費は美徳」とばかりに投資家、企業株主・経営者、個人事業主、一般消費者を巻き込んで節操のない投機熱、消費熱を煽り、働く前から遊ぶ、稼ぐ前からお金を使う、しかも入って来る以上にお金を使うという支出・消費パターンが20年以上も続き、日本の悪しき前例から学び二の舞を避けようとしていた数少ない心ある良識派の「バブルが弾ける。危ないぞ。」との警告を黙殺し押し込めて我が世の春を謳歌していたら案の定バブルが弾けて自国だけでなく世界中を巻き添えにして急転直下、奈落の底へ落ちた次第です。国自体収支のバランスが取れなくては、いわんや国民おや。

 基本的人権では何人(なんびと)も健康で文化的な最低限度の生活を保障されており、余力があり事情が許せばそれ以上に豊かな生活を送る権利がありますが、権利には同時にまた同程度の義務を伴います。どちらか一方だけを取るのは片手落ちで公正・公平ではありません。最近はどうも権利を声高に主張・要求する人達がやけに目立ちますが、そういう人たちに限って(語弊があれば、そういう人達の多くが)得てして義務を怠っている気がします。権利と義務は一対。料理で言えばセット・メニューです。権利は美味しくて自分が好きな材料と味付けだから残さずしっかり食べる。大盛りやお替りも欲しい。しかし、義務は見栄えも悪く、嫌いな材料で味付けもいまいち。でもですね、それが体に良いのですよ。人間に必要不可欠なのですね。

 自由と責任も同様です。自由を求め謳歌すると同時に法律や規則を守る、他人に迷惑を掛けない、わざとではなくても何か失敗して他人に迷惑や損害を与えたらきちんと責任を取るのが当然で、自由とは切り離せない一心同体のものです。こちらも昨今『自由』を要求する声は大きく度々聞こえても『責任』、特に自らを律し何か齟齬を来たしたら自分自身を責めて反省する謙虚な『自責』の態度が失われつつあるようです。中には反省・陳謝するどころか開き直って逆切れし、相手構わず噛み付き、見境なく当り散らす輩も見受けられます。

 前号で取り上げた『本質を見極める』気持ちを忘れなければ、権利と自由ばかりを追い求めて義務と責任を疎かあるいはないがしろにする事にはならない筈です。

 人生を歩むのに自由は軽く責任は重いですが、ヘルシーな権利と義務のセット・メニューと合わせて、皆さんご一緒に体力強化、健康維持に励みましょう!!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 予想以上に早く、2月は瞬く間に過ぎてしまいました。誕生日も特にいつもと変わりもなく、むしろちょっと余分にデスクワークが多かっただけで「ハッピー・バースデーとはなんぞや?」と自問自答。朝目覚めてベッドから起き上がって何も支障なく動き回れる事。医者に掛かってもいないし処方薬、サプリメントも服用せずに済んでいる事。もうそれだけで十分ハッピーと自分に言い聞かせて過ぎた誕生日。そう言えばはるか昔の独身時代、当時の勤務先であった会社の100%米国子会社の米人副社長から聞かされたジョークを思い出しました。

 老夫婦の朝の会話:(夫)目覚めてベッドから「ハニー、ちょっと。」(妻)「何ですよ。さあ起きて、起きて!」 (夫)「何かおかしいんだ。」 (妻)「何が?」(夫)「わしゃ、生きているのかな?」 (妻)「当たり前ですよ。何でそんな馬鹿なこと聞くんだね?」 (夫)「いやあ、いつもと違って今朝は体のどこも痛くないんだ。」・・・

 分かります? つまり、人間歳を取ると誰でも腰や背中、首、ひざ、関節、手指などどこかしら痛いところがあるのが普通で、特に起き抜け動き始めの際に「アツツ!」、「ウッ!」、「イタッ!」と感じることが多い訳です。それなのに、その朝だけ夫は嘘のように何も痛みを感じなかったので、喜ぶよりも痛みを感じない=自分は死んでいる、のでは?といぶかった訳です。文章にすると余り面白くないのですが、その副社長(当然年配でした)が話し上手でまるで自分の体験のようにジェスチャー入りで腰や腕を押さえながらの熱演で笑えたものです。他にも色々教えてもらいましたが、本紙では倫理規定に引っ掛かるようなものまであるので自重します。(閑話休題)

 前書きが長くなりましたが、老人の長話とご容赦頂き本題に入ります。

 ところで、本題は何でしたかな?おっと、今度は老人ボケ(差別用語はいけませんので言い換えて『認知症』)ですかな?・・さて、ここから真面目になります。

 首都ワシントンでは「またか!?」というようにオバマ大統領率いる民主党と敵役の共和党が3月1日期限で自動発動する政府支出削減法の見直し・改訂・代案に関して相も変わらず、また懲りもせず相手側を非難し、その提案は受け入れずあら探しして難癖をつけ合うばかり。正に醜い泥仕合、足の引っ張り合いです。世界の政治・経済のリーダーであるべき最先進国の米国がもう何年も議会承認された正式年度予算が成立していない事実は驚くべきことです。世界の模範となるべきリーダー国がこの体たらくでは、他の諸国が畏敬を持って接しようと思っていてもそれこそ国家としての『品格』が寂しく映りますよね。

 米国風に(?)自分の責任ではない、と保身に走り他責=他人の所為・責任にして自分以外の誰かを悪者にして難を逃れたり、雲隠れする輩も多いですが、所詮『同じ穴のムジナ』でワシントンの政治家は与野党の区別なく多かれ少なかれ皆責を負う罪人(つみびと)です。

 5年前の金融破綻で金融・住宅バブルが弾けるまで「消費は美徳」とばかりに投資家、企業株主・経営者、個人事業主、一般消費者を巻き込んで節操のない投機熱、消費熱を煽り、働く前から遊ぶ、稼ぐ前からお金を使う、しかも入って来る以上にお金を使うという支出・消費パターンが20年以上も続き、日本の悪しき前例から学び二の舞を避けようとしていた数少ない心ある良識派の「バブルが弾ける。危ないぞ。」との警告を黙殺し押し込めて我が世の春を謳歌していたら案の定バブルが弾けて自国だけでなく世界中を巻き添えにして急転直下、奈落の底へ落ちた次第です。国自体収支のバランスが取れなくては、いわんや国民おや。

 基本的人権では何人(なんびと)も健康で文化的な最低限度の生活を保障されており、余力があり事情が許せばそれ以上に豊かな生活を送る権利がありますが、権利には同時にまた同程度の義務を伴います。どちらか一方だけを取るのは片手落ちで公正・公平ではありません。最近はどうも権利を声高に主張・要求する人達がやけに目立ちますが、そういう人たちに限って(語弊があれば、そういう人達の多くが)得てして義務を怠っている気がします。権利と義務は一対。料理で言えばセット・メニューです。権利は美味しくて自分が好きな材料と味付けだから残さずしっかり食べる。大盛りやお替りも欲しい。しかし、義務は見栄えも悪く、嫌いな材料で味付けもいまいち。でもですね、それが体に良いのですよ。人間に必要不可欠なのですね。

 自由と責任も同様です。自由を求め謳歌すると同時に法律や規則を守る、他人に迷惑を掛けない、わざとではなくても何か失敗して他人に迷惑や損害を与えたらきちんと責任を取るのが当然で、自由とは切り離せない一心同体のものです。こちらも昨今『自由』を要求する声は大きく度々聞こえても『責任』、特に自らを律し何か齟齬を来たしたら自分自身を責めて反省する謙虚な『自責』の態度が失われつつあるようです。中には反省・陳謝するどころか開き直って逆切れし、相手構わず噛み付き、見境なく当り散らす輩も見受けられます。

 前号で取り上げた『本質を見極める』気持ちを忘れなければ、権利と自由ばかりを追い求めて義務と責任を疎かあるいはないがしろにする事にはならない筈です。

 人生を歩むのに自由は軽く責任は重いですが、ヘルシーな権利と義務のセット・メニューと合わせて、皆さんご一緒に体力強化、健康維持に励みましょう!!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Gaku (Vol. 120)喧喧諤諤 第120回:本質を見極める

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2月『如月』になりました。自分の誕生月なのでえこ贔屓(ひいき)する訳ではありませんが、1年の中でも2月は何か特別な感じがします。『きさらぎ』という響きが先ず好きですし、ひと月が過不足なくぴったり4週間、28日しかない一番短い月でありながら、4年に一度の閏年には1日追加されて29日になるという変わり者、異端児です。日本では一番寒い月でもあり、学生時代には学期末試験、卒業試験、入学試験と続く試験シーズンで大雪、凍結で交通機関のダイヤが乱れて試験時刻が遅れたり、日時が延期になることも良くありました。当時は通勤・通学時の着膨れラッシュも一旦乗ったら身動きできない思いをして大変でしたが、今では懐かしい想い出の一つです。

政治・経済に目を戻すと、米国では先日行われたオバマ大統領の2期目の大統領就任式前に『財政の崖』問題はとりあえず一息つきましたが、引き続き連邦政府の債務上限見直しや銃規制、移民規制、雇用創出、海外派遣・駐留軍の再編などの諸問題が山積みで2期目も全く安閑としていられません。

日本では、安倍新首相と復活自民党政権の成立後急激な円安・株高で輸出企業を中心に追い風が吹いて表面上は幸先良い船出となった格好ですが、逆に食品・食材、原材料、衣料品などの輸入品はコストアップとなるため、日本経済全体が底上げされてデフレ状態を脱出し、生産・売上げアップ、企業収益改善、給与・家庭収入・可処分所得増、消費拡大、景気回復の好循環に入るにはまだまだ時間が掛かりそうです。

さて、今回のタイトルは『本質を見極める』です。

大容量高速通信技術・システム・ネットワークの飛躍的な進歩のお陰で私達は瞬時にと言っても過言でない程世界中の最新の出来事やニュースを知ることが出来る一方、ありとあらゆる情報が洪水のように押し寄せ身の回りに氾濫しています。中には不急・不要の情報、にせ・うそ情報、誤情報も多く、誤解や怒り・憎悪を招くもの、不安を煽るもの、他人を騙したり陥れたりするもの、侮辱し、辱めたり貶めるものなど知らない方が良かった情報、元々発信すべきでなかった情報も数え切れない程あります。

このような情報洪水・氾濫の環境下に置かれている私達は情報の波に飲み込まれないように物事の「本質を見極める」、少なくともその努力を絶えず続ける必要があります。

自分が何か反応、発言、行動する前に一体何が真実なのか?何が本当なのか?何が正しいのか?は最低限、最小限の問いとして当然ですが、時と場合により何が目的なのか?何が狙い・目標なのか?タイミングはベストか?リソース(ヒト・モノ・カネ)を考慮した考え方、方法は適切か?なども自問してみることです。

そして発言・行動に移す前最後にもう一つ「それをした結果、相手はどう思うか?相手や世間に対してどういう影響があるか?どんな結果になるか?」を予想し、実行することの善悪を判断してから最終決定することです。

「何人も自分の言動を自ら選択・決定し実行は出来るが、その結果として起こる影響まではコントロール出来ない」という言葉がありますが、正にその通りで独りよがりや思い込みが強過ぎて取った言動のために自分では思ってもいなかった影響が出たり、思わぬ事態に発展したり、期待外れの結果になってしまう場合が多々あります。

そうならないように、物事の「本質を見極める」努力を怠ってはなりません。そのためにはやはり普段から身の回りに溢れる情報の中で何が本当なのか、本物なのか、正しいのかを選別し判断出来る目を養い、自分はいつ、どこで、またどんな方法で何を言うべきかあるいはすべきかを起こりうる影響と結果も予想した上で実行に移す配慮が不可欠です。

今流行のSNS(ソシアル・ネットワーキング・サービス)やインターネットで日本中、世界中で何百万人、何千万人もの利用者がいるTwitterやFacebook、Eメールやブログなどで世間の出来事や他者の発言に対して刹那的に反応して節操のない感情的なコメントや書き込みをする風潮は目に余るものがあります。不快なもの、悪意に満ちたもの、憎悪や嫌悪を撒き散らし負の感情を連鎖的に伝染させるものなど常識と節操のあるまともな人ならば決して言わない、書かないような酷い内容のものがあります。

日本のある脳学者の研究発表によると、普段から物事を時間を掛けてじっくり考える人の脳神経の先端はどんどん伸びて複雑な網の目を構成し、難しい問題、困難な状況でも我慢強くベストの答え、解決策を考え出せるようになる、と読んだ記憶があります。逆に深く考えずに刹那的、即興的、感情的な反応ばかりしているとこの脳神経の端末の成長が止まってしまい、難問解決、、障害克服、困難打破が難しくなるとのことです。この発表の真偽については検証し難いですが、自分自身の限られた経験では当たっているような気がします。

2月は一番短い月で毎年あっと言う間に過ぎてしまいますが、皆さん今年は少し時間を取っていつもなら簡単に返事をしたり、処理してしまう事柄を脳に汗をかく程じっくり考えて、「本質を見極める」努力をしてみては如何でしょうか?

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

2月『如月』になりました。自分の誕生月なのでえこ贔屓(ひいき)する訳ではありませんが、1年の中でも2月は何か特別な感じがします。『きさらぎ』という響きが先ず好きですし、ひと月が過不足なくぴったり4週間、28日しかない一番短い月でありながら、4年に一度の閏年には1日追加されて29日になるという変わり者、異端児です。日本では一番寒い月でもあり、学生時代には学期末試験、卒業試験、入学試験と続く試験シーズンで大雪、凍結で交通機関のダイヤが乱れて試験時刻が遅れたり、日時が延期になることも良くありました。当時は通勤・通学時の着膨れラッシュも一旦乗ったら身動きできない思いをして大変でしたが、今では懐かしい想い出の一つです。

政治・経済に目を戻すと、米国では先日行われたオバマ大統領の2期目の大統領就任式前に『財政の崖』問題はとりあえず一息つきましたが、引き続き連邦政府の債務上限見直しや銃規制、移民規制、雇用創出、海外派遣・駐留軍の再編などの諸問題が山積みで2期目も全く安閑としていられません。

日本では、安倍新首相と復活自民党政権の成立後急激な円安・株高で輸出企業を中心に追い風が吹いて表面上は幸先良い船出となった格好ですが、逆に食品・食材、原材料、衣料品などの輸入品はコストアップとなるため、日本経済全体が底上げされてデフレ状態を脱出し、生産・売上げアップ、企業収益改善、給与・家庭収入・可処分所得増、消費拡大、景気回復の好循環に入るにはまだまだ時間が掛かりそうです。

さて、今回のタイトルは『本質を見極める』です。

大容量高速通信技術・システム・ネットワークの飛躍的な進歩のお陰で私達は瞬時にと言っても過言でない程世界中の最新の出来事やニュースを知ることが出来る一方、ありとあらゆる情報が洪水のように押し寄せ身の回りに氾濫しています。中には不急・不要の情報、にせ・うそ情報、誤情報も多く、誤解や怒り・憎悪を招くもの、不安を煽るもの、他人を騙したり陥れたりするもの、侮辱し、辱めたり貶めるものなど知らない方が良かった情報、元々発信すべきでなかった情報も数え切れない程あります。

このような情報洪水・氾濫の環境下に置かれている私達は情報の波に飲み込まれないように物事の「本質を見極める」、少なくともその努力を絶えず続ける必要があります。

自分が何か反応、発言、行動する前に一体何が真実なのか?何が本当なのか?何が正しいのか?は最低限、最小限の問いとして当然ですが、時と場合により何が目的なのか?何が狙い・目標なのか?タイミングはベストか?リソース(ヒト・モノ・カネ)を考慮した考え方、方法は適切か?なども自問してみることです。

そして発言・行動に移す前最後にもう一つ「それをした結果、相手はどう思うか?相手や世間に対してどういう影響があるか?どんな結果になるか?」を予想し、実行することの善悪を判断してから最終決定することです。

「何人も自分の言動を自ら選択・決定し実行は出来るが、その結果として起こる影響まではコントロール出来ない」という言葉がありますが、正にその通りで独りよがりや思い込みが強過ぎて取った言動のために自分では思ってもいなかった影響が出たり、思わぬ事態に発展したり、期待外れの結果になってしまう場合が多々あります。

そうならないように、物事の「本質を見極める」努力を怠ってはなりません。そのためにはやはり普段から身の回りに溢れる情報の中で何が本当なのか、本物なのか、正しいのかを選別し判断出来る目を養い、自分はいつ、どこで、またどんな方法で何を言うべきかあるいはすべきかを起こりうる影響と結果も予想した上で実行に移す配慮が不可欠です。

今流行のSNS(ソシアル・ネットワーキング・サービス)やインターネットで日本中、世界中で何百万人、何千万人もの利用者がいるTwitterやFacebook、Eメールやブログなどで世間の出来事や他者の発言に対して刹那的に反応して節操のない感情的なコメントや書き込みをする風潮は目に余るものがあります。不快なもの、悪意に満ちたもの、憎悪や嫌悪を撒き散らし負の感情を連鎖的に伝染させるものなど常識と節操のあるまともな人ならば決して言わない、書かないような酷い内容のものがあります。

日本のある脳学者の研究発表によると、普段から物事を時間を掛けてじっくり考える人の脳神経の先端はどんどん伸びて複雑な網の目を構成し、難しい問題、困難な状況でも我慢強くベストの答え、解決策を考え出せるようになる、と読んだ記憶があります。逆に深く考えずに刹那的、即興的、感情的な反応ばかりしているとこの脳神経の端末の成長が止まってしまい、難問解決、、障害克服、困難打破が難しくなるとのことです。この発表の真偽については検証し難いですが、自分自身の限られた経験では当たっているような気がします。

2月は一番短い月で毎年あっと言う間に過ぎてしまいますが、皆さん今年は少し時間を取っていつもなら簡単に返事をしたり、処理してしまう事柄を脳に汗をかく程じっくり考えて、「本質を見極める」努力をしてみては如何でしょうか?

