10月に入り、ミシガンでは朝晩の気温もグッと下がり、あちらこちらで日に日に紅葉・黄葉が目立ってきました。日本では首相交代、新内閣発足後近々予想される国会解散、総選挙を睨んで一つの転換期に差し掛かっていますが、新首相、新政権はコロナ対策、経済復興の2つの重石をどう取り除いていくのか見ものです。

 すでに1年延期された東京オリンピックは年を越してもコロナ騒ぎが続くと2度目の延期はなく最終中止となり、経済の落ち込みが更に悪化するのは必至。海外からの訪問客も重要な影響因子であるため、日本だけでなく海外諸国のコロナ事情も相互にまた複雑に影響するので、直近の欧州や米国内の状況を見聞きすると運良く来年開催できても海外からどれだけの人が訪日するか極めて悲観的です。日本にとっては半世紀に一度の大きなイベントなので、「運が悪かった」と簡単に諦め切れないですが、日本と海外諸国にとってベストの結論になって欲しいものです。このところ芸能人の自殺報道が相次いで気持ちが沈みがちな日本に少しでも明るい出来事が訪れるのを願って止みません。コロナ騒ぎの影響で鬱状態の人が増えているのは米国も同じ。日頃からご家族や身近な人の言動にもお互いに気配りして、声がけ、短い電話、メール連絡でいいので負の連鎖防止に努めましょう。

 地元ミシガンでも今月早々から映画館、ボウリング場などが営業再開されますが、コロナの新規感染拡大にならぬように室内では特にマスク装着、最低距離の確保、手洗いの励行に引き続き留意要ですね。

 スポーツの話題を少々。NFLプロフットボールと一部大学フットボールがシーズンインする傍ら、NBAバスケットボールファイナルの組合せはレブロン・ジェームス率いるロスアンゼルス・レーカーズとマイアミ・ヒートに決定。NHLアイスホッケーのスタンレーカップファイナルはタンパベイ・ライトニングが優勝。MLBは60試合の短期レギュラーシーズンが終わり直ぐにプレーオフ突入。日本人選手所属の数チームが残っており、細々ながらフォローしています。特筆すべきは最多勝確定、ナ・リーグのサイヤング賞有力候補でもあるシカゴ・カブスのダルビッシュ投手とドジャースからア・リーグ移籍後先発で見事な活躍を見せたミネソタ・ツインズの前田投手。プレーオフや大試合に強いヤンキースの田中投手も含めてどこのチームがワールドシリーズまで進めるか注目です。今期お目当ての一つだった二刀流大谷選手所属のロスアンゼルス・エンジェルスは今年も弱体投手陣が足を引っ張りプレーオフ進出ならず、大谷選手も右腕の故障でわずか2試合の登板で二刀流を断念。打者に専念した後も精彩を欠き44試合出場、本塁打7本、打率1割9分でシーズン終了。本人もファンも残念な結果となりましたが、来シーズンこそ完全復活してフルシーズン怪我なくプレーし、トラウト選手と共にプレーオフ進出を実現する活躍を願います。

 プロテニスでは先月上旬に終了したUSオープン女子シングルスで大坂なおみ選手が
2018年に続き2度目の優勝。オーストラリアオープンを含めたグランドスラム優勝3度はアジア人としては2014年に引退した中国のリ•ナ選手の2度を抜いて最多記録です。

