去る2021年4月28日、故アイリーン・ヒラノ・イノウエさん(以下、アイリーンさん)を偲ぶ追悼式が米日カウンシル(USJC)によってオンラインで開催された。

 一年前に亡くなった時に米日カウンシルの会長を務めていたアイリーンさんは、日系アメリカ人の歴史を共有する目的で作られたロサンゼルスの全米日系人博物館(JANM)で20年にわたり館長兼創設CEOを務めた後、日米関係を強化すべく国際的なリーダーを育成し
つなげる組織として米日カウンシルを、夫で日系人初の米連邦議員であった故ダニエル・イノウエ氏や日系アメリカ人リーダーたちと中心となって設立した。また、多くの著名な慈善団体、文化団体、学術団体にも役員として関わった。東日本大震災時には来日中だったアイリーンさんは即座に寄付活動を推進し、また、米軍と自衛隊の「トモダチ作戦」を通じてこの時に行われた緊急人道救援活動を「TOMODACHIイニシアチブ」として日米の若いリーダーの育成を目指す官民パートナーシップ構築へと発展させた。

 数えきれない活動を通して、アイリーンさんは交流を持った多くの人へも大きな影響を与えた。 

 交流があった高円宮妃久子さまの追悼のお言葉から始まった追悼式では、仕事を共にした友人やご家族から、アイリーンさんのリーダーシップと人を惹きつける類まれな人がらについて、思い出とともに語られた。

 ノーマン・ミネタ元米商務長官は、アイリーンさんの「ダイナミックなリーダーシップスキルと魅力的な人柄によって、日系人博物館の館長として日経一世や二世の経験を全米に伝えることに成功し」、さらにその後「米日カウンシル設立により、一世や、他の日系アメリカ人の苦境や歴史を日本の人々に伝えることができた」と功績を讃えた。

 現在ジャパン・ハウス ロサンジェルスの館長である海部優子さんは、在ロサンゼルス領事として勤務していた当時、日系人と日本の関係をより緊密にするという任務の下、アイリーンさんと在米日系人リーダー訪日プログラムを設立した。「アイリーンは多くの資質を持つ特別な存在だった」と話す。勤勉さ、そして「決して自慢をしない」アイリーンさんの人柄も語ってくれた。「日米関係への貢献を称えた日本政府からの勲章のみでなく、彼女の偉大な功績を称える賞は他にもありますが、彼女が人知れず貢献したことも多いと思います」

 海部さんはまた、アイリーンさんの「人を惹きつける魅力」について、「どんな人もすぐに彼女と打ち解け、すぐに彼女のことが大好きになりました。あれほどの功績を残しながらも、彼女は地に足がついており、優しい笑顔で人々を安心させました」と語った。

 メントーとして導いてくれたアイリーンさんを偲んだのは海部さんだけではなく、アイリーンのもとでUSJCスタッフとして自信をつけた高木香奈さんもまた、「ビジョンを現実にする姿を直接目にしたのは人生最大の財産。アイリーンは私たちの中に多くの種を植え付けてくれた」と語った。アイリーンさんが亡くなって1年、「今わかること、それは彼女のレガシーを伝え続けること。アイリーンが私たちに植えてくれた種を次世代につなげることが私たちの仕事です」と、高木さんはアイリーンさんへの感謝の言葉と共に締めくくった。

 家族を最優先に、家族の時間を大切にしてきたアイリーンさん。11歳の孫、マギー・イノウエさんがアイリーンおばあちゃんに歌を捧げ、和楽器アンサンブルによる音楽、JANMによるトリビュートをもって追悼式は終了した。

 チャーリー・チャップリンの『スマイル』を感情豊かに歌うマギーさんの眼差しの先には、生前には常に向けられていたアイリーンおばあちゃんの笑顔と励ましがあったかのようだった。

Photo courtesy of US-Japan Council

故アイリーン・ヒラノ・イノウエ氏

2020年5月には、日米間の友好関係と相互理解を促進し、日系アメリカ人の歴史を両国の人々に伝えた功績を踏まえ、日本政府から旭日中綬章が授与された。

 

 

 

文・Mayumi Bilderback

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