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Gaku (Vol. 119)喧喧諤諤 第119回:年の瀬、年明けに寄せて

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新年明けましておめでとうございます。2013年が皆様にとって明るく健やかで実り多き一年でありますようにお祈り申し上げます。

先月号のテーマとして取り上げた『財政の崖』問題は、予想通りの経過・進行でクリスマス前には決着せず、オバマ大統領がハワイでの短い休暇から戻った今日、この新年1月号の原稿作業時にも揉め続けています。本号発行時までには何らかの妥協案で合意し、最悪の事態を免れる事を願うばかりです。

日本では、既にご承知の如く、先日行われた衆議院解散・改選で自民党が大勝し、第一党の立場に復帰して安倍新首相と新内閣が誕生しました。自民党が実力で勝ち取ったというよりも民主党が絶対に負けるタイミングで突然自殺行為的な解散選挙に走り、消去法で選ばれた自民党他の候補が多数当選した形でしょうか。

いずれにしても、新首相、新政権には国民が首を長くして待ちわびている『国民のための政治』を力強くかつ着実に実行して欲しいものです。

さて、今回のタイトルは『年の瀬、年明けに寄せて』です。テーマというよりも、この時期に思うところを書き綴ってみます。

年の瀬で一番大きなニュースは、何と言ってもコネチカット州ニュータウン市のサンディー・フック小学校で起こった銃乱射事件です。一年で一番楽しみなクリスマスを10日後に控えた学校で6人の大人と20人もの幼い命が奪われました。

「またかっ!?」という唸り声に続いて「もう沢山だ。いい加減にしろ!!」という怒りがこみ上がるのを押さえ切れませんでした。

在米生活満23年になりますが、同じ様な乱射事件、銃撃事件が後を絶ちません。前の事件を忘れられない内に全米各地で次から次と悲しい事件が起きています。その都度『銃規制の強化』が話題になりながら、犠牲者のご家族の切ない思いは通ぜず、販売店での形式的な銃器購入者の身分・犯罪歴などの事前確認・照会が法律で義務付けられた位でショー、展示会で即売される銃器は対象外のいわゆるザル法でした。

米国での銃規制の問題に関しては常に賛否両論ありますが、古くはヨーロッパから米国への移民初期、西部開拓時代、独立戦争、南北戦争を経て現在も脈々と生き続ける「自分の身は自分で守る」精神と自己防衛の権利が叫ばれ、目に見えて効果のある銃規制が法律化できないまま今日に至っています。

事件後、数日して次々報道されるニュースで葬儀の模様と犠牲者の名前、趣味、人柄などを耳にする度に胸が張り裂けるような悲しみとやり場のない怒りが再びこみ上げて来ました。「歴代の大統領も国会議員達も一体何をやっているんだ!?」「『世界で一番自由で進んだ国、発展した国』と自画自賛する国=アメリカで人殺しの道具となる銃の規制すら出来ないとは !!」という怒りです。

私の怒りを更に大きくしたのが、一つは事件発生直後犯人が使った銃と同じあるいは類似型式の銃器の販売が急増したことです。今回だけでなく、銃規制強化の前に購入しようと考えた人達がかなりいた事を示しています。狩猟が目的ならば一秒に何十発も銃弾を連射できるような銃は不要です。購入した本人達は銃規制に関して総論賛成、各論反対の最たるもので「自分はまとも。キチンと銃の管理が出来て何も問題は起こさない」と思っているのでしょうが、今のご時勢いつ何時何が起こるか分かりません。自分は大丈夫でも犯罪者やその予備軍に奪われて事件を起こす恐れも十分にあります。

もう一つはクリスマス直前に全米中継されたNRA(全米ライフル協会)副社長のテレビ談話です。談話の肝は要するに「米国の全ての学校に銃装備した警官を配置すべき」という驚くべき提案です。これを聞いた私は驚き、呆れて開いた口が塞がらず、恥知らず、人でなしと思うと同時に情けない思いに駆られました。

これだけ無実の人の尊い命が奪われ、悲しい思いをした人々が数多く居る中で少しは反省して銃規制に協力するどころか、更に多くの銃を売ろうとするのか!?この人はたとえ自分の子供が銃で撃たれて命を落としても何とも思わないのか?むしろ銃撃犯人が使った銃が売れた事を喜ぶのか?とさえ考えてしまいました。目には目を、力には力を、銃には銃を、の典型的な考え方ですが、もし武装警官が常駐パトロールする学校が増えたらそこの生徒・学生・教師・親達はどう思うか?教師にも武器と訓練を与えよ、という極端な意見まであるようですが、その教師や武装警官が何かの切欠でキレて自制心を失ったり、精神異常を来たして無防備な生徒や学生に銃を向けたらどうなるか?考えるだけでも恐ろしいです。

また、持っている銃を奪われて犯罪・事件に使われる恐れもあります。武装警官や教師が居ると分かれば、更にそれを上回る重装備をして乗り込む犯罪者が出て来るかもしれません。狂気が狂気を呼び、悲劇の規模が大きくなるばかりです。何度も言われたことですが、もうこれ以上待てません。次の悲劇が起こる前に世論が沸騰している今こそ、本格的銃規制を実現せねばなりません。

年明け早々暗い話題になってしまいましたが、新年のスタートに当たり巳年の今年こそ良い意味で蛇のように執念深く、粘り強く本当に有効で意味のある銃規制の強化実現に在米日本人の我々も少しでも貢献出来るようにしたいものです。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

新年明けましておめでとうございます。2013年が皆様にとって明るく健やかで実り多き一年でありますようにお祈り申し上げます。

先月号のテーマとして取り上げた『財政の崖』問題は、予想通りの経過・進行でクリスマス前には決着せず、オバマ大統領がハワイでの短い休暇から戻った今日、この新年1月号の原稿作業時にも揉め続けています。本号発行時までには何らかの妥協案で合意し、最悪の事態を免れる事を願うばかりです。

日本では、既にご承知の如く、先日行われた衆議院解散・改選で自民党が大勝し、第一党の立場に復帰して安倍新首相と新内閣が誕生しました。自民党が実力で勝ち取ったというよりも民主党が絶対に負けるタイミングで突然自殺行為的な解散選挙に走り、消去法で選ばれた自民党他の候補が多数当選した形でしょうか。

いずれにしても、新首相、新政権には国民が首を長くして待ちわびている『国民のための政治』を力強くかつ着実に実行して欲しいものです。

さて、今回のタイトルは『年の瀬、年明けに寄せて』です。テーマというよりも、この時期に思うところを書き綴ってみます。

年の瀬で一番大きなニュースは、何と言ってもコネチカット州ニュータウン市のサンディー・フック小学校で起こった銃乱射事件です。一年で一番楽しみなクリスマスを10日後に控えた学校で6人の大人と20人もの幼い命が奪われました。

「またかっ!?」という唸り声に続いて「もう沢山だ。いい加減にしろ!!」という怒りがこみ上がるのを押さえ切れませんでした。

在米生活満23年になりますが、同じ様な乱射事件、銃撃事件が後を絶ちません。前の事件を忘れられない内に全米各地で次から次と悲しい事件が起きています。その都度『銃規制の強化』が話題になりながら、犠牲者のご家族の切ない思いは通ぜず、販売店での形式的な銃器購入者の身分・犯罪歴などの事前確認・照会が法律で義務付けられた位でショー、展示会で即売される銃器は対象外のいわゆるザル法でした。

米国での銃規制の問題に関しては常に賛否両論ありますが、古くはヨーロッパから米国への移民初期、西部開拓時代、独立戦争、南北戦争を経て現在も脈々と生き続ける「自分の身は自分で守る」精神と自己防衛の権利が叫ばれ、目に見えて効果のある銃規制が法律化できないまま今日に至っています。

事件後、数日して次々報道されるニュースで葬儀の模様と犠牲者の名前、趣味、人柄などを耳にする度に胸が張り裂けるような悲しみとやり場のない怒りが再びこみ上げて来ました。「歴代の大統領も国会議員達も一体何をやっているんだ!?」「『世界で一番自由で進んだ国、発展した国』と自画自賛する国=アメリカで人殺しの道具となる銃の規制すら出来ないとは !!」という怒りです。

私の怒りを更に大きくしたのが、一つは事件発生直後犯人が使った銃と同じあるいは類似型式の銃器の販売が急増したことです。今回だけでなく、銃規制強化の前に購入しようと考えた人達がかなりいた事を示しています。狩猟が目的ならば一秒に何十発も銃弾を連射できるような銃は不要です。購入した本人達は銃規制に関して総論賛成、各論反対の最たるもので「自分はまとも。キチンと銃の管理が出来て何も問題は起こさない」と思っているのでしょうが、今のご時勢いつ何時何が起こるか分かりません。自分は大丈夫でも犯罪者やその予備軍に奪われて事件を起こす恐れも十分にあります。

もう一つはクリスマス直前に全米中継されたNRA(全米ライフル協会)副社長のテレビ談話です。談話の肝は要するに「米国の全ての学校に銃装備した警官を配置すべき」という驚くべき提案です。これを聞いた私は驚き、呆れて開いた口が塞がらず、恥知らず、人でなしと思うと同時に情けない思いに駆られました。

これだけ無実の人の尊い命が奪われ、悲しい思いをした人々が数多く居る中で少しは反省して銃規制に協力するどころか、更に多くの銃を売ろうとするのか!?この人はたとえ自分の子供が銃で撃たれて命を落としても何とも思わないのか?むしろ銃撃犯人が使った銃が売れた事を喜ぶのか?とさえ考えてしまいました。目には目を、力には力を、銃には銃を、の典型的な考え方ですが、もし武装警官が常駐パトロールする学校が増えたらそこの生徒・学生・教師・親達はどう思うか?教師にも武器と訓練を与えよ、という極端な意見まであるようですが、その教師や武装警官が何かの切欠でキレて自制心を失ったり、精神異常を来たして無防備な生徒や学生に銃を向けたらどうなるか?考えるだけでも恐ろしいです。

また、持っている銃を奪われて犯罪・事件に使われる恐れもあります。武装警官や教師が居ると分かれば、更にそれを上回る重装備をして乗り込む犯罪者が出て来るかもしれません。狂気が狂気を呼び、悲劇の規模が大きくなるばかりです。何度も言われたことですが、もうこれ以上待てません。次の悲劇が起こる前に世論が沸騰している今こそ、本格的銃規制を実現せねばなりません。

年明け早々暗い話題になってしまいましたが、新年のスタートに当たり巳年の今年こそ良い意味で蛇のように執念深く、粘り強く本当に有効で意味のある銃規制の強化実現に在米日本人の我々も少しでも貢献出来るようにしたいものです。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku (Vol. 118)喧喧諤諤 第118回:立ちはだかる『財政の崖』

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 先月号の原稿締切り時にワールドシリーズを戦っていたデトロイト・タイガースは4連敗であっさりサンフランシスコ・ジャイアンツの軍門に下り、残念ながら地元ファンの期待に応えられませんでした。3連敗から4連勝という2004年のボストン・レッドソックスのミラクル再現はなりませんでしたが、奇跡は滅多に起こらないから奇跡なのであって、しょっちゅうあったら奇跡ではありません。所詮無理な願い事でしたね。チームには来年更なる飛躍に期待しましょう。

 さて、師走に入り今年も残り4週間程。辰年は過去のものとなり、巳年がやって来ます。4歳の女の子にまで「大統領選なんて嫌い!」と言わせたウンザリする程長く激しいキャンペーン合戦が続いた大統領選も先月初めにようやく決着し、現役のオバマ大統領が再選されました。投票日直前に北東部を襲ったハリケーン・サンディーはニュージャージー、ニューヨーク両州を初めとし、各地に甚大な被害をもたらして忘れられない選挙となりましたが、被災者の方々には心よりお悔やみ申し上げます。

 さて、今回のテーマはその大統領選に関連して【立ちはだかる『財政の壁』】です。

 皆さんもこのところ毎日のようにニュース放送やメディア報道でFiscal Cliff(フィスカル・クリフ=財政の崖)という言葉を耳にタコ、目にイカ(とは言いませんね)が出来る程見聞きされていると思います。

 既にご存知のように、ブッシュ前大統領の政権当時から延長され続けて来た特別減税の特典が本年末でいよいよ打ち切りとなり、同時に既に議会承認されている連邦歳出削減法が自動的に発効する米国企業と国民にとってはダブルパンチの景気後退要因です。それが正に急な崖を滑り落ちる様に例えられて『財政の崖』と呼ばれており、TVニュースでも車が崖の端に引っ掛かってブラブラと宙吊りになっている映像をご覧になった方も多いと思います。

 もし、このまま減税打ち切りと歳出削減が予定通り実行されると、その影響はお膝元の米国だけに留まらず、世界中に大規模な負の連鎖をもたらすと予想されています。末端消費、自動車販売、雇用、株価、住宅市場などようやく少しずつ回復しつつある米国経済を急激に冷え込ませ、まず間違いなく再び景気後退から不景気・恐慌に発展する恐れがあります。

 オバマ大統領、上下院議員、その他の政治家、企業経営者、投資家はずっと以前から、また米国民の大多数も今回の大統領選挙活動中の話題に取り上げられたので問題意識は十分の筈ですが、その問題の答え=解決策を見出して民主・共和両党の合意を取り付け、上下院の議会承認を経て大統領の承認署名に辿り着くまでの道のりが険しく、こちらも崖に近いような急な上り坂が続いています。

 こうなる事は皆分かっていながら、国民不在の如くに2大政党間の党利党略優先のパワーゲームによる駆け引きやティーパーティーなど党内外の異論派、独立・無所属派の選挙対策を念頭に置いた人気取り、我田引水的言動にも振り回されてその場凌ぎの先延ばし、先延ばしを繰り返して来たツケがとうとう最後に回って来て、最早逃げ道のない断崖絶壁に追い込まれた状態です。

 次は一体どうなるかハラハラ、ドキドキのCliff Hanger(映画の題名にもあったクリフ・ハンガー)的な要素はTVドラマだけで結構。もうこれ以上この大統領選挙後の最優先・最重要課題を先送り、解決策の先延ばしは出来ません。

 ここ3~4週間のニュース報道では、選挙直後こそ民主党も共和党も大統領や有力議員から多少のリップ・サービス的歩み寄り発言はあったものの、基本的に前と同じ様な考え、意見を繰り返しているばかりで大きな歩み寄りはありません。私のニューヨーク勤務時代の米人上司が、「小さな痛みを薬を飲みながら騙し騙しずっと耐えているよりも、大きな痛み(手術)を一度だけ耐える方がベター」と言っておりました。今が手術の時ですね。

 一度に八方美人的で完璧な解決策はとても無理としても、せめて『大岡裁き』の話にあるような『三方一両損』方式でそれぞれ多少痛みを分かち合いながらも、国民が期待している即効性と継続性・発展性を併せ持った妥協案が期限ぎりぎりでなく一日も早く作成・合意され、清々しく新年のスタートを迎えられる事を強く願うばかりです。

 皆さんも公私共に小さな痛みをずっと先延ばしなさらないようにご留意下さい。

 では少し気が早いですが、皆様楽しいクリスマスと良い新年をお迎え下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 先月号の原稿締切り時にワールドシリーズを戦っていたデトロイト・タイガースは4連敗であっさりサンフランシスコ・ジャイアンツの軍門に下り、残念ながら地元ファンの期待に応えられませんでした。3連敗から4連勝という2004年のボストン・レッドソックスのミラクル再現はなりませんでしたが、奇跡は滅多に起こらないから奇跡なのであって、しょっちゅうあったら奇跡ではありません。所詮無理な願い事でしたね。チームには来年更なる飛躍に期待しましょう。

 さて、師走に入り今年も残り4週間程。辰年は過去のものとなり、巳年がやって来ます。4歳の女の子にまで「大統領選なんて嫌い!」と言わせたウンザリする程長く激しいキャンペーン合戦が続いた大統領選も先月初めにようやく決着し、現役のオバマ大統領が再選されました。投票日直前に北東部を襲ったハリケーン・サンディーはニュージャージー、ニューヨーク両州を初めとし、各地に甚大な被害をもたらして忘れられない選挙となりましたが、被災者の方々には心よりお悔やみ申し上げます。

