Loggers Brewing Companyは2016年にオープンした。Saginawにブリューワリーがオープンした

グラスの背後に見えるTap Tower

のは1941年以来だそうだ。家族経営のブリューワリー。オーナーは姉弟と甥の3人。「Saginawには50年以上住んでいるから私たちはSaginaw人ね。」と話してくれたオーナーの一人のCynthiaにブリューワリーについて語っていただいた。そもそもは自宅でビールづくりを楽しんでいたのがきっかけ。25年間の趣味がブリューワリーへと発展した。

 Saginawはミシガン州の中央部に位置する。歴史を紐解くといくつかの大きな変遷があった。最初に西洋人がこの地に来たのは布教が目的で、1675年と記録されている。もともとはSaukとChippewa部族がこの地に住んでおり、毛皮の交易により入植してきた人々との摩擦があった。1820年代にUnited States ArmyがSaginaw川西部に砦を作るも、湿気、蚊、病気により撤退してしまう。その後、Saginawが繁栄を見せたのは木材ブームが起こった19世紀になる。市のサイトによると、「1850年代には2,609人だった人口が34年後の人口調査では75,813人へと飛躍した」(https://www.saginaw-mi.com/index.php)と書かれている。Saginaw川を通じて木材を運び、製材所で加工後も川を通じて出荷し、Huron湖を通り目的地に運搬する、そのような水上運搬、のちには鉄道運搬も行われた。Saginawの歴史に木材ブームは重要な輝きを見せた。その後、自動車産業の発展ではギアなどの生産、第二次世界大戦での軍需産業としての活躍、1980年代まで続いた工業都市として発展していた姿は、ダウンタウンに残る歴史ある建物から垣間見ることができる。

 2000年代以降のミシガンでのブリューワリー隆盛を受けて、家族経営でブリューワリーを開くことになった。Saginaw市とShields市の境界線近くにLoggersはある。いくつかの候補地はあったが、教会をリノベーションしてビジネスの場へと転じた例を知り、この古い教会が目を引いた。ここで木材産業のモチーフをフロアープランに盛り込んで歴史に敬意を表している。テーブルや家具はホワイトシーダー。床は元の素材を再生したカエデ材。タップタワーと呼ばれるサーバーノブが据え付けられている木材は、自宅のクルミの木を利用したものだそうだ。今も建物に残っている小窓は往年の教会の雰囲気の名残を残す。ブリューワリーのあるRiver Rdを走っていると、うっかり見過ごしそうなこじんまりとした建物だが、ところどころに教会を思わせる。マグを並べてある棚は教会のピュー(長椅子)だった。また、現在はバーの裏に当たる半地下にはボクシングリングあったという。なるほどこの近隣のやんちゃな子供たちが利用できるように、ということらしい。このブリューワリーは広大な農園地帯の近隣にあり、コミュニティーの集会場だったということがうかがえる。

Courtecy: Loggers BC、持ち帰り缶のデザイン

 地元の産業の名残をふんだんにフロアーに盛り込んだLoggersのビールは、洗練されていた。特に一番人気のElectric Squirrel IPA (ABV. 7.1%) はCitra、 Centennialホップの風味とフルーティーさが抜群だった。Ale、 Stout、 Lager、 Pilsnerとビール一筋のラインアップだ。キッチンはなく、食べ物を持ち込んでもよい。家族経営ゆえに大きな販路へのマーケティンはせず、缶入り(前述のIPAは16oz. $6)やGrowlerを持ち帰りで購入できる。Saginaw近辺の街(Bay City、Lapper、 Fenton)のレストランやバーでLoggersのビールを見つけることができる。

 ここでしか感じられない、ロッジ風のタップルームの雰囲気があるユニークなブリューワリー。機会があったら、ドライブの途中にぜひ足を運んでみてほしい。

Loggers Brewing Co.
1215 S. River Road, Shields, MI
https://loggersbrewingcompany.com

文&写真 by ヤマトノオロチ

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