 前書きが長くなりますが、大切なことなので追記します。大会中大坂選手はプレーだけでなく人種差別抗議と視聴者の問題意識促進のためこの数年間に米国内で起こった警察官による黒人の死亡事件の犠牲者7名の個人名入りマスクを決勝戦まで進んだ場合の試合数と同じ7枚用意し、毎試合1枚ずつ取り替え装着してコートに入場。見事優勝して7枚すべて使い切りました。米国での人種問題の根の深さ、複雑さに疎い日本のファンの中には「スポーツに政治問題を持ち込むな」などとステレオタイプで紋切り型の否定的コメントもかなりありましたが、人種問題は短絡的な政治問題ではなく個人の存在、人の命に関わる最重要な人権問題であることを理解していない発言でした。今回のことだけでなく、大坂選手は日頃からSNSで人種問題への抗議活動を続けており、彼氏と一緒に平和的抗議デモにも参加したこともあります。彼女自身も幼い頃から日本人のお母さんとハイチ人のお父さんの間に生まれた混血黒人として親達も姉妹も差別を受けた経験もあるでしょうし、彼女の人種問題に関する考えやスタンスが変わったわけではなく、ずっと
一本筋が通った言動を続けており、今大会の機会を活かして世界中の視聴者に対して問題提起し、理解を求める拡大行動をしただけです。それを知らない、理解していない一部の日本人がブームに乗って自分勝手にファンになりながら、彼女を自分の理想とする日本人像、選手像に勝手に当てはめようとして、そこから外れた言動をしたら文句を言うのは全くお門違いの過干渉でその人のエゴに過ぎません。20代前半の元々は内気で恥ずかしがり屋の大坂選手は白人主導のテニス界やテニスファン、一般の人達からの否定的な反応やSNSのコメントを心配して一時はスマートフォンを見るのが怖くてオフにしていたと述懐しています。それでも前哨戦からの流れを継続し、同大会でも最初の意志を貫徹した決意と実行力には尊敬の念しかありません。引き続き一ファンとして応援を続けます。大会中に痛めた太腿の回復とクレーコートへの対応準備不足の理由で現在開催中のフレンチオープンには出場せず、もし今月末開催予定のWTA
ツアーファイナルに彼女が出場しないと、今シーズン彼女のプレーはこれで見納めかもしれませんが、まだ先が長いテニス人生ですからゆっくり着実に進めばいいと思います。改めて優勝おめでとう!お疲れ様でした!!(閑話休題)

 もう一つフレンチオープンと言えば、男子では先月からクレーコートシリーズで約1年ぶりに実戦復帰した錦織選手がまだまだ不安定なプレー内容ながらコートに戻って来た姿を見て嬉しいやら、懐かしいやらです。初戦は第32シードのエバンス選手と5セットのフルセットマッチになりましたが、ギリギリ勝ち切りました。2回戦も勝つと順当ならば3回戦の相手は前回優勝者『クレーの王者』ナダル選手になります。どこまでプレーのレベルが戻っているか、どれだけ通用するか見てみたいです。

さてようやく本題ですが、今月号のテーマは『トランプ政権最後のあがきに神風か?』です。

 来月3日の次期大統領選挙投票日までひと月程になりました。

 先月末には第1回目のトランプ、バイデン両候補者の公開TV討論会が開催されたはずですが、本原稿作成時では結果がどうだったか知る術がありません。トランプ候補者としては前回選挙時のクリントン候補者とのTV討論会と同じように具体的な政策論議や過去4年間の施政の失敗や不具合の弁明を避け、対立候補の人格攻撃や相手の発言中にチャチャを入れ、イラつかせて失言を誘い、視聴者の注意を逸らして自分のペースに引き込もうとする気がします。特にコロナ対策の不手際や直近でニューヨークタイムス紙にすっぱ抜かれた自分の個人所得税申告に関するやり取りはマイナスにしかならないため、「コロナ対応は素晴らしかった」と自画自賛し、税申告についてはお決まりの「全くのフェイクニュースだ」発言を繰り返し、極力弁明を避けるでしょう。バイデン候補者としては、決してその術中にはまって挑発に乗らずイラつかないように冷静を保ち、視聴者がファクトチェック(事実確認)しても間違いの無い事実とデータを基に理詰めで論理的な論戦を展開しなければなりません。この基本線は第2回目、最終第3回目のTV討論会でも同じですが、第1回目の結果次第で部分的な軌道修正も必要でしょう。要はトランプが得意なリアリティーショー化、バラエティーショー化、エンタテインメント化しないように、トランプペースにならないようにしなければなりません。途中一度だけ開催されるカモラ・ハリス女史とマイク・ペンス副大統領候補者同士のTV討論会では司法検事経験のあるハリス候補者が裁判案件と同じように確固たる証拠となる事実を積み上げてコロナ対応のタスクチームリーダーでありながら大統領のウソ証言を擁護し有効な対策を取らなかった汚点や他の政権施策の不具合を追及し、視聴者間の点数を稼いでバイデン候補者の援護射撃がどれだけできるかも重要なポイントと思われます。