 さて、今回のテーマはその大統領選に関連して【立ちはだかる『財政の壁』】です。

 皆さんもこのところ毎日のようにニュース放送やメディア報道でFiscal Cliff(フィスカル・クリフ=財政の崖)という言葉を耳にタコ、目にイカ(とは言いませんね)が出来る程見聞きされていると思います。

 既にご存知のように、ブッシュ前大統領の政権当時から延長され続けて来た特別減税の特典が本年末でいよいよ打ち切りとなり、同時に既に議会承認されている連邦歳出削減法が自動的に発効する米国企業と国民にとってはダブルパンチの景気後退要因です。それが正に急な崖を滑り落ちる様に例えられて『財政の崖』と呼ばれており、TVニュースでも車が崖の端に引っ掛かってブラブラと宙吊りになっている映像をご覧になった方も多いと思います。

 もし、このまま減税打ち切りと歳出削減が予定通り実行されると、その影響はお膝元の米国だけに留まらず、世界中に大規模な負の連鎖をもたらすと予想されています。末端消費、自動車販売、雇用、株価、住宅市場などようやく少しずつ回復しつつある米国経済を急激に冷え込ませ、まず間違いなく再び景気後退から不景気・恐慌に発展する恐れがあります。

 オバマ大統領、上下院議員、その他の政治家、企業経営者、投資家はずっと以前から、また米国民の大多数も今回の大統領選挙活動中の話題に取り上げられたので問題意識は十分の筈ですが、その問題の答え=解決策を見出して民主・共和両党の合意を取り付け、上下院の議会承認を経て大統領の承認署名に辿り着くまでの道のりが険しく、こちらも崖に近いような急な上り坂が続いています。

 こうなる事は皆分かっていながら、国民不在の如くに2大政党間の党利党略優先のパワーゲームによる駆け引きやティーパーティーなど党内外の異論派、独立・無所属派の選挙対策を念頭に置いた人気取り、我田引水的言動にも振り回されてその場凌ぎの先延ばし、先延ばしを繰り返して来たツケがとうとう最後に回って来て、最早逃げ道のない断崖絶壁に追い込まれた状態です。

 次は一体どうなるかハラハラ、ドキドキのCliff Hanger(映画の題名にもあったクリフ・ハンガー)的な要素はTVドラマだけで結構。もうこれ以上この大統領選挙後の最優先・最重要課題を先送り、解決策の先延ばしは出来ません。

 ここ3~4週間のニュース報道では、選挙直後こそ民主党も共和党も大統領や有力議員から多少のリップ・サービス的歩み寄り発言はあったものの、基本的に前と同じ様な考え、意見を繰り返しているばかりで大きな歩み寄りはありません。私のニューヨーク勤務時代の米人上司が、「小さな痛みを薬を飲みながら騙し騙しずっと耐えているよりも、大きな痛み(手術)を一度だけ耐える方がベター」と言っておりました。今が手術の時ですね。

 一度に八方美人的で完璧な解決策はとても無理としても、せめて『大岡裁き』の話にあるような『三方一両損』方式でそれぞれ多少痛みを分かち合いながらも、国民が期待している即効性と継続性・発展性を併せ持った妥協案が期限ぎりぎりでなく一日も早く作成・合意され、清々しく新年のスタートを迎えられる事を強く願うばかりです。

 皆さんも公私共に小さな痛みをずっと先延ばしなさらないようにご留意下さい。

 では少し気が早いですが、皆様楽しいクリスマスと良い新年をお迎え下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku (Vol. 117)喧喧諤諤 第117回:不透明な時代の人事戦略

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 ハロウィーンも過ぎて今年も残すところ2ヶ月弱となりました。大統領選を目前にして季節外れのハリケーン襲来で米国北東部に時ならぬ緊張が漲りましたが、事前の警報と最善の準備で何処にも大きな被害が出ない事を祈るばかりです。

 さて、先月号発行時に気をもんでいたデトロイト・タイガースは見事ALセントラル・ディビジョンで優勝し、プレイオフ進出。ディビジョン・シリーズではレギュラーシーズン終末で最も勢いのあったオークランド・アスレチックスを最終第5戦までもつれながらも撃破。ワールド・シリーズ進出を賭けたALチャンピオンシップ・シリーズではイチロー選手が移籍したニューヨーク・ヤンキースに4連勝と圧倒して久し振りに地元に明るい話題を提供しました。本原稿作成時点ではワールド・シリーズでサンフランシスコ・ジャイアンツに敵地で2連敗と苦しいスタート。地元に戻った第3戦以降の奮起を期待。本紙が発行される頃には最終結果が出ている筈ですが、更なる吉報を願っています。(と原稿を書いていたところで第3戦も負けて3連敗。ワールド・シリーズだけでなくプレイオフで3連敗から4連勝で優勝したのは、2004年のボストン・レッドソックスのみ)史上2度目の奇跡を起こせ!ゴー、タイガース!!

 さて本題ですが、今回は少し堅いテーマで『不透明な時代の人事戦略』です。

 20世紀の高名なケインズ派経済学者であったジョン・ケネス・ガルブレイスの著書『不確実性の時代』のタイトルではありませんが、21世紀に入って10年余り経った今も我々を取り巻く環境は不確実性に満ち溢れ、マクロあるいはミクロどちらの視点から見ても経済的にも政治的にも地球上の各地で先行き不透明で不安定な社会情勢が続いています。

 こうした中で、日本国内はもとより海外へ進出している数多くの日系企業はどのような経営戦略で対応して行くべきなのでしょうか?

 余りに大きな命題なのでとても私ごときが明快な答えを出せる筈もありませんが、日本の親会社の状況や進出先それぞれのお国の事情(政治・社会情勢、経済・市場動向など)、現地の子会社・関連会社の状況によって当然異なるでしょう。

 一つだけ間違いなく言えそうな事は、これだけあらゆる面でグローバル化が進み、携帯電話、インターネット、ソシアルネットワークなどの情報・通信システムが何処か世界の片隅の出来事まで瞬時に世界中に伝えてしまい、ビジネスの業態やビジネスの存在そのものまで影響してしまう世の中にあっては、環境の変化、市場の立地・規模・ニーズの変化に素早く適切に対応できない企業は生き残れないだろうという事です。

 手元の資料によれば、1955年から格付けがスタートした米国のフォーチュン500社で初年度にランク入りした企業の中で昨年2011年もランク入りしている企業は67社のみ。何とわずか13%強の数字です。半世紀余りの間にその時々に強大な力を持ち大きな成果を収めていた有名企業ですら成功と発展を続けられず、ランク落ちしてしまったのです。姿を消してしまった企業もあります。

 「驕る平家は久しからず」で飛ぶ鳥を落とす勢いの企業でさえも栄枯盛衰の波に飲まれてしまった訳です。その原因は様々でしょうが、多かれ少なかれ「変化に対応できなかった」事がある筈です。直近四半世紀で大きな変化の例として手巻き時計からクォーツ・ウォッチ、アナログからデジタル、スネールメールからEメール、現金からキャッシュレス、紙・印刷文化からペーパーレスなどがあります。最近ではあのニューズ・ウィークが紙媒体の配信を止めて電子版だけに集中するというニュースがありました。

 今は企業規模の大きさ、従業員の多さが必ずしも強みにならないどころか弱みやリスクとなる恐れがありますが、こうした中で企業の人事戦略はどう考えればいいのでしょうか?もちろん、経営戦略と密接に連動していなければなりませんが、変化に対して迅速かつ的確に対応するためには、人事部門もそのように意識と行動を変えねばなりません。

 トップダウンの指示や各部門からの求人依頼を受けてから社内外で候補者探しを始め、履歴書・職務経歴書などの書類審査・選考、電話・スカイプ・直接面談による候補者面接、給与待遇などの採用条件交渉・提示、犯罪歴・身辺調査、採用と一般的な手順を踏んでいたのでは、いつも後手、後手の対応となりタイミングも候補者マッチングのレベルも不十分な結果になりかねません。

 実績と能力を評価する人事考課も従来のパターンで年に一度では半年から1年も前の古い出来事を振り返ることになり、過去の反省と改善が主で、そこから次の目標を新たに設定していたのではその間に起きた変化には適応できません。重要なのは今起こりつつある変化、今後起こる変化に如何にタイムリーに対応して行くかです。そのためには年に一度長い時間を掛ける人事考課ではなく、毎回の時間は短くても余り間隔を開けずに個人やチームとの面談・打ち合わせの回数を増やす事です。しかしながら、「会議ばかりで仕事が進まない」状況にならぬように要注意です。

 人事部門もプロアクティブに動く必要が強まっています。刻々と変わる小さな変化、突然訪れる大きな変化にもベストの対応ができるように人事部門も常に会社トップと会社方針、経営戦略、事業計画を確認するだけでなく、各部門の現場に足を運び部門長や管理・責任者だけでなく最前線の作業者、営業マン、エンジニアなどに直接現場の状況や今後の動きに見合う人材ニーズを聞き取り、オンタイムまたはジャストインタイムで適格な人材を供給できるように先行して社内外の人材(人財)バンクを形成しておかねばなりません。

 また、一旦人を配置したら終わりではなく、フォローアップ、アフターケアをしながら人材ニーズに変化はないか、同じ人材で次の変化に対応可能か、人事関連のシステムやプロセスは今のままで大丈夫かなどハンズオンでプロアクティブの思考と行動がますます重要です。

 微力ながらその辺りのお手伝いをさせて頂ければと思っておりますので、何か人事関連の悩みをお持ちでしたらお気軽にご一報下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 ハロウィーンも過ぎて今年も残すところ2ヶ月弱となりました。大統領選を目前にして季節外れのハリケーン襲来で米国北東部に時ならぬ緊張が漲りましたが、事前の警報と最善の準備で何処にも大きな被害が出ない事を祈るばかりです。

 さて、先月号発行時に気をもんでいたデトロイト・タイガースは見事ALセントラル・ディビジョンで優勝し、プレイオフ進出。ディビジョン・シリーズではレギュラーシーズン終末で最も勢いのあったオークランド・アスレチックスを最終第5戦までもつれながらも撃破。ワールド・シリーズ進出を賭けたALチャンピオンシップ・シリーズではイチロー選手が移籍したニューヨーク・ヤンキースに4連勝と圧倒して久し振りに地元に明るい話題を提供しました。本原稿作成時点ではワールド・シリーズでサンフランシスコ・ジャイアンツに敵地で2連敗と苦しいスタート。地元に戻った第3戦以降の奮起を期待。本紙が発行される頃には最終結果が出ている筈ですが、更なる吉報を願っています。(と原稿を書いていたところで第3戦も負けて3連敗。ワールド・シリーズだけでなくプレイオフで3連敗から4連勝で優勝したのは、2004年のボストン・レッドソックスのみ)史上2度目の奇跡を起こせ!ゴー、タイガース!!

 さて本題ですが、今回は少し堅いテーマで『不透明な時代の人事戦略』です。

 20世紀の高名なケインズ派経済学者であったジョン・ケネス・ガルブレイスの著書『不確実性の時代』のタイトルではありませんが、21世紀に入って10年余り経った今も我々を取り巻く環境は不確実性に満ち溢れ、マクロあるいはミクロどちらの視点から見ても経済的にも政治的にも地球上の各地で先行き不透明で不安定な社会情勢が続いています。

 こうした中で、日本国内はもとより海外へ進出している数多くの日系企業はどのような経営戦略で対応して行くべきなのでしょうか?

 余りに大きな命題なのでとても私ごときが明快な答えを出せる筈もありませんが、日本の親会社の状況や進出先それぞれのお国の事情(政治・社会情勢、経済・市場動向など)、現地の子会社・関連会社の状況によって当然異なるでしょう。

 一つだけ間違いなく言えそうな事は、これだけあらゆる面でグローバル化が進み、携帯電話、インターネット、ソシアルネットワークなどの情報・通信システムが何処か世界の片隅の出来事まで瞬時に世界中に伝えてしまい、ビジネスの業態やビジネスの存在そのものまで影響してしまう世の中にあっては、環境の変化、市場の立地・規模・ニーズの変化に素早く適切に対応できない企業は生き残れないだろうという事です。

 手元の資料によれば、1955年から格付けがスタートした米国のフォーチュン500社で初年度にランク入りした企業の中で昨年2011年もランク入りしている企業は67社のみ。何とわずか13%強の数字です。半世紀余りの間にその時々に強大な力を持ち大きな成果を収めていた有名企業ですら成功と発展を続けられず、ランク落ちしてしまったのです。姿を消してしまった企業もあります。

 「驕る平家は久しからず」で飛ぶ鳥を落とす勢いの企業でさえも栄枯盛衰の波に飲まれてしまった訳です。その原因は様々でしょうが、多かれ少なかれ「変化に対応できなかった」事がある筈です。直近四半世紀で大きな変化の例として手巻き時計からクォーツ・ウォッチ、アナログからデジタル、スネールメールからEメール、現金からキャッシュレス、紙・印刷文化からペーパーレスなどがあります。最近ではあのニューズ・ウィークが紙媒体の配信を止めて電子版だけに集中するというニュースがありました。

 今は企業規模の大きさ、従業員の多さが必ずしも強みにならないどころか弱みやリスクとなる恐れがありますが、こうした中で企業の人事戦略はどう考えればいいのでしょうか?もちろん、経営戦略と密接に連動していなければなりませんが、変化に対して迅速かつ的確に対応するためには、人事部門もそのように意識と行動を変えねばなりません。

 トップダウンの指示や各部門からの求人依頼を受けてから社内外で候補者探しを始め、履歴書・職務経歴書などの書類審査・選考、電話・スカイプ・直接面談による候補者面接、給与待遇などの採用条件交渉・提示、犯罪歴・身辺調査、採用と一般的な手順を踏んでいたのでは、いつも後手、後手の対応となりタイミングも候補者マッチングのレベルも不十分な結果になりかねません。

 実績と能力を評価する人事考課も従来のパターンで年に一度では半年から1年も前の古い出来事を振り返ることになり、過去の反省と改善が主で、そこから次の目標を新たに設定していたのではその間に起きた変化には適応できません。重要なのは今起こりつつある変化、今後起こる変化に如何にタイムリーに対応して行くかです。そのためには年に一度長い時間を掛ける人事考課ではなく、毎回の時間は短くても余り間隔を開けずに個人やチームとの面談・打ち合わせの回数を増やす事です。しかしながら、「会議ばかりで仕事が進まない」状況にならぬように要注意です。

 人事部門もプロアクティブに動く必要が強まっています。刻々と変わる小さな変化、突然訪れる大きな変化にもベストの対応ができるように人事部門も常に会社トップと会社方針、経営戦略、事業計画を確認するだけでなく、各部門の現場に足を運び部門長や管理・責任者だけでなく最前線の作業者、営業マン、エンジニアなどに直接現場の状況や今後の動きに見合う人材ニーズを聞き取り、オンタイムまたはジャストインタイムで適格な人材を供給できるように先行して社内外の人材(人財)バンクを形成しておかねばなりません。

 また、一旦人を配置したら終わりではなく、フォローアップ、アフターケアをしながら人材ニーズに変化はないか、同じ人材で次の変化に対応可能か、人事関連のシステムやプロセスは今のままで大丈夫かなどハンズオンでプロアクティブの思考と行動がますます重要です。

 微力ながらその辺りのお手伝いをさせて頂ければと思っておりますので、何か人事関連の悩みをお持ちでしたらお気軽にご一報下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Kagu (Vol. 116)喧喧諤諤 第116回:バットを置く鉄人、ミットを納める釣り師

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 全米で記録的な暑さだった夏も終わり、10月の声を聞くやいなやミシガンもこのところ急に木々の紅葉が目立ち始めました。早朝の凛とした冷たい空気と爽やかな秋晴れに照る錦の紅葉は大歓迎ですが、それに続いて落ち葉が舞う季節が過ぎるとまたあの長く寒い冬がやって来ます。私にとっては何年ミシガンに住んでも好きになれない『招かれざる客』ですが、個人の好き嫌いでどうにかなるものでもなく、ひたすら耐え忍ぶしかありません。

 スポーツの世界ではカレッジ・フットボールに続いてNFLプロフットボールもシーズン・イン。本職のレフリーのスト騒ぎで代役に起用された臨時雇いのレフリーのミスジャッジでシーズン早々ひと騒ぎありましたが、ストが解決して本職が復帰し正常に戻って何よりです。職場に戻った本職レフリーの一人が「レフリーは(ミスジャッジで)スタンディング・ブーイングを受ける事はあっても(正しいジャッジで)スタンディング・オべーションを受ける事はない」とポツリ一言が耳に残りました。NHLプロアイスホッケーは選手会のストで再びシーズン開催が危ぶまれており、レッドウィングスの本拠地ジョー・ルイス・アリーナ周辺の飲食店、遊興施設は大事な収入源を失う心配でやきもき。MLB地元タイガースは楽々優勝の前評判と異なり悪戦苦闘の末シーズン残り試合10を切ってからようやくALセントラルディビジョンの首位になり、本紙が発行される頃にはディビジョン優勝とプレイオフ進出が決定している事を願っています。

