喧喧諤諤 ケンケンガクガク
喧喧諤諤

春の草花、木花が一区切りして新緑が鮮やかな5月になりました。毎年この時期は新入生、新入社員の5月病が話題になりますが、新人ではない読者諸氏も含めて皆さんの体調管理は万全でしょうか? 私は万全とは言えませんが、幸い日常生活に支障が出るような病気、怪我はなく「まあ、こんなものかな」という感じです。もう少し暖かくなったら、散歩はもちろん、青空の下で陽を浴びながらアウトドアテニスで汗を流したいですね。

スポーツ界では、先月号で触れたWBCの余韻も少しずつ収まって、日米ともプロ野球は球春から本格的なレギュラーシーズンに移りつつあります。NPBセ・リーグでは現役時代からリーゼントの髪型が評判の番長こと三浦監督率いるDeNAベイスターズが目下首位。MLBロスアンジェルス・ドジャースを解約されて今季移籍加入後まだ1軍登板機会のない2020年サイ・ヤング賞のトレバー・バウアー投手が先発ローテーション入りして実力を発揮すると、更に戦力アップとなり独走する可能性もあります。パ・リーグでは前評判の低かったロッテ・マリーンズが優勝候補のオリックス、ソフトバンク、西武の3強を抑えて僅差の首位。つい先日NPB日本人最速タイ記録の時速165kmを出した佐々木投手他若手に出場機会を与え、長期的な観点から5年間辛抱強く大事に育ててきた井口前監督の強化・育成計画が今季吉井新監督の下で大きく実を結ぶかもしれません。

一方、当地MLBでは、ア・リーグ東地区のタンパベイ・レイズが開幕13連勝のスタートダッシュが効いてダントツの首位。2位につけるトロント・ブルージェイズの菊池投手が開幕4連勝と去年とは別人の働き。優勝候補のヤンキースは5位ですが、早晩上がってくるでしょう。昨年最下位で今年も同位置のボストン・レッドソックスはWBCで13打点の新記録を打ち立てた吉田選手がその勢いのまま開幕数試合好調でしたが、右太腿裏の痛みが出て休場、復帰後もしばらく低迷が続いた後打撃コーチとの話し合いでヒントを掴み、構えをややオープンスタンスにして両目で相手投手を見やすくしてから復活。先月末、原稿執筆時点で9試合連続ヒットを継続中。先発投手が開幕から誰も勝利投手の権利がつく5回を投げ切れず、打ち勝つしかない状況で得点圏にランナーを置いた打率が一時5割、四死球を含む出塁率も4割前後と貢献大。このままシーズンを完走して欲しいです。中地区ではミネソタ・ツインズが首位。昨季右肘手術でプレーできず今季にかける前田投手が足首に打球が直撃したり、右腕三頭筋の炎症で負傷者リスト入りするなど不運が重なって今季4連敗、未勝利。ベテランの復活を願っています。西地区は常勝ヒューストン・アストロズを抑えてテキサス・レンジャーズが首位。二刀流大谷選手所属のエンジェルスは勝率5割ラインを行ったり来たりで現在3位。打撃陣、特に下位打線が比較的好調で結構点は取れるのですが、大谷、サンドバルに続く3番手の先発投手と救援陣が相変わらず頼りにならず、既に勝ち試合をいくつか取りこぼしてもったいない。「一体何点取れば勝てるんや!?」と叫びたくなります。ブルペンから出てきていきなり連続四死球の後やっとこ入ったストライクを簡単に打たれて1死も取れずに交代。「何しに出てきたんや?」「それでもプロか?給料返せ!」と言いたいほど「救援」ではなく火に油を注ぐ「給油」か、敵の回し者ではないかと思ってしまうケースも今季の一度や二度だけでなく、もう何年も見てきました。今季また最低でもプレーオフに出られなければ、大谷選手の移籍も止むを得ないと思います。

馴染みの薄いナ・リーグ東地区ではお化けフォークが売り物の千賀投手所属のニューヨーク・メッツ、中地区では脇腹痛から復活した鈴木選手所属のシカゴ・カブス、WBCで侍ジャパンの一員として活躍し人気爆発のヌートバー選手所属のセントルイス・カージナルスに注目。西地区ではダルビッシュ投手所属のサンディエゴ・パドレスを追い掛けています。日本人選手+全員がシーズン通して怪我なく活躍することを願っています。

余談ですが、名前がジャンケンの「グーとパー」みたいなヌートバー選手がつい先日から日本の製菓メーカーとメガネショップ2社のCMキャラクターとして起用され、そちらでも評判上々です。私も名前からしてアスリート向けエナジーバー、ニュートリションバーのキャラクターに使えるなと思っていたら実現しました。

