
「日本にいれば当たり前の行事の運動会だが、アメリカで行われ、心の片隅に残るとするならばうれしいことであります」。創立50周年を迎えたデトロイトりんご会補習授業校の記念大運動会が6月10日に行われた。草創成期に当たる1980年代初頭の運動会の実行委員長の言葉どおりに、この日ノバイメドウズ・フィールドに乱舞した児童・生徒の心にも、この記念運動会は大切な思い出になることだろう。
午前中は幼稚園部から小学部3年生までが参加した。開会式で来賓代表として、日本国総領事館小川首席領事は「今年は50年目という記念すべき年です。オリンピックの選手はより速く、より高く、より強くを目指しています。皆さんも昨日の自分に負けないよう頑張ってください」と挨拶した。林る美校長はカナダ国内の山火事に起因する大気汚染に関する警報に触れ、児童・生徒の体調へ気配りをしつつ、多くの人の協力やボランティアの力でこの盛大な運動会が行われることへの喜びと感謝を児童たちに伝えた。園児・児童代表による選手宣誓ののち、熱戦の火ぶたが切られた。
競技の皮切りは小学部3年生の「徒競走~ゴールめざして~」。そして各学年の徒競走が続いた。カラー帽子をかぶった幼稚園部の「かけっこ」では、ゴールテープを目指して一生懸命走る園児のすがすがしい笑顔でいっぱいだった。玉入れは運動会恒例の競技だが、幼稚園部の競技が終わりフィールドに散らばった玉の「お片付け」では今年はユーモアを凝らした演出があった。来賓の小川首席領事とJBSD(デトロイト商工会)事務局長の植田氏、競技手伝いの高等部生徒が背負ったかごに玉を入れる、というものだ。真剣にかごを追いかける幼稚園児と、来賓の諸氏の楽しそうな笑顔でフィールドは和やかな雰囲気となった。
その次に未就学児の「おもちゃのチャチャチャ」が行われた。お父さん、おかあさんに手を引かれたり、抱っこされたりした子供たちがゴール付近に置かれたおもちゃのプレゼントを目指した。子供たちはもらった風車を嬉しそうに手にしていた。そして、午前中のクライマックスは「50周年記念ダンス」と「ウルトラクイズ」。高等部の生徒がフィールド内に児童生徒を呼び込み、フィールドいっぱいにダンスで運動会の前半のフィナーレを飾った。
午後の部は紅組リードで、小学部4年生以上から高等部の生徒が競技に参加した。来賓の補習授業校運営委員長の佐々木氏は「仲良く助け合ってけがのないよう頑張りましょう」と激励した。最初に行われたのは小学部4~6年生による「バトンをつなげ~友へ~」の全員リレー。全員が走るこの競技では笑顔の力走だった。その後綱引き、台風の目、綱取り合戦とチームの力を合わせて力いっぱいの競技が続いた。紅白競技の最後は中・高等部生徒による「バトンをつなげ~未来へ~」の全員リレーだった。運動会の大フィナーレは小学部4年生以上の「50周年ダンス」「ウルトラ記念クイズ」。午前中と同じ〇×式クイズだったが、“難易度”が上がった質問で、答えが外れた生徒からは「えーっ!」と大きな驚きの声が上がり、盛り上がった。
閉会式の成績発表ではスタンド上の点数板に一桁ずつ数字が発表されるたびに、会場の緊張は高まった。紅組1042点、白組1192点で白組が逆転勝利。優勝した白組の代表生徒には青藍の大優勝旗が、紅組代表には準優勝カップが贈られた。
好天のうちに50周年記念デトロイトりんご会大運動会は幕を閉じた。