Monday, June 17, 2024

喧喧諤諤 第252回:春から夏へ、季節は移れど混乱は続く!?

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五月(皐月:さつき)新緑の季節となりました。先月末3日間のN F Lドラフトイベントで賑わったデトロイト周辺のミシガン州南東部では最高気温78度F(約25.6℃)のバカ陽気の日があり、雨上がりの午後に外出した際にはムワッとするくらい蒸し暑さを感じました。米国ではこれから各地の学校で卒業式が目白押しとなる時期ですが、今年はいささか事情が違うようです。

皆さんもニュースでご存知の如く、ニューヨーク市のN Y U、コロンビア大、当地のミシガン大、カリフォルニア州のU S C、U C L Aなどの著名校を含む全米各地の大学キャンパスでは今も進行中のイスラエル・ハマス戦争の煽りを受けて巻き添えの死傷者や医療・食糧危機に直面しているガザ地区のパレスチナ人保護と即時停戦を求めてイスラエル政府及びそれを支援する米国政府に対する抗議活動が日増しに増加・激化しています。従来から続いていた単発的な抗議デモ・集会に止まらず、校則で禁じられているキャンパス内に野営テントをいくつも張って座り込み、泊まり込みで抗議する学生が多数出ています。中には他校の学生や外部のオーガナイザーが紛れ込んで抗議活動を過激に煽っている可能性もあるようです。U C L Aでは反イスラエル・反ユダヤの抗議活動に対抗する反ハマス・イスラエル擁護の対抗抗議活動グループも出現し、グループ間で暴力行為まで発生しました。

これらの抗議活動が直・間接的に目に余るユダヤ人迫害に結びついており、ユダヤ系学生は本来自由に行動できる筈のキャンパス内で行動を制限され、身の危険を感じています。大学側も対応に困っており、校則に従って先ずは校内警備隊を使って抗議活動を制御しようと試みていますが、制御できる限度を超えた場合は止むを得ず市の警察に介入応援を求めたケースもあり、検挙者も出ています。

親が汗水流して貯蓄した浄財から捻出したり、学生自らパートやアルバイトで稼いだり学生ローンを組んで納めた高額の学費の見返りとして本来受けるべき授業が受けられず、浄財の無駄遣いとなっております。人生の大きな節目、一生の思い出となる筈の卒業式も取りやめになったり、卒業生代表でスピーチする予定だったユダヤ系学生の門出のスピーチも「予想されるリスクに対する配慮」を理由に取りやめになったりして当事者や関係者は大いに落胆しています。特に、高校の卒業式がパンデミックを理由に行われず、今回大学の卒業式も取りやめになる学生や親御さんたちの悲哀には気の毒過ぎて慰めの言葉もありません。

 

日本では先月末から今月初めにかけて恒例のG W連休があり、旅行やレジャーに出掛けたカップルや友達グループ、家族連れがひと時の遊興と歓楽を楽しんだ事でしょう。連休中もお仕事だった方々や子連れのファミリーサービスで奮闘のお父さん、お母さんたちはお疲れ様でした。旅行と言えば、日本の国内旅行はともかくとして、狭い日本を抜け出して海外に飛び出した人たちは折悪しく悪化の一途を辿っている円ドルもしくは対円現地通貨の為替レートを反映した旅費、宿泊費、飲食代、遊興費、お土産代の円貨を見てさぞかし(イスから転げ落ちる程)驚かれたのではないでしょうか?1ドル/158円のレートなど1年前にはまるで想像もしていませんでした。1ドル/130円台の頃に150円台まで行くと発言していた人がいて「とんでもない」と思っていましたが、それが現実となるとは!?「驚き、桃の木、山椒の木」、「ブリキにタヌキに蓄音機(もうほとんど死語)」です。

同じG W連休中に岸田内閣の閣僚14名が外遊との記事もありました。「外遊」と言ってもプライベートで遊びに行ったわけではなく、国際会議出席など公務としてそれぞれ世界各地に飛んだわけ(はず)ですが、これが自腹だったら大変でした。余談になりますが、それで一つ思い出したことがあります。

もう何年も前、パンデミック前の話になりますが、日本のクライアントの出張者数名に同行してニューヨーク市内及び隣接州の米国企業を訪問した際に数回利用したハイヤー会社の年配の日本人運転手さんから移動中に聞いた話です。ある時ニューヨーク市内イーストリバー沿いにある国連で開催されたイベントに出席するため来米した日本の国会議員複数名を空港からホテルまで乗せた時の車中の彼らの会話が最初から最後まで「お土産を何にする?」という話題だったそうです。「高級ワインが喜ばれる。」、「あのブランドがいい」、「このブランドがいい」という話で、運転手さんは「この人たちは一体何しに来たのだろう?」と思ったそうです。「センセイ」と呼ばれる国会議員のおエライさんたちが、国民の血税を使った公務の来米で到着早々に来米目的や達成目標ではなく帰りの土産の話とは!?これでは日本の政治が良くなるわけがないと情けなくて呆れてしまったそうです。

裏金問題で揺れている今も似たり寄ったりでしょうが、年明け早々に政治刷新会議で夏の「氷代」、冬の「餅代」と言われる政治活動費の支給を廃止すると決定したにもかかわらず、文字通り「君子は豹変(ひょうへん)す」で恥も外聞もなく前言を翻して復活どころか今年は何と年間300万円から500万円に増額、総額は160億円とのこと。国民は低賃金・給与、インフレ値上げで苦しんでいるのに、増額の理由はどうも裏金問題から派閥解消により表でも裏でも政治活動費収入が減った分を補填する狙いのようで国民の怒りを買っています。「センセイ、いい加減にしてください!」と言いたいところでしょう。

 

余談はここまでとして、恒例のスポーツの話題は割愛して今回の本題「春から夏へ、季節は移れど混乱は続く!?」に入ります。今回もオムニバス形式で書き進めます。

 

  • 上述のイスラエル・ハマス戦争は米国バイデン政権から再三の一時停戦・人質釈放交渉、ガザ住民向け人道的支援を最優先実施の勧告・要望にもかかわらず、イスラエル史上最も極右強硬派と言われるネタニヤフ首相率いる現イスラエル政権はハマス殲滅を最優先してガンとして拒否を続けています。イスラエル消滅を目指すハマス側も一時停戦に合意して人質を全員解放したら、停戦期間が終わるや否やそれこそイスラエル国防軍の総攻撃を受けて壊滅の危機に晒されることは百も承知しているため、人質を全員解放する可能性はゼロと言えます。北朝鮮の金正恩国家主席が数多の政治的、経済的制裁を受けて自国民が窮乏生活に喘いでいても絶対に核開発、大陸間弾道ミサイル開発をやめないのと同じです。イスラエル側も人質解放は実現したいものの、段階的実施では時間と日数が掛かり、一時停戦の間にハマスがまた態勢を立て直していつまた何処で急襲やテロを仕掛けてくるか分からず、そのリスクと引き換えにはできない状況です。戦争が長引いてガザ地区パレスチナ住民の犠牲者が発生し続けても、世界の目にはイスラエルとそれを支援する米国他西側諸国が非難され悪者扱いされるだけで、ハマス側にとっては少しでも有利な条件交渉を目指して好都合です。次期大統領選及び一般選挙を11月に控えるバイデン政権、民主党としては各国の利害関係と国民感情が複雑に交差して何が正解か、何がベストか判断に迷い、容易に結論が出せない全く頭の痛い問題です。
  • トランプが前大統領としては史上初めて被告人となる2016年大統領選挙時の不正に関する刑事訴訟・裁判がニューヨーク市で先月下旬から始まりました。カギとなる証人喚問ではトランプの選挙キャンペーンを支援し、トランプに不利な情報は握り潰し、当時の対立候補者に不利な虚偽情報を掲載したナショナル・エンクワイアラー紙の元発行責任者デビッド・ペッカーやトランプグループ会社で勤務し、毎日のようにトランプの言動を直接目撃していた女性事務員から有力な証言が得られ違法性、犯罪性が強まっています。被告人は毎回出廷を義務付けられるため、トランプ自身と弁護団は繰り返し訴訟の不当性を訴え、裁判の取り消しを求めましたが、主席裁判官は認めていません。同裁判官からトランプと弁護団に対して当裁判に関わる証人、証人候補者、陪審員、法廷関係者に関するギャグオーダー(緘口令)が事前に発令されているにもかかわらず、自分の言いたいことは言わずに我慢できないトランプは再三緘口令を無視した発言を繰り返し、それを止められなかった弁護団は法廷での信用を完全に失くしたと裁判官からダメ出しされ、違反は既に10件以上となり裁判官の判断で最大1件1万ドルの罰金または最長30日の拘束・収監もしくはその両方を処罰実施可能です。トランプに対して罰金だけでは蛙の面に水で効き目がないので、お灸をすえる意味で数日間だけでも一時的拘束・収監か自宅と裁判所の往復以外は外出を禁じる自宅拘束すると効果があるのでしょうが、トランプが今でも次期大統領選挙キャンペーン活動で各地に遊説ができないと泣き言を言っており(実際にはちゃっかりゴルフをする時間は確保)、トランプ支持の過激強硬派の連中が裁判所周辺で騒ぎを起こしたり、証人や陪審員、法廷関係者に圧力や危害を加えて裁判の邪魔をして進行をストップしたり遅らせたりする心配もあり、処罰の程度や実施も難しいところです。
  • ウクライナ、イスラエル、台湾への支援金などを含む臨時特別予算が先月末ようやく議会上下院で可決通過し、即刻大統領承認も得て正式実施可能となりました。イスラエル向け支援金の中では軍事関係費だけでなく、当然ながらガザ地区住民への人道的支援を優先するように条件付けされています。内容的には2ヶ月ほど前にトランプの横槍で下院での審議・可決が見送られた際のものと大差はないようですが、タイミングが遅れた分2ヶ月間もロシア軍の再侵攻を許してウクライナ側軍関係者及び一般国民の犠牲者と成功しつつあったロシア軍による占拠地域奪還に齟齬をきたしたマイナスは大きく、軍関係者や一般国民の士気低下を回復して再度やり直しするのは容易ではなさそうです。
  • 並行して進んでいる他の起訴、訴訟案件の内フロリダでのトランプによる国家機密文書の不正持ち出し、保管義務違反、機密漏洩については担当の地区裁判所判事がトランプ時代に任命された女性でトランプ擁護の姿勢が見え見えで、裁判開始と判決を急ぐ本件担当のジャック・スミス特別検察官からの各種要望には非好意的で機会あるごとにトランプ弁護団側の要望に合わせて進行を遅らせ、いつ裁判を始めるのか予定日さえいまだに未定となっており、訴訟・法務関係者の間では次期大統領選前には裁判は始まりそうもないと見られています。
  • トランプの大統領就務時代に任命された保守派の最高裁判事3名を含めて保守派が過半数を占めている連邦最高裁が今頃ようやくトランプ前大統領の刑事訴追免責が妥当かどうかの判断ではなく、原告側、被告側双方の申し立て聴取を実施しました。焦点は大統領就務時代の行動が本来の大統領職務・職責の一環であったかどうか、公務外の私的な行動でなかったかどうかの判断ですが、直ちに最高裁で審議・結論まで至る可能性は低く下級裁判所に差し戻し再審議するように指示が出たか、出る模様です。もし全て免責という最終判断となれば、目下進行中の複数訴訟・起訴案件は全てご破算となり、トランプは当該案件では免責され、未来永劫再起訴・再審される可能性がなくなり、大手を振ってまた悪事に勤しむ恐れがあります。次期大統領に当選したりしたら、復讐の鬼と化して過去・現在に自分を批判し反対・反抗し、反旗を翻した現・前・元政府関係者、民主党議員、司法関係者、軍部要人とその支持者など悉く排斥・排除に走り、憲法を含む各種法律・法令、司法制度、選挙制度など将来も含めて自分の思い通りになるように専制君主政治に変更しようと動く恐れ大です。万に一つでもそんな事になったりしたら、今でも危うい状況の米国は民主国家でも法治国家でもなくなってしまいます。そうならないことを切に祈ります。

 

いずれにしても、これから先「春から夏へ、季節は移れども混乱は続く!?」ことは間違いなさそうです。米国選挙権のない我々在米日本人としては日頃から気を引き締め、タイムリーで正確な情報を入手・分析・判断し、どのような展開になってもベストの対応ができるように心の準備とできるだけの各種備えが必要です。

 

筆者紹介:Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業種々の室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第251回:球春と醜聞(スキャンダル)

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日本では新年度、新学期となる4月になりました。当地ミシガン州南東部では先月春のお彼岸が過ぎた直後にかなりの雪が積もり、暦の上では春なのに冬に逆戻りした感がありました。自宅の前庭でクロッカス(先月号のパンジーは誤記。失礼しました)に続いて咲き始めた水仙が寒の戻りに驚いて「まだ出番ではなかったか!?」とでも言うように身を縮こめて様子を伺っていましたが、その後気温の上昇とともに元気を取り戻しています。一部雪の重さで茎や花が倒れてしまった株もありますが、大半は背筋を伸ばして来月中頃までは種類違いの花々が次々と目を楽しませてくれそうなのでホッとしました。

今月号も原稿締切り間近になってビッグ・ニュースが続けて入り、テーマの見直し、差し替えと各種媒体での情報検索・選定・確認・検証作業に追われました。

本題にある『球春』は日本の高校野球春の選抜大会とほぼ同じタイミングで恒例のプロ野球開幕を告げるウキウキ、ワクワクの題材になるはずでしたが、米国西海岸発の一大スキャンダルがそれに暗い影を落とし、冷水を浴びせています。

では、このままの流れで今回の本題『球春と醜聞(スキャンダル)』に入ります。
皆さんも毎日のように日米のニュース報道をご覧になっていらっしゃると思いますが、今シーズンMLBナ・リーグのロスアンジェルス・ドジャースに移籍し、他球団よりも一足早く先月半ばお彼岸の週に韓国で開催されたサンディエゴ・パドレスとの開幕2連戦で新たなスタートを切った二刀流大谷選手の長年の専属通訳であった水原一平氏が起こした違法スポーツ・ベッティング(賭博)と累積450万ドルと言われる巨額の借金の支払いを大谷選手の銀行口座から不正に行ったと言う驚くべきスキャンダルです。開幕初戦の試合終了後にロッカールームで水原氏自身が賭博依存症であることをチームメンバーに告白し、それ以前に広報担当者同席の下で受けた米国のスポーツTV局ESPNとの電話インタビューで発言した内容を発端として、カリフォルニア州では禁止されているオンラインの違法賭博行為と違法賭博胴元との取引行為を理由に球団を即日解雇されたと言うことですが、米韓の時差もあり、当地の早朝にニュース速報が乱れ飛び、眠い目で英語の見出しにあったFiredの文字を目にした私は「はあ?」と首を傾げ、一瞬冗談かと思いながら読み進むと水原氏解雇というとんでもない事実でした。ESPNとのインタビューの際の水原氏談では「借金支払いは大谷選手が肩代わりして一緒にパソコンを使って胴元(FBIがかねてから違法賭博容疑で捜査していたとの別情報あり)に8回か9回に分けて送金した。」と話したようですが、解雇直後のESPNによる再度のインタビューでは前言を翻し、自分が嘘をついたと全面否定したため真偽の疑いと混乱を大きくしています。当地の3/25には大谷選手自身が英語の公式会見で「水原氏に嘘をつかれた。当局の捜査には全面協力する」という主旨の声明を発表しましたが、質疑応答はなく経緯詳細や取材側の疑問については不透明な部分が残されました。

MLBは野球賭博を禁止しており、過去にはシンシナティー・レッズの現役及び監督時代に野球賭博に関与した当時のスーパースター、ピート・ローズ氏が球界から永久追放され、米国野球殿堂入りも認められていません。日本でも今は故人となっている元西鉄ライオンズのエースであった池永正明氏がいわゆる『黒い霧』事件で一時永久失格となり、その後処分が解除された例などがあります。サッカーやテニス、バスケットボールなど野球以外のスポーツも含めて米国でスポーツ・ベッティングが最高裁判決で合法化された2018年以降巨大なビジネスとなりつつあり、新たな税金の収入源としての期待から既に合法化されたり、合法化が予定されている州の数も賭け金の総額も急速に増え続けています。

賭け事は勝った時の快感が忘れられず繰り返す中毒性があり、賭博依存症になると常識的な判断や金銭感覚が麻痺して、勝てば快感で脳内ホルモンのドーパミンが溢れますし、負けるとそれを取り返そうとして賭け金が雪ダルマ式に膨らんで借金がかさみ生活破綻、家庭崩壊、犯罪関与など悲惨な末路が待っています。特に試合会場や場外券売所に出かける必要がないオンライン・ベッティングは自宅に居ながらパソコンやスマホのボタン操作一つで簡単に出来てしまうため、回数も掛け金も歯止めが利かなくなる傾向が強く、ごく普通の人がのめり込んで行くケースが余りに多いようです。今回の水原氏の一件もその一例ですが、ESPNとのインタビューの発言内容やその直前の顔つきや行動にもそれまでとは違う印象を受け、何か問題を抱えているのか?と気になっていた人達もいたようです。恐らく余りの借金の大きさにパニック状態となり正常な判断能力も無くなっていたのでしょう。大谷選手のドジャース移籍と同時に専属通訳として球団に雇われ、大谷選手の10年契約期間中通訳として無難に務めれば安定した高収入が見込まれ、彼のファンも大勢いる絶頂期と言える時期にこの事件。絶頂期からドン底へ、天国から地獄に落ちたようで、全く「好事魔多し」とはこの事でしょうか。誠に残念でなりません。今年1月のスーパーボウルの広告主として新たにオンラインベッティング会社が数社入っていた事実を見ても、オンラインのスポーツ賭博は今後ますます増え続け、銃乱射事件や鎮痛薬のオピオイド過剰摂取・中毒死などと共に米国の大きな社会問題となりかねません。そうならないことを願うばかりです。

日本では当地米国以上に大騒ぎとなっているようですが、昨年末の複数球団との移籍交渉の進捗状況やつい先日前触れもなく突然の結婚報告(お相手は幼馴染ではないか?という私の想像は外れましたが、素敵な方ですね。『普通の日本女性』とはとんでもない。学生時代にバスケ日本代表にもなったスポーツウーマンでした。まあ、ユニコーンの大谷選手から見れば、ほとんどの人が普通なのかも)を始め、取材・公表制限や情報守秘で何度も特ダネ、スクープのチャンスを逃し、売れるはずの記事を書けなかった日米のメディア関係者の中には、ここぞとばかりにしっぺ返しも兼ねて耳目を集める狙いで裏付けできる事実や根拠もなく憶測、推測ベースの怪しげな解説者や寄稿者によるセンセーショナルで悪意あるコメントやガセネタっぽい報道も見受けられますが、日本の国宝・英雄的存在である大谷選手の1ファンとしては、事実関係の調査・報告は当局に任せて静観し、彼の代理人が「翔平は巨額窃盗の被害者であり、この問題は当局に引き渡す」と声明したように、彼が水原氏の違法賭博に一切関与しておらず、100%潔白であることを信じて、今シーズン何らの制約・制限もなくのびのびとプレー出来ることを願って止みません。

続いて、先月同様にスポーツ以外の話題をオムニバス形式で書いてみます。
1.
先月26日未明に米国最大の貿易港であり米国経済活動の重要ポンプ役であるメリーランド州ボルチモア港を跨り東西を結ぶ重要交通路であるフランシス・スコット・キー橋の橋桁にシンガポール国籍のコンテナ船が衝突し、橋梁がドミノ倒しのように崩落し、各種船舶が港湾入出不能になりました。折り悪しく橋上で路面コンクリートの修理工事をしていた作業者8名が橋梁と共に落下し、2名は奇跡的に救助されましたが、残り6名の内2名は遺体で収容され、4名は今も行方不明。また、不運なタイミングで橋上を走行中だった車数台が水中に落下し橋梁の下敷きになったり水没したりしている恐れがあり、1台の水没車中で死亡している犠牲者2名の遺体も収容されました。収容作業、原因究明作業も現場がまだ不安定で視界も悪い状態で思うように進まず、崩落した橋梁の回収撤去作業も容易でなく、連邦政府は6千万ドルの緊急救済資金の段階的注入を決定しましたが、更に新しい橋梁の設置工事がいつ始められいつ完了するのかまで考えると気が遠くなりそうです。また、湾外に待機停泊中やこれから入港を予定していた船舶は他の港に迂回接岸可能ですが、既に湾内に接岸していた船舶は当分港から出られず完成車や商品、部品、原材料などの積荷の処分対応や船舶、コンテナのやりくりが大変です。2,400人の港湾作業者が失業する恐れがあり、地元に落ちるはずの経済効果が消失する経済損失他、船舶が迂回航路をとるため積荷の陸送も含めたルート変更、航行日数・運送費用の増加、納期遅れなど米国経済全体に及ぼす影響も甚大です。
2.
先月22日にロシアのモスクワで開催されたコンサート会場にテロリスト11名が乱入して無差別に銃を乱射。当初133名の死者、数百名の負傷者と報道されましたが、最新情報では死者143名という惨事。直後にISISが犯行声明。彼らが何故ロシア国内でテロ活動?と思われる方もいらっしゃると思いますが、余り話題にはならないもののロシアがシリアのアサド政権支援の一環としてISIS他シリア国内やアフガニスタン地域の反体制グループを攻撃し排除しようとした反発でISISは欧米自由民主主義諸国だけでなくロシアも敵視しており、今回のテロに繋がったものです。プーチン大統領やロシア政権幹部はISISにはそのような力はなく、具体的な根拠はないまま裏でウクライナが関与したと断定しています。欧米の軍事専門家や諜報のプロはウクライナの関与を否定していますが、目下進行中のウクライナ侵攻継続の正当性や国民への説得理由・協力要請手段としてウクライナを悪者にしておきたいのが本音と思われます。これを理由に、また核兵器使用も辞さないと脅しをかけるかもしれません。
3.
イスラエルガザ地区住民の飢餓状態は極限レベルとなっており、直近の国連集会で米国が提出した条件付き一時停戦案は直接当事国のイスラエルが拒否しただけでなくロシア、中国他の反対を受けて否決され、イスラエル国防軍の攻撃は継続中。限定的な飲料水、食糧、生活物資などの搬入は陸路では搬入地点も時間帯も制限が大き過ぎて米軍やNATO加盟国が共同で空から支援物資を投下したりしていますが、陸路でのトラック輸送と異なり、供給量や投下場所の精度など極めて効率が悪く、効果は限定的。ある時は投下木箱のパラシュートが開かず下敷きになって死亡する現地人が出たり、落下地点がズレて海中に落下した際に食糧欲しさに我を忘れて泳げない人まで水中に入り溺死したりというケースもあり、瀕死の飢餓状態が続いています。また、わずかに活動している病院では6歳の子供が適切な治療を受けられず餓死したとのことで悲惨なニュースが後を絶ちません。
4.
米国大統領予備選ではトランプに最後まで対抗していた共和党候補者ニッキ・ヘイリー女史がスーパー・チューズデーの大敗を受けてキャンペーン活動継続を断念。トランプが直後に規定票数を獲得し予備選は終了。今後現在進行中の複数刑事訴訟などで有罪が確定するなど余程のことがない限り、党大会での正式指名を待つのみ。民主党候補者もバイデン現大統領が予備選当確し、両者年齢が4歳老けただけで前回2020年選挙と同じ顔合わせに。但し、直近情報ではロバート・ケネディJRが独立候補として出馬する可能性があり、まだ選挙資金が潤沢に残っているヘイリー女史が誰を支持するか? 彼女の支持層の票が誰に流れるのか? あるいは、トランプの有罪が確定し候補者から除外された場合、彼女が敗者復活で再度候補者に名乗りを挙げるのか?まだまだ先のストーリーが続きそうです。
5.
トランプが被告となっていたニューヨーク市の不動産不正評価・申告に基づく不当資産借入賠償民事訴訟判決を受けて先月25日深夜までに賠償金支払いを保証する$464ミリオン(約5億ドル)の証券供出を義務付けられていましたが、同市アピールコート(控訴裁判所)への減額・期限延長願いが功を奏して判事が$175ミリオンに減額と10日間の追加猶予期間を与えると裁決し、直ぐには不動産差し押さえとならず一息つけることになりました。まだ少し悪運が残っているようです。
以上、今回もまた混ぜご飯的コメントになりましたが、締切り直前のビッグニュース対応で満足に精査、調整し切れなかった事情がありご容赦願います。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第250回:冬来りなば春遠からじ?

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2006年7月号で前任者2名から引き継いだ本欄も今月号で通算250回の節目となりました。足掛け18年目を迎えていますが、3度の休稿を含めて振り返れば「遠くに来たもんだ」と感慨深いものがあります。

時は三月(弥生)、今年は雪も少なく比較的暖かな冬ですが、先月末週のミシガン州デトロイト周辺では日中最高気温が従来の記録より10度Fも高い73度F(約22.8℃)にもなり、散歩するのにコートも手袋も不要でした。すれ違った人の中には短パン姿の人もいましたが、その後すぐにまた氷点下の気温に逆戻りし、雹(ひょう)混じりの雪もチラついたりして今もまだ冬将軍が健在であることを誇示しています。
1822年7月に30歳の誕生日を待たずして早逝したイギリスのロマン派詩人パーシー・ビッシュ・シェリーの原詩を漢文調に和訳した「冬来りなば春遠からじ」は名訳であり、辛い事や苦しい時期があってもそれを耐え抜けば必ずいい事や楽しい時期がやって来る、という教訓的な言葉としてしばしば使われています。
似たような意味の言葉で同じくイギリスの文豪・戯曲家ウィリアム・シェイクスピアの原文の意訳で「夜が長いほど夜明けは近い」というのもありますね。
私も個人的に何度か思い当たる経験がありますが、先月の誕生日で満74歳になった今の段階では冬も夜も長過ぎない方が助かります。(笑)
春が近づいている証拠に自宅の前庭のパンジーと水仙の球根から今年も新芽が伸び始め、暖かい日が続けばそろそろ蕾が膨らんで早咲きのパンジーから順々に我々の目を楽しませてくれる筈ですが、もう少しの辛抱でしょうか?

さて、春の訪れを前にして世間を見渡すと、残念ながら相変わらず悪いニュース、暗い話題が溢れています。テレビ、ラジオ、インターネットなどでそのようなニュースや記事を読む度に悲しみや怒りで気分も沈み、荒み(すさみ)がちになりますが、特に朝起き抜けに悪いニュースを目にすると後に尾を引きますね。
たまには(できれば毎日)良いニュースから一日が始まるといいですが、今回は急遽予定を変更して一足早く春に相応しい明るいニュースから書き進めます。

皆さんも既にご存知のように、つい先日サッカー女子日本代表『なでしこジャパン』がアジア最終予選で北朝鮮代表チームを破りパリ五輪出場を決めました。おめでとうございます。パリ五輪が開催される今年は4年ごとのオリンピック・イヤーで閏年でもあり、通常ピッタリ4週間、28日で終わる最小の月2月も今年は一日多い29日までありました。
その閏年の閏日2/29の日本時間夕方4時半ごろ(米国では2/28の夜半を過ぎた29日の午前2時半ごろ)本号原稿締切り直前(実際は納期遅れ)に超驚きのビッグ・ニュースが入ってきました。

今季からロスアンジェルス・ドジャースの一員となった二刀流大谷選手が自らのインスタグラムで結婚した旨を報告したのです。日本語と英語で別々にやや内容表現を変えての同時発表で、細かい配慮をした事前準備が伺われました。
発表時刻は日本で一般的に一日の仕事が終わる夕刻であったのは、混乱が少ないようにと日本のファンやメディアへの配慮か?米国西海岸では日付が変わる深夜0時少し前というのも、一足早く眠りについている東側に位置するその他の州よりも自分が在籍するドジャースの本拠地ロスアンジェルスのファンの一部やメディア担当者がまだ起きていて米国内では一番に受信できるように配慮したものかもしれません。この一大ニュースに就寝中のところを叩き起こされたり、そろそろベッドに入ろうかと思っていたメディア関係者はてんやわんやの大騒ぎとなり、眠気眼(ねむけまなこ)でスマホやラップトップを開いて、また一仕事する羽目になったかもしれません。

大谷選手は野球界、スポーツ界のみならず、今や広く世界中にその存在を知られ、毎日のように一挙手一投足がニュースになる超有名人ですが、お付き合いしている女性の影がなく、スキャンダルとは全く無縁であったため、寝耳に水のビッグ・ニュースでした。お相手は日本人女性とのことですが、どんな方なのか原稿作成時には不明ですが、次の発表が待ち切れません。
個人的にはエンジェルス在籍当時からメディアや世間の注目が集まる大谷選手は恋人探しも結婚も当分難しく、長く独身生活が続いて30歳半ば過ぎて現役生活後半くらいにならないと無理かな?お相手の条件も難しそうだな、と思っていましたが、グラウンドでの想像を超えるプレーで何度もファンを驚かせてきた彼はグラウンド外でも想像を超えるスーパープレーを見せてくれました。野球に例えれば、ワールドシリーズのゲームセブン(最終第7戦目)で相手チームに3点リードされて迎えた最後の攻撃9回裏2死満塁で打席に立ち、相手の絶対的抑え投手のクローザーから逆転サヨナラ満塁ホームランをかっ飛ばすくらいの快挙です。彼が想像を超えた唯一無二の存在『ユニコーン』と呼ばれる所以(ゆえん)でしょうか?拍手喝采!ご結婚おめでとうございます!!
私の個人的な想像と私見ですが、お相手の女性は彼の出身地岩手県水沢市か近隣出身の幼馴染で子供の頃から家族ぐるみでお付き合いのあるお互いに気心が知れた女性ではないか?と勝手に推察しています。長年の付き合いでお互いに信頼・尊重でき、彼と価値観が共有できるのはもちろん、心根が野球小僧、野球少年である彼が愛してやまない野球でベストのプレーができてとことん楽しめるようにサポートしてあげられる人(今までもそうしていた人)だといいなと思います。誤解や異論があると思いますので少し付け加えますと、サポートと言っても自分を犠牲にしてとか、辛くても我慢してとか、男性本位の日本の古風な考え方ではなく、奥さんも彼が元気にハツラツとプレーするのを楽しみ、結果が良ければ共に喜び、結果が思わしくなければ労り次に向かって励ます関係が幸せな結婚生活に繋がると思います。お幸せに!!
最後になりますが(英語ならLast but not least)、願わくば、大きな特ダネスクープを逃して慌てている筈の日本国内他海外のプロのマスコミ、パパラッチはじめファン、一般人の方々には無許可での取材や写真撮影は厳禁していただき、私生活に立ち入らずに既に『大谷ブーム』で湧きかえっているロスアンジェルスやスプリングキャンプ地、球場での野球関連の事柄に限定して欲しいものです。くれぐれもよろしくお願いします!!

では、続いてスポーツ以外の話題をさわり(要点)のみオムニバス形式で書いてみます。

ロシアの反体制派、反プーチン政権、反コラプション(腐敗政治)活動のリーダーであったナルヴァディー氏がシベリアの刑務所で突然獄中死。一度は毒殺の陰謀から紙一重で命拾いしたものの、治療を受けたドイツから逮捕されるリスクを知りながらロシアに空路再入国し、案の定到着と同時に逮捕され、裁判で有罪判決、収監、追加裁判で追加刑罰・刑期延長の末脱出・帰還不可能なシベリア送り。ロシア国内の支援者、共感者や民主主義諸国の人々が最も恐れていた事が起きてしまった形です。前日には面会に来た母親と冗談も交えた会話をして元気な姿を見せていたのに翌日の悲報。ロシア当局の発表では死因は自然死とされていますが家族や関係者は信用せず、国際世論からも疑問と抗議の声多数。母親による遺体の引き取り願いも最初は冷たく断られ2週間待てと追いやられる始末。葬儀の日取りや場所、参列者についても色々制約条件をつけて故人や家族に対する敬意も弔意も全くなし。またもプーチンの横暴と恐怖政治の犠牲者。

イスラエル/ハマス戦争が続くガザ地区で飲料水、食糧、生活物資などを搬入したイスラエル国防軍のトラック数台に群衆が殺到し、身の危険を感じた国防軍が発砲し、100人以上の死者、800人近くの負傷者。現地の当事者や目撃者と国防軍側の発表内容に食い違いがあり、真相は分かりませんが、飲み水や食糧が枯渇しているガザ住民は小動物や草を食べて飢えを凌いでいるとの情報もあり、なりふり構わず我先にトラックに殺到したと思われ、痛ましい事態となりました。現在進行中の一時停戦・人質解放交渉にもマイナスの影響となる恐れもあり。

ウクライナへのロシア軍侵攻も2年以上続いており、昨年末まで反攻作戦が功を奏してロシア軍占拠都市の奪回や軍事拠点、クリミア沖で停泊または作戦行動中のロシア海軍艦船攻撃などで戦果を上げていたウクライナ軍への兵器、弾薬、軍需物資の継続供給が米国議会(下院共和党)の混乱によるウクライナ支援追加予算審議・可決・実施遅れで先細りし始めると同時にロシア軍の再侵攻が強まり、ウクライナ国内の重要拠点都市がいくつか再占拠され、死傷者も出て兵士も不足する状態が表面化。米国以外のN A T O加盟国は継続支援を確約し、継続中ですが、最大支援国である米国の下院共和党が無責任で他人事のように動かず、ゼレンスキー大統領の必死の訴え、懇願も実らず危機感増大中。

上記ウクライナ支援追加予算やメキシコ国境での移民・難民対策改善予算を含む超党派の予算案が数ヶ月の両党議員有志の協議を経てようやくまとまり、議会審議にかける直前に次期大統領選を有利に運びたいトランプから「やめておけ」と横槍が入り、賛成投票するつもりであった共和党議員の一部が躊躇し、共和党マイク・ジョンソン下院議長は上院で先に可決した共同予算案を下院審議にかける気さえない有様。

テキサス州ダラスに近いフォート・ワース北部で同州史上最大規模の山火事が発生し、隣接州にも飛び火している他、既に東京都と同じ面積が焼失し、今も燃え広がり収束の目処立たず、住宅地や同州の主産業である石油施設にも延焼すれば被害が更に拡大しそうな緊急事態。

バイデン大統領とトランプ前大統領が先月末奇しくも同じ日にテキサス州の国境地区視察。次期大統領選挙戦の最大の争点、懸念課題である移民・難民問題、国境管理対策を巡って、バイデン大統領は問題解決のための一歩として両党一致協力して共同予算案を可決し、改善・解決に向けて前に進もうと呼びかけたのに対し、トランプはバイデン大統領と現政権の移民対策を非難し、移民・難民のほとんどが犯罪人、脱獄者、悪党、病人、精神錯乱者であると決めつけて誹謗・中傷・罵倒の繰り返し。訪問地の住民の95%と言われるメキシコ系住民はどんな気持ちで聞いたのか?大ウソつきの詐欺師、犯罪人、悪党は彼自身なのに・・・

大統領予備選では共和党候補者は次々と脱落し、トランプとニッキ・ヘイリーのマッチレース。先月末までに既に実施済みのアイオワ、n湯ハンプシャー、ネバダ、サウスカロライナ、ミシガン諸州の予備選、党員集会ではいずれもトランプが得票率で二桁の差をつけて圧勝。3/5に16州・米国領で予定されているスーパー・チューズデーまではキャンペーン継続を宣言しているヘイリーが資金調達を含めていつまで続けられるか?共和党全国委員会のロナ・マクダニエル議長には極右保守強硬派から早くトランプに一本化し党大会での正式指名を待たずにバイデン大統領対抗策に集中すべきと異例の圧力がかかり、3/5のスーパー・チューズデー終了後に退任予定と発表。ヘイリーがそこでも大差で負ければ脱落、キャンペーン終了か?

