新型コロナ感染拡大を受けて、ミシガン州知事が、11月18日付で再びロックダウンを命令されたのは、ご存じの方も多いと思います。マスクをすることで感染が予防できると考えられている職種(美容院やスポーツジム等)は営業が許可されていますが、屋内での飲食業は3週間禁止となりました。(https://www.michigan.gov/coronavirus/0,9753,7-406-98163-545138–,00.html)
本当に、そんなに増えているのかしら、検査しているから症例が多いように見えるだけなのではないか、と感じている方もいるかもしれません。グラフは3月からの新しい新型コロナ診断数(表1)と死亡数(表2)です。新たな患者数は11月に入り、うなぎ上りに増えており、少し遅れて死亡者数も増加してきています。
ここ3か月のミシガンのデータ(表3)を見ると、検査数よりも陽性例の増え方が多く、入院者数も死亡者数も急激に増えていることがわかります。デトロイト近郊では、4月に多くの入院、死者が出て、病院は医療崩壊直前に至ったところも数多くありました。多くの病院では、一般業務をほぼ停止してコロナ患者の対処にあたりました。現在は、その状態にはまだなっていませんが、死者や入院患者の増加率は3月後半と同様の速い速度ですから、また、4月同様、またはそれ以上の危機が訪れる可能性が高く、必要に応じて同様の対処ができるように準備をしています。
世界中で11月に入ってから感染がの急激に増加していますが、アメリカでは、感謝祭やクリスマスなどで家族や友人が集まる季節を迎えるため、感染の爆発的な増加が起こる可能性が危惧されます。
ミシガンでは、レストランの屋内での飲食は禁止されていますが、個人の家での集まりのリスクもきちんと理解する必要があります。屋内では、2家族以内で10人までの集まりのみが許されます。集まる人数が増えれば増えるほど、感染の危険は高まります。普段一緒に住んでいない人は、家族でも、別世帯とみなされ、家に滞在する場合、家の中でもマスクをして、食事も離れたところですることが推奨されます。たとえば、普段アパートに住んでいる大学生のお子さんは、別世帯ですから、お子さんが2人帰省すると、3世帯が集まるという計算になりますので、こういう状況を避けるか、マスクをし、別の場所で食事をするなどの、最新の注意が必要です。
うんざりする、と感じる方も多いかもしれませんが、今、気持ちを引き締めて、それぞれが、感染を予防するように責任ある行動をすることで、4月のような状況をぜひ防ぎたいものです。
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筆者プロフィール
医師 リトル(平野)早秀子 | ミシガン大学家庭医療科助教授
1988年慶応義塾医学部卒業、1996年形成外科研修終了。2008年Oakwood Annapolis Family Medicine Residency 終了後、2008年より、ミシガン大学家庭医療科でミシガン家庭健康プログラムで日本人の患者さんを診察しています。産科を含む女性の医療、小児医療、皮膚手術、創傷のケアに、特にちからを入れています。
ミシガン大学についての情報は、ウェブサイトで確認できます。
https://medicine.umich.edu/dept/japanese-family-health-program