Thursday, June 20, 2024

【ミシガン州】ー Japan News Club 7月号 ー

Japan News Club 7月号が発行されました。お近くの日系スーパーや日本レストランで入手いただけます。なお、ご自宅からも楽しんでいただけるよう、こちらからもご覧いただけます。
掲載広告に関しましては、現在の新型コロナの影響により営業時間や営業形態が変更されている可能性があるためウェブサイトやお電話(広告上のウェブアドレスをクリック)でご確認の上ご利用ください。

Japan News Club 7月号クリック

<目次>

02 ・・・夏を楽しむカヤック(続)
03 ・・・コミュニティニュース
04-5 ・・・喧喧諤諤
06 ・・・言葉の架け橋
06 ・・・ゴルフノスゝメ
07 ・・・アメリカ生活の豆知識
07 ・・・お花の随筆
08 ・・・心臓病治療の最前線
09 ・・・卒業生2020!
10 ・・・Standard Golf
11 ・・・New Normal の基本
13 ・・・クラシファイド
14 ・・・Brewery 紹介
15 ・・・コミュニティイベント

【ミシガン州】ー Japan News Club 6月号 ー

現在、ミシガン州の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、Japan News Club 6月号はオンライン閲覧版のみとなっています。ご自宅よりお楽しみください。掲載広告に関しましては、現在のこの状況下において営業時間や営業形態が変更されている可能性がございます。ウェブサイトやお電話(広告上のウェブアドレスをクリック)でご確認の上ご利用ください。(2020.06.10 編集)

Japan News Club 6月号クリック

<目次>

02 ・・・ アジア・太平洋諸島系アメリカ人の歴史、これから(つづき)
02 ・・・ ”Knowledge is power” ヘイトクライムに備える
03 ・・・ コミュニティニュース(ミシガンハット帽子会)
04 ・・・ COVID-19予防生活 New Normalを知る
05 ・・・ 喧喧諤諤
06 ・・・ 言葉の架け橋
07 ・・・ 心臓病治療の最前線
08 ・・・ ゴルフノスゝメ
09 ・・・ 住宅アカデミー
10 ・・・ Standard Golf
13     ・・・  新緑あふれるミシガンの春
14 ・・・ コミュニティ クラシファイド

新型コロナ感染リスクの少ない診療携帯:
ビデオ/電話診療について

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 ビデオ診療は、他にも、オンライン診療、ネット診療等の同義語があり、どれも同じ内容をさします。電話診療とビデオ診療をまとめて、アメリカでは、バーチャル診療と呼びます。バーチャル診療とは、実際に診療所や病院に行って医師や看護師と会って診療を受ける通常の形態と異なり、患者さんが自宅にいて、診療をうける形の診療形態のことを指します。

 以前から、へき地医療や、交通機関の使用が困難な場合などにビデオ診療は使われていましたが、最近の新型コロナパンデミックの影響で、アメリカでは、急速にバーチャル診療が普及し、ほとんどの健康保険による保険適応になりました。

 ご存じのように、新型コロナウィルスは、症状のない人や症状が出る前の人がウィルスの感染に大きな役割を担っていることがわかっており、感染拡大を防ぐには、他人との接触を全般的に減らす必要があります。ミシガンでは、現在、外出自粛の効果がでて、新型コロナによる入院患者の数は減少傾向にあります。多くのビジネスが感染リスクを下げるために、必要最小限の業務に絞っていると思いますが、医療の現場でも、現在は緊急性のない、外来受診が必要な診療をすべて延期しています。  しかし、感染リスクを全く伴わないビデオ診療や電話診療は、活発に行われており、患者さんはほとんど待たずにビデオ診療や電話診療がが受けられる状態です。 また、これから、徐々に様々なビジネスが解禁になっていくと思われますが、それに伴い、感染者がまた増加する可能性があります。それぞれの会社ではマスクの使用を義務付けたり、職場環境の改善をして距離をとったり、勤務時間をずらすなど、今後、感染者が増えないように、様々な工夫がされるでしょうし、されるべきです。 医療の現場でも同様に、緊急性がなくても必要な診療業務を徐々に増やしていくにあたり、感染増加を起こさないような診療をなるべく活用することが勧められます。実際に病院や診療所に行かずに、医療が受けられる、ビデオ診療が利用できるときは、なるべくビデオ診療を行うことが勧められます。そういう点で、今後ビデオ診療は、今後、新型コロナウィルスが完全になくなるまで、長期的にも欠かせないものとなっていくと思われます。

 ビデオ診療は以前から保険適応されていましたが、電話診療は、新型コロナのパンデミックを受けて、今だけ特別に一般診療と同様の保険カバーがされています。電話診療に関しては、新型コロナウィルスのパンデミックの期間に限定して、医師の電話診療が保険適応されており、短期間に限定されたものの可能性が高く、電話診療は数か月以降は行われなくなると思われます。

 では、ビデオ診療をうけるには、何が必要でしょうか。ビデオ診療を受けるには、カメラ、マイクロホン、スピーカー、インターネットの4つが備わったスマートフォン (iphoneなど)、または ipadなどのタブレットが必要です。バーチャル診療(ビデオ診療及び電話診療)の利点、欠点をあげてみましょう。

ビデオ診療の利用価値をわかっていただいたと思いますが、次は、実際に、どのように利用するかです。かかりつけの病院システムによって多少異なると思いますが、一般的には、大きな医療システムに属しているかかりつけ医は、患者用のウェブサイトを利用しており、患者さんはそこから、御本人やお子さんのの検査結果やワクチンの履歴を閲覧したり、医師や看護師にメッセージを送ったり、処方箋のリクエストができます。ビデオ診療は予約をしたあと、その患者用ウェブサイトからアクセスして診療をうける仕組みになっています。この患者用ウェブサイトで医療システムとつながっていれば、必要な時にすぐにビデオ診療が受けられます。あとは診察を受けたい時に、普段予約を取るときのように外来に電話するか、そのウェブサイトから予約リクエストをするかして、ビデオ診療の予約をとり、予約の時間になったら、自宅でそのウェブサイトにアクセスして医師の診察を受けます。

 では、どういう診療がビデオ診療に適しているでしょうか。不安や鬱などの心のケア、皮膚疾患、風邪症状や下痢嘔吐などの急だけれどもひどくない症状の場合、高血圧や高脂血症、糖尿病などの慢性疾患の定期フォロー、検査結果の説明、などは、ビデオ診療に適しています。しかし、年一度の定期健診(ヘルスチェック、チェックアップと呼びます)は、65歳以上のMedicareの定期健診はビデオ診療が保険で認められていますが、小児健診や65歳未満の大人の定期健診は、ビデオ診療が保険で認められていないので、外来に行かざるを得ません。主治医のいない人が主治医を登録するための診察(エスタブリッシュ・ケアと呼びます)も、ミシガン大学では、新型コロナ流行中の現在は限定的に電話診療で行っていますが、本来は実際に受診していただくものです。また、骨折して固定が必要だったり、耳が痛くて耳の中を診察しないといけない、というような場合は、感染リスクが多少あっても、実際の診察が必要です。どのような診療がオンラインでできるかは、医療側が理解しているので、診療を希望される場合は、医療機関に、ビデオ診療でできるかどうか、聞いてみることをお薦めします。ここで、大切なのは、皆さんが、ビデオ診療というオプションがあり、それを受けるための準備をしておくことです。必要な時にすぐ使えるように、普段から、かかりつけ医療システムのオンラインのアカウントが普段から使えるように、アカウントやパスワードを確認しておくことが重要です。

実際のビデオ診察の様子

 ビデオ診療は、一度受けてみると、家を出ることなく必要な診察が受けられ、アドバイスや処方箋がもらえて、簡単で便利な方法だということがすぐわかると思います。今後は、診療の内容によっては、患者さんも医療従事者も感染のリスクを減らせる、これからの医療にかかせない重要なツールなので、ぜひ利用してみてください。また、体の具合が悪くなくても心配なことがあったり、質問がある場合、電話診療やビデオ診療で十分対応できることもありますので、感染リスクの心配なく、気軽に医療機関に連絡してみることをお薦めします。

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筆者 プロフィール
医師 リトル(平野)早秀子
ミシガン大学家庭医療科助教授
1988年慶応義塾医学部卒業、1996年形成外科研修終了。2008年Oakwood Annapolis Family Medicine Residency 終了後、2008年より、ミシガン大学家庭医療科でミシガン家庭健康プログラムで日本人の患者さんを診察しています。産科を含む女性の医療、小児医療、皮膚手術、創傷のケアに、特にちからを入れています。ミシガン大学についての情報は、ウェブサイトで確認できます。https://medicine.umich.edu/dept/japanese-family-health-program

喧喧諤諤 第207回:トランプウイルス 終息に向かうか?