トランプが被告となっていたニューヨーク市でのセックス・スキャンダル関連の名誉毀損民事訴訟(追加分も含む)及び不動産不正評価・申告に基づく不当資産借入賠償民事訴訟判決はそれぞれ$83.3ミリオンと$545ミリオンの巨額賠償金・懲罰的罰金支払い命令が下され、基本的に即時現金払いが原則のため、トランプはアピール裁判所に判決の無効化、減額や支払い延期のアピールをしましたが認められず、資金繰りで窮地に追い込まれています。彼の弁護士談ではトランプの手持ち現金は$200〜250ミリオン、最大でも$400ミリオン程度とのコメントがあり、正当な評価額では金額が低くなっても彼の不動産資産の一部を売却しないと全額支払いは不可能。数十万ドルの裁判費用の即時支払いもあり、運転資金として現金も必要なためどうなるかです。他にも二人の息子共々トランプグループ会社の経営に参画禁止となり、今後の法令遵守、不正会計防止のため経営監視人も常駐させられ、今までのように詐欺・詐称まがいの勝手な振る舞いができなくなる羽目となりました。彼にとって唯一の救いはニューヨーク州におけるビジネスライセンスの剥奪というデス・ペナルティー(死刑宣告)だけは免れた事ですが、既に何度も度重なっている寄付金集めでは埋められそうもない金銭的、財務的負担とビジネス運営の制約は大きな重石です。金と権力の亡者には金で縛る、金で首を絞めるのが効果大。

共和党上院院内総務を現役最長の18年務めたミッチ・マコーネル氏が今年の11月で退任し、上院議員としては活動継続を表明。昨年7月に自宅で転倒し緊急入院。復帰後も記者会見の途中で立ったまま数十秒意識を失い、話が中断したこともあり、他にも公表されなかった転倒の事実が明るみに出て現役続行を危ぶむ声がありましたが、この時期突然の発表となりました。オバマ元大統領時代に民主党指名のリベラル派最高裁判事候補者であったガーランド現司法長官の議会承認手続きを断固拒絶した一方トランプ政権時代には共和党指名の保守派最高裁判事を3名あっさり強行承認したりした一方、1/6議会襲撃事件では煽動したトランプを批判したり、議会に対する彼の要望を蹴ったりして良くも悪くも共和党の上院を長年取り仕切って来た曲者政治家ですが、トランプの一声で動揺・混乱する下院共和党を横目に独自の動きをしてきた上院共和党の今後の指針と方向性がどうなるか?大きな転換期になるかもしれません。

以上、色々織り交ぜた混ぜご飯的コメントになりました。他にも話題はありますが、今回はこれくらいにしたいと思います。

「冬来りなば春遠からじ」の名訳から3月に入ればもうすぐ春と期待せざるを得ませんが、上記のような多くのネガティブな事件、出来事、動向、状況が続きますと気温は暖かくなっても背筋の寒さは無くならないのではないかと憂慮しています。心身ともに本当の意味で「は〜るよ来い!」と叫びたい気持ちです。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 

喧喧諤諤 第249回:病める迷走大国アメリカ

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喧喧諤諤 ケンケンガクガク
喧喧諤諤

喪中のため、ひと月遅れでも「おめでとうございます。」とは言えませんが、今年もよろしくお願い申し上げます。

昨年の新春1月号も休稿していましたので、これで2年連続になってしまい誠に申し訳ありません。一昨年10月末に亡くなった姉に続き、昨年11月にはそのご主人の義兄が亡くなった旨遺族から東京の姪経由で事後連絡をもらいました。

本来ならば、昨年の12月号を休稿すべきタイミングでしたが、日本からの訃報を受け取った時点である程度原稿作成の目処が経っていたのとその前の11月号をラップトップの突発的トラブルで予定外に休稿していたため、2ヶ月連続で急に休稿しては空いたスペースの穴埋めや紙面構成のやりくりでまたまた発行・編集責任者の方に余分なご迷惑をお掛けしてしまうことになるので、何とか完成して事なきを得ました。

喪中では新年の門出を祝う1月号の原稿書きには気分も筆も重く、祝事に相応しい内容は書けそうもないため前例に準じて休稿させていただきました。読者の皆様には事後報告になってしまいましたが、本欄をお借りしてお詫び致します。平にご容赦ください。

訃報と言えば、長年米国三大ネットワークの一つCBSテレビ、ラジオの顔であり看板であったチャールズ・オズグッド氏が先月91歳で亡くなられました。日曜朝の『CBSサンデーモーニング』のレギュラーホストとして2017年に引退するまで22年間、またCBSラジオの『オズグッド・ファイル』では同じく2017年までの毎朝実に46年間という長きにわたって現役で活躍。ラジオでは臨時ニュースや時事トピックを話題にし、時折詩的センスを活かして韻を踏んだ軽快なおしゃべりで『CBS住み込みの詩人』と呼ばれた才能を発揮。作詞・作曲、ピアノやバンジョーの演奏(テネシー州ナッシュビルのカントリー・ミュージックの聖地として有名なグランド・オール・オプリにも出演)、ピアノ弾き語りの歌唱力もあり、クリスマス・タイム週末の番組終了時の演奏・歌唱は毎年定番の名物として定着。私が同番組を見始めたきっかけで、ほぼ毎週見続けていた1番の理由でした。他に絵心や詩の創作など羨ましいほど才能豊かで、しかも一つ一つのレベルが高かったことは驚きでしかありません。多芸・多才を鼻にかけず、いつも自然体で誰にでも優しく接し、親切に対応したボウタイの似合う紳士で、自分が好きな事をして楽しみながら、周りの人たちも楽しませて幸せな気分にさせる素晴らしい人柄。前大統領のトランプとは真逆、正反対の人物でした。本当に才能ある良い人が亡くなるのは残念で寂しい限りです。きっと天国でも神様や先人たちを大いに楽しませている事でしょう。R.I.P.(合掌)

では、続いてスポーツの話題を少々。

シーズンオフのMLBで最大の関心事であったロスアンジェルス・エンジェルスの二刀流大谷選手の行き先は、最終的に同じ西海岸のお隣さんであるナ・リーグの名門球団ドジャースに決まりました。複数年5億ドルを超えると予想されていた契約金は複数球団と度重なる折衝を続けた結果、最終的にMLBのみならずプロスポーツ界史上最高の10年、7億ドルで契約合意・決着しました。主な契約条件も大谷選手らしさ全開の移籍オプションなし(但し、現オーナーまたは球団編成部長が引退・退団した場合は契約解除可能の付帯条件付き)、契約金の1%未満(それでも大金)を球団の慈善団体に寄付、初年度から10年間は毎年サラリー200万ドルのみ、残りの6億8千万ドルは11年目以降の10年間で利息なしの後払い。これにより、球団は大谷選手に起因する贅沢税のかなりの部分を回避でき、他の有力選手の確保や獲得がしやすくなりました。野球が芯から好きで、好きでたまらない彼が勝利にこだわり、同じく勝利にこだわり下部マイナーの選手育成システムから1軍の有力選手確保・獲得まで一貫した考えを持っている球団であると確信できたドジャースに骨を埋める覚悟で球団のオーナーから監督、コーチ、スタッフ、選手まで全員が一致団結して今後10年間毎年栄冠を目指して進み続けられるように本気で考え自ら提案したものです。

実際に、それからしばらくして、今オフ日本からポスティング制度でMLB移籍を目指していた2番手の目玉選手であるオリックスの山本投手を獲得できたのにも即影響と効果が見られました。今シーズン大谷選手は投手としてはプレーできずバッティングに専念しますが、打順はどうなるにしてもベッツ、大谷、フリードマンの3選手が並ぶ強力打線と山本選手他が加わった豪華投手陣はカーショウ投手の去就がはっきりしないもののほぼナ・リーグのオールスターに近い陣容となり、今後大谷選手が在籍、プレーする10年間は毎年のリーグ優勝はもちろんプレーオフを勝ち抜いてワールドシリーズ制覇の期待がかかります。

既にロスアンジェルス市内には大谷選手の壁画やポスター、関連ディスプレーがあちこちで見られ、スポーツ用品店、小売店、ネットショッピング・サイトにはTシャツ、トレーナーなど関連商品(最近お披露目された愛犬デコピンも含めて)が溢れています。スポンサー契約金や広告料収入、TV他のマスメディア出演・取材謝礼などを含めると我々の感覚では理解不能なサラリーの何十倍、何百倍というとんでもない金額になりそうです。付帯条件の一つとして合意したフルタイムの通訳として長年の名コンビである水原一平さんも球団と契約されたのは心強いですね。

余談では、カリフォルニア州政府の関係者が「後払いにすると彼が将来引っ越した先で受け取る契約金に関して同州の税収入が得られないのは不公平」などとケチなことを言ったそうですが、米国内であれ、国外であれ、生活拠点として住む所で税金を納めるのが当然であり、公平というもの。無い物ねだりの欲張りの戯言(たわごと)は捨てておけばいいでしょう。

大谷選手の話題だけで長くなってしまいました。他にも全米大学フットボール選手権で優勝したミシガン大学やNFL地元チームで超久しぶりに牙を剥いて咆哮したデトロイト・ライオンズ、今季初のテニスメジャー大会であるオーストラリアン・オープン、カタールで開催中のサッカーアジアカップのことも書きたいのは山々ですが、次号以降で機会があれば触れることにします。

では、本題に移ります。今月のテーマは「病める迷走大国アメリカ」です。

今年は辰年。干支に因んで昇竜の勢いで我家も世間も運気が上向いて良い年になることを願っていたのですが、新年早々元日から日本で能登地震、羽田空港滑走路での航空機衝突・炎上事件といきなり悲報が続きました。中国では辰年には大きな災難が起こるという言い伝えがあるとのことですが、それが隣国日本で起きてしまいました。地震と直後の津波で亡くなった方々や倒壊・破損した建物、家屋も多数あり、周辺道路の陥没や隆起のために救援部隊や救援物資供給のアクセスも制限され、遅々として救援活動が捗らないようです。また、近隣港では地盤が4メートルも隆起して港に漁船が出入りできず、シーズン盛りの紅ズワイガニや寒ブリの収穫、水揚げが思うように出来ない被害が重なってダブルパンチの痛手を受けており、被害に追い打ちを掛けています。亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると同時に、被災された皆様には心よりお悔やみ申し上げます。(再び合掌)

それにしても、この緊急事態に救援活動の陣頭指揮に当たらねばならない岸田内閣、政府与党・自民党が裏金問題で大揺れし、逮捕者が出たり安倍派を含む党内主流派閥が解散になったりの体たらくで自分達の尻を拭くのに奔走しており、支持率は過去最低となり最優先すべき救援活動に本腰が入っていないのは情けない限りです。もう何度も言われ、耳にタコですが、関係者全員が政治家本来の原点に戻って、『国民のための政治』に真摯に取り組んでもらいたいものです。

一方、当地米国でも年明けから余り良いニュースはありませんでした。

昨年10月7日突然にイスラエルと隣接するガザ地区のイスラエル人や外国人に対して大規模テロ攻撃を仕掛けたハマスへのイスラエル国防軍の強力な反撃がガザ地区北部から南部へと移りつつありますが、今もまだ米国人を含む150人以上の人質が拘束されており、解放される目処が立っていません。先月末にはイスラエル側からハマスに対し人質全員の解放を前提にして2ヶ月間の休戦提案が出されましたが、ハマス側がこれを拒否したため何も具体的に進んでいません。パレスチナ人が大半であるガザ地区住民の多くは事前に避難勧告があっても停電やインターネット接続可能な受信機能がなく、知らないまま犠牲になったり、知っていても実際安全に避難できる場所がないため、先月末までに実に2万2千人以上の一般人犠牲者が出ています。中には無抵抗を示す白旗を掲げて避難の最中に突然狙撃されて命を落とした犠牲者もあり、その件数が9件も連続発生し国連が調査に乗り出すとのことですが、救いようのない非常事態になっています。

その間に国際的に最重要な海運ルートとも言える紅海を航行中の貨物船がガルフ湾岸のテロ組織からと思われるロケットやドローン攻撃を受け、航行の安全確保が難しくなっています。米軍などが攻撃を受けた際の防御策やレバノン国内の複数テロ組織拠点への限定的報復反撃を実行していますが、100%安全な保証がなく航行継続できるかどうかが危ぶまれています。もし、紅海が海運ルートとして利用不可となると、南アフリカの南端喜望峰沖を回って北上する極端な迂回ルートを取らざるを得ず、航行日数や輸送コストの大幅アップとなり従来の貨物輸送、物資供給システム、経済・ビジネスモデルが維持不可能になるため世界的な大問題となります。

また、直近のニュースではシリア国境に近いヨルダン国内の駐留米軍基地がドローン攻撃を受け3人が死亡、30人以上が負傷する事件が発生し、イスラエル対ハマスの2者間戦争がイスラエル対アラブ諸国またはユダヤ人対パレスチナ人という湾岸諸国を巻き込んだ大規模な戦争に拡大しそうな懸念が増大しています。そんな事態にならないように神経を尖らせて外交ルートによる折衝と並行しながら慎重に軍事行動してきた米国がコントロールできない相手側の行動により、実行可能なリスクの低い選択肢が狭められつつあります。バイデン大統領と民主党政権にとっては、米国内だけでなく世界各地で人道的倫理観と人権保護の観点から反イスラエル・反ユダヤ人から反米の抗議デモが多発しておりイスラエル継続支援・擁護が難しくなりつつあり、同じく継続支援のための追加予算確保の議会承認がダダ遅れになって軍事支援金や兵器・弾薬など必要な軍事物資供給不足になっているウクライナに侵攻継続中のロシア対策や米国内メキシコ国境の難民・移民問題と併せてまたまた頭の痛い難題で、先月アイオワ州の共和党党員集会、ニューハンプシャー州の共和党指名候補者予備選を皮切りに正式に始まっている次期大統領選挙および一般選挙に向けて更に逆風が強まっています。共和党大統領候補者としては、トランプ前大統領はジーン・キャロル女史が原告となるレイプ告発事件に関する名誉毀損訴訟でニューヨーク連邦地裁で有罪判決を受け当初5百万ドルの賠償金支払い命令を受けた直後のCNN主催タウンホールミーティングで懲りもせずまたまた彼女を罵倒・中傷するコメントを発したため追加の名誉毀損訴訟に持ち込まれ、名誉毀損の追加賠償金の他に重い懲罰的賠償金を加算されて83.3百万ドルの支払い命令が下されました。他にも連邦及び複数州単位で合計91件の容疑で起訴され、ニューヨーク州、ジョージア州などで進行中の裁判を抱えながら大差の支持票を獲得し、先に撤退したクリス・クリスティー元ニュージャージー州知事や黒人のティム・スコット候補者に続き現フロリダ州知事のディサンティス候補者も選挙キャンペーンから撤退表明し、残るは元サウス・カロライナ州知事及び元米国国連大使のニッキ・ヘイリーとの一騎討ちとなってきましたが、今実際にそういうことが起こっているという事実が本当に信じられません。2016年大統領選当選後の就務中の言動や2020年選挙で落選した事実をいまだに認めず、グズグズ、ダラダラと嘘八百、偽情報、誤情報をばら撒き続けて米国内を混乱と対立・憎悪の渦に巻き込んでいるトランプを本気で次期大統領にしたいのか?一体全体米国をどんな国にしたいと思っているのか?とても正気の沙汰とは思えず支持層の人物評価と判断基準が全く理解不能です。議会制度や選挙制度、憲法他の法律や司法システムも無視して、あらゆる邪魔者や障害を乗り越えてひたすら我が道を進もうとしているトランプを強者として英雄視、礼賛しているようですが、私に言わせれば単に負け惜しみと我(が)の強い小心者、臆病者です。前回キャンペーン中に史上最低の候補者呼わばりしたバイデン候補者に敗れた悔しさと自分の人徳の無さ、能力の至らなさで落選した事実を受け入れられず、自分を改めようとか高めようとは一切しないで他人の所為にしてケチをつけ、言いがかりとイチャモンをつけて大騒ぎしているだけです。前にも書きましたが、まるでお菓子売り場やおもちゃ売り場で自分の欲しいお菓子やおもちゃを買ってもらえるまでギャアギャア泣き喚き、床に寝転んで手足をジタバタさせる悪ガキ(別称:欲しガキ)と一緒です。負けず嫌いで自尊心だけは人一倍強い小心者なので、夜中の3時ごろにX(旧ツイッター)で自分に非があり非難、糾弾される不利、不都合なコメントには直ぐに反論と逆ギレの誹謗・中傷コメントを掲示し、少しでも自分に有利なネタ探しをして大ボラとウソのつきまくる詐欺師の手管で一般人を騙し扇動し放題。前回大統領就任後のロシア疑惑の際にムラー特別検察官が任命された直後に「これで俺の大統領職は終わった!」と観念したコメントを吐いたと限定報道されましたが、ムラー氏が自分を任命した監督上司がトランプ支持派や擁護派から無用な非難を浴びて立場が危うくなるのを危惧してか、あるいは自分の報告書が原因で現職大統領を巻き込んで世間が大騒ぎになるのを懸念してか、トランプに直接インタビューする場を設けず質問状だけの調査にしたため(トランプの弁護士団が絶対回避に奔走したのもありますが)最終報告書では結局クロと断定せず議会に判断と対応処理(大統領弾劾裁判など)を委ねた形となり、当時の司法長官だったビル・バーがトランプべったりのゴマスリで報告書の内容骨子を歪めて口頭で発表し、有耶無耶にしてしまい、史上初の2度の弾劾裁判でも当時共和党が過半数を占めていた上院で無罪の判決となってしまったのはご存じの通りです。

通常の良識と良心があり、正しい人物評価、善悪の判断ができる人からは全く認めてもらえず、自分が優位になるには他人を誹謗・中傷で貶めるしか方法がなく、実力も立派な功績もないのに自画自賛で「オレが一番。凄いだろう!」と自慢して(今で言うマウンティング)それが大ボラの茶番と分かっていても面白がって周りで囃し立てる取り巻き連中のゴマスリで図に乗ってますますわがままな言動が酷くなるばかり。まるで猿回しのサルか童話に出てくる自分の真の姿、自分の愚かさに気づかない『裸の王様』だと思っていたら、今朝のニュースで上記名誉毀損訴訟の原告人であるキャロル女史がインタビューで法廷でのトランプの態度を同じ表現を使ってコメントしていました。他にも同じ思いをしている人がいることでしょう。下院では共和党が過半数を占めながら、議長選出、不信任案、更迭、議長選再実施などで議会審議が中断されたり、民主党憎しで時間と税金の無駄遣いとなっている個別委員会での召喚尋問や弾劾手続きに加えて、最重要である国家安全保障と国際政治に関わる連邦予算他新たな政策案審議がトランプの横槍も入って毎度のように党内分裂、御家騒動で揉めている議会運営も迷走するばかり。その間にも相変わらず銃乱射事件や鎮痛剤オピオイド中毒による死亡事件は跡を絶たず、南部国境で大量の難民・移民受け入れ問題、百貨店やスーパーでの計画的集団強盗・強奪行為、反イスラエル・ユダヤ人迫害の犯罪、抗議デモ、差別行為の急増などなど喫緊の対応が求められている事案が山積みでアメリカン・ドリームの夢も遠い昔のお伽噺となった感がする病める迷走大国アメリカは一体どこに向かい、行き着くのでしょうか?

ガチガチの共和党員やトランパーと呼ばれる熱狂的な(狂気に近い)トランプ支持者たちは何を言われても聞く耳持たず、事実を基にした会話も成り立たずトランプが共和党の正式指名候補者となり、次期大統領選で当選するまで諦めない(落選しても認めずまたイチャモンをつける)と思いますが、良心も良識もあり真っ当な判断ができる共和党員や共和党寄りの中間派有権者がトランプが続けているバラエティー番組のお笑いタレントかスタンドアップ・コメディアン、はたまた三文役者の三文芝居かサーカスの道化のような茶番に飽きて正気を取り戻した上で清き1票を投じて欲しいと願うばかりです。

前号でも書きましたが、万一トランプが共和党の正式指名候補者となり、次期大統領に当選したりしたら、この世の終わり(良くても終わりの始まり)となり、法治国家、民主主義国家としての米国の終焉=専制独裁政治の始まりとなるかもしれません。GOD, save us!!(神よ、救い賜え!!)

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第248回:中東から広がる新たな火種

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2023年卯年もあれよ、あれよという間に今年最後の月12月師走を迎える時期となりました。皆さんも公私ともに気忙しい毎日ではないかと思います。
先ず初めに先月11月号本欄を休稿にした事をお詫び致します。原稿締切り直前に発生したラップトップの突発的トラブルのため原稿作成に必要な作業が出来ず、止むなく休稿とさせていただきました。それ以前に本欄で休稿したのは私が3人目の執筆者として2006年7月号から引き継いだ以降過去2回ありましたが、どちらも親族の訃報に伴う出来事で、今回のようなケースは初めてでした。数は少なくても毎月目を通してくださる愛読者の方々やチラ見、斜め読み、拾い読みでも本欄に少しでも関心を持っていただける方々には大変失礼致しました。休稿前後の2ヶ月の間に米国内だけでなく国外でも本当に色々な出来事があり、今月号原稿用の話題としては事欠かない状況でしたが、要領良くまとめられるか、上手く収まるかどうかが懸念材料でした。では、前置きとお詫びに続いてスポーツの話題を少々。

プロ野球の世界では、10月日米ともにプレーオフ最後の熱い戦いが繰り広げられました。NPBでは、38年ぶりのセ・リーグ優勝に続いて2度目の日本シリーズ栄冠を目指す阪神タイガースとパ・リーグ3連覇の勢いで日本シリーズも連覇を狙うオリックス・バファローズが激突。関西シリーズとなった今年は関東や東北、九州他のファンには興味薄だったかもしれませんが、ホームとアウェイの球場移動が20分もかからないお隣さん同士の対戦で関西地方は大いに盛り上がっていたようです。結果はご存じの通りタイガースが見事優勝し、虎党ファンは文字通り狂喜乱舞のお祭り騒ぎとなりました。禁止令を他所にお決まりの道頓堀ダイブをするファンも現れ、祝勝気分は最高潮に達しました。惜しくも敗れたバッファローズも毎試合見所のある善戦を繰り広げたことに拍手を贈りたいと思います。特に5試合を終えて2勝3敗の崖っぷちとなった第6戦で、第1戦で予想外の大量失点で敗戦投手になっていたバッファローズの山本由伸投手が先発し、138球、14奪三振の熱投で完封勝利。3勝3敗のタイとし逆王手をかけて最終第7戦に繋げたのには熱いものを感じました。今シーズンオフには海外F A権とポスティング制度を使ってM L B移籍を目指す前の日本最後の登板を有終の美で飾りました。アッパレ!アッパレ!ML Bのどこの球団が優先交渉権を引き当て、入団合意するか分かりませんが、NPBで3年連続投手部門4冠の実力をMLBの舞台でもいかんなく発揮して我々ファンを大いに喜ばせて欲しいですね。

そのMLBでは、ア・リーグはテキサス・レンジャーズ、ナ・リーグはアリゾナ・Dバックスというワールドシリーズ史上3度目というワイルドカードチーム同士の顔合わせ。日本の関西シリーズと似て本拠地がアーリントン、TXとフェニックス、AZという米国のいわゆるサンベルト地帯にありニューメキシコ州を間に挟んだ近隣州シリーズになりました。結果はご存知の通り4勝1敗でレンジャーズが球団史上初(意外でした)のワールドシリーズ制覇となりましたが、その前のヒューストン・アストロズとのア・リーグ優勝決定シリーズでは最終第7戦(いわゆるゲームセブン)までもつれる大接戦で全てビジターチームが勝利する稀なシリーズでした。興味深かったのは、レンジャーズを率いたブルース・ボウチー監督は過去に率いた複数チームを含めた戦績でゲームセブンは負け無し。一方アストロズを率いたダスティー・ベイカー監督はゲームセブンで過去全敗と対照的で、今回もそのままジンクス通りの結果となったことです。もう一つ興味を引いたのは、ワールドシリーズで敗れたDバックスのトーリ・ロブロ監督は35歳であった2000年にNPBのヤクルト・スワローズで1年だけプレーした経験があり、その時に基本プレーを繰り返し練習し、試合でも基本プレーを重要視したいわゆるスモールベースボールのスタイルを取り入れ、大砲がいない軽量打線でも得点するために一つでも先の塁に進めるように走塁、盗塁、犠打、進塁打などに力を入れチームに徹底させたことです。実際にフィラデルフィア・フィリーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズやワールドシリーズでも「良く走るな!」という印象を受けました。また、ヤクルト在籍中には当時のチームメイトであった古田捕手が驚くほど外人としてはあり得ないバント練習を含めて一番遅くまで練習していたそうで、退団時に「将来M L Bの監督になるのが夢で、なれた時には臨時コーチとして来てくれ。」と古田選手と約束し、今シーズン前のスプリングキャンプに古田氏が来米してそれが実現したとのことです。正に「夢は見るものでなく、実現するもの」を地で行く展開でした。球団と契約延長したとのことで、来シーズンも楽しみです。

シーズンオフのMLBで今最大の関心事は何と言ってもロスアンジェルス・エンジェルスをFAとなり、既に10月22日からエンジェルスも含む全球団が残留・移籍交渉可能でどこの球団が契約合意するか、史上最高の複数年5億ドルを超えると予想されている契約金を含めてどのような契約条件になるかということです。

二刀流容認の条件は当然として。現状チーム力または近い将来的にプレーオフ、ワールドシリーズ進出が確実視または十分狙えるチーム、資金力が潤沢なチーム、住み慣れた西海岸のチームなど噂と憶測が絶えませんが、義理堅くエンジェルス残留の可能性も含めてどのような展開と結末になるか目が離せません。彼自身が持てる力をフルに発揮して、大好きな野球を思う存分楽しめる球団と契約合意できることを切に願います。
他にもテニス、サッカー、フットボール、バスケットボール、アイスホッケーなどの各種スポーツやそれ以外の政治、経済、社会の話題など数々ありますが、今回は野球のみにして本題に移ります。
今月のテーマは「中東から広がる新たな火種」です。
皆さんも毎日のニュース報道でご存知のように、先月10月7日早朝に突然反イスラエルを掲げるイスラム武装組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区であるガザ地区からロケット攻撃を皮切りに陸海空の3面からイスラエルを奇襲攻撃。陸上部隊は折から国家祝日の最終日を祝っていた音楽イベントに参集していた民間人と近隣住民を急襲し、イスラエル側発表では当日だけで1,400人以上が死亡、米人や外国人を含む240人以上が人質として連れ去られ、イスラエル側で前例のない過去最大の犠牲者を出しました。イスラエルは周辺の反イスラエル武装組織の動きには極めて敏感で常に諜報活動による情報収集と警戒を怠らない態勢が確立していたはずでしたが、今回はイスラエル国防軍も常時連携協力している米軍関係部署も事前の情報入手と警告がなく、全く無防備に近い状態で奇襲を受けた形となり、多数の犠牲者となってしまいました。理由の一つとしては以前の本欄でも触れましたが、イスラエルのネタニヤフ首相が三権分立の司法機関である最高裁が行政の行き過ぎを制限・制約する司法権限を弱め、首相と政権の行政権を強化して政治運営を思い通りにやり易くしようと画策する動きに反発した反対派デモやゼネストに国防軍関係者や予備役も参加したりして、国家の安全保障態勢と能力に悪影響する恐れがあると指摘されていた矢先の出来事でした。ハマス関係者が「奇襲直後のイスラエル側の対応が予想よりゆるく遅かったのに驚いた。」とコメントしたと伝えられたことからもイスラエル国防軍の脇が甘く警戒がゆるくなっていたところに付け入られ、隙を突かれたと言えそうです。

人質解放とハマス撃退・殲滅(せんめつ)を掲げるイスラエル政府と国防軍は直ちに反撃計画と戦時特別内閣を編成し10日からロケット弾、ドローンを使ってガザ地区のハマス拠点を狙って空爆。その後地上軍派兵も始めましたが、ハマスは以前から構築し、ガザ地区に張り巡らしている地下トンネルに人質を盾として隠れ移動しながら抵抗し続けているため、ハマス要人や武装組織関係者だけを狙い撃ちできず、無理矢理攻撃すれば人質や民間人の犠牲も避けられないことが最大の難関となっています。米国政府はイスラエルに対して「揺るぎないサポート」を繰り返し明言し、ハマス攻撃停止を要求していませんでしたが、いまだに230人を超える人質が解放されておらず安否すら分からない状況にサンクスギビング休暇前に人質の家族が即時解放を求めてネタニヤフ首相と直接談判したり、支援する人道主義グループを中心にして即時攻撃停止、人質解放を求める声がますます大きくなり、世界中で反イスラエルが反米に飛び火しつつある状況にイスラエルとハマス間の一時攻撃停止・人質解放交渉を急遽進めざるを得ない事態となり、本原稿作成時の時点で人質を解放すれば攻撃を4〜5日停止する妥協案が可能性として浮かび上がっていました。人質の家族にとってはハマス攻撃よりも人質解放が最優先ですので、何とか交渉が合意成立して人質が1日でも早く全員無事に解放されることを切に願います。

今回の事の発端は常に政情不安、社会不安を抱えている「中東の火薬庫」レバノン発ではないですが、米国の肩入れで強引に実現した1948年のイスラエル建国以来長年続くパレスチナ難民問題、ユダヤ人とパレスチナ人の対立、反イスラエル武装組織の誕生と活発化、イスラエルとアラブ諸国の関係、西側諸国やロシア他国外からの介入など石油利権や原油相場絡みもあり諸々の要素が複雑に絡み合って正確に理解するだけでも大変ですが、関係諸国・グループを八方丸く収めるWIN―WINの和平交渉・合意は気の遠くなるような難作業で実現は到底不可能と思えてしまいます。「憎しみは憎しみだけしか生まない」と言いますが、たとえハマス他武装派組織の直接戦闘員を殺傷・無力化してもその家族や友人、巻き添えで犠牲になった民間人の家族などが反イスラエル、反米になる可能性は大きく、憎しみの連鎖は永遠に続く気がします。特に地球上からイスラエル国家の消滅とユダヤ人の一掃を究極の目的・目標に掲げているハマスと今回のような悲劇が2度と起こらないように国民感情に配慮してハマス殲滅を目指すイスラエルが一時的に停戦合意することはあっても永続的、恒久的な停戦・和平合意に至ることは絶対にあり得ないため、どちらか一方(あるいは両方)が消滅するまでこの戦いは続くでしょう。

加えて米国でも近年顕著になり、年明け以降各地で増加の傾向があった反ユダヤ主義の動きが今回の出来事を契機に、ハマスが拉致した人質の即時解放を求める拉致家族とその支持層の抗議集会・デモ、イスラエル国防軍のハマス攻撃の犠牲になっているパレスチナ民間人を救えと即時攻撃停止を求める人道主義グループ、パレスチナ支持派が大都市圏や地方都市の街頭だけでなく大学キャンパス他人種が入り混じるあらゆる場所でユダヤ人擁護派、イスラエル支持派と衝突して何倍にも急増しており、今や世界中に広がる一大事となっています。来年の大統領選挙、通常選挙に向けて高齢を懸念する若者層や黒人、ラテン系有権者の支持率が低下しているバイデン大統領と民主党政権にとっては極めて難しい局面になっており逆風が強まっていますが、万一トランプが共和党の正式指名候補者となり、次期大統領に当選したりしたら、今直面している問題が更に深刻化し、彼の自分勝手な判断と強引な言動で新たな問題が多発して米国内だけでなく世界中で目も当てられない大惨事となります。

