師走12月、丑年も残りひと月を切りました。自宅周辺の植木の葉もほとんど落ち、前庭に溜まった落ち葉をそろそろかき集めてヤードウェイストの大袋に入れてゴミ出ししないといけないと思っていましたが、先月号の冒頭で書いた願いが通じたのか、今年はコンドーの管理事務所から依頼先のメンテ業者がサンクスギビングの連休前に早めに一度クリーンアップに来てくれました。「やったー!」と喜ぶと同時にこれが今年最後でないことを心の中で祈りました。(笑)

 では、先ずスポーツの話を少々。

 日本では何と言っても一番の話題はプロ野球日本シリーズでしょう。セ・パともに前年最下位のヤクルト・スワローズとオリックス・バッファローズがプレーオフCSでは下位チームの下剋上を許さず、1勝のアドバンテージを含めて両チームとも3勝1分の無敗通過で顔合わせは誰も予想しなかったものでした。最終決着した第6戦まで全ての試合が2点差以内という接戦、熱戦の連続。初戦で2点を追うバッファローズが9回裏の土壇場で3点入れ大逆転のサヨナラ勝ちが「野球は筋書きのないドラマ」そのもので、その後のシリーズを予兆する形でしたが、どの試合も途中経過では結末が想像できないハラハラ、ドキドキの展開で最後の最後まで分からない好試合の連続でした。私は実況中継やビデオ録画、ストリーミングサービスを観ておりませんが、ネットでの試合速報、ブログや紙面でのプロの解説、ファンのコメントを読むだけでも選手たちの熱い思い、真剣なプレーが伝わってきて近年(少なくともここ10年)で最高の日本シリーズだったのではないでしょうか?両チームのファンでなくとも画面に引き込まれてシリーズ通して大いに楽しめたと思います。

 結果はスワローズが4勝2敗で20年ぶりの栄誉に輝きましたが、僅かの差で敗れたバッファローズも全く恥じることはありません。敵地で1勝3敗の崖っぷちに追い込まれながら「神戸に帰ろう!」の熱い思いを胸に続く第5戦を逆転勝ちして、本拠地に戻った意地と根性は素晴らしかったです。特に第6戦では今季パリーグ投手部門4冠に加えて投手の最高栄誉である沢村賞をただ一人受賞した絶対的エース山本由伸投手が先発登板。8回終了で降板の予定を自ら志願して9回も続投し、プロ入り後初めてとなる最長141球の熱投。先発投手は100球前後が目処になっているプロ野球界で甲子園の高校野球を思い起こさせる大奮闘で「負けない、負けられない」という強靭な意思を感じさせ、ファンの胸を熱くしました。お見事!天晴れ!

 スワローズは故野村監督の教えを受けた高津監督の下で結束し一丸となったプレーが印象的でした。レギュラーシーズンを2位阪神タイガースとゲーム差なしの紙一重で優勝し、日本シリーズも制して頂点に上り詰めました。監督の手腕でこれほどチームが変わるのか?とリーダーシップの重要性と難しさを同時に感じさせるとともに、これは日米他どこの国でも同じだし、スポーツの世界だけでなく政治やビジネスの世界にも通じることだと改めて思いました。スワローズの選手、監督、コーチ、球団関係者、ファンの皆さん、優勝おめでとうございます!!

 同じくバッファローズの皆さん、お疲れ様!両チームとも感動をありがとう!!

 一方当地米国では、これまたやはり何と言ってもMLBロスアンゼルス・エンゼルスの二刀流スーパースター大谷選手の話題に尽きます。右肘の手術や故障から復活した今年、球聖と呼ばれるベーブ・ルース以来100年ぶりにシーズンを通して二刀流を貫き最後まで連日のように明るい話題を提供してチームのファンだけでなく、他チームのファンや選手たちまでが注目し賛辞を惜しみませんでした。母国日本では毎朝起きて直ぐに大谷選手の試合結果、プレー速報を見て明るく楽しい気分で仕事や学校に出かけたり、家庭で1日の始まりとした人たちがどれだけ幸せな気分を味わえたかしれません。また、野球というスポーツ自体がプレーされず関連知識がなかったり、マイナースポーツで関心が薄い国々の一般の人々の間でも話題となり、地方チームの1選手という存在から一気に世界的なヒーローとして認識されるまでになりました。

