いよいよ子年2020年も最後の月『師走』になりました。ミシガンでは先月末初雪も観察され、これからはいつ雪が降ってもおかしくない季節です。皆さんの中にも10月末以降コロナ騒ぎが手の付けられない程大きくなる中、家事やお仕事で止むを得ず外出、面談、現場作業などせざるを得ない方がいらっしゃるのではないかと思います。感謝祭の連休前後CDCの外出自粛警告・要請にもかかわらず、米国内で何百万人もの人が移動し、コロナウィルスの感染リスクがコントロールの利かない過去最大レベルに到達するのは避けられない状況です。特に連休明けから2〜3週間に全米各地で感染爆発、医療崩壊が同時多発して収拾がつかなくなる恐れがあります。とにかく皆さん、年末年始に向けて呉々も安全と健康第一にご留意願います。

 先月は映画界とスポーツ界で二人のレジェンドの訃報が続きました。前者はイギリスの映画俳優ショーン・コネリー氏、後者はアルゼンチンの元サッカー選手
ディエゴ・マラドーナ氏です。

 コネリー氏は言わずと知れたスパイアクション映画007ジェームズ・ボンドシリーズの初代ボンド役で映画界のスーパースターとなり、マラドーナ氏は優勝した1986年メキシコワールドカップの準々決勝対イングランド戦で伝説の『神の手ゴール』と
『5人抜きドリブルゴール』を決めたサッカー界のスーパースターでした。初めてコネリー氏主演のボンドシリーズを観たのは私が中学生の頃ですが、実際のスパイ活動とは違う作り話の世界だとは分かっていても彼の格好良さに圧倒され、学生時代に原作者イアン・フレミングの和訳本をほとんど読破しました。高校時代、大学時代と新シリーズの封切りを待ち切れず、学生には結構な金銭的負担となる上映館限定のロードショーをしかも立ち見で観に行ったものです。今のダニエル・クレイグも好きですが、歴代ボンド役の中でもナンバーワンの適役だったと思います。彼自身は俳優としてのがあり、ボンド役よりも演技力を発揮できる映画出演が本望だったようで、後年ケビン・コスナーと共演した『アンタッチャブル』他数々の映画で味わい深い演技を見せ、アカデミー賞や母国でサーの称号も獲得した実力派でした。

 マラドーナ氏はサッカーファンならずともご存じのアルゼンチンの英雄で、現役時代や引退後の突飛な言動とアルコール依存症、薬物問題などで世間を騒がせたり驚かせたりしましたが、ことサッカーに限れば長年隣国ブラジルの英雄ペレ氏と史上最高のサッカープレーヤーはどちらか?の熱い議論の対象でした。お二人のご冥福をお祈りします。(合掌)

 さて、今年最後の本欄のテーマは『年忘れトランプ劇場千秋楽』です。

 先月11月3日に実施された次期大統領選挙投票の結果、ほぼ3週間後にバイデン前副大統領が事実上当選となりましたが、負けず嫌いで諦めの悪いトランプ現大統領は投票前から繰り返していた「自分が選挙に負けるとしたら不正投票以外にはあり得ない」という具体的根拠のないデマを今も言い続け敗戦宣言を未だにせず、選挙キャンペーンチームの顧問弁護士や地方の弁護士を介して複数の接戦州を中心に法廷闘争に持ち込もうとしたり、各州の選挙管理委員会に手作業を含む投票の再確認、再集計を強要したりしていますが、所詮具体的根拠がなく法廷での審議に持ち込もうとしても担当判事から「メリットなし」と一刀両断、門前払いされるケースが相次いでいます。元々具体的な根拠がなく勝ち目のない戦さに一度は法廷に持ち込もうとした選挙キャンペーンの弁護士団の一部や各州の弁護士も早々に諦め距離を置き始めています。唯一無償で狂気に近い支援をし続けているトランプの個人弁護士であるルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長もある州のケースでは法律顧問の専門家として提訴した理由と判事への説明内容が食い違い、説明する言葉遣いや態度も礼を欠き、過去にトランプが指名した担当判事からさえ法廷侮辱罪一歩手前に近い警告を受け、そのまま発言を続ければ弁護士資格を剥奪されかねない一幕もあったようです。

