3月弥生となりました。先月下旬数日にわたって全米各地を襲ったスノー・ストームは各地で甚大な被害をもたらしましたが、テキサス州の受けた被害は史上最悪、信じられない程の惨状で、今も復旧作業が続いています。TVニュースでは主に凍結と動力源であるナチュラルガスの供給ストップによる発電施設の稼働停止、大口径給水パイプ・水道管破裂、漏水による一般家庭の停電、飲料水不足が連日報道されていましたが、ご存じのように同州はメキシコ湾沿岸州と並ぶ石油産業、石油化学産業の一大集積地であり、膨大な輸出入相手国であるメキシコとも国境を接して電子産業、自動車産業など米国の重要な基幹産業も多く抱えており、その関連の原材料、資材、部品の生産・輸送にを来たし州内のみならず全米のビジネス、経済活動にも多大な影響を与え始めています。

 ある保険会社の試算では、先月末の時点で既に数百億ドル規模の被害及び経済損失が出ているとの報道もあり、バイデン大統領が同州の緊急事態認証後現地訪問しましたが、完全復旧までかなりの時間が掛かりそうな状況のため、まだまだ被害の数字が大きくなりそうです。亡くなられた方、被害を受けた方々には深くお悔やみを申し上げますとともに一日でも早い復旧を願って止みません。

 スポーツの話題としては、先月上旬から中旬にかけて開催された今年最初のテニスメジャー大会オーストラリアン・オープンの女子シングルスで大坂選手が2019年の初優勝に続いて2年ぶり2度目の優勝。4回戦ではスペインのガルビン・ムグルサ選手に1セットオールの最終第3セットで2マッチポイントを握られたのが最大のピンチでしたが、それを冷静なプレーで凌ぎ逆転勝ち。準々決勝では誰もが嫌がる苦手タイプの台湾のスーウェイ・シュー選手を一蹴。事実上の決勝かと見られた準決勝のセリーナ・ウィリアムス戦や決勝のジェニファー・ブレイディー戦は重要なゲーム、重要なポイントをしっかり取り切って見事な優勝でした。今年のハードコートの仕上がりは例年より少し速いサーフェスでしたが、大会前にカリフォルニア州の自宅内でコーチ、トレーナーとチーム全員で泊まり込みキャンプを張り敏捷な動きと強めに重いトップスピンを掛けるストロークの改善が功を奏して、従来ややフラット気味でちょっとタイミングがずれるとアウトやネットしていたストロークの安定性が増し、相手コートのエンドライン際やコーナーに深く押し込む打球とアングルをつけてライン際を狙う打球が上手くコントロールできていました。相手のドロップショットに対する対応も改善されていました。精神的にも強くなり、自分のミスに苛ついて自滅し坂道を転がり落ちるようなつまらぬ負け方はしなくなりました。まだ改善余地も伸び代もあるので、従来苦手としているクレーコートのフレンチオープン、芝コートのウィンブルドン大会でも適応力が増し、以前よりドロー深くまで勝ち進めるのではないかと期待が持て楽しみです。男子シングルスでは錦織選手他全員1回戦敗退で残念でした。車椅子部門ではリジェンドと呼ばれても不思議でない男子の国枝選手が準決勝で敗れ、女子の大谷選手も準決勝で、上地選手は惜しくも決勝で敗れて残念でしたが、サーブもストロークも私より力強く正確で驚きました。皆さん、季節が真逆の南半球で真夏の中色々と制約を受けながらのプレーお疲れ様でした! まだこれからハードコート、クレーコート、芝コート、そしてまたハードコートでの戦いが続きますが、今シーズン誰も怪我・病気をせずに活躍できることを祈ります!!

