明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 2020年は百年に一度のコロナ騒ぎで忘れられない一年になりましたが、読者の皆様は無事年を越し、健やかな新年をお迎えになりましたでしょうか? 昨年の嫌な思い出を早く忘れられるように、また本欄でも話題にできるように今年は良い事が少しでも多くあることを願っています。この時期スポーツの話題が皆無に近いため、今回は直ぐに本題に入ります。

 新春1月号のテーマは「今年は良い年でありますように!!」です。

 嫌な思い出を早く忘れたいと言ったものの、昨年は年末大晦日まで連日コロナとそれに関連したニュースの連続でした。昨年12月上旬から中旬にかけてコロナ感染防止の究極的対策である2種類のワクチンが米国内で相次いでFDAの緊急使用認可を得て実用化されたニュースは数少ない朗報で最高のクリスマスプレゼントでした。

 ファイザー社とモダーナ社がそれぞれ従来のワクチン開発とは大きく異なる新製法を用いて、文字通り寝る間も惜しんで開発に取り組み、従来製法では数年掛かると言われたワクチンをわずか8ヶ月程の期間で完成した奇跡的な超高速開発で、しかも両方とも数段階の試験的投与で有効性も95%前後と確認された信頼性も高いワクチンで、コロナ収束に向けたトンネルの出口の明かりが見えてきました。

 しかしながら、残念なことに折角完成した希望のワクチンも大量生産が開始され、最初の出荷風景がニュース報道されたものの、それに続いて大車輪の操業で続々生産されたワクチンの具体的な配布割当てと出荷指示がメーカーには届いておらず工場や保管倉庫、配送センターの在庫が増えるばかりで、到着を今か今かと首を長くして待っている医療現場や投与の優先順位が高い人々にはなかなか届かず、一時的に宝の持ち腐れ状態になっていたのは驚きでした。開発から実用化まではオペレーション・ワープ・スピードの名称通り光速のような速さでしたが、その後の配布・輸送はオペレーション・フラット・タイヤ(パンクしたタイヤ)かオペレーション・スネイル・スピード(カタツムリの速度)で残念でした。その待っているわずかの間にタッチの差でコロナに感染して亡くなられたり、入院した方々には本当にお気の毒で悔しい限りです。

 各州への配布・運送担当責任者の米軍関係者が記者会見で、「遅れは自分の責任である」と陳謝していましたが、元を正せばトランプ大統領直々または政権幹部の担当責任者(タスクフォースチームの名ばかりのリーダーであるペンス副大統領)から具体的で明確な実施計画の提示と実行指示が出ていなければならなかったものです。大統領選に敗れた後大統領としてやるべき仕事をさぼりホワイトハウスに籠ったり、マー・ア・ラーゴのトランプリゾートに行ってゴルフに興じたり、選挙結果を覆そうと画策する悪あがきの連続ツイートで時間潰しをしていたトランプは、ワクチン完成の報を受けて奇跡的に超短期間での完成は「自分の手柄だ。名前を『トランプワクチン』としたい。大統領選挙前に完成が発表されていれば自分が当選していた。何故そうしなかったのか分からない。」更に「年末までに2千万回のワクチン投与を完了する」とまたいつものように良い結果は自分の手柄として自慢し大見栄を切っていましたが、配布割当て・運送の不備からとてもそんな数にならないことを指摘、非難された途端に「連邦政府の責任は各州の指定場所に届けるまで。その後は州の責任」とこれまたいつものように責任転嫁していました。

 各州ともそれぞれ事情が多少違っても、コロナ騒ぎで税収大幅減、企業・個人向けの物資・金融支援、コロナ対策費用増で財政逼迫しており、連邦政府から州内のワクチン配布・輸送・投与実施費用を追加で財政支援してもらえないと迅速な対応ができない状況にあり、それも含めてしっかり現状把握して周到な計画を練り責任を持って実行すると言うトランプ政権に最も欠けている弱みを露呈しました。