 前書きが長くなってしまいましたが、今回のテーマはその野球に関連して『バットを置く鉄人、ミットを納める釣り師』です。

 野球ファンの方はもちろん、多少なりともスポーツ関連ニュースに関心のある方はご存知と思いますが、日本で広島カープ、阪神タイガースで長年プレーして来た金本選手が今期限りで引退を発表しました。多少の怪我では休まなかった頑健な彼も昨年患った肩の故障が完治せず自分が納得できるプレーが出来なくなったのが理由ですが、元MLBボルチモア・オリオールズのカール・リプケン選手、元広島カープの衣笠選手と並んで『鉄人』と称された気迫溢れる雄姿を見れなくなるのは寂しく残念です。

 真面目な努力家で義理堅い性格の彼がプロ入り当初から長年世話になった広島カープを去り阪神タイガースに移籍した時は相当悩んだと思いますが、当時阪神の新任監督であった星野現楽天イーグルス監督にBクラスに甘んじ『半身不随タイガース』と陰口を叩かれていたチームの建て直しのリーダーとして働くように懇願され、見事建て直しを実現し優勝の原動力となったのは立派の一言です。その彼が唯一残念に思うのは「広島で優勝できなかった事」とのコメントからも彼の律儀な性格が伺えます。その鉄人が静かにバットを置きます。「お疲れ様。」

 もう一人今期限りで引退を発表したのがイチロー選手と一緒にMLBシアトル・マリナースでもプレーしていた同じ阪神タイガースの城島選手。契約を1年残しての引退は本意ではないでしょうが、彼もまた肘の故障、手術後の完治がならずリハビリをしながら2軍でプレーをしたり、一塁手へのコンバート案もあったものの本来のポジションである捕手として自分が納得できるプレーが出来ないのを善しとせず、捕手のままでミットを納める決心をしたものです。

 私は特に城島選手のファンではなかったので、つい先日まで知らなかったのですが、彼はプロ顔負けの釣り師と言うか相当の釣り気違いのようで、元チームメートのイチロー選手の談話では「一番好きなのが釣り、2番目が野球」とのことで「それであそこまでの野球選手になれたのは天才の一人」とも言ってました。引退を機に知らざる一面を垣間見てちょっと興味が湧いてしまいました。引退後は現役時代絶大なサポートをしてくれた奥さんの希望に合わせて「亭主元気で外がいい」で邪魔にならないように釣り三昧するか、家で奥さんの手伝いをするかと引退会見で述べていたので、見掛けによらず奥さん思い、家族思いの優しいところもあるのだなと思いました。その釣り師がミットを納めます。「お疲れ様。」

 この二人の引退発表から言えるのは「男は引き際が肝心」ということですね。

 一方で自分が好きな野球をもっと続けたい気持ちがあっても、他方で自分自身が納得できるプレーが出来なくなったら潔く辞める。家族やチーム、ファンなど周りの意見、希望、タイミングなどがありなかなか出来ない芸当ですが、両選手は見事にやってのけました。拍手、拍手。

 前号でも触れましたが、野球に限らず超一流の選手、その道のプロでも心・技・体のバランスを保ち、本番に合わせてコンディションをベストに持って行くことは至難の技です。それを常に繰り返し続けるのは並大抵の努力をしても不可能に近くまず出来ません。我々普通人としてはとても同じ様に真似は出来ませんが、職場や学校、家庭、日常の生活で現役の間は少しでも近づけるようにしたいものです。

 そう言えばもう一人、福岡ソフトバンク・ホークスに過去の数々の故障を押して今年2,000本安打を達成し、同じく今期限りで引退を発表した小久保という選手がいましたね。同姓というだけで姻戚関係は全くありませんが、彼の引き際はどうだったでしょうか?

 『生涯現役』を掲げる私も、引き際を考えて人並みの努力を続けたいと思います。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 全米で記録的な暑さだった夏も終わり、10月の声を聞くやいなやミシガンもこのところ急に木々の紅葉が目立ち始めました。早朝の凛とした冷たい空気と爽やかな秋晴れに照る錦の紅葉は大歓迎ですが、それに続いて落ち葉が舞う季節が過ぎるとまたあの長く寒い冬がやって来ます。私にとっては何年ミシガンに住んでも好きになれない『招かれざる客』ですが、個人の好き嫌いでどうにかなるものでもなく、ひたすら耐え忍ぶしかありません。

 スポーツの世界ではカレッジ・フットボールに続いてNFLプロフットボールもシーズン・イン。本職のレフリーのスト騒ぎで代役に起用された臨時雇いのレフリーのミスジャッジでシーズン早々ひと騒ぎありましたが、ストが解決して本職が復帰し正常に戻って何よりです。職場に戻った本職レフリーの一人が「レフリーは(ミスジャッジで)スタンディング・ブーイングを受ける事はあっても(正しいジャッジで)スタンディング・オべーションを受ける事はない」とポツリ一言が耳に残りました。NHLプロアイスホッケーは選手会のストで再びシーズン開催が危ぶまれており、レッドウィングスの本拠地ジョー・ルイス・アリーナ周辺の飲食店、遊興施設は大事な収入源を失う心配でやきもき。MLB地元タイガースは楽々優勝の前評判と異なり悪戦苦闘の末シーズン残り試合10を切ってからようやくALセントラルディビジョンの首位になり、本紙が発行される頃にはディビジョン優勝とプレイオフ進出が決定している事を願っています。

 前書きが長くなってしまいましたが、今回のテーマはその野球に関連して『バットを置く鉄人、ミットを納める釣り師』です。

 野球ファンの方はもちろん、多少なりともスポーツ関連ニュースに関心のある方はご存知と思いますが、日本で広島カープ、阪神タイガースで長年プレーして来た金本選手が今期限りで引退を発表しました。多少の怪我では休まなかった頑健な彼も昨年患った肩の故障が完治せず自分が納得できるプレーが出来なくなったのが理由ですが、元MLBボルチモア・オリオールズのカール・リプケン選手、元広島カープの衣笠選手と並んで『鉄人』と称された気迫溢れる雄姿を見れなくなるのは寂しく残念です。

 真面目な努力家で義理堅い性格の彼がプロ入り当初から長年世話になった広島カープを去り阪神タイガースに移籍した時は相当悩んだと思いますが、当時阪神の新任監督であった星野現楽天イーグルス監督にBクラスに甘んじ『半身不随タイガース』と陰口を叩かれていたチームの建て直しのリーダーとして働くように懇願され、見事建て直しを実現し優勝の原動力となったのは立派の一言です。その彼が唯一残念に思うのは「広島で優勝できなかった事」とのコメントからも彼の律儀な性格が伺えます。その鉄人が静かにバットを置きます。「お疲れ様。」

 もう一人今期限りで引退を発表したのがイチロー選手と一緒にMLBシアトル・マリナースでもプレーしていた同じ阪神タイガースの城島選手。契約を1年残しての引退は本意ではないでしょうが、彼もまた肘の故障、手術後の完治がならずリハビリをしながら2軍でプレーをしたり、一塁手へのコンバート案もあったものの本来のポジションである捕手として自分が納得できるプレーが出来ないのを善しとせず、捕手のままでミットを納める決心をしたものです。

 私は特に城島選手のファンではなかったので、つい先日まで知らなかったのですが、彼はプロ顔負けの釣り師と言うか相当の釣り気違いのようで、元チームメートのイチロー選手の談話では「一番好きなのが釣り、2番目が野球」とのことで「それであそこまでの野球選手になれたのは天才の一人」とも言ってました。引退を機に知らざる一面を垣間見てちょっと興味が湧いてしまいました。引退後は現役時代絶大なサポートをしてくれた奥さんの希望に合わせて「亭主元気で外がいい」で邪魔にならないように釣り三昧するか、家で奥さんの手伝いをするかと引退会見で述べていたので、見掛けによらず奥さん思い、家族思いの優しいところもあるのだなと思いました。その釣り師がミットを納めます。「お疲れ様。」

 この二人の引退発表から言えるのは「男は引き際が肝心」ということですね。

 一方で自分が好きな野球をもっと続けたい気持ちがあっても、他方で自分自身が納得できるプレーが出来なくなったら潔く辞める。家族やチーム、ファンなど周りの意見、希望、タイミングなどがありなかなか出来ない芸当ですが、両選手は見事にやってのけました。拍手、拍手。

 前号でも触れましたが、野球に限らず超一流の選手、その道のプロでも心・技・体のバランスを保ち、本番に合わせてコンディションをベストに持って行くことは至難の技です。それを常に繰り返し続けるのは並大抵の努力をしても不可能に近くまず出来ません。我々普通人としてはとても同じ様に真似は出来ませんが、職場や学校、家庭、日常の生活で現役の間は少しでも近づけるようにしたいものです。

 そう言えばもう一人、福岡ソフトバンク・ホークスに過去の数々の故障を押して今年2,000本安打を達成し、同じく今期限りで引退を発表した小久保という選手がいましたね。同姓というだけで姻戚関係は全くありませんが、彼の引き際はどうだったでしょうか?

 『生涯現役』を掲げる私も、引き際を考えて人並みの努力を続けたいと思います。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Gaku (Vol. 115)喧喧諤諤 第115回:ロンドン五輪が残したもの、教えたこと

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 9月に入りロンドン五輪の余韻も少しずつ薄らいで行く感じがしますが、皆さんの印象は如何でしたでしょうか?ジャパンTVのない我家ではNBCのネットワークでTVとインターネットの実況放送・録画通信サービスしか観られず、お目当ての日本期待の種目や日本人選手を観られない悲哀をまたまた味わいました。運良く観られてもリアルタイムでなかったり、ちょこ映りだったりして応援する側としては気を削がれること甚だしい限り。米国暮らしの身としては致し方ないとは言え、4年に一度のイベントなので残念至極でした。

 今回のテーマはその『ロンドン五輪が残したもの、教えたこと』です。

 今更の感はしますが、日本チーム、日本選手の皆さん、役員・スタッフ、サポート役・お世話係など裏方さん、縁の下の力持ちの皆さん、お疲れ様でした!

 4年に一度しかない大舞台。本番で思った通り、もしくは思った以上の力を発揮して素晴らしい結果を残せた人、練習時の力を出し切れず不本意な結果に終わってしまった人、それぞれの思いと想い出を持って帰国されたことと思います。

 特に印象的だったのは、昨年ドイツのワールドカップに続く女子サッカー『なでしこジャパン』の戦い振りでした。結果は銀メダルに終わりましたが、正に『限りなく金に近い銀メダル』と言えます。ワールドカップの決勝では米国チームに終始押され、劣勢を強いられながら数少ないチャンスをものにして奇跡的な勝利を飾った戦い振りに比べて、今大会では90分間対等以上に米国とわたり合い、決勝戦に相応しい誠に見応えのある試合でした。結果は1点差で涙を呑みましたが、最後までどちらが勝ってもおかしくない紙一重の差でした。拍手、拍手。

 また、試合後の選手コメント、ニュース報道によれば「ロッカールームで泣いて表彰式では笑顔に」という下りも誠に爽やかな事この上なし。全力を出し切ったなでしこジャパン、本当に素晴らしい。銀メダル、おめでとう!

 その中で一つだけちょっと気になったのが、ワールドカップ後キャプテンシーを引き継いだ宮間主将の表情でした。変な意味ではなく、何と言うか「自分がもう少し頑張って良いプレーをしてれば勝てたのに・・・出来なくて残念!」というようなやや物悲しい表情が試合後のフィールドでも表彰台でも映っていました。

 前主将の澤選手は15歳の時から日本代表を続けている超ベテラン。言葉でメンバーを引っ張るのではなく、態度で示し背中でもの言うタイプのキャプテンでした。その後を引き継いだ宮間主将は就任当初こそ口では「今まで通りで何も変える事はない」と気丈な発言がありましたが、女子サッカーファンのみならず国民全体の期待が大きかっただけに、やはり目に見えないプレッシャーは相当なものだったのではないかと想像します。

 ワールドカップ終了後からロンドン五輪までのニュース報道で彼女の一連のコメントを読むと彼女のやんちゃっぽい顔つき(失礼!)とは違ってどれも前向きで優等生的な発言内容でした。また、他の選手による主将に関する感想・コメント、エピソードを読むとレギュラー、サブを問わずチーム全員、個々のメンバーに対する適切でタイムリーな気遣いは部外者には分からないものだったと伺えます。

 何が言いたいのかと申しますと、結果的に以前と比べて比較にならない程の責任感からのプレッシャー、表に出ない細かな気遣いの数々が連戦の疲れと相まって元々自由奔放な性格(と勝手に想像していますが)の宮間選手の世界一と言われる正確なプレースメントキック、パス出しの能力を微妙に狂わせたのではないかと思います。勝負に「たら、れば」はご法度ですが、宮間主将がキャプテンではなく一選手のままであの試合をプレイしていたら、もっと自由奔放にのびのびとインスピレーションの利いたクリエイティブなプレースメントキック、パス出しをしていたのではないか、そして金メダルに手が届いたのではないかと思う次第です。負けず嫌いで責任感の強い彼女が個人的に自分を責めていたように見えたので、それがちょっと気の毒で彼女に同情を禁じ得ませんでした。(涙)

 女子柔道、競泳、男子体操、男女サッカー、女子バレーボール、卓球、レスリング、ボクシングなど他にも色々書きたい日本選手の活躍もありましたが、一方で失意の内に大会を後にした選手たちのことを考えると胸が痛みます。

 毎日死に物狂いで練習し、予選会、日本選手権、代表選考会などを経て、晴れて念願のオリンピック代表に選ばれたにも拘わらず、競技の当日本番で日頃の力が出し切れなかった悔しさは想像し難いものがあります。金メダルゼロに終わった男子柔道では「世界一になるよりも日本代表になる方が難しい」とさえ言われる程で、日本代表に選ばれるために日頃の厳しい練習だけでなく各種の国内・国際大会への出場義務、怪我・病気、過労などで本番時に体調、コンディションをピークに持って行けなかった事とお家芸と呼ばれ「勝って当然。メダルを取って当然」との周囲の期待に押しつぶされて萎縮してしまったのかもしれません。

 昔から『心・技・体』と言いますが、超一流の選手、その道のプロでも心・技・体のバランスを保ち、本番に合わせてコンディションをベストに持って行くことの難しさを改めて感じました。これは何もオリンピック、スポーツの世界での事だけでなく、職場や学校、家庭、日常の生活でも言える事ではないでしょうか。

 完璧な人など誰もいません。私も少しでも近づけるように小さな事をコツコツと日々是精進して行きたいと思います。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 9月に入りロンドン五輪の余韻も少しずつ薄らいで行く感じがしますが、皆さんの印象は如何でしたでしょうか?ジャパンTVのない我家ではNBCのネットワークでTVとインターネットの実況放送・録画通信サービスしか観られず、お目当ての日本期待の種目や日本人選手を観られない悲哀をまたまた味わいました。運良く観られてもリアルタイムでなかったり、ちょこ映りだったりして応援する側としては気を削がれること甚だしい限り。米国暮らしの身としては致し方ないとは言え、4年に一度のイベントなので残念至極でした。

 今回のテーマはその『ロンドン五輪が残したもの、教えたこと』です。

 今更の感はしますが、日本チーム、日本選手の皆さん、役員・スタッフ、サポート役・お世話係など裏方さん、縁の下の力持ちの皆さん、お疲れ様でした!

 4年に一度しかない大舞台。本番で思った通り、もしくは思った以上の力を発揮して素晴らしい結果を残せた人、練習時の力を出し切れず不本意な結果に終わってしまった人、それぞれの思いと想い出を持って帰国されたことと思います。

 特に印象的だったのは、昨年ドイツのワールドカップに続く女子サッカー『なでしこジャパン』の戦い振りでした。結果は銀メダルに終わりましたが、正に『限りなく金に近い銀メダル』と言えます。ワールドカップの決勝では米国チームに終始押され、劣勢を強いられながら数少ないチャンスをものにして奇跡的な勝利を飾った戦い振りに比べて、今大会では90分間対等以上に米国とわたり合い、決勝戦に相応しい誠に見応えのある試合でした。結果は1点差で涙を呑みましたが、最後までどちらが勝ってもおかしくない紙一重の差でした。拍手、拍手。

 また、試合後の選手コメント、ニュース報道によれば「ロッカールームで泣いて表彰式では笑顔に」という下りも誠に爽やかな事この上なし。全力を出し切ったなでしこジャパン、本当に素晴らしい。銀メダル、おめでとう!

