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Saturday, July 2, 2022

お花の随筆:蝶の舞に (JNC 2020年3月号掲載)

これは何十年も前の話となります。私が幼少の頃、日本で父は、家に配達される朝刊は全国紙5社から一部ずつ、購読致しておりました。その理由として、「同じ事象がどう書かれているかを読み比べてごらんなさい。」そう言い、同じ話題を扱っている5社分それぞれの紙面を開きテーブルに広げ、

お花の随筆:共存の知恵 (JNC 2020年7月号掲載)

昨年の夏、知り合いのインド系アメリカ人の方から「ほうれん草」の種を頂きました。その方は普段から、この上なく新鮮な牛乳を自宅に配達させ、自家製のヨーグルトをお作りになっていらっしゃるほどの健康志向ですので、是非あやかりたいと喜び、早速種を蒔き忘れずに水を遣り、心躍らせて成長を楽しみにしておりましたら、ある日そのてっぺんにヒマワリの花が咲きました。

お花の随筆:我が家のアンコールワット (JNC 2020年9月号掲載)

ふと外を見やると見知らぬ女性が佇んでおりました。つい最近、同じ通りにお住まいの方が「誰か知らない人が庭から満開の薔薇をいきなりハサミで切って持って行ってしまった」と憤慨なさっていらしたのを思い出してドキリとし、息を呑んで身構えましたが、その方はごそごそと携帯電話を取り出し遠慮がちに2、3歩ドライブウェイに立ち入ると、傍に咲いている花の写真を撮り立ち去りました。

お花の随筆:綺麗な足跡(JNC 2020年11月号掲載)

 今年の10月初日は満月でした。綺麗なきれいな月を、空気も澄み静まり返った真夜中に、長い時間をかけ無言で愛でることができました。誰にも、何事にも妨げられない時間というものは本当に貴重となりました。

お花の随筆:心 (JNC 2021年1月号掲載)

年の瀬が迫りごった返している大型食料品店の牛乳売り場の前で私は困っておりました。いくつもの種類がある中で、私が買いたいものだけが一番上の棚にあり、しかも目的の半ガロンサイズのカートンは奥の方に6本残っているだけ。それがどうしても2本欲しい。

お花の随筆:かたしろ (JNC 2021年3月号掲載)

ミシガンの2月下旬は、外はまだマイナス20度の厳しい寒さとそれに調和する美しい雪景色が見渡す限り続いておりましたが、私は季節の楽しみの一つ、お雛飾りを紐解いておりました。重い家具を動かし入念な掃除を済ませると、最適の場所に晴れのステージとなる雛壇を組み立ててゆきます。毛氈をかけ、ひとつひとつ箱を開き、調度や人形を取り出してゆきます。

お花の随筆:ひげ (JNC 2021年5月号掲載)

通りすがりに鏡を見やり、あれ?と不思議に思い近づいて、よくよく顔を眺めてみました。髭が伸びている。記憶違いでない限り、私は生物学的に男ではなかったはず。ああ、もしやこれは湿気のいたずらなのかしら。

お花の随筆:天敵  (JNC 2021年9月号掲載)

高温多湿の続く週に、私は閉店間際の小さなスーパーマーケットに立ち寄りました。小さい店舗ながらもセンスの良い生花コーナーの充実しているところで、ただ一目眺める為だけにも、四季を通じてその品揃えを楽しみに、好んできた処でした。