 もう何度も言いましたが、トランプのコロナ対策、犠牲者やその家族・関係者に対する哀悼や共感を一切示さない無関心、無責任ぶりは驚き以外の何物でもありません。昨年末まで続いたハロウィーン、サンクスギビング、クリスマス後の全米規模での感染者、入院者、死者の急増に続き、年末年始の4連休が拍車をかけ受け入れ側の病院・医療施設のICUベッド数や熟練スタッフ数が飽和状態で職員の気力も体力も限界に来ているのは知らん顔で、国としての緊急対策や緊急支援指示を出さないどころか、4年前の大統領就任時には「オバマのようにゴルフをやっている時間はない」と大ボラを吹いていたにもかかわらず呑気にゴルフ三昧をしながら、その合間に選挙結果を逆転させようとつぶやいたり、自分に賛同・協力しない連中は対立する民主党、身内の共和党の見境なく非難・中傷しまくっています。これ程の悪党がこの世に実在すること、これが現職の米国大統領だとは今でも信じられませんし、それに同調する共和党議員や富裕層、一般大衆がいることも信じ難く情けない限りです。当初は不正選挙、無効投票だと言っていたのに今は理由の如何を問わず単純になりふり構わず選挙結果を覆そうとしており、民主主義に対する冒涜でしかありません。

 これも以前の記事で書きましたが、本当に駄々っ子がお菓子売り場かオモチャ売り場の前で「あのお菓子が欲しい!」「あのオモチャが欲しい!」と手足をバタバタして泣き叫んでいるのと大差ありません。自分の欲しい物が手に入るまで喚き立てるのです。時によっては周りの人に八つ当たりしたり、物を壊して騒ぎを大きくするずるい手も打って、自分が騒ぎ続ければ、親や周りが困って手を焼き何とかしてくれ、最後は自分の思い通りになるだろうと思っているのですね。子供の頃からそう言うふうにしてずっと我儘を通してきているので、大人になった今も同じようにすれば自分の望み通りになると自ら信じている節があります。一説では彼が子供時代から青年時代にかけて17年間通い続けた教会の教えが、「自分を信じて、自分の欲しい物、実現したい事を願い続ければ必ず手に入り、実現する」と教徒を鼓舞し、勇気付けるものであったようで、節度を持って実行すれば他人に認められ尊敬もされる成功者になり得たかもしれませんが、残念ながら使い方を誤り他人の迷惑を一切考えず、自分だけが利益を享受し、気分を良くする独善・横暴的な方向に走ってしまったため、金儲けと利権獲得を共通目的とするワル仲間が多少いても、利用価値がなくなれば使い捨てで直ぐに縁が切れて離れて行くし、自分自身はいつまでも我儘な駄々っ子のレベルで止まったまま、尊敬も共感も得られぬ存在に留まっています。

 先月末までに選挙結果に関して連邦、州、選挙区などで既に60件もの異議または訴訟申請件数となりましたが、その全てが具体的証拠欠如の理由や投票再確認作業で否認、却下されまともな方法で残された逆転策はなく、唯一残された方法は今月休み明けの初招集議会で選挙人投票結果を最終確認・確定する形式的手続き時に異議を唱えることですが、共和党選出で初当選したミズーリ州のハウリー上院議員が自己顕示の絶好の機会と考えて選挙人投票結果に異議を唱えると公言し、他にも複数賛同者がいるとほのめかしていましたが、その結果の如何に拘らず投票結果が変わりバイデン新大統領の就任が頓挫する可能性はなく、ただの時間稼ぎと自己満足に終わるようです。これらの一連の動きを常識的な論理で理解することは不可能で、駄々っ子のかんしゃく、イタチの最後っぺ、訴訟申請など法的行為に掛かる資金集めの表看板に隠れて残った75%のお金を自分の借金返済など他の目的に自由に使える資金集めの延長という裏看板の狙いと考えると悩まずに済むかもしれませんね。

 トランプが大統領の職務を放棄している間にロシアが仕掛けたと断定されている米国の核貯蔵施設や軍関係施設など複数の重要拠点に取引関係のある民間企業のITソフトやアプリを経由して過去最大のサイバー攻撃が仕掛けられていたことが判明し、何と去年の3月から始まっていたのに気がついていなかったという一大事件がありました。米国の国家安全保障関係者や米軍関係者、軍事評論家の間では「これは実際の戦争を仕掛けたと同等の行為。米国も同等の反撃をすべき」との声が上がりましたが、数日何もコメントしなかったトランプはポンペイオ国防大臣がロシアが仕掛け人と認めた発言をした直後に「ロシアではないと思う、中国かもしれない」と前回2016年選挙時のロシア疑惑と同様にロシアに対して好意的、軟弱な発言に止まり、何も具体的な対抗策を取る雰囲気さえありませんでした。前回も強く感じましたが、何事も自分が一番で通すトランプですから、間違いなくプーチン大統領に何か絶対的な弱みを握られていて、正面切って抗議も抵抗もできない立場なのでしょう。それが何であるのか興味津々ですが、トランプのことなので汚れた金にまつわる話か、トランプホテル建設の話か自分がホストで開催したミスインターナショナル大会時にロシアを訪問した際にハニートラップでも仕掛けられて如何に厚顔無恥のトランプでも2度と立ち直れない程のセックススキャンダルの火種となる爆弾を抱えているのかもしれませんね。

