今回は、まず「狼」です。前回の狐などに比べ、狼を使った言葉は熟語で使われており、すなわちほとんどが中国でできた言葉を取り入れたようです。「狼煙(のろし)」。古く中国では燃やすと風が吹いてもまっすぐ立ち上るという狼の糞を用いたことから来ているそうです。英語では “signal fire” や “beacon” を使います。「狼藉」はどうでしょうか?「彼らは狼藉を働いた。」と言うのであれば、“They wreaked havoc.” とか “They did violence.” です。狼はいかにも乱暴そうですよね。もう一つ、「狼狽」と言う言葉がありますね。これは「狼狽える」と書いて「うろたえる」と読みますが、現代風に言うとパニクることなので “panic” が使いやすいかもしれません。“get flustered” もいいでしょう。

「猪」にも面白い表現があります。「猪突猛進」はすぐ頭に浮かぶと思いますが、これは英語では “rush recklessly” とか “make a headlong rush into (something)”。「猪口」(ちょこ)は“Sake cup” で通じます。それでは、「猪口才」(ちょこざい)は?“presumptuous,” “impertinent,” “cheeky” などが使えます。「猪首」は猪のように太くて短い首のこと。英語になると, “bull neck” でなんと牡牛の首に変わります。もう一つ、「猪も七代続けば亥となる」ということわざがありますが、これは猪も人に飼われて七代ともなれば豚になる、と言う意味で、つまり長い年月には変化や進歩がある、と言うことです。直訳すると “In 7 generations, a wild boar will turn into a pig.” ですが、これではおそらく通じないでしょう。“Things will change/improve as time passes.” と説明するしかないでしょう。

上記についてご質問のある方、又その他の表現について知りたい方は、izumi.suzuki@suzukimyers.comまで。―――――――――――――――――――――――――――――――――
鈴木いづみ:会議通訳者、公認法廷通訳者、アメリカ翻訳者協会日<>英翻訳認定資格を有す。通訳・翻訳・日英語学クラス等のサービスを提供する鈴木マイヤーズ&アソシエーツ(株)社長。www.suzukimyers.com

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