「中東から広がる新たな火種」がこれ以上燃え広がらずに沈静化し、絶対にそんな事態にならない事を祈りながら、筆を置くことにします。では、皆さん年内残りのひと月を安全・無事に過ごされ、良い新年(辰年)をお迎えください。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第247回:米国議会「混乱の秋の陣」

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秋のお彼岸も過ぎてデトロイト周辺では朝晩涼しい日が増えてきました。先月末の中秋の名月は当地では『実りの秋』『収穫の秋』を象徴するハーベスト・ムーンと呼ばれ、天気さえ良ければ澄んだ夜空に大きめの満月がクッキリと浮かんで見えるはずでしたが、残念ながら当日は生憎の曇り空でかないませんでした。日本の留守宅がある愛知県のお隣、岐阜県の岐阜市では雲一つない夜空で有名な岐阜城に大きな満月が掛かる美しい光景が見られたそうです。中秋の名月の思い出といえば、子どもの頃東京の自宅の2階の引き窓を大きく開けて窓際にススキや縁起物と月見団子をお供えして爽やかな秋風を肌に感じながら家族でお月さんを拝んだ記憶があります。子ども心には中秋の名月よりも翌日お下がりの月見団子を煮て砂糖醤油で甘辛に味付けしたおやつの方が楽しみでしたが(笑)「花より団子」ならぬ「月より団子」ですね。

秋といえば、食欲の秋、読書の秋、紅葉の秋、スポーツの秋など人それぞれ様々な秋の楽しみがありますが、スポーツの世界ではプロ野球のレギュラーシーズンが終わり、日本ではCS(クライマックス・シリーズ)から日本シリーズへ、米国ではワイルドカードを含めた地区シリーズ、地区決勝戦、リーグ優勝決定戦、ワールドシリーズまでひと月ほどプレーオフが続きます。大谷選手所属のロスアンジェルス・エンジェルスは今年もまたプレーオフ進出なりませんでしたが、今年はどのチームのどの選手がミスター・オクトーバーと呼ばれるヒーローになるでしょうか?-個人的には興味が薄れましたが、例年行事としてフォローすることになりそうです。契約更改か移籍か?-二刀流の完全復活なるか?-右肘の怪我、手術と右脇腹の損傷、治療で不本意ながら一足早くシーズン終了となった大谷選手の去就にも再び注目です。
プロ野球がクライマックスに向かう一方、アメフトではカレッジ、プロともにシーズンが本格化。カレッジでは出だし好調のミシガン大学が今年も大学選手権に出場できるか?に加えて、NFLで長年名前負けして牙の抜けたような不甲斐ない成績だったデトロイト・ライオンズがシーズン開幕戦で牙をむいて毎年優勝候補のカンサスシティー・チーフスを破る大番狂わせを演じ、2戦目は延長戦の末敗れましたが、3、4戦目と連勝し、先月末時点で3勝1敗の好スタート。今年はQB他補強に成功した攻撃陣の得点力が大幅に向上し、毎試合20点以上を挙げています。野球、バスケ、アイスホッケーと地元プロチームが近年軒並み不振の中でこの秋冬唯一希望の光が差しているライオンズのゲームに注目することになりそうです。
他にも現在フランスで開催中のラグビーワールドカップでの日本代表チームの戦いぶりや欧州プロサッカーリーグでの日本人選手の活躍、来年のパリオリンピック出場資格を賭けた各種競技の予選を兼ねた国際大会など盛り沢山です。私もインドアテニスで冬場の運動不足を緩和(解消とまではいきません)しながら、見るスポーツも続けたいと思います。
もう一つどうしても触れておきたいスポーツの話題があります。今月上旬まで中国杭州で開催されていたアジア大会の競泳女子50Mバタフライ決勝で池江璃花子選手が銅メダルを獲得したことです。同大会競泳女子で新たに6冠に輝いた中国選手が「池江選手がプールにいることが奇跡。彼女は私たちの誰にとっても励ましなのです。」とコメントし表彰式後に池江選手と抱き合い、二人とも涙したニュースを読んでこちらももらい泣きしそうになりました。皆さんもご記憶のごとく、池江選手は2018年8月のジャカルタアジア大会(当時18歳)競泳女子で6冠に輝くと同時に大会MVPを獲得。世界選手権などの国際大会も含めて『10代のスーパースター』としてどこまで記録を伸ばせるか?-2020年(コロナの影響で翌年に延期)母国日本で開催の東京オリンピックの最有力メダル候補者として何個メダルを取れるか?-大いに期待され世界の注目を集めていましたが、オリンピックに向けて2019年1月にオーストラリアで強化合宿中に体調不良で急遽帰国。精密検査の結果白血病と診断され、予定されていたすべての競技会への参加を取り止めて療養に専念。選手生命継続や競技復帰の可能性が悲観視される中、最善の治療とリハビリを通して実際に経験した本人にしか分からない過酷な闘病生活を送り心身の苦痛を克服して2020年8月約1年半ぶりに公式競技会に出場し現役復帰。復帰後も記録は闘病前のレベルに戻らず、東京オリンピックは諦め、その次のパリオリンピックを目指すことにして現在に至っています。今回の個人銅メダルは金メダル以上の輝きと価値のあるものと言えます。(拍手)
余談ですが、池江選手のバイオを見ると東京都江戸川区の出身で2000年7月4日(米国独立記念日)に自宅の風呂場にて水中出産で生まれ、3歳から中学1年まで私の甥もしばらくお世話になった東京ドルフィンクラブ江戸川スイミングスクールに通っていたとのことで、私の生家が江戸川区で風呂屋を経営していたこともあり、勝手ながら他人とは思えない不思議な縁を感じています。(閑話休題)
では、今月のテーマ『米国議会「混乱の秋の陣」』に筆を移します。
先月末まで皆さんもどうなることかと思いながらTVニュースやメディア報道を気にされていたガバメント・シャットダウン(政府機関閉鎖)が時間切れ寸前ギリギリのタイミングで何とか回避されました。その最新情報を確認した上でこの原稿をまとめようと思っていたので、締切り当日までシャットダウンは避けられない雰囲気でイライラが募りました。トランプ政権時代にも一度あったシャットダウンがまた発生するという緊急事態にもかかわらず、下院の小委員会ではバイデン大統領の次男であるハンター・バイデン絡みで大統領自身が不正に金銭を受け取っていた疑いがあると具体的な証拠もなく呑気に無用な弾劾調査が始まり、一般米人国民や我々部外者でも「真面目に議員の仕事をしろよ!」と叫びたくなる有様でした。
議案提出・審議・可決した予算案を上院に回さないといけない下院の過半数を占める共和党内部の内輪揉め、ゴタゴタが最大の原因ですが、そのせいで原稿作業が遅れてしまいました。

フロリダ選出のマット・ゲーツ下院議員を最先鋒にトランプ支持の極右保守強硬派がマッカーシー下院議長や下院共和党保守主流派と全く折り合いがつかず、元々5月にバイデン大統領とマッカーシー議長の間で基本合意していた今後2年間は現状の予算総枠を超えない範囲に留めるという基本線に沿って民主党とも事前すり合わせができていた共和党作成の基本予算案があったにもかかわらず、民主党と協力して予算案を可決通過したらマッカーシー議長の不信任案を提出し議長退任を要求すると強硬派から脅かされ、結局その予算案は日の目を見ず、トランプ元大統領からはバイデン政権と民主党のせいにしてシャットダウンしろとか、予算を通過させるならトランプの犯罪調査に使われる予算を削れとか横槍が入り、元々議長の器でなく議長選挙時に15回目の投票でようやくお情けで選ばれた形のマッカーシーは大物ぶって表向きは強がった態度ですが、議長としての実力、取りまとめ能力、リーダーシップがなく本気で尊敬する仲間もおらず、 トランプやゲーツや保守主流派から何か言われるたびに動揺してあっちへフラフラ、こっちへフラフラとその場凌ぎの対応に走り、民主党との交渉・話し合いの方が共和党内のそれより優しいと本音を漏らしたりしましたが、内輪揉めで党内の誰かを批判すると自分の議長としての立場が危うくなるので、結局5月のバイデン大統領との基本合意を反故(ほご)にしてウクライナ支援追加予算などを外してシャットダウン回避に必要な45日間喰いつなげる最低限の新たな緊急繋ぎ予算案を提出・審議し、ウクライナ支援継続を強く望む民主党も仕方なく一旦妥協して可決し、上院審議に回しました。原稿作成時点で上院での審議も直ぐに始まり、9/30 (土)深夜の時間切れ数時間前に可決してバイデン大統領のデスクに送られ承認を待つだけとなりました。下院での審議中に民主党の1議員が審議遅延を目論んで故意か単なる不注意か分かりませんが、火災報知器を作動させてしまう騒ぎのおまけ付きでした。

この緊急繋ぎ予算も最終的なものではなく45日間しか食いつなげないため、11月半ばまでに追加予算の必要があり、また下院でドタバタもうひと騒ぎもふた騒ぎもあるのは容易に想像できます。先月ウクライナのゼレンスキー大統領がわざわざ来米して国連や米国議会で演説し、今までの各国からの軍事的、経済的支援に感謝すると同時に独立国家の存続と民主主義維持のための国際協力・支援継続を懇願したにもかかわらず、この結果には同大統領始め全ウクライナ国民はさぞかし落胆していることでしょう。ウクライナ側の反撃・反攻が先細りしそうなこの機に付け入って、プーチンの命を受けてロシア軍が再びウクライナ侵攻を強め、民間人の犠牲者、重要施設の被害が更に増える懸念も大いにあります。

他にもメキシコとの国境を超えて合法・違法の移民希望者が中南米からメキシコ経由で大挙して米国側に押し寄せ、国境を挟むテキサス州やアリゾナ州だけでなく移民を暫定的に移送・受け入れるニューヨーク市などがパンク状態となっている実情や全米各地で頻発している小売チェーン店への計画的集団強奪事件、銃撃事件、暴力事件、地球温暖化に対する環境保護が間に合わず頻度と規模が増すばかりの自然災害、連邦及び州単位での妊娠中絶合法・非合法の判断、先端A I技術の弊害・犯罪行為抑止のための規制立法化可否、トランプ一味の犯罪絡みの連邦及び州単位の起訴及び訴訟案件、中国との政治的・経済的関係悪化、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発問題など頭の痛い問題が山積みでまともな思考と話し合いができる2大政党でも国際平和と安全保障、国民のための議会運営、政策実施が大変な状況にもかかわらず、自分個人の利権・野望や好き嫌いで根拠のない屁理屈や偽情報、誤情報を使って国民を惑わせ扇動し、誹謗中傷、時には暴力容認で政敵潰しにヤッキとなって過激な言動に走っている一部の共和党極右保守強硬派の存在が大きな障害となっています。彼らの選挙区の有権者はこの状況を一体どのように思っているのでしょうか?-自分たちが安心できる日常生活や住み良い社会を目指すのではなく、百害あって一利もないガバメントシャットダウンや国民には何の得もない事実無根の大統領弾劾を平気でゴリ押しするような政治家を選んで議会に送り込んだのでしょうか?次の選挙でもまた同じ候補者か似たような候補者に投票するのでしょうか?-私には到底理解できません。

そんなこんなで米国議会は今後も引き続き混乱を極め、来年11月の次期大統領選挙と上下院議員他主要州知事・市長・要職選挙に向けて民主・共和両党の候補者予備選挙、正式指名本選挙、トランプ関連訴訟の行方など2023年「混乱する秋の陣」は両党および複数のならず者集団が入り乱れてしっちゃかめっちゃかの争いになりそうです。どうかまともな常識と判断力、実行力のある政治家と有権者が最終的に多数を占め勝利を収められますように祈るばかりです。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第245回:2023年夏の非日常性

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2023年夏の非日常性

9月になりました。ミシガンでは過ぎゆく夏を惜しむように近くでセミが儚い鳴き声を奏でています。日本で9月1日は『防災の日』。今年は10万人以上の犠牲者を出した関東大震災からまる100年。地震国日本では悲しい過去の教訓を活かして大都市直下型地震に備えて何がどこまで準備出来ているか?気になるところです。最近頻繁に耳にする線状降雨帯による突発的な局地的大雨や夏から秋にかけての台風による暴風雨、洪水、冠水・浸水によるインフラの機能不全、交通網の切断、建物の崩壊、生活物資の枯渇などが同時発生する複合型大規模災害にも備えなければなりません。

先月ハワイのマウイ島で起きた突然の山火事による悲惨な死傷者の数と甚大な被害、南カリフォルニア一帯で起きた史上初の熱帯性サイクロン『ヒラリー』来襲に伴う同州史上最大の大雨と洪水や鉄砲水、土砂流に地震が重なった災害例もあり、念には念を入れて可能な限りの準備が必要不可欠です。

マウイ島の山火事の場合、115人以上の犠牲者、2,200棟以上の建物被害が出ていますが、数年前から山火事発生リスクと発生時の緊急対応策の不備が指摘されていたにもかかわらず、サイレンなど事前警告、緊急連絡なし。折りからの強風に煽られて1分間に60マイルのスピードで火の手が広がり、住民や観光客は何もなす術(すべ)なし。車で逃げようとした多くの人たちが火の手と濃い煙に行く手を遮られ、逃げ道がなくなり車内で焼死すると言う悲劇。間一髪かろうじて助かった人たちは貴重品を持ち出す暇もなく家を飛び出し、陸地で安全な場所がなかったため海に飛び込み、火勢と化学品が燃える毒煙が収まるまで首まで浸かってやり過ごして一命を取り留めたとのこと。

また、先月末南アフリカ共和国の首都ヨハネスブルグ中心部で深夜にビル火災が発生。現時点で74人死亡確認、50名以上がケガとの報道ですが、まだ増える見込みとのこと。南アでは所有者が放棄したビルをギャングや不審なグループが不法に乗っ取り外国からの移民や経済力がなくまともな住環境に住めない南ア人に安くリースしているケースが多いとのことで、運悪くほとんどの住人が就寝中の夜中の1時半ごろに下層階から出火。こんなことで命を落とされた方々が本当にお気の毒です。マウイ島や南カリフォルニアでの犠牲者の方々と合わせて心よりお悔やみ申し上げます。(合掌)

政治・国際関係では、ロシア支援目的の民間軍事会社ワグナーグループの創設者でありリーダーであったブリゴジン氏所有の小型機が先月下旬ロシア国内モスクワ近郊で墜落炎上。搭乗者名簿にブリゴジン氏の名前もあり、国際機関は現地に立ち入れないため100%確認できませんが、周辺情報から見ても事実として間違いないようです。墜落原因は明らかになっていませんが、機体・部品の不具合による事故説や同機内爆破または爆発事故、プーチンの命を受けた外部からの攻撃・暗殺説などが入り乱れています。米国や西側諸国からは多くの驚きの声と反応がありましたが、情報通の反応はむしろ冷ややかで政敵や裏切り者に対して毒殺や事故死に見せかけた暗殺を常套手段としているプーチンが丁度2ヶ月前にモスクワに向けてワグナー軍隊を進めてプーチンの顔に泥を塗り、彼の強大な国内統率力を揺さぶったブリゴジン氏を2ヶ月間も自由にさせていたことにむしろ驚いているようです。一説では、ブリゴジン氏を国家反逆者、裏切り者と断定、懲罰宣言したものの、ワグナー部隊がモスクワ近郊やロシア国内・領内にいる間に暗殺計画を実行すると一般国民を巻き込んで造反・蜂起するリスクがあり、ワグナー部隊をベラルーシやアフリカなどに遠ざけてリスク回避した上で実行したとの見方もあるようです。

スポーツの話題では、先月『夏の甲子園』全国高校野球選手権が開催され、連覇を目指した仙台育英高校を抑えて慶應高校が107年ぶり2回目の優勝を飾りました。大学だけ慶應義塾に通った私も同じ義塾ファミリーの縁があり、嬉しいニュースでした。また、音量やスケールの大きさが良くも悪くも話題になった応援歌、応援スタイルも大学在学中に神宮球場で観戦した六大学野球の試合で使われ、自分も歌ったものと同じで懐かしく思いました。優勝おめでとう!!日本のプロ野球NPBは最終盤。セリーグは首位阪神タイガースが同じ岡田監督時代の2005年レギュラーシーズン優勝の再現なるか?パリーグはオリックス・バッファローズがリーグ3連覇に向けて独走中。CS(クライマックスシリーズ)も制して、このまま行けばタイガースとの頂上決戦で日本シリーズ連覇なるか?

米国MLBも終盤ですが、ア・リーグ東地区では予想外のボルチモア・オリオールズが今も首位をキープ。中地区はミネソタ・ツインズが頭一つ抜け出し、西地区はシアトル・マリナーズ、ヒューストン・アストロズ、テキサス・レンジャーズが三つ巴の大混戦。首位争いは最終盤までもつれそうです。ナ・リーグは東地区のアトランタ・ブレーブスと西地区のロスアンジェルス・ドジャースは盤石の首位。ミルウオーキー・ブルーワーズが首位の中地区だけが2位のシカゴ・カブスと僅差で逆転の可能性がわずかにあります。

大谷選手所属のロスアンジェルス・エンジェルスはプレーオフを目指して8月1日のトレード期限前に買い手に回って数人の選手をバンドエイド的にトレード補強したはずですが、皮肉にもトレード後に連敗が続きプレーオフは絶望的。二刀流で投打に獅子奮迅の働きを見せていた大谷選手も酷使による過労が祟って右肘靭帯損傷で残りシーズン登板なし。投手としての規定回数をクリア出来ず、8月までの偉大な数字は非公式の参考記録となり大変残念です。

本塁打王、打点王が狙える打者として継続出場・プレーを続けていますが、日本人の誇り、MLBの宝、世界中の夢と希望である彼をケガで台無しにしてはなりません。球団オーナー初め関係者の方々、彼をしっかり守ってやってください。お願いします!!

では、今月のテーマ『2023年夏の非日常性』に移ります。

年男であった昨年は大した事をやれませんでしたが、今年の夏は幾つか非日常性を実現・実行できました。

一つは、7月の独立記念日前後の3日間家内とシカゴに出掛けたのですが、米国に来てから初めてAMTRAKの列車に乗りました。日本の鉄道サービスと同じように期待をしてはいけないと思いながらアナーバーの駅に着くと特に改札口があるわけでもなく、プラットホームには停車位置表示も乗り場表示もなく、何処で待っていればいいのかはっきりしません。発着時刻も日本ほど正確でないと聞いていましたが、ほぼ定刻通りに出発。行きも帰りも4時間半から5時間弱の旅程で、途中停車駅にジャクソン、バトルクリーク、カラマズーなど20年近く前に住んでいた町や近隣の町が含まれていて見覚えのある建物や街路が垣間見れて懐かしく感じました。我々の座席はビジネスクラスで隣接する食堂車では軽食やスナックなどを車内販売していましたが、食べ物を扱う同じ車両の端部にトイレがあるのはいただけませんでした。

2005年までバトルクリークに住んでいた頃は車で時々シカゴまで出掛けましたが、メトロポリタンデトロイトからとなると更に遠くなるので、20年近くご無沙汰していましたが、シカゴでは一足先にニューヨークから現地入りしていた長女とその友達と合流し、湖畔や市内の公園や川沿いを散策したり、食事をしながらお喋りしたり、ホテルの室内プールで泳いだりしてゆっくり過ごしました。観光らしいことと言えば、ダウンタウンにあるミレニアム・パーク公園を訪ね、通称The Beanと呼ばれる大きな豆型で全面が鏡面になっていてさまざまな曲面に映る自分や周りの訪問客、風景を色々な角度から眺められる公共アート作品をしばらく眺めたり記念写真を撮ったりしたのとミシガン湖畔にある有名なシェッド水族館を見学に行ったことくらいです。シロクジラが数頭泳いでいる地下の巨大水槽で有名なシェッド水族館は通常営業を続けながら2027年の設立100年記念行事に向けて2017年から10年がかりの改造・拡張工事が段階的に進行中でした。まだ少し先の話ですが、完工したら再度訪問したいと思います。

二つ目の非日常性は、知人の紹介で知り先月半ばオークランド大学キャンパス内で開催されたミシガン・シニア・オリンピックのテニスイベントに参加したことです。シニア・オリンピックと言っても本大会は1年おきの開催で今年は本大会でもその予選選抜大会でもなく、単なるシニア大会で参加者数も少なく、参加者のスキルレベルも高くないことが分かりました。私は70−74歳エージ・グループの男子ダブルスとシングルスでプレーしましたが、結果はダブルスで金メダル、シングルスで銀メダルでした。凄い!と思われるかもしれませんが、初日のダブルスは同じエージ・グループの参加チームが2組だけで勝てば金メダル、負けても銀メダルでした。2日目のシングルスは参加者3 名で私は定常的にシングルスをプレーしている相手に初戦を落としましたが、1時間後に予定されていた2試合目は今にも雨が降りそうな雲行きの中で休んでいた相手が「雨で順延されたら明日は来れない。今からでもプレー出来るなら2セット先取ではなく10ポイント先取のスーパー・タイブレーク1セットマッチにしないか?」と提案がありOKして即試合開始。結果は10−4で私の勝ちとなり銀メダル獲得。負けた彼は銅メダルとなり雨が降り出す前に全てのイベント終了となりました。

三つ目の非日常性は、先月末からニューヨークで開催されている今年最後のテニスメジャー大会US Openを観戦に行ってきたことです。

ニューヨーク市在住の長女が平日暇な私だけ招待してくれた形ですが、私としては今回が2度目の現地観戦でした。初回は家族4人で行った1994年ですから何と29年ぶりでした。娘二人がそれぞれ11歳と9歳だった当時はルイ・アームストロングスタジアムが最大のスタジアムコートでしたが、ナンバーワンランクで大会第1 シードのピート・サンプラス選手がそこで行われた第4ラウンドの試合でノンシードのジェイミ・イザガ選手に敗れる番狂わせを生で目撃。この大会では女子シングルスはクリス・エバート選手、男子シングルスはアンドレ・アガシ選手とどちらも開催国である米国選手が優勝。アガシ選手はこの大会までに稼いだポイント不足でランキングが低く、ノンシードで出場し、結果的にオープン時代にノンシードで優勝した初の選手となり大きな話題となりました。引退した女子の伊達公子さんも当時現役でプレーしており、米国のリサ・レイモンド選手相手に勝った試合をコートサイドで観戦しました。試合終了後ファンがサインを求めて押し寄せ我々は無理かなと思いましたが、娘たちが「伊達さ〜ん!」と黄色い声を掛けたのが功を奏し、二人ともサインをもらえてラッキーでした。なお、アガシ選手はその後1995年に全豪オープン、1999 年に全仏オープンの男子シングルスで優勝し、1992年に優勝したウィンブルドンと合わせて米人男子選手では初の生涯グランドスラム達成。更に1990年のA T P 年間ツアー最終戦優勝と1996年アトランタオリンピックの金メダルを加えた史上唯一のスーパー・スラム達成者です。ここではとても書き切れませんが、奥さんが彼以上に凄いテニス歴と記録保持者のシュテフィ・グラフさんというウルトラ・スーパー テニス夫婦です。

日本選手男子シングルスではツアー復帰後痛めた左膝の回復が思わしくなかった錦織選手が大会前日に出場取り消し。西岡、ダニエル、綿貫、島袋の各選手もタフドローで1回戦敗退となり、残念。女子はシングルスで本戦出場者がなく、ダブルスで加藤未唯選手組がベスト16で敗退。残るはミックスダブルスの柴原瑛菜選手組のみ。少しでも先に勝ち進んで欲しいです。

日程の関係で残念ながら男子シングルス第1シードのカルロス・アルカラス選手の試合を見ることはできませんでしたが、今年は第1ラウンドから元グランドスラムチャンピオンの実力者や元トップ10プレーヤーがシード選手といきなり当たる好カードの試合がいくつかあり、一緒に行った娘や娘の友達と座席を確保しながら、あちこちコートを行ったり来たりしながらそれぞれ観たい試合を選びました。内容が残念な試合もありましたが、総じて好試合が多く十分楽しめました。初日の8/28(月)は昼・夜両方のセッションを朝の10時に会場入りして夜の11時過ぎまで観戦。2日目の8/29 (火)はデイセッションのみでしたが、また朝10時に会場入りして夜の7時半ごろまで観戦。連日長時間の観戦でしたが、苦になりませんでした。

ナイトセッションでは米国のココ・ガウフ選手の試合後にオープニングセレモニーがあり、今年は男女の賞金金額を同額にしてから50周年の記念すべき大会で、同額実現の最大の功労者であるビリー・ジーン・キング女史が最初に紹介され、次にオバマ元大統領夫人のミシェル・オバマ女史が特別ゲストとして登場し、いずれも大きな拍手を浴びていました。それまで不遇をかこっていた女子プロの待遇改善を実現した前者の功績はとてつもなく大きく彼女の後に続く何世代もの女子プロ選手がその恩恵に預かっており、感謝と称賛の声が途絶えることはありません。元ファーストレディーが登場した際には、男性客の一人が「ミシェル・フォー・プレジデント!」と大声で叫んでいました。その後でメインのジョコビッチ選手の試合が始まりましたが、あっさり2−0リードとなったところで会場を後にして娘のアパートに帰りました。45分ほどでアパートに着いた時点でスコアをチェックしたら、案の定ジョコビッチ選手が既に2セットアップ、3セット目も リードしていて程なく終わりました。

超久しぶりのUS Open観戦でしたが、大会開催前日にニューヨーク入りした午後には番外のサプライズで娘の大学時代のテニスチームメイト二人も合流して市内のパブリックコートで1時間ほどテニスに興じることができました。その夕方には同じメンバーにもう二人娘の友達が加わり下戸の私も含めてビルの屋上パブでおしゃべりした後、博多トントンで会食。美味しい料理の数々と楽しいおしゃべりで時の経つのも忘れ、私よりずっと若い女性たちのエネルギーを沢山もらい、気持ちだけでも若返った気分です。(笑)

ということで、先述の別件とともに、ともすればマンネリになりがちなミシガンでの日常生活を離れて非日常性を体験する貴重な機会と素晴らしい思い出を得られたことに感謝、感謝です。

皆さんも、もしマンネリ気味な毎日に埋没しているようでしたら、思い切って非日常性を体験する機会を作ってみてはいかがでしょうか?

追伸:先のサッカー女子W杯で世界を魅了した「なでしこジャパン」に続いて来年のパリ五輪出場権選考を兼ねたバスケットボールW杯2023で日本代表「アカツキジャパン」が見事自力で48年ぶりの出場権獲得の快挙!たとえ数行だけでも書かないわけにはいきません。おめでとうございます!! (拍手、拍手)

 

 

 

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第245回:真夏の夜の夢?それとも悪夢?

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全米を熱波が襲いミシガンでも最高気温が90度F台に達した7月が過ぎ、8月に入ってやや暑さが和らぎましたが、皆さんお変わりありませんでしょうか? 米国西部や南西部、南部の諸州やフロリダでは100度Fを超える日が連続30日から40日以上も続き、仕事にしても私生活にしても屋外作業や屋外活動が危険な暑さで死者が出るほどの悪条件で通常の日常生活が困難になっていました。

欧州や日本でも似たような状況でグローバルに見ても史上最も暑い7月でした。全米で最も暑い場所であるカリフォルニア州デス・バレーでは145度F前後、州境を挟んで近隣のリゾート地アリゾナ州ラスベガスでも115度Fにもなり、日中人影が見られない映像がニュースで流れていました。道路のアスファルト舗装は熱吸収して表面温度が熱湯に近い180度Fにも達することがあり、うっかり転んで手足をついたり、体の一部が触れたりするとかなりの火傷をすることになります。他の自然災害と同様に間違いなく地球温暖化の影響であることは間違いないですが、いまだに全世界が一致団結して効果的な温暖化防止・環境保護対策が取れていない現実から今後も発生地域、発生頻度、災害規模とも悪化の一途を辿ることが憂慮されています。地球の自然が破壊され、大袈裟でなく人類滅亡に向かってまっしぐらに進んでいるわけですが、私利私欲や政権・利権争い、金儲けに明け暮れる大国のリーダーや大富豪が相も変わらず環境破壊に繋がる政治・経済活動にひた走っており歯止めがかからず、一向に改善される兆しが見えません。

本当に“Time is up.”(時間切れ)になる前に限られた財源と人智を尽くして大国も中小国も一致協力して今直ぐ各国ができる有効な対策を取らねばならない時に、ロシア・プーチン政権の愚かなウクライナ侵略戦争、中国共産党政権の継続的な軍拡・覇権主義、北朝鮮の核兵器・ICBM(大陸間弾道ミサイル)開発、イスラエルの最高裁権限を弱体化し現政権の権限強化を憲法改正で立法化しようとする動き、米国内でのトランプ絡みの政治的・社会的混乱及びそれに関連する複数の犯罪捜査、起訴・訴訟手続きとその防衛・弁護手続き、悪行を懲りずにトランプの大統領復帰を偽情報とガセネタでゴリ押しする本人とその取り巻き、共和党・支持グループ、それを食い止めようと対抗策を講じるバイデン政権と民主党・支持グループなどが費やしている膨大な時間と巨額の軍事費、諸々の活動費用、選挙キャンペーン費用などなどアホらしいほど無駄な時間とお金、知恵(多くは悪知恵)を使い続けていて情けない限りです。同じ時間とお金、知恵を温暖化防止、環境保護対策に使っていたらと思うと極めて残念でなりません。

スポーツの話題です。最大の関心事の一つであったMLBロスアンジェルス・エンジェルス大谷選手の移籍問題が今シーズン中はなくなり、本人も愛着のあるチームをプレーオフに進出できるように投打でベストを尽くすことになりました。先月末デトロイトでタイガース相手に3連勝してプレーオフ出場のための最低限資格であるワイルドカード取得に3ゲーム差まで詰め寄りましたが、ワイルドカードを争う当面の敵トロント・ブルージェイズに直後のアウェイで1勝2敗と負け越して一歩後退。その後もアウェイでナ・リーグ東地区首位を独走中のアトランタ・ブレーブス、ホームに戻って同じくプレーオフを目指すシアトル・マリナーズとの対戦と厳しい戦いが続きます。これからが正念場で、負けていい試合は一つもありません。大谷選手だけでなくチームメート全員の奮起を期待します。

現在オーストラリア、ニュージーランドで共同開催中の女子サッカーワールドカップ大会でのなでしこジャパンの躍進に続いて、今月末にはニューヨークで今シーズン最後のテニスのメジャー大会U.S.Openが始まります。男子シングルスでは、昨年の大会でメジャー初優勝したスペインのアルカラス選手の連覇なるか?ジョコビッチ選手他の巻き返しなるか?ツアー復帰した錦織選手が元世界ランク4位のピーク時のプレーは無理としてもどこまでやれるか?など注目したいと思います。

では、今月のテーマ「真夏の夜の夢?それとも悪夢?」に移る前に少々目先を変えていつもと違う映画のお話をしたいと思います。

皆さんもこの数週間テレビ、ラジオのニュース、新聞やインターネットの記事・ブログ、宣伝広告などで何度も目にし、耳にしていると思いますが、先月末週に封切り以前から注目されていた二つの映画大作『バービー』と『オッペンハイマー』が全米及び海外の主な映画館で同時に封切られ大きな話題となっています。

複数のニュースソースによると(データ収集の方法、締切りのタイミングなどで若干数字は異なりますが)、米国内だけで封切り開始から最初の週末三日間でバービー人形を実写映画化した『バービー』はチケットの売り上げが$155ミリオン、米国初の核兵器開発国家プロジェクト『マンハッタン計画』の総責任者であり原爆の父と呼ばれた人物の栄光と悲劇を描いた『オッペンハイマー』は$80.5ミリオンを記録し、2作合計で$235.5ミリオンは史上最高金額。また2作とも$60ミリオン超えしたのは史上初とのこと。『バービー』は封切り後最初の5日間だけで$214ミリオン、グローバルでは同期間だけで$470ミリオンと5億ドル近くも稼いでおり$1ビリオン(10億ドル)に達するのは時間の問題です。本紙が発行される頃にはまず間違いなく達成していることでしょう。

『バービー』が観客の年齢指定・制限がない一方でR指定の『オッペンハイマー』の売り上げ数字は驚異的です。原作の素晴らしさに加えて監督が話題作の多いクリストファー・ノーランであったことと主演のキリアン・マーフィーを囲む共演者がマット・デーモン、ロバート・ダウニーJR、ラミ・マレックなど他のていたこともあると思います。

