喧喧諤諤 ケンケンガクガク
喧喧諤諤

2006年7月号で前任者2名から引き継いだ本欄も今月号で通算250回の節目となりました。足掛け18年目を迎えていますが、3度の休稿を含めて振り返れば「遠くに来たもんだ」と感慨深いものがあります。

時は三月(弥生)、今年は雪も少なく比較的暖かな冬ですが、先月末週のミシガン州デトロイト周辺では日中最高気温が従来の記録より10度Fも高い73度F(約22.8℃)にもなり、散歩するのにコートも手袋も不要でした。すれ違った人の中には短パン姿の人もいましたが、その後すぐにまた氷点下の気温に逆戻りし、雹(ひょう)混じりの雪もチラついたりして今もまだ冬将軍が健在であることを誇示しています。
1822年7月に30歳の誕生日を待たずして早逝したイギリスのロマン派詩人パーシー・ビッシュ・シェリーの原詩を漢文調に和訳した「冬来りなば春遠からじ」は名訳であり、辛い事や苦しい時期があってもそれを耐え抜けば必ずいい事や楽しい時期がやって来る、という教訓的な言葉としてしばしば使われています。
似たような意味の言葉で同じくイギリスの文豪・戯曲家ウィリアム・シェイクスピアの原文の意訳で「夜が長いほど夜明けは近い」というのもありますね。
私も個人的に何度か思い当たる経験がありますが、先月の誕生日で満74歳になった今の段階では冬も夜も長過ぎない方が助かります。(笑)
春が近づいている証拠に自宅の前庭のパンジーと水仙の球根から今年も新芽が伸び始め、暖かい日が続けばそろそろ蕾が膨らんで早咲きのパンジーから順々に我々の目を楽しませてくれる筈ですが、もう少しの辛抱でしょうか?

さて、春の訪れを前にして世間を見渡すと、残念ながら相変わらず悪いニュース、暗い話題が溢れています。テレビ、ラジオ、インターネットなどでそのようなニュースや記事を読む度に悲しみや怒りで気分も沈み、荒み(すさみ)がちになりますが、特に朝起き抜けに悪いニュースを目にすると後に尾を引きますね。
たまには(できれば毎日)良いニュースから一日が始まるといいですが、今回は急遽予定を変更して一足早く春に相応しい明るいニュースから書き進めます。

皆さんも既にご存知のように、つい先日サッカー女子日本代表『なでしこジャパン』がアジア最終予選で北朝鮮代表チームを破りパリ五輪出場を決めました。おめでとうございます。パリ五輪が開催される今年は4年ごとのオリンピック・イヤーで閏年でもあり、通常ピッタリ4週間、28日で終わる最小の月2月も今年は一日多い29日までありました。
その閏年の閏日2/29の日本時間夕方4時半ごろ(米国では2/28の夜半を過ぎた29日の午前2時半ごろ)本号原稿締切り直前(実際は納期遅れ)に超驚きのビッグ・ニュースが入ってきました。

今季からロスアンジェルス・ドジャースの一員となった二刀流大谷選手が自らのインスタグラムで結婚した旨を報告したのです。日本語と英語で別々にやや内容表現を変えての同時発表で、細かい配慮をした事前準備が伺われました。
発表時刻は日本で一般的に一日の仕事が終わる夕刻であったのは、混乱が少ないようにと日本のファンやメディアへの配慮か?米国西海岸では日付が変わる深夜0時少し前というのも、一足早く眠りについている東側に位置するその他の州よりも自分が在籍するドジャースの本拠地ロスアンジェルスのファンの一部やメディア担当者がまだ起きていて米国内では一番に受信できるように配慮したものかもしれません。この一大ニュースに就寝中のところを叩き起こされたり、そろそろベッドに入ろうかと思っていたメディア関係者はてんやわんやの大騒ぎとなり、眠気眼(ねむけまなこ)でスマホやラップトップを開いて、また一仕事する羽目になったかもしれません。

