今年も早半年が過ぎ7月に入りました。月初の週末独立記念日の連休は皆さんどのようにお過ごしでしたか?先月後半各州多少前後して市場再開開始後、全米各地でコロナ新規感染者数急増のニュースを聞いてお祝いどころではなかったのではないでしょうか?ようやく自宅待機、外出自粛が解除になり、エッセンシャルワークだけでなく建設業、製造業、飲食サービス業などが段階的に復活し始めた矢先にこの有り様では医療関係者やファースト・レスポンダー、最前線の食品・生活必需品製造・販売・配送サービス業務作業者始め一般大衆の今までの忍耐、辛抱、努力が全て無駄になってしまった感じです。地元ミシガン州都のランシングでも先月末クラスターで1軒のバーだけで80人もの新規感染者発生。その後更に107人まで増えました。思い返せば、5月末のメモリアルデー連休頃に自由と権利を主張する連中がマスクを掛けずにバーに集まったり、ランシングの州庁舎に抗議デモで押し掛けたりした報いが2〜3週間後に出て来たのと、最近の段階的市場再開で開放感から気が緩んでガイドラインを無視した行動を取ったツケが出ているのではないかと思います。新型コロナウィルスからすれば、「最近取り憑いて仲間を増やせるエサになる人間どもが出て来ないなあ」と元気がなくなり掛けていたところに棚ボタ的に人間の方からマスクもせず固まって出て来てくれたのですから「飛んで火にいる夏の虫」で、元気一杯、ウハウハ状態ですね。
話題の少なかったスポーツ関係では、プロゴルフPGA男子ツアーが無観客開催でスタート、LPGA女子ツアーも今月半ば過ぎに同様にスタート予定です。グリーン周りやコースに観客がいないので、TV放送を観てもいつもと違った雰囲気ですが、何もないよりはマシといったところです。プロテニスでは男子シングルスランキングNo.1のジョコビッチ選手の主催で先月自国セルビアのベオグラード他、欧州各地で開催したチャリティーテニス大会でジョコビッチ選手自身を含む参加選手やコーチ、スタッフが次々コロナ陽性と判明し選手同士の濃厚接触やマスクもせずにソーシャル・ディスタンシングが取れていない観客がほとんどであった大会の運営方法と主催者に非難が集まりました。メジャー大会では、8月末に規模縮小してやはり無観客で全米オープンを開催が発表され、女子のセリーナ・ウィリアムス選手がいち早く出場を宣言していましたが、この悪い前例の影響で事前準備と大会運営を落ち度なくしっかりやれる目処が立たないと延期もしくはキャンセルされる恐れがあります。プロ野球MLBは60試合の短縮シーズンで選手会と条件合意し、開幕出来るかどうかです。二刀流大谷選手のプレーをTVで観たい気はしますが、開催となった場合、他の選手やコーチ、スタッフも含めて感染者が出ない事を祈ります。中断されていたプロサッカーでは、いち早くドイツのブンデスリーガ、英国のプレミアリーグが再開し、南野選手がシーズン途中で移籍合流したリバプールが30年ぶりにプレミアリーグチャンピオン確定となりました。おめでとう!

 さて、今月のテーマは「上半期の得点王とアシスト王は?」です。

 既に連日のニュース報道でご存知の如く、米国内では市場再開後西部、南部諸州で主に38歳以下の若年層の感染者が急増。1月に米国内初の感染者が確認されて以来、6月後半は毎週のように過去最高の新規感染者数を記録。特にフロリダ、テキサス、アリゾナ、カリフォルニアの4州が最悪で検査実施と結果判明がダダ遅れとなり、テキサス州ヒューストンでは患者収容ベッド数とICU(緊急医療ユニット)もパンク寸前の惨憺たる状況。年齢が若い分自覚症状がない感染者が多く、陽性判明前の行動中に2次感染、3次感染の連鎖を引き起こしている恐れ大で、データは更に悪化すると予想。州や都市毎に再開を一時減速、保留または撤回する動きもありますが、既に日に数千人レベルというこれ程の感染拡大、コロナ騒ぎが再燃しては4月、5月のレベルに戻すことさえ1〜2ヶ月では到底無理、いや不可能です。

 ミシガンだけでなく他の州でも今後しばらくは多くの人がまた自宅待機、外出自粛を強いられる事になりそうです。今月初めの独立記念日の週末連休も皆で集まって祝う状況ではなく寂しい「孤立記念日」だったかもしれませんし、これから長い学校の夏休みの間も外出時はマスク必着、それ以外は冬ごもりならぬ「夏ごもり」になりそうです。ワクチン開発完成前の今秋または年内に第2波の襲来を警告する専門家の懸念が現実となるかならないかを心配する以前にまだ第1波が収束しておらず、再燃・悪化しているのだと改めて全米に知らしめました。
米国民はもう少し常識があり、科学データや事実に基づいて節度ある行動をする民度が高い国民と思っていたのは単なる幻想か、誤解か、はたまた勝手な思い込みだったのでしょうか?