通常複数の大作が同じタイミングで封切られると観客の奪い合いになり、数字が制作・配給側が期待するほど伸びないことが良くありますが、この 2作は楽しさと幸せを売る明るい『バービー』に対しシリアスで重く暗い『オッペンハイマー』とストーリーの違いがあり、観客対象も前者は幅広い年齢層の女性・女子を中心に夏休みのファミリー向けであるのに対し、後者は核兵器開発とそれを取り巻く複雑な人間関係、陰謀、権力闘争がテーマでR指定の大人向けであり、両者の観客層の重なる部分が限定的であったため激しい奪い合いによる共倒れ現象が起きなかったものと思われます。逆に興行面で割りを食ったのが同時期に封切りされたトム・クルーズ主演のスパイ・アクション映画『ミッション・インポッシブル』最新作で、複数スクリーンの映画館では席数の少ない小さめのシアターを割り当てられチケット販売数も伸び悩んでトムが激怒していたとか。上記2作を興行面で上回ることは文字通りミッション・インポッシブルになってしまいました。 『バービー』の成功は複数・多層のメディア媒体を使った強力な宣伝広告、対象・潜在観客層へのマーケティング戦略が大いに功を奏したと言えるでしょう。家内と私も週末に『オッペンハイマー』を観に行ったのですが、昼前後や午後、夕方の時間帯は希望の席(通常最後列の真ん中辺り)が空いてなく、土曜日の朝10時の初回上映にしました。映画の講評に関しては私より家内の方が向いているので、ここでは割愛させていただきますが、我々日本人・日本側からではなく米国側の視点から見たストーリーとして考えさせられる点が多かったです。家内から『バービー』も観るか?と打診されましたが、私はご無礼させてもらいました。平日時間がない家内は一旦帰宅した後夕方出直して同じ日にハシゴで映画鑑賞してきました。封切り前には「バービーを実写映画化して何の意味があるのだろう?」と疑問視していましたが、実際に観てきた感想は「思っていたより良かった。話題になる理由が分かった。」とのことでした。(閑話休題)

では、本題に戻ります。

『真夏の夜の夢』と言うと古くはイギリスの小説家・戯曲家であるウィリアム・シェイクスピアの戯曲やドイツの作曲家フェリックス・メンデルスゾーンの演奏会用序曲(その中の結婚行進曲は結婚式で良く演奏されます)、日本の作詞・作曲家松任谷由実さんの同名曲などが知られています。

シェイクスピアの元の戯曲は登場人物が誰もユニークでテーマは男女の恋と結婚を巡る人間関係ですが、シェイクスピアらしい捻りと突飛な着想もあって横車や横恋慕、恋路を邪魔する古い親子のしきたり、それにあがらう駆け落ちなどの思わぬ展開があり簡単には行きませんが、紆余曲折を経て最後はハッピーエンドで収まるストーリーです。

この戯曲や上述の映画『バービー』の如く目下世間を騒がせている諸問題が一夜の楽しい夢の如く全てハッピーエンドに終わるといいのですが、プーチンを始めとする独裁者や専制君主の如きリーダーに扇動・洗脳され独立国家、民主主義、三権分立の尊重・維持を蔑ろにする連中が偽情報とガセネタを流し、白昼堂々と悪事を働き、でかい顔をしてのさばるような悪夢となるのか? 今から2024年の次期大統領選、上下院議員改選までが極めて重要な期間となります。

とにかく何が何でもトランプが次期大統領になることだけは避けなければなりません。万一2期目の当選・就任となったりしたら1期目以上の悪事、悪巧みをするのは間違いありません。1期目で散々大統領にあるまじき言動を繰り返し、国家のため国民のために政治活動を通じて奉仕する公僕としての責務は一切無視して私利私欲、自分の野望実現に走り、米国内の混乱、反目、抗争、分裂を招き、国際舞台で米国の信用・信頼失墜を招いた悪行を繰り返させてはなりません。既に州レベル、連邦レベルで2件の犯罪容疑で起訴され3件目の起訴も時間の問題になっており、本人も既定路線と腹を括っていますが、悪事を働いたという自覚や過ちを認め謝罪して言動を改めるという反省の色が全く見えません。

唯一反省していると思われる点は自分の悪事が内部告発や漏れた裏情報で世間にバレて批判・糾弾され、犯罪行為として捜査や起訴された失敗を繰り返さないように自分に100%忠誠を誓い彼のやりたいことを法を無視してでも手助けして実現する悪の集団を形成し、それに反対・妨害する者たちは本人及び家族への脅しや嫌がらせ、更には暴力を含むあらゆる手段を講じて封じ込め排除、抹殺する組織を作ること。万一バレても犯罪調査・起訴する司法当局の責任者、担当者を自分の息のかかったメンバーに入れ替え連邦最高裁や各州の最高裁判事も同様にして事実上の独裁政権を樹立することに注力すると思われます。大統領任期は2期までと決まっていますので、2期目在任中に1期目でなし得なかった我儘をやりたい放題やって後はどうなろうと知らん顔しておさらばするかもしれませんし、ひょっとすると中国の現政権を見習って3期目以降も継続できるように憲法改正までして任期の延長を企てるかもしれません。そんなことになったらまともな国民や常識ある人々にとって悪夢どころか生き地獄になります。冗談でもそんな事態にならないように慎重かつ綿密な防止策、対抗策を作成・実行しなくてはなりません。

トランプの数々の悪行を批判、非難する言葉も出尽くした感がありますが、子供の頃に親から「他人に弱みを見せるな」「ミスや悪いことをしても謝るな」と教え込まれ育てられ、自宅近くの教会の牧師からは自信をつける意味で「自分のやりたいことを言い続けていれば、実現するし周りが助けてくれる」というような暗示もあって、おもちゃ 売り場で欲しい物があると買ってくれと 大声で泣き喚いたり、床に転がって 手足をバタつかせたりしていたヤンチャ坊主がそのまま大きくなったような自制心が全く効かないトランプの我儘を「トランプだからしょうがない」と放任して好き放題させてきた代償が、彼を図に乗ってますます増長させ悪行が酷くなった結果が今のドタバタにつながっています。取り巻き連中も彼の集客力、集金力に魅力を感じて相乗り、悪ノリで権力を手に入れたり一儲けしようと企んで近付いてきたり資金援助や支援活動に精を出しています。

トランプとその取り巻きの悪の集団に騙され洗脳されていた人たちには、この機会に真実に目覚めて改心してもらうとともに、バイデン政権、民主党並びに良識・良心ある有権者の皆さんに歯を食いしばって頑張ってもらわねばなりません。真夏の夜の夢が悪夢ならないようにくれぐれもよろしくお願いします!

 

 

 

 

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第244回:パイオニア精神とリスク管理

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今年も半年過ぎ、下半期になりました。巷(ちまた)では、パンデミック前の数字を上回る人の動きがあるであろう独立記念日の連休があります。その後は落ち着きを取り戻すのではないかと思いますが、皆さん良い思い出をつくれるよう願っています。例年ならば、樹木や芝生の緑と多くの河川、湖沼、池に囲まれて屋外で気持ちよく過ごせるはずのミシガンですが、今年は北の方からカナダの山火事の煙と有害微粒子という招かざる客が訪れて想定外の邪魔をされています。カナダでは今年前半雨が少なく空気も山林も例年より乾燥しているため史上最悪という200件以上の大小の山火事が次々と発生しジェット気流や気圧の差でパスポートも無しに国境を越えて米国に侵入し世界最悪レベルの大気汚染をもたらしています。汚染レベルが酷い日には警報が発令され健康な人でも外出時にはコロナ対策にも使われたPM2.5以下の微粒子を除去可能なN95規格レベルのマスク着用が推奨されました。喘息など呼吸器系の疾患のある人は外出せず屋内で空調管理がきちんとされている環境で過ごすように注意報が出ていました。National Weather Service(米国気象局)の予想ではこの煙害は日によってレベルの上下はあるものの今夏中居座り、ミシガンの住民を悩ます厄介な存在であり続けるようです。カナダと国境を接するミネソタ、ウィスコンシン、イリノイ、ニューヨーク、ペンシルバニアなど複数の州でも同様の被害に遭っており、高いビルの上半分が霞んで見えなかったり、太陽がオレンジ色に見えたりする日もあり、文字通り『近所迷惑』となっています。地表に近い大気中のオゾン量が増加し、健康被害が予想されるオゾン・アクション・デーと合わせて、ミシガンの住人は毎日の天気予報・警報・注意報に気をつけなければなりません。では、スポーツの話題を少々。

先月号でも触れましたが、男子テニスの錦織選手が股関節手術、足首の捻挫による1年8ヶ月の戦線離脱から実戦に復活し休養明けワイルドカードで出場したプエルトリコでの初戦ATPチャレンジャートーナメントで5試合を戦い抜き見事優勝。休養中に保有ポイントを全て失い、ポイントなしでチャレンジャーイベントで優勝したのは彼が初めての快挙。本人もそこまで良いプレーができこの結果が出るとは期待していなかったと思うので、怪我から復活してテニスができた上に優勝した喜びはひとしおで自信もついたことでしょう。復活優勝おめでとう!!ビデオで一部プレーを観ましたが、打球の強度や鋭さはATPの最上位ツアーレベルには戻っていないにしてもエンドラインより後ろに下がらず、前で早いタイミングで打ち合う彼のプレースタイルは同じでしたし、コート上の動きやポジショニング、左右・前後に散らして相手を揺さぶるショットメーキングもかなりできていたので嬉しかったです。逆に一度相手に先に振られてぎりぎり間に合って打ち返した場面では、最後の一歩を思い切って踏み込めない感じがしましたが、復活初戦で無理して怪我が再発してはいけないと本能的に体が反応したのかもしれません。久しぶりの実戦でしかも5試合プレーしたのでかなり体に負荷がかかり疲労も溜まったと思いますが、今月3日から当地で開催予定の次戦チャレンジャーイベントCranbrook Tennis Classicでも怪我なく良いプレーができることを願っています。その翌週にはシカゴのトーナメントに出場とのことですので、今週、来週と会場近辺にお住まいでご興味とお時間のある方は是非応援に駆けつけてあげてください。もう一つスポーツの話題は、連日メディアを賑わしているMLBロスアンジェルス・エンジェルスの大谷選手です。6月に入ってから正に鬼のような活躍で先月中旬のア・リーグ週間MVPに選ばれ、日本人ではイチローさんと並ぶ最多5回目の受賞です。6月の投打にわたる超人的な数字の詳細は省きますが、ひょっとすると月間M V Pも取れるかな?と期待されます。今月初めのオールスターゲームにもDHとしてファン投票1位で選出され、同じくファン投票で選出された僚友マイク・トラウト選手と共に先発出場予定です。原稿作成時点で、今年はホームランダービーには出ないようですが、出て欲しい気持ちと出ないで欲しい気持ちが両方あります。今年はホームラン、打点でタイトルが狙えそうですし、ひょっとすると打率も加えて三冠王まで狙える可能性があるので、ホームランダービーで打撃フォームを崩して後半戦調子を落とさないように自重するのがベターと思います。オールスターゲームで再び二刀流で投打に活躍し、トラウト選手とホームラン揃い踏みのトラウタニ弾が観られれば最高ですね。

では、本題の「パイオニア精神とリスク管理」に移ります。

皆さんも既にご存じのように、先月下旬に突然入ったニュースで深海探索・開拓・観光事業会社のオーシャンゲート社保有の潜水艇タイタンが映画にもなった処女航海で氷山と接触・沈没し多くの犠牲者を出した豪華客船タイタニック号の沈没現場観光に向かって同社オーナーのストックトン・ラッシュ氏他計5名を乗せて潜水開始して間も無く交信が途絶え行方不明になってから数日後に爆縮(外側に向かって破裂する爆発ではなく、強大な外圧で内側に押しつぶされる現象)していたことが判明しました。行方不明が続いていた数日間、報道される残存酸素量が残り数日分から数十時間に刻々と減る中、米国他カナダ、フランスからも空と海の両面で捜査隊が出動する騒ぎになりましたが、最悪の結果になりました。犠牲者のご家族、ご友人、関係者の皆様に深くお悔やみ申し上げます。(合掌)後で分かった情報では米国沿岸警備隊の極秘水中音響探知機が潜水艇の出航開始数時間後に爆縮音を探知していたことが分かりましたが、軍事に関わる機密情報のためカナダの捜査隊指揮官とは情報共有したものの他から確認情報が入るまで一般公表を差し控えていたとのことで、タイタニック号の沈没現場に到着するかなり前に降下途中で遭難したようです。先月末のTVニュース報道では爆縮した潜水艇の残骸と思われる大きな部品(前部と後部の金属部品など)数個が回収され、原因究明が始まりました。また、おそらくミリセカンド(1000分の1秒)単位の瞬間に起きた凄まじい爆縮のため犠牲者の体は跡形もなく爆裂・飛散し遺体は残っていないようですが、乗員のものと思われるD NAが検知されたとのことで、本人確認は可能なようです。

原因究明にはまだまだ時間が掛かると思われますが、海洋専門家、潜水事業者、技術者、作業者など関係者や潜水経験者からのいくつかのコメントにある推測原因によりますと、潜水艇タイタンの船体中央部(前・後部は金属製)に使われたカーボンファイバー(炭素繊維)材は内圧には強いが外圧に対する強度は十分でなく、大きな外圧を受ける深海潜水艇には不向きというのがこの業界での共通認識になっている由。オーシャンゲート社のCEOで共同オーナーの一人であり今回の船長兼操縦士でもあったストックトン・ラッシュ氏は金属に代わる新素材としてのカーボンファイバーに対する思い入れが強く、それを用いた新技術・新構造の潜水艇を話題にしたかったようです。実際に4年前の2019年に既に完成していたタイタンの潜水試乗テストに立ち会ったホンジュラスに本社を持つ深海探索会社を運営するカール・スタンレー氏はテスト中に何かがひび割れるような大きな音(クラッキング・サウンド)を耳にし、テスト後直後にEメールで(書面で記録に残す意味だと思われます)ラッシュオーナー宛に「ひび割れ音がしたことは同潜水艇のある部位に何らかの問題か不具合があると示唆しており、それが何であるか分かるまでは専門家もそれが船体の機能にどのように影響するか言及できない。」と書き、更にラッシュオーナーが要望していた7回ではなく大幅に多い50回の潜水テストをするように要請せざるを得なかったとのことです。

しかしながら、この提案要請はラッシュCEOが実行すると思われていたテスト回数より厳しいものだったため、彼からの返事は「50回の潜水テスト提案は(強制ではなく)任意のもの。潜水専門家はオーシャンゲート社のタイタンに関する分析内容を知るすべを持っていないので、君の意見は自分だけに止めておくように。(要するに余計なことを喋らず黙っていろ!ということ)」とのつれないものだったようです。潜水艇の完成後既に4年が経過し、巨額の先行コストを回収し収益を上げて採算のとれる事業になるように早く商業化したい焦りと先にも述べたカーボンファイバーの潜水艇への実用化を話題にして世間の注目を集めたい強い願望が疑わしい問題点の確認、解決、安全第一の原理・原則を軽視して必要な回数の潜水テストを行わずに顧客を乗せた本番潜水実施に走らせた結果の悲劇のようです。新規事業のパイオニアやカリスマ的リーダーまたは新技術、新材料、新製品の発明家や天才と呼ばれる人たちに往々にして見られることですが、世間の常識や従来の枠組みに捉われず(時には無視して)誰も思いつかなかったアイデア、やったことのない新たな取り組みをして成功すれば天才、偉人として歴史に残り、失敗すればただの変人か狂人として扱われ見捨てられ、忘れ去られる身となります。「天才と狂人は紙一重」と言われますが、当時の主流であった天動説に対して地動説を唱えて狂人、罪人扱いされたガリレオ・ガリレイ(提唱者のコペルニクスは印刷発行用校正原稿完成前に他界して難を逃れました)を初め多くの天才たちが世間から狂人、変人扱いされたりしています。ラッシュオーナーCEOが天才だったかどうかは分かりませんが、起業家精神に溢れる新規事業のパイオニアであり自信と野心満々だったのでないかと想像します。自分の限られた経験も含めて自信と過信が紙一重のこともありますが、彼も自信が強かった分他人から批判されたり忠告されたりすると、余計にムキになって自分の考えを性急に推し進めようとしたのでないかと思われます。ご家族にはお気の毒ですが、Last nameが Rush(急いで突進する)だったのも皮肉な巡り合わせでした。

今回のケースや会社経営、事業運営にも共通することですが、会社やグループのリーダーたる者は自分のエゴから野心や欲望、願望の実現にガムシャラに走るのではなく、第三者的視点から冷静に実現するためにはどのようなリスクがどの程度あり、それを予め回避したり解決してから進める方法はないか?と事前に調査、確認、分析して、もしリスクが現実化して問題が発生した場合でも実現可能な解決方法をできれば一つではなく複数準備しておくのが理想です。「そんな理想通り行けば誰も苦労しないよ。」と仰る方もおられると思いますが、少なくとも最善の努力をしないといけないと思います。特に今回のように問題が発生したら人命に関わるとか、取り返しがつかない、やり直しが効かない、解決不可能という場合は尚更です。アカデミー賞他数多くの賞を受賞した大作映画タイタニックの制作・監督をしたジェームズ・キャメロン監督が今回の件でTVインタビューされた際に言っていましたが、「不運にもタイタニックと同じ場所で事故が起きてしまった。避けられる事故だったと思うので非常に残念。自分自身も何十回も他の潜水艇に乗り込んで潜水した経験があるが、潜水する度にここで何か問題があったら誰も助けられないな、助けは来ないな。」と思ったとのこと。経験者の偽らざる実感と感想だと思います。今回の事故はパイオニア精神溢れるラッシュオーナーCEOのエゴと野心が優ってしまい、専門家の意見、警鐘を無視して慎重なリスク管理を怠った悲しい結果だと思います。

話は少し変わりますが、最近は電子ゲーム普及の影響なのか、ゲーム感覚で現実の仕事や私生活に向き合い軽薄な発言、無責任な行動をする人が多くなりました。ゲームならば、ゲームオーバーになってもまたリスタートしてやり直し可能ですが、実際のビジネスや実生活はそうはいきません。人命が失われるのは最悪ですが、歴史的な遺物・遺跡、建造物や創作物、文化、古典芸能なども再現、再制作、修復不可能なものが山ほどあります。今回ラッシュオーナーCEOがゲーム感覚で行動したとは言いませんが、冷静な自己コントロールと慎重なリスク管理ができず尊い命を犠牲にしてしまったのは大変残念です。

大小の規模に関係なく、現在会社や団体・グループのリーダーの立場にある方、将来リーダーを目指している方、なる可能性のある方には、クリエイティブなアイデアを発想・実現するパイオニア精神も大事ですが、リスク管理を決して無視したり軽視したりしないようにこの場を借りて、切にお願い致します。

追記:この事故の直後に、ロシアのために長年シリアやアフガニスタンで代理戦争を戦い、その存在価値と影響力を強めていた民間軍事会社ワグナー(またはワグネル)グループのプリゴジン氏率いる私設軍隊がロシア南部ロストフ他2都市の空港及び軍事施設を占拠。戦車や陸送トラックを含む武装部隊はロシア正規軍の抵抗もなく首都モスクワまで二百数十マイルまで進軍しプーチン政権に反抗する内乱か武装蜂起か、はたまた政権転覆を図るクーデターか?と米国初め西側諸国は突然の事態にとりあえず静観の態度で注視し、少なくとも米国や西側諸国はこの一件に一切関与しておらずロシア国内独自に起きた出来事であることのみ明言していました。その後の展開で、ベラルーシのルカシェンコ大統領の仲介・説得でワグナーグループは進軍を止め、部隊は踵(きびす)を翻して帰還するか一部ロシア正規軍に包含・従属する手続きがなされ、身の危険を感じて数日姿を見せなかったプーチン大統領が政見発表し、珍しく街頭に出て一般国民とも直接握手したり、支持者にキスまでして触れ合う映像を意識的に流したりして、一旦政情不安は収まったように表面上は取り繕っていましたが、米国CIAやロシアの反プーチン政権活動グループからの極秘情報によれば、ワグナーグループリーダーのプリゴジン氏は進軍停止を仲介・説得したベラルーシのルカチェンコ大統領の元に亡命したという噂はあるものの実際の移動実績や姿が確認できておらず、安否が分かりません。ロシア側ではプーチン大統領から反逆者としてプリゴジン氏の暗殺命令が出ているとの尤もらしい情報もあります。また、ロシア正規軍の前ウクライナ攻撃作戦の総指揮官で事件当時は副総指揮官であったセルゲイ・スロビキン将軍もワグナーグループのVIPメンバーとして以前から登録されていた秘密文書が明るみに出て大統領周辺や主催行事に姿を見せず、同じく安否が気遣われています。他にも数十名ロシア軍幹部の名前も含まれているようで舞台裏でプーチンお得意の暗殺・粛清の嵐が吹きまくっている可能性も大いにあります。

更にその後先月末ぎりぎりに米国最高裁が先の中絶手術や中絶促進剤は違法との判断に続き、ハーバード大学やノースカロライナ大学など有名な入学難関校が国のAffirmative Actions政策に従って黒人優先の入学許可を出しているのは逆人種差別で憲法違反であるという訴えに対して、訴え通り憲法違反であると判断。更にまたバイデン大統領と民主党政権が前回中間選挙と次期大統領選、上下院議員選挙を睨んで目玉としていた学生ローンの返済免除・猶予(借入金額によって一定額まで返済免除または猶予)の政策に対して、本来議会が立案・決定すべき国家予算であり大統領が議会承認なく勝手に政策を打ち出すのは越権行為であり違憲と判断を下し、共和党保守派やクリスチャン、保守支持層は大歓迎、民主党急進派・中道派やその支持層は猛反対と国を二分する議論の嵐が弾き荒れています。もう一つおまけに、コロラド州の法廷で争われていた同性カップルが依頼したウェブデザイン制作を業者が宗教上の理由で拒否した一件も拒否は憲法が保障する表現の自由に当たり、差別を禁止したコロラド州法でそれを制限することはできないとの判断を下し、現最高裁の判事構成が保守対リベラル=6:3になっている現状をそのまま反映しリベラルな流れに激しく逆行する超保守派の政治的判断が続いています。

バイデン大統領と民主党政権は直ちに善後策の検討に入っていますが、この最高裁判断が今後の政局と次期大統領選、上下院選挙にどのように影響するか目が離せません。とても紙面と時間が足りませんので、これにて御免。ご容赦願います。

 

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第243回:若者よ(年寄りも)、外へ出よう!

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喧喧諤諤 ケンケンガクガク
喧喧諤諤

メモリアルデーも過ぎて、新緑が日毎に濃い緑に移りゆく6月となりました。ミシガンの作農家や家庭菜園を趣味にしている人たちの間では、メモリアルデーが過ぎるまでは畑の本格的な種まきや屋内で育てた苗や苗木の屋外への植え替えはしないように言われているようです。メモリアルデー前に暖かい日が続いていても突然遅霜が降りてせっかく撒いた種や苗木がわずか1日でダメになってしまうことがあるのでその戒めのようですが、さすがにもう冬将軍が顔を出す場面はなかろうと我が家もコタツを片付け、自宅の外回りの水栓を開けて庭の水撒き、草木への水やりもできるようにしました。芝生の緑も色濃くなり、これからは小まめに芝刈りをしないとたちまち伸び過ぎて一旦倒れたら芝刈り機があっても面倒なことになります。幸いコンドミニアム住まいの我が家は管理事務所の契約業者がやってくれますが、晴れて心地良いそよ風が吹き込む日に窓を開けて風を入れていると突然芝刈りが始まって慌てて窓を閉めることがままあります。まあ、天気が悪いと芝刈りができないので、当然と言えば当然ですが、日本で良く窓を開けて外の新鮮な空気を入れていた名残で欲を言えばキリがないですね。

初夏の到来に合わせて、適度な運動と趣味として歳を取っても続けられ、それなりに楽しめるテニスもインドアからアウトドアに移りますが、先月5月はNational Tennis MonthということでUSTA(全米テニス協会)やローカルのテニス団体・グループがテニス普及のためのイベントを全米各地で催していたようです。当地メトロポリタン・デトロイト地区でも初心者・初級者のキッズ向けイベントが開催され、私もたまたまテニスグループのネットワークがらみでボランティアの誘いを受け、5/13と5/20の土曜日に会場のベル・アイル・パークとデトロイト大学マーシー校でにわかコーチとしてお手伝いしてきました。参加者はどちらも15名から20名前後とやや寂しかったですが、通常のテニスボールではなく、初心者用の空気圧が低く余り弾まない赤・黄2色混じりのソフトテニスボールとミニラケットを使ってハーフコート、背丈の低いミニネットを挟んで少人数のグループに分かれて各種の簡単な練習ドリルを実施しました。参加した子どもたちのスキルレベルはまちまちでしたが、レベルに関わらず一生懸命にボールを打ち返そうとするので、こちらもあちこちに飛んでくるボールを追い掛けてできるだけラリーが続くように奮闘し、褒め言葉、励ましの言葉を混ぜながらあっという間に2時間ほど時間が過ぎました。参加した子どもたちも引率の保護者の皆さんも喜んでくれ、これからもテニスに興味を持ち、プレーを続けて(または続けさせて)くれることを願いながら家路につきました。今回が初めての経験でしたが、私も子どもたちから元気とエネルギーをもらい、良いひと時となりました。機会があれば今後も続けたいと思います。(感謝)

イベントの事前手続きで一つ驚いたことは、USTA認可・後援の公式イベントであったため、ボランティアコーチにも事前登録、事前オンライン・トレーニング、バックグラウンド・チェックが必須でそれにかなり時間が掛かったことです。米国在住の外国人である私は運転免許証の他にパスポートのコピーまでオンラインでアップロードした個人情報を使って犯罪歴、不法薬物摂取歴などがないかチェックされ問題なしと確認された上で1年間有効の承認番号が付与され参加OKとなりました。事前オンライン・トレーニングは技術的なことでなく未成年者向けセクハラ、パワハラ、いじめ防止目的の内容が主でビデオやイラストを用いて具体的な事例を挙げてそれぞれのケースで担当・管理機関への事件発生報告義務も含めてどう対応処理すべきかを簡単なテストを挟みながらQ&A方式で進めていく形でかなりのボリュームがあり、終了するまでに優に延べ1時間半から2時間ほど掛かりました。スポーツを通じて心身ともに健全な青少年・少女育成を主目的としており、テニスに限らず青少年・少女向けコーチングをするスポーツ全般に適用される内容で、ニュースメディアやSNSなどで時々話題になる事件以外にそれだけ現実に表に出ないセクハラ、パワハラ、いじめがスポーツの現場で日常的に起きて深刻な問題になっている証左だと感じました。事前手続きにこれほど工数と時間が掛かると知っていればボランティアに手を上げなかったかもしれませんが、正式なスポーツイベントでなくとも未成年者向けに何らかのコーチングする場合は、自分も特に気をつけなければならないと改めて思った次第です。

同じテニスの話題では、先月号で触れた男子プロの錦織選手が先月末から復活スタートを予定していたATPのチャレンジャーツアー3イベントの内最初の2つをまだ準備不足との理由でキャンセルし、現時点では今月中旬のプエルトリコのイベントを復活初戦に予定しているとのことです。また、上記のボランティア活動時のネットワーク情報では、来月独立記念日の週7/3からBloomfield Hillsの有名私立校クランブルックで開催されるCranbrook Tennis Classicに主催者側が錦織選手を招待選手として招いているとのことで、実現すれば地元で彼の復活プレーを生で観戦できるかもしれません。ただ、私の心配は、彼が怪我の治療と療養で長期離脱している間に急成長の若手を初めとして男子プロテニスのレベルが飛躍的にレベルアップしており、ATPランキングで130〜200位のチャレンジャーツアーレベルのプレーヤーでも楽な相手はいないので、復活初戦か直後にまた同じ怪我をしたり、別な箇所を痛めたりして即また離脱とならないか?というもので、そうならないことを切に願っています。現在開催中のメジャー大会フレンチ・オープンでは男子も女子もドローにストレートインして3回戦、4回戦まで進める日本人選手が少なくて寂しいですね。原稿作成時点で残っているのは男子シングルスの西岡選手と女子ダブルス、混合ダブルスの数組のみですが、少しでも長く頑張って欲しいです。

他のスポーツの話題では、NBAのレギュラーシーズン最終盤にロスアンジェルス・レイカーズにトレードされ、滑り込みでプレーオフ出場に貢献し、#7シードでゴールデンステート・ウオリアーズなどの上位チームを連破しウェスタン・コンファランス・ファイナルまで繋げた八村選手とチームは残念ながらデンバー・ナゲッツに4連敗のスウイープで敗れて涙を飲みましたが、来シーズンもチームに留まるか、他のプレーオフ進出を狙えるチームに移籍するか、レブロン・ジェームスが引退の可能性をチラつかせたこともあってちょっと気になります。

プロ野球界では日米とも異変と言っていい状況になっています。

NPBセ・リーグでは岡田新監督体制の阪神タイガースが破竹の勢いで勝率7割近く、貯金17、2位横浜DeNAベイスターズとのゲーム差6と独走中。一昨年、昨年とリーグ2連覇中のヤクルト・スワローズが直近で12連敗し長らく最下位だった中日ドラゴンズと入れ替わって現在最下位というのは全くの予想外です。パ・リーグでは前号でも触れたロッテ・マリーンズが首位を堅持。昨年リーグ覇者のオリックス・バッファローズとソフトバンク・ホークスが僅差で続いています。4月まで最下位だった新庄ボス2年目の日本ハム・ファイターズは5月に突然覚醒し、珍しく連勝して4位に浮上。まだ上位3チームとは7ゲーム差以上ありますが、優勝は無理でも上位チームを食っていくことがあると夏場から後半にかけて波乱の目になるかもしれません。

ご当地MLBア・リーグ東地区では開幕ダッシュの連勝で大きく貯金したタンパベイ・レイズが首位、ボルチモア・オリオールズがNYヤンキースを抑えて2位に留まっているのが異変です。この地区は最下位のボストン・レッドソックスまで全5チームが勝率5割超えでハイレベルの争いをしています。同中地区は毎年最後まで激戦が続く地区ですが、勝率が5割を超えているのは首位のミネソタ・ツインズのみで他4チームは借金生活とこちらはローレベルの争いになっています。地元デトロイト・タイガースが今年は珍しく2位と頑張っているのが異変でちょっと嬉しい誤算です。同西地区はテキサス・レンジャーズが常勝軍団ヒューストン・アストロズを抑えて首位。ここではラスベガス移転が決まっていて地元のファン離れが止まらずホームゲームでも閑古鳥が鳴いている最下位のオークランド・Asが勝率2割前後、他4チームが5割超えと中地区とは対照的。大谷選手所属のロスアンジェルス・エンジェルスは現在3位ですが、上昇カーブを描いて今年こそプレーオフ進出なるか注目です。

ナ・リーグ東地区はアトランタ・ブレーブスが首位。マイアミ・マーリンズとNYメッツが同率2位タイ。同中地区も毎年最後まで接戦になる傾向ですが、現在ミルウオーキー・ブルーワーズとピッツバーグ・パイレーツが半ゲーム差で首位争い中。同西地区は毎年ロスアンジェルス・ドジャースがリーグだけでなくワールドシリーズも含めて優勝候補ですが、今年はアリゾナ・Dバックスが1ゲーム差の2位と異変で食らいついています。これから夏場に入りオールスターを挟んで争いがピークに達し、秋口にどのチームが抜け出ているかですね。今期終了時にフリーエージェントとなる大谷選手の残留か移籍かの去就も含めて目が離せません。

今回は野球の話が長くなってしまいましたが、本題に入ります。今回のテーマは「若者よ(年寄りも)、外に出よう!」です。上述のテニスボランティアの話とも関連するのですが、今まで行ったことのない場所に行ったり、やったことがない事をやったり、会ったことのない人たちと会って話をしたり、行動を共にすると普段と違う経験や感覚、感情を味わうことができます。いつも同じ場所で同じような行動パターン、思考パターンを続けていると安心感、安定感はあるものの刺激も新鮮味もなく、マンネリ化、停滞化して新しいやり方、考えやアイデアを思いつきにくくなって閉塞感を感じがちです。

それを抜け出すには「環境を変える、違う環境に身を置く、行動パターンを変える、思考パターンを変える」のが一番手っ取り早い方法です。環境が変わると行動パターンが変わり、行動パターンが変わると思考パターンも変わります。思考パターンを変えてから行動パターンを変えることもできますが、頭でいろいろ考え悩んで行動が遅れるよりも、先に体を動かした方が即効性は高いようです。私自身の経験でもパンデミックで外出の機会が減り、外で直接人に会って話をする機会がかなり減りました。その代わりに電話やビデオチャット、WEBミーティングが増えたのですが、やはり直接会って話をするのと臨場感、親近感、満足感が違います。オンラインでは伝わらない相手の細かい仕草や表情、息遣い、体温、香りや匂いを自分の五感で直接感じ、言葉だけではない何かを肌で感じられるかどうかが大きな違いですね。いわゆる肌感覚、スキンシップの欠如が物足りなさの理由でしょう。

ようやくパンデミックが下火になり外出可能、訪問・面談可能になった後も何故か出不精の癖が抜けず、相手も同様なのかなかなか直接会ってゆっくり話す機会がないですね。ビデオチャットやWEBミーティングもパンデミック前から定期的、日常的に使っていた人には違和感がなかったですが、それまで余りそういう機会も必要性もなかった人たちにとっては物珍しさもあって、仕事だけでなく仲間同士や友人、知人と個人的なおしゃべりにも使われて一つのブームになっていたと思いますが、パンデミックが長引いて回数が度重なり物珍しさがなくなるといわゆる「ZOOM疲れ」が発生して「ビデオチャットはもういい」「WEBミーティングもいい加減にして」、更に「生身の人間と会って話をしたい」という声も結構あったようです。ある人から聞いた話によると、パンデミックの間、客先訪問禁止で客先から「来なくていい。来ないでくれ」と言われ(私はコロナウイルスではなく『来るなウイルス』と呼んでいました)、お得意さんにも訪問できない時にお互いが外で会える契約または課金制レンタル・オフィスかレンタル・スペースで落ち合って息の詰まる会社を抜け出して気分転換したいお客さんがいたとも聞きました。

パンデミック前と最中に日本に一時帰国した際に特に驚いたことは移動するJRや地下鉄の車内で多くの人が携帯を見たり操作していたことです。家や駅の構内、レストラン、喫茶店など人の集まる所でも同様の光景に出くわしましたので、それが日常的なものであると知りました。電子媒体を使わない生身の人間同士の生の会話が極端に少なくなっています。パンデミックの最中に米国でもマスク装着とSocial Distancing、手洗いの励行が義務付けられたりしましたが、このSocial Distancingが生身の人間同士の直接会話、コミュニケーションを減らした大きな原因だと思います。特に自宅にも個人としてもパソコンや携帯などの電子機器、媒体を持っていない家庭や個人が世間から忘れ去られ、社会的に孤立し孤独感、疎外感を募らせて精神障害や自殺行為に進む人までありました。英語が母国語でない私が言うのも何ですが、個人的にはこのSocial Distancingという表現が気に入りませんでした。Physical Distancingが適切な表現でSocial Distancingでは社会的に孤立、離反してしまいコミュニケーション不足、意思の疎通が阻まれると感じていました。

パンデミックも収まった現在、「若者よ(年寄りも)、外に出よう!」

環境を変え、行動パターンを変え、生身の人と直接会って、道具を使わず自らの言葉で話をして、五感を研ぎ澄まして相手の話を聞き、思考パターンも変えて新しいやり方、考え、アイデアを探り出しましょう!