 本人はただ野球がたまらなく好きで、野球小僧か野球少年が大きくなって「世界一のプレーヤーになる!」と夢を追い続け、毎試合一生懸命プレーした結果として先月1位票満票で獲得したア・リーグMVPに続いて最終受賞した最強指名打者賞を含めて合計11冠の偉業。同賞は引退したイチローさんがシアトル・マリナーズに現役として在籍当時の指名打者であり、その後慈善活動に多大の功績を残した選手に贈られるロベルト・クレメンテ賞も受賞しているエドガー・マルティネス氏に因んで命名されたもので、日本の野球ファンにも馴染みが深く、これでイチローさんから大谷選手にスーパースターのバトンタッチがなされた思いがします。(拍手)

 もう一つ、日米にまたがるプロ野球絡みと言えば、広島カープの鈴木誠也選手が球団の合意・協力を得てポスティング制度を利用してMLB挑戦を発表したことです。チームとしては今シーズン満足な結果にならず多少心残りはあると思いますが、個人としては今年も優秀な成績を残し、大いにチームに貢献しているので、前々から本人の意向を聞いている球団としても気持ち良く送り出すことになり、本当に良かったです。既にMLBでも話題になり、複数球団が興味を示しているようで正式にポスティングで交渉権を希望する球団が今月早々にも名乗りを上げるかもしれません。投手に比べて野手としてMLBでも活躍した事例はまだ少なく、鈴木選手には良い意味で例外になって欲しいものです。

 MLBで成功するための課題をいくつか挙げると、①広い球場での外野守備適応、②投手の縦横に大きく鋭く動くムービングボール対応、③誤審を含む審判のボール、ストライク判定のバラつきに惑わされないこと(審判を味方につけて長嶋巨人名誉監督の現役当時彼が見逃せばストライクでもボールと判断された『長嶋ボール』を再現して欲しい)、④国内で時差、気温差のある中での長距離移動及び連戦や総試合数の多さを克服し怪我・病気なくプレーし貢献すること、⑤英語でのコミュニケーション能力と米国文化・慣習への順応、⑥地元かアウェイかにかかわらずファンや各種メディアへの適切な対応、などがありますね。

 MLBに挑戦すると決意した以上は多少の障害や困難はあってもへこたらず一つ一つベストの対応をして乗り越え、野手として成功する事例となり後に続く後輩たちに夢と希望を与えてもらいたいものです。『聖闘士星矢』という漫画の主人公もいましたが、名前が『誠也」なので苦しくても「何とかセイヤ〜!」と言いたいです。(ダジャレで失礼)