 また、折悪しく5月末にミネアポリスで起きた白人警察官による黒人容疑者の殺人事件(容疑者の首を膝で押し付け「息が出来ない」という本人や目撃者の「放してあげて!死んでしまう!」と言う叫びも無視して8分46秒も押さえつけた結果死に至らしめたもの)に端を発したBLM(Black Lives Matter)の抗議デモが全米各地で開催され、感染拡大リスクを更に大きくしています。奴隷制度が根元にあった黒人に対する歴史的・構造的人種差別は南北戦争後の奴隷解放や公民権運動、人種差別撤廃の国際条約締結、Affirmative Action(差別是正のための優遇措置)などを挟みながら今日に至るまで400年以上続いており、長年米国に居る我々でも感情的な要素も含めて本当のところは分からない根が深く絡み合った問題で、日本に居る日本人では理解出来ないのは無理からぬ事と思います。コロナ感染のリスクを認識した上で止むに止まれず抗議デモに参加する人が1カ所で数万人から数十万人もいるという事実がこの差別問題の深刻さ、重大さを如実に物語っています。
トランプはこの抗議デモに関して犠牲者のジョージ・フロイドさんとその家族に哀悼の意を示さず、人種差別に抗議するデモ参加者の心情に理解も共感もせず、ワシントンD.C.ではホワイトハウス近くの教会前で聖書を掲げた自分の写真を撮り次期大統領選キャンペーンのネタに使うフォトセッション(愛娘イバンカ夫妻の発案だったと後に判明)だけのために周辺を平和的に行進していたデモ隊に対しホワイトハウスと大統領の警護に当たっていた米軍メンバーに突然デモ隊を威力的に排除させ、我儘を押し通しました。敵対国から国民を守る役目の米軍を事もあろうに自分のフォトセッションの目的のために国民の威力的排除に使うとは前例なき言語道断の暴挙で、直ちに海軍、陸軍、海兵隊の元米軍幹部及び上下院議員から非難の声明が相次いで出されていました。

 更に先月末には、アフガニスタンの駐留米軍や欧州連合軍のメンバーを殺害したら報奨金を出すとロシアがタリバンなど反米勢力メンバーに持ち掛けているという衝撃的な暴露ニュースがあり、トランプは毎朝の大統領向けブリーフィングでは聞いていないと言い張ったものの、国家安全保障関係者はもう数ヶ月前から報告をしているとのことで、またまた大統領のロシアに対する忖度と米軍関係者に対する敬意・配慮の無さが浮き彫りになりました。

 さて、テーマの「上半期得点王とアシスト王は?」ですが、サッカーの話ではありません。これもコロナに関する話です。

 今年の上半期得点王は誰が何と言っても新型コロナウィルスのCOVID−19です!そしてアシスト王は現職米国大統領のドナルド・トランプに決定です!

 得点王は連日、毎週、毎月のように上半期を通してTV、新聞、ラジオ、インターネットに登場し、世界中を騒がせたCOVID−19で再論を待ちませんね。アシスト王は米国外も考慮すると同ウィルスの発源地と疑われている中国武漢市と中国政府も有力候補ですが、一応ウィルスと感染症の封じ込めと対策を施したので、アシスト役としてはトランプが上と評価しました。何でも自分が一番を好む彼にはお似合いでしょう。米国でのコロナ騒ぎをここまで大きく、深刻な状況に長引かせた元凶は紛れもなくトランプ自身です。

