
第22回デトロイト剣道大会が、2020年2月16日、今年も盛大に開催された。会場はミシガン州バーミンガム市のシーホーム高校。全米各地やカナダから300名を超える参加者があり壮絶な試合が繰り広げられた。来賓には在デトロイト総領事ご夫妻、JBSD会長、デトロイトりんご会補習授業校校長、近本巧教士八段、全米剣道連盟からは副会長、理事の先生方が列席された。開会式ではアメリカ、カナダ、日本の国歌をデトロイト剣道道場剣士によるバイオリンの生演奏で厳かに始まり、デトロイト剣道道場の七段錬士、六段錬士による日本剣道形の演武が披露された。
試合は無段者の部、女子の部、から開始され、10歳以下、15歳以下の部、シニアの部、初段、二段、三段、四段、五段以上の各部門、団体戦へと続いた。どの部門も昨年度の入賞者と入れ替わりが多く、1年の間にそれぞれの努力と成長があった。最終部門である団体戦(大人)では、激しい戦いが繰り広げられ、コートの周りを剣士が取り囲み会場中が一体となって剣道を楽しむ姿があった。
様々な人種が集まるアメリカは、剣道でも同じ。肌の色、国籍の違いがある中、会場のいたる所で交友の場が見られた。試合が終わった剣士が一番始めにすることは、コートの外でお互いの選手が駆け寄り、小手を外して握手、そして日本語で「ありがとうございました」というのがアメリカ剣道の習慣となっている。コートの中では対戦相手でも、試合が終われば同じ道を歩む仲間となり話がはずむ。デトロイト剣道大会会長で全米剣道連盟会長の田川順照 範士八段による開会の辞で述べられた「この大会では、剣道の激しい戦いだけではなく、剣道を通した友好を築いてほしい」という“交剣知愛”の精神が根付いていることを表している。剣道を通してお互いを敬い、理解し合い、人間的な向上を図る教えは日本でもアメリカでも受け継がれている。
試合前日は、日本から近本巧先生を講師としてお迎えしセミナーが開催されている。近本先生は愛知県警察官で剣道教士八段、2003年の全日本剣道選手権大会では優勝、また数多くの勝利を収めている。ウォーミングアップの後、一番最初の指導は、剣道の基本の中でも一番基本である竹刀の握り方。初心者が一番始めに習うことである。参加者全員が初心に返って見直すこととなり、どの段階の人にも適したスタートとなった。とてもわかりやすく一つ一つの動きを、順を追って確認しながら進め、最終的に「気・剣・体の一致」の一つの動作に繋げていく指導をされた。
セミナー後、四段までの審査会が実施され、多くの剣士が昇級、昇段した。セミナーや試合は、剣の道を歩む者にとって通過点に過ぎない。今回学んだことを自分のものにし、また次に向けて進むスタートの日でもある。それぞれに新たな課題を持ち、また来年の試合が素晴らしいものになる事を期待している。
(記事・写真 デトロイト剣道道場)
【デトロイト剣道道場試合結果 】
初段 :三位 Keigo Ishida
二段 :三位 Collin Shinohara
シニア :三位 Hidemitsu Mizusawa
少年団体 :三位 Detroit A
大人団体 :三位 Detroit A