2020年3月3日(火)、デトロイト郊外ブルーム フィールドヒルズ市にあるクランブ
ルックハウスにて、和菓子作家の杉井ステフェス淑子さんによる和菓子づくりの講習会が行われた。

  今回イベントが行われたクランブルックハウスは、1908年にクランブルックの創設者であるジョージ・ゴウ・ブースとエレン・スクリップス・ブースの住居として建てられたもの。新聞業で財を成した彼らは、この地に教会、教育施設、美術館、科学館などを建設し、現在のクランブルックコミュニティを作りあげた。

 邸宅自体は、デトロイトのフィッシャービルなどの設計で有名な建築家アルバート・カーンにより設計された英国チューダー様式の邸宅で、デトロイト近郊で一般に公開されている最古の邸宅である。ライブラリ、ダイニングルーム、ブースのオリジナルのオフィスのほか、家具や装飾品が残されている。

 今回のイベントは、クランブルックハウス&ガーデンにある日本庭園の再建プロジェクトの一環として、日本の芸術を4回にわたり紹介するレクチャーシリーズの第一回目。当時の美術品、家具がそのまま残されたライブラリルームに40名近くが集まり、日本の和菓子について熱心に耳を傾けた。

 和菓子づくりレクチャーでは、「和菓子は五感の要素を大切にする」ということで、日本人の視覚において季節を感じる心、控えめの甘さや香り、素材の大切さや、和菓子を見て想像力で聞こえる鳥のさえずりなど、生活に彩りを与えてくれる和菓子の良さについて説明し、ちょうどこの日はひなまつりということもあり、あっという間に、桃の花、そして桜、菊の花の生菓子(練り切り)を作り上げた。また、琥珀糖を例に出し、天草(Agar agar)砂糖、水、など材料はアメリカでも入手できるものであると説明した。練り切りも、「白玉粉、水、砂糖、あんは市販のものにすれば手軽にできますよ」と杉井さん。試食には、宝石のように透明感がある琥珀糖を用意し「和菓子でも繊細なつくりの生菓子は茶道でいただくもの、と敷居が高く思われがちですが、気軽に家で作って楽しんでもらいたいです」と話してくださった。杉井さん上梓の「甘くてかわいい、食べられる宝石 琥珀糖のレシピ(池田書店)」には、作って楽しいレシピがたくさん紹介されているので興味のある方はぜひ。Japan News Club Back Number 4月号P.12では、春の和菓子レシピをご紹介)

 和菓子のあとは、滋賀県の甲賀市より朝宮茶のプロモーションのためにミシガン来訪中の茶園、かたぎ古香園、七代目片木隆友氏によるお茶のレクチャーへと続いた。この茶園は、先代の片木明さんが1975年より有機栽培に切り替え、以降これまでずっと完全無農薬で茶園を営まれている数少ない茶農家だという。当日はほうじ茶をその場で煎り、試飲。現地の方もその香りに魅せられていた。現在、こちらの緑茶、ほうじ茶などはミシガン州の日本食材店ワンワールドや、近郊のカフェでも購入可能となっている。詳しくは、www.japannewsclub.comにて。当日購入された収益の一部はクランブルックコレクション研究センターに寄付された。

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