他にもNBAロスアンジェルス・レイカーズでレブロン・ジェームス他のスタープレーヤーとチームメイトとなりプレーオフ進出に貢献した(今もしている)八村選手。長らく怪我の治療・回復でテニスシーンから消えていた男子の錦織選手が今月末からチャレンジャー大会に3週連続出場予定とのニュースもありました。無理しないで、勝ち負けにこだわらず、テニスをやれることを感謝し喜んでプレーしてほしいですね。

では、本題に入ります。今回の本題は「春から夏へ、世相あれこれ」としましたが、色々な話題に関する雑談のような形になりそうです。

先ず、海外の話題では、今も続いており収束の可能性が見えないロシアのウクライ侵攻問題です。ウクライナ側からの大規模な反抗が予想されると報道された直後の先月末にはロシア側から今年に入って最大規模のミサイル攻撃があり、先月末時点のウクライナ側発表では23発の内21発は迎撃ミサイルシステムで撃墜したものの、残り2発が着弾し民間アパートが大破。明け方就寝中の時間帯で子供を含む25人の犠牲者を確認。所在不明者多数のため今なお崩壊した瓦礫の中で捜索活動が続いていますが、犠牲者増加の恐れ大です。先月の国連安全保障理事会の持ち回り当番議長国であったロシアですが、出席各国代表者から轟々の非難、批判を浴びせられても『蛙の面に水』で意に介せず、今回もまた民間施設を目標にした事実はないと公表しましたが、上述のウクライナ側からの反抗作戦実行を前に出鼻を挫く狙いで卑劣な先制攻撃を仕掛けたものと思われます。罪のない無防備な民間人を攻撃する戦争犯罪と言える非人道的行為であり、犠牲者のご家族や関係者の悲しみを思うと強い憤りを覚えます。ロシア国内でも国外からでも何らかの方法でプーチンの狂気の行動を1日でも早く止めて平和が訪れることを願うばかりです。

もう一つ先月中旬から急展開で連日報道されているのが、スーダンの内紛・内戦により先月末で民間人400人以上が犠牲になっており、外国人の国外緊急避難とスーダン難民の他国への受け入れが緊急課題となっている国情悪化の一件です。過去にも関連報道はありましたが、正直言って現地の惨状や一般の人々の苦しみを理解していませんでした。改めて調べてみると古くは1956年にイギリス植民地から独立してスーダン共和国となったものの、イスラム教徒中心の北部と民族宗教やキリスト教が根強い南部の民族対立、宗教対立から起こった1955年〜1972年の第1次、1983年〜2005年の第2次の内戦があり、民間人を含めて約200万人が死亡、約400万人が家を失ったと言われる国難レベルの大惨事でした。南部が南スーダン共和国として分離独立した2011年7月に一旦収まったかに見えましたが、これとは別に2003年スーダン西部のダルフール地域で政府支援のアラブ系民兵が黒人住民を虐殺するダルフール紛争が発生して深刻な人権問題となり、この紛争でも約30万人の犠牲者が出たと言われています。とここまで書いて、ダルフール紛争思い出しました(汗)

2019年に当時のバシル独裁政権に抗議する民主主義活動デモが盛り上がり、同調する軍部のクーデターでバシル大統領が失脚し誕生した暫定政権と複数の反政府勢力が2020年10月に和平合意し、世界最悪の人道危機と呼ばれたダルフール紛争の集結に向けて歴史的な一歩を踏み出しました。今回の内紛は国の正規軍と和平合意に参加しなかった反政府勢力の軍人間の対立抗争に民間人や外国人が巻き込まれているケースですが、陸・海・空の国外脱出手段が限られているところに銃撃戦が繰り返されていては脱出も不可能ということで、国連や西側有力国の勧告で両軍から一時停戦に合意を取り付けて緊急避難を実施していますが、手段と時間が限定され、いつまた停戦合意が破られ銃撃戦が始まるかもしれない懸念があり、命がけの作業は遅々として進まない状況のようです。先月末の時点で紅海を挟んだ隣国サウジアラビアに船舶での避難者数は76カ国、約5,000人と報道されていました。今後も避難支援は続き、その数は増加すると思われます。

この他の海外関連では、前号でも触れたフランスの年金支給開始年齢引き上げ法案に対する抗議デモやイスラエルの司法分権独立を弱め政権コントロールを強めようとする動きに対する抗議デモは継続しており、北朝鮮の核搭載可能な弾道ミサイル発射実験や台湾周辺での中国軍の空海での偵察、威嚇行動など不穏な空気が漂い続けています。