 ストーブリーグの移籍話とドラフトが済んだ球春間近のプロ野球では日本も米国も全球団キャンプインし、プレシーズンゲーム(日本で言うオープン戦)が始まりました。新人や移籍組はレギュラーの定位置争い、実力者はマイペースの調整に余念がありませんが、昨年は特別仕様の短いシーズンでしたが、今シーズンはどうなりますか?
また、パドレスに移籍したダルビッシュ投手を始め、ツインズの前田投手、エンジェルスの二刀流大谷選手など日本選手の活躍は如何に? ボーイズ・イン・サマーに注目です。

 さて、今月号のテーマは「性懲りもなく・・・敗者復活戦!?」です。

 前号で「トンネルを抜けたと思っていたら・・・」と題して記事を書きましたが、トランプ前大統領の2度目の弾劾裁判で無罪結審となった1月13日以後の共和党要人とトランプ支持グループの動きを見ているとトンネルはまだ続いているのか?別のトンネルに入りかけているのか?と思ってしまいます。それとも、可愛い絵と含蓄のある一言が人気のマリー・エンゲルブライトデザインの去年のカレンダーの1枚の如くトンネルの先に明かりが見えたと思ったら実は対向軌道をこちらに向かって爆進してくる別の機関車の前照灯だったなどと言う悲惨な話だと一大事です。(汗)

 前回大統領選の負けをいまだに認めず、陰謀と不正投票で当選を盗まれたと言い続けているトランプですが、新大統領就任式当日の朝ホワイトハウス退去の際には尻尾を巻いて立ち去る負け犬の体でさすがに元気がありませんでした。そのまま「去る者は追わず」で忘れ去ればいいものを、フロリダに居を移した後もワシントンから共和党下院マイノリティーリーダーであるケビン・マッカシーや古参上院議員であるリンジー・グラハムが前後して『トランプ詣で』し、2022年の中間選挙と2024年の次期大統領選挙・一般選挙に向けて共和党の上下院Wでの過半数議席奪回策を協議したと言うよりトランプの考えと意向を伺いに行った感じで「あんたが大将」と持ち上げた結果、元気を取り戻した様子で先月末同州オーランドで開催された保守的な政治活動団体の世界最大の大会であるCPACの最終日に登壇し、ホワイトハウス退去後初めて公衆の面前で演説をしました。

 振り返れば2016年の大統領選前から当選後、就務期間中、前回選挙前・中・後もずっと選挙キャンペーンの継続かと思わせる程自分の自慢話と公約を果たせない大風呂敷、党内・党外を問わず自分の野望と欲求実現の妨げとなる政敵や自分を叱責・非難する専門家や有識者、メディアを露骨に攻撃・中傷し続けてきましたが、今回の
CPACでの演説も全く変わらずキャンペーンそのものでした。なお、保守派政治家で現在共和党の#1である上院院内総務のミッチ・マコーネルは弾劾裁判では無罪投票したもののその前後に米国議会襲撃事件が起きたのはトランプの一連の過激な扇動的スピーチが原因と非難したためCPACへの招待状さえ届かなかった由。また、襲撃事件のあった1月6日当日に米国議会にて全州投票人投票結果でバイデン当選を最終正式確認した議会承認手続きまではトランプの大の仲良しであったマイク・ペンス前副大統領は招待されたが出席を断ったとのことでした。憲法や法律、ルールをきちんと守って行動しても無理を押し通すトランプの意に沿えなければ、居場所がなくなり縁が切れてお払い箱ですね。

 前日、前々日は一族のドン・トランプJr.、共和党下院議員のマット・ゲーツ、上院議員のテッド・クルーズ、前国防長官のマイク・ポンペイオなど見慣れた(見飽きた?)顔が登壇し、露払い、太鼓持ちとして選挙応援演説の如く前回選挙に不正ありの大ウソを継続し、お決まりのトランプ礼賛、バイデン新政権と民主党の批判、こき下ろし。また、サウスダコタ州知事のクリスティ・ノームは昨年コロナ感染リスクが大きすぎると専門家から警鐘を鳴らされたにもかかわらずマスク未装着で全米から集合のモーターサイクリスト集会を許可・強行し、その結果中西部諸州を中心に感染が一気に拡大した無責任な行動を棚上げして、コロナ対策チームのファウチ博士のコメントの一片を切り取り、自分に都合の良いデータを基に間違っていると批判しました。コロナ関連のデータ隠・改、ワクチン接種もエコして自分に都合の良い年寄の金持ちを優先して批判されたフロリダ州知事のロン・ディサンティスも大事な金づるであるトランプをヨイショしていました。

