
今回は、「猫」の最終回。以前にもお話ししたかもしれませんが、「窮鼠猫を噛む」は有名ですね。”A cornered rat will bite a cat.” はご存じの方も多いでしょう。「猫の手も借りたい」もすごく忙しい時に言う言葉ですが、この発想は欧米にはないようです。”We are so busy and short-handed.” (とても忙しく人手不足だ)と説明することになります。犬は新聞を取ってきたり、救助犬や警察犬として活躍したりしてますが、「お前らのことなど知ったことか」みたいな態度の猫はどうも役に立ちそうもありません。「猫なで声」という言い方がありますね。そのままいえば “cat purring” なのですが、 “enticing voice” が米国人にはピンとくると思います。また、”You can’t fool me with your honeyed words.” (猫なで声で話したって無駄だよ。)という言い方もあります。
「猫の子一匹いない」というのがありますが、もちろん誰もいないことを強調した言い方ですので、”It’s completely deserted.” と言えばよいでしょう。最後に、「猫も杓子も」という言い回しはどうでしょうか。「誰もかれも」を強調した言い方ですので、英語にすると “Every Tom, Dick and Harry” で非常によくある男性の名前を並べています。猫の出番はなさそうです。
これで猫を使った言い回しは終わりで、次からは他の動物たちを使った表現を見ていきます。
上記についてご質問のある方、又その他の表現について知りたい方は、izumi.suzuki@suzukimyers.comまで。―――――――――――――――――――――――――――――――――
鈴木いづみ:会議通訳者、公認法廷通訳者、アメリカ翻訳者協会日<>英翻訳認定資格を有す。通訳・翻訳・日英語学クラス等のサービスを提供する鈴木マイヤーズ&アソシエーツ(株)社長。www.suzukimyers.com