11月に入りました。ようやく残暑も収まりコート姿の人々が見られ始めた日本では神無月が過ぎて出雲に集まっていた地方の神々もそれぞれのホームタウンに戻り、地場のお守りに専念してくださっていることでしょう。ハロウィンを境に一足先に秋から初冬に向かうミシガンでは気温もグッと下がり、先月のある朝には初霜が見られました。陰暦では11月を霜月と呼びますが、言い得て妙ですね。米国では日本のような小さな真っ赤な紅葉は見られませんが、黄色、オレンジ色、紫色などのカラーリングは別な趣があり、黄色の葉に陽が当たると目に鮮やかなゴールド色が映えます。種類によっては既に一部落葉し始めている草木もあり、落ち葉拾い、落ち葉かきをせねばならない季節になりますが、雨に濡れると濡れ落ち葉の始末が厄介ですね。お隣さんと屋根続きのデュープレックス・コンドミニアムの我家はあいにく風下の吹き溜まりになる立地のため、風上の向かいの他家の落ち葉がこちらの庭に吹き寄せられ迷惑しています。予算が厳しいコンドーの委託管理会社は毎年シーズン最後に一度だけしか落ち葉かきをしてくれないため、それまで放っておくわけにいかず溜まり過ぎたり濡れ落ち葉になって見苦しくならない内に掃除をするのですが、去年一度1時間半以上も作業して汗をかき、膝や腰も痛くなってヤードウェイスト4袋分の落ち葉を綺麗にした翌日、北風がピューッと吹いて向かいから落ち葉が吹き寄せられ掃除する前と同じ位の落ち葉が吹き溜まりガックリしました。向かいの家主は自分で掃除しなくても風が代行してくれるので落ち葉かきに熱心でなく、こちらは迷惑しています。今年はちゃんとやってくれるといいですが……

 さて、先月割愛したスポーツの話題です。

先ずプロ野球。日本ではセ・リーグでヤクルト・スワローズがパ・リーグではオリックス・バッファローズがレギュラーシーズン優勝。しかもどちらも2年連続最下位からという野球評論家さえも全く予想外の結果でした。特にパ・リーグでは投打に盤石のソフトバンク・ホークスが昨年同様に独走と予想されていたのに、CS(クライマックス・シリーズ)にも残れない4位になるとは誰も予想しませんでした。バッファローズは近鉄とのチーム合併後初優勝で25年ぶりとか、宮内オーナーはじめ関係者の喜びはひとしおでしょう。セ・リーグはヤクルトと阪神、パ・リーグはオリックスとロッテと両リーグとも最後の最後まで優勝争いが続き、野球ファンは毎日の試合結果に一喜一憂したことでしょう。「勝負はゲタを履くまでわからない。」と言いますが本当にわからないものです。だからこそ面白いとも言えます。勝因は監督の手腕、選手の奮起、投打のバランス、チームケミストリー、予想外のヒーローなど色々ありますが、とにかく結果が全て。スワローズ、バッファローズ、両チーム関係者の皆さん、とりあえずレギュラーシーズン優勝おめでとうございます!!CS、日本シリーズも頑張ってください。

 当地米国MLBではプレーオフ最終ワールドシリーズの最中。直近5年間で3度目進出のア・リーグ、ヒューストン・アストロズと22年ぶりに進出のナ・リーグ、アトランタ・ブレーブスの対決。本紙発行の頃には覇者が決まっていると思いますが、ブレーブスが優勝すれば実に26年ぶり。結果はどうなりますか?

 スポーツの話題では、日米とも他にも色々話題があり冒頭前書きだけでは書き切れませんので、今月号のテーマは『秋の夜長のよもやま話』として他分野の話題とともに続けます。

