州知事によるレストラン・バーでの室内飲食の規制が緩和された。早速その様子をうかがってみた。

 2月中旬に入った途端、北極の寒気団が入り込み、連日一桁台の寒さとなった。大雪にも見舞われ、ミシガンの冬はやはり来た、という感じだった。その中で、店内での飲食規制が、全客席数の25%まで可能となった。

 室内での飲食が規制されていた時に、多くのブリューワリーが提供したのはデリバリーと野外のテント。「グリーンハウス、と呼ぶのが本当だが、中に入って飲食をするからイグルーと呼ぶようになった」、とあるブリューワリーのマネージャーは言った。テント自体は今までもあったが、こんなに多くの店が使い始めたのもこのコロナ禍の産物。イグルーで早速食事でもと行ってみたが、あいにくイグルーは5:45pmが最終オーダーだった。頼んでイグルーの中に入らせてもらった。入口のジップを開閉して中に入るときは、長身の人はやや頭がつっかえないようにしなければいけないが、入って着席すると天井は気にならない。中は長机1台が入って少し余裕のある大きさ。小さめのポータブルのヒーター一つ。どうして夜はやっていないのかと尋ねたところ、「陽が沈んだら、もう寒くて大変だから」と。その寒さを体験してみたかったが、残念。帰りがけの利用者に聞いてみると「なかなか良かったよ」と家族連れの父親は話してくれた。パティオに設置されたイグルーは夜はライトアップされて幻想的な風景だ。

 さて、久しぶりに室内での飲食を楽しむ人たちの様子はどうだろうか、とフロアーへ。ミシガン州でもブリューワリーのランキングの最高位、と自負するBrown Iron Brewery (Washington TWP)。かつてフロアーを埋め尽くしていたテーブルはソーシャルディスタンスを取っていた。25%というのはこのような一種のspacious、空間の広がりを感じさせるものなのか、と思えた。しかし、3か月のブランクはサーバーたちを生き生きとさせていたように思えた。両手に大きなトレーいっぱいのAmerican Favorite、ハンバーガーやフライのディッシュを持ち、巧みにテーブルまで運ぶ。笑顔を見せて差し出す。この何気ない動きが、自分の家で団欒をとるのとは違うその場にいる楽しみの一つなのだ。

 ソーシャルディスタンスがとられたフロアーはやや寂しかった。サーバーに聞いてみた。「2月はコロナでなくてもこんな感じよ。2月って、みんなクリスマスでお金を使っているし、寒くて出たがらないし」と言いつつ、「以前やっていた毎週火曜日のゲストビールのプロモーションはまた始めたわ」と、Brown Ironは規制緩和に元の通りのビジネスを狙う。一方、先月紹介したLivernois Project (Ferndale)のように「また知事の命令がどうなるかわからないので、従業員の雇用を確保しながら、3月下旬の屋内飲食の再開を目指す」という動きもある。

 Brown Ironの週ごとのプロモーションビール、Speciation (これもミシガンの比較的新しいブリューワリーでスーパーなどでは入手できない)のサワービールを楽しんでみた。酸味の中にバニラとシナモンの風味がじっくりと舌に残った。チョイスの幅があるのは楽しみなことだと実感した。

ゲスト・タップ Speciation BC のサワービール
イグルー席(屋外)はジップを開いて入る

文・写真:ヤマトノオロチ

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