喧喧諤諤 ケンケンガクガク
喧喧諤諤

喪中のため、ひと月遅れでも「おめでとうございます。」とは言えませんが、今年もよろしくお願い申し上げます。

昨年の新春1月号も休稿していましたので、これで2年連続になってしまい誠に申し訳ありません。一昨年10月末に亡くなった姉に続き、昨年11月にはそのご主人の義兄が亡くなった旨遺族から東京の姪経由で事後連絡をもらいました。

本来ならば、昨年の12月号を休稿すべきタイミングでしたが、日本からの訃報を受け取った時点である程度原稿作成の目処が経っていたのとその前の11月号をラップトップの突発的トラブルで予定外に休稿していたため、2ヶ月連続で急に休稿しては空いたスペースの穴埋めや紙面構成のやりくりでまたまた発行・編集責任者の方に余分なご迷惑をお掛けしてしまうことになるので、何とか完成して事なきを得ました。

喪中では新年の門出を祝う1月号の原稿書きには気分も筆も重く、祝事に相応しい内容は書けそうもないため前例に準じて休稿させていただきました。読者の皆様には事後報告になってしまいましたが、本欄をお借りしてお詫び致します。平にご容赦ください。

訃報と言えば、長年米国三大ネットワークの一つCBSテレビ、ラジオの顔であり看板であったチャールズ・オズグッド氏が先月91歳で亡くなられました。日曜朝の『CBSサンデーモーニング』のレギュラーホストとして2017年に引退するまで22年間、またCBSラジオの『オズグッド・ファイル』では同じく2017年までの毎朝実に46年間という長きにわたって現役で活躍。ラジオでは臨時ニュースや時事トピックを話題にし、時折詩的センスを活かして韻を踏んだ軽快なおしゃべりで『CBS住み込みの詩人』と呼ばれた才能を発揮。作詞・作曲、ピアノやバンジョーの演奏(テネシー州ナッシュビルのカントリー・ミュージックの聖地として有名なグランド・オール・オプリにも出演)、ピアノ弾き語りの歌唱力もあり、クリスマス・タイム週末の番組終了時の演奏・歌唱は毎年定番の名物として定着。私が同番組を見始めたきっかけで、ほぼ毎週見続けていた1番の理由でした。他に絵心や詩の創作など羨ましいほど才能豊かで、しかも一つ一つのレベルが高かったことは驚きでしかありません。多芸・多才を鼻にかけず、いつも自然体で誰にでも優しく接し、親切に対応したボウタイの似合う紳士で、自分が好きな事をして楽しみながら、周りの人たちも楽しませて幸せな気分にさせる素晴らしい人柄。前大統領のトランプとは真逆、正反対の人物でした。本当に才能ある良い人が亡くなるのは残念で寂しい限りです。きっと天国でも神様や先人たちを大いに楽しませている事でしょう。R.I.P.(合掌)

では、続いてスポーツの話題を少々。

シーズンオフのMLBで最大の関心事であったロスアンジェルス・エンジェルスの二刀流大谷選手の行き先は、最終的に同じ西海岸のお隣さんであるナ・リーグの名門球団ドジャースに決まりました。複数年5億ドルを超えると予想されていた契約金は複数球団と度重なる折衝を続けた結果、最終的にMLBのみならずプロスポーツ界史上最高の10年、7億ドルで契約合意・決着しました。主な契約条件も大谷選手らしさ全開の移籍オプションなし(但し、現オーナーまたは球団編成部長が引退・退団した場合は契約解除可能の付帯条件付き)、契約金の1%未満(それでも大金)を球団の慈善団体に寄付、初年度から10年間は毎年サラリー200万ドルのみ、残りの6億8千万ドルは11年目以降の10年間で利息なしの後払い。これにより、球団は大谷選手に起因する贅沢税のかなりの部分を回避でき、他の有力選手の確保や獲得がしやすくなりました。野球が芯から好きで、好きでたまらない彼が勝利にこだわり、同じく勝利にこだわり下部マイナーの選手育成システムから1軍の有力選手確保・獲得まで一貫した考えを持っている球団であると確信できたドジャースに骨を埋める覚悟で球団のオーナーから監督、コーチ、スタッフ、選手まで全員が一致団結して今後10年間毎年栄冠を目指して進み続けられるように本気で考え自ら提案したものです。