 その1:MLBでは今シーズンを通して話題を提供し続けたエンゼルスの二刀流大谷選手を外せません。日本人一ファンとして怪我・病気なくシーズンを全うして活躍できるかが
一番の関心事(心配事)でしたが、こちらの(大方の)心配をよそに見事に完走し、記録ずくめの本当に素晴らしい成績を残しました。投打の二刀流に加え、走塁でも飛ぶような走りを見せ、投手として23試合、130回1/3投球回、9勝2敗、防御率3.18、156奪三振、打者として155試合、46本塁打、100打点、103得点、138安打、26盗塁、100四死球(96+4)、出塁率.372、長打率.592というとてつもない数字を残しました。189三振と打率.257は今一つでしたが、ホームランバッターには良くあるケースで打点、得点は100越えしてますのでチーム貢献度は抜群です。彼の性格からして既に改善策も考えているでしょうし、オフシーズンに具体的なトレーニングをして来シーズンこの二つの数字が改善されたら、もう本当に手が付けられない打者になりますね。チームはここ何年も言われ続けている弱体投手陣のせいで今年もプレーオフ進出できず、もう少し長く彼のプレーする姿が見られなくて残念でしたが、ワールドシリーズ初戦のアストロドームに姿を見せ、事前公表を聞いていなかったメディアやファンは驚きましたが、MLBコミッショナーから『Historic Achievement Award(歴史的偉業アワード)』の受賞に喜びを分かち合いました。また、その直後にはMLBの選手間投票による年間最優秀選手賞(日本人選手では2005年のイチロー氏以来16年ぶり)とア・リーグの最優秀野手賞を同時受賞し、多くのスタープレーヤーから賛辞を受けました。それまでに受賞していた米専門誌「ベースボール・アメリカ」の年間最優秀選手、「ベースボール・ダイジェスト」の野手部門最優秀選手、スポーツメディア「スポーティング・ニュース」の年間最優秀選手受賞と合わせて、先月末時点で所属球団内受賞とは別に球団外で6冠達成。ワールドシリーズ終了後に予定されるMLBア・リーグのMVP(年間最優秀選手)最有力候補にもなっており、他のいくつかの受賞候補と合わせて10冠から12冠まで受賞の可能性があります。現役選手の実体験からのコメントを見聞きしても、投手か打者か片方だけでも心身ともに多大なストレスがかかるにもかかわらず、年間通して、しかも今季のようなハイレベルでプレーをし続けたのは驚異的(異常)なことで前例がありません。『異次元』、『異星人』、『地球外生命体』などと通常使われない表現で称賛されるのも無理ありません。「称賛する適当な言葉がない」と嘆く評論家までいます。100年も前の先人ベーブルースと度々比較されますが、グローバルなスポーツになった現代と時代も選手層も、球団数やプレーレベルも全く違う環境では妥当な比較になりません。ルースさんには申し訳ないですが、大谷選手の一人勝ちです。大谷選手自身の歴史的記録を更新できるのは彼自身のみと確信します。来年も健康を維持して、エキサイティングな “SHO–TIME”を見せて欲しいですね。

 大谷選手の話だけでこんなに長くなってしまいました。まだまだ書き足りませんが、既に数多のメディアで報道されていることも多いので、今回はここまでとして他の話題に移ります。

 その2:NPB西武ライオンズの松坂大輔投手、日本ハム・ファイターズの斎藤佑樹投手、読売ジャイアンツの亀井善行選手が今季限りで引退しました。松坂投手は高校時代から『平成の怪物』と呼ばれ横浜高校、ライオンズやサムライ・ジャパン代表、MLBボストン・レッドソックスなどで活躍した大スターで同期や前後の有力選手団も束ねて『松坂世代』と呼ばれ、一世を風靡しました。日本代表として出場したワールド・ベースボール・クラシックでは2006年第1回、2009年第2回と2大会連続でMVPとなり、勝利数6勝は今も歴代1位。現役時代中盤から後半にかけて股関節、右肘、右肩と次々に怪我に見舞われ、彼本来の力強いピッチングができなくなっての引退は残念でしたが、前半の輝かしい成績と記録は消えるものではありません。特に今でも記憶に残っているのは横浜高校3年在籍時最後の1998年第80回夏の甲子園大会準々決勝でPL学園相手に延長17回、250球を一人で投げ切った完投勝利、翌日の準決勝明徳義塾戦でも1イニング登板、更に決勝の京都成章戦ではノーヒットノーランで春・夏連覇達成、と正に『怪物』の名に相応しい神がかり的な大活躍でした。他にも記録と記憶に残るストーリーが山ほどありますので、ご興味のある方はご自分で!(笑)