 その中で一つだけちょっと気になったのが、ワールドカップ後キャプテンシーを引き継いだ宮間主将の表情でした。変な意味ではなく、何と言うか「自分がもう少し頑張って良いプレーをしてれば勝てたのに・・・出来なくて残念!」というようなやや物悲しい表情が試合後のフィールドでも表彰台でも映っていました。

 前主将の澤選手は15歳の時から日本代表を続けている超ベテラン。言葉でメンバーを引っ張るのではなく、態度で示し背中でもの言うタイプのキャプテンでした。その後を引き継いだ宮間主将は就任当初こそ口では「今まで通りで何も変える事はない」と気丈な発言がありましたが、女子サッカーファンのみならず国民全体の期待が大きかっただけに、やはり目に見えないプレッシャーは相当なものだったのではないかと想像します。

 ワールドカップ終了後からロンドン五輪までのニュース報道で彼女の一連のコメントを読むと彼女のやんちゃっぽい顔つき(失礼!)とは違ってどれも前向きで優等生的な発言内容でした。また、他の選手による主将に関する感想・コメント、エピソードを読むとレギュラー、サブを問わずチーム全員、個々のメンバーに対する適切でタイムリーな気遣いは部外者には分からないものだったと伺えます。

 何が言いたいのかと申しますと、結果的に以前と比べて比較にならない程の責任感からのプレッシャー、表に出ない細かな気遣いの数々が連戦の疲れと相まって元々自由奔放な性格(と勝手に想像していますが)の宮間選手の世界一と言われる正確なプレースメントキック、パス出しの能力を微妙に狂わせたのではないかと思います。勝負に「たら、れば」はご法度ですが、宮間主将がキャプテンではなく一選手のままであの試合をプレイしていたら、もっと自由奔放にのびのびとインスピレーションの利いたクリエイティブなプレースメントキック、パス出しをしていたのではないか、そして金メダルに手が届いたのではないかと思う次第です。負けず嫌いで責任感の強い彼女が個人的に自分を責めていたように見えたので、それがちょっと気の毒で彼女に同情を禁じ得ませんでした。(涙)

 女子柔道、競泳、男子体操、男女サッカー、女子バレーボール、卓球、レスリング、ボクシングなど他にも色々書きたい日本選手の活躍もありましたが、一方で失意の内に大会を後にした選手たちのことを考えると胸が痛みます。

 毎日死に物狂いで練習し、予選会、日本選手権、代表選考会などを経て、晴れて念願のオリンピック代表に選ばれたにも拘わらず、競技の当日本番で日頃の力が出し切れなかった悔しさは想像し難いものがあります。金メダルゼロに終わった男子柔道では「世界一になるよりも日本代表になる方が難しい」とさえ言われる程で、日本代表に選ばれるために日頃の厳しい練習だけでなく各種の国内・国際大会への出場義務、怪我・病気、過労などで本番時に体調、コンディションをピークに持って行けなかった事とお家芸と呼ばれ「勝って当然。メダルを取って当然」との周囲の期待に押しつぶされて萎縮してしまったのかもしれません。

 昔から『心・技・体』と言いますが、超一流の選手、その道のプロでも心・技・体のバランスを保ち、本番に合わせてコンディションをベストに持って行くことの難しさを改めて感じました。これは何もオリンピック、スポーツの世界での事だけでなく、職場や学校、家庭、日常の生活でも言える事ではないでしょうか。

 完璧な人など誰もいません。私も少しでも近づけるように小さな事をコツコツと日々是精進して行きたいと思います。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Gaku (Vol. 114)喧喧諤諤 第114回:動機付けの重要性と難しさ

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 ミシガンでは珍しく猛暑が続いた7月もようやく過去のものとなり、8月に入りました。少しは暑さも緩むと思いますが、日本ではこれからが夏本番。電力需要がピークになる時期に供給不足・使用制限が見えていて本当にお気の毒な事です。

 さて、今夏の一大イベントであるロンドン・オリンピックが始まりました。一足先の6月にエリザベス女王の即位60周年記念行事が行われ、四半世紀ほど元気のなかった英国も久し振りに旧大英帝国の隆盛と栄光を思い出したように活気付いています。それにしても、英国国民は英国人である事に揺るぎなき誇りを持ち、本当に心から女王陛下を敬い、愛している事が改めて強く印象に残りましたね。

 さて、前回『チーム作りの難しさ』について書きましたが、今回は『動機付けの重要性と難しさ』というテーマです。

 チーム作りが出来た後、あるいはほぼ同時にそのチームを目的・目標に向かって進めるための動機付けが必要です。これが上手く出来ないと折角有能なメンバーを集めたチームも形を作っただけで「仏造って魂入れず」になってしまいます。各メンバー個々の能力と強みを活かし、足りない点や弱みをカバーし合いながらチームとして最大限のパワーを発揮し、目的・目標を達成出来るようにしっかりと動機付けするのがリーダーの役目です。いわゆる『一致団結』の状態に持っていかないと、個々の能力レベルが高いほど「船頭多くして船山に登る」事になりかねません。

 チームとしてのコンセンサス・ビルディング(合意形成)がきちんと出来ないままプロジェクトをスタートしてしまうと途中でリーダーとメンバーまたはメンバー間の誤解、行き違いが生じ、一時停止して調整や修正が必要となったり、最悪すごろくゲームではないですが「スタートに戻る」羽目になってしまいます。その時点で残された期限は切迫するわ、予算枠も目減りするわでメンバーのやる気も減退してプロジェクトはもう既に半分失敗と言えます。

 またまたサッカーの話題になって恐縮ですが、オリンピック開幕に先立ち女子に続いて男子のサッカー競技がスタートしました。昨年のワールドカップで初優勝し、日本中と海外の日本人に元気を届けてくれたなでしこジャパンは本稿作成時点で予選リーグ1勝1分けで既に決勝トーナメント進出が確定。男子U-23日本代表は予選リーグ緒戦で優勝候補のスペイン代表を撃破して世界をあっと言わせました。

 この男女日本代表チームに関する試合前後のメディア報道を読んで、動機付けの重要性と難しさを改めて感じた次第です。

 先ずなでしこジャパンですが、ワールドカップを制覇し、そのひたむきさとパスを繋いでゴールを目指すポゼッション・サッカーが一気に世界の注目を集めました。その後半年間に行われた招待大会、テスト・マッチ(親善試合)でも米国とは1勝1分けで「米国はもはや勝てない相手ではない」とまで一部で報道されたものです。

 ところがどっこい、敵もサルもの、引っかくもの。直近のスウェーデン遠征テストマッチでは米国に1-4で大敗。ワールドカップでは3-1で勝利したスウェーデンとも1-1の引き分け。今回オリンピック予選リーグでもスウェーデンとは0-0の引き分け。

 これらの試合結果から感じたのは、「各国が本気になって日本対策をして来た」と言うことです。特に過去「どうやっても日本に負ける訳がない」という楽観モードだった米国が日本の戦術とプレイスタイルを細かく分析して対策を練って来たのは明白。ワールドカップチャンピオンになった代償として世界最強No.1ランクの米国を本気にさせてしまったのです。日本が動機付けした形ですね。

 スウェーデンについても同様の事が言えます。7/28(土)の日本戦ではワールドカップ時の欠点をきちんと修正して、自陣から中盤へパスをしっかり繋ぎ、更に前線へ切り込む動きとパスで何度か得点チャンスを作っていました。

 No.2ランクのドイツは出場していませんが、本気になって日本対策を練って来た各国代表と再度修正したなでしこジャパンとのガチンコ勝負の舞台が今度のオリンピックです。そんな緊張感の中、予選リーグでカナダに勝った後佐々木監督の「予選リーグは2位通過もありかな」という微妙な発言がありました。確かに2位通過だと準々決勝での対戦予想相手はランク的に少し楽に思われます。

 しかしながら、この微妙な発言が予選リーグから決勝まで全勝で突破を目指していたチームメンバーの心理に水を差してしまったようです。2位通過などという奇策を弄さず、どこが相手になっても正々堂々と戦って金メダルを勝ち取る意気込みのメンバーはやや拍子抜けになると同時に「アメリカやフランスと先に当たったら負けると思っているの?私たちを信用していないの?」と思ったかもしれません。佐々木監督の本意でなかったとしても、動機付けの難しさですね。

 代表監督就任以来今まで緩急を付け、硬軟自在にアメとムチを使い分けてなでしこメンバーを掌握して来た佐々木監督には珍しく不用意な発言でした。マイナスの動機付けになってチームのパフォーマンスに悪影響しない事を祈るばかりです。

 また、男子U-23日本代表も少なからずなでしこジャパンから動機付けされています。なでしこブームが日本中を席巻し、男子はA代表はもちろん次世代のU-23代表は影が薄く、オリンピックの前評判も芳しくなくてメキシコ五輪銅メダルの元A代表の釜本茂氏からは「女子はメダル。男子は無理」と言われた辛口のコメントも動機付けに拍車を掛けて(釜本氏の狙い通り?)下馬評では誰も予想していなかったスペイン代表に大番狂わせの勝利。スペインが何点取るか、何点差で勝つかだけに興味を持って観戦していた世界中が驚き、一気にメダル取りの話題が沸騰しています。これにはなでしこジャパンメンバーが逆に動機付けのお返しをもらいプラスの相乗効果となっています。

 まぐれ、奇跡と言われないように次戦も勝って決勝トーナメントに進み、なでしこジャパンと共にメダルを持ち帰って欲しいですね。頑張れ、日本!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 ミシガンでは珍しく猛暑が続いた7月もようやく過去のものとなり、8月に入りました。少しは暑さも緩むと思いますが、日本ではこれからが夏本番。電力需要がピークになる時期に供給不足・使用制限が見えていて本当にお気の毒な事です。

 さて、今夏の一大イベントであるロンドン・オリンピックが始まりました。一足先の6月にエリザベス女王の即位60周年記念行事が行われ、四半世紀ほど元気のなかった英国も久し振りに旧大英帝国の隆盛と栄光を思い出したように活気付いています。それにしても、英国国民は英国人である事に揺るぎなき誇りを持ち、本当に心から女王陛下を敬い、愛している事が改めて強く印象に残りましたね。

 さて、前回『チーム作りの難しさ』について書きましたが、今回は『動機付けの重要性と難しさ』というテーマです。

 チーム作りが出来た後、あるいはほぼ同時にそのチームを目的・目標に向かって進めるための動機付けが必要です。これが上手く出来ないと折角有能なメンバーを集めたチームも形を作っただけで「仏造って魂入れず」になってしまいます。各メンバー個々の能力と強みを活かし、足りない点や弱みをカバーし合いながらチームとして最大限のパワーを発揮し、目的・目標を達成出来るようにしっかりと動機付けするのがリーダーの役目です。いわゆる『一致団結』の状態に持っていかないと、個々の能力レベルが高いほど「船頭多くして船山に登る」事になりかねません。

 チームとしてのコンセンサス・ビルディング(合意形成)がきちんと出来ないままプロジェクトをスタートしてしまうと途中でリーダーとメンバーまたはメンバー間の誤解、行き違いが生じ、一時停止して調整や修正が必要となったり、最悪すごろくゲームではないですが「スタートに戻る」羽目になってしまいます。その時点で残された期限は切迫するわ、予算枠も目減りするわでメンバーのやる気も減退してプロジェクトはもう既に半分失敗と言えます。

 またまたサッカーの話題になって恐縮ですが、オリンピック開幕に先立ち女子に続いて男子のサッカー競技がスタートしました。昨年のワールドカップで初優勝し、日本中と海外の日本人に元気を届けてくれたなでしこジャパンは本稿作成時点で予選リーグ1勝1分けで既に決勝トーナメント進出が確定。男子U-23日本代表は予選リーグ緒戦で優勝候補のスペイン代表を撃破して世界をあっと言わせました。

 この男女日本代表チームに関する試合前後のメディア報道を読んで、動機付けの重要性と難しさを改めて感じた次第です。

 先ずなでしこジャパンですが、ワールドカップを制覇し、そのひたむきさとパスを繋いでゴールを目指すポゼッション・サッカーが一気に世界の注目を集めました。その後半年間に行われた招待大会、テスト・マッチ(親善試合)でも米国とは1勝1分けで「米国はもはや勝てない相手ではない」とまで一部で報道されたものです。

 ところがどっこい、敵もサルもの、引っかくもの。直近のスウェーデン遠征テストマッチでは米国に1-4で大敗。ワールドカップでは3-1で勝利したスウェーデンとも1-1の引き分け。今回オリンピック予選リーグでもスウェーデンとは0-0の引き分け。

 これらの試合結果から感じたのは、「各国が本気になって日本対策をして来た」と言うことです。特に過去「どうやっても日本に負ける訳がない」という楽観モードだった米国が日本の戦術とプレイスタイルを細かく分析して対策を練って来たのは明白。ワールドカップチャンピオンになった代償として世界最強No.1ランクの米国を本気にさせてしまったのです。日本が動機付けした形ですね。

 スウェーデンについても同様の事が言えます。7/28(土)の日本戦ではワールドカップ時の欠点をきちんと修正して、自陣から中盤へパスをしっかり繋ぎ、更に前線へ切り込む動きとパスで何度か得点チャンスを作っていました。

 No.2ランクのドイツは出場していませんが、本気になって日本対策を練って来た各国代表と再度修正したなでしこジャパンとのガチンコ勝負の舞台が今度のオリンピックです。そんな緊張感の中、予選リーグでカナダに勝った後佐々木監督の「予選リーグは2位通過もありかな」という微妙な発言がありました。確かに2位通過だと準々決勝での対戦予想相手はランク的に少し楽に思われます。

 しかしながら、この微妙な発言が予選リーグから決勝まで全勝で突破を目指していたチームメンバーの心理に水を差してしまったようです。2位通過などという奇策を弄さず、どこが相手になっても正々堂々と戦って金メダルを勝ち取る意気込みのメンバーはやや拍子抜けになると同時に「アメリカやフランスと先に当たったら負けると思っているの?私たちを信用していないの?」と思ったかもしれません。佐々木監督の本意でなかったとしても、動機付けの難しさですね。

 代表監督就任以来今まで緩急を付け、硬軟自在にアメとムチを使い分けてなでしこメンバーを掌握して来た佐々木監督には珍しく不用意な発言でした。マイナスの動機付けになってチームのパフォーマンスに悪影響しない事を祈るばかりです。

 また、男子U-23日本代表も少なからずなでしこジャパンから動機付けされています。なでしこブームが日本中を席巻し、男子はA代表はもちろん次世代のU-23代表は影が薄く、オリンピックの前評判も芳しくなくてメキシコ五輪銅メダルの元A代表の釜本茂氏からは「女子はメダル。男子は無理」と言われた辛口のコメントも動機付けに拍車を掛けて(釜本氏の狙い通り?)下馬評では誰も予想していなかったスペイン代表に大番狂わせの勝利。スペインが何点取るか、何点差で勝つかだけに興味を持って観戦していた世界中が驚き、一気にメダル取りの話題が沸騰しています。これにはなでしこジャパンメンバーが逆に動機付けのお返しをもらいプラスの相乗効果となっています。

 まぐれ、奇跡と言われないように次戦も勝って決勝トーナメントに進み、なでしこジャパンと共にメダルを持ち帰って欲しいですね。頑張れ、日本!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Kagu (Vol. 113)喧喧諤諤 第113回:チーム作りの難しさ

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 先ず初めに先月号の拙稿中の記述に誤りがありましたので、訂正とお詫びを致します。前書きのMLBに関する部分で「昨年のワールド・シリーズ覇者フィラデルフィア・フィリーズは・・・」と書きましたが、『昨年』は『2008年』の誤りでした。第7戦までもつれこんだ歴史に残る激戦を制した昨年の覇者はセントルイス・カージナルスでした。常日頃事実関係には十分注意しているつもりでしたが、今回は全くの思い込みと勘違いでお恥ずかしい限りです。大変失礼致しました。ひょっとして(しなくても)認知症の始まりかもしれません。

 NHLスタンレー・カップ決勝は何と誰も予想しなかったウェスタン・コンファレンス第8シードのロスアンゼルス・キングスが初優勝。NBAファイナルはレブロン・ジェームス率いるマイアミ・ヒートが2度目の優勝。彼にとってはプロ入り9年目にして悲願の初優勝。MLBレンジャースのダルビッシュ投手は一時の不調から立ち直りハーラー・ダービーのトップと並ぶ9勝目を上げ、新人でオールスター・ゲーム出場の可能性が高くなりました。サッカーでは何と言っても現在進行中の欧州選手権EURO2012が注目の的ですね。この原稿執筆時の時点でポルトガル、スペイン、ドイツ、イタリアがベスト4進出。本紙が皆さんのお手元に届く頃にはチャンピオンが決まっていることでしょう。

 さて、今回は『チーム作りの難しさ』というテーマについて書いてみます。

 再びサッカーの話題になりますが、サッカーファンならずとも少しでもスポーツに関心のある人ならばEURO2012の関連ニュースでご存知と思いますが、優勝候補の一角に挙げられていたオランダが予選1次リーグ3試合全敗で早々に敗退してしまいました。1次リーグで『死のBグループ』と言われたドイツ、ポルトガル、デンマークと同じ厳しいグループに入る組み合わせになったのは確かに不運な面がありましたが、勝ち点ゼロで大会を去ることになりオランダ国民の落胆は相当なものと推察します。

 これを見て改めて思ったのが、本題の『チーム作りの難しさ』です。

 オランダ代表チームのメンバーにはオランダ国内リーグはもとよりイングランドのプレミアリーグ、ドイツのブンデスリーガ、イタリアのセリエAなどでプレーしている国際的なスタープレーヤーが何人もいます。やや年齢層が高く、若手の育成・台頭に遅れを取っている感はあるものの技量、経験、実績面では下馬評として優勝候補に挙げられて当然と言えるチームでした。しかしながら、その試合内容、プレー振りは優勝候補に似つかわしくないものでした。3試合全てフルに観戦することは出来ませんでしたが、実況中継、ビデオ放送の一部やニュースを見た限りでは、素人目にもチームとしての共通の目的意識、目標達成のための強固な意志、連携プレー、まとまりに欠けていたように見えました。

 キラ星のごとき国際的なスタープレーヤー達がいながら何故?という大きな疑問に対し、サッカーの専門家ではない身ではその道のプロの観点から申せませんが、一般のビジネスにおけるチーム作り、組織作りにも共通する要素があるのではないかと思いました。ビジネスの観点からこれはという敗因をいくつか挙げますと;

  1. 置かれた環境・状況の悪さ=『死のBグループ』となった不運な組み合わせ
  2. 代表チームとして不十分な練習・準備期間
  3. チームとして目的意識の明確化、目標達成のための動機付けと共通意識構築、勝利を目指す強固な意志の醸成・共有の不足
  4. ベテランプレーヤーが多く自己の考え、プレースタイルに拘泥=チームワークの欠如、などがあったと思われます。

1.については自分達では全くコントロール出来ない外部要因で不可抗力。同グループの他3チームも同条件でしたから愚痴にしかならないですね。

2.についても期間的には各代表チームともほぼ同条件で文句は言えません。

3.については当事者である代表チーム関係者のみ知るところですが、それぞれの項目が欠如と言えないまでも不足していたと言えるでしょう。チームメンバーひとり一人の考え方、向かっている方向、そのための手段・方法がバラバラで全体としてまとまっていなかったのではないかと推察します。各自の力が十分あってもその向かう方向が一致しないと総合力として力を発揮出来ない、ビジネスで良く言われる「ベクトルが合っていない」状態だったのではないでしょうか?

