
今回は、「狐」から始めましょう。まず思い浮かぶのは、「狐の嫁入り」。晴れているのに雨が降っている時に使いますが、英語では “a sun shower” です。ちょっと似ているのが「狐日和」ですが、こちらの意味は変わりやすい天候ということで、“changeable weather” “fickle weather” です。「狐火」は “foxfire” でも通じるようですが、普通 “will-o’ the wisp” と言います。
「狐につままれる」はあたかも狐に騙されたかのような顔をすることなので、“to look confused (as if bewitched by a fox)”。もっとも、米国では狐が姿を変えて現れ人をだます、といった概念はありませんから、気を付けてください。「狐と狸の化かしあい」は化ける狐と狸の概念の無い欧米では難しそうですが、実は “They are trying to outfox each other.” と言うように、“outfox” という動詞が使えるんですね。これは「相手の裏をかく、出し抜く」という動詞で、狐がずるがしこい動物、というイメージはしっかり確立しています。
次に「虎の威を借る狐」は似た表現があり、“an ass in lion’s skin” (ライオンの毛皮をまとったロバ)です。狐の子は頬白(つらじろ)」という言い回しをご存じですか?子供は親とそんな変わらない、という意味合いで、 “The apple does not fall far from the tree.” が米国人にはピンとくると思います。「同じ穴の狐(ムジナの方が良く知られている)」は、「「似た者同士」ですが、否定的な意味合いがあり、“(villains) of the same stripe” (同じ縞模様の悪者)となります。
上記についてご質問のある方、又その他の表現について知りたい方は、izumi.suzuki@suzukimyers.comまで。―――――――――――――――――――――――――――――――――
鈴木いづみ:会議通訳者、公認法廷通訳者、アメリカ翻訳者協会日<>英翻訳認定資格を有す。通訳・翻訳・日英語学クラス等のサービスを提供する鈴木マイヤーズ&アソシエーツ(株)社長。www.suzukimyers.com