明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

亥年の2019年に別れを告げ、子年の2020年を迎えました。米国では日本より一足早くホリデーシーズンが終わり通常の活動ペースに戻りましたが、皆さんの年末年始は如何でしたでしょうか?今年は珍しくホワイトクリスマスにならなかったデトロイト地区を離れて日本へ一時帰国された方、米国外または米国内を旅行された方、ご自宅でゆっくりされた方など様々でしょうが、皆さんそれぞれリフレッシュして英気を養い、順調に新年のスタートをされた事と思います。昨年は日本、米国を初め世界中で嫌な事件・事故・災害など暗いニュースが多かったですが、今年の数字の並びだけを見ると丸っこい柔らかな感じがして、何となく昨年よりは色々な問題や課題が解決または良い方向に向かい、物事が丸く収まるのではないかという思いがありますが、単なる希望的憶測に過ぎず確かな根拠がある訳ではないので、淡い期待に終わらぬ事を願っております。

年末年始は例年カレッジフットボールのボウルゲームの好カードをテレビ観戦するのが慣いでしたが、今年は何故か試合予定も結果もほとんどフォローせぬまま、気付いたら既に年末でした。他のスポーツも同様なため、今回はいつものスポーツ関連ネタはお休みです。悪しからず。

という事で、本欄には珍しく前書きが短く直ぐに本題に入ります。今回のテーマは『サヨナラ2019年、いい事あるかな?2020年』です。

サヨナラした昨年12月中にスポーツ関連ネタのフォローが出来なかった理由として直ぐに思い当たるのは、クリスマス前まで米国議会下院ですったもんだしていた大統領弾劾手続きが挙げられます。1ヶ月以上に及んだ一連の証人喚問、審議、採決プロセスを仕事の間に間にテレビ中継やニュース報道、解説など時間さえあれば追い掛けていたためその反動で脳ミソに疲れが出たか、今年1年の蓄積疲労(トランプ疲れ?)が出たのか、スポーツ関連だけでなくエンターテインメント全般に関心を向ける情熱も時間も不足したためかもしれません。弾劾の対象本人であるトランプ大統領自身はその場に立ち会っていずとも、自分に不利な証言をする証人達とペロシ下院議長他関連委員会の民主党議長、委員会メンバーを場外からの連発ツイートやテレビ会見、取材の度に「これでもか、これでもか!?」と言わんばかりに非難、中傷しまくり、相手は目の前にいないもののまるでプロレスの場外乱闘まがいの振る舞いでした。彼のリングネームとしては『トランプ・ザ・デストロイヤー』が相応しい気がします。

結果は皆さんご存知の如く、先月中旬に下院議員全員投票にて職権乱用及び議会運営妨害行為の2件の決議案が可決され、米国史上3人目の大統領弾劾訴追となりました。前回2016年の大統領選挙キャンペーン中から当選・就任後の今に至るまで何かとUnprecedented(前例のない、前代未聞の)という形容詞が使われるお騒がせのトランプ大統領ですが、今回もまた現職大統領として就務1期目での弾劾訴追は史上初の出来事でした。

次のステップは年明けに上院で有罪か無罪か、また有罪ならば大統領職を罷免するか否かを審議する弾劾裁判になる筈ですが、上院多数党リーダー(共和党上院院内総務)であるミッチ・マコーネル氏がトランプ大統領他ホワイトハウスの政権幹部及び大統領の法律顧問陣と弾劾裁判の進め方について事前協議し、完全なる意見の一致を見ているとの報道があり、大統領側近メンバーを含む重要証人の召喚などを要望している上院少数党リーダー(民主党上院院内総務)のチャック・シューマー氏や下院のペロシ議長は正当な弾劾裁判が実施される保証がないと危惧し、本稿完成時点では未だに下院の弾劾訴追決議書をマコーネル氏に手渡しておらず具体的な弾劾裁判の進行ルールも日程も決定しておりません。民主党の言い分は当然で、上院での弾劾裁判は訴追されたトランプ大統領が有罪か無罪かを問う議会による正式

『裁判』ですから、被告に相当する大統領と裁判官や陪審員の構成メンバーに相当する共和党の上院院内総務が進め方(及び大統領無罪の判決も)を事前協議して審議が始まる前から結果が分かっているようでは、全く公正とは言えません。実際にマコーネル氏はシューマー氏からの要望事項を全て拒絶しておりますし、古参の共和党上院議員であるリンジー・グラハム氏は「弾劾裁判は証人喚問なしで直ぐに終わる。」とまで断言しております。

話が少し脇にそれますが、マコーネル氏と言えば、昨年中に下院で審議可決され上院に回された280件余りの議案を上院審議に掛けず尽く握り潰している事実もあります。その内100件以上は民主党・共和党両党の議員が合同起案した超党派の議案であり、銃器規制強化、移民法改正、オピオイドを中心とする各種鎮痛剤による薬禍対策、ヘルスケア関連など米国民の日常生活の安全と安心に密接に関わる重要議案も含まれているにも拘らず、明確な理由説明もなくお蔵入りさせています。トランプ大統領が度々“Do-nothing Democrats”(何もしない民主党)と揶揄・批判しておりますが、何もしないのは共和党のマコーネル氏であり民主党多数の下院でいくら良い議案を可決しても上院で可決され、大統領承認を受けられねば法令として公布も実施も出来ません。(閑話休題)

