喧喧諤諤
喧喧諤諤

  8月になりました。日本では学校の夏休み、勤務先の盆休みが重なるこの時期、直近の2年間はパンデミックで自重されていたものも含めて、先月中旬から各地で夏祭りや夏の行事が次々と催されていますが、それと機を同じくして第7波と思われる新型コロナの感染爆発が全国規模で起きているのが気掛かりです。米国でも新規感染者の約8割がそうであるようにオミクロンの変性亜種BA.5が感染の主役のようですが、先月下旬から連日20万人を超える過去最大規模の新規感染者数になっており、医療機関の受け入れ・医療対応能力が急激に逼迫しています。GW連休前の緊急事態宣言及びまん防法適用の全面解除後に人的流動性(人の動く頻度、範囲)が増えたのと連動して徐々に新規感染者が増加し、感染爆発の予兆があったにもかかわらず、政府として特段の対策を講じないまま外国人の入国制限緩和、全国的な参院選のキャンペーン・集会活動が続いたのが災いしたようです。

  特に沖縄などの有名観光地、ホットスポットには全国から観光客が訪れ、たまたま そこで感染した人たちがそれぞれ居住する都道府県に帰ってから2次感染、3次感 染となって拡がり全国レベルで感染件数が急増したものと思われます。検査能力・ 件数の増加やワクチン接種後の時間経過に伴う免疫力の低下、感染力の強い変性 亜種の発生も寄与していそうですが、都市圏など人口密度、密集度の高い場所を中 心とする感染機会・リスクの増大が一番の理由でしょう。「時すでに遅し」の感は否 めませんが、政府と関係省庁・機関にはBetter than neverで今からでも最善の緊 急対応策を実施・徹底してもらいたいものです。

  また、日本国内でも感染第1号が確認されたサル痘についても、世界75カ国・ 地域で総数1万6千人超の感染者が確認された時点でWHO(世界保健機関)がコ ロナではタイミングが遅れた緊急事態宣言を先月下旬に発し、各国に一層の注意を 喚起しました。先月末にはホークル・ニューヨーク州知事が州内のサル痘拡大を受け て緊急事態宣言を発令。地元ミシガンでは先月末現在4名の感染者が確認されて いますが、今後増加が懸念され必要なワクチン不足が明らかですので、皆様、コロナ と合わせて十分にご注意ください。

スポーツの話題では、8月2日が期限であるMLBのトレードの話題で二刀流 大谷選手の去就が注目されていますが、原稿作成時点では残留か電撃トレードか 結論が出ておらず、どうなりましたでしょうか? 所属するロスアンジェルス・エンジェ ルスは、シーズン初めの4月から5月上旬までア・リーグ西地区のトップを独走し、今 年こそプレーオフ進出と2002年以来20年ぶりのワールドシリーズ制覇かと期待 させましたが、5月中旬アウェイでのテキサス・レンジャーズ戦でつまらぬ継投の失 敗から3連敗を喫したのがケチのつき始めとなり、5月下旬から6月上旬にかけて昨 年までと同じ投手陣の崩壊に打撃陣の不振が重なり、不名誉な球団新記録の14連 敗を喫して一気に急降下。7月末には地区4位に低迷し、プレーオフ進出もほぼ絶望 的となっています。球界のスーパースターであるトラウト、大谷両選手を抱えながらの チーム状況を悲観して、プレーオフで活躍する大谷選手の姿を見たいファンや評論 家からトレードを薦めるコメントが相次いでいましたが、球団の経営・財務状況、二 刀流をハイレベルで何年続けられるか、トレード候補先の懐事情と現有選手の起用 状況、見返りに出せる有力・有望選手の有無など複雑な要素があり結論出しは容易 でありません。本人は「自分には決定権がないので、やれることをやるだけ」と今まで 同様に全力プレーを続ける姿勢ですが、最終的には本人が納得できる形で決着して いるといいですね。

