2021年3月20日(日)デトロイトりんご会補習授業校で午前中は幼稚園部の卒園式と、午後は第48回卒業証書授与式が今年はオンライン・対面の両形式にて、ノバイメドウズ小学校の体育館にて挙行された。

 昨年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により急遽中止となった同式だが、家から安全に式に参加する生徒と、当日マスクをして距離を保ちながら参加する生徒とその保護者(一名のみ入館可)と、学校運営側も細心の注意を払い準備をすすめ、午前は幼稚園、午後は小中高学年の卒園・卒業式がかたちとなった。

 今年度行われたすべての授業がオンラインとなった生徒たちは、最初で最後のクラスメイトとの対面となった。現時点では、次年度は5月より対面とオンラインのハイブリッド形式の授業が始まる予定となっているが、皆が顔を合わせて賑やかな学校生活が戻る日が来ることを願うばかり。

 当日は卒業生一人ひとりの名前が読み上げられると、対面・オンラインにかかわらず皆大きな声で返事をし、対面参加をした生徒たちは卒業証書を恭しく受け取る姿に教師、保護者たちは成長を感じたことだろう。

 この日、早期日本帰国された井口豪校長は、日本からオンラインで臨席。小中高校生の卒業式では、「コロナ禍で各自が成長できたプラスの面を振り返ることも重要」と話し、未来へ羽ばたく71名に「あなたにはいつまでも忘れられない景色は残っていますか?」と問いかけた。浮かんだ景色にはその画だけでなく、空気感も思い浮かぶのではないか。ある学校ではバーチャルリアリティで京都の寺を回ったと聞いたが、境内に満ちる線香の香りは感じられない。コロナが収束した暁には、五感を使った本物に触れる機会も忘れないでほしい、と話した。

 続いて、来賓として在デトロイト日本国総領事館中川勉総領事がスクリーン越しに祝辞を述べた。コロナ禍で培った予期せぬ事態への対応力をもった卒業生へ、「どんな困難な状況下もでも、支えてくれる方に感謝し、失敗を恐れずチャレンジを。日々学ぶ姿勢を大切に」と温かなメッセージを送った。

 その後、デトロイトりんご会水野浩介理事長は、挨拶で「着眼大局 着手小局。夢は大きく持ち、その実現に向けできることから始めよう。一歩を踏み出そう。そして、『ありがとう』の気持ちを忘れないこと」と語りかけた。補習授業運営委員長、デトロイトりんご会父母会執行部長も臨席し、また参加が叶わなかった教師からもお祝いのことばが読み上げられた。高校生との運動会やキャンプで語りあった思い出を紹介し「清く、正しく、しかも豪快に、それぞれの夢のひとつひとつを両手でつかみとって」とエールを送った。

 最後は、卒業生代表として、幼稚園部から高等部3年までの13年間同校に通い続けた三浦大和さんのスピーチだが、残念なことに、当日現地校のクラスからコロナ感染者が出たことにより出席が叶わなかったが、ビデオメッセージで会場に素晴らしいスピーチを披露した。「現地校との両立に、何度断念しようと思ったか」「どうして二つの学校に通う必要があるのか」と考えたことも。しかし、出した答えは「僕が僕であるために」。アメリカ人であり、日本人でもあるというアイデンティティの形成に、どちらも必要な場であった。この一年、人と人とのつながりの大切さ、また、運動会、キャンプ、ミニ文化祭など「当たり前」は当たり前でなく全てが貴重な時間だったことに気づいたと話す。補習校はかけがえのない場所のひとつだったと述べ、これまで指導を受けた先生や関係者、両親に感謝の言葉を述べた。

 卒業生は友達と過ごした楽しい思い出を胸に、それぞれ次のステージへの階段をのぼる。

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