 少々の筈のスポーツの話がやたらと長くなってしまいましたが、本題の「さよなら、丑年! 年越すコロナ!」に入ります。

 先月号拙稿では「よもやま話」と題したにもかかわらず、終わってみればわずか4つの小話のみで自分でも中途半端で内容不足だったなと反省しています。本当はもっと多くの話を詳しく書きたかったものの、言い訳ですが紙面と締切り期限の関係(実は私の能力不足が真の原因!?)で実現できませんでした。友人にも話したのですが、最近は情報過多でインプットは必要以上に溢れるほどあるのですが、それに見合ったアウトプットができずバランスが取れていない感じがします。原稿のネタ探しでネットサーフィンや検索をして興味をそそるテーマやトピックがあるとそれを追いかけて調査、深掘り、内容と正誤の確認など反対意見も含めて事前準備作業をするわけですが、実際に原稿作成する時間よりもそちらの時間の方がはるかに長くなるのが実情です。反対意見や偽情報、誤情報もそういうものが存在し、世の中に氾濫しておりそれを信じて行動する人たちもいるということで無視できず、それらが事実かどうか?正しいかどうか?は別としても認識して考慮する必要があり、たとえ気分は悪くても見たり読んだりしないわけにはいきません。そこまで手を広げるとインプットの件数が膨大となり時間がいくらあっても足りない程になります。特に最近ではSNSやネット検索サービスを利用すると一つの検索作業中に似たような商品やテーマ、トピック、サービスの紹介・お勧め提案が表示され、利用者がそれにも興味を示すと更に追加の紹介・お勧めが提示される仕組みが多く、本来利用者が望んでいなかった画面に誘導されたり、商品やサービスを半強制的に押し付け、押し売りされたりするケースが多くなりました。表面上は如何にも利用者の便宜を図って助けているように感じられますが、これがアクセス件数や広告表示件数、更に購入件数・金額を増やすためのサービスプロバイダー側のマーケティング戦略であり、利用者は自分が選んで判断・操作しているつもりでも知らず知らずのうちに本来の自分自身の意図・意思とは別に誘導され、その仕掛けられた罠に嵌まり込んでいくわけです。そしてその全てがデータとして記憶され、次回同じような検索やサイト訪問すると新たな紹介・お勧め提案が展開され更に深みにはまることになります。

 この話題については、最近長女と家内に勧められて自宅で観たオンライン映画制作・配給会社のN社が配給している“Our Social Dilemma”という映画を観ていただくとその背景と詳細が分かります。最近また問題になっているFacebook(今は社名変更してMeta)やInstagramの社会倫理問題、特に低年齢層利用者の鬱(うつ)症状助長から自殺につながる事例、人身売買につながる誘惑行為の氾濫・放任など、先日議会証言にまで至った内部告発や実際に同社や類似サービスを提供するApple、Google社などのアプリ企画・開発現場やマーケティング戦略部門の最前線でアイデアを出し、指揮して指示を出したり実行したりしていた人たちが、自分で「これでいいのか?社会正義・倫理に反していないか?」と疑問を抱き、退職後内部告発、議会証言、啓蒙活動など反対運動を始めた経緯が描かれており、映画を観ると利用者は彼らの商品として扱われ、プロバイダーの思い通りに操られ誘導されて彼らの巨万の富の源泉となっており、思っていた以上に恐ろしいことになっているのが分かります。私は元々口座を持っていませんが、長女は観賞後Facebookの利用を減らそうと考えています。映画にご興味がある方は一度ご覧になることをお勧めします。決して誘導ではありません。(笑)

 本号が今年最後の発行になるので改めて世相を眺めてみると、今も続いているコロナ騒ぎは米国内最初の感染者認知から既に2年近くになり、トランプ前政権が迅速で的確な初期対応からベストの継続対策を打っていれば、今頃はほとんど収まって普段の生活スタイルかそれに近いレベルまで回復していたのではないかと思うと本当に残念です。特に今年の2月には過去にない異例の速さでコロナワクチンが完成し、大きな負の財産を含めて政権を引き継いだバイデン大統領と政権幹部による強力な優先実施策の下FD A、CDCの緊急承認・実用化がOKされ、各地で接種が徐々に実施され接種数、接種率が上がるとともに新規感染者数、入院者数、死亡者数は目に見えて斬減していたので、そのまま行けば早ければ今秋、遅くても年内には騒ぎが静まるのではないかと期待していましたが、その期待はあっさり裏切られました。残念ながら干支が切り替わる来年まで年越しになるのは火を見るより明らかです。現職大統領や政権幹部がワクチン接種を奨励または一部義務化しても、それ以前のマスク装着や人身間の距離確保の奨励時と同様に国民の安全・健康問題を政治問題化したトランプ前大統領支持グループ、共和党の保守強硬派、右派・保守偏向メディアに加えて世論に影響力がある人気映画スター、スポーツ選手、有名セレブなどが科学的事実・データを無視し(あるいは偽情報や誤情報と加工データを使って)真っ向からワクチン不信・拒否・反対を連日のように呼びかけ、嘘とデタラメのストーリーをでっち上げ自分たちに都合の良いように群衆心理操作・煽動しながら現職大統領と民主党の政権運営、政策実施の妨害に全力で今もなお継続集中しているのが最大の原因です。更に直近では南アフリカから新たに広がり始めた感染力がデルタ株より強力なオミクロン変異株が最初の知見からわずか2週間でデルタ変異株に取って代わって南アフリカの新規感染者の主要原因になっており、既に周辺諸国の他に欧州、香港、カナダ、更に本邦日本でも感染者が知見され岸田首相が外国人入国禁止という思い切った緊急対策を打ち出しましたが、米国内で知見されるのも時間の問題でしょう。 先月末バイデン大統領は南アフリカからの入国制限を実施すると同時に緊急会見で「新たな(オミクロン)変異株は心配の元にはなるが、パニックの元ではない」と国民に冷静を呼びかけ、「米国内にも早晩やってくるので対策としてワクチン未接種の人は至急接種を、初期接種の済んでいる人は免疫力強化のためにブースターショットを追加接種することが重要」と繰り返し強調しました。これで少しでも接種人数、接種率が上がればいいのですが、既に反対派はこの新変異株も「民主党の作り話で、それを来年の中間選挙に向けて政治利用しようとしている」とケチをつけています。本当に彼らは国民の安全と健康を無視して、死人が出てもへっちゃらという人非人(にんぴにん)だと何度も思います。