4.については国際試合経験豊富なベテランメンバーのプラス部分よりマイナス部分が出てしまったのではないでしょうか?過去に何度も一緒にプレーした顔ぶれからいわゆる馴れ、成功体験、そこから生まれる慢心が少なからずあったと思われます。お互いに知っているつもり、分かっているつもりが独断・独善の思い込みとなり意志の疎通、共通の理解・合意を欠いたのではないでしょうか?

 メンバーの自覚もさることながら3、4は各メンバーの状態を正確に把握出来ず、タイムリーで的確なリードが出来なかったマネージメントの責任と言えます。

 マネージメントに携わる皆さん、成功するチーム作りのために部門・部署、職種に拘わらず『ベクトル合わせ』に十分ご留意下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 先ず初めに先月号の拙稿中の記述に誤りがありましたので、訂正とお詫びを致します。前書きのMLBに関する部分で「昨年のワールド・シリーズ覇者フィラデルフィア・フィリーズは・・・」と書きましたが、『昨年』は『2008年』の誤りでした。第7戦までもつれこんだ歴史に残る激戦を制した昨年の覇者はセントルイス・カージナルスでした。常日頃事実関係には十分注意しているつもりでしたが、今回は全くの思い込みと勘違いでお恥ずかしい限りです。大変失礼致しました。ひょっとして(しなくても)認知症の始まりかもしれません。

 NHLスタンレー・カップ決勝は何と誰も予想しなかったウェスタン・コンファレンス第8シードのロスアンゼルス・キングスが初優勝。NBAファイナルはレブロン・ジェームス率いるマイアミ・ヒートが2度目の優勝。彼にとってはプロ入り9年目にして悲願の初優勝。MLBレンジャースのダルビッシュ投手は一時の不調から立ち直りハーラー・ダービーのトップと並ぶ9勝目を上げ、新人でオールスター・ゲーム出場の可能性が高くなりました。サッカーでは何と言っても現在進行中の欧州選手権EURO2012が注目の的ですね。この原稿執筆時の時点でポルトガル、スペイン、ドイツ、イタリアがベスト4進出。本紙が皆さんのお手元に届く頃にはチャンピオンが決まっていることでしょう。

 さて、今回は『チーム作りの難しさ』というテーマについて書いてみます。

 再びサッカーの話題になりますが、サッカーファンならずとも少しでもスポーツに関心のある人ならばEURO2012の関連ニュースでご存知と思いますが、優勝候補の一角に挙げられていたオランダが予選1次リーグ3試合全敗で早々に敗退してしまいました。1次リーグで『死のBグループ』と言われたドイツ、ポルトガル、デンマークと同じ厳しいグループに入る組み合わせになったのは確かに不運な面がありましたが、勝ち点ゼロで大会を去ることになりオランダ国民の落胆は相当なものと推察します。

 これを見て改めて思ったのが、本題の『チーム作りの難しさ』です。

 オランダ代表チームのメンバーにはオランダ国内リーグはもとよりイングランドのプレミアリーグ、ドイツのブンデスリーガ、イタリアのセリエAなどでプレーしている国際的なスタープレーヤーが何人もいます。やや年齢層が高く、若手の育成・台頭に遅れを取っている感はあるものの技量、経験、実績面では下馬評として優勝候補に挙げられて当然と言えるチームでした。しかしながら、その試合内容、プレー振りは優勝候補に似つかわしくないものでした。3試合全てフルに観戦することは出来ませんでしたが、実況中継、ビデオ放送の一部やニュースを見た限りでは、素人目にもチームとしての共通の目的意識、目標達成のための強固な意志、連携プレー、まとまりに欠けていたように見えました。

 キラ星のごとき国際的なスタープレーヤー達がいながら何故?という大きな疑問に対し、サッカーの専門家ではない身ではその道のプロの観点から申せませんが、一般のビジネスにおけるチーム作り、組織作りにも共通する要素があるのではないかと思いました。ビジネスの観点からこれはという敗因をいくつか挙げますと;

  1. 置かれた環境・状況の悪さ=『死のBグループ』となった不運な組み合わせ
  2. 代表チームとして不十分な練習・準備期間
  3. チームとして目的意識の明確化、目標達成のための動機付けと共通意識構築、勝利を目指す強固な意志の醸成・共有の不足
  4. ベテランプレーヤーが多く自己の考え、プレースタイルに拘泥=チームワークの欠如、などがあったと思われます。

1.については自分達では全くコントロール出来ない外部要因で不可抗力。同グループの他3チームも同条件でしたから愚痴にしかならないですね。

2.についても期間的には各代表チームともほぼ同条件で文句は言えません。

3.については当事者である代表チーム関係者のみ知るところですが、それぞれの項目が欠如と言えないまでも不足していたと言えるでしょう。チームメンバーひとり一人の考え方、向かっている方向、そのための手段・方法がバラバラで全体としてまとまっていなかったのではないかと推察します。各自の力が十分あってもその向かう方向が一致しないと総合力として力を発揮出来ない、ビジネスで良く言われる「ベクトルが合っていない」状態だったのではないでしょうか?

4.については国際試合経験豊富なベテランメンバーのプラス部分よりマイナス部分が出てしまったのではないでしょうか?過去に何度も一緒にプレーした顔ぶれからいわゆる馴れ、成功体験、そこから生まれる慢心が少なからずあったと思われます。お互いに知っているつもり、分かっているつもりが独断・独善の思い込みとなり意志の疎通、共通の理解・合意を欠いたのではないでしょうか?

 メンバーの自覚もさることながら3、4は各メンバーの状態を正確に把握出来ず、タイムリーで的確なリードが出来なかったマネージメントの責任と言えます。

 マネージメントに携わる皆さん、成功するチーム作りのために部門・部署、職種に拘わらず『ベクトル合わせ』に十分ご留意下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Kagu (Vol. 112)喧喧諤諤 第112回:米国製造業の衰退と従業員の意識

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 例年メモリアル・デーが過ぎると一気に夏!という感じのミシガンですが、今年は3月に一度バカ陽気のヒート・ウェーブが訪れ、4月には肌寒い日が数日続いたりと天候が不順だったので、皆さん体調管理にご苦労されたのではないでしょうか?6月に入ると当地の高校、大学の卒業式が終わり、卒業生は想い出に浸る時間もそこそこに新たな門出の準備、在校生は長い夏休みに入ります。輝かしい門出、安全で健康な夏休みになりますように。

 スポーツの世界ではNHLプレイオフはスタンレー・カップの決勝を残すのみ。NBAプレイオフはコンファレンス・ファイナル開始。MLBは過酷な夏場の勝負所に突入。約50試合を消化し、予想通り首位を走り順当と言えるのはAL西地区のテキサス・レンジャースのみ。同東地区ではボルチモア・オリオールズとタンパベイ・レイズが首位争い。同中地区では下馬評の高かったデトロイト・タイガースが勝率5割近辺で苦戦。毎年激戦区のNL東ではワシントン・ナショナルズが首位。昨年のワールド・シリーズ覇者フィラデルフィア・フィリーズは最下位に低迷。同西地区ではロスアンゼルス・ドジャースが首位を独走。と予想外、波乱の序盤戦になっています。気になるレンジャースのダルビッシュ投手は強力打線の助けもあり、既に7勝とハーラー・ダービーのトップを行く活躍。このまま怪我・病気なくシーズンを通して活躍して欲しいものです。

 さて、今回のテーマは少し真面目に『米国製造業の衰退と従業員の意識』です。

 実は今まで他人に話したり、公の場で発言する機会はほとんどなかったのですが、先日たまたま日系企業の米国駐在経営幹部の方と面談した際に話題の一つとして上がりました。米国に早23年余り滞在し、その大部分を部品製造メーカーの管理職、経営幹部として勤務し、自社および他社の現地従業員と直接・間接に日々接触して来た経験から長年自分なりに感じている事を書いてみたいと思います。

 『米国製造業の衰退』については、この20~30年米国内を初め、それこそ世界各国の政治家、経済評論家、経営コンサルタント、シンクタンク、経営者、学識者、研究者などありとあらゆる人達が数多の調査・分析結果、考察・見解などを述べており、何も目新しい話題ではありません。

 「米国製造業衰退の原因は何か?」この疑問についても既に星の数ほどの答えが出されており、今更私が何か申し上げるような事もなさそうですが、政治的な要素もあるものの、突き詰めて言えば資本主義自由経済下における利潤追求型・利益至上主義的経営の破綻、マネージメントの失敗と言えると思います。

 多くの上場企業では「株主に最大利益をもたらすために企業価値を最大化する」という一見もっともらしい表現が使われたりしますが、短期的な利潤追求、利益達成のために企業の存続と競争力の源となる新規開発費を縮小、廉価な労働力や原材料費、製造コストを狙った輸入や国外への外注または製造移管、新規設備投資・既存設備の更新・保全を手抜きして古い設備を使い続けるなど長期的な利益体質が損なわれ、従業員のモラルも低下し、結果として企業を弱体化する事態に陥っているのではないかと思われます。

 『従業員の意識』に関しては、一般的に日本に比べて会社への帰属意識が薄いのではないかと感じます。理由は色々違っても転職する人数・頻度は米国の方が遥かに多く、いわゆる労働のモビリティー(社会的流動性)が高いと言えます。会社側も業績が悪化すると簡単にレイオフやダウンサイズをしますし、業績が回復するとすぐに元社員を雇い戻します。従業員も過去を根に持たず平気で復職します。At-will employment(退職および解雇が自由な雇用形態)が主流になっているのとそのような自由労働市場、社会的文化が背景にあるためです。

 また、会社の業績が悪くなった時、仕事が上手く行かなくなった時に自分が皆と一緒に辛い思いをしてでも頑張って問題を解決しよう、良くして行こうという気持ちが薄い気がします。もちろん部署や立場によって個人差はあり、中には日本人以上に頑張る人もいますが、「最終的に今の会社でどうしようもなくなったら他の会社に行けばいい。別の仕事を見つければいい」という人が多いのではないかと思われます。

 そういう考えや態度が暗黙の内に親から子へ、子から孫へと引き継がれ、世代が移り変わる間に米国のどの製造業も何処の製造メーカーも弱体化し、徐々に衰退の一途を辿っているのではないかと思われます。とは言ったものの製造業の衰退、製造メーカーの凋落は従業員の責任ではなく、究極のところマネージメントの責任であります。米国進出の日系企業の経営幹部の方々はこの『従業員の意識』を念頭に入れ、その中で如何に従業員を動機付けし、継続的な問題解決と業務改善、目標達成の意識を植え付け実践して行くかが極めて重要な課題と言えます。容易な事ではありませんが、是非諦めずに頑張って頂きたいです。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 例年メモリアル・デーが過ぎると一気に夏!という感じのミシガンですが、今年は3月に一度バカ陽気のヒート・ウェーブが訪れ、4月には肌寒い日が数日続いたりと天候が不順だったので、皆さん体調管理にご苦労されたのではないでしょうか?6月に入ると当地の高校、大学の卒業式が終わり、卒業生は想い出に浸る時間もそこそこに新たな門出の準備、在校生は長い夏休みに入ります。輝かしい門出、安全で健康な夏休みになりますように。

 スポーツの世界ではNHLプレイオフはスタンレー・カップの決勝を残すのみ。NBAプレイオフはコンファレンス・ファイナル開始。MLBは過酷な夏場の勝負所に突入。約50試合を消化し、予想通り首位を走り順当と言えるのはAL西地区のテキサス・レンジャースのみ。同東地区ではボルチモア・オリオールズとタンパベイ・レイズが首位争い。同中地区では下馬評の高かったデトロイト・タイガースが勝率5割近辺で苦戦。毎年激戦区のNL東ではワシントン・ナショナルズが首位。昨年のワールド・シリーズ覇者フィラデルフィア・フィリーズは最下位に低迷。同西地区ではロスアンゼルス・ドジャースが首位を独走。と予想外、波乱の序盤戦になっています。気になるレンジャースのダルビッシュ投手は強力打線の助けもあり、既に7勝とハーラー・ダービーのトップを行く活躍。このまま怪我・病気なくシーズンを通して活躍して欲しいものです。

 さて、今回のテーマは少し真面目に『米国製造業の衰退と従業員の意識』です。

 実は今まで他人に話したり、公の場で発言する機会はほとんどなかったのですが、先日たまたま日系企業の米国駐在経営幹部の方と面談した際に話題の一つとして上がりました。米国に早23年余り滞在し、その大部分を部品製造メーカーの管理職、経営幹部として勤務し、自社および他社の現地従業員と直接・間接に日々接触して来た経験から長年自分なりに感じている事を書いてみたいと思います。

 『米国製造業の衰退』については、この20~30年米国内を初め、それこそ世界各国の政治家、経済評論家、経営コンサルタント、シンクタンク、経営者、学識者、研究者などありとあらゆる人達が数多の調査・分析結果、考察・見解などを述べており、何も目新しい話題ではありません。

 「米国製造業衰退の原因は何か?」この疑問についても既に星の数ほどの答えが出されており、今更私が何か申し上げるような事もなさそうですが、政治的な要素もあるものの、突き詰めて言えば資本主義自由経済下における利潤追求型・利益至上主義的経営の破綻、マネージメントの失敗と言えると思います。

 多くの上場企業では「株主に最大利益をもたらすために企業価値を最大化する」という一見もっともらしい表現が使われたりしますが、短期的な利潤追求、利益達成のために企業の存続と競争力の源となる新規開発費を縮小、廉価な労働力や原材料費、製造コストを狙った輸入や国外への外注または製造移管、新規設備投資・既存設備の更新・保全を手抜きして古い設備を使い続けるなど長期的な利益体質が損なわれ、従業員のモラルも低下し、結果として企業を弱体化する事態に陥っているのではないかと思われます。

 『従業員の意識』に関しては、一般的に日本に比べて会社への帰属意識が薄いのではないかと感じます。理由は色々違っても転職する人数・頻度は米国の方が遥かに多く、いわゆる労働のモビリティー(社会的流動性)が高いと言えます。会社側も業績が悪化すると簡単にレイオフやダウンサイズをしますし、業績が回復するとすぐに元社員を雇い戻します。従業員も過去を根に持たず平気で復職します。At-will employment(退職および解雇が自由な雇用形態)が主流になっているのとそのような自由労働市場、社会的文化が背景にあるためです。

 また、会社の業績が悪くなった時、仕事が上手く行かなくなった時に自分が皆と一緒に辛い思いをしてでも頑張って問題を解決しよう、良くして行こうという気持ちが薄い気がします。もちろん部署や立場によって個人差はあり、中には日本人以上に頑張る人もいますが、「最終的に今の会社でどうしようもなくなったら他の会社に行けばいい。別の仕事を見つければいい」という人が多いのではないかと思われます。

 そういう考えや態度が暗黙の内に親から子へ、子から孫へと引き継がれ、世代が移り変わる間に米国のどの製造業も何処の製造メーカーも弱体化し、徐々に衰退の一途を辿っているのではないかと思われます。とは言ったものの製造業の衰退、製造メーカーの凋落は従業員の責任ではなく、究極のところマネージメントの責任であります。米国進出の日系企業の経営幹部の方々はこの『従業員の意識』を念頭に入れ、その中で如何に従業員を動機付けし、継続的な問題解決と業務改善、目標達成の意識を植え付け実践して行くかが極めて重要な課題と言えます。容易な事ではありませんが、是非諦めずに頑張って頂きたいです。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Kagu (Vol. 111)喧喧諤諤 第111回:聞く、書く、見る、読むと覚える