 「寝た子を起こす」ではないですが、「自分が主役」をこよなく愛し目立ちたがり屋のトランプがこれで気分を良くして勢いを取り戻し、共和党の乗っ取りを確実にすれば、新たな別政党を起こす必要もなく再来年の中間選挙では自分に忠誠を誓う自分好みの共和党候補者のみ推薦し、上下院の過半数を確保した上で2024年の大統領選に性懲りもなく再出馬する『敗者復活戦』の筋書が現実味を帯びてきそうです。もっとも本人は前回選挙で負けたとは認めず、勝ったのに当選を盗まれたと言い張っているため、今回CPACでの演説では次回再出馬するとは明言しなかったものの『3回連続当選』を目指すかもしれない、などとうそぶいていました。

 一方では、大多数がトランプ擁護・支援で団結する共和党各州の州議員も手をこまねいておらず、先月末時点で実に43州で共和党議員が今後の選挙で事前投票及び不在者投票に関して何らかの投票制限・制約する法案を提出したとのこと。明らかに前回選挙で大統領職や上下院議席で民主党に敗れた州の主たる敗因となった大量の
事前投票、不在者投票を制限・制約して歴史的・実績的に投票日に天気が悪くても投票所で長い列に長時間並ばされても文句を言わず現場で投票する義理堅い保守的な共和党支持の有権者が多く共和党の候補者が有利となり当選確率が上がるようにする狙いが見え見えです。民主的政治を示現するために全ての有権者の投票を鼓舞し便宜を図るべき政治家が明らかな投票妨害工作を次回選挙が来る前に立法化してしまおうと言う企みに他なりません。本当に呆れたものです。

 トランプの敗者復活を止める手段として現時点で最有力な手段は、映画『アンタッチャブル』でも有名な禁酒法時代のシカゴマフィアの大ボスであったアル・カポネを逮捕・起訴・有罪に追い込んだ脱税の事実を掘り起こすことです。先月末のニュースでご存じの通り、トランプが自分の公私両方の弁護士集団を使って全力を上げて阻止していた彼のビジネス及び個人の税申告書前後8年分と関係書類が最高裁のルーリングにより遂にマンハッタン地区検事の手に渡り、トランプの元個人弁護士であったマイケル・コーエンが以前暴露したトランプのセックススキャンダル相手の一人であったストーミー・ダニエルへの支払い口止め料13万ドルの経理・税務処理の具体的内容が明らかになります。個人的な口止め料をビジネス経費として経理処理していれば公私混同の虚偽申告ですし、経費として売上げ・利益から差し引いて税申告していれば課税対象金額から意図的に減額したことになり金額の大小にかかわらず脱税行為になります。他にも疑惑を持たれているビジネス及び個人資産の過剰評価申告、粉飾決算、それを抵当や計算ベースにした多額の借入金など芋づる式に悪事が白日の元に晒される日がいつになるか?お金の流れを追って行けば、それに付随して取引関係、人間関係も具体的に表面化しますので、隠されていた家族や友人、知人の名前も浮上するかもしれません。小さな虚偽申告、脱税が『アリの一穴』となり、水圧・水流で少しずつ穴が大きくなり、遂にはトランプが必死に自分を守ってきた強固な堤防が決壊し、大洪水に巻き込まれると言うシナリオでしょうか?

 トランプについては敗者復活戦ではなく、敗者が復活しないように「敗者復活せん!」であって欲しいものです。(笑)

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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