
食に関する言い回し(8)
「茶」に関するものをもう少し見てみましょう。「割った茶碗を接(つ)いでみる」は、いったん壊れた物は元通りにはならないことのたとえですが、英語で近い言い方としては、“(There is no use) crying over spilled milk.” (こぼれたミルクに泣いても無駄) というのがあります。もっとも、金接ぎというのがあって、壊れた瀬戸物を金で接ぐと前よりも価値が出る、なんてこともありますが。「酒は酒屋に茶は茶屋に」は、専門家に任せろ、ということですね。意味を表せば、“Leave it to the experts.” となりますが、“It takes a thief to catch a thief” (泥棒を捕まえるには泥棒に頼め)と言う面白い言い方があります。「臍(へそ)で茶を沸かす」は、馬鹿々々しいことをする、ということなので、“It’s ridiculous.” です
「酒」関係もまだいくつかあります。「酒に飲まれる」は、“To become lost in the sauce” (理性が利かないほど飲む) となります。「酒は百薬の長」は直訳で “Sake is the best of all medicines.” でも通じますが、“Good wine makes good blood.” というしゃれた表現もあります。ただこれはイタリアのことわざの英訳だそうで、それほど知られていません。最後に、中国から来た言い回しですが、「酒池肉林」というのがあります。これはの紂王(ちゅうおう)という暴君が、酒で池を作り肉の塊をつるして林にした、という故事から来ており、贅沢な宴を意味しますので、英語では “a sumptuous feast” です。
上記についてご質問のある方、また、その他の表現について知りたい方は、izumi.suzuki@suzukimyers.com まで。
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鈴木いづみ:会議通訳者、公認法廷通訳者、アメリカ翻訳者協会日<>英翻訳認定資格を有す。通訳・翻訳・日英語学クラス等のサービスを提供する鈴木マイヤーズ&アソシエーツ(株)社長。www.suzukimyers.com