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COVID-19パンデミック下での過ごし方

新型コロナウイルスのパンデミックに関する情報セミナーとしてMKT Homes / Japan ニュース 倶楽部 共催にて第1回目を開催しましたが、第二段として、2020年4月16日、その後のアップデート、および、再度気を付けるべきこと、改めて見直すことなどに関してミシガン大学病院 家庭医療科リトル(平野)早秀子先生を再度お呼びし、第2回目のウェビナーを開催しました。当日は参加者からの質問にも答えていただきました。

この機会にぜひ、もう一度重要な点をご確認ください。そして、引き続き自宅待機、ソーシャルディスタンスを守りこの事態を乗り切りましょう。

前半部分のウェビナー動画を公開しています。動画の下部に、ウェビナーのまとめ、ウェビナー後半の質疑応答も掲載しています。

※今回のウェビナーは2部構成とし、第2部においては「パンデミックにおけるマインドフルネス(ストレス低減の一助)」と題し、同病院のMichigan Medisine 老年医学センター 日本家族健康プログラム 臨床ソーシャルワーカーのフォーク阿部まり子先生にパンデミック下での精神的なストレスを低減させるためのヒント・練習などの講演も行っていただきました。(こちらからご覧ください)

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今回のセミナー(4月16日時点)概要

<大切なこと>

  • 何事も完璧にはできないが、ソーシャルディスタンスを必ず守り、手洗いを徹底させることが引き続き重要。
  • 人と人との接触を極力小さくすることが重要。

<リトル先生より>

  • 4月16日時点、ミシガンの感染者は緩やかにはなっているが、まだ増えている状態。自宅待機が効いているのでピークは先にはなっていると思う。ミシガン大学病院は病床数に余裕がある。
  • 4月30日まで自宅待機が延長されたが急に待機令を解除すると、感染者数がぶり返すリスクはある。急に解除すると増える可能性が高い。ワクチンができるのはおそらく1年はかかるのではないか、と言われているので引き続き難しい問題ではある。

<当日パネル>

新型コロナウイルス

  • SARS-CoV2 = COVID-19
  • 最初に2019年12月末に中国湖北省武漢市を中心に発生
  • コロナウイルスは、一般的な風邪ウイルスでもありますが、変異により、重大な被害を与えることがあります。SARS(2002年中国広東省)、MERS(2012年中東地域)もコロナウイルスの一種。
  • 全世界の感染者 2,044,892 死亡 131,398 (4/15/2020)
  • 日本 感染者数 8100 死亡 146 (4/15/2020)
  • アメリカ合衆国 感染者622,412、死亡 27,549 (4/15/2020)
  • ミシガン州 感染者27,001 (全米4位)、死亡1768 (全米3位)
    • 3/10/2020 に第一例の診断後爆発的な感染増加
    • 80%以上が、Wayne, Oakland country, Macomb (次いで、Washtenaw, Genesee)
    • 4/14/2020 一日で 新たな感染者1366人、死亡166人

現在、ミシガン大学の病床数には余裕がある状況。ミシガン大学の新しい陸上用トラックフィールドを病院にする予定であったが、現時点(4/16/2020時点)必要なさそうでまだ余裕はある

感染経路

  • 飛沫感染
    • 感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つば など)と一緒にウイルスが放出され、他者がそのウイルスを口や鼻から吸い込んで感染します
    • 屋内では、飛沫が長く空気中にとどまるため注意
  • 接触感染
    • 感染者の飛沫がついた手で周りの物に触れてウイルスが着き、未感染者がその部分に接触し、鼻や口をさわると感染します。
  • 無症状の人でもウイルスを感染させます。
  • 感染性が高いのがいつかははっきりしません。(一般的には早期のほうが高いようだが、20日後に再燃する例もある)

COVID-19の症状は?

潜伏期間: 平均 4-6日。長くて14 日

症状:

  • 呼吸苦疲労感
  • その他 (筋肉痛、食欲不振、痰、味覚の異常)

症状の程度

  • 症状がない 37%程度
  • 軽度の肺炎 45%
  • 入院が必要な肺炎 14%
  • ICU管理が必要 5%
  • 死亡1-2%

病状が悪くなるリスクのある人

  • 年齢70歳以上、慢性疾患がある場合(心臓病、糖尿病、高血圧、慢性呼吸器疾患、慢性腎疾患、癌など)

集団感染を緩和するには?

感染を防ぐには?