他にも唯一の原爆被災国である日本の広島で開催されたG7サミット、同じく日本で最近起こった銃による発砲殺人・立て篭もり事件、ウクライナの首都キーフに対する無差別に近いロシアからのミサイル及びドローン攻撃、ウクライナ/ロシア国境周辺地区のロシア側で頻発しているロシア軍の兵站(へいたん)施設や製油所へのウクライナ支援グループまたは反プーチン体制派グループによる連続地上攻撃、爆破事件、首都モスクワ市内へのドローン攻撃、北朝鮮の弾道ミサイル、スパイ衛星発射、米国史上初の債務不履行という醜態と世界中を巻き込む恐れのあった経済的・社会的大惨事をギリギリ回避した米国連邦債務上限引き上げと予算削減交渉、修正予算案の下院審議・可決、次期大統領選向け共和党候補者の相次ぐ出馬宣言、予備選キャンペーンなど色々書きたいことがありましたが、また次号以降で折に触れてコメントしたいと思います。

以上、本題より前書き部分が長くなってしまいましたが、ご容赦願います。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第242回:春から夏へ、世相あれこれ

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喧喧諤諤

春の草花、木花が一区切りして新緑が鮮やかな5月になりました。毎年この時期は新入生、新入社員の5月病が話題になりますが、新人ではない読者諸氏も含めて皆さんの体調管理は万全でしょうか? 私は万全とは言えませんが、幸い日常生活に支障が出るような病気、怪我はなく「まあ、こんなものかな」という感じです。もう少し暖かくなったら、散歩はもちろん、青空の下で陽を浴びながらアウトドアテニスで汗を流したいですね。

スポーツ界では、先月号で触れたWBCの余韻も少しずつ収まって、日米ともプロ野球は球春から本格的なレギュラーシーズンに移りつつあります。NPBセ・リーグでは現役時代からリーゼントの髪型が評判の番長こと三浦監督率いるDeNAベイスターズが目下首位。MLBロスアンジェルス・ドジャースを解約されて今季移籍加入後まだ1軍登板機会のない2020年サイ・ヤング賞のトレバー・バウアー投手が先発ローテーション入りして実力を発揮すると、更に戦力アップとなり独走する可能性もあります。パ・リーグでは前評判の低かったロッテ・マリーンズが優勝候補のオリックス、ソフトバンク、西武の3強を抑えて僅差の首位。つい先日NPB日本人最速タイ記録の時速165kmを出した佐々木投手他若手に出場機会を与え、長期的な観点から5年間辛抱強く大事に育ててきた井口前監督の強化・育成計画が今季吉井新監督の下で大きく実を結ぶかもしれません。

一方、当地MLBでは、ア・リーグ東地区のタンパベイ・レイズが開幕13連勝のスタートダッシュが効いてダントツの首位。2位につけるトロント・ブルージェイズの菊池投手が開幕4連勝と去年とは別人の働き。優勝候補のヤンキースは5位ですが、早晩上がってくるでしょう。昨年最下位で今年も同位置のボストン・レッドソックスはWBCで13打点の新記録を打ち立てた吉田選手がその勢いのまま開幕数試合好調でしたが、右太腿裏の痛みが出て休場、復帰後もしばらく低迷が続いた後打撃コーチとの話し合いでヒントを掴み、構えをややオープンスタンスにして両目で相手投手を見やすくしてから復活。先月末、原稿執筆時点で9試合連続ヒットを継続中。先発投手が開幕から誰も勝利投手の権利がつく5回を投げ切れず、打ち勝つしかない状況で得点圏にランナーを置いた打率が一時5割、四死球を含む出塁率も4割前後と貢献大。このままシーズンを完走して欲しいです。中地区ではミネソタ・ツインズが首位。昨季右肘手術でプレーできず今季にかける前田投手が足首に打球が直撃したり、右腕三頭筋の炎症で負傷者リスト入りするなど不運が重なって今季4連敗、未勝利。ベテランの復活を願っています。西地区は常勝ヒューストン・アストロズを抑えてテキサス・レンジャーズが首位。二刀流大谷選手所属のエンジェルスは勝率5割ラインを行ったり来たりで現在3位。打撃陣、特に下位打線が比較的好調で結構点は取れるのですが、大谷、サンドバルに続く3番手の先発投手と救援陣が相変わらず頼りにならず、既に勝ち試合をいくつか取りこぼしてもったいない。「一体何点取れば勝てるんや!?」と叫びたくなります。ブルペンから出てきていきなり連続四死球の後やっとこ入ったストライクを簡単に打たれて1死も取れずに交代。「何しに出てきたんや?」「それでもプロか?給料返せ!」と言いたいほど「救援」ではなく火に油を注ぐ「給油」か、敵の回し者ではないかと思ってしまうケースも今季の一度や二度だけでなく、もう何年も見てきました。今季また最低でもプレーオフに出られなければ、大谷選手の移籍も止むを得ないと思います。

馴染みの薄いナ・リーグ東地区ではお化けフォークが売り物の千賀投手所属のニューヨーク・メッツ、中地区では脇腹痛から復活した鈴木選手所属のシカゴ・カブス、WBCで侍ジャパンの一員として活躍し人気爆発のヌートバー選手所属のセントルイス・カージナルスに注目。西地区ではダルビッシュ投手所属のサンディエゴ・パドレスを追い掛けています。日本人選手+全員がシーズン通して怪我なく活躍することを願っています。

余談ですが、名前がジャンケンの「グーとパー」みたいなヌートバー選手がつい先日から日本の製菓メーカーとメガネショップ2社のCMキャラクターとして起用され、そちらでも評判上々です。私も名前からしてアスリート向けエナジーバー、ニュートリションバーのキャラクターに使えるなと思っていたら実現しました。

他にもNBAロスアンジェルス・レイカーズでレブロン・ジェームス他のスタープレーヤーとチームメイトとなりプレーオフ進出に貢献した(今もしている)八村選手。長らく怪我の治療・回復でテニスシーンから消えていた男子の錦織選手が今月末からチャレンジャー大会に3週連続出場予定とのニュースもありました。無理しないで、勝ち負けにこだわらず、テニスをやれることを感謝し喜んでプレーしてほしいですね。

では、本題に入ります。今回の本題は「春から夏へ、世相あれこれ」としましたが、色々な話題に関する雑談のような形になりそうです。

先ず、海外の話題では、今も続いており収束の可能性が見えないロシアのウクライ侵攻問題です。ウクライナ側からの大規模な反抗が予想されると報道された直後の先月末にはロシア側から今年に入って最大規模のミサイル攻撃があり、先月末時点のウクライナ側発表では23発の内21発は迎撃ミサイルシステムで撃墜したものの、残り2発が着弾し民間アパートが大破。明け方就寝中の時間帯で子供を含む25人の犠牲者を確認。所在不明者多数のため今なお崩壊した瓦礫の中で捜索活動が続いていますが、犠牲者増加の恐れ大です。先月の国連安全保障理事会の持ち回り当番議長国であったロシアですが、出席各国代表者から轟々の非難、批判を浴びせられても『蛙の面に水』で意に介せず、今回もまた民間施設を目標にした事実はないと公表しましたが、上述のウクライナ側からの反抗作戦実行を前に出鼻を挫く狙いで卑劣な先制攻撃を仕掛けたものと思われます。罪のない無防備な民間人を攻撃する戦争犯罪と言える非人道的行為であり、犠牲者のご家族や関係者の悲しみを思うと強い憤りを覚えます。ロシア国内でも国外からでも何らかの方法でプーチンの狂気の行動を1日でも早く止めて平和が訪れることを願うばかりです。

もう一つ先月中旬から急展開で連日報道されているのが、スーダンの内紛・内戦により先月末で民間人400人以上が犠牲になっており、外国人の国外緊急避難とスーダン難民の他国への受け入れが緊急課題となっている国情悪化の一件です。過去にも関連報道はありましたが、正直言って現地の惨状や一般の人々の苦しみを理解していませんでした。改めて調べてみると古くは1956年にイギリス植民地から独立してスーダン共和国となったものの、イスラム教徒中心の北部と民族宗教やキリスト教が根強い南部の民族対立、宗教対立から起こった1955年〜1972年の第1次、1983年〜2005年の第2次の内戦があり、民間人を含めて約200万人が死亡、約400万人が家を失ったと言われる国難レベルの大惨事でした。南部が南スーダン共和国として分離独立した2011年7月に一旦収まったかに見えましたが、これとは別に2003年スーダン西部のダルフール地域で政府支援のアラブ系民兵が黒人住民を虐殺するダルフール紛争が発生して深刻な人権問題となり、この紛争でも約30万人の犠牲者が出たと言われています。とここまで書いて、ダルフール紛争思い出しました(汗)

2019年に当時のバシル独裁政権に抗議する民主主義活動デモが盛り上がり、同調する軍部のクーデターでバシル大統領が失脚し誕生した暫定政権と複数の反政府勢力が2020年10月に和平合意し、世界最悪の人道危機と呼ばれたダルフール紛争の集結に向けて歴史的な一歩を踏み出しました。今回の内紛は国の正規軍と和平合意に参加しなかった反政府勢力の軍人間の対立抗争に民間人や外国人が巻き込まれているケースですが、陸・海・空の国外脱出手段が限られているところに銃撃戦が繰り返されていては脱出も不可能ということで、国連や西側有力国の勧告で両軍から一時停戦に合意を取り付けて緊急避難を実施していますが、手段と時間が限定され、いつまた停戦合意が破られ銃撃戦が始まるかもしれない懸念があり、命がけの作業は遅々として進まない状況のようです。先月末の時点で紅海を挟んだ隣国サウジアラビアに船舶での避難者数は76カ国、約5,000人と報道されていました。今後も避難支援は続き、その数は増加すると思われます。

この他の海外関連では、前号でも触れたフランスの年金支給開始年齢引き上げ法案に対する抗議デモやイスラエルの司法分権独立を弱め政権コントロールを強めようとする動きに対する抗議デモは継続しており、北朝鮮の核搭載可能な弾道ミサイル発射実験や台湾周辺での中国軍の空海での偵察、威嚇行動など不穏な空気が漂い続けています。

また、ロシア国内では反プーチン体制の民主化運動主導者であり、国家反逆罪に問われて禁錮刑を強いられているアレクセイ・ナワリヌイ(英語読みはナバルニー)氏が直近の裁判でどう見ても言い掛かりのテロ活動を理由に30年の追加禁錮刑を言い渡されたとのこと。現在も換気のない単独房に拘束され、与えられる食事もまた毒物を盛られる懸念があり、まともに食事もしていないようで裁判前のビデオ映像では以前CNNのドキュメンタリー映画で観た容貌より頬がこけ、痩せ衰えているのが一目瞭然でしたが、この判決で実質的に生きている間には出獄不可能になった形で、獄中死の懸念もあります。海外各国の政治家、有識者、著名人からは相次いで即時釈放や信頼できる医師による健康診断実施を求める声やプーチン非難の声が多数上がっていますが、残念ながら彼が聞く耳を持たないことは明らかです。

米国内に目を戻しますと、2024年次期大統領選に出馬表明する候補者が追加で出てきました。共和党はほぼ事前予想されていた顔ぶれですが、当初トランプの有力対抗馬と目されていたデサンティス・フロリダ州知事はいまだに出馬表明していないまま、予備選の出だしでキーとなる複数州に先駆け訪問したり、先月末週には来日し岸田首相とも会談して存在をアピールし、州知事としての訪問理由は特になく大統領選のキャンペーン活動そのものでした。昨年末から今年年初にかけてはトランプよりも支持率(期待値)が高かったのですが、その後徐々に差が詰まり、先般ニューヨークマンハッタン地区大陪審でトランプのセックス・スキャンダル絡みの不正会計処理で起訴決定後は同情・擁護支持もあって完全に逆転し、トランプがかなり優勢になっています。更に、フロリダ州内で長年唯一自治権、税優遇を認められているディズニーワールドに対し、自治権剥奪、州のコントロール下に置こうとする強権発動がディズニー側の猛烈な反発に合い、先月末には共和党超保守派の支持を得て大統領選挙資金や支援獲得を目指す州知事の政治的動機に基づく営業妨害という理由で州政府による監督権行使の差し止めを求める訴訟を起こされました。民衆の夢と憧れであるディズニーをいじめて敵に回して訴訟まで起こされては州内はともかく全米で見ると更なる支持率低下となりそうです。

出馬宣言と本格的な正式キャンペーン活動をする前から既に敗戦の可能性を察知したのか、本来なら現在公職についている者が別の公職を目指してキャンペーン活動をする場合は現職を辞任してからするのが大原則ですが、先月末フロリダ州の共和党メンバーが現職をキープしたまま別の公職選挙キャンペーンもできるようにルール改正し、デサンティスが大統領選に敗れても失業せず州知事は続けられるようにセーフネットを張りました。ズル賢いですね。

大統領選と同時に実施される複数の州知事選、市長選、州務長官選、上下院の議員改選の焦点として妊娠中絶治療や中絶薬の合憲性や合法性、銃規制の強化、民主主義政治の維持、差別なき選挙権の確保・保障が各州単位で論議の的になるのも必至です。直近では中絶禁止法案を立法化しようと動いた共和党多数の州議会投票で民主党議員はもちろんですが、複数の共和党議員が反対票を投じ法案が不成立となる事例が続きました。ネブラスカ州では元々の議案の共同提案者の一人が世間一般の中絶擁護の風向きを読んでかその後心変わりして反対票を入れる珍事もありました。

トランプ側の弱点としては、先のセックス・スキャンダル絡みの不正会計処理に関する起訴事実や現在進行中の別のセックス・スキャンダル絡みの民事訴訟、先月号でも触れた大統領就任中及び退任時に事前許可なしでの国家機密文書の持ち出し、私物化、返還拒否、司法妨害や前回2020年大統領選挙時のジョージア州での投票や選挙結果に対する根拠なき言い掛かりや不正介入疑惑に関する刑事起訴が決定・実施される風向きが強いことが挙げられます。トランプ本人は起訴されても立候補は取り下げないと強気ですが、たとえ党内予備選では勝ち残れても民主党候補者に本選挙で勝ち抜くための共和党全国大会での正式指名獲得はハードルが極めて高いと思われます。

この他にも米国内だけで利用者が1億5千万人もいると言われるTikTokのサービスを公職関係のみならず一般利用者にまで禁止措置を拡大する案や意匠権、著作権問題発生事例を懸念してTwitterの新オーナーであるイーロン・マスク他複数著名人が共同提案しているAI(人工知能)の開発を6ヶ月間一時停止・凍結することなど従来では思ってもみなかった先端技術絡みの権利保護や悪用の法律規制化など課題が山積みです。TikTokをビジネスに活用している人も多く、重要な営業ツールとして利用している人たちにとっては大事な収入源となっており、それを断たれてしまうと死活問題になるため、技術的な内容が理解できない高齢議員が多い上下院の公聴会や個別委員会の審議だけで安易な禁止措置に走ると大騒ぎになりそうです。AIについては、後日機会があれば別途触れたいと思います。

以上、今月号のテーマはごった煮の鍋料理のようになってしまい、走り書き的になりましたが、ご容赦願います。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第241回:WBCの余韻とトランプ・ウィルスの行方

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喧喧諤諤

4月、日本では国や地方行政府、多くの企業の新年度、学校では新学期の月で心機一転、新たなスタート、新たなチャレンジにはもってこいのタイミングですが、私のように米国生活が長くなると日本の季節感、毎年恒例の行事やイベントに縁遠くなり今ひとつピンときません。まあ、加齢によるチャレンジ精神の減退を自己弁護するただの言い訳に過ぎませんが。(汗)

今回は先にスポーツの話題を少々。
日本代表侍ジャパン、やってくれました!-見事優勝、世界一!!-先月号でも触れましたが、3月最大関心事(少なくとも日本人の私にとっては)のスポーツイベントWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の決勝戦で地元米国チームを破って2006年の第1回、2009年の第2回大会に続いて14年ぶり3度目の栄冠です。異論はあったものの今回のメンバーは史上最強と言われ、東京で行われたグループリーグ戦の1次ラウンド、準々決勝の2次ラウンド、舞台を米国マイアミに移した決勝ラウンドの準決勝と決勝まで7戦全勝の完全優勝で異論を封じ込めました。おそらく皆さんも実況中継やビデオ、ネットニュースなどで追いかけていらしたと思いますが、特に準決勝の対メキシコ戦と決勝の対米国戦は凄い試合でした。最後の最後までハラハラ、ドキドキの連続で痺れました。特にメキシコ戦は先発が佐々木投手、第2先発が山本投手という日本球界が誇る二人のベストエースの豪華リレーで栗山監督のシナリオとしては相手に得点を許さず、先に得点、先行して試合を有利に進める筋書きだったと思うのですが、残念ながらやや当たり損ないの不運なヒットなどもあって4回表に佐々木投手が3ランホームランを打たれて逆に先行されました。日本の攻撃も5回の裏には岡本選手のレフトへのホームラン性の当たりをフェンス越えでジャンピングキャッチされたりで再三チャンスがありながら(残塁数が2度の満塁を含む11もありました)あと1本が出ず6回終了時点までゼロが並び3点のビハインドのまま。ようやく7回裏に2死1、2塁からこの日4番に入った吉田選手がインコース低めに落ちる難しいボールを体が少し泳ぎながらも上手くすくい上げてライトポール側に起死回生の3ランホームランで同点。「さあ、これから」と意気込んだのも束の間、続く8回表メキシコの攻撃で山本投手が連続2塁打を打たれて失点、更に救援した湯浅投手もランナー2、3塁からレフトにタイムリーヒットを打たれこの回2点目。3点目のホームを狙った走者はレフトの吉田選手の好返球で3アウト(これも結果的に大きかったです)。8回の裏に1死2、3塁から山川選手の犠牲フライで1点を返し、4−5の1点差で迎えた最終回9回裏日本の攻撃で先頭の大谷選手がツーベースで出塁し2塁上でベンチに向かって「カモン!」のジェスチャーでチームを鼓舞。続く吉田選手はボールをしっかり見極めてフォアボールで無死1、2塁。ここで打席に立ったのが東京ラウンドまで打率1割台と大不振でこの日は5番に入った村上選手。この試合もそれまで3連続三振を含む4打席凡退と元気がありませんでしたが、フォアボールで1塁に向かった吉田選手が村上選手をちょっと指差して「次はお前の番、打てよ!」とばかりに無言のジェスチャーで激励。私も「ここでヒットを打てば、これまでの不振は帳消し。打ってヒーローになれ!」とTV画面の彼に向かって声援を送りましたが、見事真ん中高めからやや外に流れていくボールをジャストミートしてセンター越え一直線でフェンスに当たる逆転タイムリーヒット!-吉田選手の代走として入った周東選手が1塁から疾風のような激走で前を走る大谷選手(彼も俊足なのですが)に追いつき、追い越しそうな勢いでホームイン。6−5の劇的勝利でした。1塁を回った所から戻る村上選手をベンチ総出で出迎え、ハグの連続、歓喜の輪ができました。後でニュースビデオを見て分かったのですが、ベンチから飛び出そうとした吉田選手が飛び越えようとしたフェンスに引っ掛かって転倒したとか、今回大谷選手専属でなくチームの通訳担当として同行していた水原一平さんが我を忘れて選手と一緒に歓喜の輪に駆けつけて、ふと我に返ってベンチ方向に引き返したとかのエピソードのおまけ付きでした。

決勝の対米国戦では、途中はさておき、最終盤8、9回をダルビッシュ投手、大谷投手の超豪華リレーで繋ぎ1点リードで迎えた9回表米国最後の攻撃で先頭打者をフォアボールで出しましたが、続くMVP経験者のムーキー・ベッツ選手をセカンドゴロでダブルプレーに仕留め、2死走者なし。迎えたバッターがチームキャプテンでこれまたMVP3度経験者のマイク・トラウト選手。大谷選手とはエンジェルスのチームメイトでMLBのレギュラーシーズンではどちらかが移籍しない限り対戦しない顔合わせで、これ以上ないワクワク、ドキドキの見せ場となりました。結果はカウント3−2からの6球目大谷選手が投げた渾身のスライダーがホームベース幅をインコースからアウトコースまでストライクで横切る鋭い切れ味で空振り三振、ゲームセット。二人とも国の威信をかけて正々堂々全力で投げ、全力でスイングした男と男の勝負でした。大谷選手はグラブと帽子を投げ捨て勝利の感情を爆発。チームメイトが次々マウンドに駆け寄ってまたまたハグの連続、歓喜の輪。事後のインタビューでトラウト選手が「第一ラウンドは翔平の勝ち」とコメントしていましたが、これは負け惜しみでも強がりでもなく素直なコメントだと思います。野球に少しでもご興味のある方ならご存知のようにバッターは3回に一度ヒットを打てば3割超の好打者として評価されます。公平に見て1打席だけの勝負ではピッチャー有利、バッター不利ですね。3打席勝負してどうなるかが正当な評価でしょう。トラウト選手は「野球をやってこんなに楽しかったことはない」ともコメントしていますので、既に3年後のWBCにも参加の意思表示で捲土重来を目指しているようです。是非また対決をみたいですね。

少々のはずが長くなってしまいました。本当はこれを本題にしてもっと書くつもりでかなりの時間をかけて色々と試合のデータ、監督・コーチ・各選手の性格や特徴、大会前後と大会中のエピソードやコメントなどを調べて確認し原稿を半分程書いてあったのですが、私のミスでそれをセーブし損なってしまったようで、作業を再開しようとしたところどこにも原稿のファイルが見つからず真っ青になり、今更同じ手順で同じ時間をかけて作業する時間がなくなった所にトランプ絡みのビッグニュースが入りメインをそちらに切り替えて『WBCの余韻とトランプ・ウィルスの行方』というタイトルにしてやっとこ納期遅れの原稿を完成した次第です。日米とも既にレギュラーシーズンが開幕しましたが、WBCの余韻に浸りながら新たなビデオクリップや後日談、未発表のニュース、ブログなどを発見、発掘しては楽しんでいます。

スポーツ以外の海外の話題では、フランスで持続可能な年金制度構築の狙いで憲法の特例条項を使って国民議会の採決なしに年金支給開始年齢を段階的に62歳から64歳に引き上げる改革案を強行採決。それに猛反発する野党や労働組合を中心とする反対派は一般民衆も含めて100万人を超える大規模デモやストライキでインフラや日常生活に必要な生産活動、物資供給が停滞し、政府は改革案の実施を一時保留し、同国憲法院が法案の合憲性を今月14日に判断を下すと発表されています。否認されれば改革案は廃案となりますが、歴史的に法案の全てが否認されることは稀であるため基本部分が条件付きでも承認されると混乱が続くと予想されます。

一方イスラエルでは、過去に自身が有罪判決を受けているベンジャミン・ネタニヤフ首相が司法省に対する政府権限強化=司法省の権限弱体化を目指した司法改革案を巡ってこちらでも大規模デモや国防相の解任を受けて国防軍予備役まで参加した全国的なゼネストが実施され公共交通網は断絶、あらゆる生産・サービス活動も機能しなくなり、国防や国の安全保障すら危うくなった窮状に首相と連立政府は法案を急遽凍結せざるを得ず、連立政権の存続や首相の政治生命にも影響しかねない状態です。同改革案の見送りを薦めたバイデン大統領に対してネタニヤフ首相が公然と反発コメントして長らく強い友好関係にある両国の関係にもヒビが入る恐れもあります。

また、先月末にはロシアで取材中のウォールストリート・ジャーナル紙の記者がスパイ行為の現行犯で逮捕されるというニュースもありました。逮捕理由が曖昧で米国政府や同新聞社の関係者のコメント、政治・外交専門家の見解ではウクライナ侵攻以後の米国との冷戦復活状態の延長で主にロシア国内在住または滞在中の米人を標的にして米国に勾留・拘束されているロシア人スパイや政治犯などの犯罪者との有利な条件での交換を目指した人質作戦ではないかと目されています。ジャーナリストだけでなく企業活動や慈善団体のボランティア活動でロシアに入国する人たちでも今後同じような事件が起こり得るため、米人のみならずNATO加盟国、西側諸国からのロシア訪問者の身の安全が大いに危惧されています。

米国内では、当番制になっている国連安全保障理事会の議長国を皮肉な巡り合わせで今月一日のエイプリルフールの日からロシアが務めることになっており、同理事会や国連総会でウクライナ侵攻をめぐって大半の加盟国から猛烈な非難を浴びながらどんな顔をしてどのように安全保障をテーマに議長役を務めるつもりなのか?と大いに疑問視されています。外交、国際政治、安全保障関係の専門家の中には「最大、最悪のエイプリルフールだ」と揶揄する人もいました。

もう一つ米国内のニュースとしては、先月末この原稿を書いている時にいきなりビッグ・ニュースが入ってきました。ニューヨーク、マンハッタンの大陪審が犯罪容疑でトランプ前大統領の起訴を決定したというもので、起訴するという噂は2月ごろからずっとあったものの3月最終週前半の時点では同大陪審のメンバーが集まってもトランプ関連の打ち合わせなしであったり、審議した日でも最終決定投票まで至らずであったりで、今月第1週まで持ち越しかという憶測が多かったですが、30日夕刻に突然起訴決定の速報が流れました。実は後出しジャンケン的になりますが、私はガッツ・フィーリング(直感、第六感)でその憶測が外れているような気がしていました。丁度各地で学校が春休みに入り子どものある家庭では親子で小旅行したり、子どものスプリングキャンプをアレンジしたりで忙しいのと議会が休会になる直前の週末に「今週の起訴はないな」とトランプ支持派も糾弾派もやや緊張が緩んだタイミングで不意をついて意識的に狙った可能性があります。大陪審のメンバーも大方が予想し衆目が集まって緊張が高まる週明けよりも起訴を決定してからゆっくり自分達の家族と週末を過ごしたいという個人的な思いもあったかもしれません。

起訴内容の詳細についてはトランプ本人が自発的または強制的に(身柄拘束・逮捕されて)出廷時に直接言い渡されるため公表されていませんでしたが、30以上の起訴項目があると言われ、それまでの同大陪審の動きから数年前に起きたトランプのセックス・スキャンダルに関する不正会計処理が中心であるのは間違いないようです。皆さんも何度か耳にしたと思いますが、アダルト・フィルム・アクトレス(日本で言うポルノ女優)で通称ストーミー・ダニエルズとの不倫を隠すため当時トランプの個人弁護士であったマイケル・コーエン(既に偽証罪などで有罪判決を受け刑務を終了して今はフリー)が仲介して前々回大統領選直前の2016年10月に秘密保持契約書の合意・署名と同時に口止め料としてコーエンが立て替え払いした13万ドルを後日トランプがコーエンに返済処理。そのお金の出どころがトランプの選挙キャンペーン資金から支払われ、会計費目が法定費用として処理されていたことが選挙活動資金管理法違反及び不正会計処理と判断されたようです。当然ながらトランプは不倫の事実はないと否定し続けていますが、秘密保持契約書にトランプの署名がありますし、コーエンに口止め料を分割返済した際に振り出し自筆サイン済みチェックの証拠写真もあるので今回もウソがバレバレです。

現在進行中のトランプの犯罪容疑調査及び訴訟審議案件は2020年大統領選挙の際にジョージア州での選挙投票に不正があった、自分が正当な当選者であったといまだに主張し続けているトランプが自ら同州選挙管理人や州政府関係者に直接電話して投票内容を自分有利に変更するように依頼した行為や大統領就務中及び退任時に多数の国家機密文書を事前許可手続きなしに勝手に持ち出し、フロリダ州マララーゴの私邸にいい加減な管理状態で所有し、米国国立公文書記録管理局からの再三の返還要求やFBIからの同文書所有確認依頼などを無視または軽視して所有し続けていたことが犯罪行為にあたるとして継続捜査・審議中の案件が複数あり、そちらの方が先に起訴手続きされるのではないかと推測されていましたが、このセックス・スキャンダル絡みの不正会計処理の方が先になりました。

予想された通り起訴内容詳細が公表される前からトランプ自身が非難のツイートをし、お抱え弁護士や大半の共和党下院メンバーとリンジー・グラハム共和党上院議員など(ミッチ・マコーネル同党上院院内総務からはノーコメント。次期大統領選のライバル視されておりトランプやキャンペーン支援者から攻撃されているデサンティス・フロリダ州知事も起訴を非難)からも即座に、事実無根、次期大統領選出馬を妨害する政治的暴挙であるとか、トランプ支持派・擁護派や極右・保守・過激派からは本件担当のマンハッタン地区地方検事アルビン・ブラッグ氏に対する人種的偏見や有名投資家のソロス氏から政治的財政援助を受けているとする個人的批判など有る事、無い事ゴチャ混ぜで非難轟々となっています。

現職または前・元大統領が起訴された前例がなく今回が史上初めてのケースのため(故ニクソン元大統領、クリントン元大統領の二人は紙一重で起訴を免れましたが)、米国内の政界だけでなく金融・経済、一般社会、外交、国際政治面でも波及的影響が予想されるため、できるだけ大きな騒動にならないように同大陪審では十分時間をかけて、大量の証拠資料、関係者証言の事実関係を精査し極めて慎重に審議を重ねた結果、最終的に犯罪行為があったと判定して起訴決定に至ったものと思われますが、やはり静かに物事が進みすんなり収まる状況ではありません。直近のニュースではトランプは腹を括って週明け4/3(月)にマララーガからシークレット・サービスの警護付きでニューヨーク市内のトランプタワー内事務所に移動し、翌日4/4(火)の午後2時にマンハッタン地方裁判所に自主的に出頭し、その場で起訴事実の確認、逮捕される予定とのこと。起訴対象が暴力犯罪ではないので、手錠を掛けられて収監されることはなく保釈金なしで釈放される見込みのようですが、通常の犯罪容疑者と同様に指紋採取と通称マグショットと呼ばれる顔写真撮影がなされ個別の認識番号が与えられることになります。彼の移動経路沿いや裁判所周辺などニューヨーク市内や首都ワシントンではトランプ支持派の抗議集会・デモや暴力行為に備えて既に警官隊や警備隊が厳重な警戒態勢を敷きつつあるとのことですが、何せ前例のない史上初めての出来事なので、何をどれだけ準備してどう対応処理すればいいか誰も確かでないため、当日だけでなくその後も大きな混乱なく済むかどうかです。

本来ならもっと時間をかけて調査・確認した上で本稿にしたかったのですが、原稿締切り直前の突発的な事態で関連ニュース、ネット記事、ブログ、専門家やトランプ支持・擁護派と糾弾派双方関係者のコメント、一般人の反応など半日や1日では(いくらでも新たなものが出てくるのでどれだけ時間があっても終わりはないですが)とても閲覧、視聴、確認チェックできず、かと言って何も触れないわけにもいかず、原稿締切り直前に私が拾って、分かっている範囲の限定的な情報を基にとりあえず書いた次第です。万一誤解や勘違い、説明不十分な点がありましたら、悪しからずご容赦願います。

最後にもう一つだけ付け加えますと、私が今後の展開で一番心配しているのは、トランプの大統領就務中にあった2度の大統領弾劾議会裁判の時と同様にトランプ支持・擁護派の共和党下院メンバーを中心に一部上院メンバーと合わせて共和党が一致団結して挙党態勢でトランプ擁護に走り、その結果起訴猶予、訴訟裁判なし、無罪放免となり、その勢いで次期大統領選の共和党予備選から全国大会での本選で勝利、正式候補者指名受理となって(大統領就務中の中間選挙、前回大統領選、昨年11月の中間選挙に敗れ3連敗で)死にかけていた身が不死鳥のように政治の表舞台に復活してしまうことです。更に民主党指名候補者との選挙戦でも勝って再度大統領になったりしたら、前回以上に自分勝手な酷いことをすることが容易に予想され考えるだけでもゾッとします。トランプの集金力、集客力を利用して相乗りで議席を増やし、自分達の思い通りの政治をしようと企んでいた共和党の面々は「軒を貸して母屋を取られる」結果となり、実質的な政治活動よりもトランプの顔色を伺い、おべっかを使い、ゴマスリして機嫌をとり、トランプの気ままな言動の擁護や尻拭いに多大の時間を費やす羽目になった苦い経験を思い出して、本来の共和党の信条とあるべき姿、まともな政治活動に戻れるように今こそ縁を切る最後のチャンスかもしれません。それに気づいて舵切りして欲しいと願うのは私だけではないでしょう。

WBCの楽しい余韻に浸りながらも、1日でも早いトランプ・ウィルスの終焉を待ちかねています。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第240回:春近しも揺れ動く混乱の世界