実際に、それからしばらくして、今オフ日本からポスティング制度でMLB移籍を目指していた2番手の目玉選手であるオリックスの山本投手を獲得できたのにも即影響と効果が見られました。今シーズン大谷選手は投手としてはプレーできずバッティングに専念しますが、打順はどうなるにしてもベッツ、大谷、フリードマンの3選手が並ぶ強力打線と山本選手他が加わった豪華投手陣はカーショウ投手の去就がはっきりしないもののほぼナ・リーグのオールスターに近い陣容となり、今後大谷選手が在籍、プレーする10年間は毎年のリーグ優勝はもちろんプレーオフを勝ち抜いてワールドシリーズ制覇の期待がかかります。

既にロスアンジェルス市内には大谷選手の壁画やポスター、関連ディスプレーがあちこちで見られ、スポーツ用品店、小売店、ネットショッピング・サイトにはTシャツ、トレーナーなど関連商品(最近お披露目された愛犬デコピンも含めて)が溢れています。スポンサー契約金や広告料収入、TV他のマスメディア出演・取材謝礼などを含めると我々の感覚では理解不能なサラリーの何十倍、何百倍というとんでもない金額になりそうです。付帯条件の一つとして合意したフルタイムの通訳として長年の名コンビである水原一平さんも球団と契約されたのは心強いですね。

余談では、カリフォルニア州政府の関係者が「後払いにすると彼が将来引っ越した先で受け取る契約金に関して同州の税収入が得られないのは不公平」などとケチなことを言ったそうですが、米国内であれ、国外であれ、生活拠点として住む所で税金を納めるのが当然であり、公平というもの。無い物ねだりの欲張りの戯言(たわごと)は捨てておけばいいでしょう。

大谷選手の話題だけで長くなってしまいました。他にも全米大学フットボール選手権で優勝したミシガン大学やNFL地元チームで超久しぶりに牙を剥いて咆哮したデトロイト・ライオンズ、今季初のテニスメジャー大会であるオーストラリアン・オープン、カタールで開催中のサッカーアジアカップのことも書きたいのは山々ですが、次号以降で機会があれば触れることにします。

では、本題に移ります。今月のテーマは「病める迷走大国アメリカ」です。

今年は辰年。干支に因んで昇竜の勢いで我家も世間も運気が上向いて良い年になることを願っていたのですが、新年早々元日から日本で能登地震、羽田空港滑走路での航空機衝突・炎上事件といきなり悲報が続きました。中国では辰年には大きな災難が起こるという言い伝えがあるとのことですが、それが隣国日本で起きてしまいました。地震と直後の津波で亡くなった方々や倒壊・破損した建物、家屋も多数あり、周辺道路の陥没や隆起のために救援部隊や救援物資供給のアクセスも制限され、遅々として救援活動が捗らないようです。また、近隣港では地盤が4メートルも隆起して港に漁船が出入りできず、シーズン盛りの紅ズワイガニや寒ブリの収穫、水揚げが思うように出来ない被害が重なってダブルパンチの痛手を受けており、被害に追い打ちを掛けています。亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると同時に、被災された皆様には心よりお悔やみ申し上げます。(再び合掌)

それにしても、この緊急事態に救援活動の陣頭指揮に当たらねばならない岸田内閣、政府与党・自民党が裏金問題で大揺れし、逮捕者が出たり安倍派を含む党内主流派閥が解散になったりの体たらくで自分達の尻を拭くのに奔走しており、支持率は過去最低となり最優先すべき救援活動に本腰が入っていないのは情けない限りです。もう何度も言われ、耳にタコですが、関係者全員が政治家本来の原点に戻って、『国民のための政治』に真摯に取り組んでもらいたいものです。

一方、当地米国でも年明けから余り良いニュースはありませんでした。

昨年10月7日突然にイスラエルと隣接するガザ地区のイスラエル人や外国人に対して大規模テロ攻撃を仕掛けたハマスへのイスラエル国防軍の強力な反撃がガザ地区北部から南部へと移りつつありますが、今もまだ米国人を含む150人以上の人質が拘束されており、解放される目処が立っていません。先月末にはイスラエル側からハマスに対し人質全員の解放を前提にして2ヶ月間の休戦提案が出されましたが、ハマス側がこれを拒否したため何も具体的に進んでいません。パレスチナ人が大半であるガザ地区住民の多くは事前に避難勧告があっても停電やインターネット接続可能な受信機能がなく、知らないまま犠牲になったり、知っていても実際安全に避難できる場所がないため、先月末までに実に2万2千人以上の一般人犠牲者が出ています。中には無抵抗を示す白旗を掲げて避難の最中に突然狙撃されて命を落とした犠牲者もあり、その件数が9件も連続発生し国連が調査に乗り出すとのことですが、救いようのない非常事態になっています。