 皆さんもご存じのように事前予想ではバイデン候補者にリードを許し苦戦が予想されているトランプ候補者は他のことは見向きもせず、ほったらかしにして、何が何でも再選を最優先目標として目指し、ありとあらゆる手段と権謀術数を使ってバイデン候補者を支持する有権者の投票を妨害し、投票意欲を削ぎ、自分に有利になるように毎日のように最後のあがき的な汚い工作を仕掛けています。

 具体的には投票権を持つ有権者に選挙登録や移民書類上の不備があり投票がないとケチをつけ対立候補者の投票獲得数を減らす工作をしたり、州毎にルールや取り扱い方法が異なるコロナ感染リスク防止・軽減のための事前郵便投票の信頼性に根拠のないケチをつけ、郵便投票と投票所での投票両方やってどちらもちゃんと受け付けられるか試してと違法行為を勧めたり、自分の息が掛かった郵政長官には郵便物の自動仕分け装置使用禁止や郵便投票受付箱数の削減や残業禁止令で郵便物の処理能力低下、層別・仕分け・集配の大幅遅れを引き起こし、有権者を混乱させ、投票意欲を削いで棄権するように仕向けたり、郵便投票が締切り日時までに配達されない恐れを生じさせ、締切りに間に合わなかった郵便投票は無効扱いにすべきと言い張り、フェアで倫理的な投票が行われない限りたとえ自分が選挙に破れても、選挙結果を認めないし、ホワイトハウスを穏便に明け渡すつもりもないコメントを繰り返しています。彼にとってフェアで倫理的な投票とは彼が勝ち再選される場合のみです。

 これもまたご存じのように先月中旬に女性最高裁判事の一人であったRBGことルース・ベーダー・ギンスバーグ女史が転移性膵臓癌のため亡くなられました。23年間最高裁判事を務めた彼女はそれ以前から自らの苦い経験にも触発されて就職機会、求人採用、給与待遇や昇進昇格に関する女性差別廃止、女性の人権保護に注力し、多くの訴訟裁判で高率の勝訴を重ね、年齢を問わず女性達から圧倒的な支持と尊敬を集め、ヒーロー(女性形はヒロインですが性差別廃止でヒーローを使います)的存在となっていました。実際には女性の権利保護のための裁判だけでなく、奥さんを亡くし、幼児の養育をしているにもかかわらず女性でないことを理由に寡婦給付がもらえなかった男性のために動き、給付を勝ち取った判例もあり、女性だけでなく男性も含めた弱者救済に多大な尽力と功績を残された偉人でした。女性蔑視・軽視を長年続けていた男性達にとっては怖い存在でしたが、女性はもちろんリベラルな思想・志向の男性からも尊敬されていました。

 逝去の臨時ニュース報道の直後から彼女の死を悼む多くの人々が最高裁前に集まり、献花やカードを備える姿がニュースで流れていました。私も数年前に制作されTVでも放送された彼女の特集番組“RGB”の再放送をまた2度も続けて観ましたが、
一つ一つのエピソードが常人の域を遥かに超えたスーパーウーマンのレベルで(彼女をワンダーウーマンにデフォルメしたデザインもありました)観る度に新鮮な驚きと
畏敬の念に包まれます。本当に凄い人でしたが、反面弱者や若者に優しくユーモアのセンスも持ち合わせた素晴らしい人格者でした。皆さんもご興味と機会があれば、是非RGBをご覧になってください。

