~日本語での受験勉強と英語力の向上が必要!
早めに受験する大学・学部を決めて準備を進めよう!~

帰国生大学入試では、海外の高校での在籍学年数や卒業の有無など、大学ごとに異なった条件を定めています。また、多くの大学でTOEFLのスコアが求められ、旧帝大系の国立大学や慶應義塾大学ではSATのスコアも必要です。選考方法も国内生の入試とは異なり、秋入学の英語プログラムの大学では多くが北米の大学と同様に高校の成績や推薦書、SATのスコアなどの書類審査のみで合否が判定されます。
一方、春入学の大学では書類の提出に加え、学科試験が課されるケースが目立ちます。学科試験は大学・学部によって異なりますが、文科系学部では小論文のみという大学も多く、英語や日本語を課す大学もあります。理科系学部では数学・理科と小論文が課され、英語を課す大学もあります。また、多くの大学・学部で面接も行われます。

入試の出題傾向を意識した学習とTOEFLのスコアアップが必要

では、帰国生入試に合格するためには、どのような準備をしておけばよいでしょうか。
まず、日本語での学習がとても大切です。学科試験の科目の多くは日本語で出題され日本語で解答します。面接の質疑応答もほとんどが日本語です。入学後の講義やレポート・論文作成、定期テストなども同様です。日本の大学なのですから当然です。帰国生入試は9月初めからスタートしますので、高校卒業後の準備期間は約2カ月しかありません。小論文の対策には時間がかかります。海外にいる今から日本語での学習を始めておかないと間に合いません。小論文は作文とは異なり、自分の思いや感想だけではなく客観的な立場で自分の意見を述べなければなりません。説得力ある意見を構築するためには豊富な知識や体験が必要です。
小論文で与えられるテーマや課題文、図表の内容は大学や受験する学部によって異なり、最近の時事・社会問題が提示される大学・学部と学部の専門領域に関する問題が提示される大学とがあります。時事問題をテーマとする小論文作成のためには、今世界や日本で起こっている出来事に目を向ける必要があります。例えば、気候変動や人権・食料・ジェンダー平等・国際紛争や核兵器などの問題を十分理解しておくことが必要です。一方で学部の専門領域をテーマとする小論文作成のためには、専門領域に関する書籍や雑誌などを積極的に読むことが必要です。学識者の論文を掲載している新書版の書籍を読むとよいですが、ハードルが高いので、まずは志望する専門分野に関係がある内容の書籍で自分が読みやすいものを選ぶことをお勧めします。例えば理科系志望者なら科学雑誌、経済系志望者ならば経済誌を読むのもよいでしょう。日本語の書籍や雑誌が入手できなければ英語の書籍を読んでも構いません。また、新聞やテレビなどで報道されている学問領域に関連するニュースもキャッチしておきましょう。新聞の社説を読むことは、課題文の読解力アップに役立ちます。そして、知識を得るだけではなく、書籍の記述やニュースに潜む問題点を指摘し、それに対する自分の意見を考えることを習慣づけましょう。それが小論文作成に大切な自分の意見を論ずる力を養うことにつながります。
理科系学部志望者にとっては、数学と理科の学力も必要です。数学や理科は現地校でも学んでいますが、日本の高校の数学や理科の教科書や参考書、問題集に目を通し、そこで使われている日本語の用語や問題の解き方に慣れることが大切です。また、数学では未習分野がないようにすることも大切です。Algebra、Geometryだけでなく、Calculus、Trigonometryも履修するとよいでしょう。また、APやHonorのような高いレベルの科目を履修することもお勧めします。高度な学習をしていないと日本の大学入試問題の出題レベルに太刀打ちできないからです。
帰国生大学入試の英語は、日本の大学受験英語=高校英語の学習が必要ですので、過去の入試問題に目を通し、出題傾向を把握しましょう。中には、国内生と同一問題を使用する大学もあります。一方、最近では、英語の試験に代えてTOEFLのスコア提出を必須とする大学やTOEFLのスコアを出願基準としている大学も増えていますので、TOEFLの重要性が高まっています。

現地校での学習も入試に合格する力につながる

では、現地の高校の成績(=GPA)はどの程度必要でしょうか。書類審査のみの秋入学の大学の選考では高校の成績が重視されますが、春入学の大学では合否には大きく影響していません。しかし、高校での成績が悪くてもよいかというとそうではありません。当然卒業に必要な単位が取得できなければ大学受験資格を失いますし、科目ごとの成績を見た際に良くない成績があれば目立つため、面接でその理由を指摘されたりします。
また、高校での学習は大学での学習の基礎にもなりますし、社会人としての教養にもなりますのでとても大切です。入試においても小論文作成のために必要な知識にもなりますし、日本の大学の入試問題の数学や理科の問題を解くときにも海外の高校で履修した数学や理科の知識が役に立ちます。さらに高校での学習は帰国生入試に必要な英語力の向上にもつながります。SATやTOEFLなどの高スコアが必要となる大学もありますので、これらのスコアアップのための英語力を上げるためには高校での学習が重要です。多様な科目を英語で学習しているのですから、自然に英語力を上げるのには高校の授業や宿題で使っている英語を着実に習得することが効率的です。

受験予定の大学や学部について調べることも重要

受験対策として、もう一つ大切なことは、受験予定の大学や学部のことを十分に理解しておくことです。帰国生入試ではほとんどの大学で面接があります。また、出願書類として「志望理由書」を提出させる大学もあります。なぜその大学や学部に入学したいのかという理由を説得力あるものにするため、受験予定の大学や学部に関する情報収集をしましょう。大学のウェブサイトを閲覧すれば、情報がキャッチできます。これも海外にいる今からできることの一つです。そのためにも、志望大学・学部を早く決める必要があります。
このように海外にいるときからすべきことは多数ありますので、帰国が迫ってから慌てることのないように早めに準備を進めるとよいでしょう。
なお、近年、帰国生入試を廃止する傾向が目立ちます。一方でAO入試やグローバル入試、国際バカロレア入試などという新方式が登場しています。これらは書類や面接、小論文などで選考されるので、帰国生入試と類似した対策で受験できます。このような入試も視野に入れるのもよいでしょう。

筆者プロフィール:丹羽 筆人 
河合塾海外帰国生コース北米事務所 進学アドバイザー 丹羽筆人
河合塾で十数年間にわたり、大学入試データ分析、大学情報の収集・提供、大学入試情報誌「栄冠めざして」などの編集に携わるとともに、大学受験科クラス担任として多くの塾生を大学合格に導いた。また、全国の高等学校での進学講演も多数行った。一方、米国・英国大学進学や海外サマーセミナーなどの国際教育事業も担当。米国移住後は、CA、NJ、NY、MI州の補習校・学習塾講師を歴任し、デトロイト補習授業校では中高等部教務主任を務めた。2006年に「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、日本での日本語・日本文化体験学習プログラム「サマー・キャンプ in ぎふ」など、国際的な交流活動を実践。また、帰国生入試や帰国後の学校選びのアドバイスも行っており、北米各地で講演も行っている。河合塾海外帰国生コース北米事務所進学アドバイザー、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学アドミッションオフィサー北米地域担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭も務める。

◆問い合わせ先
河合塾海外帰国生コース北米事務所:kikoku@ujeec.org

 

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