
去る令和2年(2020年)9月21日、デトロイト市と豊田市は姉妹都市60周年を迎えた。
自動車産業を中心に発展してきた両市は昭和35年(1960年)に姉妹都市提携を結んで以来、学生の相互派遣を中心に文化交流なども交えて友好関係を育んできた。豊田市国際まちづくり推進課が管理運営しているFacebook「豊田市国際交流推進ページ」では、各年代における交流の様子がうかがえる写真も多数紹介されており、これまでの交流を振り返っている。特に両市の学生たちがお互いの文化や人と触れ、国際感覚を育みながら交流している様子を垣間見ることができる。
写真の中でも特に目を引くのが、半世紀以上に渡り継続してきた交換学生事業だ。海外渡航が自由化されてまだ間もない昭和41年(1966年)に第1回派遣団としてデトロイトから学生が豊田市を訪問して以来、概ね隔年で合計310人の学生の受入と派遣が両市の間で続けられている。
写真で振り返ると時代の流れを感じる。緊張気味に白黒写真に写るデトロイトからの第1回派遣団と豊田市からの第1回訪米派遣団の学生たち。デトロイトからの第1回訪日派遣団の学生たちは、豊田市で剣道や琴に触れホストファミリーと過ごし、当時のトヨタ自動車の工場見学を経験した。現在では珍しくない海外旅行だが、当時、遠い日本という国を交換学生事業で訪れ、その国の人、文化や習慣に触れ、一体どれほどの刺激を受けたのだろうか。それから半世紀が過ぎ、令和元年(2019年)のデトロイトからの第25回派遣学生たちは、トヨタ工業学園の生徒たちのサポートでものづくり技術を学び、豊田市ならではの交流を楽しんだ。
また、文化交流も行われてきた。100年以上の歴史を持つデトロイト・シンフォニー・オーケストラは平成10年(1998年)の豊田市コンサートホール開館記念の際に初来日・初公演を果たし、市内の中学校へも訪問した。平成29年(2017年)のデトロイト美術館の「ジャパン・ギャラリー」開設記念イベントにおいては、豊田市棒の手保存会が渡米し、伝統芸能である棒の手演武を披露した。
「クルマのまち」という縁から始まった姉妹都市としての交流や協力は、これからも一層絆を深くして発展し、何より若い世代の国際感覚や向上心を育んでいってくれることだろう。
文・Mayumi
写真提供・豊田市国際まちづくり推進 (JNC 2021年1月号掲載)