2020年4月末、COVID-19の感染拡大により、各州非常事態宣言および自宅待機令が出ているなか、ミシガン州デトロイトでは、このウイルスの感染拡大が中国と関連付けられたことから人種的ヘイトクライムが全米で報告され始めたとして、タウンミーティングが行われた。

 ミシガン州司法長官のダナ・ネセル氏は、1年前にヘイトクライムユニットを立ち上げ、どんな差別も容認しないことを示している。今回ミーティングでは、ミシガン州上院デトロイト地区代表民主のステファニー・グレイ・チャン氏、トロイ地区下院議員のパドマ・クッパ氏は、地元FBIオフィス、弁護士、その他、州人権課の専門家などとともに市民へのヘイトクライムに関する講習を行い、アドバイスやホットラインの番号など公開した。

 NYやサンフランシスコなどの公共交通機関を利用する大都市では、身体的な暴行をうけるような事件が発生している。ミシガン州の報告によると、現在口頭による人種差別的な発言によるハラスメントが大半をしめ、比較的少ないもの、チャン議員の ”Knowledge is power” という言葉どおり、現状を知ることが重要であるとし、専門家による講習が始まった。

「ヘイトクライムとは、人種、宗教、性、民族、身体障がいなどの特定の属性を持つ個人やグループに対する憎悪、偏見から引き起こされる嫌がらせ、脅迫、暴行などの犯罪の総称である」とし、例として、窃盗などでも、対象が不法滞在者であることを理解したうえで(起訴されないだろうと)起こすものも同様のクライムとなると話した。

 そして、これらの犯罪は、個人や団体に向けて何らかのメッセージ性をもって起こす犯罪で、公共にその恐怖を知らしめるものが大半。世界に大きなインパクトを与える、と説明した。

 FBIによるレポートによると、ヘイトクライムは、過去3年で全米では22%、ミシガンでは34%増加している。カテゴリー別にみると、2015-18年の調査ではミシガンでは人種関連が69%、宗教、性的指向の順に続き、対象は個人へのものが3/4を占めた。FBIは毎年被害を受けたかどうかの調査を実施するが、200万件を超える回答を得ているにもかかわらず、公式に被害届が出されているのは7000件という。全体の3%しか被害が届けられていない、ということなのだ。理由は何か。
「例えば、被害者自身がレポートされたくない状況、不法滞在であったり、公表したくない内容の被害にあう場合であったり、または、子供同士の発言である、外国人や移民の場合は、言語の問題や、文化背景な
どが関係することもある」と例を上げた。

 どこからが被害なのか。憎悪に満ちたスピーチやソーシャルメディア上での主張は、アメリカ合衆国憲法の表現の自由で守られているため犯罪ではないとされる。線引きが難しい問題だ。ただし危険を感じさせるような行為や内容が伴った場合は、必ず被害を報告するようにと専門家たちは強調した。地元の警察署や、ローカルコミュニティのリーダーなどへ相談、報告する場合は、どのような状況かをメモ、写真を撮るなどをして、証拠を記録することが重要とした。
「ヘイト“スピーチ”に関しては、何もできないかといえば、そうではない」とFBIエージェントの ルピナッチ氏。「そこからエスカレートした問題に発展させにないよう、表現、言論の自由とはいえ、ヘイトスピーチをする者や団体に対話、教育などのアプローチをしている。我々も人権擁護や、ヘイトクライムに関するトレーニングを随時行い、これら犯罪を重要に捉えて対応している」と語った。

 現在ミシガンでは暴力的な報告は少ないが、唾を吐かれる、メトロパークで差別用語が書かれる、などの報告が上がっているとのこと。何かあった場合は、下記より、どこかへまず報告をすることが大切である。

ーヘイトクライム」の被害にあったら報告をー

Local Police
危険が迫っている場合
  911 もしくは、最寄りの警察署の
非緊急時番号まで連絡

Michigan Attorney General Hate Crime Unit
313-456-0200
HateCrimes@Michigan.gov

FBI
313-965-2323 (24時間いつでも)
www.ic3.gov (インターネット上被害)

Michigan Department of Civil Rights
1-800-482-3604
MDCR-INFO@Michigan.gov
Online Complaint Form

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