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喧喧諤諤 ケンケンガクガク
喧喧諤諤

ミシガンも五月晴れの5月です。冬が長く厳しい当地の春の訪れは例年なら喜びが一際大きく胸がワクワク、心がウキウキする筈なのですが、この冬は暖冬であったのと今も地球規模で猛威を振るい数多の犠牲者を出し続けている新型コロナウィルス騒ぎで心が痛み、気持ちが沈みがちの毎日です。現在の居住地が米国または日本、その他に拘らず読者の皆様とご家族並びにご親戚、友人、知人など関係者のご無事を切に願って止みません。振り返れば、本紙新年1月号で「今年は何かいい事あるかな?」と書いたのに年明け早々のイラン騒動から始まってこのコロナ騒ぎで負の連鎖が止まりません。去る2月に70の大台に乗ったこの年齢でまさかこんなことが起こるなどとは思いもしませんでした。もちろん、過去にスペイン風邪やSARS、MERS、エボラ出血熱、ジカ熱など多数の諸国や地域を巻き込んだ感染症の歴史的知識や関連情報はありましたが、今回のコロナ騒ぎは規模もレベルも違い過ぎます。本題で後述する前にちょっとだけスポーツの話題です。二刀流大谷選手の復活を首を長くして待っているこちらの気持ちにお構いなく開幕が延び延びになっているMLBですが、現時点では6月末か7月初め頃の開幕で例年のような2リーグ制160試合のレギュラーシーズンではなく、遠距離の移動をしないで済むように国内を3地区に分けそれぞれ約100試合程を無観客の球場で行いTV中継するという腹案もあるようです。実現すれば異例の試みになりますが、アメリカン・パスタイムとして歴史と伝統、国民的人気もあるプロ野球を何とかファンに届けて少しでも勇気付けたい気持ちなのでしょう。チームや個人の成績、記録の扱いがどうなるかなど詳細は分かりませんが、今後コロナ騒ぎがかなりのレベルまで沈静化しプロ野球放送T V観戦が実現することを願いましょう。

 では、本題の『トランプウィルス、終息に向かうか?』に移ります。

 前号では「新型コロナウィルス:トランプにとって吉か、凶か?」がテーマでしたが、先月の一連の動きを辿りますと、3月半ば過ぎにホワイトハウス特別対策チーム(タスクフォース)結成以来遅ればせながら国家非常事態宣言、感染防止ガイドラインの作成・公示、受入れ医療施設・病床の増設、マスク、手袋、フェースシールド、防護服、人工呼吸装置などの医療器具・用具・消耗品の増産・配布、治療薬・予防ワクチンの開発・検証など医療面の対応が間借りなりにも加速しています。同時に経済・財政面では、日常生活に必須の事業や業務(エッセンシャルワーク)以外の事業は生産・営業活動停止、在宅勤務、自宅待機、失業などで企業や個人の収入激減の経済的、財政的苦境を救済・緩和するためトランプ政権と上下院議会で複数の国家緊急経済復興刺激予算案の作成・審議・議決・承認が超党派で迅速に行われ、既に小規模企業への救済資金や各納税者向け救済チェックが一部手元に届いたり、銀行振込みがなされ始めてトランプの思惑通り大統領と政権の人気支持率もやや盛り返した4月前半はトランプにとって『吉』と出ました。しかしながら、銀行など金融業者との関係が弱く救済資金を待ったなしで最も必要とする小規模企業や個人経営の店舗の多くはリソースの不足や手続きの煩雑さのためにタイムリーに動けず、当初割り当てられた緊急予算もあっと言う間に底をついて救済を得られない結果となってしまった実態が浮かび上がり『小吉』程度になりました。個人店舗が受益出来なかった一方では、全米もしくは多州に跨(また)がるかなりの規模のホテルチェーンや飲食チェーン店がいち早く動いて救済資金を受取り本来の狙いと食い違いを見せました。その後自主的にあるいは政府の要請を受けて救済資金を返金した企業もあるとのことですが、後続の救済予算に関しては同じ事が起こらぬように明確な制限と監視が急務です。

 また、ホワイトハウスでの連日のタスクフォースチームの記者会見では当初から感染症医療専門家メンバーとトランプの認識と対応策にズレが見られましたが、回数を重ねる度にそのギャップが是正されるどころか広がるばかりで、タスクフォースチームの合意による速報や質疑応答ではなくトランプの個人的見解を主とする選挙キャンペーン色が強くなり、データや事実に基づかないトランプの登場時間が長くなって感染疑義者の検査・追跡能力アップや自宅待機・自粛を推奨したホワイトハウスやCDCのガイドラインも各州知事が個別に実施している自宅待機、外出自粛の緊急政令も無視する形で営業生産活動再開を出来るだけ早くしたい、またそのタイミング決定は州知事権限ではなく大統領である自分に最終権限があると言い張る始末。3月の記者会見で「検査が上手く行かなかった場合は責任を取るのか?」と訊かれて「責任を取るつもりはない」と答えたのは記憶に新しいですが、責任は取らず権限は保持して自分のやりたいことだけ権力行使するのでは理屈が通りませんね。権利・権限と責任・責務はセットで成り立つもの、自分に都合の良いやりたい片方のみでは通りません。ましてや国家の最高責任者がそんないい加減であってはなりません。ついでに言えば、ミシガン州知事の自宅待機命令に抗議する人達がランシングの州庁舎の周りに集まり撤回、解放を求めるデモをしていましたが、マスクもせず周囲との間隔もガイドラインの目安である6フィートを保たぬ密な状態でした。抗議のプラカードにはFreeの字句がありましたが、自由を求める権利と他人に迷惑を掛けない義務・責任は同じく対を成すものです。他の大勢の人が自宅待機、外出自粛している時に少数の人が自分勝手に行動して、その中にたとえ一人でもウィルス保有者がいれば直ぐに複数の人に感染させるリスクがあり、家に帰った後で更に感染が広がるリスクもあります。ニュースで知った時に「これでそれまでの減少傾向が逆戻りするかも」と思い、当事者達の自律・自制心の無さにがっかりしました。

 また、つい最近の記者会見では検証データが不十分な2種類のマラリア治療薬(その後死亡例が多い事実が判明)が「新型コロナウィルス感染症の治療にも効くはず。感染者は失うものはないので使うべき。ゲームチェンジャーだ」と勝手で無責任な思い込み発言をし、別の記者会見では「人体への紫外線照射や市販の殺菌消毒剤の体内注入でウィルス感染が防止出来ると思う」と飛んでもない発言をし、脇で控えていた医学博士のバークス女史もフォローする言葉に詰まる失態を招き大統領に対する国民の不信感を増幅してしまい、4月後半は『凶』に転じました。発言内容やメディアの質問に対する応答も鋭い質問には答えられず、「無礼だ!」と怒り出し、答えても前後の発言がコロコロ変わって直ぐに嘘や事実に反する内容とバレてしまう有様で、政権内部や共和党のメンバーからも「大統領の会見TV放送への出演時間が長過ぎて次期選挙に向けて大統領にも共和党にもマイナスリスクとなる」と窘(たしな)められたようですが、他人の意見を聞かず我が道を行くトランプは一度は質疑応答なしの短時間で会見終了したかと思えば、翌日は会見を行わない事態もありましたが、民主党が次期大統領選候補をバイデン前副大統領一本に絞って結束を固めてきたことと下馬評では不利な支持率から焦りとイライラに苛まれ、選挙対策マネージャーに当たり散らしたり、ジッとしていられない状況となり、やはり自分自身が自らのスポークスマンとなってしゃべらずにはいられない自己中の性格は変わらず、先月末の会見では再登場していました。

 そのような中でいち早く感染拡散防止策を取ったカリフォルニア州や今も世界中で最悪・最大のホットスポットであるニューヨーク州、ニューヨーク市内の新規感染者数、死者数が数日連続で減少傾向を示し、明るい希望が見え始めて来ました。アンドルー・コモ、ニューヨーク州知事は記者会見で「引き続き注意は必要だが、上昇カーブが頂点を打ち下降側に入ったと思われる」と発言。また、「このまま減少が続き安定した状態になれば段階的に営業生産活動を再開しても良い。但し、検査能力・実施数と感染者の追跡能力確保が前提条件」と断言しました。トランプ大統領が検査能力・実施数と感染者追跡能力についてそこまで必要がないと真剣に取り合わないのとは対照的ですが、感染症対策の基本は感染者の囲い込み、検査・追跡能力、治療法とワクチンの開発・確立が柱ですから、それらを抜きにしたままで営業生産活動再開は無謀の極みでウィルスの拡散再燃、感染者・死亡者数も再度増加する危険性大です。もしそんな事態になったらば、今でも疲労困憊、辛うじて限界ギリギリで繋いでいる医療機関、医療従事者・関係者の体力も気力も続かなくなり、医療崩壊になりかねません。ジョージア、フロリダ、テキサスなど共和党所属州知事政権下の数州でやや性急と思われる解放策が実施されそうですが、その点が大いに懸念されます。感染第二波襲来ではなく今の第一波が長引くことになれば、解放策は失敗=人的・経済的ダメージは更に大きくなってしまいます。

 そう言えば、タスクフォースのリーダーに指名されたペンス副大統領が先月末米国内ではベスト、世界中でも有数の医療機関であるMayo Clinicのミネソタ事業所を訪れ、医療スタッフや患者と面談した際に院内規定で義務付けられているマスク着用を拒んだ挙句に握手代わりに肘を突き合わすエルボー・バンプや面談している映像がニュースで流れましたが、タスクフォースチームのリーダーがホワイトハウスのガイドラインや訪問先のルールを無視してこの行動は呆れて物が言えません。国民にはガイドラインやルールを守れと言っておきながら、自らルール破りをする態度は一体何なのでしょう?トランプ大統領が先の記者会見で「自分はマスクをするつもりはない」と発言したので、ゴマすりペンスとしては親分に追随の意味でそうしたのでしょうか? それとも「俺は男だ!ウィルスなんか怖くない!」と男気を出したつもりでしょうか? どうせ男気を出すなら、トランプが嘘をついたり、事実と反することを言ったり、ルール違反をした時にピシッと注意したり窘めたりして欲しいものです。残念ながら、彼はインディアナ州知事時代にエイズ感染予防対策で失敗し、州内で信用を失い居場所が無くなっていたところをトランプに救われた恩があるので絶対に逆らったり、トランプの不利になるようなことは言わないし、機嫌が悪くなるようなことはしないのです。次に行く所もないから現職にしがみ付くしかないのです。男気どころか、女々しくて情けないですね。

 新型コロナウィルスよりも怖いトランプウィルスに冒されているトランプ教信者やトランプ支持派または前回選挙で深く考えずに「ものは試し」程度の考えで投票してしまった有権者がトランプウィルスから目覚め、バイデン候補を次期大統領に選び、民主党が上院過半数を占めるように投票するかどうか?我儘、やりたい放題のピークを過ぎて「終息に向かうか、トランプウィルス?」ですね。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

ゴルフノスヽメ 2020.05.