 政治面では、バイデン政権の目玉となる永続的再生可能エネルギー型新規インフラ投資案が予算額は多少削られたものの、ようやく上下院とも可決通過し、大統領署名を受けて正式に立法化されました。今後は一つ一つの分野・項目について具体的な投資内容と方法、実行に移すタイミングが重要となりますが、担当幹部も新たに任命され着実に前進して国民が効果を実感できるレベルに少しでも早く到達して欲しいと思います。

 もう一つの目玉である社会的弱者救済を目指す超大型経済振興予算法案もギリギリ下院を可決通過し、上院での審議が始まります。前々から膨大な予算額とその原資の調達方法、インフレ助長のリスクなどで反対している身内のマンション民主党上院議員やインフラ法案には賛成投票してもこの法案については必ずしも協力的でない多くの共和党議員が抵抗を続けており、上院としてかなりの変更を盛り込んだ新たな変更案を作成して可決通過できるか微妙な状況です。それを下院に差し戻して再審議し前進派も納得した上で可決通過できるかは更に難度が高いですが、この二つの法案が揃って立法化、実施できないとバイデン大統領と民主党政権の選挙公約が果たせない失態となり、来年の中間選挙と2024年の次期大統領選に向けてアフガン米軍撤退でミソをつけ雪崩現象的に低下している現職大統領と政権与党民主党の更なる支持率低下が危惧されます。

 中間選挙で上下院の過半数議席を共和党が奪還すると現政権と民主党が今までやってきた政策、今後続けてやろうとしている政策を全てひっくりされる恐れがあり、バイデン大統領と民主党を支持してきた有権者を裏切り、国際舞台でも安全保障問題や地球温暖化防止協定に沿ったCO2削減対策、石化燃料から再生可能エネルギーへの切り替えなど基本的な重要国家政策がまたまた方向転換してトランプ前政権当時に逆戻りし、NATOなど同盟国、友好国の米国に対する不信感を増長し、リスペクトも失う羽目に陥りそうです。今年1月6日に起きたトランプ支持グループの米国議会乱入・暴動事件の下院合同捜査委員会も即解散、証人喚問も撤回され何もなかったことにされて、大きな汚点となった歴史をトランプと共和党にとって都合が良いように書き換えられてしまいそうです。

 バイデン大統領と民主党政権には上記双子の法案を是が非でも立法化し、弱者救済を図るとともに共和党があからさまに打ち出している各州での投票権や投票方法を制限・制約する州法を無力化し全ての有権者の投票権と民主主義の維持・強化を実践してもらいたいものです。

 では皆さん、多少早いですが、年末に向けて安全・健康に留意され、素晴らしい新年をお迎えください。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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