 次に斎藤投手。言わずと知れた『ハンカチ王子』です。元巨人軍の王さんと同じ早稲田実業3年在籍時の2006年これも最後の夏の甲子園大会で延長再試合となった決勝戦で当時の駒大苫小牧(とまこまい)のエース『マー君』こと田中将大投手と先発で投げ合い4−3で勝利して甲子園初優勝。同大会での投球回69、投球数948はいずれも1大会では史上最多記録。大会中彼が尻ポケットに入れた青いハンカチで汗を拭う仕草が話題となり、ハンカチ王子の愛称を授かりました。以後『ハニカミ王子』と呼ばれたゴルフの石川遼選手他様々な分野で活躍する男性ヤングスターを次々と〇〇王子と呼ぶ走りとなりました。2007年高校卒業後直ぐにプロ入りせず早稲田大学に入学し、野球部に入部。その年春の東京6大学リーグ戦で東大相手の開幕戦で勝利し、1年生春の開幕投手勝利は当時で何と昭和初期以来80年ぶり、優勝がかかった早慶戦でも先発を任され勝利投手として優勝。その春のリーグ戦では4勝無敗、防御率1.65の成績で1年生投手として史上初のベストナイン入り。大学時代は球速を追い求めた結果フォームを崩して成績がパッとしなかった3年生時を除きほぼ無敵・無双状態で数々の功績と記録を残し、国際大会にも大学日本代表として4年連続選出されたのも史上初。2011年に日本ハムファイターズに入団しプロ入り、2年目の開幕戦に先発指名され9回1失点の完投勝利は当時のNPBで50年ぶり、パ・リーグでは62年ぶりの快挙。その4月にはプロ初完封勝利もあげ順風満帆かと思われましたが、「好事魔多し」とはこのことか6月中旬以降は6戦連続勝ちがつかず成績不振に陥り、7月末には1軍出場選手登録抹消となり2軍で再調整を余儀なくされ、2軍戦や社会人チーム相手の試合でも打ち込まれて苦しみました。9月末に1軍に復帰し10月初旬の試合に先発するも6失点でシーズン8敗となり、翌日1軍登録抹消されそのままレギュラーシーズン終了。その年の成績は12球団全投手の中でワーストとなる悲惨なものでした。2012年の夏頃から感じていた右肩痛の原因が関節唇損傷と判明し、その後は1軍での登板・勝利がほとんどなく2軍での調整と登板が続きましたが、今季をもって引退となりました。プロ在籍10年で合計15勝と学生時代無双状態だったことを考えると本人が一番悔しいと思いますが、松坂投手と同様に怪我が投球能力を低下させ、投手生命を縮めてしまった例で残念でなりません。松坂投手ともどもこのプラス・マイナス両面の経験を生かして引退後も何らかの形で野球界に関与してもらいたいと思います。

 最後は、ジャイアンツの亀井選手。先の二人ほど大スターではなく目立つ存在ではありませんでした。それでも原監督が「困った時には亀ちゃんがいる。巨人においての守り神という存在だった。」と言うように打撃、守備、走塁でレギュラーの穴を埋めるユーティリティー・プレーヤーとして地味な存在でしたが、時にはサヨナラ打とか代走やファインプレーでニュースや活字に表れることもありました。基本的には縁の下の力持ち的存在でしたが、原監督にとっては実際に試合でプレーする、しないにかかわらず、いなくては困る貴重な選手だったようです。お守りか胃薬もしくは精神安定剤のような存在だったかもしれません。

