3月1日(日)、デトロイト美術館において、毎年恒例となったひなまつりのイベントが行われた。当日は、“Girls Day”としてこちらでも紹介されることの多い桃の節句に興味を持つ多くの地元民が駆けつけた。

 館内のあちらこちらに設置されたイベントスペースだが、メインはグレイトホール。スペースを華やかに彩る七段飾りのひな人形が展示され、多くの人たちが記念撮影を楽しんだ。書家の藤井京子氏による書道の実演、OH州で活躍する和菓子作家の杉井ステフェス淑子氏によるねりきり和菓子の実演、折り紙、琴のワークショップ、いけばなインターナショナルデトロイト支部による生花アートの展示、英語による日本昔話の紙芝居など、ホールは日本文化に興味を持つ人で埋め尽くされた。グレイトホールの奥には、デトロイトを象徴したディエゴ・リベラが描く巨大フレスコ画に囲まれたリベラ・コートがあるが、そこにはステージが設置され、JSDウィメンズクラブのメンバーによる茶の湯デモンストレーションも行われた。観客はお手前のひとつひとつの説明に熱心に耳を傾け、ゆったりとした非日常の時間を楽しんでいるようだった。その後は女児の和服着付け・所作の教示、神輿展示なども行われ、こちらも多くの人で賑わった。

 その他、プレンティスコートでは、着物を着たボランティア学生により煎茶とお茶菓子も振る舞われ、日本旅行の経験がある参加者は、「まるで京都のお茶屋に来たみたい」と笑顔で話してくれた。また、ミシガンとの姉妹州県である滋賀県紹介のブースでは近江茶を紹介しており、こちらも留学などで滋賀を訪れた経験のある地元の人も嬉しそうに立ち寄っていた。お茶の試飲やいちご大福づくりのワークショップなど、日本の「食」を体験できる箇所はどこも大盛況。日本食への興味の高さがうかがえる。2017年に開設されたジャパンギャラリー内では三味線と沖縄三線の演奏が行われた。沖縄三線を披露したのは、現在キャントン市の高校に留学中の伊波妃菜(ひな)さん。留学できることになったのも、またこのようなイベントで演奏できる機会に恵まれたのも、すべてこの三線があったから、と明るく話した。この日、パフォーマンスは、美術館に併設された映画館でも「かぐや姫」が上映された。
午後からリベラコートでは、本イベントを共催したデトロイト総領事、JCD会長、美術館代表による挨拶が行われ、中川総領事は「年々日本とミシガンの友好関係がさらに深まっていると実感する」とし、このイベントがミシガンと日本の橋渡しイベントとしても大変良い例であると述べた。また、JCD会長の大光氏によると、来年は、また「新たなひなまつり」が見られるよう皆で協力し合っていくと、JCDとして、さらに日本文化紹介に力をいれると意欲を見せた。

 本イベントは、デトロイト日本商工会のJapan Cultural Development(JCD)、同美術館、在デトロイト日本国総領事館およびJSDウィメンズクラブ協力のもとに開催されているが、もとは、デトロイト総領事官邸において行われた小さなひなまつりの集まりであった。デトロイト美術館関係者がゲストとして招かれ、その後話がまとまったことから同館で行われるようになる。2013年デトロイト市の破綻とともにDIAもその波を受けたが、デトロイトの復興に地元の企業をはじめ、JBSD会員を中心とした日本コミュニティも一丸となり寄付を集め美術館は存続。その後もJBSD会員を軸とする更なる寄付金により同館には2017年、日本ギャラリーが開設された。現在のデトロイト美術館を通したミシガン州と日本コミュニティとの更なる強い繋がりの始まりだった。

 JCD(JapanCultural Development)活動が始まったのもこの時期にあたり、現在はJBSDの文化活動チームとして日本文化理解への推進活動を続ける。

 今年は3月1日(日)の午前11時から午後5時までの実施で3,200人近い入館者が記録され、「2018年、19年の入館者の2,500〜2,800人に比べると地元の方々の日本文化への興味が大いに高まってきていることを感じます。」とJCD大光氏。プログラムのパフォーマーの方々に加えて、多くの企業、ボランティアの方々が関わり、総勢で160人以上の手によってこのイベントが行われた。地元の日本人のみならず大勢の地元の人々で盛り上がりを見せたひなまつりとなった。

  (写真協力:JSDウィメンズクラブ)

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