大谷選手は野球界、スポーツ界のみならず、今や広く世界中にその存在を知られ、毎日のように一挙手一投足がニュースになる超有名人ですが、お付き合いしている女性の影がなく、スキャンダルとは全く無縁であったため、寝耳に水のビッグ・ニュースでした。お相手は日本人女性とのことですが、どんな方なのか原稿作成時には不明ですが、次の発表が待ち切れません。
個人的にはエンジェルス在籍当時からメディアや世間の注目が集まる大谷選手は恋人探しも結婚も当分難しく、長く独身生活が続いて30歳半ば過ぎて現役生活後半くらいにならないと無理かな?お相手の条件も難しそうだな、と思っていましたが、グラウンドでの想像を超えるプレーで何度もファンを驚かせてきた彼はグラウンド外でも想像を超えるスーパープレーを見せてくれました。野球に例えれば、ワールドシリーズのゲームセブン(最終第7戦目)で相手チームに3点リードされて迎えた最後の攻撃9回裏2死満塁で打席に立ち、相手の絶対的抑え投手のクローザーから逆転サヨナラ満塁ホームランをかっ飛ばすくらいの快挙です。彼が想像を超えた唯一無二の存在『ユニコーン』と呼ばれる所以(ゆえん)でしょうか?拍手喝采!ご結婚おめでとうございます!!
私の個人的な想像と私見ですが、お相手の女性は彼の出身地岩手県水沢市か近隣出身の幼馴染で子供の頃から家族ぐるみでお付き合いのあるお互いに気心が知れた女性ではないか?と勝手に推察しています。長年の付き合いでお互いに信頼・尊重でき、彼と価値観が共有できるのはもちろん、心根が野球小僧、野球少年である彼が愛してやまない野球でベストのプレーができてとことん楽しめるようにサポートしてあげられる人(今までもそうしていた人)だといいなと思います。誤解や異論があると思いますので少し付け加えますと、サポートと言っても自分を犠牲にしてとか、辛くても我慢してとか、男性本位の日本の古風な考え方ではなく、奥さんも彼が元気にハツラツとプレーするのを楽しみ、結果が良ければ共に喜び、結果が思わしくなければ労り次に向かって励ます関係が幸せな結婚生活に繋がると思います。お幸せに!!
最後になりますが(英語ならLast but not least)、願わくば、大きな特ダネスクープを逃して慌てている筈の日本国内他海外のプロのマスコミ、パパラッチはじめファン、一般人の方々には無許可での取材や写真撮影は厳禁していただき、私生活に立ち入らずに既に『大谷ブーム』で湧きかえっているロスアンジェルスやスプリングキャンプ地、球場での野球関連の事柄に限定して欲しいものです。くれぐれもよろしくお願いします!!

では、続いてスポーツ以外の話題をさわり(要点)のみオムニバス形式で書いてみます。

ロシアの反体制派、反プーチン政権、反コラプション(腐敗政治)活動のリーダーであったナルヴァディー氏がシベリアの刑務所で突然獄中死。一度は毒殺の陰謀から紙一重で命拾いしたものの、治療を受けたドイツから逮捕されるリスクを知りながらロシアに空路再入国し、案の定到着と同時に逮捕され、裁判で有罪判決、収監、追加裁判で追加刑罰・刑期延長の末脱出・帰還不可能なシベリア送り。ロシア国内の支援者、共感者や民主主義諸国の人々が最も恐れていた事が起きてしまった形です。前日には面会に来た母親と冗談も交えた会話をして元気な姿を見せていたのに翌日の悲報。ロシア当局の発表では死因は自然死とされていますが家族や関係者は信用せず、国際世論からも疑問と抗議の声多数。母親による遺体の引き取り願いも最初は冷たく断られ2週間待てと追いやられる始末。葬儀の日取りや場所、参列者についても色々制約条件をつけて故人や家族に対する敬意も弔意も全くなし。またもプーチンの横暴と恐怖政治の犠牲者。

イスラエル/ハマス戦争が続くガザ地区で飲料水、食糧、生活物資などを搬入したイスラエル国防軍のトラック数台に群衆が殺到し、身の危険を感じた国防軍が発砲し、100人以上の死者、800人近くの負傷者。現地の当事者や目撃者と国防軍側の発表内容に食い違いがあり、真相は分かりませんが、飲み水や食糧が枯渇しているガザ住民は小動物や草を食べて飢えを凌いでいるとの情報もあり、なりふり構わず我先にトラックに殺到したと思われ、痛ましい事態となりました。現在進行中の一時停戦・人質解放交渉にもマイナスの影響となる恐れもあり。

ウクライナへのロシア軍侵攻も2年以上続いており、昨年末まで反攻作戦が功を奏してロシア軍占拠都市の奪回や軍事拠点、クリミア沖で停泊または作戦行動中のロシア海軍艦船攻撃などで戦果を上げていたウクライナ軍への兵器、弾薬、軍需物資の継続供給が米国議会(下院共和党)の混乱によるウクライナ支援追加予算審議・可決・実施遅れで先細りし始めると同時にロシア軍の再侵攻が強まり、ウクライナ国内の重要拠点都市がいくつか再占拠され、死傷者も出て兵士も不足する状態が表面化。米国以外のN A T O加盟国は継続支援を確約し、継続中ですが、最大支援国である米国の下院共和党が無責任で他人事のように動かず、ゼレンスキー大統領の必死の訴え、懇願も実らず危機感増大中。

上記ウクライナ支援追加予算やメキシコ国境での移民・難民対策改善予算を含む超党派の予算案が数ヶ月の両党議員有志の協議を経てようやくまとまり、議会審議にかける直前に次期大統領選を有利に運びたいトランプから「やめておけ」と横槍が入り、賛成投票するつもりであった共和党議員の一部が躊躇し、共和党マイク・ジョンソン下院議長は上院で先に可決した共同予算案を下院審議にかける気さえない有様。

