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コロナ禍の規制からほぼ丸一年たった3月17日はセント・パトリックデーだった。50%の収容人数でのレストラン・バーでの室内飲食が可能になってから1週間。「この(パンデミックによる影響は)長引くに違いない」と語ったCadillac Straits Brewing Companyは静かなセントパトリックデーを迎えていた。そこで思いもせず伝説のビールに出会った。

「伝説のホップ」と呼ばれるソラチ・エースは1984年北海道空知郡にあるサッポロビールのホップ農場で生まれた。しかし、当時の日本では人気を博することなく、海を渡り2006年にアメリカでブームを起こした「伝説のホップ」だ。今ではその良さが広く知られ、日本国内でも期間限定販売の際には売れきれるほどの人気だ。

  「コロナ禍でもビールを作り続けてきた。併設の醸造キットなどのサプライストアーが好調だった」とCSBCのオーナー兼ブリューワーのGordie。いろいろな”実験”をしつつ新しいビールを提供している。その中で「サッポロのようなビールを作りたい」と思って、ソラチ・エースにも挑戦した。Samurai Hack (ABV 5.4%)はスッキリとしたドライな風味に仕上がっていた。おそらく口にした人にしかわからない、なんとも言えない一種クリーミーな味で甘みとも苦味ともとれるフルーティーなビールだ。店内はセントパトリックデーを祝いながら夕食をとる家族連れが多かったが、このSamurai Hack を口にすると日本にいるかのような気分になった。残念ながら訪れた3日後には醸造した1Keg(約124杯分)は売れ切れていた。

 CSBCのあるMadison Heightsは東南アジアの食料品店が多い。週末になると買い出しに訪れる人も多い、大きな中国系の食料品店もある。そこから2マイルも離れていないところにブリュワリーはある。「サプライストアーもやっているから、販路はあまり広げてはいない」という。「でも、うちのビールは全部growlerに入れて持ち帰りもできる。もちろんSamurai Hack も」と、家で楽しみたい人には嬉しい。

 さて売れ切れはしたが、なかなか手に入らない、と言いつつもソラチ・エースのホップをまた確保したそうだ。「来月(4月)には7バレル作るから、1ヶ月ぐらいは楽しめるよ。SNSをチェクしてみて」。思いがけないところで、伝説のビールに出会うことができた。コロナ禍以前にはこのようにブリューワーとの会話を楽しみながらミシガンのビールを飲んでいた。それが一転して、限られた行動範囲、限られた人との接触、など思いも寄らない閉ざされた生活となった。けれども少しずつではあるが、かつてあった“日常”の 復活を垣間見た。

Mohitotsu kudasai! ーー

ビールのメニューの紹介にはそう書かれていたのもうれしい。

ソラチエースを使ったラガー、Samurai Hack               
New EnglandスタイルのHazy IPA

文・写真:ヤマトノオロチ

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