
「白」「黒」に引き続き次は英語の “red” を取上げましょう。先回 “in the black” は「黒字」、すなわち収入が支出を上回っている状態、という話をしましたが、“in the red” は「赤字」、すなわちその逆の状態で、これは英語の表現をそのまま日本語に当 てはめたようです。「赤字を脱する」でしたら “get out of the red” となります。定冠 詞が付くことを忘れないでください。“He saw red.” とは何かわかりますか?これは 「彼はかんかんに怒った。」という意味で、その由来は闘牛で牛が赤い布を見ると興 奮するとされたことからだそうです。
さて、これは慣用句ではありませんが、“red hair” と言いますね。これは実際には よくアイルランド人などに見られる赤毛、色としてはオレンジに近い髪の色です。日本 人は本来みな黒髪なので人の形容には使いませんが、西洋人は人の見分けや覚える 手段として髪の色を使います。特に赤毛は少ないので、“Red Jamie” (赤毛のジェイ ミー)などあだ名をつけることがあります。そうでなくても「~のこと覚えてる?」と 聞くとまず、“Oh, that girl with brunette hair?”(ああ、あのこげ茶っぽい髪の 子?)とか、“Oh, that blonde guy.” (ああ、あの金髪の人ね。)などと答えることが よくあります。
“She was caught red-handed.” とは「彼女は現行犯で捕まった」です。その由 来は殺人を犯して手が血で赤く染まっているところから来ているそうです。“red-eye flight” はご存じの方も多いでしょう。夜中に飛ぶ航空便で、眠れないため目が赤くな るところから来ています。“red tape” は「お役所仕事」。わりにネガティブなものを並 べてしまったので、最後にポジティブな言葉を持ってきましょう。“red-carpet treatment” は「下にも置かない特別な待遇をすること」です。
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鈴木いづみ:会議通訳者、公認法廷通訳者、アメリカ翻訳者協会日<>英翻訳認定資格を有す。通訳・翻訳・日英語学クラス等のサービスを提供する鈴木マイヤーズ&アソシエーツ(株)社長。www.suzukimyers.com