さて、今回のテーマは「21世紀初頭に世紀末の様相?」です。

時は2022年、21世紀初頭と言っていいくらい今世紀(2001年〜2100年) に入ってまだ日(年?)が浅いですが、最近身の回りで起きている諸々の事件、事故、 現象や世相を見ると何か世紀末的な感じがします。つい先日も仕事でお世話になって いる知人と電話で話した際に、奇しくも同じ『世紀末』という言葉を聞いたので、そう 感じているのは私だけではないのだと知って急遽このテーマを思い立った次第です。

年齢が40代以上の皆さんはご記憶があると思いますが、「1999年7月に恐怖 の大王が舞い降りて来て人類滅亡の日が来る」と言われた五島勉の著書『ノストラ ダムスの大予言』が1973年に出版され、映画化もされて当時の社会不安とメディ アの興味本位の取り扱いを背景にセンセーショナルな話題となり、約四半世紀にわ たって日本国内で未来に対する悲観的な影響を与えました。『恐怖の大王』は宇宙 から飛来する流星か隕石だとか、複数の大地震と火山噴火の同時発生だとか、スペ イン風邪を凌駕する世界的な疫病の大流行だとか、噂話や憶測が飛び交い、本当に 信じていたのか世相に流されていたのかは別として、人類滅亡の日が近づいている と思って、未来を悲観し、日常的な義務や努力を怠り現実逃避的にルールや他人の 迷惑を顧みずに自分勝手な言動をしたり、刹那的な快楽・快感を求めてさまよい、自 律自制できない人、自暴自棄になる人、自殺する人などが少なからずいたように記憶 しています。

何か2022年今の世の中の様相に似ていると思いませんか?

スペイン風邪を上回る犠牲者が出ている新型コロナ(加えてサル痘も出現)の世 界的大流行、地球温暖化の加速による南極大陸の棚氷、北極圏の氷河・氷山・海 氷の記録的な速度と規模の融解、ロシアやアラスカのツンドラ(永久凍土)地域の気温上昇と融解、有害埋蔵物質の露出、グリーンランドの陸氷融解で先月には毎日 60億トンの融解水量(オリンピックサイズのプール2百40万個分相当)を確認、植 樹とバランスが取れていない過剰森林伐採による砂漠化、二酸化炭素を吸収・固定 し有益な生体物質を生成する光合成能力の減少、大規模で頻繁な旱魃と山火事、 大型台風・ハリケーン・サイクロン・竜巻、大雨・洪水の頻発、海水温度と海面の上昇 による島嶼国や湾岸都市・地域の水没・浸水・冠水、海流の変化と棲息魚群・プラン クトンから始まる生態系と漁獲量の変化、頻発する地震・火山噴火などなど世界各 地で高頻度・大規模な自然(人的要素も大きいですが)災害の発生が常態化してい ます。これはアブノーマル(異常)なことであって、決してニューノーマルにしてはなり ません。

人的には、規制強化が進まず件数も犠牲者の数も増えるばかりで後を絶たないテ ロ攻撃や銃乱射・銃撃事件、鎮痛剤オピオイドに代表される薬禍、人種・性(性的 指向を含む)差別、移民・難民受け入れ厳格化と差別の存続、貧富差の2極化と貧 困層の拡大、コロナ禍から回復した景気の先行きを不安視させる物不足、人手不足 と高止まりするインフレ、民主・共和の2大政党間だけでなく各種グループ・団体・ 家族・個人レベルまで蝕む対立・分裂・抗争・憎悪・暴力の波、ロシアのウクライナ 侵攻、北朝鮮の核・ミサイル開発と脅威の継続、覇権を目指す中国の一帯一路政策、 『世界の火薬庫』中東の絶えることのない紛争とキナ臭さ、三権分立と公平な参政 権・投票権が基本の民主主義への政治的介入と偏向、偽情報・誤情報を乱発・氾濫 させ国民を操作・煽動しようとする自己中で悪意に満ちた政治家・グループ・団体・ 個人の存在、自分達に不利・不都合な有権者の投票権・投票機会を剥奪・制限・制 約しようとする反民主主義的動き、時代の流れに逆行する最高裁の判断、政党の党 利党略で悪化する対立・分裂と国民の不平・不満、生活苦などなど。いやあ、数える のに手指10本ではとても足りませんね。