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ゴルフのススメ
ゴルフのススメ

毎朝、眼が覚めると「昨日までのことはぜんぶ悪夢。今日は普通の世界に戻ってる!」とまず思うのですが、すぐ「いやいや、やっぱり現実だった…」と思い返し、ガッカリしながらベッドから這い出す、というのを繰り返しています。

 しかし、久しぶりに良いニュースがありました。4/24のミシガンExecutive Orderで、ゴルフが解禁になりました。カートの使用はできませんが、ソーシャルディスタンシングを守れば歩いてラウンドすることができるようになります。

 ゴルフコースはウィルス対策をして営業を再開します。USGAはアドバイスをHPに載せています。もしグリーンのカップがふさがっていたら、5フィート(1.5m)以内はオッケーパット、20ヤードから5フィートの間は、ホールの難易度やスキルを考慮して2打または3打を足してスコアをつけるそうです。レーキがなくてバンカーの表面がならされていない時は、「異常なコース状態」として1クラブレングス以内のバンカー内にドロップするか、あるいはバンカーを修理地として扱い、バンカー外にボールをドロップすることも可能、としています。いずれも無罰です。USGAのHP、コースのローカルルールを参考にしてください。

 今月は、家にありそうなものを使ってできるパット練習をご紹介したいと思います。

まずはパターをスクエアに構える練習です。ゴルフのスイングでは、インパクト時のフェースの向きがボールの打ち出し方向を決め、スイング軌道が左右に曲がるサイドスピンを生みます。ヘッドスピードが速いほどスイング軌道のズレによる曲がりが激しくなり、遅いほどインパクト時のフェースの角度でボールの行き先が決まります。ドライバーではスライスやフックが出ても、パターで出にくいのはそのためです。パット時のボールの挙動に与える度合いは、軌道による曲がりが20%、インパクト時のフェースの向きが80%です。フェースの開閉が少ないマレット型のパターを使っている方は特に、構える時にフェースを目標に向けてさえおけば、ボールはより狙った方向へ転がっていくというわけです。

 そこで、私は壁に額を飾る時などに使うレーザー水平計と小さな鏡を使って、スクエアに構える練習をしています。水平計を壁際に置き、2mぐらい離れたところでパター

を構えます。フェース面に両面テープで鏡を貼り付けます。鏡に反射した光の点が壁に映ります。その点が水平計の真上にあれば、まっすぐ構えられたことになります。水平計の前を通る時、気が向いた時にちょっと構えてみるのを繰り返すうちに、上からパターを構えた時の、どんな景色がスクエアなのかがわかるようになります。

  次は、ボールのポジションです。眼の真下にボールがあれば、ボールが転がる方向と眼が認識する狙いへの方向は一致します。下右図はボールの位置が眼より外側にある場合を示していて、2つの方向にズレがあるのがわかります。

   ボールポジションをチェックするには、糸をつないだリペアフォークが役に立ちます。パターを持ってボールの前に構え、眼の位置からフォークを垂らしてみます。フォークの先がボールの所に来ているかどうかをチェックしてみましょう。

 さあ、これでセットアップが完成したので、あとはまっすぐ構えた通りに打ち出せるストロークの練習です。松山選手もご愛用のPutting Tutorというギアがオススメです。

 私はまだ日本にいます。4月12日に渡米する予定でしたが、フライトは運休になってしまいました。事態の収束を祈りながら、一日も早くミシガンに帰れる日を楽しみにしています。まだ練習場でのレッスンはお預けですが、オンラインでのコンサルティングを始めました。スイングの動画を送っていただいて、分析とアドバイスを行います。シーズン初めのショット調整にご利用ください。ご興味ある方はメールにてお知らせください。

今シーズンもどうぞよろしくお願い申し上げます。

<筆者プロフィール>東京都出身、慶應大学法学部卒。駐在員の妻としてミシガン滞在中にゴルフを始め、ゴルフ好きが高じて2009年にPGAメンバーとなる。夏はミシガンで、冬は日本でレッスンを行っている。今季の渡米時期は未定ですが、必ず行きます。(sonya_nomura@pga.com / www.crazygolfersworld.com)

言葉の架け橋 2020-05:食に関する言い回し(5)

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言葉の架け橋
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食に関する言い回し(5)

今回は日本人の生活に深く入り込んでいるお茶に関連するものを見てみましょう。いくつもすぐに思い浮かぶものがあるのではないでしょうか。「お茶の子さいさい」はとても易しい、という意味合いですが、これは英語でも食べ物を使った表現があり、“it’s a piece of cake” です。 「臍で茶を沸かす」は馬鹿々々しい、という意味で、英語では  “That’s ridiculous.”  とか “That’s bizarre. ” が良いでしょう。「鬼も十八、番茶も出花」は、“Anything is good/beautiful at its peak.” でどうでしょうか。

「お茶を濁す」と言いますが、これは「いい加減にやる」という意味と、「的を射た答えをしない」という二つの意味があります。前者は、“Do something half-heartedly” という言い方があり、後者は “Reply evasively”、敢えて食べ物を使えば  “Fudge one’s answer” となります。“Fudge” は名詞であればあの甘いお菓子ですが、動詞の場合は「はぐらかす」「ごまかす」という意味です。「お茶を濁す」よりもっと悪質な感じがします。

 もう一つ、お茶を使った表現で、「茶々を入れる」というのがあります。人が話しているときに、からかって何か言うことですから、 “To make teasing remarks” でいいと思います。似た表現で、「水を差す」というのがありますが、この方が質が悪く、英語でも似た言い方で、“throw cold water on” とか “throw a wet blanket over” と言います。

上記についてご質問のある方、又その他の表現について知りたい方は、izumi.suzuki@suzukimyers.com まで。

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鈴木いづみ:会議通訳者、公認法廷通訳者、アメリカ翻訳者協会日<>英翻訳認定資格を有す。通訳・翻訳・日英語学クラス等のサービスを提供する鈴木マイヤーズ&アソシエーツ(株)社長。www.suzukimyers.com

お花の随筆:不要不急な話
(JNC 2020年5月号掲載)

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(JNC 2020年5月号掲載)

久しぶりに包丁を研ぎました。無欲無心で臨みかつ気の抜けない単純作業というものは、知らぬうち積もるストレスの解消法として相応しく、爽やかな充足感をもたらせてくれます。水と砥石の狭間から発せられる日本ハガネの、薄い鉄のしなる伸びのある独特の音。身の引き締まる音がシュ、シュ、時代劇の効果音をも彷彿とさせる硬く鋭い音がシャキーン。それぞれが織りなす懐かしい緊張感が、次々心地良く精神に浸透してゆきます。住み慣れた我が家、そこで過ごす時間が増しますと、普段は気にも留めぬ些細な事に喜びを見出せ幸せな気持ちとなります。温もりのある木の床に裸足で触れながら、折に触れ味わってまいりました世界の巨木にまつわる話など、思い出しておりました。

 私はオークの木に思い入れがございます。神の宿る木、生命力の象徴。森の王と称えられる厳かで立派な姿。文明への用途は宮殿や教会など歴史的建造物の材料としては勿論のこと、宗教芸術、家具、酒樽等様々で、綺麗な木目も馴染み深く、何世代も受け継がれてゆく魅力は洋の東西を問いません。滋養なその実どんぐりは、家畜の飼料、またパンやだんごの材料にと人々の生活にも密着して来ました。残念ながら大航海時代に船舶の材料とされてグレイトブリテン島ではオークの大森林が姿を消しました。松、杉、クヌギといった利用価値があり商品価値も高い木は、どこの国でも人間にどんどん切られ、しかし節々が多すぎて無用の長物とされるガジュマルの木などは残り、大きく育ち木陰を作り、世界の文化や生き物の安らぎの拠り所となり、静かに時を刻みつづけます。

 我が家の庭にはいつも通り球根からシーラの花が開き始めましたが、今春は暮らしに異例の規制があり、夏のお花や野菜を適時にスタートさせることができませんでした。ミシガンは夏が短いので早いうちから室内で種まきを始めませんと、秋風が吹く頃になっても花は咲かず実も生らず、夏を楽しむには間に合いません。他にも、例年ならば母の日をターゲットに市場に出回り楽しまれるはずの風物詩が、非エッセンシャルとの指定を受けた「楽しみ狩り」に遭い、無下に奪われた悲しい春です。私は「無駄」と「遊び、ゆとり」は違うものと考えます。先の見えない不安のどん底にいるからこそ、人々はゆとりを求めます。ふっと笑い緊張をほぐせ、恐怖を束の間忘れる一息から、戦い続ける活力を得る。これは大切なエッセンシャルです。緊張の連続のご職業の方は特に、落語を聞いたりゴルフに出かけたりの気分転換を大切な時間とみなされますし、人気のある作家や映画監督は、緊迫の連続の御自分の作品の中には必ず、わっと緩み笑える場面を織り込みます。そうすることでメリハリが生まれ、次の展開がより生かされてゆきます。線の引き方が大変難しい事であるのを重々承知の上で物申せば、自由主義社会にありながらゆとりは当面我慢なさいと規制されてしまったことはゆゆしき事態で、今はそれほどの、非常事態なのです。尚更、人々が前へ進んでゆく為には、飲み水と食料の確保のみならず、別に精神面の支えとなる、開かれたものが必要となってまいります。