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喧喧諤諤 ケンケンガクガク
喧喧諤諤

小の月でも一番短い2月があっという間に過ぎて3月弥生となりました。南北に長い日本では3月と言えば、南から順に各地の梅、桃、桜へと春の花々の開花情報、見頃情報が伝えられて「春近し」のムードを直接、間接に感じられますが、雪の降る日もある当地ミシガンではまだまだですね。それでも、積もった雪が根雪にならず大方は1日でとけて、地面から早咲きのクロッカスや水仙の芽が伸びているのを目にすると気分が弾みます。毎年のことですが、自然の力、逞しさには畏敬の念を覚えます。ともすると忘れがちな人間に比べて、自然の力は本当に偉大です。その自然を汚し、破壊し続けている現人類はホモ・サピエンスと分類され地球上で一番賢いはずなのに逆に愚かで最悪の動物、最大のリスクになっていると思うと恥ずかしい思いがします。

誰かのインスタかブログのコメントで見ましたが、半世紀近く前にフロンガスがオゾン層を破壊して地上向け紫外線の過剰放射で地球上の全ての生物の生命を脅かすと分かった時には文字通り全世界が一致協力して1987年に採択されその後5回の改訂を経て現在に至るモントリオール議定書でフロンガスの使用禁止・規制、代替品開発・使用に舵を切ったお陰でオゾン層破壊が減速し、オゾンホールが小さくなった好結果に繋がりました。それと同じことがなぜ二酸化炭素排出抑制、地球温暖化防止でできないのか?という投げかけでしたが、全く同感です。両者で大きく異なる点は、二酸化炭素排出量が多く率先してリーダーとなるべき経済大国のロシア、中国、インドなどが前向き、積極的でなく米国や日本、その他中規模排出量の多数国がいくら抑制努力しても効果が限定的で即効性が小さいということです。国民総人口が多く、再生可能エネルギー、二酸化炭素発生・排出量ゼロか極小の代替エネルギーでは高価過ぎて一般生活には使えず、いまだに薪や石炭、廃油などを日々の暮らしの火力、熱源の主力として使っている国々ではやりたくてもやれない、もっと安価な代替エネルギー開発やその分野の先進国からの援助がなければ実現不可能です。温暖化を促進している石油・石化製品や低品質・安価な石炭の生産・販売で富を得ているメーカー、投資家、富裕層の人たちが改心して自利他責の責任逃れをやめて協力してもらわねば夢物語で終わります。

結果として、以前の本欄でも書きましたが、今すぐにでも全世界が一致協力して温暖化防止に大きく舵を切らねば手遅れとなり元に戻れなくなる復帰不能点(Point of No Return)を既に過ぎてしまっているかもしれない現在も人類は環境破壊、地球破滅への道をひた走っています。既に人生時計が午後11時を過ぎており余生が残り少ない私のような年寄りはどちらに転んでも大差ないですが、これから人生を謳歌するはずの今の若年層や次世代の子どもや孫たちに大きな苦難と負の財産を残すことになります。今は規制厳格化に逡巡、躊躇している大国の強い決意と責任感、リーダーシップが求められています。

では、前回飛ばしたスポーツの話題を少々。

目下最大の関心事は今月8日から始まるW B C(ワールド・ベースボール・クラシック)でしょうか?野球ファンはもちろん、ファンでなくても、常に話題となり注目を集める日本の人間国宝的二刀流大谷選手、ダルビッシュ投手他メジャーリーガーも多数参加する今大会は米国、韓国、ドミニカ共和国、プエルトリコ、ベネズエラ、メキシコなど優勝候補、有力国がかなり本気で参加します。直近のニュースで日本代表に選ばれていたシカゴカブスの鈴木誠也選手が打撃練習中の脇腹の張りで大事を取って不参加になったのがちょっと残念ですが、代替選手も含めて他のメンバーで2009年以来の優勝を目指して欲しいですね。但し、レギュラーシーズン前にケガだけはしないように気をつけてもらいたいです。

その他にもN B A、N H L、カレッジ・バスケットボールなどプレーオフに入るスポーツのファンには申し訳ないですが、ここから本題に移ります。

今回のテーマは「春近しも揺れ動く混乱の世界」です。

短い2月中でも米国内外で色々な出来事がありましたが、国外の大きなニュースとしては先月6日に起きたトルコ・シリア地震と直近の余震でトルコだけでもアパート60万棟以上、商業施設5万棟以上、犠牲者が5万人以上出たことです。建物自体が不法・不良建造物で多数階のアパートが簡単に層崩壊(いわゆるパンケーキ崩壊)していたずらに犠牲者を増やしたケースもあり、建造に関与した関係者が180人以上検挙されたと報道されていましたが、犯人探し、検挙しても犠牲者は戻ってきません。関連ニュースによれば、トルコに20年以上も住んでいる日本の建設会社共同体のトルコ代表の日本人の方が震源地であるカフラマンマラシュを昨年12月に訪問した際に近辺の活断層が割れ始めていることから推測して次は同地が危ないと予想していたとのことですが、同氏の談話ではトルコ国内の建設業の構造的問題で建築確認申請未提出、施工管理会社にも未連絡、エンジニアろくにいない状態で作業がどんどん進んでしまい、国内2100万棟の建物の内なんと60%が無許可、無届けの状況で被害を更に大きくしてしまったようです。政府も税金さえ払えば安全基準を満たさない建物でも使用許可を与える生ぬるい恩赦制度があるとのことで、自然災害だけでなく、人的災害の部分もかなり大きいと言えます。

地震国であり日常的に大小の地震を経験している日本は地震対策が世界で一番進んでいると言われていますが、いつどこで起こるか正確な予想ができない以上、決して気を緩めず警戒を怠ってはいけないと改めて思います。

欧州ウクライナに目を移すと先月24日で事前警告や宣戦布告もないまま始まったロシア軍侵攻後1年が経過しました。当初はどちらが勝つにしても誰もこれ程長引くとは予想しなかったと思いますが、米国とN A T O加盟国及び西側自由民主主義諸国の迅速な結束支援を受けて国の独立・主権、自由と民主主義、存在そのものを死守しようと政府も軍も国民も一体となって抵抗したウクライナと侵攻・占拠が短期間で完了すると安易に考えていた節のあるプーチン大統領率いるロシア側の杜撰な対敵情報入手・分析・戦略・侵攻計画の不備という両面の理由でここまで長引いています。トルコやベラルーシ、直近では中国などの第三国が停戦交渉仲介申し出や停戦案提案をしていますが、基本的にウクライナ側はロシア側が侵攻をやめて(先の侵攻で占拠したクリミヤ地区を含めて)侵攻前の国境線外まで撤退しない限り停戦交渉はあり得ませんし、ロシア側は絶対に負けられないプーチン大統領とその軍部・政府強硬派側近たちの意地と体面を保つために自ら撤退はできない状況です。

侵攻1周年直前にバイデン大統領の電撃的ウクライナ初訪問、ゼレンスキー大統領との会談と記者会見、被災地・被災者訪問、ポーランドでのN A T O諸国首脳との結束確認後のウクライナ支援強化・継続宣言を通してプーチン大統領への警告と侵攻停止、撤退を促しましたが、同じタイミングで中国の習近平国家主席、共産党総書記がロシア訪問、プーチン大統領と会談し両国の友好協力関係継続を強調し、輸出制裁措置を受けているロシア産原油やロシア製品の輸入継続、ロシアへの原材料、生活物資の輸出支援継続を明示しました。また、今回明言はしていないものの長引くウクライナ紛争で在庫が減りロシアの国内生産が間に合わずに貧窮しつつあるロシア軍への直接的な兵器・軍事物資供給支援開始の可能性もあり、米国、N A T O側は警戒を強め、もしそうなった場合の対抗措置、中国への懲罰案検討を進めています。本稿作成中の現時点で米国議会でも超党派で聴聞会と対抗措置案審議が実施される見込みです。

ウクライナとしてはゼレンスキー大統領が過去に何度も公言しているように、地上戦用の戦車供与だけでなくロシア領内や国内から民間施設をミサイル攻撃してくるロシア軍に対抗して決定的な打撃を与えられる長距離ミサイルや米軍用機F−16ファルコン戦闘機の供与を強く要望していますが、米国側は少なくとも今は必要なしと判断しています。英国ではウクライナ空軍パイロット向けに英国製戦闘機の操縦訓練を実施中ですが、米国が躊躇する理由は1機数十億もする戦闘機を即席訓練を受けただけのウクライナのパイロットが操縦して未経験のロシア空軍戦闘機との命懸けの空中戦や対空ミサイルの攻撃を受けた際に間違いなくかわせるか、防戦できるか?戦闘機を無駄にしないか?が本音であると思います。また、政府予算として議会承認された多額のウクライナ支援資金も高価な戦闘機供与に使ってしまうと他の支援に回す資金が枯渇する懸念もあります。
同時にロシア領内や国内本土に攻撃を受ければ、それが軍事施設目標であっても、今でも誤情報、偽情報で誘導操作されているロシア国民の強い反感と愛国心高揚を招き、戦術核兵器使用を含む一層激しい攻撃を受け、第3次世界大戦に向かうきっかけになるのを心配して自重を促している軍関係者も多いと思います。

更に、ウクライナ紛争と同時に米国の軍事力、財力消耗による国力低下を漁夫の利的に歓迎していると思われる中国は横睨みで台湾侵攻を考えていると日本を含む米国他西側軍部や軍事専門家の中には実行はIf(もし)ではなくWhen(いつ)の問題だと以前から警告しているメンバーもいますが、上述のロシア向け兵器支援や台湾侵攻が実行されたりしたら。それこそ世界中を巻き込む一大事で収拾のつかない大変なことになります。そうならないことをひたすら祈るばかりです。

この点ではもう何度も言われていますが、世界平和維持の目的で設置された国連安全保障理事会が全く機能していないのが情けない限りです。世界のどこかで紛争が起こりそうな気配があればそれを事前に回避する手立てを講じ、もし紛争が起こればそれが激化、拡大しないように対策を講じて平和維持すべき立場の常任理事国であるロシアが自らウクライナ侵攻という暴挙に出て、それを非難する国連総会決議や安全保障理事会での侵攻停止勧告などに当事者のロシアだけでなく中国も賛成投票せず、何もできない状況で国連の存在意義自体が揺らいでいます。ロシアや中国は拒否権があるためどちらか一方が賛成しなければ理事会全体の賛成合意になりませんので、お互いに非難声明を繰り返すだけで他に手の打ちようがありません。世界平和維持という本来の目的を遂行するためには、第2次世界大戦の遺産である常任理事国の拒否権を否認する方法か常任理事国の資格を剥奪する方法を新たに、しかも真剣に検討する時期だと思います。

国外の話だけで長くなりましたが、米国内では一時収まりかけたインフレが1月にまた少し上昇しましたが、他方では50万人以上の新規雇用があり、失業率も大きく変わりませんでした。現時点では経済アナリスト、大手銀行・金融業者、投資家の大半は景気鈍化を予測しており、景気動向に比べてインフレ上昇傾向が改善されない場合はF R B(米国連銀)が近々もう一度小幅の金利上げをするのではないかと推測されています。好景気が永久に続くことはないので、いつか鈍化、不景気の波が来ます。願わくは、それがいわゆるソフトランディングで大恐慌、大失業時代にならないことを願います。

その他の国内ニュースとしては、ミシガン州のお隣オハイオ州のイースト・パレスティンで貨物列車の脱線事故があり、積載していた化学薬品の散乱・汚染問題が今も続いています。汚染土、汚染水の処理だけでなく大気中に飛散・拡散したガス蒸気が上水道に混入して飲料水に適さなかったり、目や口・鼻から吸い込まれて痛みや呼吸器系の障害を起こすリスクがあったりで、地域住民だけでなく隣接州の近隣住民も不安を拭えず、政府高官やE P Aの責任者が現地に出向き、訪問した家庭の水道水を自分で飲んで見せたり、データ上は安全なことを強調していますが、完全には不安を解消し切れていないようです。現地の住民はバイデン大統領が同地よりもウクライナやポーランド訪問したのを不満に思い非難していました。ここぞとばかりに次期大統領選出馬を目指すトランプ前大統領が現地訪問して、実際には何も効果のある手立てはないものの上辺(うわべ)だけの同情を示しポイントを稼ぎました。全く悪知恵だけは良く働く嫌な奴です。

同地で回収した汚染土や汚染水が住民には事前通知なくミシガン州ベルビルにある有害物質廃棄処理施設に持ち込まれたことが発覚して地域住民が激怒し抗議活動をしています。施設は拙宅から南方にあり距離も近いので、風向きによっては北から近づく低気圧団に向かって暖かい南風に乗って蒸気化した有毒物質が飛来しないか?出入りする車や人・物について近所に持ち込まれないか?などと余計な心配をしてしまいます。何事もないことを願います。願い事ばかりですね。(笑)

他の注目ニュースとしては、バイデン政権が目玉政策の一つに挙げていた学生ローンの一定額返済免除・減額政策を一時停止した最高裁で合法か否かの審議が進行中です。トランプ就務中に任命した3人の判事を含めた過半数保守派は現政権下の教育長官主導で実施されたこの政策自体が国家予算に大きく影響する重大な事項でパンデミックのピークが過ぎた今は緊急事態ではなく教育長官として本来の権限を超える越権行為であり議会に諮って審議・可決した上で実施するのが理にかなっているという見解のようです。バイデン政権としてはこの政策はパンデミックの影響で財政的に困窮した(今もしている)ローン利用者の緊急救済が目的であり、今もまだ残っているパンデミックの影響を軽減する意味でトランプ前政権でも認められたのと同様に認められるべきだと主張しています。
この救済政策が否認されるとその影響を受けるローン利用者の数は数千万人に上り、何と62歳を超える高齢者だけでも2,600万人にもなると予想されています。一例としてT Vニュースで報道されたケースでは、1977年に准学士号取得のため約5千ドルのローンを組んだ退役軍人の人が今年2023年時点でもまだほぼ同額のローン返済残高があるとのことで、借入金利と手数料の支払いだけで精一杯で借入元金の返済にまで至っていない事実が浮き彫りになっていました。もっと多額のローンを組んでいる人たちはその比でなく、本人だけでなく家族も返済メンバーに巻き込んで親子から孫まで3代続くローン返済をしている家庭も少なくないとのことで、救済政策がボツになったら悲惨な事態、悲劇のニュースを耳にすることになります。保守派最高裁判事たちよ、賢い判断と裁定を!!

他にもジョージア州の2020年大統領選挙で不正があった、ドミニオンの投票機械が操作され正しい投票結果を反映していないと提訴した裁判の関連資料やF O Xニュースのマードックオーナー自身のインタビュー記録で、同オーナーや重役陣が同大統領選挙で不正があった、無効だと根拠のない主張と訴えを起こしたトランプとその支持グループの言動が事実でないと知りながら、また悪名高き主力番組のホストたちが内輪のテキスト交信で「嘘っぱち」、「信じられない」と批判コメントしながら人気取りと高給確保にために自分の担当番組ではその嘘と誤情報を拡散していた事実が明らかになり、普通ならF O Xグループの信用度を揺るがす事態になっていますが、直後のアンケートに対する視聴者の反応は「信用度が落ちる」と予想した人は20%台で「影響しない」と答えた人が60%超と常識人には呆れる回答内容でした。F O Xニュースしか見ない、信用しないというカルト宗教を盲信・陶酔するのと同じような人たちが余りに多過ぎて事実が明らかになってもハッと目覚めて考えを改めようとしないのは驚き以外の何物でもありません。残念至極。

春が近いというのにこの混乱は一体いつまで続くのでしょうか?答えが出ないまま筆を置きます。

 

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第239回:2023年(令和5年)卯年に跳ねる!?

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2月如月(きさらぎ)となりました。本稿作成時点で引き続き喪中につき月遅れで「おめでとう」とは言えませんが、本年もよろしくお願い申し上げます。

年明け早々から国内、国外ともに色々な事件、出来事があり、米国に居ますと静かな日本の正月と違って世間は騒がしい感じでしたが、皆さんは新年良いスタートを切れましたでしょうか?前回1月号の本欄を休稿させていただいたため怠け癖がついたわけではないですが、今回の原稿作業はネタ探し、情報収集・確認、選択から執筆までなかなか思うように捗りませんでした。重い筆で書き綴りますので何か不調法な点がありましても平にご容赦願います。

改めて振り返りますと寅年の昨年年男だった私の1年は残念ながら余り良い事がありませんでした。特に後半は運気が一気に下降し、8月下旬にはハイウェイI−275走行中に右後輪のタイヤバースト事件、9月下旬には本欄でも公表したEメールでの『なりすまし詐欺』被害、10月中旬には別の車で同じハイウェイを走行中に追突される被害、11月上旬には日本の実姉が急逝したとの訃報と続き散々でした。日本に居ればそれほど信心深くなくても「お祓いしてもらった方がいいな」と思うような状況でしたが、こちらではそういうわけにもいかず、外出・運転時、インターネット操作時の注意レベルアップで凌ぐしかありませんでした。I−275で鬼門のような不運、災厄が続いたので、当時(現在も)工事中でもあったことから出来れば避けて移動したかったのですが、南北移動の基幹経路であるためそうもいかず走行時には普段よりかなり緊張して運転していました。

穿った見方かもしれませんが、その後は姉の服喪で外出や言動を慎むことになり更なる不運、災厄に見舞われるリスクを回避、軽減できたのは家族思い、弟思いであった姉の「陽ちゃん、気をつけてね」という最後の優しい心遣いのお陰かもしれません。(合掌)

では、スポーツの話題を飛ばして本題に移ります。今回のテーマは「卯年に跳ねる!?」です。

新年早々の米国内の話題は1月3日に開催された昨年11月の中間選挙で新たに選ばれた新議員を含む下院の初登院、新議長選出投票でした。中間選挙で大勝ならずとも僅差で過半数政党となった共和党内の事前予想では2019年から院内総務となっていたケビン・マッカーシーの議長当選・就任が大方既定路線のように報道されていましたが、一方ではマット・ゲーツを中心とする過激派・超保守強硬派5人+数名の議員が反対投票する可能性も報道されていました。いざ投票となり蓋を開けて見れば、早々に別候補者への投票も含めて反対票が上限の4票を超えてしまいマッカーシーの初回得票は下院議員総数枠436(投票時は空席1で435)の1/2である218票に届かず、民主党院内総務のハキーム・ジェフリーの方が得票で上回る始末。結局初日は3回の投票とも同じような結果となり、翌日に持ち越し。閉会後舞台裏では共和党内の反対派説得・調整工作が続いたと思いますが、2日目、3日目、4日目も反対票が5名を超えてしまい、説得・調整役はマッカーシー本人が反対派に信用されていなかったため彼推しの主流派代表が代理で交渉を続け、議長の不信任案提出・改選規定、下院議員の任期制限、下院の個別各委員会のメンバー構成、今後提出・審議予定の対象、優先順位などかなり譲歩した結果、5日目の1月7日に丁度100年前の1923年の投票回数9回を大幅に上回る15回目の投票で決着。最終投票時の有効投票数428票の内マッカーシーが過半数の216票で当選、ジェフリーが212票、無投票が共和党強硬派と見られる6名でした。

T V実況中継やニュース報道、ビデオハイライトなどをご覧になっていた方もおありと思いますが、毎回余り代わり映えのしない内容で見飽きてうんざりした感じでした。私が観ていなかった最終日実況中継の一幕では親トランプ派でマッカーシー推しだった何かとお騒がせ女性議員のマージョリー・テイラー・グリーンが会場で誰かと話していた携帯電話を反対派の一人マット・ローゼンデールに手渡す映像があり、ビデオでその携帯の拡大映像を見ると話し相手のイニシアルらしきアルファベットでD Tと表示されており、巷ではそれがドナルド・トランプ前大統領のイニシアルであり、彼が議長選挙にも介入し、自分が推していた彼の忠僕マッカーシーに投票するように説得しようとしていたものとみなされています。トランプのことですから、何か甘い釣り餌を交換条件に出したか、「言う通りにしないと酷い目に遭わすぞ」と脅したかであろうことは容易に推測できますが、その甲斐あってやっとのことで当選したマッカーシーは直後の会場インタビューの末尾で感謝の意味でトランプ礼賛のコメントをしていました。何度も繰り返した投票中の態度や前後のインタビューでは楽観、強気の体を装っていましたが、内心はヒヤヒヤもので大恥をかく瀬戸際でした。

スタートで躓いて望み通り議長になったものの引き続き反対派は存在し、彼を当初から支持・支援していた主流派の中には説得・調整交渉過程で反対派の要望にかなり譲歩したことが気に入らないメンバーもいて、議長としての信用、党内をまとめるリーダーシップ、更に今後の具体的な政策、法案提出・審議や個別の各委員会活動にも大きく影響しそうで前途多難です。中間選挙前にマンション、シネマの両議員の抵抗で思い通りの政策・法案が計画通り予定したタイミングで議会審議・通過できなかった民主党の党内分裂以上に共和党内の分裂・混乱、パワープレー紛争は避けられそうもなく、既に次期大統領選に立候補声明したトランプや有力対抗馬として立候補の可能性を囁かれているロン・デサンティスフロリダ州知事他の動きと併せて来年11月の大統領選と上下院の本選挙に向けて民主党に少なからぬ希望と楽しみを与えることになりました。

残念ながら直後に副大統領時代のバイデンの事務所から中間選挙前に国家機密文書が見つかって弁護人が国家公文書管理局に返却し司法省にその旨報告していたことが判明し、その事実と公表したタイミング遅れをトランプの機密文書持ち出し、返却拒否についてはコメントを避けていた共和党の面々から責め立てられて希望と楽しみが一気に半減しました。更にバイデン大統領の私邸でも別の機密文書が見つかり共和党がここぞとばかりに口撃仕掛けたところ、今度はペンス前副大統領の自宅で機密文書が見つかり、勢いに水を注されました。我々一般人からすると前大統領、現職大統領兼元副大統領、全副大統領と立て続けに機密文書の保有が暴かれる事態となり、米国国家の最高位職と次位職にある者がその部下や関係者も含めて国家機密文書の取り扱いをミスするとは管理能力が疑われても仕方ありません。私でも他の歴代大統領や副大統領は大丈夫なのか?と思っていたら、国家公文書管理局が歴代の彼らに国家機密文書を持ち出したまま保有していないか確認依頼書を出すことを検討していると報道がありました、実際にしたかどうかは未確認ですが。

新議会のスタート前の昨年末に下院の1月6日議会乱入事件合同調査委員会も最終報告書の提出、司法省へのトランプ前大統領の4種の犯罪行為疑惑指摘、公職への復帰防止を勧告・提言して解散し幕を閉じました。これを受けて司法省が既に先行しているジョージア州やニューヨーク州でのトランプ絡みの犯罪調査とは別に具体的な犯罪調査・立件に動くかどうか分かりませんが、来年の大統領選の数ヶ月間までに少なくとも1件何処かで有罪判決が出て公職復帰を阻止して欲しいものです。最終結審が共和党寄りの保守派判事多数で構成される最高裁まで持ち込まれると直ぐに2〜3年は延びるので実現にはハードルが高いですが、何とかして欲しいですね。

一般国民への影響が大きく、関心が高いのはやや沈静化の様子はあるものの継続するインフレと景気減速から不況化、失業者急増による家計圧迫、生活苦ですが、毎年恒例の連邦予算案の議会審議・可決通過と暫定的な連邦負債上限引き上げ承認問題で年金支給・メディケア補助などの予算削減、累積負債削減を目指す共和党と予算削減交渉は一切認めない民主党は共に譲らず具体的な目処が立っていません。バイデン政権のイエレン財務長官が特別緊急措置をして6月までは連邦負債上限引き上げ、最終予算承認がずれても国内外で財政、経済パニックが起きないように手を打ちましたが、今のまま両党が平行線を辿りたとえ一時的にでも負債支払い不能状態になると世界中で全ての財政・金融・経済活動から一般国民生活まで一大パニックとなります。今まで何度も同じパターンの繰り返しでぎりぎり何とかなるケースがほとんどでしたので、今回もまた『オオカミ少年』の脅かしだけでそうならないと楽観している人たちもいるようですが、万一そんなことになったら一番パニクって慌てることになるでしょう。

米国内で銃取締規制が最も厳しいカリフォルニア州内先月だけで3件の銃撃事件が続き、6歳の学童がクラスで教師を撃った事件や5歳の幼児が父親所有の実弾入り短銃をオモチャにしているビデオ映像が流れて大騒ぎになったりと相も変わらず銃に関わる事件、悪いニュースが後を断ちませんが、直近では複数警察官による黒人運転手に対する通行停止から殴打・過剰暴力行為による致死事件のビデオ映像が公開されて抗議デモが連日続く中、現場で直接行為に及んだ警察官5名が殺人・誘拐容疑などで起訴されましたが、他にも追加で出そうな雲行きです。

他にも下院新議員に関する話題としてニューヨーク州ナッソー選挙区選出のジョージ・サントスの嘘だらけの履歴・経歴や選挙違反や違法所得税申告も疑われる突然の巨額選挙キャンペーン資金の出所、過去の悪事、悪行、醜聞の数々は知れば知るほど開いた口が塞がらない呆れかえる内容で、既にニューヨーク州の共和党議員連や下院共和党議員複数がとても一緒に議員活動できないと辞職勧告しましたが、マッカーシー下院議長は「有権者が決めたこと」と有権者が偽情報で騙されて投票したことを意に介さず、辞職勧告しないと同時に二つの異なる個別委員会のメンバーとして参加するとしていましたが、先月末日のニュースで本人から今の騒動が収まるまで取り敢えず委員会メンバーを辞退する旨の声明があり、それが暫定でなく最終決定であることを強く願っています。

国外のニュースでは、日本で新型コロナ第8波の影響で感染者数、死亡者数が昨年12月以降急増し、直近の1ヶ月余りで死亡者が1万人を超えたことが大きな驚きです。世界中でワクチン接種率がトップクラスで最もマスク装着が常習化、常態化している日本で何故?というのが率直な疑問ですが、N H Kの公開資料を閲覧して死亡者の年代別内訳を見ると10歳未満と10代〜40代までの各年代は全て全体の1%未満なのに対して50代から1%を超え、60代は5.08%、70代は17.10%、80代は41.17%と最も多く、絶対人数が少ない90代以上では33.89%となっていました。この数字から推察する限り、コロナ感染の防止策としてワクチン接種、マスク装着も100%有効ではなく感染する人もいればそれが引き金となって死亡する人もいるという事実です。根の原因は高齢者や高高齢者は加齢とともに自然免疫力が落ちて、ワクチンを打っても健康な若者よりも免疫力強化レベルが上がらず、一旦感染・発症すれば重症化して死に至るケースが増加すると言うことでしょう。コロナ以外の何らかの既往症があって既に体力、免疫力が低くなっている場合は尚更そのリスクが高くなり、死亡者数に占める割合も高くなるということですね。米国でもいっとき全国集計でワクチン接種者の死亡者数が未接種者のそれより高い数字が出たことがあり、「ワクチンを打ったせいで死んだ」とまたまた偽情報、誤情報が飛び交った時もありましたので、これは日本に限ったことではありません。日本政府は分類変更など名目上の政策でなく、実効性の高い緊急施策で目下世界一高齢化が進む日本の新規感染者数・死亡者数で別のありがたくない世界一が続くのを1日でも早く断ち切って欲しいものです。

欧州では、今月24日でまる1年となるロシア軍のウクライナ侵攻が新局面、新展開を迎えています。簡単に成功すると思って自分が始めた戦いであり絶対に勝たねばならない、一時的・局所的な劣勢すら認められないプーチン大統領の面目に賭けても絶対に負けられない使命を帯びたロシア軍は正規軍のみならず予備役の緊急招集、アフリカなど国外からの義勇兵、傭兵募集などで増員・増強した援軍をろくな兵器や装備、訓練も与えずに派兵して、一旦ロシア軍に占拠された後ウクライナ軍が取り返した南東部都市で激戦が続き、ウクライナ軍だけでなく明かに発電所、病院などの公共施設、アパート、学校などの民間施設、民間人を標的にした遠距離からのミサイルやドローン攻撃を受けて被害が増したウクライナ軍が撤退を余儀なくされましたが、先月下旬に米国およびドイツ、ポーランドなどN A T O加盟国からの戦車供与決定が公式発表され、東南部における対リシア軍地上戦で有利な展開になるかどうか?です。ウクライナ軍や国民は朗報と歓迎していますが、侵攻当初にロシア軍の戦車や装甲車が侵入してきた際にウクライナ軍が米国から供与されたジャブリンなどの歩行携帯ロケットなどの対戦車兵器で反撃し、複数で操作するロシア軍戦車の破損や乗員兵士の死者・負傷者数が急増した前例があるので、逆にロシア軍から類似の対戦車兵器やイラン製カミカゼドローンなどで攻撃された場合に同様の被害が出て必ずしも地上戦で有利な展開にならないケースを懸念します。まあ、素人がもの言うより軍事専門家に任せるのがベストですが、仮にウクライナ軍が地上戦ではっきり有利になった場合でも、ロシア側から過去に何度も威嚇発言があったように窮地に追い詰められたプーチンが戦術的・局地的核兵器を本当に使ってしまう懸念もあります。絶対にそんなことにならないことを祈ります。

私は今月19日の誕生日を迎えますとまた一つ齢(よわい)を重ねますが、誕生日が1日違いだった姉のことをまた思い出すと同時に、自分でコントロールできる事はもちろん、出来ない事も併せて去年より良い年にしたい、良い年になって欲しいと願わずにはいられません。

今年は卯年ですので、悲惨な事件、嫌な出来事、悪いニュースで驚いて跳ね起きるのではなく、楽しいイベント、嬉しい出来事、良いニュースに喜び飛び跳ねたいものです。皆さんも公私にわたり干支のウサギの如く元気に跳ね回れるといいですね。月遅れになりましたが、今月からでも「卯年に跳ねる!?」素晴らしい1年になりますように祈念して筆をおくことにします。

 

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第238回:2022年(令和4年)寅年の終わりに

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師走に入り今年も残すところひと月を切りました。先月末のサンクスギビング週末が 過ぎて、街角や店舗の賑やかな飾り付け、イルミネーションがあちこちに見受けられ、ク リスマスソングが流れて一気にホリデー気分が増している読者の方も多いと思います。

本紙新春1月号に今年年男の私の年頭所感として、「欲張らずに一つでも二つでも何 かお役に立てれば」と書きましたが、欲張らなかったせいか現時点まで大した事はや れていません。強いて言えば、スケールは小さいですが二つありました。一つは、7月に 知人の紹介で依頼された日系企業米国事務所の至急求人案件で、クライアントの希 望要件、給与・待遇条件ではマッチングする候補者探し、紹介はかなり難度が高いと 予想し当初はやはり苦戦していましたが、運良く以前から面識のあった方に8月初旬に 連絡を取ったところ、その時点で定職のないご自分の状況からピーク時の給与待遇よ り低くても構わないので紹介して欲しいとのことで、推薦文に気を遣いながら早速クラ イアントにご紹介したところ、盆休み前の1次及び2次(最終)WEB面接後に採用内 定、休み明け直後に正式オファーレター合意とトントン拍子に話が進み、9月のLabor Day明けから正式勤務開始となってクライアントに大変喜ばれ感謝されたこと。

もう一つは、夏の間アウトドアでの週末テニスでなかなか決まった時間にプレー できず運動不足で欲求不満が溜まっていましたが、ちょっと時間が空いた時にフラッ と自宅近くのハイスクールのコートに出掛け、サーブと壁打ちでも体を動かせればOK と思っていたのですが、たまたまやはり一人でサーブ練習している人が居たり、親子連 れ3人が練習していて小さな弟が相手をしてもらえず手持ち無沙汰で退屈して居たり で、面識はなかったものの声がけしたところ一緒にプレーしようということになり、良い 運動になったと同時に相手にも感謝されことです。他人のためと言うより自分のためで したが、結果的に相手にも喜ばれ「終わり良ければ全て良し。」でした。

前書きはこのくらいにして本題に移ります。 今回の本題は「2022年(令和4年)寅年の終わりに」です。

ホリデーシーズンに向かって日本も米国も国内問題を抱えながら、国際的な問題に も同時に対応していかなければならない難しい状況が続いています。今年の総括、締 めくくりにはまだ数週間あり、またいつ、どこで予想外の事態が起こるかもしれません が、現時点で気になることを書き留めてみます。

先ず、初めに私事で恐縮ですが、10月末に東京の姉が亡くなりました。

私の唯一の実姉で年が11離れており高齢ではありましたが、ごくたまにしか会えな くてもいつも明るく元気で私より長生きすると思っていたので、突然の訃報に大変驚 き、直ぐには信じられませんでした。内輪だけの葬儀も済んだ11月6日に姪の一人か ら連絡をもらいましたが、故人の強い希望で持病があったこと、6年近く前に入院治療 していたことも兄弟、姉妹にも伏せていたため、日本在住の親戚一同も姉の家族以外 は誰も知らず同様に驚いていました。甥(姉の実の息子)にお悔やみメールを送ったと ころ返事が来て、内緒にしていた詫びと共に姉の最後の様子を書いてきましたが、8月 下旬から体調が悪化して入院し、緩和療法をしていたようですが、(恐らく死期が近い ことを自覚した)姉が希望して9月21日から自宅療養に切り替えたそうです。亡くなっ たその日も姉と会って言葉を交わした後一旦帰宅した1時間後に義兄(甥の父親)から 連絡があり直ぐに駆けつけた時には既に息を引き取っていて彼も信じられなかったそ うです。その最後の日まで姉は自分で食事を摂り、自分の足で歩いて時間をかけても 用足しに行き決して人に迷惑をかけないようにしていたと聞いて涙が止まりませんでし た。甥も「本当に強い人でした。」と書いていました。(合掌)