白昼堂々公然と事実に基づかない偽情報や誤情報を鵜呑みにして不当に人を非 難、誹謗、中傷するだけでなく暴力行為も容認して威嚇、恐喝する輩が何と多くなっ たことでしょうか。これも自律自制能力年齢が6歳の子ども並みと言われる自己中 でわがままなトランプ前大統領がパンドラの箱を開けてしまい、この世のありとあら ゆる災いを米国内だけでなく世界中にばら撒いてしまった結果、大統領自身が悪の ロールモデルとなって、それまでギリギリ何とか良い子になろうとしていたか、良い子を演じていた一般国民のタガが外れて「大統領がああなら我々もそうしていいのだ な」と節操のない自分勝手な言動に走り始めたのが今の状況に繋がっています。本 当にトランプの犯した罪は重大です。

先月末で調査が一段落し、9月に再開予定の1月6日議会乱入事件調査委員会による複数のトランプ直近関係者のTV公開議会証言で旧知の事実も含めて「本当に どこまで腹黒い、根の腐った悪い奴らだ」と思いましたが、引き続き調査を続けて核 心に迫り9月再開の際にはトランプ自身の首根っこを押さえてグーの音も出ない絶体 絶命の窮地に追い込んで、2024年の次回大統領選出馬の断念だけでなく、司法 省の正式犯罪捜査で起訴・有罪化まで持ち込み、2度と公職につけないように、また政界・政治・共和党への影響力を無力化できるようにして欲しいですね。

余談ですが、共和党の1議員が「(長年軍用目的以外の製造制限や一般人への 販売禁止、取得資格・年齢制限が求める声を横目にいまだに18歳でも購入可能な) AR−15自動小銃の販売制限をしても銃乱射・銃撃事件は減らない」と呆れた発言 をしていましたが、たとえ発生件数は同じとしても装填弾薬数が多く自動連射が可 能で大量殺傷能力の高いAR−15と連射能力のない普通の小銃やハンドガン(拳銃)では1件当たりの犠牲者の数が段違いになる点を全く無視しています。百害あっ て一利なしのこんな政治家がまともな国政に寄与できるとは思えません。次回選挙 では再出馬を断念するか落選して国政の現場からお引取り願いたいものです。

冒頭で触れた参院選キャンペーンと言えば、安倍元首相が奈良県で応援演説中に 暴漢に手製の銃で撃たれ亡くなられたニュースは、「世界一安全な国」と言われる母 国日本と日本人の私にとって極めてショッキングな事件でした。生前現職就務中の 国政や公私両面での言動には賛否両論ありで評価も分かれましたが、故人となった 今はご冥福をお祈りするばかりです。(合掌)

一国の元首やリーダーが政敵や暴漢に命を狙われるケースは時々ありますが、銃 の取り締まりや管理・監督・監視が世界トップレベルで厳しい日本で起こるとは驚 きです。日本でもこんな事件が起こるとは、正に世紀末の様相と言えるかもしれま せん。インターネット情報や3次元プリンターの普及で手製銃の製作や悪用などコ ピーキャット(模倣犯)が後追いして、日本でもテロ事件が増加すると予想している 政治・社会評論家もいますが、そうならないように既存の法令・規制の見直しと改定 が必要かもしれません。

以上、色々と書き連ねてきましたが、我々の次の世代の未来に少しでも多くの夢と 希望が引き継げるように、自戒も含めて一人ひとりが自覚を持って今の世紀末の様相 を具体的に消していかねばなりません。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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