 日本のチューリップの名所で、今を盛りと咲き誇っていた花々が首をすべて刈り取られる「処分」を受けたというニュースには肩を落としました。外出自粛要請に反し人々が見に来ていたので、見物客の数が400人を超えてしまうとの配慮から、というのがその言い分でした。都内の桜の憩いの場も工事現場用テープで通り抜け禁止とされていて、戸惑う親子連れの姿も見られました。やっと訪れた春に、今年は花を愛でることすら許されないのでしょうか。そのうちもしやもっと乱暴な意見をも実行に移す輩が出て来るのかと空恐ろしく、方向を見失いかけた人間の危うさに尊い地球の行く末が案じられます。ウイルス感染の有無に関わらぬペットの殺処分が命ぜられたとの背筋も凍る某

国家のありよう。民主主義国家に生きている筈なのに、互いの監視や密告を奨励せん行政も出て来てしまった恐ろしい現実。樹齢何千年の木にしてみれば人の一生など塵のごとき時間、しかしその一瞬に、取り返しのつかぬ事態をも引き起こしかねない人類の罪。

 生きてゆくことがティームワークであることを、これほど思い知らされた時はございません。重要で人々を助けるアカデミックに、ゆとりを与え人々を癒し不安を軽減させるアートに、人々を統率すべきポリティックスに、各フィールドの優れ秀でた才能と、既に最前線で挑戦し続けている経験豊かなスペシャリストたちを今はあらゆる方面から全力で支援せねばならない正念場です。主観の強すぎる扇動は控え、自らも何に貢献できるかに真剣に取り組まねばなりません。暮らしが尋常を取り戻し、晴れた心で青空を見上げることの出来る日が、早く巡ってまいりますよう、地球の片隅で祈りつづけます。

心臓病治療の最前線:新型コロナ渦中の医者

(JNC 2020年5月号掲載)

 中国湖北省武漢市に始まった新型コロナウイルスは、瞬く間に全世界に広がり、この原稿を書いている4月19日の時点で、今ではアメリカが世界最大の感染地域になってしまいました。私たちの住んでいるデトロイト市およびその周辺の各地域は、アメリカ全土の中でも、ニューヨーク州に次ぐ、感染激震地となってしまっていました。

 良いニュースもあります。アメリカ全土でも、ニューヨーク州でも、デトロイト周辺でも、感染患者数および死者数は、ピークに達し、下降曲線上に乗っかり始めていると言われています。私の所轄病院であるアセンションサントジョン病院、グロスポイントボーマント病院、およびアセンションマコーム病院でも、同様の傾向にあり、サントジョンでは、緊急に増床されたCOVID-19専用のICUベッド病棟も患者数が減ったため、めでたく先週末でその役割を終えるなど、目に見えて改善傾向が見えてきているのは、喜ばしいことです。

 さて、この様な体験を第一線の臨床医師として過ごした方はそんなに多くはないと思われますので、その経験をここに、失敗談を含めて、お話させていただきます。

 今年1月頃から、中国武漢市で新型コロナウイルスの感染が起こっているらしいというニュースは結構早くから知っており、その爆発的な感染の様子をテレビやインターネットで知り、毎日手元の紙に罫を引き、その数を毎日、日記風に記録した上で、対数軸でグラフ化して、もう1、2週間でピークになるかなと予想したりしていました。その頃は、武漢封鎖や同市の全市消毒の映像がニュースに流れたりして、これは大変なことが起きているらしいということは理解できましたが、その時はまだ、文字通り対岸の火事の印象で、中国国内で流行はおさまるかもしれないという、今から考えれば全く根拠のない希望的観測をしていました。ところが、ほとんどそれとすぐ続くようにして、日本の横浜港に係留されたダイヤモンドプリンス号での感染の報道が入り、それから、日本で同船からの乗客を乗せたタクシー運転手や、その同僚が参加した屋形船のクラスター感染、スポーツジムや、ライブハウスを介したクラスター感染などが報道され、そのうちに3月に入って、イタリヤやスペインなどのヨーロッパ諸国の感染報道がされてきましたが、そのときにもまだ、対岸の火事の印象でした。

 忘れもしません、3月14日のことです。私のかかりつけの患者さんで、70歳台の黒人女性、これまでに心臓バイパス手術の既往があり、その後も、バイパスの再狭窄(さく)などで、1月に1度程度の頻度で、胸痛を訴えてこられ、ステント治療やカテーテル検査を行わなければならない既往がありました。この患者さんが救急室を介して病院に入院してきたので、話を聞きに行ってみると、全身の関節や筋肉が痛いと言って、鎮痛剤の処方を強く希望していました。この患者さんは、前にもよく胸痛で入院を繰り返していた患者さんで、正直、またかとの思いがなかったわけではありませんが、以前は、どちらかというと、胸の痛みが主で、全身の関節や筋肉の痛みはどちらかといえば新しい主訴で、少し違和感を感じながらも、全身性の関節痛や筋肉痛は、どうも心臓からのものではなさそうなので、内科の主治医の先生にそちらの方から検査や治療をしてもらえるよう相談してみましょうと言って、病室を出ました。発熱も呼吸苦も無く咳もありませんでした。もちろん、誰もその時点ではその患者に対する新型コロナの疑いなどしておらず、病室の隔離も全くない一般病棟への入院でした。

 たまたま、その前の週の循環器科の症例カンファレンスで、22歳の男性で、呼吸困難とショックで緊急心臓カテーテル検査をした症例があり、胸部X線写真では、両側性の瀰漫(びまん)性の白色陰影、肺水腫か成人急性呼吸不全症候群との症例を検討、議論したことがあり、私はこれは新型コロナウイルスの感染例ではないかと提起しましたが、その時点では、デトロイトでは、新型コロナウイルスの感染症についてはまだあまり誰も知らないという状況で、それ以上議論は深まりませんでした。あとから考えると、この頃からデトロイト地域で潜在感染者が発生し始めていたのだと思います。

 先ほどの70歳台の黒人女性患者さんの話に戻りますと、その日、3月14日の時点では、症状は全く非循環器的でしたので、正直、全く忘れていました。それから3日ほどは、私はオフィスで外来患者さんを見たり、他の病院で回診をしたりしており、私のパートナーの循環器の医者が、その人の回診を行なっていました。3月18日の夜、病院のコロナウイルス司令本部というところから、見知らぬ人からのメッセージがあり、直ちに司令部に報告せよとのメッセージで、連絡してみると、「上記の患者さんのテストでコロナウイルスの陽性の結果が出たので、直ちに、コロナ用に新設された呼吸器外来クリニックのウェブサイトに連絡せよ」との指示。指示された通りに、コンピューターでそのサイトに入って、「熱はあるか」「咳はあるか」などのコンピューター上での質問に、クリックして答えていくと、最後に、「医者とコンピューター上でチャットさせてやるから、62ドル払え」という画面が出て、こちらは痛くも痒くもなく病気でもないのに、濃厚接触者だという理由だけで、(また医者が何をいうかの想像もできましたので)62ドルなど払えるかと思ったので、そのサイトでのこれ以上の継続はやめ、翌朝、職場保健室(Occupational health)に連絡しました。すると、毎日2度の体温測定および2週間の自宅隔離を指示され、それは妥当だと思ったので、私のオフィスマネージャーに連絡をし、事情を説明して、しばらく仕事はできないからよろしくと電話しました。

 問題が起きたのはこの後です。1日に2回体温を測れと言われて、さて体温計を探しましたが、家には、古い体温計が1本あるばかり、それも最後に誰かの体温を測ったのは、いつか全く不明、おそらく、一番下の子が小さかった頃、20年近く前だろうということで、とっくにバッテリーも切れていて、正常に作動するか全くわからない代物でした。私も妻も、幸いなことに、今まで結婚以来一度も熱など出したり病気で寝込んだりすることなどなく、子供達が小さいときは、子供達の熱を測ることもありましたが、それも大昔。それで、私は、自宅隔離で自分で体温計を買いに出かけるわけにはいかないと思ったので、妻に頼んで近所の薬屋さんで、体温計を買ってもらってくることにしました。出て行った妻が、しばらくして帰ってくると、「あなた大変よ、体温計なんて1本もないわよ。2軒行ったけど体温計も電池もないって言われたから、アマゾンで注文したら?」とのこと。

 アマゾンで調べてみると、電池も体温計もありましたが、品物が到着するのが1週間後とか、今すぐ必要な体温計に、それでは役に立ちません。それで、恥を忍んで、オフィスマネージャーに電話すると、なんとかするとの返事で、それから1時間も経たないうちに、体温計が手に入ったので、それを事務所の私の机の上に置いておくから取りに来いとの連絡がありました。こちらは濃厚接触者なので、マスクをして、事務所の裏口から、誰にも会わないようにこっそりと入ったのですが、事務の人に見つかってしまい怪しげなやつが来たと思われてしまいました。連絡では、私の机の上に置いておくからということでしたが、見つからず、先ほど出会った事務の人に、体温計を見つけて持って来てもらうはめになりました。

