コロナが収束を見せ、心にもだいぶゆとりができた2023年のホリデーシーズン。リベンジ消費か、じゃあ行ってみようか、とヨーロッパの旅が始まった。

 まず、ミシガンからヨーロッパに降り立った。出かける前に、DB(ドイツ鉄道)のSuper Sparpreis(超早割の最安切符)をオンラインで購入して、現地でミュンヘン行きへと乗り込んだ。2等席に乗ったが、日本の新幹線等よりも座席がゆったりしており、大きなスーツケースを置く専用のスペースがあり、重い荷物の上げ下げの必要がない。車内の清掃も行き届いている。列車にはカフェテリアがついているので、行ってみた。大学時代の教養で習ったドイツ語を絞り出して、飲み物を注文。グラスに注がれたPuntigamerでのどを潤した。車窓からは雪をかぶったウインタースベルツが見えた。「EU内はパスポートコントロールもなく、駅も自由に出入りしている」と聞いていたが、ドイツに入る前の停車駅からはPolizei(警察)が乗り込み、車掌と一緒にパスポートをチェックしていた。ヨーロッパ・ラガーの味わいも少し減少。

ミュンヘン。旧市街付近にはショッピング街、美術館、レジデンツが集中している。レジデンツとはこの地を治めたバイエルン公の邸宅。高級店が立ち並ぶマリエン広場から2ブロックほど行った、マックス・ヨーゼフ広場から建物が続く。かつての宮殿は美術館として開放されている。入館してすぐ広がるアンティクヴァリウムは特に圧巻。ドーム状のホールには、天井にはフレスコ画、左右にはギリシャ・ローマの作風の彫刻が並ぶ。彫刻の前に座るとこの壮大な建物と往年のヴィッテルスバッハ家の繁栄を感じ、歴史深い趣を味わえる。第二次世界大戦で損傷した部分もあるが、王家の居城は金で縁取られた壁、天井が続き見事だ。

このマリエン広場から歩いて10分ほどのところにあるのが、アルテ・ピナコテーク美術館。ルーベンスの絵画が多数所蔵されている。そして隣接するノイエ・ピナコテークが改修中なので、本来はそこに収蔵されているゴッホの「ひまわり」、モネの「睡蓮」、ゴーギャン、マネの作品も楽しむことができる。

この旅行の中で一番楽しみにしていたことは「ミュンヘンでビールを楽しむ」ことだった。ホフブロイハウス(Hofbräuhaus)は1589年創業の老舗。「ミュンヘン、札幌、ミルウォーキー」とサッポロビールがCMで同緯度にあるビールの名産地を連ねた曲を流していたことがあった。本家本元のビールの街のミュンヘンの老舗で楽しみたいと思っていた。中に入ると巨大なビアホール。サーバーは「Sit anywhere」と言った。相席をしたのはミュンヘン、フランクフルトで働くコロンビア出身の4人グループ。「とてもお腹が空いているときにはいい」と、豚の肘にかぶりついていた。クラシックなスタイルのOriginal LagerとややソフトなDunkelにした。ドイツの名物ソーセージ、サワークラウト、ジャガイモスープも注文。ヨーロッパに来てから、アルコール分5%台のラガーが主流で風土や気候に合っている気がした。この広大なビアホール、相席が幸いして若者たちと意気投合。一緒に記念写真まで撮り、言葉(お互いに英語を手段としてつながった)を越えて、親しくなれたのはビールの縁、旅の良い思い出だ。

文化、ビール、そして歴史がありながらも活気のあるミュンヘン。もう一つ立ち寄りたかった場所があった。ダッハウ(Dachau)強制収容所。ミュンヘンの街の中からバスを乗り継いで1時間半ほどで着く。林の中の小道をいくと更地が広がっていた。収容所が連合国に降伏した時には、32,000人もが捕らえられていたという。現在、毒ガス室、焼却室等も開放されており、展示されていた資料や写真とともに胸に残るものが多かった。

ミュンヘンからさらにDBで移動するたびは続く(次号へ)。

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