それにしても、下院での弾劾訴追採決前の下院各委員会と全体会議での審議中は弾劾訴追を目指す民主党対大統領擁護・訴追回避を目指す共和党の対立構図が鼻から明白で証人に対する質疑応答及び応酬コメントは議論とか協議とか言えるレベルには程遠く、どちらも自党有利に展開するためのシナリオ通り一方的な質問と発言に終始し、全くと言って良い程議論が噛み合わないまま時間切れとなりました。特に共和党は複数のメンバーが次々と予定外の発言許可要請の動議や民主党起草決議案の内容修正動議を連発し、民主党が召喚した証人の発言を中断したり、会議の進行妨害をして、審議のプロセス自体が性急かつ不当であるとして審議を無効化、中止させようとしました。共和党メンバーの発言は「大統領は何も間違った事はしていない。明確な証拠もない。民主党のプロセスは従来の正当な手続き手順を無視しており妥当性を欠く。」との論点に終始し、トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談中に軍事援助金の継続支給との交換取引を匂わせた明確な証拠となり得る大統領側近幹部の宣誓証言や録音テープ、関連書類の議会への提出要請をことごとく拒絶している事には一切触れず仕舞いでした。その点を突かれると言い訳のしようがないので、「臭い物に蓋」で一切触れずに素通りした形ですね。

共和党メンバーの発言を聞いていて、「この人達は一体どういう価値観を持っているのだろう?善悪の判断も出来ないのだろうか?」、「本当にトランプに大統領を続けさせたいのだろうか?」と呆れるとともに理解不能の大疑問符と「政治家は信用出来ない」という昔からの言い回しが改めて頭に浮かびました。彼らにとって本当か嘘か、正しいか正しくないかという問い掛けは意味を成さないのか?「景気が良くて株価が史上最高値を更新していれば他はどうなってもいい。」と思っているような発言も多かったですね。大きな声と早口で威圧的にまくし立てる先鋭派の議員が目立つ今の共和党ですが、故マケイン上院議員のような良識派が不在もしくは少数派となった党員の多くはトランプに洗脳され、党自体丸ごと乗っ取られたような感じがします。何が事実か、何が正しいかは関係なく、筋の通った理屈でもなく、とにかくトランプの言う通りに行動する集団に成り下がってしまった感がします。理屈や道理ではなく、魂も良心も失い親分のために盲目的かつ狂信的に追従して行動する姿は、まるでヤクザの親分・子分か、オカルト宗教団体の教主と教団員の関係のようです。正に「悪貨は良貨を駆逐する」パターンです。「朱に交われば赤くなる」とも言いますが、ブラックな印象が強いトランプ大統領の場合は、「墨に交われば黒くなる」がより適切でしょうか?もっとも、彼の取り巻き陣や政権幹部、共和党幹部を見ると彼らも元々黒かったか、程度の差こそあれ、かなりグレーだったのではないかと思ってしまいます。

トランプ親分の子分に成り下がったこの人達に政治を任せていたら、環境破壊で北半球の氷河や南極の氷棚溶解による海水温と海面上昇による自然災害増加で地球はボロボロ、国家安全保障や国際的な安全保障体制の崩壊または脆弱化、前時代的覇権主義の顕在化、独裁主義・専制君主的政治・軍事行動の増加・拡大、民主主義の抑圧と後退、移民・難民・異民族・異文化への迫害、米国内でのトランプ支持派と反対派の対立激化や白人至上主義者・差別主義者の増殖、銃火器による殺傷暴力事件も減らず、貧富の2極化で中間層はなくなり対立構造となる貧困層は生活に窮するばかりか生命の危険、存在の危機にさえ直面する事になりかねません。

トランプ大統領自身はウクライナ大統領との電話内容をパーフェクトと言っていますが、複数の証人喚問では交換取引である“Quid pro quo”=クイド・プロウ・クオがあった事、米国民であるバイデン前副大統領個人の行動調査を外国政府または関連団体・人物に依頼する国家安全保障上禁止されている行為が暴露された意味でパーフェクトだった訳です。間違いなくサイコパスであるトランプ教主に先導されたオカルト宗教団体が国や国民にこれ以上災いをもたらさないようにストップを掛け、教団員を催眠術や呪縛から解放しなければなりません。ここに来て急にオカルト的強固な一致団結を見せている共和党や熱狂的、狂信的なトランプ支持派・擁護派の言動が顕著になり、トランプ大統領の再選可能性大をうたう報道も見受けられますが、今年の大統領選でトランプ再選が阻止され、民主党が上下院とも過半数確保と言う理想的な形が実現されれば今年最大のいい事かもしれません。そうなれば、夏の東京オリンピック共々明るいニュースとなりますね。

「いい事ないかな?2020年」、皆さん一緒に祈念しましょう。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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