本紙5月・6月号で寄稿しましたように長年公衆浴場を営んでいた東京の生家が閉 業するにあたって、4月初めに急遽一時帰国した際にも久しぶりに兄弟・姉妹が一堂に 会して食事と談話を楽しんだ時も病気持ちとは微塵も感じさせない立ち振る舞いでしたので、余計に信じられませんでした。今思い返すと私たちに心配をかけないように、 折角の再会の楽しい場の雰囲気を壊さぬようにとの姉の優しい気遣いだったと思いま す。まさかそれが最後の面会になるとは思いもしませんでしたが、今更ながら理由はとも かく急遽一時帰国して皆と一緒に姉にも会っておいて本当に良かったと思います。

私の直ぐ上の兄と私は父が第二次世界大戦時の東南アジア出兵でフィリピン戦線か ら復員した後に生まれたため長兄とは14、姉とは11も年が離れていましたし、男女 の性差もあって小さい時から一緒に遊んだ記憶はないのですが、私が小学生の頃に は既に女高生で江戸川と荒川放水路という南北に並行して流れる2本の川を跨ぐ小松 川大橋・小橋の連続する橋を毎日歩いて渡り、いわゆる川向こうの高校に通っていまし た。橋は川面からの高さが数十メートルあり、雨の日や風が強い日は大変だったと思い ますが、1日も休んだことはなかったようです。高校では学業のかたわら女子に人気の バレーボールをクラブ活動として選び、私は一度もプレーする姿を見る機会がなかった のですが、体は小さいのにいつも元気一杯で我々兄弟は『豆タンク』とアダ名していま した。家に帰るといつの間にか宿題を済ませて、家業に忙しい母をサポートして台所や 掃除、洗濯、買い物など家事を手伝っていた記憶があります。

食べ物も好き嫌いなく何でも食べ極めて健康で、当時好き嫌いの激しかった私が 手付かずで残したおかずを「もったいない」ときれいに平げて(食べ切って)いました。 それでも太らなかったのは、それ以上に良く動いていたからだと思います。私が大学卒 業後建て直しする前の古い風呂屋では急な階段下の薄暗い狭いスペースに丸い小さな ちゃぶ台を置いて姉と次兄の3人で朝ごはんを食べてから学校へ出掛けたことも思い 出しました。高校卒業後は進学せず、料理や家事を手伝いながら生花を習ったり、当 時は一般的だった花嫁修行をしたりしていましたが、私が中学生の時に伯父が経営し ていた米屋の正月用餅つきの親戚総出の手伝いが縁で知り合った今の義兄に嫁いで いきました。今は姉に先立たれて独りぼっちになったその義兄のことが気がかりです。 幸い近くに住む甥(義兄の息子)が同じ心配をして電話をしたり、訪ねて様子を見てい るようなので安心しています。

「結婚した息子は自分の実家よりも大事にされる嫁の実家に行くが、娘は自分の 実家に帰ってくる」と言われますが、姉も嫁いだ後の私が居た頃も就職して名古屋に 引っ越した後も実家の母のことをいつも気にかけて電話をかけてきたり、特に用事 がなくても立ち寄って一緒に買い物に出かけたり愚痴を聞いたりして親孝行していた ようです。

今こうして思い出すと本当にいつも明るく元気で誰にでも礼儀正しく分け隔てなく接 し、人の話を聞くのも自分が話すのも上手でした。常に前向きで愚痴も他人の悪口も 言うのも聞いたことがありません。私にとっては躾や食事の世話を含めて姉と言うより パートタイムの母親代わりの面もありました。家族の中で一番甘えん坊だった末っ子 の私は父が来客から頂いた珍しいお菓子やフルーツなどのお土産を一旦仏前にお供 えしたお下がりを姉・兄弟で均等に分けると自分の分をサッサと食べて人の分まで欲 しいとわがままを言うと「ダメ、ダメ、それはダメだよ。」としっかり釘を刺され、「兄弟 (姉妹)は他人の始まり」ではないですが、子ども時代に家庭や社会のルール、秩序、 常識、公平と平等、人間関係の初歩を教えてもらえたお陰で、トランプのようにはなら ずに済んだのかもしれません。そうかと言って決して冷たい訳ではなく、家族思い、兄 弟思いの人でお互いに家族持ちになってからもたまに東京で会うと一緒に墓参りした り、歓迎してくれて楽しい食事と談話で毎回元気をもらって帰途についたものでした。

年齢は11も離れていましたが、誕生日は私が2月19日、姉が2月20日と1日違い でしたので、自分の誕生日が近づいて来ると姉のことを思い出し、「今頃どうしている かな?」と思ったものです。姉も全く同じ思いをしていたようです。姉夫婦はインターネッ トやEメールとは無縁の世界で暮らしており、自宅には迷惑電話や押し売り、ゴリ押し セールスを嫌ってボイスメール付きの電話がなく、発信者の番号表示も出ないので外 出中はもちろん、自宅に居ても電話に出ないことがあり、留守電メッセージも残せな かったため、名古屋で暮らしていた当時も米国駐在・出向、延長・継続居住となった後 もほとんど連絡が取れず、東京で春秋のお彼岸やお盆と正月に兄弟・姉妹が集まった 際に電話口で少し話す程度でしたが、今思うともっと会いたかった、話をしたかったと 残念でなりません。今はただ「天国で他人のことを気にせず、自分の好きなことだけし てゆっくりしてください」と祈るばかりです。(再び合掌)  読者の皆さんの中にも日本からの駐在・出向者や帯同家族の方が多いと思います。 昔も今も日本に残してきた年老いていく親の面倒見と米国に帯同したお子さんの教 育・将来に関して共通の悩みをお持ちと思いますが、今回姉の突然の訃報に際し改 めて思ったことは、「家族や身内、ご縁のある大事な人たちを大切に」と言うことです。 「時間ができたら」とか「休みが取れれば」ではなく、思い立ったら直接会えなくても 電話をするなり、メールをするなり、ビデオチャット、WEB面談でもいいので直ぐにする ことです。時間は自分で作り、休みは自分で取るものです。タラ、レバの時間や休みは 待っていてはいつまでも手に入りません。あの時に会っておけば良かった、電話してお けば良かった、などと後悔しないようになさってください。「無くして気付く大切な人、 大切な物」とならないように自戒を込めて私からのお願いです。「やって良かった」と必 ず思うはずです。

以上、姉のことを書かずにはおれず、長々となってしまいました。この他にも記事にす るつもりで米国中間選挙の結果、今後の政局予想、上院での同性婚・異人種間婚保 護法案可決通過、下院での鉄道スト回避法案の可決通過、1/6議会乱入事件調査委 員会がトランプの直近6年分の連邦税個人所得申告書を正式入手と事件に関与した オース・キーパーズの創設者他に対する扇動的陰謀容疑者有罪判決、ハワイ休火山の 噴火、イーロン・マスクによる買収後のTwitter社のドタバタ、ウクライナ近況、北朝鮮連 続ミサイル発射、中国全土でコロナ規制、都市封鎖に対する抗議デモ、大学フットボー ルミシガン大対オハイオ州立大戦とプレーオフ展望、FIFAワールドカップなどネタ探 し、情報収集・確認はしていたのですが、ニュースを見たり、ネット検索したりしながら ふっと姉の思い出や種々の思いが湧き出すと集中できず、申し訳ありませんが今回は見 送ることにしました。文脈や表現のおかしな所にお気づきの場合を含めて、悪しからず ご理解とご容赦をお願い申し上げます。

末尾になりますが、喪中につき年末年始のご挨拶を差し控えさせていただきます。

皆様には健康で安全な良い新年をお迎えください。

 

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第237回:米国中間選挙の結果は如何に?

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ハロウィーンを終えて霜月11月となり、朝霜が降りてもおかしくない寒い日が多くなりました。ミシガン州のアッパー・ペニンスラでは先月既に吹雪も経験していますが、ミトン型のローワー・ペニンスラでもいつ雪がチラついても不思議はない時季です。ハロウィーンと言えば、今年はキャンディーやコスチューム、ディスプレーに使われた金額が過去数年よりかなり多かったとのこと。パンデミックの酷かった間子供たちが(大人も?)ホリデーシーズン前の年中行事として楽しみにしているイベントを自重・自粛していた反動とインフレによる物価高の影響で販売数量の単純増加以上に金額が増えたものと思われます。ハロウィーンを挟んで世間を騒がせていた大きな話題は11/8(火)実施の米国中間選挙をめぐるキャンペーン活動と関連報道でした。この件に関しては、本号のテーマとして後述したいと思います。その前に一つご報告しておきたい事があります。

先月号で恥を忍んで書き連ねましたフィッシング・メールによるなりすまし詐欺に関する続報ですが、幸にしてその後継続被害、2次被害はないようです。一度味をしめた犯人グループは2匹目の『柳の下のドジョウ』を狙って、あの後にも被害者本人である私宛に2度、3度と同様のフィッシング・メールを送って来ました。全く商売熱心な連中で、その勤勉さと頭脳をまともな仕事と世間に役立つ事柄に使えばポジティブな評価と感謝をされるのに残念な事です。まあ、決まった時間に決まった場所に出勤する必要がなく、在宅勤務で楽にお金が稼げるので「やめられない、止まらない」のでしょうね。皆さんの中には同じようなメールを受信されても私と同じミスをして被害に遭った方がいないことを願います。

スポーツの話題では、米国M L Bは2009年以来8回目の出場となるフィラデルフィア・フィリーズとプレーオフ常連で2年連続5回目の出場となるヒューストン・アストロズが頂点を争うワールドシリーズの真っ最中ですが、一足先に日本のN P B日本シリーズはオリックス・バッファローズが2連覇を目指したヤクルト・スワローズを下し26年ぶり2回目(合併前の阪急ブレーブス時代を含めると5回目)の優勝を飾りました。1996年の初優勝時にはイチローさんもいたチームを故仰木監督が率い、長嶋監督率いる読売ジャイアンツを4勝1敗で退け、本拠地地元神戸で胴上げを実現し、その前年1月に発生した阪神淡路大震災で壊滅状態となり絶望状態にあった神戸市民を「がんばろうK O B E」を合言葉に大いに力づけました。34年間務めたオーナー職を今季で退く宮内オーナーにとっては、初優勝時の喜びと記憶が蘇ると同時に忘れられない最高の花道となりました。優勝おめでとうございます!!

国際政治関連では、9月に就任したばかりのU Kのリズ・トラス首相が過去最短のわずか44日間で退任し、同国200年の議会史上最も若く初の有色人種である保守党所属のリシ・スナク氏が新首相に就任しました。退任理由は引き当て財源のないインフレ対策の強行が対立政党の労働党のみならず身内の保守党内でも不評を買い、議会で吊し上げられて弁明に窮し協力者もなくては挽回の余地なしと判断した結果のようですが、7週間で何と3人目の首相という醜態です。古き良き大英帝国の栄光と威厳を70年以上もの間維持し続けてご逝去された故エリザベス女王2世はこの情けない状況を今天国でどう思っていらっしゃることでしょう?トラス前首相の就任式を病状悪化の中で私邸で亡くなる直前に完遂された故女王陛下のご存命時代に起きなくて良かったと思ってしまいます。

また、今年2月24日に始まったロシア軍のウクライナ侵攻が新たな局面を迎えています。和平交渉が進展しないまま一進一退を繰り返し、先の見えない長期化、泥沼化しています。先月ウクライナ軍の敏速かつ大規模な反攻によりウクライナ南東部を占拠していたロシア軍の特殊部隊が壊滅したり、大半が国境付近や正規のロシア領まで撤退する事態に陥り、クリミア地区との重要な交通・軍需輸送の要衝である橋梁が破壊され兵站(兵站)確保が極めて困難となり、プーチン大統領の自尊心と面目丸潰れとなりました。

ショイグ国防相が身代わりとなって国内強硬派からは弱腰の悪者扱いされていますが、退任とはならず新たにウクライナ特殊軍事作戦の総司令官としてアフガン戦争、タジキスタン内戦、第2次チェチェン戦争、シリア内戦で参戦介入経験のあるセルゲイ・スロビキン将軍が任命されました。プーチンの意を受けた超タカ派の彼がどんな動きをするかです。
ショイグ国防相は先月末の会見で先にプーチン大統領が発令した予備役30万人の部分緊急招集が完了し、その内4万人がウクライナ戦線に派遣されたと発表しましたが、真偽は定かでないもののロシア軍関係者や当の新規派遣兵の内部告発によると彼らに対する事前訓練は正規のベテラン教官が不足しており極めていい加減で、与えられる軍服もバラバラ、兵器も旧式で戦闘能力に劣り、N A T O諸国から近代兵器を供与されているウクライナ軍に対抗出来ず、ただ死を待つのみ、との悲観的(絶望的?)な声が上がっています。

ロシア軍の退却、劣勢を認めず苛立ちを隠しながら強気な姿勢を崩さぬプーチン大統領の会見では、ウクライナ軍はロシア併合4州の住民に対してダーティー・ボム(核爆弾ではないが、爆薬の周りに内包されている放射性物質が爆発と同時に飛散し、広範囲にわたり放射能汚染を引き起こし、長期間日常生活が不可能となる大打撃)攻撃を計画しているという根拠のないデマ情報を流し、その対抗措置として住民保護と自己防衛のために戦術的核兵器の使用もあり得る発言をしておりましたが、先の併合州におけるマーシャル・ロー宣言、住民避難勧告と併せて、考えるだけでも恐ろしい戦術核兵器の使用を正当化するための準備工作と思えて仕方ありません。私の取り越し苦労になることを切に祈っています。

他方、極東・東アジア地区では先月突然再開された北朝鮮による複数回の弾道ミサイル発射や直近の中国共産党大会にて習近平共産党総書記、国家主席の3期目継続就任と権力の1点集中強化が大きな懸念材料となっています。党大会開催中のビデオに胡錦濤前総書記が係員に腕をつかまれて途中退席させられた映像もあり、その後の所在がいまだに確認できないこともショッキングな事実です。

余談になりますが、ウクライナ、ロシア絡みの動きで最近O P E C+諸国が原油の大幅減産を発表しましたが、最大の輸出国であるサウジアラビアがこのドタバタ騒ぎで大いに潤い、資産を増やしていることをご存知でしょうか?余り話題にならず私も聞いて驚いたのですが、サウジはN A T Oや西側諸国から非難を浴びながらロシア産原油を国際的購入制限による市場価格下落やルーブルの一時的為替レート下落で安く買って国内消費に使う一方で、自国産の原油を高値で輸出して巨万の富を得ています。増産して原油価格を下げるよりも減産して価格維持もしくは高騰した方が収益は増え、西側諸国の政治力、経済力を弱めて国際市場や政治面でプレゼンスと発言力も増す狙いもありそうです。

7月中旬にバイデン大統領が中東訪問した際の目玉がサウジのM B Sことムハンマド・ビン・サルマン皇太子との会見でした。バイデン大統領が前回選挙期間中の不用意な発言で大統領就任後も両者の関係が冷え込んでいましたが、原油価格高騰の緩和・解消のための増産要求や中東地区の緊張緩和、安全保障確認目的のため人権侵害やワシントンポスト紙の反体制政治記者カショウギ氏殺害関与疑惑が濃厚な同皇太子と会見しフィスト・バンプまでして関係修復を目指したのを裏切られ体面を失った感じです。

今回の減産措置も米国経済を混乱させ国力を奪い、国民の不満を煽ってバイデン政権と民主党を窮地に追い込み、自分達に都合の良い共和党主導の米国議会、更にトランプ(もしくは彼の意で動く候補者)の再出馬・再選を目指す裏工作があったのではないかと疑いたくなります。

余談が長くなってしまいましたが、同じく政治に関する今回のテーマ「米国中間選挙の結果は如何に?」に移ります。

現職大統領の当選後2年が経過した時点で実施される中間選挙は上院議員の1/3と下院議員全員が改選となり、同時に多くの州で州知事、州務長官、市長など州政府や自治体の重要な公職ポジションも改選されるため、その結果次第で連邦政府、州政府、自治体の政権・議会運営、行政、法令などが大きく変わることもあり、一般国民や市民の日常生活にも影響する節目の一大イベントです。本号が皆さんのお手元に届く頃には選挙が終わり、次々と開票速報から最終結果が報道されていると思います。

歴史的に中間選挙は現政権及び与党の過去2年間の政策の評価を反映するため、選挙前の期待が大きいほど与党(今は民主党)に厳しい結果が出ることが多く、第2次世界大戦後に行われた19回の中間選挙で当時の与党が上院で議席数を増やしたのは5回、下院では2回のみ。与党が上下院とも議席数を増やしたのは米国同時多発テロ事件のあった翌年2002年の中間選挙の一度のみで、今回も民主党には強い逆風が吹いています。

有権者の主な関心事として、民主党、共和党支持者に共通するのは長引くインフレーション対策です。後者には最大の関心事ですが、前者には妊娠中絶禁止法の復活・厳罰化、多数州での共和党主導の投票権・投票機会の圧迫・制約・制限立法化、銃規制強化も大きな関心事です。
残念ながら下院議員改選の結果予想では民主党が現職議員の引退・再出馬断念などもあって14〜15席を失い、共和党が過半数を占める可能性が高く、上院で現状と同じ同数または過半数を確保できるか否かが現政権・与党の生命線となります。鍵を握るのは接戦が予想されるアリゾナ、ジョージア、ノースカロライナ、ペンシルバニア、ウィスコンシン、ニューハンプシャー、ネバダの諸州と思われます。同時に改選されるアリゾナ、ミシガン、ノースカロライナの州知事選やニューヨーク市長選も結果がどうなるかで政局が大きく変わると思われます。

本選挙前の予備選で最も驚いたことは、出馬した候補者の中に前回2020年の大統領選挙結果をいまだに否認・否定する者(Election deniers)が何と345名もいたことです。共和党の立候補者がほとんどで、実に半数以上の62%に相当しますが、まる2年近くが経過した今も「死んだ子の齢を数える」ごとく「選挙に不正があった、トランプが当選していたはずなのに盗まれた、バイデンを大統領として認めない」と確かな根拠もなく言い続けています。彼らと連動して誤情報、偽情報を散りばめた報道でそれを扇動し煽り、増幅し続けている偏向メディアに乗せられて、騙され、誤信して支持・支援し続けている多くの人たちがいることも信じ難いことです。事実を認めず自分たちの野心と歪んだ考えをゴリ押しする彼らがトランプ派と反トランプ派、民主党と共和党、保守派とリベラル派、白人と有色人種間の対立、反感・憎悪、分裂を増幅し、トランプ派が暴力容認の力ずくでも相手をねじ伏せようとする動きが激化しており、直近ではナンシー・ペロシ下院議長の自宅に深夜暴漢が押し入り、就寝中のご主人がハンマーで攻撃され頭蓋骨骨折、手・腕の怪我で緊急入院手術となり、幸いにも一命を取り留め完全回復の見込みとのことですが、人権と民主主義政治を脅かすとんでもない犯罪です。反トランプ派の常識人や一般人に対する恐喝、暴力事件は前回大統領選挙でトランプが落選後に顕著となり、更に昨年1月6日の議会乱入テロ事件前後から一層悪化して、当事者だけでなくその家族や友人たちの生活や生命まで脅かす危険な存在となっています。民主主義社会でこのようなことがあってはなりません。

既に一部の州では本選挙の事前投票、不在投票が始まっており、何百万票もの数になっていますが、「前回選挙でメール・イン投票は不正の根源で信用できない」とメール・イン投票を無効にする訴訟を起こして敗訴したり、今後のメール・イン投票を禁じる法案を提出したアリゾナ州とお膝元ミシガン州の共和党議員連が今になって突然共和党支持者に事前投票をドロップ・ボックスに入れるかメール・インで早くするように促しているドタバタ劇はお笑いとしか言えません。

また、アリゾナ州知事選に立候補しているトランプ推薦のカリ・レイク共和党候補者はC N Nレポーターの「選挙結果を認めるか?」という質問に対し、「私が選挙に勝つ。その結果は認める。」と返事。続けて「選挙に負けた場合も結果を認めるか?」という質問に対しても同じ返事で答えになっていませんでした。選挙に勝てば結果を認める、負ければ結果は認めない、という本音が見え見えで呆れます。知名度優先かトランプ崇拝で選ばれた同じ考えのトランプ推薦共和党候補者がウジャウジャいて予備選で前回選挙結果を認めまともな考えの共和党の現職候補者や対立候補者を退けて予備選を勝ち取り、共和党の正式候補者になっているケースが9割程度にもなっています。「選挙結果は勝ったら認める、負けたら認めない」というのでは選挙ではなく『暴挙』です。

皆さん、想像してみてください。もし、こういう候補者が本選挙でまともな考えの民主党や無党派・無所属の候補者を打ち破り当選して米国の上下院の議員に就任したら、次期大統領選挙でトランプが再出馬または他の共和党候補者が出馬して選挙に敗れても、その結果を認めず否定するのが目に見えていて、前回選挙で米国憲法を遵守したペンス副大統領の常識と勇気ある行動で1月6日の議会乱入テロ事件の最中でもギリギリ救われた議会での正式承認手続きが不可能になる恐れがあります。考えただけでも恐ろしいことです。これは大統領選挙だけに留まらず、全てのレベルの選挙で共和党に不利な結果が出た場合にも当てはまるでしょう。これでは民主主義政治は成り立たず、議会も国家も破滅へ一直線です。

以前在米生活の長い日本人の友人との茶飲み話で、なぜ選挙権のない我々日本人が米国の政治や選挙について米国有権者より真剣に考え、悩み、心配しているのだろうとね、と話していました。前々回大統領選挙でトランプ前大統領を選ぶというとんでもない間違いを犯してしまった米国有権者に同じ間違いを2度と繰り返さないように切にお願いしたいです。再発防止ができるでしょうか?米国中間選挙の結果は如何に?神頼み、仏様頼みを続けます。

 

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第236回:「明日は我が身」が現実に!

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喧喧諤諤 ケンケンガクガク
喧喧諤諤

10月に入り今年も残すところ3ヶ月を切りました。「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、ミシガンも秋分の日を境に気温がグッと下がってきました。厳しい残暑が続いていた日本でも9月末に同月内7つ目の台風18号が発生しましたが、一つ前の17号が通過した後は「台風一過」でだいぶ涼しくなったようです。今年は台風の当たり年でしょうか?宝くじや景品のくじ引きなら「当たり」は大歓迎ですが、台風では有り難くないですね。

当地米国でも先月末にフロリダ州を襲ったハリケーン・イアンがその数日前に全国規模の停電被害をもたらしたプエルトリコ(奇しくも5年前にハリケーン・マリアの直撃を受けた当日の1日前に被災)の話題がそっちのけになるほど甚大な被害が出ている模様です。直近通過時の風力強度は最大規模のカテゴリー5に限りなく近いカテゴリー4でしたが、通過速度が遅く同州全域にもたらした長時間にわたる大雨増水と沿岸部の高潮による洪水のため間違いなく同州史上最大・最悪の被害になりそうなことが刻一刻と伝えられるニュース報道で明らかになりつつあります。場所によっては増水が地上15〜18フィートの高さにも達し、乗用車はもちろん平屋建ての家が屋根近くまで水没している映像がありました。沿岸部では停泊中の多くの小型船舶、ボートなどが打ち上がられてかなり内陸まで押し流されたり、車や建物、オーバーパスなどに打ち付けられていました。

最大級の被害を受けたフォート・マイヤーズでは沖の小島と結ぶ唯一の陸上交通手段である渡橋の一部が崩落し、島の住人は孤立状態でボートかヘリコプターでしか行き来ができない悲惨な状態です。ハリケーン通過後も残る洪水、浸水、道路上の瓦礫のため負傷者、病人を救出する救急隊も現場に行けず、行けても収容する先の病院、医療機関が浸水で入院患者を避難させねばならなかったようです。特殊な医療設備、医療技術が必要なI C Uの関係者は即刻患者の生死に関わることなので気が気でないと思います。救急隊も発進基地である消防署や救急センター自体が浸水したり、移動途中で立ち往生したりで思うように動けていないようです。救急隊のメンバーもそれが仕事とは言え、自分の自宅が浸水しているのにもかかわらず救出に出動する姿には敬服します。強風や倒木、落ち枝、飛散物などで断線したり冠水した電線、給電ケーブルの復旧にも州外からの応援を含めて3万人ほどの作業者が避難する人たちと逆行するように現場作業に向かっているというニュースにも感動します。被災地フロリダ全州の皆さんや被害に遭われた方々には心よりお悔やみ申し上げるとともに一刻でも早い救出・救助、瓦礫の除去、復興・回復ができますようにお祈りしております。

ハリケーン・イアンはフロリダ州通過後一旦熱帯性低気圧になりましたが、海水温度の高いメキシコ湾を北上しながら再び勢力を強めカテゴリー1のハリケーンとなり、本原稿作成時点でサウス・カロライナ州チャールストン方面に向かっています。有り難くない訪問者を迎える現地では過去の経験や事前情報を活かしてできる限りの準備をしているようですが、被害が最小限になることを祈ります。

スポーツの話題です。最終盤の日本のプロ野球ではセ・リーグは今シーズン話題の村上選手の活躍でヤクルトスワローズの連覇が決まり、2位のDeNAベイスターズと2チームはいち早くプレーオフ進出確定。もう1チーム3位が阪神に決まりました。パ・リーグは西部ライオンズが3位当確。ソフトバンク・ホークスとオリックス・バッファローズが僅差で首位争いしており、最終戦までもつれるかもしれません。同じく残り数試合となっている当地MLBではナ・リーグ東地区のニューヨーク・メッツとアトランタ・ブレーブスの首位争い以外は両リーグ各地区優勝チームが確定。今年は3チームが出場できるプレーオフはア・リーグがほぼ確定、ナ・リーグは最後の1スポットがフィラデルフィア・フィリーズかミルウオーキー・ブルーワーズのどちらになるかです。

今年も昨年以上に活躍し新たな記録を作り続けている大谷選手がニューヨーク・ヤンキースのジャッジ選手を退けて2年連続ア・リーグMVPに選ばれるかどうかが論議の的になっています。異論は多々ありますが、個人的には数十年に一度レベルのホームラン記録よりも100年〜120年に一度かそれ以上のレベルの二刀流が選ばれるべきだと思います。ネット記事やSNSブログで時々見かけるコメントで「我々は今現実に起きている投打二刀流について慣れ過ぎてしまい、日常起こり得る当たり前のことと勘違いし、正当な評価をしていないのではないか?」という趣旨のものがありますが、全く同感です。大谷選手が毎日のように打席に立ち、数日間隔でマウンドに登ること自体が稀有(けう)でミラクルなのです!しかもただ出るだけでなく、投打の一流選手たちと比較されるほどのトップレベルでプレーし続けているのです。毎日奇跡を起こしていて我々はそれを見てワクワク、ドキドキしながら夢のような時間を過ごしているのです!!はっは、ちょいと熱くなり過ぎましたが、ご賛同いただける諸氏も多いと思います。

今年もまたプレーオフで一流プレーヤー相手に投打両面で溌剌とプレーする姿を見られないのは本当に残念です。シーズンオフには球団の売却先と合わせて大谷選手の移籍の可能性有無が大きな話題となる予想でしたが、10月1日に年俸3,000万ドルの1年契約合意が電撃発表されました。残留が決まった以上は、誰が球団オーナー、G M、編成部長になろうとも来年こそプレーオフに出られるチームメンバー編成になることを切に願います。

前書きが超長くなってしまいました。前書きというより複部構成の第1部という感じになってしまい、失礼しました。

では、今回(第2部?)のテーマ【「明日は我が身」が現実に?】に移ります。

先月起きたウクライナの高速(光速)反攻による南東部におけるロシア軍占拠地域の大幅奪還、ロシア軍特殊部隊壊滅・残軍敗走、プーチン大統領によるロシア軍予備役30万人の部分的招集、国際法に従わず独断的・一方的にウクライナ国土の1/5に相当する4州での強制的住民投票によるロシアの属州扱い賛同多数操作に続いて同4州をロシアに併合する旨の宣言、併合条約の署名問題。英国のエリザベス女王2世のご逝去と空前絶後の葬礼・葬儀。米国内の1/16議会乱入事件調査委員会の継続証人喚問、トランプ前大統領が権限なく持ち出しマララーゴの私邸にずぼらに保管(所有)していた米国政府公文書の違法性問題、各種インフレ対策の効果と来月に迫る中間選挙への影響など幾つか書きたいテーマがありましたが、先月末に起きたプライベートな出来事について急遽書くことに決めました。
誠にお恥ずかしい話ですが、フィッシング・メールによる『なりすまし詐欺』に引っ掛かりました。似たような話は日米のネット記事やニュースで何度もいくつも見聞きしていましたし、家族にも注意を促していましたが、まさか自分が実際に巻き込まれ、「明日は我が身」が現実になるとは思っていませんでした。
自分としては極めて恥ずかしいのでこのような場で公表したくない気持ちもありましたが、本紙の読者やそのご家族、友人、知人のどなたかが同じような災難に遭ってはならないと思い直して本稿で公表することにしました。
「年甲斐もなく」とか「私としたことが」と大いに自省しておりますが、むしろ「この年だから」とか「私だから」起きた事件かもしれません。(汗)

では、一連の出来事を思い出しながら(本音では思い出したくないのですが)時系列で書き出してみます。

1. 事の発端は皆さんもご存知で利用されている方も多いと思いますが、世界中に利用者がいるオンライン決済代行サービスのPayPal(実際はそのなりすまし人物)からのメールです。

2. その日は夕方5時過ぎまでラップトップでちょっと時間のかかる仕事をしていてようやく終わって受信メールでもチェックしようかなと思っていたところにポロンと1通のメール。

3. タイトルを見るとInvoice from Billing Department Of Paypal となっており、「最近何か買ったかな?」と思いながら開いてみると前にも見た様なPayPalのロゴマーク入りのメールで「同社の請求部門が私宛に$1,000の請求書を送った」というフォントの大きな文章とその下に「私のPayPal口座が不正にアクセスされグーグル・プレーのEギフトカード購入費として$1,000が計上された証拠がある。この取引をした覚えがなければ、直ちに無料のこの電話番号にコンタクトしてください。当方営業時間は西海岸時間の月曜日から土曜日の午前6時から午後6時」と記載されていました。

4. この手のメールやテキストは常に疑い、多くは開かずプレビューで見れる範囲のみ読んで削除するか、全く読まずに削除したり、開いてもそこに記述されている関連リンクや添付物は絶対にクリックしたり、開いたりしない習慣でおりましたが、何故かこの時だけ疑念が湧かず反射的に指定の電話番号に掛けてしまいました。

5. 直ぐにアレックスという男性が出て覚えがないと伝え、先方が知っている事情を尋ねたら、私のPayPalの口座がハックされテキサス州のヒューストン、オハイオ州のコロンバス、海外ではナイジェリアとコロンビアでも口座を使った取引が行われた形跡あり、直ぐに止める必要があるとのこと。同口座に連結している私の取引銀行名まで口にしたので、真に受けて信用してしまいました。

6. どうしたらいいか尋ねたところ、「PayPalのセキュリティーカードを持っているか?」と聞かれ「持っていない」と答えると「電話を繋いだまま直ぐに近くのKrogerかWalmartに行ってパーキングロットに着いたら次の指示をする」とのこと。生憎娘が車を使っており家内も出かけていたため「車がない」と伝えると料金は後で払い戻すのでUberで行くように言われ、Lyftを呼んで携帯電話のバッテリーがいつまで切れずに続くか気にしながら最寄りのKrogerに向かいました。

7. パーキングに着いて次の指示を尋ねたところ、その後中国や日本でも私の口座が使われており被害拡大を防ぐ意味で急ぐ必要あり、セキュリティー担当に繋ぐと言われ今度はポールという別の男性に代わり、周りに人がいないのを確認した上で説明を聞くように言われ、音波状態が悪くて聞こえにくかったのですが、「店に入ったら誰とも話さず、プリペイドのeBayギフトカード$400を購入し、レジで何か言われたら孫へのプレゼントだと答えるように。買ったらまたパーキングに出るまで電話でも話すな」と言われました。その店にはなかったので他のではダメかと確認してTargetのプリペイドカードを手に取ってレジに並びました。

8. 夕方の買い物客でレジが混んで並んでいる間に「プリペイドカード購入?何処かで聞いたような話だな。これでいいのかな?」とやや疑念が湧き、元の受信メールの再確認やPayPalのオンラインサイトに行って確認した方がいいかな?と思ったのですが、手持ちの携帯ではあれこれ同時進行でやり切れず、電話が切れたりバッテリーパワーが急速になくなっても困るので、そのままレジで$400のプリペイドに指定して購入し、店外に出ました。

9. パーキングの立ち話でまた周りに人がいない所に行って話す様に言われ、指示通りカード裏のシール部分を指で削り、カード番号とアクセス番号をこれでいいのかな?と思いながら伝えました。今思い返すと被害の拡大を止めたい気持ちが強過ぎて普通の心理状態ではなく、まるで催眠術にかかっているように誘導され不思議な感じでした。番号を伝えた後、電話の相手がまたアレックスに変わりましたが、処理に3分から5分かかるのでそのまま待機する様に言われましたが、それ以上待たされたかもしれません。(帰宅後カードが登録できるか確認したところ既に誰か別人(犯人)が登録済み。当然ながら待たされている間に処理されていました。)

10. その間に自宅に帰っている筈の家内に電話し、詳細は話さず帰りの迎えを頼みました。家内が来て車に乗って家に向かって行こうとした矢先に「更に海外で被害が拡大しており、インターナショナルのセキュリティー対策をしなければならなくなったので、別の店に行って別のプリペイドカードを買って同じようにしてくれ」と言われ、短い説明を聞いた家内に「それ詐欺じゃあ!電話しちゃダメじゃない。」と言われ呪縛が解け、催眠術から目覚め、まだ繋がっていた電話を直ぐに切りました。その後も何度か掛け直してきましたが、もちろん出ませんでした。

11. 自宅に戻って直ぐにPayPal口座とメインの支払い方法としてクレカが登録してあるAMEXに電話して事情を説明しカードを無効にし、新規カードの発行依頼をし、またバックアップの支払い方法として登録している銀行口座の連結も解除しました。その後数日他に何か被害がないか注視していますが、幸い今のところ無いようです。PayPalの口座はハックされた形跡はなく覚えのない購入費用も発生していないので、私のメルアドや連結していた銀行名は恐らく私が過去に購入した先の海外メーカーか中間の取次業者の関係者が犯罪グループにデータを売ったか悪友に漏らして悪用したのではないかと思われ、PayPalのセキュリティーの問題ではないようです。
ご利用の方はご安心ください。

以上、恥を忍んで長々と書きましたが、自戒の念と共に、日本人は狙われやすいので、皆さん似たよ
うなフィッシングメールにはくれぐれもご注意ください。

 

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第235回:トランプウィルス、封じ込めなるか?