 今季も打率が悪いにもかかわらず終盤戦にクリーンアップに起用などと使い続けて偏重起用とも思える原監督の選手起用に批判が高まっていましたが、今年引退の花道を飾らせる温情起用とも言われました。もう一つ、彼が2009年の第2回WBC大会の日本代表に選ばれた際には原代表監督の巨人贔屓(びいき)だとやはり批判されましたが、この時はチームキャプテンのイチロー選手に何かあった場合の控えとして他に代表候補となるスター選手は大勢いたものの、ずっとイチロー選手の控えでベンチではやる気をなくしてしまい、不満が出てチームケミストリー(化学のように反応・生成するチームの調和やメンバーの相性、団結する一体感)に悪影響する恐れがあり、万一の時の代役としてあえてスターではないが守備・走塁は固い亀井選手を選出したようです。亀井選手自身も「正直選ばれたくなかった。」と戸惑いがあったようですが、そう言われてみれば納得できる理由かもしれません。彼も怪我で苦しんだ選手でしたが、引退会見時の笑顔を見ると自分のやるべきことをやり切った満足感が感じられました。3選手ともアマ時代も含めて長い間ご苦労様でした!!第二の人生に幸あれと祈ります。

 その3:政治面では、バイデン政権が前回キャンペーン中から言い続けている永続的再生可能エネルギー型新規インフラ投資と社会的弱者救済を目指す超大型経済振興予算がまだ下院で投票も可決もされていません。主な理由は毎日のように報道されている民主党内の意見の食い違い、調整・合意難航による単純過半数の確保が保証されていない点です。マンションとかシネマとかしょっちゅう出てきますが、建売りまたは分譲マンションや映画館の話ではなく、下院投票と可決通過を阻んでいる民主党の上院議員2名の名前です。マンション上院議員は相変わらず総枠予算3.5兆ドル案に対し上限1.5兆ドルに拘っており、シネマ上院議員は予算の使用目的には大筋合意しているものの、その予算の収入源としてバイデン政権や民主党前進派が描いている今は、全くもしくは微々たる納税しかしていない大富裕層や高収益の有力大企業に対する増税はビタ一文認めずと真っ向反対しているとの報道です。バイデン大統領は先月末にイタリアのローマで開催されたG20首脳・外相会議及びその後スコットランドのグラスゴーで開催されたCOP26国連気候変動枠組条約締約国会議に発つ前に両案の議会可決通過を完了し、米国として確約できる手土産として持参し現政権と国家の面目を保ち、グローバルリーダーとして権威と信頼を回復したい意向でしたが、自分の所属党内の取りまとめができず空振りに終わりました。ただでさえこのところ急降下している同大統領の支持率低下に歯止めがかからない状況です。党内最新情報では盛り沢山の予算構成の中で原案にあったコミュニティーカレッジの授業料無料化の見送り、チャイルドケアサポートの実施対象期間の短縮など止む無く一部を削って総枠予算を1.75兆ドルから2兆ドル程度に圧縮した調整・妥協案で最終合意を目指しているとの報道もありましたが、党内前進派は既に共和党も事前合意しているインフラ予算だけの投票には反対し、総枠調整後の財政調整予算も同時投票しない限り、インフラ予算投票に賛成投票しないと宣言しており、合意点、着地点が見出せていません。既に11月に入りタイミングが遅れるほどバイデン政権と民主党支持率に悪影響しかねず、関係者全てに焦りが見えています。本稿作成時には結果が出ていませんが、11/2(火)実施のバージニア、ニュージャージー両州の州知事選挙にも影響して民主党候補落選の恐れも十分あり得ます。特にバージニア州は両党とも必勝目指す大接戦でどちらに転ぶか予断を許しません。ニュージャージー州も民主党勝利が絶対保証できる状況ではなく安心できません。

 その4:前出のCOP26会議に出席予定だった英国のエリザベス女王が担当医師から静養が必要とアドバイスされ先の北アイルランドと今回スコットランドへの公務訪問を取り止めたとの報道がありました。先日も公務で初めて杖を使われているお姿が映りましたが、先月中旬には数日の検査入院をアドバイスされ1日だけでご退院したニュースもありました。95歳というご高齢に加えて今年4月には長年連れ添われた夫である故エジンバラ公フィリップ殿下のご逝去もあり、またコロナ禍の中今年だけで既に6,500Km以上も旅行されていると聞いた覚えもあるので、決してご無理をしていただかないようにお祈りするのみです。

 以上、先月末週には米国内外で色々な出来事、ニュース報道があり、どれを題材にしても簡単に書き切れないほどでしたので、どれも中途半端で不十分ですが『秋の夜長のよもやま話』としてご容赦願います。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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