  • 症状がない人でも他人に感染させる
  • 感染した人のうち、基礎疾患がある人や、高齢者に死亡がでやすい
  • 周り全体にウイルスが蔓延している今は、Social distancing のみが有効
  • ソーシャル・ディスタンシングとは? 人と会わない、会っても距離を置く
  • 手を洗う
  • マスクをして他人に感染させるのを防ぐ

Social Distancing- していいこと

  • 家で家族と食事をする
  • 外を家族と散歩する
  • 家族とハイキングに行く
  • 食料品を一人で買いに行く
  • レストランからテイクアウトして家で食べる
  • 犬の散歩をする
  • 1-2人の友人と散歩をする(2 メートルの距離をとる)
  • やむを得ない場合のみの出勤(2 メートルの距離をとる)

Social Distancing- してはいけないこと

  • 友人を家に招く(子供も含めて)
  • 友人の家に遊びに行く(子供も含めて)
  • みんなでわいわい集まる(屋外も含む)
  • 屋外で至近距離で友人の子連れ家族と遊ぶ
  • 通常通り仕事に行く
  • 家族みんなで買い物に行く

食料品の買い出し

  • 買い物から帰ったら手を20秒以上石鹸(ハンドソープ)で洗う:一番重要
  • 袋はきれい?食料品についているウイルスは?
    完全にウイルスを除去するのは難しいが、やるとすれば、全て拭き、入れ物から出して野菜などは洗ってから保存。
  • マスクはすべき?
    完全にするのは難しいが、マスクは現在は外に出る場合はすること。
  • 手袋はすべき? 手袋は個人的には安心できないことも多い。

間違った手袋の使いかた

  • 手袋をつけたまま顔をさわる
  • 手袋で何でも触る(携帯電話、クレジットカード、ドア)
  • 手袋をしたまま食事
  • 手袋を取る時に表面を触ってしまう(指先をもってとり、とったあとは手洗い)

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ウェビナー参加者との質疑応答:

Q. 感染はゆるやかになっているのでしょうか。
A. 2週間前(前回ウェビナー時)に比べると、ゆるやかになってはいます。

Q. 子供が感染した場合のどのような対応になるのか知りたい
A. 病院によって違うと思うが、子供が入院の場合は1名付き添いが可能です。軽症の場合は、自宅待機で風邪の子どもをみるのと同じ、現在ミシガン大学病院では、子どもで200名の感染者がいるが、その中でも入院は子供は2名しかいない。入院するぐらい悪い場合は、大人一人は付き添える。

Q. 両親揃って入院の場合などは、病院などで何かバックアップ体制などあるか
A. 大人が入院の場合は、だれも付き添いができない。両親ともに入院することになった場合は、だれかに頼むしかないのでは。(とくに病院では対応していない)

Q. グラフのピーク予想があったが、先生のピークに対する見解は?
A. まだ増えている。緩やかではあるが、まだ増えているのでピークは先ではないか。

Q. いまだにワイプ、殺菌用スプレーなどがまだ入手が不可能。外出先で手が洗えない場合?
A. アルコールなどがあれば良いがそれも買えない状況と聞くので、手洗いが大切。家にかえって必ず洗う。家庭用のキッチン用のスプレーなどで除去できるようなので、ペーパータオルに吹きかけ持ち歩くなども案ではないか。

Q. 4月30日まで、自宅待機が延期されたが、先生のご見解は?
A. 上がったものが下がって、また上がってというような繰り返しのリスクがある。待機令を解除するにしても少しずつにする、段階的にして2週間ずつ様子をみるなどしないとうまくいかないのではないかというのが個人的な見解。急な全解除は元のように増えると思う。ワクチンができるのはおそらく1年はかかるのでは、と見られているので、どのようにしのぐかは引き続き難しい問題。

Q. フェイスシールドの作り方についてウェブサイトなどで無料共有されています。医療従事者の方にも拡散を、とのことですがいかがでしょうか。
A. フェイスシールドや手袋は、一般の人は必要ないですし、感染者とコンタクトがある時にガウンとN95 と一緒に使ってその都度全て捨てないと意味がありません。普段の生活で何度も再利用する意味はないですし、病院では手作りのものは使えません。

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講師プロフィール

リトル(平野)早秀子
ミシガン大学家庭医療科助教授

1988年慶応義塾医学部卒業、1996年形成外科研修終了。2008年Oakwood Annapolis Family Medicine Residency 終了後、2008年より、ミシガン大学家庭医療科でミシガン家庭健康プログラムで日本人の患者さんを診察しています。産科を含む女性の医療、小児医療、皮膚手術、創傷のケアに、特にちからを入れています。

ミシガン大学についての情報は、ウェブサイトで確認できます。

https://medicine.umich.edu/dept/japanese-family-health-program

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