 ジュリアーニ氏は2001年9月11日に発生した複数同時多発テロの際には最も甚大な被害を被ったニューヨークの当時の現役市長として同じく当時現職のブッシュ大統領や政権幹部と協力して縦横無尽の大活躍でニューヨーク市民だけでなく米国民全体を絶望感から救い、希望の火を灯した国民的英雄として衆目を集め「アメリカン・メイヤー(アメリカの市長)」と呼ばれて称賛されたものですが、その後表舞台で活躍できず燻っていた間に欲求不満、自己顕示欲が増大・増幅したのか、FOXニュースが飛びつくような過激な発言で久し振りに表舞台に現れるようになったものの、この数年、特にトランプの前回大統領選挙キャンペーン中と就任後の4年間のトランプの政敵を集中攻撃する政治的陰謀を中心にした法に触れるような彼の言動は目に余るものがあり、正に「人生の晩節を汚す」形で、今は常識ある国民から軽蔑と非難の目が注がれ、今回の大統領選投票日直前にはとうとう実の娘からも見放され、彼女はバイデン候補支持を明言してしまいました。

 TVのリアリティーショーの延長のようなトランプ劇場は主役も脇役も大根役者の三文芝居で台本、筋書きもない行き当たりばったり。セリフも刹那的、感情的なアドリブばかりで中身のない戯言の連続のため、最初は面白がって観ていた観衆もワンパターンに近い同じような言葉の繰り返しに気付き、段々飽きて来て興味が薄れ心も離れつつあります。トランプとあれ程蜜月状態だったFOXニュースもテキサス州の開票結果でバイデン当確の報道を早めにしたことで亀裂が入り、まだ不正投票が事実であったようなウソ報道は続けているものの、今まで通りには行かない雰囲気です。

 トランプ大統領自身は今回も2匹目のドジョウを狙って騙し続けて当選できると自負していた選挙開票結果に落胆したのか、大統領退位後の個人的借金返済のやり繰り算段と現職中は保留・中断されていた何千件もの連邦レベル、州レベルの訴訟問題で有罪判決、刑事罰を受ける恐れを憂慮してか、投票日以降しばらく記者会見に現れず、コロナ感染の急増、急拡大で世間は大騒ぎになっているのをよそにツイートも時期外れに開催された男子プロゴルフメジャー大会マスターズの話題や不正投票だと愚痴る程度と控えめでフロリダ州マララガのトランプホテルでゴルフに興じ、現職大統領として連日正式公務の予定が入っておらずサボタージュの状態でした。

 全く無責任で完全に職務放棄しており、政権幹部や共和党議員に対して何もコロナ対策の指示やコロナ禍による営業停止・制限で倒産の危機に瀕している中小企業、個人商店、その連動で生じた大量の失業者に対する連邦緊急救済基金第2弾の議会審議、承認可決、大統領承認・実施を陣頭指揮するわけでもなく、国家的危機管理能力、大統領の職務遂行能力がないことを改めて知らしめました。

 一方、連日のニュースでご存じのようにコロナウィルスは現在全米中で感染爆発状態です。いつ何処で誰から感染するか全く分からず、今は米国本土でどこも安全な場所はありません。最前線の医療従事者にも感染者が急増していて、あちこちで病床数、医療機器、感染防護用具の不足が現実化して全米で同時多発の医療崩壊が大いに懸念されます。米国の感染者数は最初の百万人に到達するまでに98日を要しましたが、感謝祭休日直前の百万人にはわずか6日しか要しませんでした。毎日平均17万人もの新規感染者が出ていたことになり、その後も毎週百万人超の新規感染者が連続発生していることになり、正に国家緊急事態の恐ろしい状況です。

 CDCの外出自粛警告・要請にもかかわらず、感謝祭連休前後の2週間で約1千万人もの人が陸路、空路で移動しており、更に倍数の感染者が出る心配まであります。連休中は統計データが収集・確認出来ず数字を公表していなかった州もあり、今後の10日間〜2、3週間にどれだけ酷い数字になるか悪いニュースが続くのは避けられないでしょう。

 

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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