喧喧諤諤 ケンケンガクガク
喧喧諤諤

全米を熱波が襲いミシガンでも最高気温が90度F台に達した7月が過ぎ、8月に入ってやや暑さが和らぎましたが、皆さんお変わりありませんでしょうか? 米国西部や南西部、南部の諸州やフロリダでは100度Fを超える日が連続30日から40日以上も続き、仕事にしても私生活にしても屋外作業や屋外活動が危険な暑さで死者が出るほどの悪条件で通常の日常生活が困難になっていました。

欧州や日本でも似たような状況でグローバルに見ても史上最も暑い7月でした。全米で最も暑い場所であるカリフォルニア州デス・バレーでは145度F前後、州境を挟んで近隣のリゾート地アリゾナ州ラスベガスでも115度Fにもなり、日中人影が見られない映像がニュースで流れていました。道路のアスファルト舗装は熱吸収して表面温度が熱湯に近い180度Fにも達することがあり、うっかり転んで手足をついたり、体の一部が触れたりするとかなりの火傷をすることになります。他の自然災害と同様に間違いなく地球温暖化の影響であることは間違いないですが、いまだに全世界が一致団結して効果的な温暖化防止・環境保護対策が取れていない現実から今後も発生地域、発生頻度、災害規模とも悪化の一途を辿ることが憂慮されています。地球の自然が破壊され、大袈裟でなく人類滅亡に向かってまっしぐらに進んでいるわけですが、私利私欲や政権・利権争い、金儲けに明け暮れる大国のリーダーや大富豪が相も変わらず環境破壊に繋がる政治・経済活動にひた走っており歯止めがかからず、一向に改善される兆しが見えません。

本当に“Time is up.”(時間切れ)になる前に限られた財源と人智を尽くして大国も中小国も一致協力して今直ぐ各国ができる有効な対策を取らねばならない時に、ロシア・プーチン政権の愚かなウクライナ侵略戦争、中国共産党政権の継続的な軍拡・覇権主義、北朝鮮の核兵器・ICBM(大陸間弾道ミサイル)開発、イスラエルの最高裁権限を弱体化し現政権の権限強化を憲法改正で立法化しようとする動き、米国内でのトランプ絡みの政治的・社会的混乱及びそれに関連する複数の犯罪捜査、起訴・訴訟手続きとその防衛・弁護手続き、悪行を懲りずにトランプの大統領復帰を偽情報とガセネタでゴリ押しする本人とその取り巻き、共和党・支持グループ、それを食い止めようと対抗策を講じるバイデン政権と民主党・支持グループなどが費やしている膨大な時間と巨額の軍事費、諸々の活動費用、選挙キャンペーン費用などなどアホらしいほど無駄な時間とお金、知恵(多くは悪知恵)を使い続けていて情けない限りです。同じ時間とお金、知恵を温暖化防止、環境保護対策に使っていたらと思うと極めて残念でなりません。

スポーツの話題です。最大の関心事の一つであったMLBロスアンジェルス・エンジェルス大谷選手の移籍問題が今シーズン中はなくなり、本人も愛着のあるチームをプレーオフに進出できるように投打でベストを尽くすことになりました。先月末デトロイトでタイガース相手に3連勝してプレーオフ出場のための最低限資格であるワイルドカード取得に3ゲーム差まで詰め寄りましたが、ワイルドカードを争う当面の敵トロント・ブルージェイズに直後のアウェイで1勝2敗と負け越して一歩後退。その後もアウェイでナ・リーグ東地区首位を独走中のアトランタ・ブレーブス、ホームに戻って同じくプレーオフを目指すシアトル・マリナーズとの対戦と厳しい戦いが続きます。これからが正念場で、負けていい試合は一つもありません。大谷選手だけでなくチームメート全員の奮起を期待します。

現在オーストラリア、ニュージーランドで共同開催中の女子サッカーワールドカップ大会でのなでしこジャパンの躍進に続いて、今月末にはニューヨークで今シーズン最後のテニスのメジャー大会U.S.Openが始まります。男子シングルスでは、昨年の大会でメジャー初優勝したスペインのアルカラス選手の連覇なるか?ジョコビッチ選手他の巻き返しなるか?ツアー復帰した錦織選手が元世界ランク4位のピーク時のプレーは無理としてもどこまでやれるか?など注目したいと思います。