テキサス州ダラスに近いフォート・ワース北部で同州史上最大規模の山火事が発生し、隣接州にも飛び火している他、既に東京都と同じ面積が焼失し、今も燃え広がり収束の目処立たず、住宅地や同州の主産業である石油施設にも延焼すれば被害が更に拡大しそうな緊急事態。

バイデン大統領とトランプ前大統領が先月末奇しくも同じ日にテキサス州の国境地区視察。次期大統領選挙戦の最大の争点、懸念課題である移民・難民問題、国境管理対策を巡って、バイデン大統領は問題解決のための一歩として両党一致協力して共同予算案を可決し、改善・解決に向けて前に進もうと呼びかけたのに対し、トランプはバイデン大統領と現政権の移民対策を非難し、移民・難民のほとんどが犯罪人、脱獄者、悪党、病人、精神錯乱者であると決めつけて誹謗・中傷・罵倒の繰り返し。訪問地の住民の95%と言われるメキシコ系住民はどんな気持ちで聞いたのか?大ウソつきの詐欺師、犯罪人、悪党は彼自身なのに・・・

大統領予備選では共和党候補者は次々と脱落し、トランプとニッキ・ヘイリーのマッチレース。先月末までに既に実施済みのアイオワ、n湯ハンプシャー、ネバダ、サウスカロライナ、ミシガン諸州の予備選、党員集会ではいずれもトランプが得票率で二桁の差をつけて圧勝。3/5に16州・米国領で予定されているスーパー・チューズデーまではキャンペーン継続を宣言しているヘイリーが資金調達を含めていつまで続けられるか?共和党全国委員会のロナ・マクダニエル議長には極右保守強硬派から早くトランプに一本化し党大会での正式指名を待たずにバイデン大統領対抗策に集中すべきと異例の圧力がかかり、3/5のスーパー・チューズデー終了後に退任予定と発表。ヘイリーがそこでも大差で負ければ脱落、キャンペーン終了か?

トランプが被告となっていたニューヨーク市でのセックス・スキャンダル関連の名誉毀損民事訴訟(追加分も含む)及び不動産不正評価・申告に基づく不当資産借入賠償民事訴訟判決はそれぞれ$83.3ミリオンと$545ミリオンの巨額賠償金・懲罰的罰金支払い命令が下され、基本的に即時現金払いが原則のため、トランプはアピール裁判所に判決の無効化、減額や支払い延期のアピールをしましたが認められず、資金繰りで窮地に追い込まれています。彼の弁護士談ではトランプの手持ち現金は$200〜250ミリオン、最大でも$400ミリオン程度とのコメントがあり、正当な評価額では金額が低くなっても彼の不動産資産の一部を売却しないと全額支払いは不可能。数十万ドルの裁判費用の即時支払いもあり、運転資金として現金も必要なためどうなるかです。他にも二人の息子共々トランプグループ会社の経営に参画禁止となり、今後の法令遵守、不正会計防止のため経営監視人も常駐させられ、今までのように詐欺・詐称まがいの勝手な振る舞いができなくなる羽目となりました。彼にとって唯一の救いはニューヨーク州におけるビジネスライセンスの剥奪というデス・ペナルティー(死刑宣告)だけは免れた事ですが、既に何度も度重なっている寄付金集めでは埋められそうもない金銭的、財務的負担とビジネス運営の制約は大きな重石です。金と権力の亡者には金で縛る、金で首を絞めるのが効果大。

共和党上院院内総務を現役最長の18年務めたミッチ・マコーネル氏が今年の11月で退任し、上院議員としては活動継続を表明。昨年7月に自宅で転倒し緊急入院。復帰後も記者会見の途中で立ったまま数十秒意識を失い、話が中断したこともあり、他にも公表されなかった転倒の事実が明るみに出て現役続行を危ぶむ声がありましたが、この時期突然の発表となりました。オバマ元大統領時代に民主党指名のリベラル派最高裁判事候補者であったガーランド現司法長官の議会承認手続きを断固拒絶した一方トランプ政権時代には共和党指名の保守派最高裁判事を3名あっさり強行承認したりした一方、1/6議会襲撃事件では煽動したトランプを批判したり、議会に対する彼の要望を蹴ったりして良くも悪くも共和党の上院を長年取り仕切って来た曲者政治家ですが、トランプの一声で動揺・混乱する下院共和党を横目に独自の動きをしてきた上院共和党の今後の指針と方向性がどうなるか?大きな転換期になるかもしれません。

以上、色々織り交ぜた混ぜご飯的コメントになりました。他にも話題はありますが、今回はこれくらいにしたいと思います。

「冬来りなば春遠からじ」の名訳から3月に入ればもうすぐ春と期待せざるを得ませんが、上記のような多くのネガティブな事件、出来事、動向、状況が続きますと気温は暖かくなっても背筋の寒さは無くならないのではないかと憂慮しています。心身ともに本当の意味で「は〜るよ来い!」と叫びたい気持ちです。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 

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