
さて、今回は具体的な花の名前の付いた言い回しです。
まず思い浮かぶのが、「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」と言う美しい表現ですが、残念ながらこれは “beautiful form of a woman” という説明しか辞書には出てきません。敢えて、 “She looks like a rose when standing, a peony when seated, and a lily when walking.” と言っても十分通じそうですが。「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた」は、「どちらも同様に優れていて(あるいは美しくて)選ぶのが難しい」と言う意味ですが、“They are both so excellent (or beautiful) that I can’t choose one or the other.” で良いでしょう。
「一蓮托生」と言う言葉は、「善い行いをしたものは死後も極楽浄土で同じ蓮の上に生まれ変わることができる」と言うのが元来の意味だそうです。転じて、「善悪に関係なく行動や運命を共にする仲間」と言う意味になりました。そこで、英語では “to be in the same boat” と言う慣用句がこれに近いものです。
もう一つ、「栴檀(せんだん)は双葉より芳(かんば)し」ですが、直訳すると、“The Japanese sandalwood tree is fragrant from when it is a sprout.” となりますが、その意味を訳すと “Genius shows from childhood” (天賦の才は子供の時から現れる)で、“like Mozart” とでも付けると完璧にわかってもらえます。
上記についてご質問のある方、また、その他の表現について知りたい方は、izumi.suzuki@suzukimyers.com まで。―――――――――――――――――――――――――――――――――
鈴木いづみ:会議通訳者、公認法廷通訳者、アメリカ翻訳者協会日<>英翻訳認定資格を有す。通訳・翻訳・日英語学クラス等のサービスを提供する鈴木マイヤーズ&アソシエーツ(株)社長。www.suzukimyers.com