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喧喧諤諤 ケンケンガクガク
喧喧諤諤

9月、ほんの少し前に学校が夏休みに入り、勤務先の盆休みが続いたと思っていたら、もう新学期が始まりました。今月半ば過ぎれば秋のお彼岸、秋分の日を迎えるミシガンは一気に秋色を帯びてきますね。コロナ騒ぎは続いていますが、ピークを過ぎた米国では一足先に航空機内や店舗、学校のクラス内、屋内集会でのマスク装着や人間(じんかん)距離確保の義務が解除され、既往症のある病弱の方、高齢者、特殊業務従事者以外はマスクをしている人をほとんど見かけなくなりました。自由な空気、解放感は感じるものの、変異株やサル痘他の感染症の局地的、一時的感染爆発が再発あるいは新規発生しないかという心配も消えません。世界一マスク装着率が高かった日本でここ数ヶ月新規感染者数が過去最悪になり、実数把握すら危ういというニュースには驚きしかなく、海外在住の我々日本人は「どうした日本?大丈夫か?」という思いです。この10年〜15年ほどで国際的な学力測定・比較
で日本の学生の数学力が下降線をたどり続けていますが、日本政府が難しい数学ではなく単純な算数でさえできない状態とは情けない限りです。正確な数字、データがなくては正確な分析、対策も手遅れや的外れとなり、被害規模が大きく問題が深刻化して長引くことになりかねません。「しっかりせい!」と発破をかけたいのは私だけではないでしょう。

新学期の始まりと機を同じくして、パンデミック中は出来るだけリモートワークを奨励していた企業がRTO(Return to office)の方針に舵を切り始めたニュースもあります。会社の経営者、管理者の多くは業務遂行上、近密なコミュニケーション、OJT(On-the-jobtraining)、業務や部下を目で見る管理が可能なRTO歓迎ムードですが、リモートワークの利便性、自由度に慣れてこれに反対する管理者もいますし、部下であるかなりの従業員が反対・抵抗する傾向もあるようです。会社経営、事業継続、収益性確保が危うかったり、働き手が確保できなかったりでは元も子も無くなりますから、どちらも一方的な要求に固執せず双方納得・合意できる合理的な解決方法、着地点を見つけて欲しいと思います。

スポーツの世界では、カレッジフットボールがシーズン・イン。プロのNFLが直ぐ後に、そしてバスケットボール、アイスホッケーとウィンター・スポーツが続きます。プロ野球MLBはレギュラーシーズンが残り1ヶ月を切り、プレーオフに出れる球団と出れない球団がハッキリしてきました。出れない球団が来シーズン以降に向けて若手の育成やトレード補強の構想を練る一方、まだ少しでも出場可能性のある球団は夢に向かって、また現時点で可能性が高い球団はそれを確実にするために最後の一踏ん張りをするホームストレッチですね。

二刀流大谷選手が所属するロスアンゼルス・エンジェルスは残念ながら1914年を最後に8年連続で今年もプレーオフ進出できず、彼がプレーする姿を少しでも長く観たいファンには残念でなりません。エンジェルスに関しては8月2日のトレード期限までに大谷選手の残留が決まり、球団のファンは一安心したのも束の間、先月下旬にオーナーのモレノ氏が球団売却検討の意向を発表(既にその2ヶ月前から売却の方向で動き始めていたとの報道もあり)。チームのメンバー、ファンはもちろん、MLB全体に波紋が広がっています。トラウト選手に加えて大谷選手が球団にいる、いないで球団の市場価値、売却価格が大きく変わる(逆に買い取り側はその分買取価格に大きく影響する)ため興味はあっても買えない球団もあるでしょう。大谷選手のトレードを見合わせたのは売却価格を高くする狙いがあったと思われます。もう一つの要素は、エンジェルスより5ヶ月ほど前から球団身売りの話が具体的に進んでいるワシントン・ナショナルズの進行状況です。ナショナルズを買い取った新オーナーは資金的にエンジェルスには手を出せませんので、買えなかった落選組からエンジェルスの新オーナーが出る可能性がかなりあります。大谷選手自身は「売却は自分ではコントロールできないこと。自分は残りのシーズンや
れることをやり切るだけ。」と達観していますが、ポストシーズン中にトレードの可能性再燃で周りが騒がしくなりつつあります。所属球団がどこであれ、新オーナーが誰であれ、彼が二刀流を続け投打で活き活きとプレーでき、願わくはプレーオフ進出、ワールドシリーズでMVP級の活躍をして、新たなMr. Octoberの称号を得る日がそう遠くないことを願ってやみません。

さて、今回のテーマは「トランプウィルス、封じ込めなるか?」です。
先月号で世紀末の様相?と書きましたが、今も毎日日替わりで色々なニュースが飛び込んできます。美味しい日替わりランチならいいのですが、良いニュースが少なく、多くの悪いニュースには辟易としています。幾つかを挙げますと;

1) ロシア軍のウクライナ侵攻はまる半年を経過しても収まる兆しが見えず、ロシア軍に占拠されたウクライナ南部のザポロジエ原発が制御不能のメルトダウン状態になるかもしれないというリスクの現場検証のためIAEA(国際原子力機関)の視察団が先月末現地に向かいましたが、経路をロシア軍が砲撃して現地入りを妨害しているという報道もあり、現時点では現場検証が実現するか、検証結果が安全・合格と出るか未知数です。

2) コロラド州では15年ほど前からコロラド川流域の旱魃(かんばつ)による水資源不足が悩みの種でしたが、今年は更に悪化し先月全州で下流での取水制限、企業や一般家庭での水の使用量制限を緊急発令。生活用水だけでなく流域の生態系が回復不能なレベルになる恐れがあると専門家は警鐘を鳴らしており、人間優先でなく生態系保全優先が叫ばれています。上流にある二つのダムの保水量が30%台まで落ち込んでいる旱魃と水不足は同州だけに留まらず灌漑用水の供給を受けている米国西部アリゾナ、ネバダ、カリフォルニア州、更にメキシコにも及び、100年の歴史で初めてという大幅な来年の水使用量削減が義務付けられました。流域で大量の水を使う米栽培をやめろと言う声も出ているので、輸入国日本とも無関係ではありません。

3) テキサス州共和党選出のアボット州知事はメキシコ国境から際限なく入り込んでくる移民・難民の取り扱いに業を煮やし、事前協議・了解取り付けもせず一方的に移民・難民に寛容な民主党基盤の首都ワシントンD.C.やニューヨーク市に毎週連日のようにバスで移民を送り込む暴挙に出ました。既にバス輸送に12百万ドルもの費用を費やし、その累計人数は1万人近くになり、受け入れ側では食料・飲料水の確保、住まいの割り当て、外国人向け英語学習クラスの手配などでテンヤワンヤとなっています。英語表現では「自分の背中のサルを他人の背中に乗せる」と言いますが、責任転嫁で真の問題解決になりません。全く州知事の度量もない恥知らずな行動で、イジメ、嫌がらせとしか思えません。

4) ケンタッキー州東部で過去最大規模の洪水が発生し、多数の死者と物的被害が出たのに続き、ミシシッピー州の州都ジャクソンで河川の氾濫と水処理施設の不具合で飲料水の供給が間に合わず15万人以上が助けを求めています。体を洗うシャワーやトイレを流す生活用水も断水状態で最低限の日常生活に支障を来しています。海外ではパキスタンで致命的な大洪水が発生し、被害、混乱を解決するための海外諸国からの支援を求めています。

5) 先月号でも触れたグリーンランドの融解氷による海面上昇はこのままの速度で進むと今世紀末までに全地球規模平均で10インチ上昇するとの専門家予想。平均ですから、場所や季節、気象条件によってはそれ以上になるので、水没、洪水、浸水、冠水する地域が今の数倍から数十倍に膨れ上がるかもしれません。氷は溶ける時に融解熱として気温を下げる働き以外に太陽光を大気圏外に反射して陸地や海面に吸収される太陽熱を軽減する働きもあるので、極地や氷河、寒冷地の氷の量が減ると二重のマイナスで気温上昇に拍車がかかります。溶けた氷は元の氷塊には戻りません。分離、流出した海上の氷塊は船舶の航行や漁獲作業の障害となります。

6) 過去最大規模の気候変動対策を盛り込んだインフレ削減法案が上下院とも可決通過し、大統領署名を得て正式立法化。前回大統領選時のキャンペーンで公約していた気候変動対策、法人税増税、医療費・薬価の引き下げなど民主党の目玉の政策がようやく実施可能となります。更に追い掛けで学生ローンの負債免除・軽減補助計画の詳細も発表され、生活苦に悩む低所得層、学生には歓迎されています。7月に就任後最低の支持率だったバイデン大統領の評価も急速に40%台に回復し、11月の中間選挙に向けて民主党の士気高揚、予備選でトランプ推薦候補者と非推薦候補者の党内対立が見られる共和党は上下院ともマジョリティーを奪還できるとの楽観視から多少悲観的な予想に繋がっています。

7) トランプ前大統領のマララーゴの私邸に司法省から捜査令状を得たFBIが家宅捜査に入り、最高度の国家機密資料を含む公文書多数を押収。トランプ側や共和党幹部は中間選挙と次期大統領選に向けて民主党有利を目指す政治的目的の個人攻撃と非難していますが、米国国家公文書館が前回大統領選後トランプがホワイトハウスを退去する前後に持ち出した公文書を返却するようにトランプの弁護士団に何と昨年1月から正式書面で繰り返し要求していたにも拘らず、実行されていないことを司法省も察知して今年5月からFBIがトランプの弁護士団に何度か接触し速やかに返却するように、返却が完了するまではアクセス権のない人物が近づけないように安全な保管場所に厳格に保管管理するように指示して、違法行為扱いの大事にならないように配慮していた節がありますが、内部情報源から核に関する国家
機密や諜報活動に携わる諜報員や情報入手元に関するトップシークレットも含まれていることが判明し、国家安全保障に関わる重大問題として公文書押収に急遽動いたものと判明しました。また、持ち出した機密扱いの公文書は機密扱いを解除したものであると、トランプ自身が解除手続きをした記録もないのに嘘の言い訳をしたため、大統領職を離れた後私人の立場で公文書を違法に持ち出したこと、私邸に違法に保管していたことを自ら認めて墓穴を掘った形となり、今回ばかりは如何に弁護士団が言い訳しても、法的懲罰は免れない状況のようです。

8) 本原稿作成作業中に入った最新ニュースでは、旧ソビエト連邦最後の共産党書記長、国家元首であり唯一の存命者であったミハイル・ゴルバチョフ氏が91歳で逝去。米国の故レーガン元大統領との対話で米ソ間の冷戦、核兵器開発拡大競争に終止符を打ち、冷戦の象徴であった東西ドイツを分離していたベルリンの壁を撤去して緊張緩和に向けた功績は西側諸国のみならず世界的に評価された一方、国内共産党タカ派や対立支持派からは『売国奴』、『裏切り者』呼ばわりされて評価が分かれた経緯がありますが、強く記憶に残る人物でありました。R.I.P.(合掌)

上記の内、6)がインフレ、地球温暖化の影響に悩む米国民にとって(間接的には他国民にも)グッドニュースですが、7)も諸悪の根源であるトランプが犯罪者として起訴され法的に有罪となれば、大統領職はもとより二度と公職に就けなくなり、再びホワイトハウスや米国議会で私利私欲のみを追求する悪行を未然に防げる意味で朗報と言えます。トランプの取り巻き連中や頑固な支持派、甘言に乗せられ騙され続けてきた庶民も諦めるか、目が覚めて正気に戻り、「トランプウィルス、封じ込めなるか?」という期待感もあります。

常識ある善男善女の皆さん、Keep your fingers crossed!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第234回:21世紀初頭に世紀末の様相?

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喧喧諤諤

  8月になりました。日本では学校の夏休み、勤務先の盆休みが重なるこの時期、直近の2年間はパンデミックで自重されていたものも含めて、先月中旬から各地で夏祭りや夏の行事が次々と催されていますが、それと機を同じくして第7波と思われる新型コロナの感染爆発が全国規模で起きているのが気掛かりです。米国でも新規感染者の約8割がそうであるようにオミクロンの変性亜種BA.5が感染の主役のようですが、先月下旬から連日20万人を超える過去最大規模の新規感染者数になっており、医療機関の受け入れ・医療対応能力が急激に逼迫しています。GW連休前の緊急事態宣言及びまん防法適用の全面解除後に人的流動性(人の動く頻度、範囲)が増えたのと連動して徐々に新規感染者が増加し、感染爆発の予兆があったにもかかわらず、政府として特段の対策を講じないまま外国人の入国制限緩和、全国的な参院選のキャンペーン・集会活動が続いたのが災いしたようです。

  特に沖縄などの有名観光地、ホットスポットには全国から観光客が訪れ、たまたま そこで感染した人たちがそれぞれ居住する都道府県に帰ってから2次感染、3次感 染となって拡がり全国レベルで感染件数が急増したものと思われます。検査能力・ 件数の増加やワクチン接種後の時間経過に伴う免疫力の低下、感染力の強い変性 亜種の発生も寄与していそうですが、都市圏など人口密度、密集度の高い場所を中 心とする感染機会・リスクの増大が一番の理由でしょう。「時すでに遅し」の感は否 めませんが、政府と関係省庁・機関にはBetter than neverで今からでも最善の緊 急対応策を実施・徹底してもらいたいものです。

  また、日本国内でも感染第1号が確認されたサル痘についても、世界75カ国・ 地域で総数1万6千人超の感染者が確認された時点でWHO(世界保健機関)がコ ロナではタイミングが遅れた緊急事態宣言を先月下旬に発し、各国に一層の注意を 喚起しました。先月末にはホークル・ニューヨーク州知事が州内のサル痘拡大を受け て緊急事態宣言を発令。地元ミシガンでは先月末現在4名の感染者が確認されて いますが、今後増加が懸念され必要なワクチン不足が明らかですので、皆様、コロナ と合わせて十分にご注意ください。

スポーツの話題では、8月2日が期限であるMLBのトレードの話題で二刀流 大谷選手の去就が注目されていますが、原稿作成時点では残留か電撃トレードか 結論が出ておらず、どうなりましたでしょうか? 所属するロスアンジェルス・エンジェ ルスは、シーズン初めの4月から5月上旬までア・リーグ西地区のトップを独走し、今 年こそプレーオフ進出と2002年以来20年ぶりのワールドシリーズ制覇かと期待 させましたが、5月中旬アウェイでのテキサス・レンジャーズ戦でつまらぬ継投の失 敗から3連敗を喫したのがケチのつき始めとなり、5月下旬から6月上旬にかけて昨 年までと同じ投手陣の崩壊に打撃陣の不振が重なり、不名誉な球団新記録の14連 敗を喫して一気に急降下。7月末には地区4位に低迷し、プレーオフ進出もほぼ絶望 的となっています。球界のスーパースターであるトラウト、大谷両選手を抱えながらの チーム状況を悲観して、プレーオフで活躍する大谷選手の姿を見たいファンや評論 家からトレードを薦めるコメントが相次いでいましたが、球団の経営・財務状況、二 刀流をハイレベルで何年続けられるか、トレード候補先の懐事情と現有選手の起用 状況、見返りに出せる有力・有望選手の有無など複雑な要素があり結論出しは容易 でありません。本人は「自分には決定権がないので、やれることをやるだけ」と今まで 同様に全力プレーを続ける姿勢ですが、最終的には本人が納得できる形で決着して いるといいですね。

さて、今回のテーマは「21世紀初頭に世紀末の様相?」です。

時は2022年、21世紀初頭と言っていいくらい今世紀(2001年〜2100年) に入ってまだ日(年?)が浅いですが、最近身の回りで起きている諸々の事件、事故、 現象や世相を見ると何か世紀末的な感じがします。つい先日も仕事でお世話になって いる知人と電話で話した際に、奇しくも同じ『世紀末』という言葉を聞いたので、そう 感じているのは私だけではないのだと知って急遽このテーマを思い立った次第です。

年齢が40代以上の皆さんはご記憶があると思いますが、「1999年7月に恐怖 の大王が舞い降りて来て人類滅亡の日が来る」と言われた五島勉の著書『ノストラ ダムスの大予言』が1973年に出版され、映画化もされて当時の社会不安とメディ アの興味本位の取り扱いを背景にセンセーショナルな話題となり、約四半世紀にわ たって日本国内で未来に対する悲観的な影響を与えました。『恐怖の大王』は宇宙 から飛来する流星か隕石だとか、複数の大地震と火山噴火の同時発生だとか、スペ イン風邪を凌駕する世界的な疫病の大流行だとか、噂話や憶測が飛び交い、本当に 信じていたのか世相に流されていたのかは別として、人類滅亡の日が近づいている と思って、未来を悲観し、日常的な義務や努力を怠り現実逃避的にルールや他人の 迷惑を顧みずに自分勝手な言動をしたり、刹那的な快楽・快感を求めてさまよい、自 律自制できない人、自暴自棄になる人、自殺する人などが少なからずいたように記憶 しています。

何か2022年今の世の中の様相に似ていると思いませんか?

スペイン風邪を上回る犠牲者が出ている新型コロナ(加えてサル痘も出現)の世 界的大流行、地球温暖化の加速による南極大陸の棚氷、北極圏の氷河・氷山・海 氷の記録的な速度と規模の融解、ロシアやアラスカのツンドラ(永久凍土)地域の気温上昇と融解、有害埋蔵物質の露出、グリーンランドの陸氷融解で先月には毎日 60億トンの融解水量(オリンピックサイズのプール2百40万個分相当)を確認、植 樹とバランスが取れていない過剰森林伐採による砂漠化、二酸化炭素を吸収・固定 し有益な生体物質を生成する光合成能力の減少、大規模で頻繁な旱魃と山火事、 大型台風・ハリケーン・サイクロン・竜巻、大雨・洪水の頻発、海水温度と海面の上昇 による島嶼国や湾岸都市・地域の水没・浸水・冠水、海流の変化と棲息魚群・プラン クトンから始まる生態系と漁獲量の変化、頻発する地震・火山噴火などなど世界各 地で高頻度・大規模な自然(人的要素も大きいですが)災害の発生が常態化してい ます。これはアブノーマル(異常)なことであって、決してニューノーマルにしてはなり ません。

人的には、規制強化が進まず件数も犠牲者の数も増えるばかりで後を絶たないテ ロ攻撃や銃乱射・銃撃事件、鎮痛剤オピオイドに代表される薬禍、人種・性(性的 指向を含む)差別、移民・難民受け入れ厳格化と差別の存続、貧富差の2極化と貧 困層の拡大、コロナ禍から回復した景気の先行きを不安視させる物不足、人手不足 と高止まりするインフレ、民主・共和の2大政党間だけでなく各種グループ・団体・ 家族・個人レベルまで蝕む対立・分裂・抗争・憎悪・暴力の波、ロシアのウクライナ 侵攻、北朝鮮の核・ミサイル開発と脅威の継続、覇権を目指す中国の一帯一路政策、 『世界の火薬庫』中東の絶えることのない紛争とキナ臭さ、三権分立と公平な参政 権・投票権が基本の民主主義への政治的介入と偏向、偽情報・誤情報を乱発・氾濫 させ国民を操作・煽動しようとする自己中で悪意に満ちた政治家・グループ・団体・ 個人の存在、自分達に不利・不都合な有権者の投票権・投票機会を剥奪・制限・制 約しようとする反民主主義的動き、時代の流れに逆行する最高裁の判断、政党の党 利党略で悪化する対立・分裂と国民の不平・不満、生活苦などなど。いやあ、数える のに手指10本ではとても足りませんね。

白昼堂々公然と事実に基づかない偽情報や誤情報を鵜呑みにして不当に人を非 難、誹謗、中傷するだけでなく暴力行為も容認して威嚇、恐喝する輩が何と多くなっ たことでしょうか。これも自律自制能力年齢が6歳の子ども並みと言われる自己中 でわがままなトランプ前大統領がパンドラの箱を開けてしまい、この世のありとあら ゆる災いを米国内だけでなく世界中にばら撒いてしまった結果、大統領自身が悪の ロールモデルとなって、それまでギリギリ何とか良い子になろうとしていたか、良い子を演じていた一般国民のタガが外れて「大統領がああなら我々もそうしていいのだ な」と節操のない自分勝手な言動に走り始めたのが今の状況に繋がっています。本 当にトランプの犯した罪は重大です。

先月末で調査が一段落し、9月に再開予定の1月6日議会乱入事件調査委員会による複数のトランプ直近関係者のTV公開議会証言で旧知の事実も含めて「本当に どこまで腹黒い、根の腐った悪い奴らだ」と思いましたが、引き続き調査を続けて核 心に迫り9月再開の際にはトランプ自身の首根っこを押さえてグーの音も出ない絶体 絶命の窮地に追い込んで、2024年の次回大統領選出馬の断念だけでなく、司法 省の正式犯罪捜査で起訴・有罪化まで持ち込み、2度と公職につけないように、また政界・政治・共和党への影響力を無力化できるようにして欲しいですね。

余談ですが、共和党の1議員が「(長年軍用目的以外の製造制限や一般人への 販売禁止、取得資格・年齢制限が求める声を横目にいまだに18歳でも購入可能な) AR−15自動小銃の販売制限をしても銃乱射・銃撃事件は減らない」と呆れた発言 をしていましたが、たとえ発生件数は同じとしても装填弾薬数が多く自動連射が可 能で大量殺傷能力の高いAR−15と連射能力のない普通の小銃やハンドガン(拳銃)では1件当たりの犠牲者の数が段違いになる点を全く無視しています。百害あっ て一利なしのこんな政治家がまともな国政に寄与できるとは思えません。次回選挙 では再出馬を断念するか落選して国政の現場からお引取り願いたいものです。

冒頭で触れた参院選キャンペーンと言えば、安倍元首相が奈良県で応援演説中に 暴漢に手製の銃で撃たれ亡くなられたニュースは、「世界一安全な国」と言われる母 国日本と日本人の私にとって極めてショッキングな事件でした。生前現職就務中の 国政や公私両面での言動には賛否両論ありで評価も分かれましたが、故人となった 今はご冥福をお祈りするばかりです。(合掌)

一国の元首やリーダーが政敵や暴漢に命を狙われるケースは時々ありますが、銃 の取り締まりや管理・監督・監視が世界トップレベルで厳しい日本で起こるとは驚 きです。日本でもこんな事件が起こるとは、正に世紀末の様相と言えるかもしれま せん。インターネット情報や3次元プリンターの普及で手製銃の製作や悪用などコ ピーキャット(模倣犯)が後追いして、日本でもテロ事件が増加すると予想している 政治・社会評論家もいますが、そうならないように既存の法令・規制の見直しと改定 が必要かもしれません。

以上、色々と書き連ねてきましたが、我々の次の世代の未来に少しでも多くの夢と 希望が引き継げるように、自戒も含めて一人ひとりが自覚を持って今の世紀末の様相 を具体的に消していかねばなりません。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

喧喧諤諤 第233回:2022年上半期を終えて

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喧喧諤諤

月に入り、日本の本州ではそろそろ梅雨明けの時期ですが、最近は梅雨入り前から雨の日が多かったり、梅雨明け後に豪雨があったりで梅雨時期がはっきりしませんね。例年なら梅雨がなく爽やかな気候を求めて旅行者が訪れる北海道が梅雨のような雨降りだとニュースで知りましたが、これも地球温暖化による気候変動の影響でしょうか?

 寅年2022年もあっと言う間に上半期が過ぎました。年男の私は今年は何か一つでも(多く?)人様のお役に立てる事、老人ボケでも記憶に残る事をしたい、為さねばと年初に思いましたが、残念ながら今のところこれと言った成果を出せていません。努力賞程度のものとしては、3月中旬に元勤務先グループのOBと現役が発起人・幹事となって制作・編集・発行した北米駐在経験者有志多数の投稿による
『北米駐在の想い出』集への寄稿と先月・先々月号で話題にした東京の生家が公衆浴場業を廃業する直前4月上旬の緊急日本一時帰国時の廃業前最後の入浴、兄弟姉妹、甥・姪、親族との再会くらいでしょうか。下半期にもう少しレベルアップした『事づくり』を実現したいものです。できるかな?「成せばなる、為さねばならぬ何事も。ナセルはアラブの大統領。」(という古〜い昭和のギャグを突然思い出しました!)の意気込みで臨み、年末に「やれなかったのか?やらなかったのか?」と自問自答しなくて済めばハッピーエンドですね。

 今回のテーマは「2022年上半期を終えて」です。

 今年も上半期だけで国内外で様々な出来事がありました。自分の覚えも兼ねて主なニュースを列挙しますと、1月日本ではコロナ騒ぎで『まんえん防止法』適用が34都道府県にまで拡大。男子体操のスーパースター内村選手が現役引退。トンガで海底火山噴火、近隣諸国に津波発生。テニス全豪オープン男子シングルスでナダル選手優勝、メジャー大会史上最多の21勝(6月全仏優勝で22勝に)から始まり、2月には将棋の若き天才藤井聡太氏が10代初の5冠達成。冬季北京五輪開催、日本はメダル獲得史上最多の18個。閉会直後の2月24日に起きて今なお続いているロシア軍のウクライナ侵攻は上半期最大の事件。これに関しては別途もう少し後述します。3月日本ではまん延防止法が全面解除となり国内の動きが少しだけ自由に。ウクライナのゼレンスキー大統領の国会演説は賛否両論、ロシア通と言われる元閣僚の辛口批判とロシア擁護発言もあり。日本映画「ドライブ・マイ・カー」がアカデミー賞国際長編映画賞受賞。薄氷のスタートで始まったサッカーワールドカップ2022年カタール大会アジア最終予選で日本代表サムライ・ジャパンが7大会連続出場決定。4月には日本の知床沖で観光船が沈没し多数の犠牲者。円急落で為替レート130円/1ドル台に(その後も続落し先月末には137円台の最安値更新)。プロ野球ロッテ・マリンズの佐々木朗希投手が28年ぶりの完全試合。マクロン仏大統領再選。5月日本ではバイデン米大統領来日首脳会議、日米豪印4カ国会議開催、反対デモも散見。オーストラリアで9年ぶりに政権交代。
黒人を標的にしたニューヨーク州バッファローのスーパーマーケット、ユダヤ人を標的にした南部カリフォルニア州チャールストンのユダヤ人教会に続きテキサス州ユバルディの小学校で銃乱射事件発生、幼い子供たち19名と教師2名が犠牲に。
米国で銃撃事件、誤射事件、銃による自殺がない日は皆無。6月日本ではコロナ騒ぎによる外国人の入国規制・手続きが大幅に緩和され、先に緩和されていた日本人の入出国手続きと合わせて日本への一時帰国や訪問がずっと容易に。米国でも入国時の事前検査義務解除となり、日本からの訪米も少し気軽に。その一方で、テキサス州のメキシコ国境近くで輸送用コンテナー内から不法移民者(メキシコ、ホンジュラス、ガテマラから)の死者53名発見。コンテナー取扱業者2名逮捕。ウクライナでのロシア軍攻撃激化、ウクライナ側軍も民間人も被害甚大。フィンランド、スウェーデン2カ国のNATO新規加盟承認、プーチンに大打撃。米国では年初来の高インフレ継続、ガソリンや食品・食材、日用品など生活必需品が軒並み物価高騰でFR Bによる複数回の金利引き上げも効果は限定的。昨年1月6日に起きたトランプ支持派の米国議会乱入事件の米国議会調査委員会の調査も正式報告書作成・提出に向けて大詰め近くとなり、議会での証人喚問公聴会が毎週のように開催され、直近ではトランプ前大統領の首席補佐官であったマーク・メドウズの元側近キャシディー・ハッチンソン女史の宣誓証言(事前ビデオと出頭対面)でトランプ自身、ファミリーメンバーと政権幹部及び周辺重要支援者の事件前後の内部の動きがTV生放送され、事件当日とその前後の内部事情が公表・露呈されまともな国民に新たな驚きと怒りをもたらしました。全くもって恥も外聞も無く違法と知りながら数々の悪事を働き、それに加担する協力者やお人好しの有権者からバイデン当選無効・トランプ再選のための訴訟費用に使うと騙して巨額の資金を集め、白昼堂々それを隠し否定するウソと偽情報、誤情報を連発する悪党一味ですね。本当に全員まとめて犯罪者として有罪、末長く禁固刑に処して二度と悪事を働けないようにしないといけない輩です。

 銃規制については、直近5月の連続銃乱射事件が引き金となって民主・共和両党のまともな議員たちが超党派で約30年ぶりに新たな連邦銃規制強化法案を可決・承認。但し、バイデン政権と民主党が目玉として強く推していた軍用のAR−15自動連射銃などの多数殺傷銃火器の販売制限強化と銃所有許可年齢の引き上げは共和党の賛成票取り込みのために見送られ、骨抜きに近い結果。

 一方で、その直前のタイミングで共和党推薦判事が過半数の最高裁はニューヨーク市の公共施設・場所への銃持ち込み禁止条例を違憲と判断。続いて50年近く前に法廷で争われたロー対ウェイド事件の裁判結審で妊娠中絶を合憲と容認した最高裁判例を覆して違憲と真逆のルーリング。当該3名の比較的新任の最高裁判事はそれぞれの任命前公聴会にて「過去の最高裁判例を尊重し、慣例を継続する」と明言したにもかかわらずこの体たらく。最高裁判事が嘘つきではまともな法の解釈、遵守は不可能。

 このルーリングを受けて、共和党コントロール下または優位の多くの州(レッドステーツ)では既に事前に立法化または準備中の中絶禁止法案を直ちに施行する動き。生まれる前の命を尊重・保護と妊娠中絶の違憲性、違法性を声高に叫ぶ一方で、学校や公共施設で幼い子供たちや移民・難民、外国人、社会的弱者などが人種差別者、白人至上主義者や個人的憎悪や恨みから標的にされ、いとも簡単に命を奪われることには平気でいられ、銃規制に反対するという矛盾する二律背反的な異常性は理解不可能です。妊娠中絶問題は銃規制強化と合わせて賛否双方の国民・団体・グループ間の対立、憎悪、分裂、抗争に拍車。今後ますます銃撃・銃乱射事件、テロ・暴力行為が各地で頻発、大規模化し、最悪シビル・ウオー(内戦)に発展する恐れもあり、気軽に外出もできなくなるかもしれません。

 ウクライナ紛争については、先述の如く南東部だけでなく首都キーウでもロシア軍のウクライナ軍・政府・公共施設、民間施設、民間人への攻撃が激化。橋梁破壊・寸断で南部主要都市への兵器、軍需物資、生活必需品の供給や市外への民間人避難が極めて困難になっており、米国及びNATO同盟国、西側諸国からの追加兵器・軍需物資供給の遅れと相まってウクライナ軍、民間人の犠牲者急増(毎日450〜500人レベルとも言われています)。他に米人志願兵を含む多数がロシア軍とロシア支援グループの捕虜となってロシア本国に移送後軍事裁判で有罪判決濃厚(禁錮刑だけでなく最悪死刑も)と人的・物的両面で甚大な被害と報道されています。これ以上の被害、犠牲者が出ないように1日でも早く終結して欲しいと願っています。

 プーチンの暴挙に自国に対する同様の侵攻を懸念したフィンランド、スウェーデン両国のNATO加盟承認。ウクライナや周辺諸国(特に元ソ連邦またはロシア属国)も追随か?帝国ロシアかソ連邦の復権、属国・領土拡大を目指すプーチンにすればブーメラン効果で元の木阿弥どころか薮を突いて蛇を出す=やぶへび状態で野球で言えばヒーロー目指したホームラン狙いが空振り三振バッターアウトの幕切れという最悪の事態かもしれません。果たしてどうなりますか?

 下半期にはウクライナ紛争、インフレ問題だけでなく、現在進行中の幾つもの難題が解決するか、解決の目処が立つか、少しでも解決の方向に向かいますように祈っています。

 今月は私のタイムマネージメント・スキル(時間管理能力)とオーガニゼーショナル・スキル(人や組織、物事をまとめる能力)不足から、余裕を頂いていた原稿締め切り日時をミスしそうだったため、やや短めですがこれにて失礼します!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。