また、ロシア国内では反プーチン体制の民主化運動主導者であり、国家反逆罪に問われて禁錮刑を強いられているアレクセイ・ナワリヌイ(英語読みはナバルニー)氏が直近の裁判でどう見ても言い掛かりのテロ活動を理由に30年の追加禁錮刑を言い渡されたとのこと。現在も換気のない単独房に拘束され、与えられる食事もまた毒物を盛られる懸念があり、まともに食事もしていないようで裁判前のビデオ映像では以前CNNのドキュメンタリー映画で観た容貌より頬がこけ、痩せ衰えているのが一目瞭然でしたが、この判決で実質的に生きている間には出獄不可能になった形で、獄中死の懸念もあります。海外各国の政治家、有識者、著名人からは相次いで即時釈放や信頼できる医師による健康診断実施を求める声やプーチン非難の声が多数上がっていますが、残念ながら彼が聞く耳を持たないことは明らかです。

米国内に目を戻しますと、2024年次期大統領選に出馬表明する候補者が追加で出てきました。共和党はほぼ事前予想されていた顔ぶれですが、当初トランプの有力対抗馬と目されていたデサンティス・フロリダ州知事はいまだに出馬表明していないまま、予備選の出だしでキーとなる複数州に先駆け訪問したり、先月末週には来日し岸田首相とも会談して存在をアピールし、州知事としての訪問理由は特になく大統領選のキャンペーン活動そのものでした。昨年末から今年年初にかけてはトランプよりも支持率(期待値)が高かったのですが、その後徐々に差が詰まり、先般ニューヨークマンハッタン地区大陪審でトランプのセックス・スキャンダル絡みの不正会計処理で起訴決定後は同情・擁護支持もあって完全に逆転し、トランプがかなり優勢になっています。更に、フロリダ州内で長年唯一自治権、税優遇を認められているディズニーワールドに対し、自治権剥奪、州のコントロール下に置こうとする強権発動がディズニー側の猛烈な反発に合い、先月末には共和党超保守派の支持を得て大統領選挙資金や支援獲得を目指す州知事の政治的動機に基づく営業妨害という理由で州政府による監督権行使の差し止めを求める訴訟を起こされました。民衆の夢と憧れであるディズニーをいじめて敵に回して訴訟まで起こされては州内はともかく全米で見ると更なる支持率低下となりそうです。

出馬宣言と本格的な正式キャンペーン活動をする前から既に敗戦の可能性を察知したのか、本来なら現在公職についている者が別の公職を目指してキャンペーン活動をする場合は現職を辞任してからするのが大原則ですが、先月末フロリダ州の共和党メンバーが現職をキープしたまま別の公職選挙キャンペーンもできるようにルール改正し、デサンティスが大統領選に敗れても失業せず州知事は続けられるようにセーフネットを張りました。ズル賢いですね。

大統領選と同時に実施される複数の州知事選、市長選、州務長官選、上下院の議員改選の焦点として妊娠中絶治療や中絶薬の合憲性や合法性、銃規制の強化、民主主義政治の維持、差別なき選挙権の確保・保障が各州単位で論議の的になるのも必至です。直近では中絶禁止法案を立法化しようと動いた共和党多数の州議会投票で民主党議員はもちろんですが、複数の共和党議員が反対票を投じ法案が不成立となる事例が続きました。ネブラスカ州では元々の議案の共同提案者の一人が世間一般の中絶擁護の風向きを読んでかその後心変わりして反対票を入れる珍事もありました。

トランプ側の弱点としては、先のセックス・スキャンダル絡みの不正会計処理に関する起訴事実や現在進行中の別のセックス・スキャンダル絡みの民事訴訟、先月号でも触れた大統領就任中及び退任時に事前許可なしでの国家機密文書の持ち出し、私物化、返還拒否、司法妨害や前回2020年大統領選挙時のジョージア州での投票や選挙結果に対する根拠なき言い掛かりや不正介入疑惑に関する刑事起訴が決定・実施される風向きが強いことが挙げられます。トランプ本人は起訴されても立候補は取り下げないと強気ですが、たとえ党内予備選では勝ち残れても民主党候補者に本選挙で勝ち抜くための共和党全国大会での正式指名獲得はハードルが極めて高いと思われます。

この他にも米国内だけで利用者が1億5千万人もいると言われるTikTokのサービスを公職関係のみならず一般利用者にまで禁止措置を拡大する案や意匠権、著作権問題発生事例を懸念してTwitterの新オーナーであるイーロン・マスク他複数著名人が共同提案しているAI(人工知能)の開発を6ヶ月間一時停止・凍結することなど従来では思ってもみなかった先端技術絡みの権利保護や悪用の法律規制化など課題が山積みです。TikTokをビジネスに活用している人も多く、重要な営業ツールとして利用している人たちにとっては大事な収入源となっており、それを断たれてしまうと死活問題になるため、技術的な内容が理解できない高齢議員が多い上下院の公聴会や個別委員会の審議だけで安易な禁止措置に走ると大騒ぎになりそうです。AIについては、後日機会があれば別途触れたいと思います。

以上、今月号のテーマはごった煮の鍋料理のようになってしまい、走り書き的になりましたが、ご容赦願います。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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