 これで体温計については、めでたしめでたしのはずだったのですが、問題はまだ続きます。この体温計は、病院などで使う最新式のやつで、手のひらいっぱいに入るほど大きく、使い捨てのプローブカバーがついていて、看護婦さんが使っているのをいつも見ていますから、別に難しくはないはず、と思って使ってみると、最初は、いつまで立っても表示が出ず、ついに出たと思ったら93.7度と極低体温。別に壊れているわけでもなさそうだと思いつつ、妻に、私は低体温なんだねと説明しましたが、どうも納得できず、Youtubeで使用法を確認して見て、2つの間違いに気がつきました。1つは、使い捨てのプラスチックカバーがカチッと音がするまで、きっちり奥まで入っていなかったこと、もう一つは、体温計を咥える時に舌の下ではなく上に咥えていたので表示が出なかったとのことでした。今時の体温計は、生意気にも、舌の上に咥えているのか、下に咥えているのかを自動で認識して、正しく咥えていなければ、表示もしないようになっているようです。私のように、昔の単純な体温計しか使ったことがない者には、新しい発見でした。病院やオフィスで、医者が自分で患者さんの体温を測ることはまずありません。紺屋の白袴というやつでしょう。私の体温は無事97.8度でした。

 さて、当該の患者さんの胸部X線を後日見てみると、両肺とも真っ白になっており、わーこれは貰っちゃったかなと内心ビクビクしていましたが、14日間の自己隔離期間中発熱も息苦しさも無く、無事、隔離期間を終え、今は病棟復帰しています。それでも時々のどの辺りがイガイガすると、もしや?と思うこともありましたが、今の所はセーフです。14日の自己隔離期間のうち7日目頃から、医者が足りないので、症状がないならマスクをして、病棟に出て欲しいという要請があり、その頃から職場復帰しました。職場復帰してみると、病院は数日の差で、あっという間に、コロナ一色に変貌しており、8割程度の病棟が隔離病棟に変化しており、浦島太郎になった気がしました。実は、その頃、7人の私の同僚のうち、2人が感染し、事務所の2人も感染、医療崩壊寸前というところまで行きましたが、外来は全てテレビ診療とし、待機的な検査や手術は全てキャンセルすることによって、なんとかマネージができ、感染した4人のうち3人はすでに良くなって、職場復帰を果たしています。病院では、手術着に着替え、帽子をかぶり、N95という高度防御機能のあるマスクをし、陽性患者さんの部屋に入るときは、黄色い防護服をまとい、手袋をして、入ります。病棟にいる間は、病室に入ったり、ドアノブに触ったり、コンピューターのキーボードに触ったりする前と後に、アルコールで手指の消毒をします。病院から家に帰った時は、まず手洗いをし、服を脱ぎ、全身のシャワーを浴びます。その際、身につけていた、メガネ、腕時計、スマートフォンを皆持って入り、それらを石鹸でさっと洗い、水ですすぎます。

 循環器の医者の仕事としては、待機的手術や検査をせず、外来もテレビ診療に限って自宅から行なっており、ジムにも行かないので、家にいる時間が、実は、逆説的に飛躍的に増加しています。妻は、私がこんなにいつも家にいるのは初めてだということで、戸惑っているようです。

 私が自宅隔離中に医療を続けてくれた仲間たち、私たちよりも何倍も忙しく、高い感染の危険にさらされながら、直接患者さんのケアに当たっている看護師さんや看護助手さんたち、掃除、清掃、患者輸送などの業務に携わる人たち、救急科、感染症、呼吸器科の医師、放射線技師や臨床技師、その他多くの医療従事者および関係各位の皆さまがたに深い感謝を捧げます。また現在新型コロナウイルスと戦っておられる患者さんたちの一刻も早い全快をお祈りしています。

筆者 プロフィール:
山崎博
循環器専門医   日米両国医師免許取得
デトロイト市サントジョン病院循環器科インターベンション部長
京都大学医学部循環器科臨床教授
Eastside cardiovascular Medicine, PC
Roseville Office
25195 Kelly Rd
Roseville,  Michigan  48066
Tel: 586-775-4594     Fax: 586-775-4506

ゴルフノスヽメ 2020.04.

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ゴルフのススメ
ゴルフのススメ

世界は大変なことになっています。3/24からの外出禁止令、3/26付の細則にゴルフの記述がありました。「必要あればゴルフコース従業員に最低限の業務は認められるが、その業務にメンバーやその他の人への対応は含まれない」(Executive Order 2020-21 FAQs)。しばらくラウンドはお預けとなってしまいそうです。

 ゴルフツアーにも大きな影響を及ぼしています。米国PGAツアーは、3月のプレイヤーズ選手権から5月のPGAチャンピオンシップまでのうち、9つを中止、3つを延期することに決めました。プレイヤーズ選手権は、初日に松山英樹選手が2位と4打差をつけてブッチギリの首位スタートを切っていたというのに、2日目から中止になってしまいました。判断が早いのは、さすがアメリカです。延期となった3つのうちの1つ、マスターズは10月に開催されるという噂が立っています。ゴルフに限らず色々なスポーツの試合が後ろ倒しになっています。今年の秋は大忙しになることを今から祈ります。

 そんなご時世ですが、今月はパットとルールの豆知識でホッコリしましょう!

ゴルフは2019年1月よりルールが大きく変わりました。パッティング関連の一番の改正は、ピンをカップに刺したままでもパットアウトできるようになったことでしょう。旧ルールでは、カップにピンが刺さったままでボールが入ってしまうと、2打のペナルティがついていたので、パットする前にピンを抜いていました。しかし、ルール改正によりペナルティがつかなくなりました。ツアーでも刺したままだったり、ショートパットは抜いたり、選手は状況に応じて対応を変えているようです。ピンが刺さっているほうがカップインしやすいというデータがありますが、傾斜が強くてカップの狭い側から入れなければならない時は、抜いたほうが良さそうです。タッチを合わせて最後の1,2転がりでそろそろっと入れるのが良いか、カップの向こうの壁にガコンと当てるぐらいの勢いで(壁ドン)パットするのが良いのか、選手によっても好き嫌いがあります。

 去年、壁ドンパットで話題をかっさらったのは、6月の全英女子オープンで優勝した渋野日向子選手でしょう。最終ホールの5m下りスライスのパット、2パットでパーならプレイオフ、3パットしたら負けという緊張の局面で、強気に狙っていったボールはカップイン。勢いが良すぎてカップの中でボールが音を立てて踊っているような、見事なバーディで優勝を飾りました。この時、彼女はピンを抜いていました。

 逆に優しく転がしたパットで注目を浴びた選手もいました。2014年のメモリアルトーナメント、最終組で回っていたスコット・ラングエイは、16番で3mの下りスライスラインにつけました。彼のパットしたボールはゆっくりと右へ弧を描きなら、カップの左側を通り過ぎ、向こう側の縁で止まりました。ボールは穴をのぞいています。彼はしばらくその場で見ていましたが、諦めてカップの方へ歩き始めました。でもボールはゆっくり動き続けているので、マークすることができません。一緒に回っていたババ・ワトソンも肩をすくめています。なんとボールが縁に(ほとんど)止まった時点から23秒後、スッとボールはカップに吸い込まれていきました。YouTubeの動画には、”Langley’s cliff hanger”というタイトルがつけられています。

 ルールには、「ホールにせり出している球」という条項があります(13.3)。合理的な時間でカップに歩み寄り、ールがカップインするかどうか、その場で10秒間待つことができます。前述のラングエイの場合は、長いことモジモジしていましたが、そもそもボールが動き続けていたなら止まるまで待たなくてはならないし、もし止まっていたとしても、「合理的な時間」が何秒なのかが明確ではないので、彼の行為にペナルティはつきませんでした。

 プロアマを問わずパットが入らないと腹が立ちますね(笑)。 2017年のDell Technologiesで、セルヒオ・ガルシアはラウンド中にパターをへし折り、残りのホールは3Wでパットしました。ジョン・デーリーが池にパターを放り投げて、残りはサンドウェッジを使ったこともあります。新ルールでは、故意に自分が壊したクラブは、交換はできませんが、壊れたまま、あるいはプレイを中断することなく修理をして、残りのラウンドで使い続けることができます(規則4)。

 ルールブックは辞書のようなもの、とPGAの学校で習いました。全部覚える必要はなくて、分からない時にさっと取り出して調べられればいい。今はスマホのアプリ版もあります。読み物としても面白いです。気が向いたらぜひ目を通してみてください。

<筆者プロフィール> 東京都出身、慶応大学法学部卒。駐在員の妻としてミシガン滞在中にゴルフを始め、ゴルフ好きが高じて2009年にPGAメンバーとなる。「もっと遠くの、狙った場所へ」をモットーに、夏はミシガンで、冬は日本でレッスンを行っている。(sonya_nomura@pga.com / www.crazygolfersworld.com)

心臓病治療の最前線:新型コロナウイルスとPCR検査

心臓病治療の最前線
心臓病治療の最前線

(JNC 2020年4月号掲載)

 今回も少し心臓病の話とは離れますが、医者としてはこの話題に触れないわけには行きません。そういうわけで今回も新型コロナウイルスのお話です。

 新型コロナウイルスは、中国の武漢に発症し、中国全土に広がった後、今や、イタリア、イラン、スペイン、フランス、韓国など、全世界に広がりを見せ、この原稿を書いている2020年3月18日の現在、未だ収束の兆しを見せていません。また、私たちの住むミシガン州を含め、アメリカ本土にも広がる気配を見せています。このウイルスの感染の診断によく使われていると報道されているのが、PCR (Polymerase Chain Reaction) という検査です。PCRという技法は、1983年に、生化学者 Kary Mullis という人が発明した、急速DNA増殖法で、この技法により、ごくわずかのDNAを、理論的には、たった一分子から、何百万、何億倍に爆発的に複製増殖させることができ、これにより、遺伝子研究が飛躍的に発展しました。 Kary Mullisは、この功績により、1993年ノーベル化学賞を受賞しました。

