つい先日まで全米中を熱気(狂気?)に包んだ次期大統領選やコロナ騒ぎに関係なく、例年通りメトロポリタン・デトロイト周辺では先月色づき始めた木々の葉が色濃くなる一方で早くも落葉が始まっています。拙宅コンドミニアムの前庭も毎日落葉の量が増え、そろそろ落葉拾いをしないとご近所から睨まれそうです。ここのメンテナンスの落葉処理はシーズン最後に木の葉が全て落ち切ってから一度のみのため、それまでほかっておいたら大変なことになります。ドライブウェイや玄関前の通路も雨が降って濡れ落葉になると掃除がしにくくなりますし、後にシミが残って見苦しくなりますからね。自分で落葉掻きとヤードウェイストの袋詰めするのでは、月々支払っている共同管理費が余り意味を成しません。

 スポーツ界では、異例の形で今年の短期シーズンを終えたMLBはワールドシリーズでロスアンゼルス・ドジャースがタンパベイ・レイズを4勝2敗で下し、32年ぶり7回目の栄冠を勝ち取りました。優勝決定と同時にグラウンド上で次々とTVに映し出された歓喜の輪、ハグ、ハイタッチの興奮の一方で、この試合に初めから出場したものの検査結果で新型コロナ陽性が確認されたため、試合途中でベンチに下がった中心選手の一人であるターナー選手が優勝記念のチーム写真の中に加わり、マスクを下げていたのが気になりました。一生に一度かもしれない、しかも球団としては32年ぶりの優勝で喜びが頂点に達していたのでしょうが、最高に嬉しい思い出が後々感染クラスターとなり悪夢とならないことを祈ります。

 また、NFLプロフットボールに続いて地元ミシガン大学、ミシガン州立大学が所属するカレッジフットボールBig10ディビジョンもシーズンインしました。野球以上にコンタクトスポーツなので選手、コーチ他関係者の皆さんには通常の怪我・病気だけでなく、新型コロナに感染しないように十分気をつけてもらいたいですね。プロテニス界では、男子の錦織選手が先に欧州のクレーコートイベントで復活したニュースがありましたが、先月終了したフレンチオープンではシングルスで13度目の優勝をしたナダル選手と3回戦で当たればどんな戦いになるかと楽しみにしていたのですが、その前の2回戦で姿を消してしまいました。また、直近のハードコートイベントではエントリーしていながら、肩の調子が思わしくなく試合直前にプレーを辞退してしまい残念でした。もう今のテニス界では若いと言えない年齢なので、無理をせず完全に回復してからコートに戻って来てほしいものです。万が一でもフェデラー選手より早く引退なんてことにならないように願っています。

 さて、本題です。今月のテーマは『11月3日運命の日:米国次期大統領選挙投票日』です。

 先月末の本稿執筆時点では、両候補者共選挙キャンペーンの総仕上げの最中で、主に接戦・激戦予想州をターゲットにして正・副大統領候補だけでなく家族や幹部総動員で各地にキャンペーンが展開されました。連日の報道ではバイデン陣営は大きな
キャンペーン集会を開催せず、少人数の支援者で全員マスク装着を義務付け、しかも間隔を大きく開けるか車の中に留まって参加の形でしたが、トランプ陣営は相変わらず科学データに基づいたCDCのガイドラインや医療関係者の警鐘を無視した集会を連日開催し、最低限の間隔を確保できない密状態で、しかもほとんどの参加者がマスクなしの始末で、先月からほぼ全米で急増している新型コロナの新規感染者数、死亡者数にお構いなく、ホリデーシーズンに向かう今月は更に悪化して全米中同時に大混乱に陥る恐れが日に日に高まりつつあります。本紙がお手元に届く頃には選挙結果が出ているか、一部延長が認められた郵便投票の開票結果を残して大勢が決しているものと思いますが、トランプ再選の結果にならないことをひたすら祈りながら原稿を書いております。

 本格的な選挙キャンペーンが始まる以前から毎日のように報道されるウソ満載、詐欺同然のトランプ関係のニュースには驚き、呆れ、怒りが込み上げて辟易としていましたが、この2ヶ月程は更にそれが酷くなり毎日落ち着かず、心静かに過ごせた日が皆無と言っても良いくらいでした。有権者でない我々がそうでしたから、有権者の米人は尚更だったのではないかと思います。「早く選挙が終わってほしい」というのが皆の本音で、コロナ騒ぎが輪を掛けて不在者投票や郵便投票、投票所や投票箱に出向いての事前投票が前回2016年の大統領選の時よりも大幅に増加したことは記憶に新しいです。