では、今月のテーマ「真夏の夜の夢?それとも悪夢?」に移る前に少々目先を変えていつもと違う映画のお話をしたいと思います。

皆さんもこの数週間テレビ、ラジオのニュース、新聞やインターネットの記事・ブログ、宣伝広告などで何度も目にし、耳にしていると思いますが、先月末週に封切り以前から注目されていた二つの映画大作『バービー』と『オッペンハイマー』が全米及び海外の主な映画館で同時に封切られ大きな話題となっています。

複数のニュースソースによると(データ収集の方法、締切りのタイミングなどで若干数字は異なりますが)、米国内だけで封切り開始から最初の週末三日間でバービー人形を実写映画化した『バービー』はチケットの売り上げが$155ミリオン、米国初の核兵器開発国家プロジェクト『マンハッタン計画』の総責任者であり原爆の父と呼ばれた人物の栄光と悲劇を描いた『オッペンハイマー』は$80.5ミリオンを記録し、2作合計で$235.5ミリオンは史上最高金額。また2作とも$60ミリオン超えしたのは史上初とのこと。『バービー』は封切り後最初の5日間だけで$214ミリオン、グローバルでは同期間だけで$470ミリオンと5億ドル近くも稼いでおり$1ビリオン(10億ドル)に達するのは時間の問題です。本紙が発行される頃にはまず間違いなく達成していることでしょう。

『バービー』が観客の年齢指定・制限がない一方でR指定の『オッペンハイマー』の売り上げ数字は驚異的です。原作の素晴らしさに加えて監督が話題作の多いクリストファー・ノーランであったことと主演のキリアン・マーフィーを囲む共演者がマット・デーモン、ロバート・ダウニーJR、ラミ・マレックなど他のていたこともあると思います。

通常複数の大作が同じタイミングで封切られると観客の奪い合いになり、数字が制作・配給側が期待するほど伸びないことが良くありますが、この 2作は楽しさと幸せを売る明るい『バービー』に対しシリアスで重く暗い『オッペンハイマー』とストーリーの違いがあり、観客対象も前者は幅広い年齢層の女性・女子を中心に夏休みのファミリー向けであるのに対し、後者は核兵器開発とそれを取り巻く複雑な人間関係、陰謀、権力闘争がテーマでR指定の大人向けであり、両者の観客層の重なる部分が限定的であったため激しい奪い合いによる共倒れ現象が起きなかったものと思われます。逆に興行面で割りを食ったのが同時期に封切りされたトム・クルーズ主演のスパイ・アクション映画『ミッション・インポッシブル』最新作で、複数スクリーンの映画館では席数の少ない小さめのシアターを割り当てられチケット販売数も伸び悩んでトムが激怒していたとか。上記2作を興行面で上回ることは文字通りミッション・インポッシブルになってしまいました。 『バービー』の成功は複数・多層のメディア媒体を使った強力な宣伝広告、対象・潜在観客層へのマーケティング戦略が大いに功を奏したと言えるでしょう。家内と私も週末に『オッペンハイマー』を観に行ったのですが、昼前後や午後、夕方の時間帯は希望の席(通常最後列の真ん中辺り)が空いてなく、土曜日の朝10時の初回上映にしました。映画の講評に関しては私より家内の方が向いているので、ここでは割愛させていただきますが、我々日本人・日本側からではなく米国側の視点から見たストーリーとして考えさせられる点が多かったです。家内から『バービー』も観るか?と打診されましたが、私はご無礼させてもらいました。平日時間がない家内は一旦帰宅した後夕方出直して同じ日にハシゴで映画鑑賞してきました。封切り前には「バービーを実写映画化して何の意味があるのだろう?」と疑問視していましたが、実際に観てきた感想は「思っていたより良かった。話題になる理由が分かった。」とのことでした。(閑話休題)

では、本題に戻ります。

『真夏の夜の夢』と言うと古くはイギリスの小説家・戯曲家であるウィリアム・シェイクスピアの戯曲やドイツの作曲家フェリックス・メンデルスゾーンの演奏会用序曲(その中の結婚行進曲は結婚式で良く演奏されます)、日本の作詞・作曲家松任谷由実さんの同名曲などが知られています。

