明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

11月に帰国した時、日本の女子ツアーはとても盛り上がっていました。8月の全英女子オープンで優勝した渋野日向子選手と、国内7勝の鈴木愛選手の賞金女王争いがラスト2試合で佳境に入ったからです。日本のゴルフ業界の衰退が憂慮される中、日本女子ツアーの試合数は米国女子ツアーの34、日本男子ツアーの24を大きくしのぐ39試合、その人気はうなぎ上りです。

渋野の強みはパットだと言われています。パーオンホールの平均パット数は1.758で2位、鈴木が僅差1.756で1位でした。試合あたりの平均パット数は鈴木が28.79で2位、渋野が29.11で5位でした。ちなみに米国男子ツアーのパーオン平均パット数の1位はJ.スピースで1.694、日本男子は1.735で石川が2位に入っています。

TVの特集で渋野が言っていましたが、「パットは30cmぐらいカップを越えるつもりで打っているのですが、私が打つと1mぐらい行ってしまうんです」。

ショートゲームの神様デイブ・ペルツは実験の結果、40cm越える強さが一番カップインしやすい、と結論づけています。越える練習をするのは意外と難しくて、というのもパッティングが正しい方向とスピードであったかというのはカップインしないと分からないのに、カップインしてしまうとボールがどのくらいカップを越えていたかを測れないからです。そこでペルツはPhony Holeというギアを作りました。カップの大きさに切ったただのシートなのですが、グリーンにそのシートを置いてパットします。ボールがその上を通ればカップインしたことになり、ボールはカップの先で止まってどのくらいオーバーしたかが分かるので、タッチを養うのに役立ちます。

今月号は少しグリーンリーディングの話をしようと思います。ペルツの「パッティング・バイブル」という本には、面白い実験が紹介されています。ツアー選手500人、アマチュア1000人に、5m下り、左から右へ曲がるスライスラインのパットを打ってもらいました。まず自由にラインを読んでもらい、カップの何センチ左…など、どこに向かって打つのかを宣言してもらいます。そしてボールに向かって構え、実際にパットして結果を見ます。

大抵の人は曲がりを実際の3割程度にしか予想せず、でも構える時はもっと左を向いて打ち出すのだそうです。そして8割の人がパットをウィークサイド(カップよりも低い側)へ外しました。最初に予想したよりは左に構える分、「これじゃあ読みが深すぎるかも?」という違和感が生じ、ストロークが縮こまる、結果ウィークに外し、そのうち強く打つようになり、ますますカップから遠ざかって負のスパイラルへ陥っていくのだそうです。

なぜこんなことが起こるかというと、傾斜のあるグリーンでは、ボールはパットした瞬間から重力に負け、狙って打ち出したライン(Aim Line)から外れてどんどん低い方へ流れていくからです。

これは私も昔から疑問に思っていました。曲がりのピークを見極めてそのスポットに向かってパットする、は定石ですが、ボールがそのスポットを通るように打つとカップインせずにストロングサイドを通り過ぎるし、かと言ってちょうどの強さで打つとウィークサイドに外れてしまう。けっきょく自分は読めてないんだ、才能がないんだ、という結論に至るわけですが(笑)、ペルツは「ほとんどの人は、曲がりはきちんと読めているが、正しく狙うことができていない」と言っています。

ペルツはTrue Rollerというボール用の滑り台を作り、「正しい狙い方」の実験をします。私も自作の滑り台を使ってレッスンをやりましたが、ペルツと同じ結果に。

Phony Hole 自作True Rollerの実験。打った瞬間からボールはラインを外れる。

 

40cmカップを超える程度の強さで打ったボールを狙ったスポットへ通すためには、なんと3倍も深いところを狙わなければいけないことがわかります。例えば曲がりのピークがカップ1つ分のところにあると読んだら、カップ3つのところを狙うのです。そうやって読みと狙いがリンクしてくると、あの「深すぎるかな?」「大丈夫かな?」という、構えた時に感じるざわざわした違和感がなくなっていくと思います。

渋野選手のように、自信を持って落ち着いてパットを決められるゴルファーを目指し、まずは3倍&40cm。ぜひ試してみてください。

<筆者プロフィール> 東京都出身、慶応大学法学部卒。駐在員の妻としてミシガン滞在中にゴルフを始め、ゴルフ好きが高じて2009年にPGAメンバーとなる。「もっと遠くの、狙った場所へ」をモットーに、夏はミシガンで、冬は日本でレッスンを行っている。(sonya_nomura@pga.com / www.crazygolfersworld.com)

返事を書く

コメントを記入してください
お名前を記入してください