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 五月(さつき)に入りました。先月入社式を迎えた新入生、新入社員の皆さんの4月は如何でしたでしょうか?恐らくあっという間に過ぎてしまったと言う感じでしょうか?初めて経験する事ばかりで毎日新鮮な印象を持つ反面、今まで味わった事のないプレッシャーやストレスを感じてちょっぴりブルーな気分だったり、落ち込んだりしているかもしれませんが、いわゆる5月病にならず、元気で明るく逞しい新入生、新入社員としてご活躍される事を願っております。不慣れな分だけ「ちょっとキツイな」、「大変だな」と思うこともあるでしょうが、将来自分の肥やしになると信じてめげずに頑張って下さい。

 丁度麦踏みと同じで、踏まれた麦が強く丈夫に育つのと似ています。冷たい水に晒した食べ物や染物が美味しくなり、色鮮やかになるのとも似ています。身体の筋力トレーニング同様に心の筋力トレーニングですね。身体に汗をかくのと同じ様に脳ミソにも汗をかかせて刺激し、瞬発力と耐久力を養いましょう。どんなに簡単でつまらない事でも自分なりに工夫してベストを尽くす事が肝要です。簡単な事をきちんと出来ない人に難しい事や責任の重い仕事を頼みたい、任せたいと思う人はまずいないでしょうから、手抜きする事はレベルアップ、ステップアップの機会を自ら放棄するのと同じです。簡単な事、つまらない事をゆめゆめ馬鹿にしたり、いい加減にしない事を肝に銘じて頂ければ幸いです。

 今回は『聞く、書く、見る、読むと覚える』というテーマです。

 昨今『活字離れ』が進んでいると言われますが、自分も含めた日々の暮らしの中で確かに文字を書いたり読んだりする機会や時間が減っているのが実感です。時候の挨拶、近況伺い・報告、お見舞、冠婚葬祭など従来は手紙、葉書など直筆で書いて送ったり、受け取ったりする活字ものが沢山ありましたが、筆不精な私の性格を差し引いてもはここ数年かなり減っています。

 もちろん、パソコンや携帯でのメールやワード文書、Eカード、電子ファイルなどのやり取りは多いのですが、自分で筆、ペンを持って手書きの文字を書いた物を送ったり、相手から受け取ったりする機会や量は間違いなく少なくなりました。

 「それがどうした?そういう時代なのだ」と言ってしまえばそれまでですが、何かもの寂しく味気ない感じがします。

 皆さんもご存知と思いますが、書く事の意味と効用は科学的にも証明されています。順不同でその主な効用を並べますと;

  1. 書く事によって考え、整理しまとめる一連の行為を通して思考力が高まり、脳に刺激を与え活性化する。
  2. 指先に力を入れる事で脳に刺激を与え活性化する。
  3. 耳から聞いた事を書いて、見て、読む事で2重、3重の記憶反復強化が出来、覚えやすくまた忘れにくくなる。声に出して読むと視聴覚全てを使って更にベター。書き上げた活字はグラフィックなデジタルデータとしても記憶される。
  4. 上記1から3全てボケ防止に役立つ。(笑)
  5. 2次的効用として、直筆の文字は温かみがあり、書き手の人柄・性格・感情を反映し、読み手の共感および絆・ご縁などの一体感を惹起する。

 如何でしょう?思い当たる点がおありと思います。

 実は私も入社1年目に納期対応が出来ない言い訳がきちんと出来ず、取引先の方に「頼んだ納期を覚えているのか?経験的に頭の悪い奴ほどメモを取らないのだよな」と言われ、記憶力(だけ)には自信があった私はその時は癪に障りましたが、時間が経つ程に年齢を重ねる程に「そうかもしれないな」、「確かにそうだな」と思うようになりました 。今でも忘れられない貴重な一言です。(閑話休題)

 手書きの文字はパソコンや携帯で入力する文字・絵文字とはやはり一味違います。パソコンや携帯のキーを叩いて入力するのも脳に刺激が行きますが、漢字変換にしても余り頭を使わず出来てしまうので、手書きの刺激には敵いません。

 筆が遅く、筆圧が高く、習字(毛筆、ペン習字とも)が不得手な私はどちらかというと手書きよりキー入力が便利でありがたいのですが、拙い字でたまに手書きで送る葉書、手紙の方が相手方には喜ばれるようです。皆さんもたまには時間を掛けて手書きのお便りを出される事をお勧めします。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 五月(さつき)に入りました。先月入社式を迎えた新入生、新入社員の皆さんの4月は如何でしたでしょうか?恐らくあっという間に過ぎてしまったと言う感じでしょうか?初めて経験する事ばかりで毎日新鮮な印象を持つ反面、今まで味わった事のないプレッシャーやストレスを感じてちょっぴりブルーな気分だったり、落ち込んだりしているかもしれませんが、いわゆる5月病にならず、元気で明るく逞しい新入生、新入社員としてご活躍される事を願っております。不慣れな分だけ「ちょっとキツイな」、「大変だな」と思うこともあるでしょうが、将来自分の肥やしになると信じてめげずに頑張って下さい。

 丁度麦踏みと同じで、踏まれた麦が強く丈夫に育つのと似ています。冷たい水に晒した食べ物や染物が美味しくなり、色鮮やかになるのとも似ています。身体の筋力トレーニング同様に心の筋力トレーニングですね。身体に汗をかくのと同じ様に脳ミソにも汗をかかせて刺激し、瞬発力と耐久力を養いましょう。どんなに簡単でつまらない事でも自分なりに工夫してベストを尽くす事が肝要です。簡単な事をきちんと出来ない人に難しい事や責任の重い仕事を頼みたい、任せたいと思う人はまずいないでしょうから、手抜きする事はレベルアップ、ステップアップの機会を自ら放棄するのと同じです。簡単な事、つまらない事をゆめゆめ馬鹿にしたり、いい加減にしない事を肝に銘じて頂ければ幸いです。

 今回は『聞く、書く、見る、読むと覚える』というテーマです。

 昨今『活字離れ』が進んでいると言われますが、自分も含めた日々の暮らしの中で確かに文字を書いたり読んだりする機会や時間が減っているのが実感です。時候の挨拶、近況伺い・報告、お見舞、冠婚葬祭など従来は手紙、葉書など直筆で書いて送ったり、受け取ったりする活字ものが沢山ありましたが、筆不精な私の性格を差し引いてもはここ数年かなり減っています。

 もちろん、パソコンや携帯でのメールやワード文書、Eカード、電子ファイルなどのやり取りは多いのですが、自分で筆、ペンを持って手書きの文字を書いた物を送ったり、相手から受け取ったりする機会や量は間違いなく少なくなりました。

 「それがどうした?そういう時代なのだ」と言ってしまえばそれまでですが、何かもの寂しく味気ない感じがします。

 皆さんもご存知と思いますが、書く事の意味と効用は科学的にも証明されています。順不同でその主な効用を並べますと;

  1. 書く事によって考え、整理しまとめる一連の行為を通して思考力が高まり、脳に刺激を与え活性化する。
  2. 指先に力を入れる事で脳に刺激を与え活性化する。
  3. 耳から聞いた事を書いて、見て、読む事で2重、3重の記憶反復強化が出来、覚えやすくまた忘れにくくなる。声に出して読むと視聴覚全てを使って更にベター。書き上げた活字はグラフィックなデジタルデータとしても記憶される。
  4. 上記1から3全てボケ防止に役立つ。(笑)
  5. 2次的効用として、直筆の文字は温かみがあり、書き手の人柄・性格・感情を反映し、読み手の共感および絆・ご縁などの一体感を惹起する。

 如何でしょう?思い当たる点がおありと思います。

 実は私も入社1年目に納期対応が出来ない言い訳がきちんと出来ず、取引先の方に「頼んだ納期を覚えているのか?経験的に頭の悪い奴ほどメモを取らないのだよな」と言われ、記憶力(だけ)には自信があった私はその時は癪に障りましたが、時間が経つ程に年齢を重ねる程に「そうかもしれないな」、「確かにそうだな」と思うようになりました 。今でも忘れられない貴重な一言です。(閑話休題)

 手書きの文字はパソコンや携帯で入力する文字・絵文字とはやはり一味違います。パソコンや携帯のキーを叩いて入力するのも脳に刺激が行きますが、漢字変換にしても余り頭を使わず出来てしまうので、手書きの刺激には敵いません。

 筆が遅く、筆圧が高く、習字(毛筆、ペン習字とも)が不得手な私はどちらかというと手書きよりキー入力が便利でありがたいのですが、拙い字でたまに手書きで送る葉書、手紙の方が相手方には喜ばれるようです。皆さんもたまには時間を掛けて手書きのお便りを出される事をお勧めします。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Kagu (Vol. 110)喧喧諤諤 第110回:日々是新、日々是好

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 4月になりました。3月の卒業式に続いて入学式、入社式、新年度、始業式、新1年生、新社会人など『入』、『新』、『始』という漢字が良く似合い、またこれ程見掛ける時期も他にないでしょう。体より大きなランドセルを背負ったピッカピカの1年生、桜の花がほころび、散り行く中を歩む初々しい新入生、新入社員。どれも新鮮で明るい希望に満ちたイメージを抱かせます。ふと我が身を振り返れば、先日の出張中に引いてしまったしつこい風邪の所為でヨレヨレの60+年生。「とほほ」と嘆いたり、落ち込んでいる場合ではありません。東北地方の皆さんは震災直後から1年を過ぎた今日も着実に黙々と復旧から復興へと歩み続けています。2月の誕生日を機に近所の映画館ではめでたくシニア優遇レート適用資格保持者となった小老子も周りの気運に乗じて心機一転、もう少し頑張らねばなりません。

 さて、今回のテーマは新たな門出に相応しく『日々是新、日々是好日』です。

 どこが相応しい?と思われた方、極めて普通の感覚をお持ちです。小老子が言わんとするのは新たなスタートは決して新人だけの特典ではなく、この時期に限った事でもないということです。

 上級生と呼ばれる学校の生徒・学生達、先生方、会社の先輩・上司の方々、家庭で奮闘中の主婦・主夫の皆さん、定年退職後我が道を行く熟年グループメンバー。皆それぞれ立場や環境は違っても、「日々是新たなり」という気持ちで今日という日を迎えられた幸せに感謝しながら新たな事に挑戦したり、新たな方法で取り組んだりすれば、新人諸君と同じレベルではなくとも昨日とは違った新鮮な一日を過ごせるのではないでしょうか?

 人間の体細胞は約60兆個もあり、その内約20%の15兆個が毎日死滅し新たな体細胞に置き換わっているそうです。見かけは同じに見えてもその中身と実体は毎日別人と言える位違っている訳です。それ故、ちょっとした気の持ちようで、たとえ目に見えない程の小さな一歩でも昨日より今日、今日より明日と少しずつ前に進めるのではないでしょうか?向かい風が強過ぎたり、上り坂が急過ぎたりして時には休んで一息入れたり一歩、二歩下がることもあるかもしれません。水前寺清子さんの歌の歌詞ではありませんが、「三歩進んで二歩下がる」ことがあっても「休まないで、あ~る~け~」ですね。

 空に舞い上がるタコは向かい風でないと上がりません。逆風が強い程高く舞い上がります。上り坂も峠を越えれば楽な下り坂です。上り坂と下り坂は必ず同じ数だけあります。「苦あれば楽あり。楽あれば苦あり」ですね。今の忙しさと目先の苦労だけに心を奪われ、我を忘れてはなりません。大分以前の本稿でも書きましたが、『忙』も『忘』も「心を亡くす」と書きます。「心を亡くす」ことは「人間らしさを亡くす」ことに他なりません。『日々是好日』はそのような心理状態、行動パターンに陥らないように戒めた言葉だと思います。

 小老子も含めて人は誰しも何か嬉しい事、楽しい事があった日は好日と思いますが、そういう事が何もなかった日でも「悪いことがなくて良かった。無事に過ごせて良かった」と思えば、それも好日なのです。また、仮に何か良くない事、辛い事、苦しい事があっても「最悪の事態は免れた。小さな被害で済んで不幸中の幸い」と思えば、やはり好日なのです。

 上を見れば切りがない。人間の欲望には限界がない。と言われますが、みんなが「幸せになる」のは難しいけれども、自分の考え方一つで誰もが「幸せに思える。幸せと感じる」ことは出来る筈です。相田みつおさんの言い方ですと「幸せは自分が決める」ことなのでしょうね。経済的には極貧状態のアジアの小国ブータンの国民総幸福度にも通ずるものがあります。

 かく言う小老子も聖人君子でないのはもとより、悟りを啓いた先人達の足元にも及ばず、今も青い鳥を追い続けるチルチル、ミチルと同じ「幸せになれない」人間の一人です。ご多聞に漏れず、『日々是好日』どころか『日々是口実』の有様でどうも毎日出来ない理由、やれなかった言い訳が多いような気がします。反省。

 どうぞ皆さん、小老子を反面教師として頂き、一人でも多くの方が『日々是新』、『日々是好日』を実感出来る日が一日でも多く持てますように、新たな気持ちで4月をスタートし、これからの毎日をお過ごし下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 4月になりました。3月の卒業式に続いて入学式、入社式、新年度、始業式、新1年生、新社会人など『入』、『新』、『始』という漢字が良く似合い、またこれ程見掛ける時期も他にないでしょう。体より大きなランドセルを背負ったピッカピカの1年生、桜の花がほころび、散り行く中を歩む初々しい新入生、新入社員。どれも新鮮で明るい希望に満ちたイメージを抱かせます。ふと我が身を振り返れば、先日の出張中に引いてしまったしつこい風邪の所為でヨレヨレの60+年生。「とほほ」と嘆いたり、落ち込んでいる場合ではありません。東北地方の皆さんは震災直後から1年を過ぎた今日も着実に黙々と復旧から復興へと歩み続けています。2月の誕生日を機に近所の映画館ではめでたくシニア優遇レート適用資格保持者となった小老子も周りの気運に乗じて心機一転、もう少し頑張らねばなりません。

 さて、今回のテーマは新たな門出に相応しく『日々是新、日々是好日』です。

 どこが相応しい?と思われた方、極めて普通の感覚をお持ちです。小老子が言わんとするのは新たなスタートは決して新人だけの特典ではなく、この時期に限った事でもないということです。

 上級生と呼ばれる学校の生徒・学生達、先生方、会社の先輩・上司の方々、家庭で奮闘中の主婦・主夫の皆さん、定年退職後我が道を行く熟年グループメンバー。皆それぞれ立場や環境は違っても、「日々是新たなり」という気持ちで今日という日を迎えられた幸せに感謝しながら新たな事に挑戦したり、新たな方法で取り組んだりすれば、新人諸君と同じレベルではなくとも昨日とは違った新鮮な一日を過ごせるのではないでしょうか?

 人間の体細胞は約60兆個もあり、その内約20%の15兆個が毎日死滅し新たな体細胞に置き換わっているそうです。見かけは同じに見えてもその中身と実体は毎日別人と言える位違っている訳です。それ故、ちょっとした気の持ちようで、たとえ目に見えない程の小さな一歩でも昨日より今日、今日より明日と少しずつ前に進めるのではないでしょうか?向かい風が強過ぎたり、上り坂が急過ぎたりして時には休んで一息入れたり一歩、二歩下がることもあるかもしれません。水前寺清子さんの歌の歌詞ではありませんが、「三歩進んで二歩下がる」ことがあっても「休まないで、あ~る~け~」ですね。

 空に舞い上がるタコは向かい風でないと上がりません。逆風が強い程高く舞い上がります。上り坂も峠を越えれば楽な下り坂です。上り坂と下り坂は必ず同じ数だけあります。「苦あれば楽あり。楽あれば苦あり」ですね。今の忙しさと目先の苦労だけに心を奪われ、我を忘れてはなりません。大分以前の本稿でも書きましたが、『忙』も『忘』も「心を亡くす」と書きます。「心を亡くす」ことは「人間らしさを亡くす」ことに他なりません。『日々是好日』はそのような心理状態、行動パターンに陥らないように戒めた言葉だと思います。

 小老子も含めて人は誰しも何か嬉しい事、楽しい事があった日は好日と思いますが、そういう事が何もなかった日でも「悪いことがなくて良かった。無事に過ごせて良かった」と思えば、それも好日なのです。また、仮に何か良くない事、辛い事、苦しい事があっても「最悪の事態は免れた。小さな被害で済んで不幸中の幸い」と思えば、やはり好日なのです。

 上を見れば切りがない。人間の欲望には限界がない。と言われますが、みんなが「幸せになる」のは難しいけれども、自分の考え方一つで誰もが「幸せに思える。幸せと感じる」ことは出来る筈です。相田みつおさんの言い方ですと「幸せは自分が決める」ことなのでしょうね。経済的には極貧状態のアジアの小国ブータンの国民総幸福度にも通ずるものがあります。

 かく言う小老子も聖人君子でないのはもとより、悟りを啓いた先人達の足元にも及ばず、今も青い鳥を追い続けるチルチル、ミチルと同じ「幸せになれない」人間の一人です。ご多聞に漏れず、『日々是好日』どころか『日々是口実』の有様でどうも毎日出来ない理由、やれなかった言い訳が多いような気がします。反省。

 どうぞ皆さん、小老子を反面教師として頂き、一人でも多くの方が『日々是新』、『日々是好日』を実感出来る日が一日でも多く持てますように、新たな気持ちで4月をスタートし、これからの毎日をお過ごし下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Kagu (Vol. 109)喧喧諤諤 第109回:リコよりリタが好き

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 本欄も109回目を迎えました。2名の前任者の後を継いだ形ですので、私一人の積み重ねではありませんが、108の煩悩を経てそろそろ楽な日々になるかと甘い期待に反し、未だに悩みは尽きません。3月の声も聞こえ始めた先月後半には久し振りにミシガンにも雪が降りました。暖冬で球根から土を持ち上げ伸びかけていた拙宅玄関前の水仙の若芽が思わぬ寒さに首をすくめています。春の草木や新緑が早めに萌え出るのは歓迎ですが、この暖冬のせいで去年から生きながら得た蚊や虻などの越冬部隊に今年卵からかえる新生の仲間たちが合流して例年以上の数になりそうだとのありがたくない予想記事がありました。花粉アレルギーとともに招かれざる春の客人です。一方日米でプロ野球がキャンプインし、毎日各地から興味深い球春便りが入り始めました。レンジャースのダルビッシュ投手の取材ニュースはやや過剰・過熱気味ですが、不慣れな環境でも順調に調整が進んでMLBデビューし、シーズンを通して活躍してもらいたいものです。

 さて、今回のテーマは『リコよりリタが好き』です。またまた?マークですかね?

