心臓病治療の最前線
心臓病治療の最前線

月9月22日、アメリカ食品衛生局は、ファイザー社製のコロナワクチンについて、3回目の接種、いわゆるブースターショットを65歳以上か、医学上、コロナにかかると重篤化する危険の高い人、または医療従事者などの人たちを対象に、2回目の摂取から6ヶ月以上が経っていることを条件に、緊急使用許可を与えました。これは、臓器移植を受けた人や、慢性のステロイド薬の使用、さまざまな免疫不全症候群の人などに対して、3度目のブースターショットを2度目の摂取から4週間経っていることを条件に既に許可を与えていることに続くものです。

ブースターショットの量は、2度目の量と同じ30マイクログラムで、肩の三角筋に筋肉注射を行います。  この決定の根拠となったのは、次のような臨床データによるものです。

米国の12歳以上の340万人の追跡調査で、ファイザー社のワクチン接種者は、未接種者に比べて有意に新型コロナ感染の危険が減少したが、この効果は、ワクチン接種後1ヶ月以内の88%に比べて、5ヶ月以上では47%に下がった。その一方で、ワクチン接種は、未接種者に比べて、コロナによる入院の危険も減らすが、この効果は、1ヶ月未満(87%)と5ヶ月以上(88%)で差はなかった。

イスラエルで行われたコロナPCR試験の疫学調査で、6ヶ月前に2度のワクチン接種を完了したグループと、3ヶ月前に同じく完了したグループを比較したところ、前者の方が有意に感染者数が多かった(1000人につき、3.2対1.6)、また重篤感染者数も前者の方が多かった(同0.29対0.15)。

ファイザーワクチン接種前後にコロナ感染のなかったと考えられる210人の人たちについて、2回目の接種後1ヶ月目とブースター接種後1ヶ月目のコロナウイルスに対する抗体量を比べたところ、ブースター接種後の抗体量は、2回目接種後の抗体量に比べて、3.29倍であった。

イスラエルにおける、2回のワクチン接種後5ヶ月以上経った110万人の追跡調査において、ブースター接種を受けた人は、受けていない人に比べて、11.3倍の感染率の減少が認められ、19.5倍の重症化阻止効果が認められた。

ワクチンの副作用について:

 ファイザー社のブースターショット後の副作用の発生率は、2回目の接種後の副作用の発生率と変わらないと報告されています。

 米国内では、モデルナ社やヤンセン社のワクチンについても、この原稿を書いている時点で、ブースターショットが認められました。また、ブースターショットに、最初の2回のワクチンと異なるワクチンを使うことも認められました。さらに、ワクチンの対象年齢を5歳から11歳の年齢にも広げることがCDCにより勧告され、これが承認されれば、米国では、近日中に5歳以上の全ての人についてワクチンを受けることが勧められることになりそうです。

 新型コロナ感染症に対する、モノクローナル抗体カクテル療法も進歩しています。感染初期に投与して、重症化を抑えるバラニビマブとエテセビマブの抗体カクテルは、最近、暴露後予防療法(Post exposure prophylaxis) のエージェントとしても承認されました。これによって、家庭や、老人ホーム、刑務所、病院、軍隊などで、患者が発生した場合、この薬剤を予防的に使うことで、他の成人に広がるのを最小限に抑え、クラスターとなるのを抑える効果が期待されます。今のところ、12歳以下の学童や小児については、ワクチンも、予防薬も治療薬も存在しませんので、家庭や学校で、それ以外の大人が、できるだけワクチンを接種し、感染が広がるのを最小限にすることが大事だと思われます。カシリビマブとイムデミマブの抗体カクテル療法も暴露後予防療法の薬として承認されていますので、米国ではこれで2つのお薬がこの適用で使えることができるようになりました。後者は皮下注射も可能ですが、前者は経静脈注射でのみ使用可能です。この2つのお薬はどちらもデルタ変異株に対しても有効性があります。

2020年初頭から、全世界を襲った新型コロナの猛威も、ワクチンの開発と社会的距離、マスクの着用などで、ようやく先が見えるようになってきているようにも思えますが、油断大敵、勝って兜の緒を締めよの諺通り、さらに気を引き締めて、この災禍を克服していきたいものです。

 ブースター適応のあるかた、65歳以上の方、ぜひ、ブースターショットを受けてください。近所の薬局で無料でワクチンは接種できるはずです。その際、前に接種をした時にもらった接種証明のカードを忘れずに持参しましょう。また、インフルエンザワクチンの接種も大事です。コロナとインフルエンザのワクチンを同時に接種することは理論的には可能のようですが、あまり勧められません。2週間ぐらいは間隔を空けるのが無難だと思います。明治のはじめ、福沢諭吉が言ったように、“天は自ら助くる者を助く”です。自分の健康は自分で守ることを心がけましょう!

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筆者 プロフィール:
山﨑博
循環器専門医   日米両国医師免許取得
デトロイト市サントジョン病院循環器科インターベンション部長
京都大学医学部循環器科臨床教授
Eastside cardiovascular Medicine, PC
Roseville Office
25195 Kelly Rd
Roseville,  Michigan  48066
Tel: 586-775-4594     Fax: 586-775-4506

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