言葉の架け橋
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では、「赤」の続きです。「亭主の好きな赤烏帽子」(赤鰯というのもあります) とは、烏帽子は黒塗りが普通であるが、亭主が赤い烏帽子を好めば家族はそれに同調しなければならないという意から、どんなことでも一家の主人の言うことには従わなければならないということのたとえ。ちょっとひと時代前の感はありますが、これの英語は “Even an eccentric head of family must be obeyed.” 今時日本でも米国でもそういう事はまずないでしょうが。

 さて、「赤」に似た色として「紅」があります。「紅一点」と言った場合、「紅」は女性を指しますので、“the only woman in the group”となります。もう一つ「紅」を使った言葉で、「柳は緑花は紅」という表現があります(元は蘇軾<そしょく>による漢詩から取ったもの)が、これは人間の手にかかっていない自然の状態の美しさを示しています。ですから単純に “natural state” と言えば良いでしょう。

 次に「黄」に関するものを二つ。「黄色い声」と言いますが、英語ではこれは色では表さず、“shrill voice”甲高い声)です。「嘴(くちばし)が黄色い」は若くて経験の浅い人に使う言葉です。雀なども雛のうちは嘴が黄色くて、まさにそこから来ています。ですから英語は “an inexperienced young person” でいいわけですが、口語的な言い方で、“greenhorn” (出始めたばかりの角のこと)というのがあり、考え方としてはとても似ています。

上記についてご質問のある方、また、その他の表現について知りたい方は、izumi.suzuki@suzukimyers.com まで。―――――――――――――――――――――――――――――――――
鈴木いづみ:会議通訳者、公認法廷通訳者、アメリカ翻訳者協会日<>英翻訳認定資格を有す。通訳・翻訳・日英語学クラス等のサービスを提供する鈴木マイヤーズ&アソシエーツ(株)社長。www.suzukimyers.com

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