その間に国際的に最重要な海運ルートとも言える紅海を航行中の貨物船がガルフ湾岸のテロ組織からと思われるロケットやドローン攻撃を受け、航行の安全確保が難しくなっています。米軍などが攻撃を受けた際の防御策やレバノン国内の複数テロ組織拠点への限定的報復反撃を実行していますが、100%安全な保証がなく航行継続できるかどうかが危ぶまれています。もし、紅海が海運ルートとして利用不可となると、南アフリカの南端喜望峰沖を回って北上する極端な迂回ルートを取らざるを得ず、航行日数や輸送コストの大幅アップとなり従来の貨物輸送、物資供給システム、経済・ビジネスモデルが維持不可能になるため世界的な大問題となります。

また、直近のニュースではシリア国境に近いヨルダン国内の駐留米軍基地がドローン攻撃を受け3人が死亡、30人以上が負傷する事件が発生し、イスラエル対ハマスの2者間戦争がイスラエル対アラブ諸国またはユダヤ人対パレスチナ人という湾岸諸国を巻き込んだ大規模な戦争に拡大しそうな懸念が増大しています。そんな事態にならないように神経を尖らせて外交ルートによる折衝と並行しながら慎重に軍事行動してきた米国がコントロールできない相手側の行動により、実行可能なリスクの低い選択肢が狭められつつあります。バイデン大統領と民主党政権にとっては、米国内だけでなく世界各地で人道的倫理観と人権保護の観点から反イスラエル・反ユダヤ人から反米の抗議デモが多発しておりイスラエル継続支援・擁護が難しくなりつつあり、同じく継続支援のための追加予算確保の議会承認がダダ遅れになって軍事支援金や兵器・弾薬など必要な軍事物資供給不足になっているウクライナに侵攻継続中のロシア対策や米国内メキシコ国境の難民・移民問題と併せてまたまた頭の痛い難題で、先月アイオワ州の共和党党員集会、ニューハンプシャー州の共和党指名候補者予備選を皮切りに正式に始まっている次期大統領選挙および一般選挙に向けて更に逆風が強まっています。共和党大統領候補者としては、トランプ前大統領はジーン・キャロル女史が原告となるレイプ告発事件に関する名誉毀損訴訟でニューヨーク連邦地裁で有罪判決を受け当初5百万ドルの賠償金支払い命令を受けた直後のCNN主催タウンホールミーティングで懲りもせずまたまた彼女を罵倒・中傷するコメントを発したため追加の名誉毀損訴訟に持ち込まれ、名誉毀損の追加賠償金の他に重い懲罰的賠償金を加算されて83.3百万ドルの支払い命令が下されました。他にも連邦及び複数州単位で合計91件の容疑で起訴され、ニューヨーク州、ジョージア州などで進行中の裁判を抱えながら大差の支持票を獲得し、先に撤退したクリス・クリスティー元ニュージャージー州知事や黒人のティム・スコット候補者に続き現フロリダ州知事のディサンティス候補者も選挙キャンペーンから撤退表明し、残るは元サウス・カロライナ州知事及び元米国国連大使のニッキ・ヘイリーとの一騎討ちとなってきましたが、今実際にそういうことが起こっているという事実が本当に信じられません。2016年大統領選当選後の就務中の言動や2020年選挙で落選した事実をいまだに認めず、グズグズ、ダラダラと嘘八百、偽情報、誤情報をばら撒き続けて米国内を混乱と対立・憎悪の渦に巻き込んでいるトランプを本気で次期大統領にしたいのか?一体全体米国をどんな国にしたいと思っているのか?とても正気の沙汰とは思えず支持層の人物評価と判断基準が全く理解不能です。議会制度や選挙制度、憲法他の法律や司法システムも無視して、あらゆる邪魔者や障害を乗り越えてひたすら我が道を進もうとしているトランプを強者として英雄視、礼賛しているようですが、私に言わせれば単に負け惜しみと我(が)の強い小心者、臆病者です。前回キャンペーン中に史上最低の候補者呼わばりしたバイデン候補者に敗れた悔しさと自分の人徳の無さ、能力の至らなさで落選した事実を受け入れられず、自分を改めようとか高めようとは一切しないで他人の所為にしてケチをつけ、言いがかりとイチャモンをつけて大騒ぎしているだけです。前にも書きましたが、まるでお菓子売り場やおもちゃ売り場で自分の欲しいお菓子やおもちゃを買ってもらえるまでギャアギャア泣き喚き、床に寝転んで手足をジタバタさせる悪ガキ(別称:欲しガキ)と一緒です。負けず嫌いで自尊心だけは人一倍強い小心者なので、夜中の3時ごろにX(旧ツイッター)で自分に非があり非難、糾弾される不利、不都合なコメントには直ぐに反論と逆ギレの誹謗・中傷コメントを掲示し、少しでも自分に有利なネタ探しをして大ボラとウソのつきまくる詐欺師の手管で一般人を騙し扇動し放題。前回大統領就任後のロシア疑惑の際にムラー特別検察官が任命された直後に「これで俺の大統領職は終わった!」と観念したコメントを吐いたと限定報道されましたが、ムラー氏が自分を任命した監督上司がトランプ支持派や擁護派から無用な非難を浴びて立場が危うくなるのを危惧してか、あるいは自分の報告書が原因で現職大統領を巻き込んで世間が大騒ぎになるのを懸念してか、トランプに直接インタビューする場を設けず質問状だけの調査にしたため(トランプの弁護士団が絶対回避に奔走したのもありますが)最終報告書では結局クロと断定せず議会に判断と対応処理(大統領弾劾裁判など)を委ねた形となり、当時の司法長官だったビル・バーがトランプべったりのゴマスリで報告書の内容骨子を歪めて口頭で発表し、有耶無耶にしてしまい、史上初の2度の弾劾裁判でも当時共和党が過半数を占めていた上院で無罪の判決となってしまったのはご存じの通りです。