決して女性の好みを言っている訳ではありません。靴下を履かずに素足で靴を履く熟年プレイボーイ(だった?)石田純一氏と昨年結婚した女子プロゴルファー東尾理子さんの話でもありません。気を持たせてすみません。要は『リコ(利己)よりリタ(利他)が好き』という話です。

 利他というのは余り耳慣れない言葉だと思いますが、読んで字の如く自分自身のことよりも他人の利益・便宜を図る行為、考え方です。効率優先、利益至上主義が大半の企業の命題となってしまった感のある昨今の世知辛い世の中では、個人の信条・信念や価値観までその影響を強く受けて「自分さえ良ければ」、「他人の事など構っていられるか!」と言った態度が往々にして見受けられます。

 大変残念な事ですが、元々利己的だった人ばかりではなく、他人の事を気遣い、善意を施し、助け合っていた人達が本人も気付かぬ内に考え方や行動パターンが変わり、極端な場合には性格まで変わって「まるで人が変わってしまった」ように感じられることもあります。ゆっくり落ち着いて話をしている時には極めて正論で常識のある発言をする人が、一般的な総論から自分の利害に直接関わる各論に移ると急に利己的な発言に変わってしまい、こちらが面食らう事もあります。

 そのような中で間もなく1周年となる東日本大震災と福島原発事故が発生した後、被災地や被災者の人達への救援・支援活動を切っ掛けとして「他人のために何かしたい」、「誰かのために役立ちたい」という気運が日本中に溢れ、最初から積極的に活動している人達だけでなく、それまでどちらかと言うと内にこもって社会との関わりを断っていた人や仲間内だけの付き合いに限っていた人達が見ず知らずの人に連絡を取り、自分の思いを広く発信し、具体的に動き始めました。2011年の『今年の漢字』に『絆』が選ばれたのもうなずける話です。

 自分の事は二の次にしてでも「他人のために何かしてあげたい」と思う純粋な思いと利他の気持ちは極めて尊く、本人の意志が相手に伝わり実現するように大切にしなければならないのですが、時が経つにつれて折角の気運が尻すぼみになりつつあると言う残念なニュースを耳にしました。

 色々な理由や事情があるようですが、一つは最も中心的・リーダー的存在である国と政府の支援態勢が拙速でまとまりがなく一貫性を欠いて弱腰な事。次に個人や一般の人達よりも規模と金額で勝る国内企業が円高、原油高、業績不振などで支援する余力が少なくなった事。三つ目は救援・支援物資、義捐金、ボランティア希望者などの受け入れおよび配分・活用のための管理体制の不備や非効率な運営が尊い気持ちに水を差してしまっている事などがあるようです。

 それが本当ならば非常に残念なことです。過去の出来事を決して忘れたり、風化させてはなりません。自戒の念も含めて、折角忘れ掛けていた利他の念を思い出し、新たに芽生えた人達の意志を絶対に無駄にしないように是非協力し助け合いましょう !一人でも多く「リコよりリタが好き」と言えるように努力しましょう!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 本欄も109回目を迎えました。2名の前任者の後を継いだ形ですので、私一人の積み重ねではありませんが、108の煩悩を経てそろそろ楽な日々になるかと甘い期待に反し、未だに悩みは尽きません。3月の声も聞こえ始めた先月後半には久し振りにミシガンにも雪が降りました。暖冬で球根から土を持ち上げ伸びかけていた拙宅玄関前の水仙の若芽が思わぬ寒さに首をすくめています。春の草木や新緑が早めに萌え出るのは歓迎ですが、この暖冬のせいで去年から生きながら得た蚊や虻などの越冬部隊に今年卵からかえる新生の仲間たちが合流して例年以上の数になりそうだとのありがたくない予想記事がありました。花粉アレルギーとともに招かれざる春の客人です。一方日米でプロ野球がキャンプインし、毎日各地から興味深い球春便りが入り始めました。レンジャースのダルビッシュ投手の取材ニュースはやや過剰・過熱気味ですが、不慣れな環境でも順調に調整が進んでMLBデビューし、シーズンを通して活躍してもらいたいものです。

 さて、今回のテーマは『リコよりリタが好き』です。またまた?マークですかね?

決して女性の好みを言っている訳ではありません。靴下を履かずに素足で靴を履く熟年プレイボーイ(だった?)石田純一氏と昨年結婚した女子プロゴルファー東尾理子さんの話でもありません。気を持たせてすみません。要は『リコ(利己)よりリタ(利他)が好き』という話です。

 利他というのは余り耳慣れない言葉だと思いますが、読んで字の如く自分自身のことよりも他人の利益・便宜を図る行為、考え方です。効率優先、利益至上主義が大半の企業の命題となってしまった感のある昨今の世知辛い世の中では、個人の信条・信念や価値観までその影響を強く受けて「自分さえ良ければ」、「他人の事など構っていられるか!」と言った態度が往々にして見受けられます。

 大変残念な事ですが、元々利己的だった人ばかりではなく、他人の事を気遣い、善意を施し、助け合っていた人達が本人も気付かぬ内に考え方や行動パターンが変わり、極端な場合には性格まで変わって「まるで人が変わってしまった」ように感じられることもあります。ゆっくり落ち着いて話をしている時には極めて正論で常識のある発言をする人が、一般的な総論から自分の利害に直接関わる各論に移ると急に利己的な発言に変わってしまい、こちらが面食らう事もあります。

 そのような中で間もなく1周年となる東日本大震災と福島原発事故が発生した後、被災地や被災者の人達への救援・支援活動を切っ掛けとして「他人のために何かしたい」、「誰かのために役立ちたい」という気運が日本中に溢れ、最初から積極的に活動している人達だけでなく、それまでどちらかと言うと内にこもって社会との関わりを断っていた人や仲間内だけの付き合いに限っていた人達が見ず知らずの人に連絡を取り、自分の思いを広く発信し、具体的に動き始めました。2011年の『今年の漢字』に『絆』が選ばれたのもうなずける話です。

 自分の事は二の次にしてでも「他人のために何かしてあげたい」と思う純粋な思いと利他の気持ちは極めて尊く、本人の意志が相手に伝わり実現するように大切にしなければならないのですが、時が経つにつれて折角の気運が尻すぼみになりつつあると言う残念なニュースを耳にしました。

 色々な理由や事情があるようですが、一つは最も中心的・リーダー的存在である国と政府の支援態勢が拙速でまとまりがなく一貫性を欠いて弱腰な事。次に個人や一般の人達よりも規模と金額で勝る国内企業が円高、原油高、業績不振などで支援する余力が少なくなった事。三つ目は救援・支援物資、義捐金、ボランティア希望者などの受け入れおよび配分・活用のための管理体制の不備や非効率な運営が尊い気持ちに水を差してしまっている事などがあるようです。

 それが本当ならば非常に残念なことです。過去の出来事を決して忘れたり、風化させてはなりません。自戒の念も含めて、折角忘れ掛けていた利他の念を思い出し、新たに芽生えた人達の意志を絶対に無駄にしないように是非協力し助け合いましょう !一人でも多く「リコよりリタが好き」と言えるように努力しましょう!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

Ken Ken Gaku Kagu (Vol. 108)喧喧諤諤 第108回:黒か白か?0(ゼロ)か1(イチ)か?

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 2012年もあっという間に2月『如月』に入りました。皆さんの新年のスタートは如何でしたでしょうか?この冬のミシガンは例年より雪も少なくかなり暖かいですね。決して不平不満を言っている訳ではありません。寒がりの私には冬場何をするにも暖かい方がいいですが、早晩冬将軍がやって来るのでしょうね。

 さて、年明け早々スポーツ界では12年振りにNFLプレイオフに進出した地元デトロイト・ライオンズは残念ながら既に姿を消し、残るはスーパーボウル1試合のみとなりました。皆さんが本号をご覧になる頃にはチャンピオンが決まっているでしょう。プロ野球ではダルビッシュ投手のテキサス・レンジャース入団が決まり、今年の楽しみが一つ増えました。地元のファンはもちろん、テキサスに引越したり、試合観戦に出入りする熱狂的な野球ファンや日本人が増えるかもしれませんね。MLBのエースとの投げ合いや強打者との対決に手に汗握るだけでなく、経済効果も期待できそうです。他の日本人選手と共にシーズンを通して怪我や故障なく期待に応える活躍をして欲しいものです。また、タイガースに移籍が決まったプリンス・フィルダー選手も親父さんと同様の活躍を期待しましょう。

 さて、今回のテーマは『黒か白か?0(ゼロ)か1(イチ)か?』です。

 皆さんの身の回りや日常生活で最近「黒か白か?」とか「YesかNoか?」のように二者択一を求められたり迫られたりする場面に度々出くわしませんか?

 昨年の東日本大震災と同時に発生した福島原発事故の影響で「原発賛成か反対か?」とか某TV局の韓流番組偏重傾向が「是か非か?」、はたまた米国で現在進行中の大統領選挙や議員選挙の際の「共和党か民主党か?」などもその類ですね。

 ある日本のブロガーによると、「東日本大震災発生時やその後の救援・支援活動で大きな役割を果たし、貢献度も高かったTwitterは打ち込める文字数が140文字内という制限があるため、どうしても前提条件や補足説明の抜けた結論や要点中心のコメントになり、反対意見を封じ込めてしまう心配がある。」という主旨のコメントがありました。同意・同調しない少数意見が無視されたり、袋叩き状態になったりすることもあると聞いていますので、その人は民主主義の要諦である『少数意見の尊重』が忘れ去られることを少なからず懸念していました。

 原発の例をとっても、悪い点ばかりでなく良い点もあったので各地で建造され電力供給の一助となっていた訳ですから、ここでいきなり操業停止、全廃というのも極端過ぎる気がします。リスクや恩恵の差はあれ、原油やガソリンが埋蔵量、生産量に限りがあり、大気汚染や地球温暖化の弊害があるのですぐに採掘や使用を止めろ、というのと似たり寄ったりです。熟慮を欠いた性急な結論は誤りや想定外の問題の原因となり、極端な意見の対立は怒りや憎しみの原因となります。

 0か1かで判断・決定するコンピューター的思考処理プロセスと効率化追求の風潮がもたらした弊害かもしれませんが、もう少し別な考え方や意見があって然るべきと思います。価値の多様化が見られる現在、黒でも白でもないグレー(犯罪ぽい響きになりますが)とか、0でも1でもなく1に近い0.8とかがあっても良いですし、右でも左でもなく中庸を保つ真ん中とか柔軟な見方、考え方がより必要なのではないでしょうか?

 コンピューターと言えば、最近また世界一の処理スピードで話題になった『京』のようなスーパーコンピューター(いわゆるスパコン)の開発で仕分け作業の際に「2番じゃいけないんですか?」と発言した大臣が居ましたね。1番を目指しても必ず1番になれる訳ではなく、2番、3番になることもあるので、最初から2番狙いでは4、5番に甘んじる羽目になりかねません。メーカーが不良率ゼロを目指しても0.5%とか1%の不良が出るのに「2~3%の不良は出ても仕方がない」と諦めたら5%も10%も不良が出るのと似ています。そう言えばその大臣はその後自分が仕分けされてしまいましたね。(笑)

 皆さんも仕分けされないようにご自分で事実を正確に捉え、色々な角度から良く見て考えると同時に他人の意見を尊重し、「和して同ぜず」の精神でご対応下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 2012年もあっという間に2月『如月』に入りました。皆さんの新年のスタートは如何でしたでしょうか?この冬のミシガンは例年より雪も少なくかなり暖かいですね。決して不平不満を言っている訳ではありません。寒がりの私には冬場何をするにも暖かい方がいいですが、早晩冬将軍がやって来るのでしょうね。

 さて、年明け早々スポーツ界では12年振りにNFLプレイオフに進出した地元デトロイト・ライオンズは残念ながら既に姿を消し、残るはスーパーボウル1試合のみとなりました。皆さんが本号をご覧になる頃にはチャンピオンが決まっているでしょう。プロ野球ではダルビッシュ投手のテキサス・レンジャース入団が決まり、今年の楽しみが一つ増えました。地元のファンはもちろん、テキサスに引越したり、試合観戦に出入りする熱狂的な野球ファンや日本人が増えるかもしれませんね。MLBのエースとの投げ合いや強打者との対決に手に汗握るだけでなく、経済効果も期待できそうです。他の日本人選手と共にシーズンを通して怪我や故障なく期待に応える活躍をして欲しいものです。また、タイガースに移籍が決まったプリンス・フィルダー選手も親父さんと同様の活躍を期待しましょう。

 さて、今回のテーマは『黒か白か?0(ゼロ)か1(イチ)か?』です。

 皆さんの身の回りや日常生活で最近「黒か白か?」とか「YesかNoか?」のように二者択一を求められたり迫られたりする場面に度々出くわしませんか?

 昨年の東日本大震災と同時に発生した福島原発事故の影響で「原発賛成か反対か?」とか某TV局の韓流番組偏重傾向が「是か非か?」、はたまた米国で現在進行中の大統領選挙や議員選挙の際の「共和党か民主党か?」などもその類ですね。

 ある日本のブロガーによると、「東日本大震災発生時やその後の救援・支援活動で大きな役割を果たし、貢献度も高かったTwitterは打ち込める文字数が140文字内という制限があるため、どうしても前提条件や補足説明の抜けた結論や要点中心のコメントになり、反対意見を封じ込めてしまう心配がある。」という主旨のコメントがありました。同意・同調しない少数意見が無視されたり、袋叩き状態になったりすることもあると聞いていますので、その人は民主主義の要諦である『少数意見の尊重』が忘れ去られることを少なからず懸念していました。

 原発の例をとっても、悪い点ばかりでなく良い点もあったので各地で建造され電力供給の一助となっていた訳ですから、ここでいきなり操業停止、全廃というのも極端過ぎる気がします。リスクや恩恵の差はあれ、原油やガソリンが埋蔵量、生産量に限りがあり、大気汚染や地球温暖化の弊害があるのですぐに採掘や使用を止めろ、というのと似たり寄ったりです。熟慮を欠いた性急な結論は誤りや想定外の問題の原因となり、極端な意見の対立は怒りや憎しみの原因となります。

 0か1かで判断・決定するコンピューター的思考処理プロセスと効率化追求の風潮がもたらした弊害かもしれませんが、もう少し別な考え方や意見があって然るべきと思います。価値の多様化が見られる現在、黒でも白でもないグレー(犯罪ぽい響きになりますが)とか、0でも1でもなく1に近い0.8とかがあっても良いですし、右でも左でもなく中庸を保つ真ん中とか柔軟な見方、考え方がより必要なのではないでしょうか?

 コンピューターと言えば、最近また世界一の処理スピードで話題になった『京』のようなスーパーコンピューター(いわゆるスパコン)の開発で仕分け作業の際に「2番じゃいけないんですか?」と発言した大臣が居ましたね。1番を目指しても必ず1番になれる訳ではなく、2番、3番になることもあるので、最初から2番狙いでは4、5番に甘んじる羽目になりかねません。メーカーが不良率ゼロを目指しても0.5%とか1%の不良が出るのに「2~3%の不良は出ても仕方がない」と諦めたら5%も10%も不良が出るのと似ています。そう言えばその大臣はその後自分が仕分けされてしまいましたね。(笑)

 皆さんも仕分けされないようにご自分で事実を正確に捉え、色々な角度から良く見て考えると同時に他人の意見を尊重し、「和して同ぜず」の精神でご対応下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。