一般的に言って、ウイルス感染症の診断には、いくつかの方法があります。

 ウイルスの培養。これは、培養皿の上に広げたヒトの細胞にウイルスを感染させて、増殖させ、ウイルスの同定及び研究を行うものです。この利点は、採取したウイルスがどのウイルスかの予備知識を必要としない点です。新種のウイルスが発生したことが疑われる場合など、この方法は欠かせないと言われています。欠点の一つは、培養に時間がかかることで(3日から10日)
疫学
研究や、病理研究には向いていますが、個々の患者の診断治療という点では、必ずしも有効というわけにはいきません。またこのウイルスが未知の場合や、非常に高い感染性を持つことが疑われる場合、培養したウイルスが外に漏れる危険があるわけで、高い安全基準を満たした研究施設で行われる必要があります。今回、新型コロナウイルスが発生した武漢の海鮮市場のすぐそばには、P4という最も高い安全基準をクリアしたと言われている、武漢ウイルス研究所があります。

ウイルス抗原検査。例えば、インフルエンザのように、よく研究が進んでいるウイルスの場合、ウイルスは、蛋白と核酸の合成物ですが、このウイルスタンパクを認識する抗体が、既に開発されており、患者さんの口腔粘膜などのサンプルに存在する抗原をこの抗体が認識するかどうかでインフルエンザの診断を簡単につけることができます。この方法の利点は、この試薬キットが広く市販されており、また、診断が早いことで、(15分程度)外来や病棟で簡単にインフルエンザの診断をつけることができます。私の知る限り、この原稿を書いている時点で、新型コロナウイルス抗原に対する、抗体検査はまだ開発されていません。これが開発、市販されれば、もっと簡単急速に新型コロナウイルスの診断ができるはずです。

ウイルス抗体検査。これは、患者さんの血液の中に特定のウイルスに対する抗体ができたことを検出する検査で、患者さんの血液を採取して、急性期と治癒後との抗体のレベルを比べることで、患者さんがその特定のウイルスに感染したこと、そしてその感染が治癒したことが追認識されます。ただ、患者さんの体内に抗体ができるまでには、時間がかかりますので、急性期で、まだ抗体ができていない場合は、偽陰性となります。HIVや、ウイルス性肝炎などの慢性期の診断には、この抗体検査がよく使われます。しかし、この原稿を書いている時点で、コロナウイルスに対する抗体検査が実施されているという話は聞いていません。

PCR(Polymerase chain reaction)。これは、DNAを急速増幅することによって、理論上は、サンプルの中に特有の配列のDNAが1分子でも存在すれば、それを、何億倍、何兆倍にも増幅し、検出することができる技術で、現在、新型コロナウイルスの診断に最も広く使われています。原理上は、ウイルスが存在する場所から採取すれば、どのような検体でも検査ができます。現在では、検査の簡便さから、鼻腔粘膜や口腔粘膜からの検体の採取が広く行われているようですが、血液でも、唾液でも、机やドアノブからの検体でも、そこにコロナウイルスがあれば、理論上は検査が可能です。ただ、コロナウイルスはインフルエンザウイルスと同じくRNAウイルスで、そのままでは、PCR検査にかけることができません。それで、まず、逆転写酵素(Reverse Transcriptase)という酵素を使って、RNAをDNAに逆転写し、それを、2種類1組のプライマーという短いDNAの鎖と、DNA延長酵素(DNAPolymerase)、および原料である4種のデオキシリボ核酸の混じった溶液の中に入れ、加温と冷却を交互に繰り返すことにより、DNAの二重螺旋を解いたり(加熱)プライマーをそれぞれのDNA鎖にくっつけてそれを延長して補完的なDNA鎖を造ったり(冷却)を30数回から50回程度繰り返すことによって、2の35乗から50乗、数億個から一兆個以上のコピーのDNAを作り出し、これを読み取り機にかけて、陽性陰性を判断します。このPCR検査の鍵となる2種類1組のプライマーを作るには、このウイルスの遺伝子配列があらかじめ知られている必要があります。この新型コロナウイルスの全遺伝子配列は、2019年12月に中国の研究者から初めて報告され、その後、現在では、全世界で350種以上の異なった配列が日々更新されながら誰でもアクセスのできるドメインに報告されています(nextstrain.org)。これをもとに、今全世界で使用されているPCR検査キットは製作されているはずです。ウイルスのどの部分をプライマーで囲むかで、このPCR検査の特性が決まります。アメリカのCDCのサイトを見ますと、新型コロナウイルスの3箇所の配列をそれぞれN1、N2、N3と名付けて、そのターゲットの全てが陽性のものだけを陽性とし、その全てが陰性のものを陰性とし、1箇所だけまたは2箇所だけ陽性のものは、不確定としているようです。また、最新号の医学雑誌NEJMに掲載されたシンガポールからの報告では、N及びORF1abという2箇所の遺伝子配列をターゲットとしてPCR検査がなされています。このように、同じCOVID-19のPCR検査でも、どの遺伝子をターゲットにしているのか、複数のターゲットを同時に検査しているのか、検査のクオリテイーコントロールがどの程度厳格に行われているのかにより、陽性、陰性、不確定という試験結果がどの程度信頼できるかが決まります。昨日3月17日、米国CDCは、新型コロナウイルスの検査については、当面政府の厳格な検査基準に合格することを必要としない(検査の自由化)と発表し、これによって、米国内でPCRが広く行われるようになると発表しました。これを受けて3月21日には、Cepheidという会社が、Real Time PCRというテクノロジーを利用して、COVID-19のPCR検査を45分でできるようにし、その検査キットを次週にも出荷開始すると発表しました。

現在、全世界で行われているCOVID-19 (SARS-CoV2) のPCR検査の大部分は、新型コロナウイルスに感染しているかいないか、陽性か陰性かというだけを判断するために使われているようですが、PCRの技術は、きちんと使えば、ウイルスの全遺伝子を解読することができます。シアトル在住の、Trevor Bedford博士は、このウイルスの遺伝子ドリフトという現象に着目して、このウイルスの進化系統樹を作り上げ、このウイルスの感染の広がりをリアルタイムで検討しています(fredhutch.org)。 Bedford博士によれば、それぞれの地域で流行しているCOVID-19ウイルスの全遺伝子30,000個を解析することにより、そのウイルスが、いつ、誰によりもたらされ、誰によって広げられたかをたどっていくことができると報告しています。

同じRNAウイルスであるインフルエンザウイルスを考えてみると、毎年、少しずつ違うタイプのインフルエンザが流行ります。なぜでしょうか? これは、自然界では、RNAウイルスの複製能力はあまり正確ではなく、複製エラーを起こすからだと言われています。

 新型コロナウイルスでは、Bedford博士によると30,000箇所のうち、1年に24箇所くらいの速さで、複製エラーを起こしているそうです。これを遺伝子ドリフトと言います。ドリフトとは、さすらうという意味で、少しずつ変わっていくという意味です。ドリフトは、無作為的に起きますので、ウイルスにとっては、病原性が増すことも、減る事も、また病原性に何の変化もないこともあります。この遺伝子ドリフトは、研究者にとっては宝の宝庫で、ウイルスの伝搬をリアルタイムで追跡する道具となり得ます。しかし、この遺伝子ドリフトという現象は、ウイルスに対するワクチンを開発製作する製薬会社にとっては、厄介な問題となり得ます。莫大な開発費をかけてワクチンを作っても、それができた頃には、ウイルスはもはや変異をしており、ワクチンが効かない可能性があるからです。同じRNAウイルスであるHIVエイズに対するワクチン開発がなかなか進まないのもそのような理由があるかもしれません。ただ、エイズについては、ワクチンではなく、治療薬の開発が進んでおり、その意味では、RNAウイルスに対する人類の戦いは、徐々に進んでいると言っても良いかもしれません。また、インフルエンザウイルスにも、毎年作られるワクチンばかりでなく、タミフルなどの治療薬が開発されています。

 新型コロナウイルスについては、すでに、米国ワシントン州で、健康な人を対象に、最初のワクチン治験が始まりました。また中国からの報告で、日本の富士フィルム社の開発した、アビガンという治療薬(RNA dependent RNA polymerase inhibitor)が、偽薬に比べて有意に臨床的効果があったとの報告があり、また、米国のシアトルで新型コロナ肺炎の患者さんにレムデシビル(RNA polymerase inference, RNA延長酵素を混乱させる薬 )というお薬を人道的使用(compassionate use)という条件で使用したところ、翌日劇的に症状が改善したとの報告があり、ワクチンの開発も、治療薬の開発も日々急速に進んでいるようです。この新型コロナウイルスのパンデミックの出口が一日も早く見えてくることを望んでいます。

筆者 プロフィール:
山崎博
循環器専門医   日米両国医師免許取得
デトロイト市サントジョン病院循環器科インターベンション部長
京都大学医学部循環器科臨床教授
Eastside cardiovascular Medicine, PC
Roseville Office
25195 Kelly Rd
Roseville,  Michigan  48066
Tel: 586-775-4594     Fax: 586-775-4506

ゴルフノスヽメ 2020.03.