シェイクスピアの元の戯曲は登場人物が誰もユニークでテーマは男女の恋と結婚を巡る人間関係ですが、シェイクスピアらしい捻りと突飛な着想もあって横車や横恋慕、恋路を邪魔する古い親子のしきたり、それにあがらう駆け落ちなどの思わぬ展開があり簡単には行きませんが、紆余曲折を経て最後はハッピーエンドで収まるストーリーです。

この戯曲や上述の映画『バービー』の如く目下世間を騒がせている諸問題が一夜の楽しい夢の如く全てハッピーエンドに終わるといいのですが、プーチンを始めとする独裁者や専制君主の如きリーダーに扇動・洗脳され独立国家、民主主義、三権分立の尊重・維持を蔑ろにする連中が偽情報とガセネタを流し、白昼堂々と悪事を働き、でかい顔をしてのさばるような悪夢となるのか? 今から2024年の次期大統領選、上下院議員改選までが極めて重要な期間となります。

とにかく何が何でもトランプが次期大統領になることだけは避けなければなりません。万一2期目の当選・就任となったりしたら1期目以上の悪事、悪巧みをするのは間違いありません。1期目で散々大統領にあるまじき言動を繰り返し、国家のため国民のために政治活動を通じて奉仕する公僕としての責務は一切無視して私利私欲、自分の野望実現に走り、米国内の混乱、反目、抗争、分裂を招き、国際舞台で米国の信用・信頼失墜を招いた悪行を繰り返させてはなりません。既に州レベル、連邦レベルで2件の犯罪容疑で起訴され3件目の起訴も時間の問題になっており、本人も既定路線と腹を括っていますが、悪事を働いたという自覚や過ちを認め謝罪して言動を改めるという反省の色が全く見えません。

唯一反省していると思われる点は自分の悪事が内部告発や漏れた裏情報で世間にバレて批判・糾弾され、犯罪行為として捜査や起訴された失敗を繰り返さないように自分に100%忠誠を誓い彼のやりたいことを法を無視してでも手助けして実現する悪の集団を形成し、それに反対・妨害する者たちは本人及び家族への脅しや嫌がらせ、更には暴力を含むあらゆる手段を講じて封じ込め排除、抹殺する組織を作ること。万一バレても犯罪調査・起訴する司法当局の責任者、担当者を自分の息のかかったメンバーに入れ替え連邦最高裁や各州の最高裁判事も同様にして事実上の独裁政権を樹立することに注力すると思われます。大統領任期は2期までと決まっていますので、2期目在任中に1期目でなし得なかった我儘をやりたい放題やって後はどうなろうと知らん顔しておさらばするかもしれませんし、ひょっとすると中国の現政権を見習って3期目以降も継続できるように憲法改正までして任期の延長を企てるかもしれません。そんなことになったらまともな国民や常識ある人々にとって悪夢どころか生き地獄になります。冗談でもそんな事態にならないように慎重かつ綿密な防止策、対抗策を作成・実行しなくてはなりません。

トランプの数々の悪行を批判、非難する言葉も出尽くした感がありますが、子供の頃に親から「他人に弱みを見せるな」「ミスや悪いことをしても謝るな」と教え込まれ育てられ、自宅近くの教会の牧師からは自信をつける意味で「自分のやりたいことを言い続けていれば、実現するし周りが助けてくれる」というような暗示もあって、おもちゃ 売り場で欲しい物があると買ってくれと 大声で泣き喚いたり、床に転がって 手足をバタつかせたりしていたヤンチャ坊主がそのまま大きくなったような自制心が全く効かないトランプの我儘を「トランプだからしょうがない」と放任して好き放題させてきた代償が、彼を図に乗ってますます増長させ悪行が酷くなった結果が今のドタバタにつながっています。取り巻き連中も彼の集客力、集金力に魅力を感じて相乗り、悪ノリで権力を手に入れたり一儲けしようと企んで近付いてきたり資金援助や支援活動に精を出しています。

トランプとその取り巻きの悪の集団に騙され洗脳されていた人たちには、この機会に真実に目覚めて改心してもらうとともに、バイデン政権、民主党並びに良識・良心ある有権者の皆さんに歯を食いしばって頑張ってもらわねばなりません。真夏の夜の夢が悪夢ならないようにくれぐれもよろしくお願いします!

 

 

 

 

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

返事を書く

コメントを記入してください
お名前を記入してください