 理由はともあれ、米国の国家最高責任者としてまともにロシアに対して抗議も対抗策も打てないまま放置し続けている間に、ロシアは更に複雑かつレベルアップした秘密工作を次々と仕掛けており、米国の軍事施設、軍関係者、政治家、著名人、反政府運動など社会不安と分裂を煽る団体・グループ、一般大衆の扇動などフェイクサイト、フェイクニュースを巧妙に使って如何にも事実、本物のように見せ掛けて米国社会の深部まで広く確実に浸透させている気配が濃厚です。ロシアの目的は米国大統領が誰であれ、米国内の分裂と混乱が深くなり、米国の国力、国際舞台での存在価値が目減りすればする程メリットがあり、たまたまトランプが大統領だと操りやすく、仕事がしやすいだけと思われます。大統領職を離れ役に立たなくなれば使い捨てして代わりを見つけるだけですし、万一過去の関係を暴露するとか、反旗を翻せばK GB配下の部下か手先を使ってトランプが何処にいてもお得意の毒殺で簡単に口封じするでしょう。私もこの程度なら目をつけられなくても、余り目立つような記事を書くと狙われるかもしれません。(汗)

 一方、コロナ騒ぎで営業制限・制約、収入激減、倒産、失業の影響を受けた中小企業、個人商店、その従業員に対する緊急救済基金第2弾の議会審議、可決・通過、大統領承認、実施は大幅に遅れ、民主党が既に5月に下院で提案し審議。可決して上院に審議を依頼した原案を共和党上院院内総務のミッチ・マコーネルが全く審議に掛けず他の多数の議案と共に握りつぶし、まともに民主党メンバーと協議もしないまま月日だけが経過し、7月末に緊急救済基金第1弾の効力が切れても何も動かず、昨年末クリスマスデーの翌日に数百万人の失業手当給付が途絶える直前にようやく上下院で可決通過した妥協案が大統領署名のために回されましたが、トランプは失業者に直接渡る給付金が月額600ドルでは低過ぎて恥辱だ。2,000ドルにすべき」と述べただけでホワイトハウスにいる間に署名せず、クリスマス休暇のためマー・ア・ラーゴに向かってしまいました。本気で失業者の生活を心配していたならば、何ヶ月も前から共和党と民主党のキーメンバーと政権幹部のマヌーチン財務大臣が協議を繰り返している間にはっきりと希望を述べるか指示をしておけば揉めずに済んだものを議案が可決通過して署名に回されてから、思い付きで言い出すので関係者には寝耳に水の出来事で混乱に拍車を掛けました。トランプとしては、自分の支持層や中間日和見層の人気取り、今月5日に決選投票されたジョージア州の上院議員改選2席の共和党候補者への得票増を狙ったものか、大統領選挙結果の逆転を目論む自分に協力しないマコーネル院内総務や共和党幹部に対する嫌がらせか、ホワイトハウスから出て行く前にもう一度注目を集めたい大統領としての示威行為か真意は分かりませんが、駄々っ子のトランプなら後者の二つが有力かもしれません。

 他にも敗戦を認めないトランプの我儘のせいで新大統領及び新政権幹部への政権引き継ぎ作業が多くの部門、分野で遅々として進まず、特に最も重要な国家安全保障に関する国防省からのブリーフィングや情報共有、コロナ対策の決め手であるワクチンの割当て配布、輸送計画などで引継ぎ作業妨害行為まであるようで、新政権立ち上がり直後の船出と舵取りが困難を極めるのではないかと心配です。

先月号で述べた年忘れトランプ劇場の千秋楽はやはり静かな幕引きで平穏無事には終わらず、予想通り最後の最後までドタバタで荒らされ、新政権は大きな負の遺産を引き継いで苦しいスタートとなりそうです。

バイデン新大統領と実力者揃いの新政権幹部が一致団結してトランプの残した廃棄物処理から作業を始め、米国を着実に良い方向に向けて進めて欲しいと切に祈っております。今年は良い年でありますように!!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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