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ゴルフのススメ
ゴルフのススメ

残念なことに、新型コロナウィスルスの影響がゴルフ業界にも出始めています。タイ、シンガポール、中国で行われる予定だった米国女子ツアーのアジアシリーズに続き、 3月に沖縄で行われる予定だった日本の女子ツアー開幕戦も中止になりました。早く事態が収束することを祈るばかりです。

今月号は「ミスのタイプ別、あなたの試すべきパター!」を表にまとめてみました。

1) 距離感

一般的にカップをオーバーしやすい人は、軽いパターか柔らかい素材のフェースを選べば、転がり過ぎるのを制御することができます。逆にカップをショートしやすい人は、重いパターか硬い素材のフェースにすると、はじきが良くなり小さいストロークでも転がりを出すことができます。ただ重いパターを使っているのに遅いグリーンでショートするなら、軽めに戻して大きくストロークする練習をするのが効果的です。

パチンと打つのが好きでショートする人は、ヘッドを極端に重くすると転がりすぎることがあるので、「やや重め」としました。運ぶように優しく打つのが好きな人は、オーバーする人でもヘッドを軽くしすぎないようにします。

シャフトを短くすれば転がりは抑えられ、長くすると転がりは良くなります。L字型のような重心距離の長いパターを使うと、フェースの開閉によるパンチが効くようになりますし、センターシャフトなど重心距離が短いパターにすると、振り幅と距離の感覚が一致しやすいでしょう。

2) 方向

一貫してカップの右・左どちらかに外すことが多い人は、ネックの形状を選ぶことでミスが出にくくなります。図の右側、クランクネックはグリップよりも打面が後方にあります。ほんの少しですが遅れたタイミングで打つことになるため、フェースが返って来やすく、右へのミスを減らすことができます。逆に図の左にあるストレートネックは、打面がシャフトの前方にあるために、フェースが閉じる前にボールを打つことになり、左へのひっかけ防止になります。真ん中のベントネックはその中間です。ボールを置く位置も重要です。右寄りに置けばひっかけは減りますし、左に置けば右へのミスは減ります。自分は真ん中に置いていると思っても、どちらかに寄っていることがあります。鏡や動画でチェックしてみてください。ボールが真ん中に当たらずインパクトでフェースがブレる気がするなら、後方におもりのついた深重心のヘッドや、ウェイトをヒールアンドトウに配分したピン型が効果的です。

道具にこだわるのがゴルフの醍醐味のひとつですよね。パターの特徴を知ることで、次のパター選びはより楽しくなるはずです。「しっくり来るパター探しの旅」はいかがでしたか。さあもうすぐ。春が待ち遠しいですね。

<筆者プロフィール> 東京都出身、慶応大学法学部卒。駐在員の妻としてミシガン滞在中にゴルフを始め、ゴルフ好きが高じて2009年にPGAメンバーとなる。「もっと遠くの、狙った場所へ」をモットーに、夏はミシガンで、冬は日本でレッスンを行っている。(sonya_nomura@pga.com / www.crazygolfersworld.com)

心臓病治療の最前線:新型コロナウイルス感染症について

心臓病治療の最前線
心臓病治療の最前線

(JNC 2020年3月号掲載)

国武漢市に2019年12月に発生した新型コロナウイルスは中国全土に広がり、この原稿を書いている2月16日の段階で、中国政府発表によると中国国内で確認された感染者数は6万8千500人、中国の外でも、691人(このうち、横浜港で停泊中のダイヤモンドプリンス号の患者356人)これ以外の日本で53人、米国内で15人(カリフォルニア州8人、イリノイ州2人、ワシントン州、ウィスコンシン州、アリゾナ州、テキサス州、マサチューセッツ州各1人ずつ。ミシガン州は、2月16日の段階で幸いなことにまだゼロです)で、そのうち中国渡航歴あるいはそれとのつながりがはっきりしているものはかなりありますが、中国との接点が不明な患者数も存在し始めており、すでに中国以外の世界のかなりの国で、このウイルスが拠点を築きつつあるとの印象があります。アメリカ政府は、中国からのこれまで400人の帰還者をチャーター便で、アメリカ国内のカリフォルニア(2)、テキサス、ネブラスカの、4つの軍事基地内の施設に収容した上で14日間隔離検疫しており、横浜のダイヤモンドプリンス号からの帰国者も、これに加わる予定のようです。現在600人以上の米国人が、これらの軍事基地で14日の隔離検疫の終了を待っているといわれています。

 私は感染症の専門家ではありませんが、私が医学校で勉強したこと、また、内科のレジデンシーで習ったことを思い出してみますと、昔は、コロナウイルスそのものは、別に新しいものでも、ヒトの健康に重要な脅威を与えるものでもありませんでした。昔のコロナウイルスはいわゆる、冬にはやる“風邪”を起こすウイルスの一つで、2−3日家で休養していれば治ってしまうというものでした。私が子供の頃、時々冬になると風邪の流行による学級閉鎖ということがありましたが、そのうちには、インフルエンザだけではなく、コロナウイルスによるものもあったのではないかと思っています。ともかく、風邪は厄介者ではありましたが(私達子供達にとっては、台風と同じで、学校が休みになるという嬉しいおまけがつきましたが)、老人や、もともと持病があったり体力が弱っている人を除けば、それによって死者が出たりというような怖い病気ではなかったと思います。それを変えたのが、2003年、中国広東省に発生したSARSと、2012年サウジアラビアから全世界に流行したMERSという二つのコロナウイルス感染症でした。これらは、強い伝染力と、高い致死率をもち、世界中に恐怖を巻き起こしました。ウイルス感染症の、疫学的な脅威は、伝染力(一人の患者が平均何人の感染を起こすことができるかを表す数字、R zero または R naughtという数字で表される)および致死率CFR(Case Fatality Rate 総死亡率を総患者数で割ったもの)で計算されますが、今回の新型コロナウイルスCOVID-19感染症については、感染が猛威を振るっている武漢市および湖北省における推定ではこれらの数字はかなり高いと思われていますが、種々の原因により、未だこれらの数字は確定できていないようです。

 1月30日、世界保健機構は、COVID-19を、PHEIC(Public Health Emergency of International Concern) 全世界的な公衆衛生上の緊急事態であると宣言しました。これを受けて、次の日1月31日にアメリカ合衆国は、過去2週間以内に湖北省を含む中国に滞在したことのある全ての外国人の入国を禁止し、この条件に該当する合衆国市民については、帰国を許可するが、その後2週間の強制的隔離観察を義務付ける法律を発効させました。この法律は、50年前、痘瘡に関する同様の措置が取られて以来、50年ぶりの措置だということで、アメリカ合衆国政府のこの病気に対する危機感が高いということがよくわかります。

 このCOVID-19は、2019年に世界で初めて起こった病気なので、誰も免疫を持っていません。ワクチンの開発は今始まったばかりなので、最も希望的な見積もりでも少なくとも数ヶ月はかかると思われていますし、治療薬も、2−3例の好結果報告がありますが、もともと治るはずの人がたまたまその薬を飲んだだけなのか、それとも本当にその薬が効いたのかは、全く不明ですので、科学的な偽薬のコントロールと比べての臨床治験が行われない限り、あるいは、実験室でこのウイルスの培養に成功し、それに対する効果が科学的に証明されない限り、まだまだ、実際の臨床で使われる段階には至っていないと考えられます。ただし、流行の震源地である武漢市湖北省では、死者も重病者も多く出ていると報告されていますので、そこで藁をもすがる思いで使われる薬の中で、もしかしたら有望なお薬が、経験的に近い将来見つかる可能性がないわけではないと思います。

 ウイルスの培養という点では、中国で最も先進的なウイルスの研究所で、最も感染性の高い病原菌を扱う厳格なP4という管理基準を満たしている武漢ウィルス研究所が今回の感染の震源地付近にあることで、様々な憶測が飛び交っていますが、“李下に冠を正さず”のことわざにすぎないことを願っています。

 私の勤務するサントジョン病院でも、また、外来患者を診察する私のオフィスでも、先週以来、COVID-19に対する、感染対策マニュアルが配られました。まだ米国での感染は先の話かなと思っていただけに少し驚きましたが、備えあれば憂いなし、対策を立てておくことは大事だと思います。世界中に旅行者があっという間に国境を超えてくる時代ですから、いつ患者さんが来られても慌てないように備えるべきでしょう。中国では、今日2月16日の段階で、医療関係者の感染者が1700人を超え、そのうち6人が死亡したと伝えられています。医療関係者は、比較的健康で、感染予防の知識もあり、手洗いやマスクの予防措置を取っていたと思われるだけに、この数字は気になります。

 これまでの報告によると、COVID-19は、他のコロナウイルスと同様に飛沫感染、つまり、咳やくしゃみ、および患者さんの触ったドアノブや手すり、テーブルに触れること、握手、キスなどを介して感染すると言われています。香港で、アパートのパイプを通じて10階下の住民に感染した可能性が報告されていますが、これは、今の所例外と思われています。また、ドイツで、症状が発生する前に他の人に感染したと思われる症例が報告されており、これが疫学的にCOVID-19の追跡および封じ込めを行うのを困難にする一因となっています。武漢市という人口1000万の交通のハブ都市で発生し、旅行者を介して中国全土に広がったという特性からか、小児や学童での発生はあまり聞こえてきません。大部分が、大人の患者のようです。一方、死亡や重症肺炎にかかるのは、高齢者や、もともと持病のある人が多いと言われており、そのほかの人については、通常の風邪と同じ症状で治癒する例が多いと言われています。

 予防に関しては、風邪の予防と同じ予防手段、例えば、手洗いをこまめにする、人混みを避ける、咳やくしゃみをしている人からは十分距離をとる、風邪やくしゃみの症状があれば出歩かない、睡眠や休養を十分に取るなどが大切だと言われています。マスクについては、医療関係者や、患者さんとの濃厚接触の可能性がある場合は、ある程度有効とされていますが、それ以外は、意見はまちまちです。ミシガンに住んでいる皆さんは、中国渡航歴がある人やその家族、濃厚接触者以外は、今の時点では、風邪症状があっても、医療機関を受診する必要はありませんし、通常の風邪に対する対処で良いと考えられます。もちろん、肺炎など重症の症状の可能性がある場合は、速かに医療機関に相談されることをお勧めします。

 COVID-19は、今感染の真っ最中なので、色々の情報がまだ流動的です。今日ここに書いたことが、近い将来間違いだったと判明する可能性は小さくありませんし、予期もしなかった新しい情報が入ってくる可能性も十分あります。ただ、その時点時点で正しいと思われる情報を時々刻々お知らせすることの重要性を鑑み、ここに上記の記事を書きました。皆さんには、日々新しい情報に注意され、正しい情報を日々入手されることをお勧めします。

筆者 プロフィール:
山崎博
循環器専門医   日米両国医師免許取得
デトロイト市サントジョン病院循環器科インターベンション部長
京都大学医学部循環器科臨床教授
Eastside cardiovascular Medicine, PC
Roseville Office
25195 Kelly Rd
Roseville,  Michigan  48066
Tel: 586-775-4594     Fax: 586-775-4506

ゴルフノスヽメ 2020.02.