 多くの善良なる人々が悲しみに暮れる一方で、狡猾で腹悪しき共和党の重鎮で上院院内総務のミッチ・マコーネルやリンジー・グラハム上院議員は死者への敬意や
哀悼の意思表示もコメントもなく、ただひたすら空席となった最高裁判事の補充人選工作に走りました。しかも、前回大統領選挙前に最高裁判事に欠員空席が出た際にはオバマ前大統領の就務期間がまだ11ヶ月も残っていたにもかかわらず、「補充人選は大統領選挙終了後にすべき」という理由で前大統領の選んだ指名候補者の議会による資格審査公聴会も全く行わずじまいであったのに、今回は次期大統領選投票日までにひと月半程しかない性急なタイミングで補充候補者を選び公表した上、今月半ばには共和党多数の上院資格審査公聴会を開き、大統領選挙前に決定してしまおうという暴挙に出ています。全く厚顔無恥の恥知らずとはこの事で自分が言った
前言を平気でひっくり返し真逆のことを無理矢理押し通そうとしています。共和党は
トランプに乗っ取られカルト集団の教徒(凶徒?)集団になっただけでなく、Party of liars(嘘つき政党)に成り下がってしまった感があります。

 その裏には恥も外聞もなく「名を捨てて実を取る」大きな政治的狙いがあります。それは通称ACAまたはオバマケアの違憲性、同性愛者の婚姻の合法・非合法論争、人為的妊娠中絶の違法性など最高裁判断待ちの重要案件が目白押しで保守的立場を取る共和党にとっては現職大統領推薦かつ自党承認の保守的候補者を欠員空席の補充に据えて近い将来に最高裁判断をする際に自党有利に展開したい極めて政治的思惑が見え見えです。本来は、政治色や個人的な政治思想を排除して中立公正の立場から訴状を吟味し判断を下す立場の最高裁判事ですが、最近は推薦政党と当人の政治色が強く出過ぎてしまっている感じがします。故最高裁判事RGB女史の偉大さが今更に再認識される今日この頃です。

 また、ここに来てトランプ大統領が具体的な裏付け根拠なしでも発言やツイートを繰り返している事前郵便投票の合法性や選挙結果そのものの有効性を裁判で争うことになった場合、控訴、上告となれば最終判断は最高裁に委ねられるため、負けず嫌いで往生際の悪いトランプが破れて落選となればまず間違いなくその展開となり、
選挙結果は無効と判断され、再選挙の最高裁判定指示による混乱で正に両候補者支援グループの対立激化で泥沼化し、自分に都合が良ければ暴力容認のトランプですから、それこそ最悪Civil War(人民戦争)に様相化する懸念さえあります。

 更にまた、獲得票差が圧倒的で多少の不具合を考慮しても選挙結果が明白で最高裁判断でもトランプ落選の事実をひっくり返せない判断結論となれば選挙結果は
有効となり、トランプが現職大統領である間は司法当局も手が出せなかった案件の水面下の追及が来年1月任期満了で大統領職を辞任した直後から表面化して作業が始まると予想され、トランプ個人及び法人、関連会社絡みの犯罪行為疑惑調査や具体的な逮捕、起訴、告訴手続きが目白押しになる可能性がありますが、それらの直接・間接的に発生する数多の訴訟裁判で最高裁判断・審判を仰ぐケースが出てきた場合もトランプとその一族郎党及び関係者の最後の切り札として保守派6対リベラル派3の最高裁判事構成は下級裁判所が仮に自分達に不利な判断・審判を下してもすべて覆すことができる潜在能力を持ち「利あって害なし」の宝物になり得ます。
トランプにとっては神風になるか?どうかです。

 RBG女史が亡くなられた際に一緒にトランプも道連れに連れて行ってほしかったと思ってしまいましたが、彼女は天国、トランプは地獄と行き先が違うので無理でした。どうかトランプにとって神風となりませんように。(合掌)

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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