ミシガン・セントラル駅:Michigan Central Stationはデトロイトの没落の象徴といえる姿を晒してきた。逆に言えば繁栄の象徴であったこの駅舎は1913年に世界で最も高層の鉄道駅ビルとして華々しく開業。18階建てという高さもさることながら、待合室は豪華な装飾が施され、ここから毎日200本の列車がニューヨークやボストン、シカゴ、ウェストヴァージニア、カナダに向けて出発していた。

1920~50年代の絶頂期には、デトロイトは米国で4番目に人口の多い都市であった。自動車産業を中心とした活気あふれる地で働こうとする多くの人々が列車に乗ってこの駅に期待と覚悟を胸に足を下したのだろう。

しかし自動車産業の発展とともに、鉄道は衰退。それは全米にいえたことだが、車の街デトロイトでは顕著で、70年代後半には駅構内の各所を閉鎖、そして1988年に最後のアムトラックを見送った。駅としての機能を閉じただけではなく、その後のデトロイトの荒廃によって駅舎も荒廃。解体するにも費用がかかる厄介者。荒廃の象徴を目にしたくないと思う人も多い一方、国の歴史登録財:National Register of Historic Placesに(1975年)指定されている歴史的建造物を保存しようとする運動も起き、カジノ、警察署をいれるなど再建案は出たそうだがいずれも頓挫。廃墟のまま放置状態にあった。

そこにビッグニュース! 2018年6月、この巨大廃駅ビルをフォード社が購入した。「22年までに自律走行車や電気自動車の試験、研究センターの中枢として社員2,500人を入居させる」と発表した。フォード社は近隣の空き地や、使われていない工場も購入している。

この一帯は、“コークタウン”と呼ばれ、当初はアイリッシュ系の人々の居住地として開拓が進み労働者向けの家屋:Worker’s Row Houseが並んだ。今もその一件がLodge Freewayに近い所に現存している(右下写真)。地域一帯もセントラル駅同様に国の史跡に登録されており、デトロイトで現存する最古の地区。この一帯を巡るウォーキングツアーもある。Trip Advisorなどでは、「ダウンタウンから歩いて行ける」と記されているが、個人での散策はお勧めできない。歴史的な建物を活用した洒落たレストランやバーが点在し、フォード社の決定後はさらに増えつつあるが、まだ、人通りの少ない道、空地、廃屋も多い。

今後の変化・発展に大いに期待したい。かつての駅ビルが生まれ変わり、ニュースに大々的に映し出される日が来ることだろう。

Cork&Gabel – Detroit, MI

Michigan Aveと16th streetのコーナー、セントラル駅ビルの前にあるレストランだ。

外観の古めかしさに反して、入り口を入った狭い空間は実にポップで彩りに溢れ、さらに店内に入るとシックな広々とした空間が広がっている。窓越しに、駅舎が見える。

古いランプや滑車など、この建物の歴史を伝える数々の装飾品が独特の雰囲気を創っている。(レポーターが訪れた日には)優しいウエイターが一つ一つの物の歴史を丁寧に説明してくれた。

アイルランド料理、イタリア料理、ドイツ料理が融合したレストランで、メニューや盛り付けにも凝っている。今春(2020年4月)、パティオエリアをオープンする予定。

Cork&Gabel – Detroit, MI

2415 Michigan Ave Detroit, Michigan
corkandgabel.com

Two James Spirits – Detroit, MI

禁酒法以来、デトロイトで最初に認可された蒸留所。ウィスキーやジン、ラムなどを生産し、試飲ルームではカクテルも提供し、バーとして訪れる人も多い。新築の建物には出せない渋い雰囲気が魅力。

ホームページで「地域の活性化と物づくりの強化を目的に、地元産の農産物を利用し、環境に配慮した最高品質の手作りのスピリットのみを生産することに取り組んでいます」と謳っている。金曜日の夕方と週末にツアーも提供している。

ボトルの形やラベルがなかなか凝っている。Johnny Smoking Gun Whiskeyという名のラベルには“末広がり”という日本語が! 日本料理のうまみに合うように創ったのだそうだ。独自のアジアンブレンド茶を使用し、スモーキーさを個性にしている。

Two James Spirits – Detroit, MI

2445 Michigan Avenue Detroit, MI 48216

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