 9月末に行われた第1回目のトランプ、バイデン両候補者の公開TV討論会では、私の事前予想通りトランプ候補者は具体的な政策論議や過去4年間の施政と現在進行中のコロナ対策の失敗や不具合の弁明を避け、バイデン候補者と家族の人格攻撃に集中し、司会者の制止や警告も無視して相手の発言中に何度もチャチャを入れ、視聴者の注意を逸らして自分に対する攻撃やバイデン候補者が国民に向けた具体的政策説明の時間を奪って、まともに最後まで発言させずに終始しました。事前に設定され、割り振られた両候補者の持ち時間も一切無視した無礼極まりない振舞いで、バイデン候補者も我慢ならず「だまれ!」と発言した場面もありました。結局時間のほとんどはトランプの一方的発言とチャチャ入れに終始し、視聴者に馴染みの深いいわゆる『討論会』にはならず、トランプのスタンドアップ・コメディーかリアリティーショーのようでもありました。
次の2回目の討論会はまたまたトランプの我儘で中止となり、両候補者が同じ時間帯に別々のTVネットワークを使って公開タウンホール・ミーティングを開催する異例の事態となりました。

 大統領候補者討論会の合間を縫って先月半ばに行われた途中一度だけ開催された副大統領候補者同士のTV討論会では、カマラ・ハリス女史とマイク・ペンス現副大統領の攻防となりましたが、お互いに相手の弱点を攻める時には鋭く、自分の弱点を攻められた時はのらりくらりと矛先をかわして、結果はほぼ引き分けか、ハリス候補者にいくらか分があったかな?という感じでした。

 大統領候補者討論会の最終3回目(実質2回目)は1回目の展開に懲りて事前に両陣営(実質的にはトランプ陣営向け)に厳格なルールを通知し、もしも一方の候補者が相手の予定時間内の発言中に口を挟んだらそのマイクをミュートにする方法で大きなトラブルなく進行し、ようやく討論会らしくなって互いに譲らぬ舌戦でしたが、私見では、正論でも身振りが大人しく今一つ迫力に欠け、大向こう受けしにくいバイデン候補者に比べ、口から先に生まれたようなトランプがジェスチャーたっぷりにある事ない事を口先だけの手前味噌を並べてポイントを稼ぎ、それまでの事前予想で伝えられていた劣勢を少し挽回したかもしれないと思いました。

 本当にバイデン候補者は勝てるのか?トランプを引きずり下ろせるのか?と疑念が湧きましたが、その後投票日直前までの新型コロナ犠牲者の実績データが余りに悲惨なもので、トランプがキャンペーン集会を開いたお膝元でも同様でしたから、家族や身内、友人、知人の中に犠牲者が出た人達が快く思った訳がありません。前回トランプに賭けてみた人、今までトランプに心酔していた人、トランプは嫌いでも捨て切れず付いてきた人、等々がさすがに「これでは如何。このままでは自分達もいつ感染して犠牲者になるかもしれない。」と目が覚め、考えを改めた人がどれだけいるかが鍵です。既に投票日当日前に事前投票済みの人はどちらの候補者に投票するか確固たる思いがあって投票したと考えられるので、それまでの流れからするとその過半数かもう少し多くはバイデン候補者支持票だと推測したのですが、投票日まで1週間を切ってもまだ決めかねてギリギリまで様子を見ていた、いわゆる“On the fence”(塀の上に登っていて右か左かどちらに飛び降りようかと考え迷っている状態)の人達のうち、どれだけの票がバイデン候補者に入るかです。それが最後の最後でトランプに流れたりすると、今回もまた大逆転でトランプ再選の悲劇となってしまいます。トランプとその取り巻き連中や
トランプ教の信者、共和党保守派議員などが露骨なバイデン落とし、民主党支持者に
対する選挙妨害、投票妨害などありとあらゆる嫌がらせ工作を仕掛けていますが、バイデン陣営とその支持層は毅然とした態度で必ず締切り期限までに投票し、圧倒的票差で当選という結果を勝ち取って欲しいものです。この原稿を書きながら「神様、仏様、どうぞバイデン候補者が必ず当選しますように、今回のお願いだけは聞いてくださいませ。(次のお願いはしばらく控えますので・・・)」と心の中で思いながら筆を進めています。

 トランプ政権と共和党上院議員のメンバーは、一般国民が今最も懸念し、朗報を待ちわびている有効なコロナ対策と景気刺激救済金の支給をほったらかしにして、国民からすれば全く急ぐ必要のない故最高裁判事ルース・ベーダー・ギンスバーグ女史の後釜指名・承認に血眼となり、多くの反対や非難の声を無視して先月末前に実行・確定してしまいました。その結果、現トランプ政権中に指名・承認した最高裁判事は合計3名となり、全最高裁判事の構成比率は保守派6名、リベラル派3名という極端に偏った構成となり、今回の大統領選挙の投票結果でトランプが落選した場合にイチャモンをつけて最高裁にまで持ち込む可能性だけでなく、最終判断が持ち越しになっていて近々最高裁で審判・判断を仰ぐ予定となっている国民皆保険であるオバマケアや妊娠中絶の違法性判断、人種差別・性差別や移民・難民に関する訴訟問題に関して時代の流れに逆行する保守的な結論が出される可能性が高まってしまいました。

 果たして、11月3日運命の日の投票結果は如何だったでしょうか?

 前号でも触れましたが、これがトランプにとって神風にならないように神様、仏様。何卒よろしくお願いします。あっ、またお願いしてしまった! お赦しください。

<Japan News Club 2020年11月号掲載>

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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