 国家安全保障や感染症医学・医療に関わる専門家からの各種先行情報を再三再四無視または軽視し、初動が遅れただけでなく、最初の感染者発生確認後約2ヶ月遅れでようやく重い腰を上げた後も打つ手、打つ手が的外れでホワイトハウスでの記者会見の内容も事実やデータに基づかないいい加減な情報とコメントで国民を混乱させ十分避けられた筈の感染者や死亡者数を大幅に増やしてしまったと同時に米国経済だけでなく世界経済も大恐慌並みに衰退させ米国史上前代未聞の4千万人超の失業者を出してしまった罪は極めて重いです。裁判用語で時々使われる「未必の故意」(みひつのこい)に該当し、大統領離職後には殺人罪、殺人幇助罪、更に国家に対する裏切り行為で反逆罪に問われても不思議がないくらいです。

 トランプは「マスクは見栄えが悪いので記者会見ではしないが、工場見学中はしている」と嘘をつき、選挙キャンペーン先では自分も適性距離を維持出来ない聴衆もマスク着用を義務付けせず、事前準備したキャンペーンスタッフが数人検査で陽性と診断されました。自分の言いたい事だけ言い、やりたい事だけやって、結果が悪くても他人の所為にして自分は責任を取らないなら誰でも米国大統領をやれますよね。

 先月末までの2〜3週間の次期大統領選の投票予想ではバイデン候補者がトランプを最大14%と2桁リードして差を広げていました。トランプ陣営はCNNに結果を公表するなと無体な圧力を掛けましたが、とにかく自分にとって悪いニュース、不利なデータは「臭い物に蓋」でひた隠しにしようとする隠蔽体質、事実を捻じ曲げて無かったことにしようと躍起になる報道管制、メディア操作を露骨にやろうとしています。ボルトン前大統領補佐官の暴露本やABCとの独占インタビューを待つまでもなく、トランプは再選のための選挙キャンペーンしか頭にないので、今の時期にこれ程事前予想で差がつくと、破れかぶれで何をまたしでかすか、とんでもない事をやらないか心配です。

 先月末大統領令を公布した外国人労働者向けのビザ・移民制限強化(日本だけでなくメキシコやインドからの外国人労働者も入国出来ず日系も欧米系も米人では代替え出来ない業務で直ぐに困っているようです)やこのタイミングでまだオバマケア完全撤廃に固執している以外にもロシア疑惑の調査に関わったDOJ、FBI、民主党のメンバーに前回選挙前・中・後もトランプを蹴落とそうとする陰謀があったとリンジー・グラム他共和党のアホどもが上院公聴会に引きずり出そうとしたり、オバマ/バイデン前政権に国家への反逆行為があったと具体的な根拠のないオバマゲートを捏造しようとしています。

 この先まだ4ヶ月強あるので何が飛び出すか要注意です。それとトランプは悪運強くマスク無しでもコロナ感染しないで済んでいますが、バイデン候補者がミルウォーキーで予定の民主党指名大会の前からキャンペーンで動き出した先で万一にでもコロナ感染して脱落したりしないかも大いに心配です。トランプ以外なら誰が大統領になっても構わない、これ以上悪くなりようがないので、トランプを神(もしもそうなら疫病神ですが)と崇める狂信的トランプ支持派の暴力行為や陰謀にも耐えて、とにかく安全と健康第一で大統領選を戦い抜き、確実に当選して欲しいです。

 直近では、イラン政府が去る1月米軍のドローンアタックによるイラン革命防衛隊の最高司令官で実質イランのナンバー2であったソレイマニ将軍の殺人罪でトランプ以下関係者36名の逮捕令状発行。トランプが大統領職を離れると同時に起訴すべくインターポールから各国に犯罪者や逃亡者の拘束、引き渡しを求めるレッド・ノーティス発行依頼済み。現時点でインターポールは自組織の規則や設立規約に準拠しないため依頼を考慮検討する意思はないようですが、トランプが大統領職を離れた途端に内外から犯罪者扱いされて刑務所以外に居場所が無くなるとパンドラの箱から逃げ出したこの世のありとあらゆる疫病や災厄が元の鞘に収まって、首を長くして待ち望んでいた善良な国民に安全と安心をもたらすかもしれません。

 先月号で新型コロナウィルスの終息とトランプの次期大統領選落選のどちらが先か?を問いましたが、どうやらウィルスはまだしばらく生き残り、トランプが先に脱落しそうな雰囲気ですね。目糞と鼻糞の比較くらいの価値しかありませんが、トランプが先にホワイトハウスの伏魔殿から姿を消してコロナ対策に集中出来れば善しとしましょう。(将棋の高校生棋士、藤井七段の話題にも触れたかったのですが、来月号に回します。)

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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