通常の良識と良心があり、正しい人物評価、善悪の判断ができる人からは全く認めてもらえず、自分が優位になるには他人を誹謗・中傷で貶めるしか方法がなく、実力も立派な功績もないのに自画自賛で「オレが一番。凄いだろう!」と自慢して(今で言うマウンティング)それが大ボラの茶番と分かっていても面白がって周りで囃し立てる取り巻き連中のゴマスリで図に乗ってますますわがままな言動が酷くなるばかり。まるで猿回しのサルか童話に出てくる自分の真の姿、自分の愚かさに気づかない『裸の王様』だと思っていたら、今朝のニュースで上記名誉毀損訴訟の原告人であるキャロル女史がインタビューで法廷でのトランプの態度を同じ表現を使ってコメントしていました。他にも同じ思いをしている人がいることでしょう。下院では共和党が過半数を占めながら、議長選出、不信任案、更迭、議長選再実施などで議会審議が中断されたり、民主党憎しで時間と税金の無駄遣いとなっている個別委員会での召喚尋問や弾劾手続きに加えて、最重要である国家安全保障と国際政治に関わる連邦予算他新たな政策案審議がトランプの横槍も入って毎度のように党内分裂、御家騒動で揉めている議会運営も迷走するばかり。その間にも相変わらず銃乱射事件や鎮痛剤オピオイド中毒による死亡事件は跡を絶たず、南部国境で大量の難民・移民受け入れ問題、百貨店やスーパーでの計画的集団強盗・強奪行為、反イスラエル・ユダヤ人迫害の犯罪、抗議デモ、差別行為の急増などなど喫緊の対応が求められている事案が山積みでアメリカン・ドリームの夢も遠い昔のお伽噺となった感がする病める迷走大国アメリカは一体どこに向かい、行き着くのでしょうか?

ガチガチの共和党員やトランパーと呼ばれる熱狂的な(狂気に近い)トランプ支持者たちは何を言われても聞く耳持たず、事実を基にした会話も成り立たずトランプが共和党の正式指名候補者となり、次期大統領選で当選するまで諦めない(落選しても認めずまたイチャモンをつける)と思いますが、良心も良識もあり真っ当な判断ができる共和党員や共和党寄りの中間派有権者がトランプが続けているバラエティー番組のお笑いタレントかスタンドアップ・コメディアン、はたまた三文役者の三文芝居かサーカスの道化のような茶番に飽きて正気を取り戻した上で清き1票を投じて欲しいと願うばかりです。

前号でも書きましたが、万一トランプが共和党の正式指名候補者となり、次期大統領に当選したりしたら、この世の終わり(良くても終わりの始まり)となり、法治国家、民主主義国家としての米国の終焉=専制独裁政治の始まりとなるかもしれません。GOD, save us!!(神よ、救い賜え!!)

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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