ゴルフ暦が長くなると、クラブの在庫が増えます。私はゴルフ歴20年の間に、おそらくアイアンは6セット、ドライバーは10本ほど変えましたが、パターは20本ぐらいコレクションがあります。苦手なクラブほど増える気がします(笑)。久々に掃除を兼ねてパターを並べてみました。パターヘッドは、確実に巨大化の一途をたどっています。

これまでご紹介した通り、パターヘッドが重いとクラブ慣性モーメントが上がり、ボールの転がりが良くなります。加えてヘッドは深重心になって、オフセンターでミスヒットしても直進性がアップします。しかし大きくて重いヘッドはメリットばかりではなくて、かえって慣性モーメントが邪魔をして、ストロークの始動の時にヘッドが動きづらい、思うように振り切れない、と感じる人が少なくありません。

ヘッド側、手元側のどちらが重く感じるか、スイングする時の振りやすさの感覚、バランスを数値化して表したものを「スイングウェイト」と言います。ドライバー、アイアン、パター、全てのクラブに適用される値で、C9、D2など、アルファベットと数字の組み合わせで表記されます。

ヘッド側が軽く感じる→重く感じる、の順で、A、B、C、D、Eの5つの区分があり、アルファベットの中が、A0からA9というように、さらに10個に分かれています。総重量が重いか軽いかは関係なく、ヘッドが重く感じられるかどうか、相対的な重さを表します。私の感覚では、AからCは抵抗なくブンブン振り回せますが、ヘッドの重みはほとんど感じられず少し物足りないです。Dの前半はちょうど良いですが、Dの後半からEはクラブに振られてしまって腰を痛めそうなぐらいヘッドが重たく感じます。一般的な男性用クラブはD0からD2、女性用はC6からC9、男女共パターはD2からD4程度です。ちなみに日本の名刀はD0付近のものが多いそうです。

パターはヘッドが重くなるにつれてスイングウェイトが大きくなっていくのですが、振りにくいという弱点をカバーするために、グリップ側におもりを加えることがあります。これはカウンターをかけてスイングウェイトを手元側に戻すことになるので、「カウンターウェイト」と呼ばれます。アンカーリングというパターのストロークのルール改正と、ヘッドの重量化がきっかけとなって、最近はカウンターウェイトをグリップ側につけることがポピュラーになってきました。

手元側を重くすると、テイクバックがスムーズになるのと、手の動きを整える効果があります。ヘッドの挙動が安定すると距離感が安定します。

方向性も大事です。パターの場合は特に、インパクト時に狙ったところへパターフェースが向いているかどうかが勝負なので、ストローク中のフェースの開閉がなるべく少ない方がブレは少なくなります。トウ側が重いパターは、ストローク始動時にパターを吊り上げただけでフェースが開きます。グリップを四角にすることで、無意識にフェースが開かないように手で押さえつけているのだそうです。

ストローク中にフェースが絶対に開かないパターを作っているアメリカ人がいます。デビット・イーデルというゴルフプロで、マサチューセッツ工科大との共同開発を行いました。とても興味深いので、私もひとつパターを作ってもらうことにしました。工房へ行ってスイング解析をし、ヘッドの形状や重さ、カウンターウェイトの重さと位置を決めてもらってからオーダーします。1ヶ月後にやっと出来上がりました。

平らなところに置くと、トウ側が上を向くことに驚かされます。スイングウェイトを測ってみたら、Aを振り切りました。つまり極端にヘッドが軽いのです。あまりに今までのパターと感覚が違いすぎて、恐ろしくてまだ実戦に投入できておりませんが、明日からちょうどタイにゴルフトリップに行くので試してみたいと思います。2016年に同じコンセプトのパター(トウ・アップアイ)がオデッセイから出ましたが、去年生産を終了したそうです。今後の新常識となるかどうか?いや…。楽しみですね。

<筆者プロフィール> 東京都出身、慶応大学法学部卒。駐在員の妻としてミシガン滞在中にゴルフを始め、ゴルフ好きが高じて2009年にPGAメンバーとなる。「もっと遠くの、狙った場所へ」をモットーに、夏はミシガンで、冬は日本でレッスンを行っている。(sonya_nomura@pga.com / www.crazygolfersworld.com)

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