ビデオ診療は、他にも、オンライン診療、ネット診療等の同義語があり、どれも同じ内容をさします。電話診療とビデオ診療をまとめて、アメリカでは、バーチャル診療と呼びます。バーチャル診療とは、実際に診療所や病院に行って医師や看護師と会って診療を受ける通常の形態と異なり、患者さんが自宅にいて、診療をうける形の診療形態のことを指します。

 以前から、へき地医療や、交通機関の使用が困難な場合などにビデオ診療は使われていましたが、最近の新型コロナパンデミックの影響で、アメリカでは、急速にバーチャル診療が普及し、ほとんどの健康保険による保険適応になりました。

 ご存じのように、新型コロナウィルスは、症状のない人や症状が出る前の人がウィルスの感染に大きな役割を担っていることがわかっており、感染拡大を防ぐには、他人との接触を全般的に減らす必要があります。ミシガンでは、現在、外出自粛の効果がでて、新型コロナによる入院患者の数は減少傾向にあります。多くのビジネスが感染リスクを下げるために、必要最小限の業務に絞っていると思いますが、医療の現場でも、現在は緊急性のない、外来受診が必要な診療をすべて延期しています。  しかし、感染リスクを全く伴わないビデオ診療や電話診療は、活発に行われており、患者さんはほとんど待たずにビデオ診療や電話診療がが受けられる状態です。 また、これから、徐々に様々なビジネスが解禁になっていくと思われますが、それに伴い、感染者がまた増加する可能性があります。それぞれの会社ではマスクの使用を義務付けたり、職場環境の改善をして距離をとったり、勤務時間をずらすなど、今後、感染者が増えないように、様々な工夫がされるでしょうし、されるべきです。 医療の現場でも同様に、緊急性がなくても必要な診療業務を徐々に増やしていくにあたり、感染増加を起こさないような診療をなるべく活用することが勧められます。実際に病院や診療所に行かずに、医療が受けられる、ビデオ診療が利用できるときは、なるべくビデオ診療を行うことが勧められます。そういう点で、今後ビデオ診療は、今後、新型コロナウィルスが完全になくなるまで、長期的にも欠かせないものとなっていくと思われます。

 ビデオ診療は以前から保険適応されていましたが、電話診療は、新型コロナのパンデミックを受けて、今だけ特別に一般診療と同様の保険カバーがされています。電話診療に関しては、新型コロナウィルスのパンデミックの期間に限定して、医師の電話診療が保険適応されており、短期間に限定されたものの可能性が高く、電話診療は数か月以降は行われなくなると思われます。

 では、ビデオ診療をうけるには、何が必要でしょうか。ビデオ診療を受けるには、カメラ、マイクロホン、スピーカー、インターネットの4つが備わったスマートフォン (iphoneなど)、または ipadなどのタブレットが必要です。バーチャル診療(ビデオ診療及び電話診療)の利点、欠点をあげてみましょう。

ビデオ診療の利用価値をわかっていただいたと思いますが、次は、実際に、どのように利用するかです。かかりつけの病院システムによって多少異なると思いますが、一般的には、大きな医療システムに属しているかかりつけ医は、患者用のウェブサイトを利用しており、患者さんはそこから、御本人やお子さんのの検査結果やワクチンの履歴を閲覧したり、医師や看護師にメッセージを送ったり、処方箋のリクエストができます。ビデオ診療は予約をしたあと、その患者用ウェブサイトからアクセスして診療をうける仕組みになっています。この患者用ウェブサイトで医療システムとつながっていれば、必要な時にすぐにビデオ診療が受けられます。あとは診察を受けたい時に、普段予約を取るときのように外来に電話するか、そのウェブサイトから予約リクエストをするかして、ビデオ診療の予約をとり、予約の時間になったら、自宅でそのウェブサイトにアクセスして医師の診察を受けます。

 では、どういう診療がビデオ診療に適しているでしょうか。不安や鬱などの心のケア、皮膚疾患、風邪症状や下痢嘔吐などの急だけれどもひどくない症状の場合、高血圧や高脂血症、糖尿病などの慢性疾患の定期フォロー、検査結果の説明、などは、ビデオ診療に適しています。しかし、年一度の定期健診(ヘルスチェック、チェックアップと呼びます)は、65歳以上のMedicareの定期健診はビデオ診療が保険で認められていますが、小児健診や65歳未満の大人の定期健診は、ビデオ診療が保険で認められていないので、外来に行かざるを得ません。主治医のいない人が主治医を登録するための診察(エスタブリッシュ・ケアと呼びます)も、ミシガン大学では、新型コロナ流行中の現在は限定的に電話診療で行っていますが、本来は実際に受診していただくものです。また、骨折して固定が必要だったり、耳が痛くて耳の中を診察しないといけない、というような場合は、感染リスクが多少あっても、実際の診察が必要です。どのような診療がオンラインでできるかは、医療側が理解しているので、診療を希望される場合は、医療機関に、ビデオ診療でできるかどうか、聞いてみることをお薦めします。ここで、大切なのは、皆さんが、ビデオ診療というオプションがあり、それを受けるための準備をしておくことです。必要な時にすぐ使えるように、普段から、かかりつけ医療システムのオンラインのアカウントが普段から使えるように、アカウントやパスワードを確認しておくことが重要です。

実際のビデオ診察の様子

 ビデオ診療は、一度受けてみると、家を出ることなく必要な診察が受けられ、アドバイスや処方箋がもらえて、簡単で便利な方法だということがすぐわかると思います。今後は、診療の内容によっては、患者さんも医療従事者も感染のリスクを減らせる、これからの医療にかかせない重要なツールなので、ぜひ利用してみてください。また、体の具合が悪くなくても心配なことがあったり、質問がある場合、電話診療やビデオ診療で十分対応できることもありますので、感染リスクの心配なく、気軽に医療機関に連絡してみることをお薦めします。

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筆者 プロフィール
医師 リトル(平野)早秀子
ミシガン大学家庭医療科助教授
1988年慶応義塾医学部卒業、1996年形成外科研修終了。2008年Oakwood Annapolis Family Medicine Residency 終了後、2008年より、ミシガン大学家庭医療科でミシガン家庭健康プログラムで日本人の患者さんを診察しています。産科を含む女性の医療、小児医療、皮膚手術、創傷のケアに、特にちからを入れています。ミシガン大学についての情報は、ウェブサイトで確認できます。https://medicine.umich.edu/dept/japanese-family-health-program

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