収穫の秋。りんごの生産が全米3位のミシガン。120年の歴史を持つFranklin-Cider Millは9月5日が今季のオープニングデーだった。閑静な森の中に包まれた14-Mile-Rdと Franklin Rdの交差点にある。Novi方面からI-696とTelegraph(US24)を走れば20分ほどで着く。

 ミル自体が建てられたのは1832年。それから数回オーナーが変わり、1966年からはPelz一家がサイダーを作り続けている。オーナー一家の子孫で昨年からマネージメントを執るLauraは「こんなにやりがいのある仕事だとは思わなかった。亡くなった父も死んだその日もミルで働いていた。サイダーミルはファミリートラディションよ」と語った。かつて医療関係の講座を教えていたが、それ以上に「楽しい」と言う。

 往年の名残を残すミルの建物は圧巻。前を流れる小川は子供たちに人気がありそうだ。そして流れを見ながらベンチに座り、冷えたアップルサイダーとホカホカのドーナツを頬張る。「アップルサイダーもおいしいけれど、うちのジャーマンスタイルのドーナツも人気。ぜひサイダーと一緒に食べてみて」と勧められた。プレーンを食べてみた。素朴な味だが、Honey-Crisp-アップルサイダーの
すがすがしい味と一緒にとてもおいしかった。

 家族経営のサイダーミル。1830年代のりんごのプレス(搾る)道具やサイダーを入れる瓶もショーケースの中に保存されている。かつて使われていた大型のミルも保存されている。見上げるほどの大きさはこれも圧巻。

 行ってみるとわかるが、Franklin-Cider Millには果樹園はない。もともとは小麦などを挽くためのミルだった。それが父の代にミルを購入してからはアップルサイダー作りへと変わった。「ミシガン中のりんごを使い、ここでサイダーを作る。うちのサイダーは新鮮で熱処理をしていない。いろいろな種類のりんごを使うけれども、同じレシピで作り続けている」。伝統そのものだ。ミルでは、袋詰めのりんご、はちみつやジャム、キッチンガゼットも販売している。目を引いたのは、大理石でできたミシガン州の形のカッティングボード(www.foreverflowersbythoddius.com)。

 今季からGrub-Hubなどのデリバリーやオンラインでの注文、ピックアップも始めた。それでもミルで実際に空の下楽しむこともいい。Franklin Cider Millはオープンエアーの野外ミルなので、購入にも飲食にも店内に入ることは全くない。新鮮な空気と緑豊かな森、車の音もない閑静なサイダーミル。「家族で一緒に、がうちの伝統。そして世界中のあらゆるところからお客さんが来てくれるのを楽しみにしている」。訪れた日は家族連れがとても多かった。今年も営業はサンクスギビングデー後の日曜日まで。空が高く見える秋、サイダーミルで楽しもう。

ドーナツとカップのサイダー$1.25。ガロン$11。 ( 写真:Franklin Cider Mill提供 2020.10月時点)
ファミリーにも優しい企画。
写真:Franklin Cider Mill提供

Franklin Cider Mill
7450 Franklin Rd,
Bloomfield Hills, MI 48301
Tel: 248-626-8261
https://www.franklincidermill.com

文・写真:ヤマトノオロチ

返事を書く

コメントを記入してください
お名前を記入してください