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ゴルフのススメ
ゴルフのススメ

ゴルフ暦が長くなると、クラブの在庫が増えます。私はゴルフ歴20年の間に、おそらくアイアンは6セット、ドライバーは10本ほど変えましたが、パターは20本ぐらいコレクションがあります。苦手なクラブほど増える気がします(笑)。久々に掃除を兼ねてパターを並べてみました。パターヘッドは、確実に巨大化の一途をたどっています。

これまでご紹介した通り、パターヘッドが重いとクラブ慣性モーメントが上がり、ボールの転がりが良くなります。加えてヘッドは深重心になって、オフセンターでミスヒットしても直進性がアップします。しかし大きくて重いヘッドはメリットばかりではなくて、かえって慣性モーメントが邪魔をして、ストロークの始動の時にヘッドが動きづらい、思うように振り切れない、と感じる人が少なくありません。

ヘッド側、手元側のどちらが重く感じるか、スイングする時の振りやすさの感覚、バランスを数値化して表したものを「スイングウェイト」と言います。ドライバー、アイアン、パター、全てのクラブに適用される値で、C9、D2など、アルファベットと数字の組み合わせで表記されます。

ヘッド側が軽く感じる→重く感じる、の順で、A、B、C、D、Eの5つの区分があり、アルファベットの中が、A0からA9というように、さらに10個に分かれています。総重量が重いか軽いかは関係なく、ヘッドが重く感じられるかどうか、相対的な重さを表します。私の感覚では、AからCは抵抗なくブンブン振り回せますが、ヘッドの重みはほとんど感じられず少し物足りないです。Dの前半はちょうど良いですが、Dの後半からEはクラブに振られてしまって腰を痛めそうなぐらいヘッドが重たく感じます。一般的な男性用クラブはD0からD2、女性用はC6からC9、男女共パターはD2からD4程度です。ちなみに日本の名刀はD0付近のものが多いそうです。

パターはヘッドが重くなるにつれてスイングウェイトが大きくなっていくのですが、振りにくいという弱点をカバーするために、グリップ側におもりを加えることがあります。これはカウンターをかけてスイングウェイトを手元側に戻すことになるので、「カウンターウェイト」と呼ばれます。アンカーリングというパターのストロークのルール改正と、ヘッドの重量化がきっかけとなって、最近はカウンターウェイトをグリップ側につけることがポピュラーになってきました。

手元側を重くすると、テイクバックがスムーズになるのと、手の動きを整える効果があります。ヘッドの挙動が安定すると距離感が安定します。

方向性も大事です。パターの場合は特に、インパクト時に狙ったところへパターフェースが向いているかどうかが勝負なので、ストローク中のフェースの開閉がなるべく少ない方がブレは少なくなります。トウ側が重いパターは、ストローク始動時にパターを吊り上げただけでフェースが開きます。グリップを四角にすることで、無意識にフェースが開かないように手で押さえつけているのだそうです。

ストローク中にフェースが絶対に開かないパターを作っているアメリカ人がいます。デビット・イーデルというゴルフプロで、マサチューセッツ工科大との共同開発を行いました。とても興味深いので、私もひとつパターを作ってもらうことにしました。工房へ行ってスイング解析をし、ヘッドの形状や重さ、カウンターウェイトの重さと位置を決めてもらってからオーダーします。1ヶ月後にやっと出来上がりました。

平らなところに置くと、トウ側が上を向くことに驚かされます。スイングウェイトを測ってみたら、Aを振り切りました。つまり極端にヘッドが軽いのです。あまりに今までのパターと感覚が違いすぎて、恐ろしくてまだ実戦に投入できておりませんが、明日からちょうどタイにゴルフトリップに行くので試してみたいと思います。2016年に同じコンセプトのパター(トウ・アップアイ)がオデッセイから出ましたが、去年生産を終了したそうです。今後の新常識となるかどうか?いや…。楽しみですね。

<筆者プロフィール> 東京都出身、慶応大学法学部卒。駐在員の妻としてミシガン滞在中にゴルフを始め、ゴルフ好きが高じて2009年にPGAメンバーとなる。「もっと遠くの、狙った場所へ」をモットーに、夏はミシガンで、冬は日本でレッスンを行っている。(sonya_nomura@pga.com / www.crazygolfersworld.com)

Protected: JNC 2020 January

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ゴルフノスヽメ 2020.01.

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ゴルフのススメ
ゴルフのススメ

明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

11月に帰国した時、日本の女子ツアーはとても盛り上がっていました。8月の全英女子オープンで優勝した渋野日向子選手と、国内7勝の鈴木愛選手の賞金女王争いがラスト2試合で佳境に入ったからです。日本のゴルフ業界の衰退が憂慮される中、日本女子ツアーの試合数は米国女子ツアーの34、日本男子ツアーの24を大きくしのぐ39試合、その人気はうなぎ上りです。

渋野の強みはパットだと言われています。パーオンホールの平均パット数は1.758で2位、鈴木が僅差1.756で1位でした。試合あたりの平均パット数は鈴木が28.79で2位、渋野が29.11で5位でした。ちなみに米国男子ツアーのパーオン平均パット数の1位はJ.スピースで1.694、日本男子は1.735で石川が2位に入っています。

TVの特集で渋野が言っていましたが、「パットは30cmぐらいカップを越えるつもりで打っているのですが、私が打つと1mぐらい行ってしまうんです」。

ショートゲームの神様デイブ・ペルツは実験の結果、40cm越える強さが一番カップインしやすい、と結論づけています。越える練習をするのは意外と難しくて、というのもパッティングが正しい方向とスピードであったかというのはカップインしないと分からないのに、カップインしてしまうとボールがどのくらいカップを越えていたかを測れないからです。そこでペルツはPhony Holeというギアを作りました。カップの大きさに切ったただのシートなのですが、グリーンにそのシートを置いてパットします。ボールがその上を通ればカップインしたことになり、ボールはカップの先で止まってどのくらいオーバーしたかが分かるので、タッチを養うのに役立ちます。

今月号は少しグリーンリーディングの話をしようと思います。ペルツの「パッティング・バイブル」という本には、面白い実験が紹介されています。ツアー選手500人、アマチュア1000人に、5m下り、左から右へ曲がるスライスラインのパットを打ってもらいました。まず自由にラインを読んでもらい、カップの何センチ左…など、どこに向かって打つのかを宣言してもらいます。そしてボールに向かって構え、実際にパットして結果を見ます。

大抵の人は曲がりを実際の3割程度にしか予想せず、でも構える時はもっと左を向いて打ち出すのだそうです。そして8割の人がパットをウィークサイド(カップよりも低い側)へ外しました。最初に予想したよりは左に構える分、「これじゃあ読みが深すぎるかも?」という違和感が生じ、ストロークが縮こまる、結果ウィークに外し、そのうち強く打つようになり、ますますカップから遠ざかって負のスパイラルへ陥っていくのだそうです。

なぜこんなことが起こるかというと、傾斜のあるグリーンでは、ボールはパットした瞬間から重力に負け、狙って打ち出したライン(Aim Line)から外れてどんどん低い方へ流れていくからです。

これは私も昔から疑問に思っていました。曲がりのピークを見極めてそのスポットに向かってパットする、は定石ですが、ボールがそのスポットを通るように打つとカップインせずにストロングサイドを通り過ぎるし、かと言ってちょうどの強さで打つとウィークサイドに外れてしまう。けっきょく自分は読めてないんだ、才能がないんだ、という結論に至るわけですが(笑)、ペルツは「ほとんどの人は、曲がりはきちんと読めているが、正しく狙うことができていない」と言っています。

ペルツはTrue Rollerというボール用の滑り台を作り、「正しい狙い方」の実験をします。私も自作の滑り台を使ってレッスンをやりましたが、ペルツと同じ結果に。

Phony Hole 自作True Rollerの実験。打った瞬間からボールはラインを外れる。

 

40cmカップを超える程度の強さで打ったボールを狙ったスポットへ通すためには、なんと3倍も深いところを狙わなければいけないことがわかります。例えば曲がりのピークがカップ1つ分のところにあると読んだら、カップ3つのところを狙うのです。そうやって読みと狙いがリンクしてくると、あの「深すぎるかな?」「大丈夫かな?」という、構えた時に感じるざわざわした違和感がなくなっていくと思います。

渋野選手のように、自信を持って落ち着いてパットを決められるゴルファーを目指し、まずは3倍&40cm。ぜひ試してみてください。

<筆者プロフィール> 東京都出身、慶応大学法学部卒。駐在員の妻としてミシガン滞在中にゴルフを始め、ゴルフ好きが高じて2009年にPGAメンバーとなる。「もっと遠くの、狙った場所へ」をモットーに、夏はミシガンで、冬は日本でレッスンを行っている。(sonya_nomura@pga.com / www.crazygolfersworld.com)