去る10月26日から11月1日にかけて、ミシガン州のデトロイトから北へ車で1時間半ほどの街、サギナー市の日本祭が、今年はオンライン形式で一週間にわたり行われた。例年であれば同イベントは9月に開催され、地元民や日系人、日本人文化グループで盛り上がりを見せる。なぜ、
毎年サギナー市で日本祭が行われるのか。

 サギナー市は、市内に3エーカーにも
およぶ日本庭園「徳島・サギナー友好庭園」を擁し、その庭園内に
は、日本の本格的茶室『阿波鷺能庵
(あわさぎのうあん)』が設けられ、日本文化センターとして市民の間で親しまれている。
同市と姉妹都市提携をしているのが、日本の徳島県徳島市。それは、1957年、徳島よりひとりの農業実習生がサギナー市を訪れたことから始まった。若者の名は高木宏幸さん。高木さんとサギナー市民との交流がきっかけで、1961年、両市議会での議決を経て姉妹都市となりその後親密な交流が続いている。

 庭園は、徳島の庭師、鈴木弥太郎氏が手掛け、1971年にオープン。その後
1986年に完成する茶室の建設にも両市より多くの市民が関わった。資金集めには初代所長の神原(かんばら)Margoさんはじめ、Henrietta-Sternさん、モスナー陽子さんなど多くの方々が貢献され、建築家、竹中勤氏のもと、数寄屋大工を日本より呼び寄せたり、資材は徳島、京都から輸送したりと、日本の匠がこだわり抜いた全米でも数少ない本格的日本庭園・茶室となった。現在も両市が共同で管理を続け、二年前より阿津ますみさんが同センターの所長を務め精力的に活動を行っている。
 オンライン形式の同イベントは、Japan-
Foundation-Center-for-Global-Partnership(CGP)および在デトロイト日本国総領事館支援の下開催された。茶室建設時の様子などについては、前所長モスナー陽子さんへのインタ
ビュー動画で紹介され、センター理事長のトッド・マイケル・ホール氏の紹介で茶室・庭
園のバーチャルツアーも行われている。

 同イベント開会挨拶には、在デトロイト日本国中川勉総領事もビデオで参加。「コロナ禍にもかかわらず、オンライン形式で本イベントを実現できたのも、現所長の阿津ますみさんのご尽力のおかげ」とし多方面からの寄付や多くのボランティアの協力を得て同イベントが叶ったことについて言及。「今まで以上に、日本文化を広める良い機会となることを願っている」と話した。また、サギナーのフロイド・クロック市長、徳島市の内藤佐和子市長、徳島国際協会会長森住博氏も動画挨拶にて同イベントの成功を祈った。

 今回共有された動画は、徳島紹介あり、サギナー市への交換留学生、阿波踊りの紹介など。デトロイトからのバーチャルパフォーマンスには、サギナー日本祭での五大湖太鼓センターとライオン太鼓アンサンブルによるビデオモンタージュや、茶道裏千家淡交会ミシガン協会、生花、盆栽、折り紙など地域のボランティアによる日本の伝統文化紹介もビデオで行われた。

 サギナー日本ウィークの締めには、二つのウェビナーを開催。「信楽焼に生命を吹き込む:陶芸家髙橋美子」と題されたウェビナーでは、ミシガン大学美術館の及部奈津博士が日本の滋賀県甲賀市信楽のスタジオで信楽焼陶芸家として活躍する髙橋美子さんにライブインタビューを行った。高橋さんは来る2022年ミシガン大学美術館にて個展を予定しているのでぜひ足を運んでみたい。

 また、「日本の歌の伝統:和歌、連歌、俳句」ウェビナーでは、中世の日本の歌の形式についてサギナー・バレー州立大学のモニカ・ディックス博士がオンライン講演を行った。ディックス博士は、アカデミックのみならず、留学生支援や茶道、様々なボランティアのとりまとめなど、コミュニティの活動も精力的に行っており、ファシリテーターを務めた阿津所長からも感謝の意が述べられた。

 センターのYoutubeチャンネルより、茶室、同ウェビナー、その他Japan Weekで紹介された動画は引き続き視聴可能となっている。ミシガンに根づく日本の歴史を、この期間にゆっくりと動画で学ぶのも良い機会ではないだろうか。

The Japanese Cultural Center, Tea House, and Gardens
URL:     http://japaneseculturalcenter.org/
Youtube:
https://www.youtube.com/channel/UC40aVb1qJAC-Ege_1CMbrcQ

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